説明

発光装置、照明装置及び発光装置の作製方法

【課題】信頼性が高く、電力損失を伴わずに発光領域面内の輝度が均一化された、安価に製造できる発光装置、照明装置及び発光装置の作製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】発光素子の透明導電膜からなる電極に接する補助電極を、マスクを用いた成膜により形成し、且つ当該補助電極を酸化させることによって当該補助電極とEL層との直接的な接触を防止する発光装置の作製方法を提供する。また、当該方法により作製された発光装置、当該発光装置を用いた照明装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む発光層を有する発光素子を用いた発光装置及びそれを用いた照明装置に関する。また、当該発光装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一対の電極間に有機化合物を含む発光層(以下EL層とも称する)を有する発光素子(エレクトロルミネッセンス素子:EL素子とも言う)の開発が盛んに行われている。その用途として注目されている分野のひとつが照明分野である。この理由として、EL素子は薄型軽量に作製できること、面での発光が可能であること等、他の照明器具にはない特徴があることが挙げられる。
【0003】
EL素子は一対の電極間に有機化合物を含む発光層を挟持した構造を有することは先に述べた。そのため、発光層からの発光は、一対の電極のうち、少なくとも一方を通過して取り出される。このことから、通常、EL素子の一対の電極のうち少なくとも片方の電極は、少なくとも可視光に対する透光性を有する導電膜(透明導電膜)により形成されている。
【0004】
ところが、この透明導電膜は、電気を流しやすい金属などと比較して、一桁から二桁比抵抗率が高く、特に照明用途などに用いられる面積の大きい素子においては、電圧降下による発光素子の発光領域面内の輝度変化が顕著であるという問題があった。そこで、特許文献1では、透明導電膜と有機化合物を含む発光層との間に透明導電膜より低抵抗な物質からなる金属層を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、他の問題として、現状、EL素子からなる照明を作製するためのコストが非常に高いことが挙げられる。作製コストが高いということは、その分価格に反映されてしまうことになり、前述のような他の照明装置にない特徴を有するEL素子からなる照明装置であっても、競争力が落ちてしまう。そのため、EL素子からなる照明装置の普及の為には材料的、プロセス的両面において低コスト化することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−140817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように、導電性の高い金属層を補助電極として透明導電膜に接して設け、透明導電膜の導電性の低さを補う構成では、金属層を形成する工程、絶縁層を形成する工程が新たに追加されることになる。絶縁層が設けられる理由は、補助電極と重なる部分における発光は取り出すことができないため、補助電極と重なる部分が発光してしまうことによる電力の損失を防ぐためである。しかし、絶縁層を用いて正確に金属層を覆うためには、複数のマスクを緻密にアライメントして用いる必要が生じるため、量産を念頭においた場合、設備投資費が多額になってしまう恐れがある。
【0008】
また、金属層と絶縁層とを同じマスクで形成する場合は、金属層の上部にしか絶縁層が形成されず、金属層端部や側面における発光による電力損失は防ぐことができない。また、金属層端部や側面には段差が存在するため、EL層の被覆性が悪いと透明導電膜ともう一方の電極とが短絡してしまう恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の一態様では、信頼性が高く、電力損失が小さく発光領域面内の輝度が均一化された、安価に製造できる発光装置及び照明装置を提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明の他の一態様では、信頼性が高く、電力損失が小さく発光領域面内の輝度が均一化されたEL照明装置を安価に製造することが可能な発光装置の作製方法を提供することを課題とする。
【0011】
本発明の一態様では上記課題の少なくとも一を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、発光素子の透明導電膜からなる電極に接する補助電極を形成し、且つ当該補助電極の表面を酸化させることによって当該補助電極とEL層との直接的な接触を防止して作製した発光装置又は当該発光装置を用いた照明装置が上記課題を解決できることを見出した。これによると補助電極はシャドウマスクを用いた成膜により形成することができるため、フォトリソグラフィやエッチングなどの煩雑な工程を伴わずに補助電極が形成された発光装置または照明装置を作製することができる。また、補助電極そのものを酸化させることにより絶縁膜を作製するため、綿密な位置合わせが必要なく、量産施設における設備投資費の増大を抑制することができる。さらに、補助電極は透明導電膜に接する部分以外の表面が酸化物で覆われることになり、補助電極と重なる部分での発光及び補助電極端部や側面における発光を抑制することができ、電力損失が低減される。そのうえ、補助電極が形成されているため、発光領域面内の輝度が均一化された発光装置または照明装置を作製することができる。
【0013】
