発光装置、電気光学装置、および電子機器
【課題】有機EL表示体を効率的に製造する。
【解決手段】薄膜トランジスタ11から構成される駆動回路が形成された駆動回路基板(100)と、透明電極層31、絶縁物からなるバンク層32、正孔注入層33、有機EL層34及び陰極層36が積層された発光基板(300)を張り合わせて、発光装置(1000)を製造する。
【解決手段】薄膜トランジスタ11から構成される駆動回路が形成された駆動回路基板(100)と、透明電極層31、絶縁物からなるバンク層32、正孔注入層33、有機EL層34及び陰極層36が積層された発光基板(300)を張り合わせて、発光装置(1000)を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:以下、「EL」と略記する。)ディスプレイ等に適する発光装置の構造及びその製造方法において、極めて光の利用効率の良い発光装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機ELを用いた表示体、特に薄膜トランジスタ(TFT)で構成した回路により、有機EL層を駆動する表示体が知られている。例えば、下田氏等の論文(T. Shimoda, H. Ohshima, S. Miyashita, M. Kimura, T. Ozawa, I. Yudasaka, S. Kanbe, H. Kobayashi, R. H. Friend, J. H. Burroughes and C. R. Towns: Proc. 18th Int. Display Research Conf., Asia Display 98, (1998) p. 217.)には、ガラス基板上に低温ポリシリコン(poly-Si)薄膜トランジスタ(TFT)を利用した駆動回路を画素毎に形成し、さらに、配線形成工程、透明電極形成工程、バンク層形成工程、正孔注入層形成工程、有機EL層形成工程、陰極形成工程等を順に経て有機EL表示体を形成することが開示されている。
【0003】
図16及び図17に、このような公知技術によって作成される表示体の構成を示す。図17は、公知技術によって作成される有機EL表示体の平面図であり、図16は、図17に示す平面図上のB−B切断面(屈曲断面)における断面図である。図16に示すように、ガラス基板1上に、薄膜トランジスタ2、配線層3、透明電極4、バンク層5、正孔注入層6、有機EL層7、及び陰極8が順次積層されている。
【0004】
ここで、陰極8は光を透過しない金属によって形成されているので、有機EL層7からの光は駆動回路が形成されているガラス基板1側から外に取り出される。即ち、有機EL層7に対して駆動回路側の面が表示面となる。このような表示体では、駆動回路が形成されている領域は光を透過しない為、開口率が低下してしまう。すなわち、図17に示すように、薄膜トランジスタ2その他の配線(キャパシタ2、配線3及び9)が形成されている領域を避けて有機EL層7を形成せざるを得なかった。画素領域内にメモリ等、色々な回路を内蔵し表示体の性能や付加価値を上げようとする要求がある場合、或いは高精細な表示体を実現しようとする場合に、光を透過しない回路部分の面積が相対的に大きくなるため、この開口率の低下は顕著な問題になる。
【0005】
この問題を解決するには、光を射出する側に駆動回路等が存在しない構造、すなわち、陰極に透明な電極材料を用いるか、陰極が駆動回路側にあるような構造にする必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T. Shimoda, H. Ohshima, S. Miyashita, M. Kimura, T. Ozawa, I. Yudasaka, S. Kanbe, H. Kobayashi, R. H. Friend, J. H. Burroughes and C. R. Towns: Proc. 18th Int. Display Research Conf., Asia Display 98, (1998) p. 217.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、陰極に透明な材料を用いるのは困難である。これは、電極材料は有機EL層に用いる有機EL材料に対し仕事関数を近いものを選ばなければならないという制限があるからである。例えば、陽極に用いる電極材料は有機EL材料のHOMOレベル、陰極に用いる電極材料は有機EL材料のLUMOレベルに対してそれぞれ仕事関数の近いものを選定する必要がある。ところが、陰極に用いるための、有機EL材料のLUMOレベルに近い透明な電極材料には、現在のところ適当なものがないのである。陰極の膜厚を極めて薄くすることも考えられるが、薄い電極層は耐久性や電流容量の点で欠点があり信頼性上好ましくない。
【0008】
一方、陰極を駆動回路側に設ける構造の場合、今までは、陰極形成後に有機EL層を形成し、その上に正孔注入層を形成する必要がある。このとき、有機EL層を正孔注入層より先に形成する必要があるため、有機EL層に膜厚の不均一性が生じ発光光量のむらが生じるおそれがある。また、陰極に用いる材料はカルシウムCa等酸化し易い材料であるため、陰極を密閉した構造としなければならない。この様な事情から、これまで有機EL層からの光を駆動回路に対して反対側に取り出すことは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような要求に基づいてなされたものであって、EL層に対し陰極層を駆動回路側に備える発光装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明に係る発光装置は、第1の基板(60)と、第1の基板上に配置されている第1の配線(61)と、前記第1の基板及び前記第1の配線の上に配置されている保護薄膜(62)と、前記保護薄膜上及び前記保護薄膜の一部を貫通させた貫通孔(63)の内部に形成され、前記第1の配線と電気的に接続されている第2の配線(64)と、前記保護薄膜上に配置されている第1の電極(65)と、前記第2の配線及び前記第1の電極と電気的に接続されている駆動回路(66)と、前記第1の電極と電気的に接続された第2の電極(76)と、前記第2の電極上に配置された、複数のバンク(72)間に配置された有機EL層(74)を含む発光層(75)と、前記有機EL層及び前記複数のバンク上に配置された第3の電極(71)と、前記第3の電極上に配置された第2の基板(70)と、を有することを特徴とする。
ここで、前記第2の電極の酸化を防止するための封止手段を有することは好ましい。
また本発明は、前記発光層は前記第1の基板または前記第2の基板の平面に略垂直方向から見て前記駆動回路の一部または全部と重なり合っていることを特徴とする。
ここで、封止手段は、少なくとも前記保護薄膜と前記第2の電極までの間に配置されている接着剤であることは好ましい。
ここで、前記封止手段は、少なくとも前記保護薄膜と前記第2の電極までの間の間隙に封入されている不活性気体であることは好ましい。
例えば、前記発光層は、少なくとも前記第1の電極側に形成されている正孔注入層と、前記正孔注入層の上に形成されている前記有機EL層と、を備える。
ここで第2の電極は、前記発光層から前記バンクの端部まで覆うように形成されていることは好ましい。
本発明は本発明の上記発光装置を備える電気光学装置でもある。
また本発明は本発明の上記発光装置を備える電子機器でもある。
