発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法
【課題】リーク電流による不良の発生を抑止し、そのような不良によって装置寿命が損なわれることのない発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電流を供給することにより前記有機電界発光素子を駆動する駆動回路と、前記駆動電流の値が所定値を下回ったら前記有機電界発光素子の駆動を停止する駆動停止手段と、を具備する発光装置が提供される。
【解決手段】実施形態によれば、第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電流を供給することにより前記有機電界発光素子を駆動する駆動回路と、前記駆動電流の値が所定値を下回ったら前記有機電界発光素子の駆動を停止する駆動停止手段と、を具備する発光装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置や平面光源などを含む発光装置や、表示装置の用途に有機電界発光素子(以下、有機EL素子、OLEDとも称する)が注目されている。有機電界発光素子は、有機材料からなる発光層を陰極と陽極の一対の電極で挟んだ構成を有する。素子に電圧を印加すると、陰極より電子が、陽極より正孔が発光層へ注入され、発光層において電子と正孔が再結合して励起子を生成し、この励起子が放射失活する際に発光が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−272271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機電界発光素子の製造過程等において素子パネルに埃等の異物が付着することがある。この場合、素子パネルに付着した異物がリーク電流の発生原因となり、不良の発生、ひいては素子破壊につながることが懸念される。したがって、リーク電流による不良の発生を抑止し、そのような不良によって装置寿命が損なわれることのない発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、実施形態によれば、第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電流を供給することにより前記有機電界発光素子を駆動する駆動回路と、前記駆動電流の値が所定値を下回ったら前記有機電界発光素子の駆動を停止する駆動停止手段と、を具備する発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る発光装置の回路図である。
【図2】図2は、実施例1−1に係るOLEDパネルを示す外観図である。
【図3】図3は、実施例1−1に係るOLEDパネルの断面図である。
【図4】図4は、実施例1−1に係るOLEDパネルにおけるA−A’方向の断面図である。
【図5】図5は、実施例1−2に係るOLEDパネルを示す外観図である。
【図6】図6は、実施例1−2に係るOLEDパネル40のB−B’方向の断面図である。
【図7】図7は、低電流駆動によるOLED劣化の想定モデルを説明するための図である。
【図8】図8は、素子破壊について説明するための図である。
【図9】図9は、正常素子と不良素子の電流―電圧特性、及び電流―輝度特性を示すグラフである。
【図10】図10は、光学顕微鏡によるリーク発生箇所の観察結果を示す図である。
【図11】図11は、第1の実施形態に係る発光装置の外観図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光装置の回路図である。
発光装置1は、有機発光ダイオード(Organic light−emitting diode:OLED)10と、OLED10を駆動する駆動回路と、該駆動回路を駆動する回路電源(Vcc)とを備える。回路電源(Vcc)は、例えば乾電池等のバッテリーを想定する。
【0009】
図1に示す駆動回路は、定電流回路を構成している。特に本実施形態において、OLED10を駆動する駆動回路は、OLED10を駆動する電流(駆動電流)を監視し、該駆動電流の値が所定値を下回ったら駆動を強制的に停止するように構成される。
【0010】
具体的には、回路電源(Vcc)の正端子にはトランジスタQ1のエミッタ端子が接続される。トランジスタQ1のコレクタ端子はOLED10の陽極(アノード)が接続される。OLED10の陰極(カソード)はトランジスタQ2のコレクタ端子に接続される。トランジスタQ2のエミッタ端子は抵抗器R1に接続される。抵抗器R1の他端は回路電源(Vcc)の負端子に接続される。トランジスタQ2のベース端子にはオペアンプ(差動増幅器)AMP1の出力端子が接続される。オペアンプAMP1の非反転入力端子は抵抗器R2及びR3に接続される。オペアンプAMP1の反転入力端子はオペアンプAMP2の非反転入力端子に接続される。オペアンプAMP2の反転入力端子には抵抗器R4及びR5が接続される。オペアンプAMP2の出力端子は、トランジスタQ3のベース端子に接続される。トランジスタQ3のエミッタ端子は、抵抗器を介してトランジスタQ1のベース端子に接続される。図1に示される駆動回路において、OLED10の駆動を停止する手段は、少なくとも、トランジスタQ1、トランジスタQ3、及びオペアンプAMP2を含む。
【0011】
通常点灯時には、オペアンプAMP2の非反転入力端子に入力される基準電圧Vref2とOLED10に流れる電流を検出する抵抗器R1の電圧とが等しくなるようにオペアンプAMP1が動作し、トランジスタQ2の出力電流が一定に制御される。これは、定電流回路としての通常の動作であり、OLED10の端子間に駆動電流が供給される。
【0012】
回路電源は例えば乾電池等のバッテリーを想定しており、その放電によって電源電圧Vccが次第に低下する。電源電圧Vccの低下に伴い、トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間電圧VCEも徐々に低下する。最終的には、トランジスタQ2は飽和領域に侵入し、完全にONの状態となる。この時点から、当該駆動回路は電圧変動等に対する電流制御機能を失う。
【0013】
電源電圧Vccがさらに低下すると、OLED10を流れる電流も低下をはじめ、その出力電流を検出するための抵抗器R1の電圧が低下する。オペアンプAMP2は抵抗器R1の電圧を監視することによって電流を監視している。すなわち、オペアンプAMP2の非反転入力端子の電圧は抵抗器R1の電圧に等しく、オペアンプAMP2の反転入力端子の電圧は設定基準電圧Vref1に等しい。また、設定基準電圧Vref1は所定の下限電流に応じてあらかじめ設定される。この下限電流は、OLED10に流れてもよい電流の下限値、すなわち駆動電流の下限値に相当する。駆動電流の下限値を設定することについては後に詳しく説明する。
【0014】
オペアンプAMP2は、非反転入力端子と反転入力端子の電位差に応じてHigh又はLow信号(ON/OFF信号)を出力する。抵抗器R1の電圧が設定基準電圧Vref1を下回った時点でオペアンプAMP2はLow信号を出力する。これによりトランジスタQ3がOFFし、さらにトランジスタQ1がOFFする。したがって、駆動回路全体がOFFし、OLED10の駆動が停止される。