すなわち、本発明の一態様は、可視光に対して透光性を有する基板上に、第1の電極と第2の電極と、第1の電極及び前記第2の電極との間に位置するEL層を備え、第1の電極とEL層の間に金属を含む補助電極を有し、当該補助電極とEL層の間に金属の酸化物からなる絶縁層を有する発光装置である。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、補助電極を構成する金属がアルカリ土類金属である発光装置である。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、補助電極を構成する金属がアルミニウムである発光装置である。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、EL層における第1の電極及び金属の酸化物に接する層が正孔輸送性の材料とアクセプター物質を含む複合材料からなる層である発光装置である。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、補助電極がストライプ状に複数形成されている発光装置である。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、上記発光装置を用いた照明装置である。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、可視光に対する透光性を有する基板上に、透明導電膜からなる第1の電極を形成し、第1の電極上にマスクを介して成膜することでパターン形成された、金属からなる補助電極を形成し、当該補助電極を酸化することによって補助電極の表面に補助電極を構成する金属の酸化物からなる絶縁層を形成し、第1の電極及び絶縁層を覆ってEL層を形成し、EL層上に第2の電極を形成する発光装置の作製方法である。
【0020】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、補助電極を酸化する工程を酸素プラズマに曝すことによって行う発光装置の作製方法である。
【0021】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、補助電極をアルカリ土類金属により形成する発光装置の作製方法である。
【0022】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、補助電極をアルミニウムにより形成する発光装置の作製方法である。
【0023】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、補助電極をスパッタ法又は蒸着法によって形成する発光装置の作製方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様では、信頼性が高く、電力損失を伴わずに発光領域面内の輝度が均一化された、安価に製造できる発光装置を提供することができる。
【0025】
また、本発明の一態様は、信頼性が高く、電力損失を伴わずに発光領域面内の輝度が均一化されたEL照明装置を安価に製造することが可能な発光装置の作製方法である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【図2】本発明に適用可能なEL層の構成例を表す図。
【図3】本発明に適用可能なEL層の構成例を表す図。
【図4】本発明の一態様である発光装置の作製方法を表す図。
【図5】本発明の一態様である照明装置を表す図。
【図6】本発明の一態様である発光装置を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明の一態様である照明装置の断面及び上面の模式図であり、図1(A)は図1(B)における(a)−(b)断面を拡大して示したものである。なお、図はわかりやすさのため、各要素における拡大、縮小率は一定ではなく、図における各要素の厚さ、長さ、大きさの比率がそのまま本発明の一態様である照明装置の厚さ、長さ、大きさの比率を表すわけではない。
【0029】
図1(A)の断面図の説明をする。図1(A)は図1(B)の上面図における(a)−(b)の断面図である。基板100は、少なくともEL層104から発する波長の光を透過する部材よりなる基板を用いる。具体的には、ガラス基板や石英基板、有機樹脂からなる基板やフィルムを用いることができる。有機樹脂としては、例えばアクリル樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。基板100はこれら基板もしくはフィルムに保護膜や補強のための部材が設けられた構造体であっても良い。
【0030】
基板100上には、透明導電膜よりなる第1の電極101が設けられている。透明導電膜としては、酸化インジウム(In)、酸化インジウム酸化スズ合金(In−SnO:ITOとも言う)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In−ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)やガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いることができる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を充分な透光性を有する程度に薄く形成することによって透明導電膜とし、第1の電極101として用いることもできる。
【0031】