本発明の発光装置の製造方法は、第1の基板上に第1の配線を形成する工程と、前記第1の基板及び前記第1の配線の上に保護薄膜を形成する工程と、前記保護薄膜の一部を前記第1の配線に達するところまで貫通させた貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の内部及び前記保護薄膜上に、前記第1の配線と電気的に接続するように第2の配線を形成する工程と、前記保護薄膜上に第1の電極を形成する工程と、前記第2の配線及び前記第1の電極と電気的に接続するように駆動回路を形成する工程と、第2の基板上に第2の電極を形成する工程と、前記第2の電極または前記第2の基板の上に複数のバンクを形成する工程と、前記複数のバンクで相互に分離された画素形成領域に有機EL層を含む発光層を形成する工程と、前記発光層上に第3の電極を形成する工程と、前記第2の電極上に形成されている複数のバンクと、前記複数のバンクで相互に分離された画素形成領域に形成されている有機EL層を含む発光層と、前記発光層上に形成されている第3の電極と、前記第1の基板と前記第2の基板とを張り合わせるようにして、前記第1の電極と前記第3の電極とを電気的に接続する工程と、を備えていることを特徴とする。
ここで、さらに前記第1の基板と前記第2の基板との間を封止する工程を備えていることは好ましい。
本発明は、前記発光層は、前記第1の基板または前記第2の基板の平面に略垂直方向から見て前記駆動回路の一部または全部と重なり合うように形成することを特徴とする。
ここで、前記封止工程では、少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板との間の一部に接着剤を封入することは好ましい。
ここで、前記封止工程では、少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板との間に不活性気体を封入することは好ましい。
例えば、前記発光層を形成する工程では、少なくとも前記第1の電極側に正孔注入層を形成する工程と、前記正孔注入層の上に前記有機EL層を形成する工程と、を備える。
ここで、前記第3の電極を形成する工程では、前記発光層から前記バンクの端部まで覆うように前記第3の電極を形成することは好ましい。
ここで、前記駆動回路を形成する工程では、第3の基板の上に剥離層を形成する工程と、前記剥離層の上に複数の前記駆動回路を形成する工程と、前記第3の基板と前記第1の基板とを、少なくとも複数の前記駆動回路の一部が前記第1の電極及び前記第2の配線と電気的に接続する位置にアライメントする工程と、位置合わせした少なくとも前記駆動回路の一部が形成されている剥離層にエネルギーを付与することにより、前記駆動回路を前記第1の電極及び前記第2の配線と電気的に接続する位置に転写する工程と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、第2の電極が駆動回路と電気的に接続されるので第2の電極が有機EL層に対し駆動回路側に存在する。また、第2の電極には酸化を防止する手段が設けられるので、第2の電極の損傷を防止できる。そして、第3の電極が光透過性を備えるので、発光層から射出された光は第3の電極を透過して射出される。発光効率が第2の電極の下層にある駆動回路の規模や配置に影響されないため、発光装置の開口率を高くすることが可能である。
ここで、本発明において「光透過性」とは、光をほぼ100%透過する透明な状態の他、ある程度光を減衰しても実用目的を満たす程度に光を透過し得るような状態をも含む。
また、「EL(エレクトロルミネッセンス)層」とは、その発光性物質が有機であるか無機(Zn:S等)であるかを問わず、電界の印加によって、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが再結合する際に再結合エネルギーにより発光させるエレクトロルミネッセンス現象を利用して発光する発光材料で形成された層一般をいう。また「発光層」の層構造として、発光性物質からなるEL層の他、正孔注入(輸送)層および電子注入(輸送)層のいずれかまたは双方を備えていてもよい。具体的には、層構造として、陰極/発光層/陽極の他、陰極/発光層/正孔注入層/陽極、陰極/電子注入層/発光層/陽極、または陰極/電子注入層/発光層/正孔注入層/陽極などの層構造を適用可能である。特に、陽極に透明電極材料を用いるなら、正孔注入層を備えていることが好ましい。
また「駆動回路」とは、電流駆動型のEL層を備える発光基板を駆動する電流を供給可能に構成された回路をいい、例えば、薄膜トランジスタを含んで構成される。発光装置がアクティブマトリックス型等の電気光学装置である場合には、各画素の発光に関与する回路素子の集合体をいう。
また「発光装置」は、光を発する機能を有していれば充分で、必ずしも画像表示機能を要求されるものではない。例えば、照明装置や掲示装置等を含む概念である。
本発明の構成によれば、発光層からの光は第3の電極側から射出されるので、発光層から見て第2の電極の下層側には重複して駆動回路が存在していても射出される光を遮ることがない。発光効率が駆動回路の規模や配置に影響されないため、発光装置の開口率を高くすることが可能である。
ここで例えば、第2の電極の酸化を防止する手段としては、例えば、第2の電極を密封する接着剤が発光基板と前記駆動回路基板との間に封入されているので、接着剤を充填することにより、第2の電極を酸化する要因となる酸素を遮断できる。また、接着剤の接着力によって、発光基板と駆動回路基板とをより強固に貼り合わせることが可能となる。接着剤によれば、絶縁性能も高いため、電気的特性に悪影響を与えることもない。
ここで例えば、陰極層の酸化を防止する手段として、第2の電極の酸化を防止する不活性気体が封入されているので、第2の電極を酸化する要因となる酸素が第2の電極に作用することを防止可能である。不活性気体を封入し空気を遮断する必要があるため、発光装置の基板端面等には不活性気体を密封する構造を設けることが好ましい。
ここで例えば、発光層は、正孔注入層と、有機EL層と、を少なくとも備えるので、正孔注入層を用いる場合、動作時に第3の電極からの正孔を効率よく有機EL層側に供給し発光効率を上げることができる。また、製造工程において、第3の電極側から積層していく場合に、正孔注入層を形成してから有機EL層を形成することになるため、正孔注入層の存在により有機EL層を平坦にかつ均一な厚みに形成できる。このことは発光量の均一化や一部に電流が集中することによる耐久性の低下を防止することに繋がる。
ここで例えば、第2の電極は、発光層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止構造を備えるので、電子を効率的に有機EL層に注入することが可能となる他、第2の電極が空気等に触れて酸化されることを防止することが出来る。
なお「露出防止構造」とは、第2の電極が直接酸素に触れることを防止する構造をいい、例えば、第2の電極をパターニングして、接続後に露出部分を接着剤や不活性気体で囲むことが可能な構造にすることをいう。または、他の層を第2の電極上にさらに積層して酸化を防止することも含まれる。
ここで例えば、駆動回路基板は、出力が供給され、第2の電極に接続される電極を備える。電極を備えれば第2の電極に接続し易く、また、このような電極が形成されている駆動回路基板は、当該発明に適用されることを推定できる。
ここで例えば、第1の電極と第2のとは導電性材料により電気的に接続されているが可能であり、導電性材料により、第1の電極と第2の電極との接触抵抗を下げ、また、不必要な電気的接続が発生する等、予期せぬ短絡等を防止することが出来る。
なお、「導電性材料」は、導電性が高く、電極間の接続に利用できるものをいうが、例えば異方性導電性ペーストや異方性導電性フィルムを利用可能である。
本発明において、「電気光学装置」とは、上記発光装置に電源等を供給する設備を備え、独立して発光作用を奏することができるように構成された装置をいい、電子機器の部品となりうるもの、例えば照明板、表示体等のユニットをいう。また「電子機器」は上記発光装置を備え取引の対象となりうる装置一般をいい、その構成に限定が無いが、例えば、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル付き装置、携帯電話、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置等をいう。