【0015】
図1に示した構成はあくまで一例であって、当業者にとって自明な範囲において種々変形することが可能である。例えば、上記構成は、駆動電流の値が所定値を下回ったら駆動を強制的に停止する機能を駆動回路の内部に設けたものであるが、同機能を駆動回路の外部に設けてもよい。また、駆動回路の基本的な構成として定電流回路としたが、OLED10を定電圧駆動する構成としてもよい。すなわち、OLED10を駆動する駆動回路として定電圧回路を用い、OLED10を流れる電流を監視して所定電流以下となったら回路を強制停止する機能を設けてもよい。また、乾電池等のバッテリーから交流電源に切り替えて発光装置1を駆動可能な構成としてもよい。
【0016】
OLED10の実施例を説明する。以下の実施例1−1は、OLED10を単一の有機電界発光素子によるOLEDパネルとしたものであり、実施例1−2は、OLED10を複数の有機電界発光素子が直列に接続されたOLEDパネルとしたものである。
【0017】
<実施例1−1>
図2は、実施例1−1に係るOLEDパネルを示す外観図である。発光エリア2の端部には、OLED10を駆動するための第1の電極のパッド部28及び第2の電極のパッド部29が設けられる。第1の電極及び第2の電極は一対の電極であり、一方が陽極(アノード)であって他方が陰極(カソード)である。ここでは、第1の電極が陽極であり、第2の電極が陰極であるものとして説明するが、これらは逆であってもよい。素子基板20は、封止基板26を含む他の部材を支持するためのものであるため、その上に形成される層を保持できる程度の強度を有することが好ましい。素子基板20の形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、用途、目的等に応じて適宜選択することができる。基板20の厚さは、その他の部材を支持するために十分な強度があれば、特に限定されない。
【0018】
図3は、実施例1−1に係るOLEDパネルの断面図である。
【0019】
本実施例において、素子基板20には無アルカリガラス基板を用いた。素子基板20の材料の具体的な例としては、透明又は半透明の石英ガラス、アルカリガラス及び無アルカリガラス等の透明ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリエート、ポリプロピレン、ポリエチレン、非晶質ポリオレフィン及びフッ素系樹脂等の透明樹脂からなる高分子フィルム、ならびに透明セラミックスが挙げられる。屈折率が1.6〜1.9程度の高屈折率ガラス基板、プラスチック基板等を用いてもよい。
【0020】
素子基板20の上に、膜厚110nmのインジウムスズ酸化物(ITO)層21(第1の電極)を成膜し、さらに膜厚50nmのモリブデン(Mo)、膜厚600nmのアルミニウム(Al)及び膜厚50nmのMoを積層成膜した(Mo/Al/Mo層28)。ここで、ITO層21の膜厚はその抵抗値、平坦性、及び光取り出しの設計等から決定されるもので、素子設計によって異なる。また、Mo/Al/Mo層28の各層の膜厚も同様に素子設計によって異なる。ここでは層28としてMo/Al/Moを用いたが、Mo:Nb/Al:Nd/Mo:Nbなどの合金を用いてもよい。すなわち、モリブデンに代えてモリブデンとニオブの合金を用い、アルミニウムに代えてアルミニウムとネオジムの合金を用いてもよい。あるいは、モリブデン、アルミニウム及びモリブデンの層28に代えて、チタン、アルミニウム及びチタンの層(Ti/Al/Ti)としてもよい。層28は必ずしも積層膜でなくてもよい。
【0021】
素子基板20とITO層21の間にシリコン窒化酸化膜(SiN)などのバリア層や、散乱、屈折、回折などにより光取り出し効率を向上させる層を形成してもよい。さらに、ITO層21とMo/Al/Mo層28の積層順は逆であってもよい。
【0022】
Mo/Al/Mo層28及びITO層21はフォトリソグラフィー法を用いてパターニングした。続いて、ノボラック系ポジ型レジストで絶縁層22を形成した。ここで用いる絶縁層材料は水分の吸着が少なく、酸素プラズマ処理などの有機EL蒸着の前処理に対する耐性が強い方が望ましく、他のレジストや、ポリイミド、アクリルなどであってもよい。
【0023】
UVオゾン洗浄後、有機層23を形成し、続いて膜厚150nmのAl陰極24(第2の電極)を真空蒸着した。ここで、蒸着前に真空中や、窒素雰囲気のグローブボックス中でアニールして絶縁層22が吸着している水分を蒸発させてもよい。さらに、蒸着前に酸素プラズマ処理やアルゴンプラズマ処理を行ってもよい。なお、酸素プラズマ処理やアルゴンプラズマ処理を行う場合、UVオゾン洗浄処理は省略してもよい。
【0024】
図4は、図3のOLEDパネルにおけるA−A’方向の断面図であって、有機層23の詳細を示している。有機層23は、電子輸送層32、励起子ブロック層33、発光層34、正孔輸送層35、正孔注入層36、などの複数の層を有しており、要求仕様に従って設計される。発光層34は、燐光発光材料や蛍光発光材料を含む。また、電子注入層(LiF)は、Al陰極24に含まれるように示されている。各層の形成方法は真空蒸着法に限らず、インクジェット法や、スリットコーティング法、メニスカス塗布法、グラビア印刷法などの塗布法を用いてもよい。
【0025】
Al陰極24の蒸着後、大気暴露しないように窒素雰囲気のグローブボックスへ搬送し、ザグリを入れたガラス26と貼り合せて封止した。シール材27には紫外線硬化樹脂を用いた。封止方法は他の方法でもよく、例えばSiN膜などを用いる膜封止や、フリット封止などでもよい。
【0026】
なお、図3において、25は乾燥材(ゲッター)、30は補助配線を示している。31は、本実施例1−1に係るOLEDパネルの発光エリアである。
【0027】
図示していないが、光取り出し効率を高めるために、素子基板20の有機層23を設けた面とは逆側の面にマイクロレンズシート(オプトメイト社製φ30μmのマイクロレンズアレイ)を貼付した。光取り出しシートとしては、散乱を使ったものなどでもよい。また、光取り出しシートを貼付する代わりにガラス基板を直接加工してもよい。
【0028】
図3に示される第1及び第2の電極のパッド部28,29にハーネスを半田付けし、本実施例のOLEDパネルを図1に示した駆動回路と接続した。なお、フレキシブルプリント基板(FPC)を用いてOLEDパネルと駆動回路とを接続してもよい。
【0029】
<実施例1−2>
図5は、実施例1−2に係るOLEDパネルを示す外観図である。同図に示すように、OLEDパネル40は、複数の有機電界発光素子を直列に接続して一のOLEDパネルとしたものである。この実施例1−2では、4つの有機電界発光素子401〜404を直列に接続した。図6は、本実施例に係るOLEDパネル40のB−B’方向の断面図である。複数の発光部41〜44(セグメント1〜4)は、有機電界発光素子401〜404に対応する。図1に示したOLED10として、本実施例1−2に係るOLED40を適用し、駆動回路において同OLED40を流れる電流を監視し、下限電流以下となったら駆動回路をOFFにし、OLED40の駆動を停止する構成としてもよい。
【0030】