なお、上述の材料は第1の電極101が陽極である場合に用いることが好ましい、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)材料である。第1の電極101が陰極である場合には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)材料、具体的には元素周期表の1族または2族に属する金属、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属およびこれらを含む合金(MgAg、AlLiなど)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、アルミニウム(Al)およびその合金等を用いることができる。これらの材料も、充分な透光性を有する程度に薄く形成することによって透明導電膜とし、第1の電極101として用いることが可能となる。
【0032】
また、導電性高分子を用いることも可能であり、導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体など、π電子共役系導電性高分子を用いることができる。
【0033】
なお、図1(B)のように、第1の電極101aを形成すると同時に、電源供給用パッド101bを形成しても良い。また、図1(B)において、第1の電極101aは連続したひとつの島状に形成されている例を示したが、これは、電圧降下の抑制や発光面積の観点で好ましい一例である。第1の電極101aは目的や利便性によって、複数の島状に分割して形成されていても良い。
【0034】
第1の電極101上には、補助電極102が形成されている。補助電極102における第1の電極101と接する部分以外の面は、当該補助電極102を構成する材料の絶縁性の酸化物層103で覆われている。補助電極102の材料としては、自身は抵抗率が低く、且つその酸化物が絶縁物もしくは抵抗率が高い、金属材料もしくは合金材料を用いることができる。このような材料としては、アルミニウムやアルカリ土類金属、そしてそれらのいずれかを含む合金などを用いることができる。補助電極の厚さ、幅、および設置間隔は、第1の電極101による電圧降下に起因する発光素子の発光輝度のばらつきを考慮して決定すればよい。
【0035】
第1の電極101を構成する透明導電膜は、導電性の金属で形成された膜よりも抵抗率が大きい材料である。また、透光性を持たせるために膜厚を薄くする場合も抵抗が高くなる。そのため、照明用途など広い発光面積を必要とする発光装置である場合に、電圧降下による発光領域面内の発光輝度変化の問題が発生してしまう。しかしながら、補助電極102が設けられることによって電圧降下を抑制することができ、均一な発光を得ることができるようになる。
【0036】
補助電極102は、フォトリソグラフィなど既存の方法により形成することが可能であるが、シャドウマスクを用いて成膜することでパターンを形成することが好ましい。これにより、フォトリソグラフィやそれに伴うエッチング、洗浄などの煩雑な工程を経ることなく補助電極102を形成することができ、低コスト化を図ることができる。また、絶縁性の酸化物層103は補助電極102を形成した後、当該補助電極102の表面を酸化することで形成する。そのため、酸化物層103を形成するための精密なアライメントを必要とせず、量産時の設備投資費を削減することができる。さらに、補助電極102の上面だけではなく、端部もしくは側面も絶縁性の酸化物層103で覆われるため、補助電極102の上面からの発光だけではなく、端部もしくは側面側からの発光も抑制することができ、電力効率の低下を抑制することができる。その上、補助電極102の端部もしくは側面が絶縁性の酸化物層103で覆われていることから、EL層104が補助電極102に起因する段差を被覆することができなくても、補助電極102と第2の電極105が短絡してしまうことを防止することができ、信頼性の向上につながる。
【0037】
以上のような構成により、本実施の形態における本発明の一態様である発光装置は、第1の電極101、EL層104及び第2の電極105の3層が重なる部分110のみにおいて発光するため、取り出すことができない発光が少なく、電力損失の少ない、電力効率の低下が抑制された発光装置とすることができる。
【0038】
補助電極102aは図1(B)のように、ストライプ状に形成されていても良いが、ジグザグ状、ミアンダ状、S字状、魚の骨状などシャドウマスクの形状によって様々な形状を取りうる。また、補助電極102aの形成と同時に電源供給用パッド102b、102cを形成しても良い。
【0039】
EL層104は第1の電極101、補助電極102及び酸化物層103を覆って形成される。EL層104の積層構造については特に限定されず、発光層、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層または正孔輸送性の高い物質を含む正孔輸送層、電子注入性の高い物質を含む電子注入層、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含むバイポーラ層など、各機能層を適宜組み合わせて構成すればよい。これら機能層は発光層以外は必須ではなく、また、上述以外の他の機能層を備えていても良い。なお、このような積層構造を発光ユニットとも称することもある。
【0040】
本実施の形態では、EL層104は、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705を有する構成について説明する(図2参照)。各層の構成及び材料について以下に具体的に示す。
【0041】
正孔注入層701は、陽極に接して設けられ、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層701を形成することができる。
【0042】
また、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることもできる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶことができる。つまり、陽極として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料も用いることができる。アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい材料である。