本発明の製造方法によれば、第2の電極が駆動回路と電気的に接続されるので第2の電極が有機EL層に対し駆動回路側に存在する発光装置が製造できる。また、第2の電極には酸化を防止する手段が設けられるので、第2の電極の損傷を防止できる。そして、第2の電極が光透過性を備えるので、発光層から射出された光は第3の電極を透過して射出される。発光効率が第2の電極の下層にある駆動回路の規模や配置に影響されないため、発光装置の開口率を高くすることが可能である。
ここで例えば、発光基板と駆動回路基板とを接続した場合に、基板平面に略垂直方向から見て、駆動回路基板における駆動回路の一部または全部が発光基板における発光層と重なり合う位置に形成する。本発明によれば、発光層からの光は第3の電極側から射出されるので、発光層から見て第2の電極の下層側には重複して駆動回路が存在していても射出される光を遮ることがない。このため、発光効率の低下を考慮することなく、仕様に応じて自由に駆動回路を配置したり回路構成を設計したりすることが可能である。
ここで例えば、封止する工程では、第2の電極を密封する接着剤を発光基板と駆動回路基板との間に充填してもよい。接着剤を充填することにより、第2の電極を酸化する要因となる酸素を遮断できる。また、接着剤の接着力によって、発光基板と駆動回路基板とをより強固に貼り合わせることが可能となる。接着剤によれば、絶縁性能も高いため、電気的特性に悪影響を与えることもない。
ここで例えば、封止する工程では、第3の電極の酸化を防止する不活性気体を発光基板と駆動回路基板との間に封入する。不活性気体を充填すれば、第2の電極を酸化する要因となる酸素が第2の電極に作用することを防止可能である。不活性気体を封入し空気を遮断する必要があるため、発光装置の基板端面等には不活性気体を密封する構造を設けることが好ましい。
ここで例えば、発光層として、第3の電極側に正孔注入層を形成する工程と、正孔注入層上に有機EL層を形成する工程と、を備えるので、正孔注入層を形成してから有機EL層を形成することになるため、正孔注入層の存在によりEL層を平坦にかつ均一な厚みに形成できる。このことは発光量の均一化や一部に電流が集中することによる耐久性の低下を防止することに繋がる。また正孔注入層を用いるので、動作時に第3の電極からの正孔を効率よく有機EL層側に供給し発光効率を上げることができる。
ここで例えば、第2の電極を、有機EL層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止形状に形成する。このような形状に形成すれば、電子を効率的にEL層に注入することが可能となる他、第2の電極が空気等に触れて酸化されることを防止することが出来る。
ここで例えば、駆動回路基板を形成する工程では、駆動回路からの出力が供給され、第2の電極に接続される電極を形成する。電極を形成すれば第2の電極に接続し易く、また、このような電極が形成されている駆動回路基板は、当該製造方法を使用したものと推定できる。
ここで例えば、第1の電極と第2の電極とを導電性材料により電気的に接続する。導電性材料により、第1の電極と第2の電極との接触抵抗を下げ、また、不必要な電気的接続が発生する等、予期せぬ短絡等を防止することが出来る。
本発明の発光装置(有機EL表示体)は有機EL素子を表示部に用いた表示体であって、前記有機EL素子の駆動回路が作りこまれた第1の基板と、前記有機EL素子が作りこまれた第2の基板をそれぞれ用意し、これを張り合わせて構成される。
これにより、駆動回路に対してEL素子側の面が表示面となり、画素領域内にメモリを始めとする色々な回路を内蔵し、表示体の性能や付加価値を上げたり、高精細な表示体の実現が可能となる。
なお、上記の発光体において、前記第1の基板及び第2の基板の張り合わせる側の表面には、それぞれ接続用の電極が形成され、この電極同士を接続してもよい。
また上記の発光装置において、前記第2の基板の接続用電極は、ELの第2の電極につながっていいてもよい。
また上記の発光装置において、表示体としての表面は前記第2の基板側としてもよい。
また上記の発光装置において、前記EL基板は透明材料からなる共通の第3の電極と、その上に各画素に対応して形成されたホール輸送層、発光層、第2の電極のパターンを含んでいてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板上の、駆動回路はガラス基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板上の、駆動回路はフレキシブル基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板が、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を転写して形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板が、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を画素毎或いは複数の画素毎に転写して形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板が、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路をフレキシブル基板上に転写して形成されていてもよい。この構成によれば、転写技術を用いて駆動回路を画素毎に転写して、半導体材料を無駄にすることなく表示体を製造することができる。
また上記の発光装置において、前記第2の基板が、ガラス基板上に形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第2の基板が、フレキシブル基板上に形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板及び第2の基板の張り合わせが、異方性導電性ペースト又は異方性導電性フィルムを両者間に挟み込むことによりなされていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第2の基板が、基板表面に各画素で共通の透明電極層が積層されるとともに、その透明電極層の上面に、有機EL層を含む発光層及び第2の電極が、前記各画素に対応した位置に積層されていてもよい。
本発明の発光装置の製造方法は、有機EL素子の駆動回路が作りこまれた第1の基板と、前記有機EL素子が作りこまれた第2の基板とを張り合わせる。
この製造方法によれば、大型表示体の製造やフレキシブルな表示体の製造が可能となる。
なお、上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板と第2の基板とを張り合わせる側の表面には、それぞれ接続用の電極を形成し、この電極同士を接続してもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第2の基板の接続用電極を、第2の電極に接続する。