発明者らは、OLEDを低電流で駆動する場合に、リーク不良が発生することを見出した。以下、OLED10を低電流で駆動することによるリーク不良の問題について説明する。
【0031】
図7は、低電流駆動によるOLED劣化の想定モデルを説明するための図である。図7(a)に示すように、有機層23は第1の電極(のパッド部)21及び第2の電極(のパッド部)24に挟まれている。上述したように、第1の電極及び第2の電極は一対の電極であり、一方が陽極(アノード)であって他方が陰極(カソード)である。一般に、有機層23は数10〜数100nm程度の薄膜である。図7(b)に示すように、塵や埃等の異物50が有機層23に付着すると、異物50は例えば矢印で示すようなリーク電流の要因となる。すなわち、有機層23は薄膜であることから、第1の電極28と第2の電極29の間が異物50によって容易に導通してしまい、短絡(ショート)不良が発生しやすい。OLEDの面積がより拡大すると(大面積素子化)、製造過程等において異物の混入確率が上がってしまう。このことは、異物によってリーク電流が発生する「リークスポット」の数の増加を引き起こす。
【0032】
ここで本実施形態では、低電流駆動によるOLEDの劣化を次のように想定する。すなわち、低電流(低電圧)領域において発光時に必要な電流と同オーダーのリーク電流パスが存在すると、有機電界発光素子に電圧が印加されず、リーク電流のみが流れる。一方、一定以上の電流(電圧)によってOLEDが駆動されれば、リーク電流パスが焼き切れるか、なんらかの理由で素子全体に電圧がかかり、リーク現象が消えて発光が始まる。
【0033】
低電流駆動時にリーク電流のみが流れる場合、その原因となる異物等の箇所が発熱し、これにより素子が破壊される可能性がある。
【0034】
図8は、素子破壊について説明するための図である。同図は、パネル全体の抵抗値の時間的変化をグラフによって示したものである。パネル全体の抵抗は、正常時の抵抗及び/又は不良箇所の抵抗から構成される。同図に示す(1)の時点で不良が発生したとする。これまで、パネルは全面でほぼ均一に発光していたところ、不良が発生すると、その箇所には比較的輝度の高い輝点が観察される。その後、(1)の時点までの正常時の抵抗は、電流上昇から温度上昇の正のフィードバックにより短絡に至る抵抗に変化し始める。そして(2)の時点から(3)までの短時間で不良箇所が短絡し、素子破壊に至って抵抗値が大幅に下がり、パネルは発光しなくなる。
【0035】
本実施形態では、上述のように低電流駆動時のOLEDの劣化モデルを想定している。本願の発明者らによる具体的な試験結果(後述する)によると、30mA以下の低電流で有機電界発光素子を駆動するとリーク現象が発生しやすいという現象が見出された。リーク要因が上述したように有機層に付着した異物等によるものであるとすると、このような現象は、OLEDパネルの製造過程においてそのような異物等を完全に除去することができれば回避可能であるかもしれない。しかしながら、空気清浄度がそれほど高くないようなクリーンルーム等の低コスト設備によって例えば大型のOLEDパネルを製造するような場合には、異物等を完全に除去することが困難となり得る。
【0036】
このような素子破壊を防止するための対策として、一定以上の電流(電圧)によってOLEDを駆動する。図1に示した構成において、OLED10の駆動電流は駆動回路において監視され、下限電流すなわち30mAを下回ったら、OLED10の駆動は停止される。これにより素子破壊を未然に防止することができる。上述したように、図1のように電源として乾電池を想定する場合、定電流回路を構成する駆動回路が乾電池により駆動され、OLED10は該駆動回路により駆動される。乾電池の出力電圧Vccが低下すると、駆動回路は定電流を維持することができなくなり、駆動電流が徐々に低下する。このまま乾電池を交換することなく発光装置10の使用を継続すると、OLED10が30mAより低い電流で駆動されることになり、リーク不良が発生し得る。ところが本実施形態では、駆動電流が下限電流すなわち30mAを下回ったら、OLED10の駆動が強制的に停止される。なお、下限電流としては、厳密に30mAに一致する必要はなく、所定の範囲を持たせて経験的に定めてもよい。すなわち、下限電流は、0mAより大きく30mA以下の値に適宜定めてもよい。
【0037】
ここで、OLEDを一定電圧(電流)以上で駆動することの意義を素子特性の測定結果に基づいて説明する。
正常素子と不良素子の電流―電圧特性、及び電流―輝度特性を図9に示す。図9のグラフにおいて、曲線Dは不良素子のものであり、曲線Nは正常素子のものである。図9(a)に示すように−5Vから+10Vまで電圧を掃引した場合、不良素子では数百mA/cm2程度の大きなリーク電流が流れてしまっている。しかし、参照符号C1に示すように+8V辺りでリーク電流が減少し、正常素子とほぼ同等の電流、及び輝度(図9(c)参照)を示すように変化している。
【0038】
一方、図9(b)に示すように+10Vから−5Vまで電圧を掃引した場合、正常素子とほぼ同等の電流、輝度を示していたものが、参照符号C2で示すように+4V辺りで数百mA/cm2程度の大きなリーク電流が流れる不良素子特性に戻っている。図9(d)から分かるようにこの時点で輝度は大幅に低下を始めている。このような挙動はクリーン度の低いクリーンルームで有機EL素子を作製した場合に散見される現象である。一般的な電子デバイスの場合、高電圧の場合の方がリーク等の不良は発生しやすい。しかし、クリーン度の低いクリーンルームで作製した有機EL素子では低電圧の方がリーク不良を発生しており、同じ素子でも高電圧になると正常素子と同等の特性を示していることから、有機ELに特徴的な特性である。有機EL素子の電流電圧特性は非線形であり、発光しない低電圧では抵抗が非常に高い。ここで、異物やゴミを起因としたリーク箇所がある場合、リーク箇所以外の抵抗が高いためリーク箇所に電流が集中することになる。一方、有機EL素子の抵抗は発光と共に低下し、高輝度発光時には非常に小さくなる。この時、リーク箇所に比べて、リーク箇所以外の抵抗が低くなり、素子全体に電流が流れ正常素子と同等の特性を示すと考えられる。
【0039】
発光しない程度から、低輝度で発光する程度の低電圧で駆動し続ける場合、リーク箇所に電流が流れ続けることになる。そうすると、ジュール熱によりリーク箇所の温度が上昇し、周辺の有機層などを変質させ、不可逆なリーク箇所に変化してしまう。有機EL素子は大きな面積を持つ素子であり、特に照明用途では数センチ角〜数十センチ角程度の大面積素子である。そのような大面積の素子に一つでも前記のようなリーク箇所があると不良品となり、歩留まりを著しく低下させる。また、原因となる異物やゴミを低減させるべくクリーンルームのクリーン度を高めるなどの対策をとる場合、製造コストが高くなってしまう。
【0040】