【0043】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0044】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0045】
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0046】
また、複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0047】
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0048】
複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0049】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0050】
このような複合材料からなる層は、厚く形成しても駆動電圧の上昇がほとんど無いことから、発光層から発する光の取り出し効率や指向性などを制御するための光学設計を行う際に非常に好適に用いることができる。
【0051】
なお、複合材料を用いて正孔注入層701を形成した場合、仕事関数にかかわらず電極材料を選択することが可能になることを上で述べた。複合材料を正孔注入層701として用いると、第1の電極101が陽極であり酸化物層103が形成されていない場合、補助電極102が仕事関数の小さい材料で形成されている場合であっても正孔注入層から正孔輸送層や発光層に正孔が注入されてしまい、補助電極102と第2の電極との間で発光が起こってしまう。この発光は補助電極102にさえぎられて取り出すことができないため、電力効率の低下につながる。しかし、本実施の形態のように、補助電極102を酸化させて絶縁性の酸化物層103を形成することによってこのような無駄な発光が起こらなくなり、電力効率の低下を抑制することができる。このように、本実施の形態の構成は、正孔注入層701に複合材料を用いた場合に、特に有用な構成であることがわかる。
【0052】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0053】
また、正孔輸送層702として、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0054】
発光層703は、発光性の物質を含む層である。発光層703の種類としては、発光中心物質を主成分とする単膜の発光層であっても、ホスト材料中に発光中心材料を分散するいわゆるホスト−ゲスト型の発光層であってもどちらでも構わない。
【0055】
用いられる発光中心材料に制限は無く、公知の蛍光又は燐光を発する材料を用いることができる。蛍光発光性材料としては、例えばN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、等の他、発光波長が450nm以上の4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。燐光発光性材料としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、の他、発光波長が470nm〜500nmの範囲にある、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、発光波長が500nm(緑色発光)以上のトリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等が挙げられる。以上のような材料又は他の公知の材料の中から、各々の発光素子における発光色を考慮し選択すれば良い。
【0056】
ホスト材料を用いる場合は、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、NPB(またはα−NPD)、TPD、BSPBなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び公知の物質の中から、各々が分散する発光中心物質のエネルギーギャップ(燐光発光の場合は三重項エネルギー)より大きなエネルギーギャップ(三重項エネルギー)を有する物質を有し、且つ各々の層が有すべき輸送性に合致した輸送性を示す物質を選択すればよい。
【0057】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層704として用いても構わない。
【0058】
また、電子輸送層704は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0059】
また、電子輸送層704と発光層703との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層703を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0060】
電子注入層705としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層705として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いた構成は、第2の電極105からの電子注入が効率良く行われるため、より好ましい構成である。
【0061】