また上記の製造方法において、表示体としての表面は前記第2の基板側であることを特徴とする。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第2の基板は透明材料からなる共通の第3の電極と、その上に各画素に対応して形成されたホール輸送層、発光層、第2の電極のパターンを含んでいてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板において、駆動回路はガラス基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記駆動回路はフレキシブル基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板は、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を転写して形成されてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板は、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を画素毎或いは複数の画素毎に転写して形成されていてもよい。
また前記駆動回路基板は、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路をフレキシブル基板上に転写して形成されていてもよい。
また前記第2の基板は、ガラス基板上に形成されていてもよい。
また前記第2の基板は、フレキシブル基板上に形成されていてもよい。
また前記第1の基板及び第2の基板の張り合わせを、異方性導電性ペースト又は異方性導電性フィルムを両者間に挟み込むことにより行ってもよい。なお、異方性導電性ペースト及び異方性導電性フィルムとは、既に公知のものであって、接着剤として利用可能なペースト及びフィルムであり、接着剤として二つの部材間に薄く介在した場合に、膜厚方向には低い電気抵抗を示し、膜の面に沿った方向には高い電気抵抗を示すものである。
また前記第2の基板は、基板表面に各画素で共通の透明電極層が積層されるとともに、その透明電極層の上面に、有機EL層を含む発光層及び第2の電極が、前記各画素に対応した位置に積層されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の発光装置の一例である第1の実施の形態に係る発光装置の断面図(図2におけるA−A切断面)。
【図2】第1の実施の形態に係る発光装置の平面図。
【図3】貼り合わせ工程前における駆動回路基板の断面図。
【図4】貼り合わせ工程前の発光基板の断面図。
【図5】貼り合わせ工程後の発光装置の断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置の回路図。
【図7】第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法を例示する製造工程図。
【図8】本発明の発光装置の一例である第2の実施の形態に係る発光装置における、貼り合わせ工程前の発光基板の断面図。
【図9】第2の実施の形態に係る発光装置における貼り合わせ工程前の駆動回路基板の断面図。
【図10】貼り合わせ工程後の発光装置の断面図。
【図11】本発明の発光装置の一例である第3の実施の形態に係る発光装置における貼り合わせ工程前の発光基板の断面図。
【図12】第3の実施の形態に係る発光装置における駆動回路基板に転写される前の、薄膜トランジスタから構成される駆動回路の断面図。
【図13】本発明に係る電子機器の一例であるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図。
【図14】本発明に係る電子機器の一例である携帯電話の構成を示す斜視図。
【図15】本発明に係る電子機器の一例であるディジタルスチルカメラの背面側の構成を示す斜視図。
【図16】従来の有機EL表示体の構造を示す断面図。
【図17】従来の有機EL表示体の構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、好適な本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
<発光装置の構造>
図1に、本発明に係る第1の実施の形態の発光装置1000の断面図を示す。図2に、当該第1の実施の形態に係る発光装置1000の平面図を示す。図1は、図2の平面図におけるA−A切断面における断面図である。
【0013】
本第1の実施の形態における発光装置1000は、画像表示に用いられる有機EL表示体であり、駆動回路基板100側の構造と、発光(EL)基板300側の構造と、を備えている。
【0014】
図1に示すように、駆動回路基板100の層構造は、下層側から、基板10、半導体薄膜11(ソース112、ドレイン113、チャネル114)、ゲート絶縁膜12、ゲート電極層13、第1保護薄膜14、配線層16、第2保護薄膜17、画素電極層19の各層を備えて構成されている。
【0015】
一方、発光基板300の層構造は、上層側(図面上から:製造時には下層側になる)から、透明基板30、透明電極層31、バンク32で仕切られた画素形成領域内に正孔注入層33、有機EL層34、及び陰極層36が積層されて構成されている。正孔注入層33及び有機EL層34によって発光層35が形成されている。
【0016】
より具体的には、図2の平面図に示すように駆動回路や画素領域が配置されている。図6に、この配置に対応する発光装置1000の回路図を示す。図2及び図6を参照して判るように、当該発光装置は、電源を供給する電源線(supply line)161及び書き込み情報を供給する信号線(signal line)163と、走査信号を供給する走査線(scan line)193及び保持容量(storage capacitor)Cが接続される容量線(capacitor line)192と、が交差した領域に、個々の画素領域が設けられている。
【0017】
半導体薄膜11は、駆動用薄膜トランジスタ(driving TFT)T1に係る薄膜110、及びスイッチング用薄膜トランジスタ(switching TFT)T2に係る薄膜111にパターニングされている。ゲート電極層13は、薄膜トランジスタT1に係るゲート電極131、及び薄膜トランジスタT2に係るゲート電極132にパターニングされている。また配線層16は、電源線161、ドレイン電極162、信号線163、及び容量電極164にパターニングされている。画素電極層19は、画素電極191、容量線192、及び走査線193にパターニングされている。
【0018】
さらに、駆動用薄膜トランジスタT1を構成する半導体薄膜110のソース112は、貫通孔151を介して電源線161に接続されている。薄膜トランジスタT1のドレイン113は、貫通孔152を介してドレイン電極162に接続されている。ドレイン電極162は、貫通孔181を介して画素電極191に接続されている。一方、薄膜トランジスタT1のゲート電極131は、貫通孔154を介して保持容量Cに接続され、さらに貫通孔155を介してスイッチング用薄膜トランジスタT2を構成する半導体薄膜111のソース112に接続されている。保持容量Cは、容量線192との間で電荷を蓄積し、この保持容量Cの両端に保持される電圧に対応して発光層35を駆動するための電流が定まるようになっている。さらに、薄膜トランジスタT2のドレイン113は、貫通孔153を介して信号線163に接続されている。薄膜トランジスタT2のゲート電極132は、貫通孔156を介して走査線193に接続されている。
【0019】
図1及び図6から判るように、上記構成によれば、駆動回路基板100において、走査タイミング毎に走査線193がオン状態になると、スイッチング用薄膜トランジスタT2が導通し、信号線163に供給されている電圧が保持容量Cに蓄積される。次いで、この電圧に対応した電流が駆動用薄膜トランジスタT1を流れるようになるため、この電流が有機EL素子の陽極側(cathode)、すなわち陽極層31からが発光層35、すなわち正孔注入層33及び有機EL層34に流れ込み、電流量に対応する光量で発光する。つまり、信号線163において指定された電圧に対応する光量で有機EL素子が発光するのである。
【0020】