これに対し本実施形態によれば、前記のような発光しない程度から、低輝度で発光する程度の低電圧で素子を駆動することをできるだけ避け、正常に動作する領域で使用することができる。したがって、多少の異物やゴミがある状態の素子でも良品として使用できるようになり、製造コストを低く抑えたままリーク不良を低減し、歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、OLEDの駆動電流に下限を定めて駆動を強制停止することのほか、駆動電流の立ち上がり(及び/又は立ち下がり)の速さにも着目する。すなわち、駆動回路によりOLEDを駆動するための駆動電流が一定電流値(本実施形態では30mA以上)まで立ち上がるのに要する時間を遅くとも2ミリ秒以内とすることが好ましい。同様に、消灯により同駆動電流が一定電流値(本実施形態では30mA以上)からゼロに立ち下がるのに要する時間を遅くとも2ミリ秒以内とすることが好ましい。このような構成とすれば、OLEDが低い電流で駆動されることによるリークの発生を抑え、素子破壊を防止することができる。なお、立ち上がり/立ち下り時間は、厳密に2ミリ秒である必要はなく、一定の幅をもってもよい。選定する部品コスト等の兼ね合いにもよるが、ほぼ2ミリ秒程度で動作するように高速に動作するよう駆動回路を構成することが好ましい。図1に示した本実施形態の構成において、トランジスタQ1−Q3及びオペアンプAMP1−2は、2ミリ秒以内で立ち上がり/立ち下がるように構成される。立ち上がり時間または立ち下り時間を2ミリ秒以内とすることにより、リーク電流による不良の発生を抑止することができる。
【0042】
なお、従来の照明装置では、むしろ比較的時間かけて立ち上がる/立ち下がるようにするのが一般的である。すなわち、照明が一定時間をかけて緩やかに灯る、あるいは緩やかに消灯する方が好ましいとされている。また、製品コストとの兼ね合いから、照明装置においては駆動回路等に関してできるだけ低コストの部品が選定される。この場合、定電流回路の立ち上がり時間(立ち下り時間)は、一般的に長くなる。
【0043】
以下、実施例1−2に示した直列接続素子による150mm径の半透過パネルを用い、点灯駆動の試験を行った結果を示す。試験時間を10分とし、ON(1秒)−OFF(1秒)の点灯駆動を行った。輝度は、BM−7の視野角2.0で測定した。駆動電流[mA]を変更した場合の輝度[cd/m2]、実輝度[cd/m]、合否を以下の表に示す。なお、駆動電流の立ち上がり時間は2ミリ秒とした。駆動電流が5.8mA、22.6mAという低駆動電流の場合にリーク電流が発生した(合が丸印、否が×印)。
【表1】
【0044】
図10に、リーク発生箇所を光学顕微鏡によって観察した結果を示す。同図(a)(b)に示されるように、有機膜の破壊が観察された。これは、リーク電流の発生による電流集中によって素子部が加熱されたことによるものと考えられる。
【0045】
図11に、第1の実施形態に係る発光装置の外観図を示す。図11(a)は本発光装置の表面図、同図(b)は裏面図、同図(c)は側面図である。同図において、101は発光領域、102は電源スイッチ、103はスタンド、104はねじ孔、105は電池収納部である。スタンド103は、ねじ孔104に差し込んで筐体を支持可能である。
【0046】
(第2の実施形態)
有機電界発光素子の用途の例として、上述した発光装置のほかに、表示装置が挙げられる。図12は、第2の実施形態に係る表示装置を示す回路図である。
図12に示す表示装置80は、横方向の制御線(CL)と縦方向の信号線(DL)がマトリックス状に配置された回路の中に、それぞれ画素81を配置した構成をとる。画素81には、有機電界発光素子85及び有機電界発光素子85に接続された薄膜トランジスタ(TFT)86が含まれる。TFT86の一方の端子は制御線に接続され、他方の端子は信号線に接続される。信号線は、信号線駆動回路82に接続されている。また、制御線は、制御線駆動回路83に接続されている。信号線駆動回路82及び制御線駆動回路83は、コントローラ84により制御される。
【0047】
有機電界発光素子85を駆動する駆動電流を信号線駆動回路82、制御線駆動回路83及び/又はコントローラ84により監視し、一定電流(例えば第1の実施形態のように30mA)を下回った際に有機電界発光素子85の駆動を停止する。
【0048】
表示装置を駆動するバッテリーの電圧低下に伴い表示装置80が低電流駆動されることによるリーク不良の発生を防止することができる。なお、第1の実施形態と同様に、本実施形態においても、駆動電流の立ち上がり/立ち下り時間を2ミリ秒以内とすることが好ましい。
【0049】
以上説明した実施形態又は実施例によれば、リーク電流による不良の発生を抑止することができ、これにより装置寿命が損なわれることのない発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法を提供することができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…発光装置、Q1−Q3…トランジスタ、AMP1,AMP2…オペアンプ、R1−R5…抵抗器、10…有機発光ダイオード(OLED)。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置や平面光源などを含む発光装置や、表示装置の用途に有機電界発光素子(以下、有機EL素子、OLEDとも称する)が注目されている。有機電界発光素子は、有機材料からなる発光層を陰極と陽極の一対の電極で挟んだ構成を有する。素子に電圧を印加すると、陰極より電子が、陽極より正孔が発光層へ注入され、発光層において電子と正孔が再結合して励起子を生成し、この励起子が放射失活する際に発光が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−272271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機電界発光素子の製造過程等において素子パネルに埃等の異物が付着することがある。この場合、素子パネルに付着した異物がリーク電流の発生原因となり、不良の発生、ひいては素子破壊につながることが懸念される。したがって、リーク電流による不良の発生を抑止し、そのような不良によって装置寿命が損なわれることのない発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、実施形態によれば、第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電流を供給することにより前記有機電界発光素子を駆動する駆動回路と、前記駆動電流の値が所定値を下回ったら前記有機電界発光素子の駆動を停止する駆動停止手段と、を具備する発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る発光装置の回路図である。
【図2】図2は、実施例1−1に係るOLEDパネルを示す外観図である。
【図3】図3は、実施例1−1に係るOLEDパネルの断面図である。
【図4】図4は、実施例1−1に係るOLEDパネルにおけるA−A’方向の断面図である。
【図5】図5は、実施例1−2に係るOLEDパネルを示す外観図である。
【図6】図6は、実施例1−2に係るOLEDパネル40のB−B’方向の断面図である。
【図7】図7は、低電流駆動によるOLED劣化の想定モデルを説明するための図である。
【図8】図8は、素子破壊について説明するための図である。
【図9】図9は、正常素子と不良素子の電流―電圧特性、及び電流―輝度特性を示すグラフである。