第2の電極105を形成する物質としては、第2の電極105を陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、陰極と電子輸送層704との間に、電子注入層705を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を陰極として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法や真空蒸着法等を用いて成膜することが可能である。
【0062】
また、第2の電極105を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。また、上述の複合材料を陽極に接して設けることによって、仕事関数の高低にかかわらず電極の材料を選択することができる。
【0063】
なお、上述のEL層104は第1の電極101と第2の電極105との間に少なくとも発光層703を含む発光ユニットが図3のように複数積層されている構造であっても良い。この場合、積層された第1の発光ユニット800と第2の発光ユニット801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、発光ユニット間におけるエネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方の発光ユニットで燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。なお、発光ユニットは、発光層、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層または正孔輸送性の高い物質を含む正孔輸送層、電子注入性の高い物質を含む電子注入層、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含むバイポーラ層など、各機能層を適宜組み合わせて構成すればよい。なお、これら機能層は発光層以外は必須ではなく、また、上述以外の他の機能層を備えていても良い。これらの層の詳しい説明は上述したので繰り返しとなる説明を省略する。
【0064】
特に図3の構成は白色の発光を得る場合に好ましく、図1及び図2の構成と組み合わせることによって高品質な発光装置、照明装置を得ることができる。
【0065】
続いて、上述してきたような発光装置、照明装置を作製する方法について図4を参照しながら説明する。なお、材料、構成及び詳しい作製方法などに関しては上述したので、繰り返しとなる記載は省略する。
【0066】
まず、基板100上に透明導電膜を成膜し、第1の電極101を形成する(図4(A))。透明導電膜は、蒸着法、スパッタ法、湿式法など、成膜する透明導電膜の素材に応じて選択することができるが、シャドウマスクを用いたスパッタ法、蒸着法での成膜が簡便で好ましい。成膜した後にパターンを形成する場合には、フォトリソグラフィ法などを用いて行えば良い。なお、図4(a)のように第1の電極101aを形成すると同時に電源供給用パッド101bを形成しても良い。
【0067】
続いて、第1の電極101上に、アルミニウム、アルカリ土類金属及びその合金などを、蒸着法やスパッタ法などによりシャドウマスク120を介して成膜することによって、補助電極102を形成する(図4(B))。そして、補助電極102の表面を酸化することによって、絶縁性の酸化物層103を形成する(図4(C))。補助電極の表面を酸化する方法としては、酸素プラズマに曝す方法、オゾン水に曝す方法、酸素を含む雰囲気で加熱する方法、酸素を含む雰囲気で加熱しつつ紫外線を照射する方法、大気中で保存する方法、真空中で酸素を流して酸素に曝す方法などがある。特に酸素プラズマに曝す方法は、第1の電極101表面のクリーニングを兼ねることができるため、好ましい構成である。なお、補助電極102aを形成すると同時に、電源供給用のパッドを形成しても良い。電源供給用パッドは、例えば図4(b)(c)で示した電源供給用パッド102b、102cのような形状で形成すれば良い。なお、電源供給用パッド102bは第1の電極101aと重なるように配置されており電気的に接続している。また、電源供給用パッド102cは、先に形成した電源供給用パッド101bと重なるように配置されており電気的に接続している。
【0068】
このように、補助電極102をシャドウマスク120を用いて成膜することで、フォトリソグラフィやそれに伴うエッチング、洗浄などの煩雑な工程を経ることなく補助電極102を形成することができ、低コスト化を図ることができる。また、補助電極102を形成した後、当該補助電極102の表面を酸化することで絶縁性の酸化物層103を形成することから、酸化物層103を形成するための精密なアライメントを必要とせず、量産時の設備投資費を削減することができる。さらに、補助電極102の上面だけではなく、端部もしくは側面も絶縁性の酸化物層103で覆われることから、補助電極102の上面からの発光だけではなく、端部もしくは側面側からの発光も抑制することができ、電力効率の低下を抑制することができる。その上、補助電極102の端部もしくは側面が絶縁性の酸化物層103で覆われていることから、EL層104が補助電極102に起因する段差を被覆することができなくても、補助電極102と第2の電極105が短絡してしまうことを防止することができ、信頼性の向上につなげることができる。
【0069】
この後、第1の電極101、補助電極102及び酸化物層103を覆ってEL層104を成膜する(図4(D))。EL層104は蒸着法や湿式法など公知の方法でもって成膜すればよい。EL層104は、図4(d)のように第1の電極101aより一回り大きく形成することによって、このあと形成する第2の電極105のアライメントが多少ずれたとしても、第1の電極101と第2の電極105が短絡してしまうことを防止することができ、信頼性を向上させることができる。
【0070】