特に本発明では、発光層35から発せられた光が、光透過性のある陽極層31を介して基板30から射出され、陰極層36側には射出されない。このため、発光層35から見て陰極層36の背後には光を透過しない部材を設けても、すなわち駆動回路が存在していても影響がない。そこで、本実施の形態では、例えば図2の平面図に示すように、平面図上、発光層35に一部または全部が重複させて薄膜トランジスタT1やT2、保持容量C、配線層161〜164、191〜193を配置することができるのである。
【0021】
<駆動回路の製造方法>
次に、図7の製造工程フローチャートを参照して、本発光装置の製造方法について説明する。図7に示すように、この製造方法は、駆動回路基板100を形成する工程(S10〜S17)、発光基板300を形成する工程(S20〜24)、及び両基板を用いて発光装置1000を製造する工程(S30、S31)によって構成されている。
【0022】
この駆動回路基板の形成や発光基板の形成は、別個独立に、例えば異なる工場で実施されてもいいし、同一の製造現場にて順番に実施(例えば駆動回路基板を形成し、その次に発光基板を形成する。またはその逆)してもよい。また、発光装置1000を製造する工程は、駆動回路基板の形成や発光基板の形成と同じ場所で行っても、異なる場所で行ってもよい。ここでは、便宜上、駆動回路基板の形成から順に説明する。
【0023】
駆動回路基板100の製造には、公知の各種製造技術を適用可能である。以下その一例を挙げる。まず駆動回路基板100の基台となる基板10上に半導体薄膜11(110、111)を形成する(S10)。本発明では駆動回路基板側に光透過性のある材料を使用する必要はないため、耐久性、機械的強度等によって基板材料を選択可能である。例えば基板10には、金属等の導電性物質、シリコン・カーバイトやアルミナ、窒化アルミニウム等のセラミック材料、溶融石英やガラス等の透明または非透明絶縁性物質、シリコンウェーハー等の半導体物質、およびそれを加工したLSI基板等が使用可能である。
【0024】
なお、本願出願人が開発した転写技術(例えば、特開平10−125931号公報や特開平11−26733号公報)を利用してガラス基板等に予め別途に形成した半導体装置をフレキシブル基板に転写して駆動回路基板を製造する場合には、基板10がフレキシブル基板となる。詳しくは第2の実施の形態において述べる。
【0025】
半導体薄膜11の材料としてはシリコンやゲルマニウム、シリコン・ゲルマニウムやシリコン・カーバイドやゲルマニウム・カーバイド等を利用可能である。半導体薄膜11は、APCVD法やLPCVD法、PECVD法等のCVD法、或いはスパッタ法等や蒸着法等のPVD法で形成される。半導体薄膜11の性能を高めるためには、エキシマレーザ等の高出力レーザを用いて半導体薄膜を多結晶化させてもよい。この半導体薄膜11は、各薄膜トランジスタ形状にフォトリソグラフィ等でフォトリソグラフィによりパターンを形成した後、ドライエッチング等でエッチングされて形成される。
【0026】
次いで、ゲート絶縁膜12を形成する(S11)。ゲート絶縁膜12は、ECRプラズマCVD法、平行平板RF放電プラズマCVD法等公知の方法によって、SiO2を堆積させて所定の厚みに形成される。
【0027】
引き続いて、ゲート電極層13(131、132)を形成する(S12)。まず、ゲート絶縁膜12上にゲート電極なる金属薄膜をPVD法或いはCVD法などで堆積する。ゲート電極層の材質は電気抵抗が低く、熱工程に対して安定である事が望まれ、例えばタンタル、タングステン、クロム等の高融点金属がふさわしい。また、イオンドーピングによってソース、ドレインを形成する場合、水素のチャネリングを防止するためにこのゲート電極の膜厚がおよそ700nm程度必要になる。ゲート電極層13形成後に、公知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法を適用してゲート電極131、132の形状にパターニングする。
【0028】
次に、半導体薄膜11に不純物導入をしてソース112、ドレイン113、チャネル114の各領域を形成する(S13)。この不純物導入ではゲート電極131、132がイオン注入のマスクとなるので、チャネルはゲート電極下のみに形成される自己整合構造となる。例えば、薄膜トランジスタがn型MOSトランジスタである場合、チャネル114にはボロン、ガリウム、インジウムなどのp型不純物がドーピングされ、ソース112及びドレイン113にはリン、ヒ素、アンチモンなどのn型不純物が導入される。
【0029】
次いで、ゲート電極を覆うように第1保護薄膜14を形成する(S14)。第1保護薄膜14の形成は、ゲート絶縁膜の形成と同様に行う。
【0030】
次いで、配線層16(161〜164)を形成する(S15)。その前に、当該配線層16と半導体薄膜11やゲート電極13とを電気的に接続するための貫通孔15(151〜155)をゲート絶縁膜12や第1保護薄膜14に開孔させる。そして、PVD法やCVD法等の公知の技術を利用して、アルミニウム等の金属で配線層16を形成し、各配線の形態にパターニングし、電源線161、ドレイン電極162、信号線163、容量電極164を形成する。
【0031】
次いで第2保護薄膜16を第1保護薄膜14と同様にして形成してから(S16)、配線層19(191〜193)を下層のドレイン電極162、走査線193を電気的に接続するための貫通孔18(181、182)を開孔させる。そして、第2の配線層19をPVD法やCVD法等の公知の技術を利用して形成し、画素電極191や容量線192、走査線193の形状にパターニングする(S17)。各配線層19や画素電極層19は、導電性のある金属材料、例えばアルミニウムリチウム(Al−Li)を0.1μm〜1.0μm程度積層して形成する。以上の各工程により駆動回路基板100が形成される。
【0032】
図3に、このようにして製造された駆動回路基板100の層構造を示す。なお図3は、図2の平面図における屈曲した切断面B−Bおいて切断した場合の断面図である。
【0033】
<発光基板の製造方法>
次に、さらに図7の製造工程フローチャートを参照して発光基板300の製造方法を説明する。発光基板300の製造には、公知の各種製造技術を適用可能である。以下その一例を挙げる。
【0034】
まず、透明基板30上に透明電極層31を形成する(S20)。本発明では発光層からの光はこの基板30を透過して射出されるため、基板30は光透過性があることが基本であり、その他、耐久性、機械的強度等を考慮して材料を選択する。例えば、溶融石英やガラス等の透明または半透明絶縁性物質を使用可能である。透明電極層31は、導電性がありかつ光透過性のある材料であって、EL層34に用いられる有機EL材料のHOMOレベルに対してそれぞれ仕事関数の近いもの、例えばITO、ネサ等により形成する。透明電極層31は、各画素領域の共通電極となるように各画素に配置されている発光層35の全域にわたって共通に形成されている。形成方法は公知の塗布用、スパッタ法等により、0.05μm〜0.2μm程度の厚みに調整されている。
【0035】
次いで透明電極層31上にバンク層32を形成する。当該バンク層は、各画素において発光層35や陰極層36を分離する仕切部材としての役割を果たしている。バンク層32の材料は、絶縁無機化合物または絶縁有機化合物によって構成され、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ポリイミドまたはフッ素化合物等を利用可能である。例えば、バンク層32は、正孔注入層33やEL層34等を形成するための薄膜材料液に対する接触角が30度以下となるようにその親和性が調整される。バンク層32の厚みは、正孔注入層33及びEL層34の形成後の厚みの合計より厚く、かつ、陰極層36の形成後の厚みをさらに合計した厚みよりは低くなるように調整される。バンク層32は、上記絶縁化合物を公知のスパッタ法、CVD法、各種塗布法(スピンコート、スプレーコード、ロールコート、ダイコート、ディップコート)等で成膜後に、フォトリソグラフィ法等でバンク領域を残して当該化合物を除去することによって形成される。