【図10】図10は、光学顕微鏡によるリーク発生箇所の観察結果を示す図である。
【図11】図11は、第1の実施形態に係る発光装置の外観図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光装置の回路図である。
発光装置1は、有機発光ダイオード(Organic light−emitting diode:OLED)10と、OLED10を駆動する駆動回路と、該駆動回路を駆動する回路電源(Vcc)とを備える。回路電源(Vcc)は、例えば乾電池等のバッテリーを想定する。
【0009】
図1に示す駆動回路は、定電流回路を構成している。特に本実施形態において、OLED10を駆動する駆動回路は、OLED10を駆動する電流(駆動電流)を監視し、該駆動電流の値が所定値を下回ったら駆動を強制的に停止するように構成される。
【0010】
具体的には、回路電源(Vcc)の正端子にはトランジスタQ1のエミッタ端子が接続される。トランジスタQ1のコレクタ端子はOLED10の陽極(アノード)が接続される。OLED10の陰極(カソード)はトランジスタQ2のコレクタ端子に接続される。トランジスタQ2のエミッタ端子は抵抗器R1に接続される。抵抗器R1の他端は回路電源(Vcc)の負端子に接続される。トランジスタQ2のベース端子にはオペアンプ(差動増幅器)AMP1の出力端子が接続される。オペアンプAMP1の非反転入力端子は抵抗器R2及びR3に接続される。オペアンプAMP1の反転入力端子はオペアンプAMP2の非反転入力端子に接続される。オペアンプAMP2の反転入力端子には抵抗器R4及びR5が接続される。オペアンプAMP2の出力端子は、トランジスタQ3のベース端子に接続される。トランジスタQ3のエミッタ端子は、抵抗器を介してトランジスタQ1のベース端子に接続される。図1に示される駆動回路において、OLED10の駆動を停止する手段は、少なくとも、トランジスタQ1、トランジスタQ3、及びオペアンプAMP2を含む。
【0011】
通常点灯時には、オペアンプAMP2の非反転入力端子に入力される基準電圧Vref2とOLED10に流れる電流を検出する抵抗器R1の電圧とが等しくなるようにオペアンプAMP1が動作し、トランジスタQ2の出力電流が一定に制御される。これは、定電流回路としての通常の動作であり、OLED10の端子間に駆動電流が供給される。
【0012】
回路電源は例えば乾電池等のバッテリーを想定しており、その放電によって電源電圧Vccが次第に低下する。電源電圧Vccの低下に伴い、トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間電圧VCEも徐々に低下する。最終的には、トランジスタQ2は飽和領域に侵入し、完全にONの状態となる。この時点から、当該駆動回路は電圧変動等に対する電流制御機能を失う。
【0013】
電源電圧Vccがさらに低下すると、OLED10を流れる電流も低下をはじめ、その出力電流を検出するための抵抗器R1の電圧が低下する。オペアンプAMP2は抵抗器R1の電圧を監視することによって電流を監視している。すなわち、オペアンプAMP2の非反転入力端子の電圧は抵抗器R1の電圧に等しく、オペアンプAMP2の反転入力端子の電圧は設定基準電圧Vref1に等しい。また、設定基準電圧Vref1は所定の下限電流に応じてあらかじめ設定される。この下限電流は、OLED10に流れてもよい電流の下限値、すなわち駆動電流の下限値に相当する。駆動電流の下限値を設定することについては後に詳しく説明する。
【0014】
オペアンプAMP2は、非反転入力端子と反転入力端子の電位差に応じてHigh又はLow信号(ON/OFF信号)を出力する。抵抗器R1の電圧が設定基準電圧Vref1を下回った時点でオペアンプAMP2はLow信号を出力する。これによりトランジスタQ3がOFFし、さらにトランジスタQ1がOFFする。したがって、駆動回路全体がOFFし、OLED10の駆動が停止される。
【0015】
図1に示した構成はあくまで一例であって、当業者にとって自明な範囲において種々変形することが可能である。例えば、上記構成は、駆動電流の値が所定値を下回ったら駆動を強制的に停止する機能を駆動回路の内部に設けたものであるが、同機能を駆動回路の外部に設けてもよい。また、駆動回路の基本的な構成として定電流回路としたが、OLED10を定電圧駆動する構成としてもよい。すなわち、OLED10を駆動する駆動回路として定電圧回路を用い、OLED10を流れる電流を監視して所定電流以下となったら回路を強制停止する機能を設けてもよい。また、乾電池等のバッテリーから交流電源に切り替えて発光装置1を駆動可能な構成としてもよい。
【0016】
OLED10の実施例を説明する。以下の実施例1−1は、OLED10を単一の有機電界発光素子によるOLEDパネルとしたものであり、実施例1−2は、OLED10を複数の有機電界発光素子が直列に接続されたOLEDパネルとしたものである。
【0017】
<実施例1−1>
図2は、実施例1−1に係るOLEDパネルを示す外観図である。発光エリア2の端部には、OLED10を駆動するための第1の電極のパッド部28及び第2の電極のパッド部29が設けられる。第1の電極及び第2の電極は一対の電極であり、一方が陽極(アノード)であって他方が陰極(カソード)である。ここでは、第1の電極が陽極であり、第2の電極が陰極であるものとして説明するが、これらは逆であってもよい。素子基板20は、封止基板26を含む他の部材を支持するためのものであるため、その上に形成される層を保持できる程度の強度を有することが好ましい。素子基板20の形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、用途、目的等に応じて適宜選択することができる。基板20の厚さは、その他の部材を支持するために十分な強度があれば、特に限定されない。
【0018】
図3は、実施例1−1に係るOLEDパネルの断面図である。
【0019】
本実施例において、素子基板20には無アルカリガラス基板を用いた。素子基板20の材料の具体的な例としては、透明又は半透明の石英ガラス、アルカリガラス及び無アルカリガラス等の透明ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリエート、ポリプロピレン、ポリエチレン、非晶質ポリオレフィン及びフッ素系樹脂等の透明樹脂からなる高分子フィルム、ならびに透明セラミックスが挙げられる。屈折率が1.6〜1.9程度の高屈折率ガラス基板、プラスチック基板等を用いてもよい。
【0020】
素子基板20の上に、膜厚110nmのインジウムスズ酸化物(ITO)層21(第1の電極)を成膜し、さらに膜厚50nmのモリブデン(Mo)、膜厚600nmのアルミニウム(Al)及び膜厚50nmのMoを積層成膜した(Mo/Al/Mo層28)。ここで、ITO層21の膜厚はその抵抗値、平坦性、及び光取り出しの設計等から決定されるもので、素子設計によって異なる。また、Mo/Al/Mo層28の各層の膜厚も同様に素子設計によって異なる。ここでは層28としてMo/Al/Moを用いたが、Mo:Nb/Al:Nd/Mo:Nbなどの合金を用いてもよい。すなわち、モリブデンに代えてモリブデンとニオブの合金を用い、アルミニウムに代えてアルミニウムとネオジムの合金を用いてもよい。あるいは、モリブデン、アルミニウム及びモリブデンの層28に代えて、チタン、アルミニウム及びチタンの層(Ti/Al/Ti)としてもよい。層28は必ずしも積層膜でなくてもよい。