その後、EL層104を覆って第2の電極105を形成する。第2の電極105は蒸着法やスパッタ法など、公知の方法により形成すれば良い。なお、第2の電極105は図4(e)のような形状とし、電源供給用パッド101b、102cと電気的に接続させるようにしても良い。
【0071】
最後に、第1の電極101、補助電極102(酸化物層103)、EL層104、第2の電極105及び電源供給用のパッドなどが形成された基板100(素子基板ともいう)に、シール材を用いて封止基板を貼り付けることによって、本発明の一態様である発光装置を得ることができる。なお、素子基板とシール材、封止基板との間にできた空間には充填材が充填されており、当該充填材としては不活性気体(窒素やアルゴンなど)やエポキシ系樹脂などが用いられる。封止基板は、基板100と同様な部材の他、セラミック基板や金属基板など、EL層104から発する光の波長を透過しない基板であっても用いることができる。
【0072】
図6には、図1(B)とは異なる構成の発光装置のレイアウトを表す図である。図6と図1(B)共に、フォトリソグラフィ工程を経ずにすべてマスクを用いた成膜により作製することができるレイアウトとなっている。マスクを用いた成膜では、成膜しない領域を、成膜する領域によって閉じた状態にできないため、そのレイアウトにはかなりの制限が課されるが、図1(B)及び図6のようなレイアウトを選択することによって、マスクを用いた成膜のみで本発明の一態様である発光装置を作製することが可能となる。
【0073】
図1(B)を詳しく説明する。図1(B)では基板100上に透明導電膜により、第1の電極101aを形成する。また、同時に(同じマスクを用いて)電源供給用パッド102cを形成する。続いて、第1の電極101a上に補助電極102aをストライプ状に形成する。なお、補助電極は上述したようにストライプ状に限らない。また、同時に(同じマスクを用いて)、第1の電極101aに電圧を印加するための配線と電源供給用のパッドを兼ねた電源供給用パッド102bを形成する。電源供給用パッド102bは第1の電極101aの電源供給用パッド側の辺を覆うように形成され、第1の電極101aの当該辺において一様に電圧が印加されるようになっている。補助電極102aと電源供給用パッド102bは同時に(同じマスクを用いて)形成されることから、上述したように、成膜する領域によって成膜しない領域を閉じた状態にすることができないため、補助電極102aと電源供給用パッド102bとの間には図1(B)のように適宜隙間が設けられている。なお、成膜する領域によって成膜しない領域を閉じた状態にしなければ良いため、補助電極102aを一本おきに上下それぞれの電源供給用パッド102bと接するように設け、櫛歯が組み合わされたような形状としても良い。補助電極102aと電源供給用パッド102bと同時に先に形成した電源供給用パッド101bと重なって電源供給用パッド102cを設けても良い。この後、EL層104を成膜する。EL層104は、第1の電極101aより大きく形成することによって、このあと形成する第2の電極105のアライメントが多少ずれたとしても、第1の電極101と第2の電極105が短絡してしまうことを防止することができ、信頼性を向上させることができる。EL層を形成したら、第2の電極105を形成する。第2の電極105は、凸部を電源供給用パッド101b、102cと重なるように形成し、電圧が供給されるようになっている。
【0074】
続いて、図6を詳しく説明する。図6では基板200上に透明導電膜により、第1の電極201aを形成する。また、陰極側電源供給用パッド201b及び陽極側電源供給用パッド201cも同時に(同じマスクを用いて)形成する。続いて、第1の電極201aに補助電極202aを形成する。ここで、補助電極202aはストライプ状に形成されているが、図1(B)の補助電極102aと同様に、ストライプ状に限らない。補助電極202aは図1(B)と異なり、第1の電極201aを縦断し、さらに、陽極側電源供給用パッド201cと重なるように伸長して形成する。これにより、第1の電極201aは補助電極202aを介して電圧が供給されることになる。図1の構成においては、電源供給用パッド102bにより電圧が供給されているため、電源供給用パッド102bと補助電極102aとの間には隙間があり、その隙間は透明導電膜である第1の電極101aのみで構成されるため、多少なりとも透明導電膜の抵抗の高さの影響を受けてしまう恐れがあった。しかし、図6の構成では、補助電極202aによって電圧が供給されることから、より電圧降下の影響を受けにくくすることができる。なお、補助電極202aと同時に(同じマスクを用いて)、陽極側電源供給用パッド201cと一部重なる陽極側電源供給用パッド202b及び陰極側電源供給用パッド201bと一部重なる陰極側電源供給用パッド202cを図6では形成する。この後、EL層204を少なくとも第1の電極201aを覆って成膜する。EL層204を形成したら、第2の電極205aを形成する。第2の電極205aは第1の電極201aが形成されている部分に関しては、短絡を防止するため、EL層204と重なる部分に形成する。また、第2の電極205aは陰極側電源供給用パッド201b、202c側に伸長し、陰極側電源供給用パッド201b、202cと重ねて形成することで、電圧が供給される。また、陽極側電源供給用パッド201c、202bと補助電極202aをつなぐ配線205bを、第2の電極205aと同時に(同じマスクを用いて)形成する。これにより、透明導電膜で形成されている陽極側電源供給用パッド201cによる電圧降下の影響を受けずに、陽極に電圧を供給することができる。
【0075】
以上のような構成を有する発光装置、又は照明装置とすることで、第1の電極から第2の電極まですべてをシャドウマスクを用いた成膜のみで作製することができるようになる。フォトリソグラフィを用いた煩雑な工程を経ることなく発光装置、又は照明装置を得ることができ、低コスト化につながることで、より安価に発光装置、又は照明装置を製造することが可能となる。