【0036】
次いで、正孔注入層33を形成する(S22)。正孔注入層33の材料としては、正孔の注入機能または電子の障壁となる機能を備えた有機物または無機物を使用する。例えば特開平10-163967号や特開平8-248276号に記載されているものを使用可能である。
【0037】
さて当該正孔注入層33や次工程のEL層34の形成には、公知の種々の方法を利用できるが、インクジェット法を利用することは好ましい。そのために、バンク層32で囲まれた凹部にこれら層を形成するために薄膜材料液を順次充填して薄膜層を形成していく。インクジェット方式によれば任意の位置に任意の量で流動体を充填することができ、家庭用プリンタに使用されるような小型の装置で充填が可能だからである。例えば、インクジェットヘッドから薄膜材料液をバンク層32間の凹部に充填し、加熱して溶媒成分を除去する。なおインクジェット方式としてはピエゾジェット方式でも熱による気泡発生による吐出する方法でも静電加圧方式であってもよい。加熱による流動体の変質が無い点でピエゾジェット方式が好ましい。
【0038】
正孔注入層33形成後に、同様の方法でEL層34を形成する(S23)。電流を流すことにより発光する材料を使用する。この材料は発光させる色彩に応じて、例えば特開平10-163967号や特開平8-248276号に記載されているものを使用する。具体的には、赤色のEL層の材料としては、シアノポリフェニレンビニレン前駆体、2-1,3',4'-ジヒドロキシフェニル-3,5,7-トリヒドロキシ-1-ベンゾポリリウムパークロレート、PVKにDCM1をドーピングしたものなどを用いる。緑色のEL層の材料としては、ポリフェニレンビンレン前駆体、2,3,6,7-テトラヒドロ-11-オキソ-1H、5H、11H-(1)ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-10-カルボン酸、PVKにコータミン6をドーピングしたものなどを用いる。青色のEL層の材料としては、アルミニウムキノリノール錯体、ピラゾリンダイマー、2,3,6,7-テトラヒドロ-9-メチル-11-オキソ-1H、5H、11H-(1)ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン、ジスチル誘導体、PVKに1,1,4,4-トリフェニル-1,3-ブタジエンをドーピングしたものなどを用いる。EL層34は、十分な光量が得られる厚み、例えば0.05μm〜0.2μm程度積層して構成される。
【0039】
なお、必要に応じて電子注入層をEL層の上に同様の方法で形成してもよい。陰極層から注入された電子を発光層に効率よく伝達するためである。電子注入層の材料としては、例えば特開平10-163967号や特開平8-248276号、特開昭59-194393号に記載されているものを使用可能である。具体的には、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体などを使用可能である。その厚みは電子輸送機能を十分に果たせる程度にする。
【0040】
次いで、陰極層36を形成する(S24)。本発明では、陰極層に光の透過率を考慮する必要がないので、発光層に用いる有機EL材料のLUMOレベルに対して仕事関数の近いものであればよい。例えば、陰極層の材料としては、カルシウム、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム、アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、その他希土類金属が挙げられる。陰極層の形成には、公知の技術、スパッタ法や蒸着法等を用いる。陰極層形成後にフォトリソグラフィ法とエッチング法とを適用して各画素領域毎に分離する。このとき、図1や図4に示すように、バンク層32のエッジを覆うように形成することは好ましい。発光層35に隙間無く接触させることが可能となるからである。
【0041】
図4に、このようにして形成された発光基板300の層構造を示す。なお図4は、図2の平面図における屈曲した切断面B−Bおいて切断した場合の断面図である。図4に示すように、ガ透明基板30の表面全体には、透明電極層31が成膜され、さらにその透明電極層31の上面には、絶縁物からなるバンク32で相互に分離された画素形成領域に透明電極層31側から、正孔注入層33、EL層34及び陰極層36が積層されていて、正孔注入層33及び有機EL層34で発光層35が構成されている。
【0042】
<接続工程:S30>
次に、図3に示した駆動回路基板100と、図4に示した発光基板300とを、画素電極191が形成された側と陰極層36が形成された側とを向かい合わせて張り合わせる。画素電極191と陰極層36とは電気的に接続されるように、駆動回路基板100及び発光基板300の位置合わせを行う。このとき、駆動回路基板100における画素電極191と発光基板300における陰極層36との間の導電性を確保するために、異方性導電性ペースト又は異方性導電性フィルムを用いることが好ましい。このような導電性材料を用いることによって、予期せぬ短絡等を避けることができる。本実施の形態によれば、画素電極191と陰極層36とがそれぞれ相対的に突出しているので、位置合わせを正しく行えば、両電極を圧着して確実な電気伝導を確保することが可能である。
【0043】
図5に、このようにして駆動回路基板100及び発光基板300を貼り合わせた状態の発光装置1000全体の断面図を示す。なお図5は、図2の平面図における屈曲した切断面B−Bおいて切断した場合の断面図である。
【0044】
<封止工程:S31>
次に、必要に応じて、電気的に接続した駆動回路基板100と発光基板300との間に、電気伝導性の無い、かつ、陰極材料に対し不活性な充填材料20を充填し基板間を封止する。
【0045】
このような材料20として例えば、各種接着剤が適当である。接着剤としては、反応性硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等の各種硬化型接着剤が挙げられ得る。このような接着剤の組成としては、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等を適用することが可能である。接着剤は、例えば塗布法によって形成される。陰極層も駆動回路基板も光を透過しないため、光以外のエネルギーで硬化する接着剤であることが好ましい。例えば駆動回路基板100の画素電極191以外の領域に適量接着剤を塗布し、画素電極191と発光基板300の陰極層36との電気的接続を確保しながら発光基板300全体を接合した後、硬化型接着剤の特性に応じた硬化方法により、前記硬化型接着剤を硬化させる。
【0046】
接着剤を充填することにより、陰極層を酸化する要因となる酸素を遮断できる。また、接着剤の接着力によって、発光基板と駆動回路基板とをより強固に貼り合わせることが可能となる。接着剤によれば、絶縁性能も高いため、電気的特性に悪影響を与えることもない。
【0047】
なお、接着剤を利用せずに、駆動回路基板100と発光基板300との間に不活性気体を充填して封止してもよい。不活性気体としては、例えばヘリウム、アルゴン等を利用可能である。ただし、陰極層に酸素が作用しなければよいため、駆動回路基板と発光基板との間の真空度を高めてもよい。気体を利用したり真空にしたりする場合には、両基板間の気密性を高めるため、基板端を封止するような構造にする必要がある。不活性気体を充填したり真空にしたりすれば、陰極層を酸化する要因となる酸素が陰極層に作用することを防止可能である。