【0021】
素子基板20とITO層21の間にシリコン窒化酸化膜(SiN)などのバリア層や、散乱、屈折、回折などにより光取り出し効率を向上させる層を形成してもよい。さらに、ITO層21とMo/Al/Mo層28の積層順は逆であってもよい。
【0022】
Mo/Al/Mo層28及びITO層21はフォトリソグラフィー法を用いてパターニングした。続いて、ノボラック系ポジ型レジストで絶縁層22を形成した。ここで用いる絶縁層材料は水分の吸着が少なく、酸素プラズマ処理などの有機EL蒸着の前処理に対する耐性が強い方が望ましく、他のレジストや、ポリイミド、アクリルなどであってもよい。
【0023】
UVオゾン洗浄後、有機層23を形成し、続いて膜厚150nmのAl陰極24(第2の電極)を真空蒸着した。ここで、蒸着前に真空中や、窒素雰囲気のグローブボックス中でアニールして絶縁層22が吸着している水分を蒸発させてもよい。さらに、蒸着前に酸素プラズマ処理やアルゴンプラズマ処理を行ってもよい。なお、酸素プラズマ処理やアルゴンプラズマ処理を行う場合、UVオゾン洗浄処理は省略してもよい。
【0024】
図4は、図3のOLEDパネルにおけるA−A’方向の断面図であって、有機層23の詳細を示している。有機層23は、電子輸送層32、励起子ブロック層33、発光層34、正孔輸送層35、正孔注入層36、などの複数の層を有しており、要求仕様に従って設計される。発光層34は、燐光発光材料や蛍光発光材料を含む。また、電子注入層(LiF)は、Al陰極24に含まれるように示されている。各層の形成方法は真空蒸着法に限らず、インクジェット法や、スリットコーティング法、メニスカス塗布法、グラビア印刷法などの塗布法を用いてもよい。
【0025】
Al陰極24の蒸着後、大気暴露しないように窒素雰囲気のグローブボックスへ搬送し、ザグリを入れたガラス26と貼り合せて封止した。シール材27には紫外線硬化樹脂を用いた。封止方法は他の方法でもよく、例えばSiN膜などを用いる膜封止や、フリット封止などでもよい。
【0026】
なお、図3において、25は乾燥材(ゲッター)、30は補助配線を示している。31は、本実施例1−1に係るOLEDパネルの発光エリアである。
【0027】
図示していないが、光取り出し効率を高めるために、素子基板20の有機層23を設けた面とは逆側の面にマイクロレンズシート(オプトメイト社製φ30μmのマイクロレンズアレイ)を貼付した。光取り出しシートとしては、散乱を使ったものなどでもよい。また、光取り出しシートを貼付する代わりにガラス基板を直接加工してもよい。
【0028】
図3に示される第1及び第2の電極のパッド部28,29にハーネスを半田付けし、本実施例のOLEDパネルを図1に示した駆動回路と接続した。なお、フレキシブルプリント基板(FPC)を用いてOLEDパネルと駆動回路とを接続してもよい。
【0029】
<実施例1−2>
図5は、実施例1−2に係るOLEDパネルを示す外観図である。同図に示すように、OLEDパネル40は、複数の有機電界発光素子を直列に接続して一のOLEDパネルとしたものである。この実施例1−2では、4つの有機電界発光素子401〜404を直列に接続した。図6は、本実施例に係るOLEDパネル40のB−B’方向の断面図である。複数の発光部41〜44(セグメント1〜4)は、有機電界発光素子401〜404に対応する。図1に示したOLED10として、本実施例1−2に係るOLED40を適用し、駆動回路において同OLED40を流れる電流を監視し、下限電流以下となったら駆動回路をOFFにし、OLED40の駆動を停止する構成としてもよい。
【0030】
発明者らは、OLEDを低電流で駆動する場合に、リーク不良が発生することを見出した。以下、OLED10を低電流で駆動することによるリーク不良の問題について説明する。
【0031】
図7は、低電流駆動によるOLED劣化の想定モデルを説明するための図である。図7(a)に示すように、有機層23は第1の電極(のパッド部)21及び第2の電極(のパッド部)24に挟まれている。上述したように、第1の電極及び第2の電極は一対の電極であり、一方が陽極(アノード)であって他方が陰極(カソード)である。一般に、有機層23は数10〜数100nm程度の薄膜である。図7(b)に示すように、塵や埃等の異物50が有機層23に付着すると、異物50は例えば矢印で示すようなリーク電流の要因となる。すなわち、有機層23は薄膜であることから、第1の電極28と第2の電極29の間が異物50によって容易に導通してしまい、短絡(ショート)不良が発生しやすい。OLEDの面積がより拡大すると(大面積素子化)、製造過程等において異物の混入確率が上がってしまう。このことは、異物によってリーク電流が発生する「リークスポット」の数の増加を引き起こす。
【0032】
ここで本実施形態では、低電流駆動によるOLEDの劣化を次のように想定する。すなわち、低電流(低電圧)領域において発光時に必要な電流と同オーダーのリーク電流パスが存在すると、有機電界発光素子に電圧が印加されず、リーク電流のみが流れる。一方、一定以上の電流(電圧)によってOLEDが駆動されれば、リーク電流パスが焼き切れるか、なんらかの理由で素子全体に電圧がかかり、リーク現象が消えて発光が始まる。
【0033】
低電流駆動時にリーク電流のみが流れる場合、その原因となる異物等の箇所が発熱し、これにより素子が破壊される可能性がある。
【0034】
図8は、素子破壊について説明するための図である。同図は、パネル全体の抵抗値の時間的変化をグラフによって示したものである。パネル全体の抵抗は、正常時の抵抗及び/又は不良箇所の抵抗から構成される。同図に示す(1)の時点で不良が発生したとする。これまで、パネルは全面でほぼ均一に発光していたところ、不良が発生すると、その箇所には比較的輝度の高い輝点が観察される。その後、(1)の時点までの正常時の抵抗は、電流上昇から温度上昇の正のフィードバックにより短絡に至る抵抗に変化し始める。そして(2)の時点から(3)までの短時間で不良箇所が短絡し、素子破壊に至って抵抗値が大幅に下がり、パネルは発光しなくなる。
【0035】
本実施形態では、上述のように低電流駆動時のOLEDの劣化モデルを想定している。本願の発明者らによる具体的な試験結果(後述する)によると、30mA以下の低電流で有機電界発光素子を駆動するとリーク現象が発生しやすいという現象が見出された。リーク要因が上述したように有機層に付着した異物等によるものであるとすると、このような現象は、OLEDパネルの製造過程においてそのような異物等を完全に除去することができれば回避可能であるかもしれない。しかしながら、空気清浄度がそれほど高くないようなクリーンルーム等の低コスト設備によって例えば大型のOLEDパネルを製造するような場合には、異物等を完全に除去することが困難となり得る。
【0036】