【0076】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様により形成された発光装置を用いた照明装置について図5(A)及び図5(B)を用いて説明する。
【0077】
図5(A)は照明装置(卓上照明装置)であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源スイッチ7506を含む。なお、照明装置は、本発明の一態様により形成される発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明装置には、図5(A)に示す卓上照明装置の他、天井固定型の照明装置(天井固定型照明装置)または壁掛け型の照明装置(壁掛け型照明装置)なども含まれる。
【0078】
なお、本発明の一態様を適用して形成される発光装置は、補助電極の段差由来の短絡が抑制されている上、電力損失を伴わずに発光領域面内の輝度が均一化された、量産化の設備投資費が小さい発光装置であるため、照明装置(卓上照明装置)の照明部7501に用いることで、信頼性が高く、消費電力が小さく、高品質であり且つ安価な照明装置(卓上照明装置)を提供することができる。
【0079】
図5(B)は、本発明の一態様を適用して形成される発光装置を、室内照明装置に用いた例である。本発明の一態様の発光装置は補助電極を用いていることから、大面積化に有利であるため、天井固定型照明装置3001に示すように大面積の照明装置に用いることができる。その他、壁掛け型照明装置3002や卓上照明装置3000として用いることもできる。なお、本発明の一態様を適用して形成される発光装置は、補助電極の段差由来の短絡が抑制されている上、電力損失を伴わずに発光領域面内の輝度が均一化された、量産化の設備投資費が小さい発光装置であるため、信頼性が高く、消費電力が小さく、高品質であり且つ安価な照明装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
100 基板
101 第1の電極
101a 第1の電極
101b 電源供給用パッド
102 補助電極
102a 補助電極
102b 電源供給用パッド
102c 電源供給用パッド
103 酸化物層
104 EL層
105 第2の電極
110 部分
120 シャドウマスク
200 基板
201a 第1の電極
201b 陰極側電源供給用パッド
201c 陽極側電源供給用パッド
202a 補助電極
202b 陽極側電源供給用パッド
202c 陰極側電源供給用パッド
204 EL層
205a 第2の電極
205b 配線
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光層
704 電子輸送層
705 電子注入層
800 第1の発光ユニット
801 第2の発光ユニット
803 電荷発生層
3000 卓上照明装置
3001 天井固定型照明装置
3002 壁掛け型照明装置
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光に対して透光性を有する基板上に、
第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極との間に位置するEL層を備え、
前記第1の電極と前記EL層の間に前記第1の電極に接して金属を含む補助電極を有し、
前記補助電極とEL層の間に前記金属の酸化物からなる絶縁層を有する発光装置。
【請求項2】
請求項1において、前記補助電極を構成する金属がアルカリ土類金属である発光装置。
【請求項3】
請求項1において、前記補助電極を構成する金属がアルミニウムである発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記EL層における前記第1の電極及び前記絶縁層に接する層が、正孔輸送性の材料とアクセプター物質を含む複合材料からなる層である発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記補助電極がストライプ状に複数形成されている発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置を備えた照明装置。
【請求項7】
可視光に対する透光性を有する基板上に、透明導電膜からなる第1の電極を形成し、
前記第1の電極上にマスクを介して成膜することでパターン形成された金属を含む補助電極を形成し、
前記補助電極を酸化することによって前記補助電極の表面に前記補助電極を構成する金属の酸化物からなる絶縁層を形成し、
前記第1の電極及び前記絶縁層を覆ってEL層を形成し、
前記EL層上に第2の電極を形成する発光装置の作製方法。
【請求項8】
請求項7において、前記補助電極を酸化する工程を、酸素プラズマに曝すことによって行う発光装置の作製方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8において、前記補助電極を、アルミニウム又はアルカリ土類金属により形成する発光装置の作製方法。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか一項において、
前記補助電極を、スパッタ法又は蒸着法によって形成する発光装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−49112(P2012−49112A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155511(P2011−155511)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】