【0048】
図5にも示されるように、上記の製造工程によって製造される発光装置1000において、駆動回路が動作して電流が陰極層36から発光層35に流入すると、発光層35はその電流量に応じた光量で発光するようになる。このとき、陰極層36には光透過性は無いが、陽極側は透明電極層31が形成されているので、発光層35から発せられた光は、透明電極層31及び基板30を通じて外部に照射されることになる。
【0049】
<実施の形態の利点>
このように、本第1の実施の形態であれば、駆動回路基板100と発光基板300とを別工程で製造するため、歩留まりが向上する。事情に応じて、駆動回路基板100と発光基板300とを別々の工場或いは異なった企業においてそれぞれ製造し、最終的に両者を張り合わせるといった製造方法も可能であるから、製造コストの低減を図る上でも極めて有利である。
【0050】
また本第1の実施の形態によれば、発光層35から発せられた光は、透明電極層31及び基板30を通じて外部に照射されることになる。つまり、基板30全体が表示面となるが、発光層35の基板30側には光を遮る配線等が作り込まれていないから、発光装置としての開口率を極めて高くすることができる。
【0051】
一方、駆動回路基板100側の構造については開口率に関与しない為、画素領域全てに回路を配置できる。従って、画素領域内にメモリを始めとする色々な回路を内蔵し、表示体の性能や付加価値を上げることが可能になる。また有機ELは電流駆動素子であることから、表示体のサイズ、或いは精細度の増大に伴い、駆動電流も大きくなる。この場合配線幅を太くする必要が生じるが、この問題にも配線領域を自由に確保可能であるため対応可能である。また駆動回路基板の構成材料が透明である必要もない。
【0052】
しかも、発光装置1000の各画素のピッチは、発光基板30に作り込まれた発光層35の間のピッチによって決まるものであって、駆動回路基板100とEL基板30との張り合わせの際の位置決め精度は、画素ピッチにはなんら影響を与えない。このため、本実施の形態のような張り合わせによる製造方法を採用したとしても、発光装置1000の画素ピッチの精度が低下するようなことがないのである。
このように、本実施の形態の製造方法によれば、発光装置を極めて効率的に製造することができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
以下では、本発明第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図8乃至図10は、本発明第2の実施形態を示す図である。図8は張り合わせる前の駆動回路基板600の断面図、図9は張り合わせる前の発光(EL)基板700の断面図、図10は両者を張り合わせることにより製造された有機EL表示体である発光装置800の断面図である。
本実施の形態に係る発光装置800にといて、具体的な各層の構成(材料)については、上記第1の実施の形態と類似しているため、異なる点を主に説明するものとする。
【0054】
図8に示すように、駆動回路基板600において、合成樹脂等の絶縁物からなる基材60の表面には、後に製造される発光装置800の画素の位置に対応して、走査線や信号線等の配線61が形成されている。更に配線61の表面は保護薄膜62で覆われている。この保護薄膜62には配線61の一部を露出させるための貫通孔63が開口しており、その貫通孔63を通じて配線61の一部と導通がとられるように、配線64及び画素電極65が形成されている。特に本実施の形態においては、基材60が合成樹脂等で構成されている点に特徴がある。
【0055】
なお、保護薄膜62の製膜方法、貫通孔63の開口方法、配線61、64、画素電極65のパターニング方法等については上記第1の実施の形態と同様に考えられる。すなわち、公知の製膜方法やフォトリソ工程が適用可能である。
【0056】
更に薄膜トランジスタ等から構成される駆動回路66が画素毎或いは複数の画素毎に配置され、且つ配線64及び画素電極65とつながっている。従って、駆動回路は駆動回路基板600の走査線や信号線等61及び画素電極65と接続していることになる。
【0057】
上記各層の材料及び製造方法については、上記第1の実施の形態と同様に考えられるため(図7:S10〜S17)、説明を省略する。
【0058】
一方、図9に示すように、発光基板700において、合成樹脂等からなる基材70の表面全体には、透明電極層71が成膜されている。さらにその透明電極層71の上面には、絶縁物からなるバンク72で相互に分離された画素形成領域に透明電極層71側から、正孔注入層73、有機EL層74及び陰極層76が積層されている。正孔注入層73及び有機EL層74で発光層75が構成されている。特に本実施の形態においては、基材70が合成樹脂から構成されている点にも特徴がある。
【0059】
なお、他の透明電極層71、正孔注入層73、有機EL層74、陰極層76を形成する材料及び製造方法は、上記第1の実施の形態と同様(図7:S20〜S24)に考えられるため、説明を省略する。
【0060】
図10に示すように、本実施の形態に係る発光装置800は、図8に示した駆動回路基板600と、図9に示した発光基板700とを、画素電極65が形成された側と陰極層76が形成された側とを内側に向けて張り合わせて構成されている。従って、画素電極65と陰極層76とが電気的に接続されるように、駆動回路基板600及び発光基板700の位置合わせを行って張り合わせる必要がある。両基板を貼り合わせる工程については、上記第1の実施の形態(図7:S30)と同様である。また上記第1の実施の形態と同様に、必要に応じて接着剤を充填したり不活性気体を封入したり真空にしたりする工程(S7:S31)を適用しても良い。
【0061】
ここで、発光基板700の代わりに、図11に示すような構造の発光基板900を適用してもよい。当該発光基板900において、合成樹脂等からなる基材90の表面全体には、透明電極層91が成膜されており、基材90はエッチングされている。ここで残った基板部分はバンク92として働く。バンク92により相互に分離された画素形成領域に透明電極層91側から、正孔注入層93、有機EL層94及び陰極層96が積層されていて、正孔注入層93及び有機EL層94で発光層95が構成されている。各層の材料及び構成については、上記第1の実施の形態と同様に考えられる。この変形例においても、基材90は合成樹脂等の材料で構成されている。
【0062】
また、駆動回路基板600において、各駆動回路66を、例えば図12に示すように、ガラス等の透明基板200の表面に形成されたものを転写技術により駆動回路基板600に転写して製造しても良い。すなわち、この製造方法を利用する場合、図12に示すように、予め転写元基板となるガラス等の透明基板200上にアモルファスシリコン等からなる剥離層201を堆積し、その上に複数の被転写体である薄膜トランジスタから構成される駆動回路66を形成する。この透明基板200と駆動回路基板600をアライメントし、駆動回路66の領域毎に透明基板200の、転写させるべき薄膜トランジスタに対応する一部領域にエネルギーを付与し(裏側から光を照射して)、当該薄膜トランジスタを転写先の駆動回路基板600に転写する。
【0063】
本第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、特に、駆動回路基板600における基材60と発光基板700における基材70とが共に合成樹脂等が用いられる点に特徴がある。このような合成樹脂製のプラスチック・フィルムは、温度を加えた時の膨張率が大きく、従来の方法では、有機EL層を形成する際のマスクアライメントが困難であるため使用できないとの認識があった。ところが本発明では、発光装置800の各画素のピッチは、基板70に作り込まれた発光層75のピッチによって決まるものであって、駆動回路基板600の基材60と発光基板700の基材70との張り合わせの際の位置決め精度は、画素ピッチにはなんら影響を与えない。すなわち、二つの基板上の微小なピッチの位置合わせを行うという目的ために、熱膨張率の低い重量のかさむガラス等の基板を用いる必要が無い。このため本実施の形態のように、合成樹脂等で基板を構成することが可能となり、自由に安価な基板材料を選択できるようになる。