このような素子破壊を防止するための対策として、一定以上の電流(電圧)によってOLEDを駆動する。図1に示した構成において、OLED10の駆動電流は駆動回路において監視され、下限電流すなわち30mAを下回ったら、OLED10の駆動は停止される。これにより素子破壊を未然に防止することができる。上述したように、図1のように電源として乾電池を想定する場合、定電流回路を構成する駆動回路が乾電池により駆動され、OLED10は該駆動回路により駆動される。乾電池の出力電圧Vccが低下すると、駆動回路は定電流を維持することができなくなり、駆動電流が徐々に低下する。このまま乾電池を交換することなく発光装置10の使用を継続すると、OLED10が30mAより低い電流で駆動されることになり、リーク不良が発生し得る。ところが本実施形態では、駆動電流が下限電流すなわち30mAを下回ったら、OLED10の駆動が強制的に停止される。なお、下限電流としては、厳密に30mAに一致する必要はなく、所定の範囲を持たせて経験的に定めてもよい。すなわち、下限電流は、0mAより大きく30mA以下の値に適宜定めてもよい。
【0037】
ここで、OLEDを一定電圧(電流)以上で駆動することの意義を素子特性の測定結果に基づいて説明する。
正常素子と不良素子の電流―電圧特性、及び電流―輝度特性を図9に示す。図9のグラフにおいて、曲線Dは不良素子のものであり、曲線Nは正常素子のものである。図9(a)に示すように−5Vから+10Vまで電圧を掃引した場合、不良素子では数百mA/cm2程度の大きなリーク電流が流れてしまっている。しかし、参照符号C1に示すように+8V辺りでリーク電流が減少し、正常素子とほぼ同等の電流、及び輝度(図9(c)参照)を示すように変化している。
【0038】
一方、図9(b)に示すように+10Vから−5Vまで電圧を掃引した場合、正常素子とほぼ同等の電流、輝度を示していたものが、参照符号C2で示すように+4V辺りで数百mA/cm2程度の大きなリーク電流が流れる不良素子特性に戻っている。図9(d)から分かるようにこの時点で輝度は大幅に低下を始めている。このような挙動はクリーン度の低いクリーンルームで有機EL素子を作製した場合に散見される現象である。一般的な電子デバイスの場合、高電圧の場合の方がリーク等の不良は発生しやすい。しかし、クリーン度の低いクリーンルームで作製した有機EL素子では低電圧の方がリーク不良を発生しており、同じ素子でも高電圧になると正常素子と同等の特性を示していることから、有機ELに特徴的な特性である。有機EL素子の電流電圧特性は非線形であり、発光しない低電圧では抵抗が非常に高い。ここで、異物やゴミを起因としたリーク箇所がある場合、リーク箇所以外の抵抗が高いためリーク箇所に電流が集中することになる。一方、有機EL素子の抵抗は発光と共に低下し、高輝度発光時には非常に小さくなる。この時、リーク箇所に比べて、リーク箇所以外の抵抗が低くなり、素子全体に電流が流れ正常素子と同等の特性を示すと考えられる。
【0039】
発光しない程度から、低輝度で発光する程度の低電圧で駆動し続ける場合、リーク箇所に電流が流れ続けることになる。そうすると、ジュール熱によりリーク箇所の温度が上昇し、周辺の有機層などを変質させ、不可逆なリーク箇所に変化してしまう。有機EL素子は大きな面積を持つ素子であり、特に照明用途では数センチ角〜数十センチ角程度の大面積素子である。そのような大面積の素子に一つでも前記のようなリーク箇所があると不良品となり、歩留まりを著しく低下させる。また、原因となる異物やゴミを低減させるべくクリーンルームのクリーン度を高めるなどの対策をとる場合、製造コストが高くなってしまう。
【0040】
これに対し本実施形態によれば、前記のような発光しない程度から、低輝度で発光する程度の低電圧で素子を駆動することをできるだけ避け、正常に動作する領域で使用することができる。したがって、多少の異物やゴミがある状態の素子でも良品として使用できるようになり、製造コストを低く抑えたままリーク不良を低減し、歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、OLEDの駆動電流に下限を定めて駆動を強制停止することのほか、駆動電流の立ち上がり(及び/又は立ち下がり)の速さにも着目する。すなわち、駆動回路によりOLEDを駆動するための駆動電流が一定電流値(本実施形態では30mA以上)まで立ち上がるのに要する時間を遅くとも2ミリ秒以内とすることが好ましい。同様に、消灯により同駆動電流が一定電流値(本実施形態では30mA以上)からゼロに立ち下がるのに要する時間を遅くとも2ミリ秒以内とすることが好ましい。このような構成とすれば、OLEDが低い電流で駆動されることによるリークの発生を抑え、素子破壊を防止することができる。なお、立ち上がり/立ち下り時間は、厳密に2ミリ秒である必要はなく、一定の幅をもってもよい。選定する部品コスト等の兼ね合いにもよるが、ほぼ2ミリ秒程度で動作するように高速に動作するよう駆動回路を構成することが好ましい。図1に示した本実施形態の構成において、トランジスタQ1−Q3及びオペアンプAMP1−2は、2ミリ秒以内で立ち上がり/立ち下がるように構成される。立ち上がり時間または立ち下り時間を2ミリ秒以内とすることにより、リーク電流による不良の発生を抑止することができる。
【0042】
なお、従来の照明装置では、むしろ比較的時間かけて立ち上がる/立ち下がるようにするのが一般的である。すなわち、照明が一定時間をかけて緩やかに灯る、あるいは緩やかに消灯する方が好ましいとされている。また、製品コストとの兼ね合いから、照明装置においては駆動回路等に関してできるだけ低コストの部品が選定される。この場合、定電流回路の立ち上がり時間(立ち下り時間)は、一般的に長くなる。
【0043】
以下、実施例1−2に示した直列接続素子による150mm径の半透過パネルを用い、点灯駆動の試験を行った結果を示す。試験時間を10分とし、ON(1秒)−OFF(1秒)の点灯駆動を行った。輝度は、BM−7の視野角2.0で測定した。駆動電流[mA]を変更した場合の輝度[cd/m2]、実輝度[cd/m]、合否を以下の表に示す。なお、駆動電流の立ち上がり時間は2ミリ秒とした。駆動電流が5.8mA、22.6mAという低駆動電流の場合にリーク電流が発生した(合が丸印、否が×印)。
【表1】
【0044】
図10に、リーク発生箇所を光学顕微鏡によって観察した結果を示す。同図(a)(b)に示されるように、有機膜の破壊が観察された。これは、リーク電流の発生による電流集中によって素子部が加熱されたことによるものと考えられる。
【0045】
図11に、第1の実施形態に係る発光装置の外観図を示す。図11(a)は本発光装置の表面図、同図(b)は裏面図、同図(c)は側面図である。同図において、101は発光領域、102は電源スイッチ、103はスタンド、104はねじ孔、105は電池収納部である。スタンド103は、ねじ孔104に差し込んで筐体を支持可能である。
【0046】
(第2の実施形態)
有機電界発光素子の用途の例として、上述した発光装置のほかに、表示装置が挙げられる。図12は、第2の実施形態に係る表示装置を示す回路図である。
図12に示す表示装置80は、横方向の制御線(CL)と縦方向の信号線(DL)がマトリックス状に配置された回路の中に、それぞれ画素81を配置した構成をとる。画素81には、有機電界発光素子85及び有機電界発光素子85に接続された薄膜トランジスタ(TFT)86が含まれる。TFT86の一方の端子は制御線に接続され、他方の端子は信号線に接続される。信号線は、信号線駆動回路82に接続されている。また、制御線は、制御線駆動回路83に接続されている。信号線駆動回路82及び制御線駆動回路83は、コントローラ84により制御される。
【0047】
有機電界発光素子85を駆動する駆動電流を信号線駆動回路82、制御線駆動回路83及び/又はコントローラ84により監視し、一定電流(例えば第1の実施形態のように30mA)を下回った際に有機電界発光素子85の駆動を停止する。
【0048】
表示装置を駆動するバッテリーの電圧低下に伴い表示装置80が低電流駆動されることによるリーク不良の発生を防止することができる。なお、第1の実施形態と同様に、本実施形態においても、駆動電流の立ち上がり/立ち下り時間を2ミリ秒以内とすることが好ましい。
【0049】
以上説明した実施形態又は実施例によれば、リーク電流による不良の発生を抑止することができ、これにより装置寿命が損なわれることのない発光装置、表示装置、及び有機電界発光素子の駆動方法を提供することができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…発光装置、Q1−Q3…トランジスタ、AMP1,AMP2…オペアンプ、R1−R5…抵抗器、10…有機発光ダイオード(OLED)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電流を供給することにより前記有機電界発光素子を駆動する駆動回路と、を具備し、
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間、及び、前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間のうち少なくとも一方が高速となるように駆動回路が前記駆動電流を制御することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記有機電界発光素子はリーク電流が発生しうるスポットを有し、
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間、及び、前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間の少なくとも一方が、前記スポットにリーク電流を発生させない程度に短いことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間、及び、前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間の少なくとも一方は、2ミリ秒以内であることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の発光装置を用いた表示装置。
【請求項5】
第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子の駆動方法であって、
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間が早くなるように前記駆動電流を供給するステップ
を具備することを特徴とする有機電界発光素子の駆動方法。
【請求項6】
第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子の駆動方法であって、
前記駆動電流を立ち上げて前記有機電界素子を発光させるステップと、
前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間が早くなるように前記駆動電流を供給するステップと、
を具備することを特徴とする有機電界発光素子の駆動方法。
【請求項1】
第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電流を供給することにより前記有機電界発光素子を駆動する駆動回路と、を具備し、
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間、及び、前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間のうち少なくとも一方が高速となるように駆動回路が前記駆動電流を制御することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記有機電界発光素子はリーク電流が発生しうるスポットを有し、
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間、及び、前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間の少なくとも一方が、前記スポットにリーク電流を発生させない程度に短いことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間、及び、前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間の少なくとも一方は、2ミリ秒以内であることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の発光装置を用いた表示装置。
【請求項5】
第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子の駆動方法であって、
前記駆動電流が立ち上がる際に、前記駆動電流が低い状態である前記有機電界発光素子が発光しない程度から低輝度で発光する程度を含む低電圧領域を通過するのに要する時間が早くなるように前記駆動電流を供給するステップ
を具備することを特徴とする有機電界発光素子の駆動方法。
【請求項6】
第1の電極と、前記第1の電極上に配置された発光層と、前記発光層上に配置された第2の電極とを具備する有機電界発光素子の駆動方法であって、
前記駆動電流を立ち上げて前記有機電界素子を発光させるステップと、
前記駆動電流が立ち下がる際に、前記低電圧領域を通過するのに要する時間が早くなるように前記駆動電流を供給するステップと、
を具備することを特徴とする有機電界発光素子の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−247774(P2012−247774A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104635(P2012−104635)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2011−119459(P2011−119459)の分割
【原出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2011−119459(P2011−119459)の分割
【原出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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