【0064】
このように、本実施の形態の製造方法によれば、発光装置800を極めて効率的に製造することができ、結果として大型でフレキシブルな表示体の製造が可能となる。
【0065】
また本第2の実施の形態によれば、駆動回路基板600に間隔をおいて配置される複数の薄膜トランジスタ66を一括して透明基板200上に集積して製造することができるので、薄膜トランジスタ製造のための材料使用量を相対的に削減し、面積効率を大幅に向上し、多数の薄膜トランジスタ等の回路や素子が分散されて配置される駆動回路基板を効率よく安価に製造することができる。
【0066】
また本第2の実施の形態によれば、透明基板200上に集中的に製造した多数の薄膜トランジスタを転写前に選別、排除することが容易に実行可能となり、その結果製品歩留まりを向上することができる。
【0067】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、上述したEL素子駆動回路、及びこの駆動回路によって駆動される発光装置をアクティブマトリクス駆動可能に構成した電気光学装置である有機EL表示パネルを備えた電子機器の例のいくつかについて説明する。
【0068】
<その1:モバイル型コンピュータ>
まず、本第3の実施の形態に係る有機EL表示パネルをモバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図13は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図13において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とから構成されている。表示ユニット1106は、有機EL表示パネル1101を有している。
【0069】
<その2:携帯電話>
次に、有機EL表示パネルを、携帯電話の表示部に適用した例について説明する。図14は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図14において、携帯電話1200は、複数の操作ボタン1202のほか、受話口1204、送話口1206とともに、上述した有機EL表示パネル1201を備えるものである。
【0070】
<その3:ディジタルスチルカメラ>
さらに、有機EL表示パネルをファインダに用いたディジタルスチルカメラについて説明する。図15は、ディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図であるが、外部機器との接続についても簡易的に示すものである。
【0071】
通常のカメラは、被写体の光像によってフィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号を生成するものである。ここで、ディジタルスチルカメラ1300におけるケース1302の背面には、上述した有機EL表示パネル1301が設けられ、CDDによる撮像信号に基づいて、表示を行う構成となっている。このため有機EL表示パネル1301は、被写体を表示するファインダとして機能する。また、ケース1302の観察側(図15においては裏面側)には、光学レンズやCDDなどを含んだ受光ユニット1304が設けられている。
【0072】
ここで、撮影者が有機EL表示パネル1301に表示された被写体像を確認して、シャツボタン1306を押下すると、その時点におけるCDDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300にあっては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図15に示されるように、前者のビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、また、後者のデータ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作によって、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成となっている。
【0073】
なお、電子機器としては、図13のパーソナルコンピュータや、図14の携帯電話、図15のディジタルスチルカメラの他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、上述した表示装置が適用可能なのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明によれば、駆動回路が配設された駆動回路基板と発光層等が形成された発光基板とを張り合わせることにより発光装置を製造するようにしたため、発光装置を極めて効率的に製造することができるという効果がある。
特に、本発明によれば、大型でフレキシブルな表示体の製造が可能となる。
【符号の説明】
【0075】
10…基板、11…半導体薄膜(薄膜トランジスタ)、12…ゲート絶縁膜、13…ゲート電極層、14…保護薄膜、15…貫通孔、16…配線層、17…保護薄膜、18…貫通孔、19…画素電極層(配線層)、20…充填材料、30…透明(発光)基板、31…透明電極層(陽極層)、32…バンク、33…正孔注入層、34…有機EL層、35…発光層、36…陰極層、60…基材、61…配線、62…保護薄膜、63…貫通孔、64…配線、65…画素電極、66…駆動回路(薄膜トランジスタ)、70…基材、71…透明電極層、72…バンク、73…正孔注入層、74…有機EL層、75…発光層、76…陰極層、90…基材、91…透明電極層、92…バンク、93…正孔注入層、94…有機EL層、95…発光層、96…陰極層、100…駆動回路基板、110…半導体薄膜、111…半導体薄膜、112…ソース、113…ドレイン、114…チャネル、131…ゲート電極、132…ゲート電極、151…貫通孔、152…貫通孔、153…貫通孔、154…貫通孔、155…貫通孔、156…貫通孔、161…電源線、162…ドレイン電極、163…信号線、164…容量電極、181…貫通孔、191…画素電極、192…容量線、193…走査線、200…透明基板、201…剥離層、300…発光基板、600…駆動回路基板、700…発光基板、800…発光装置、900…発光基板、1000…発光装置、1100…パーソナルコンピュータ、1101…表示パネル、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1200…携帯電話、1201…表示パネル、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1300…ディジタルスチルカメラ、1301…表示パネル、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャツボタン、1308…回路基板、1312…ビデオ信号出力端子、1314…入出力端子、1430…テレビモニタ、1440…パーソナルコンピュータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:以下、「EL」と略記する。)ディスプレイ等に適する発光装置の構造及びその製造方法において、極めて光の利用効率の良い発光装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機ELを用いた表示体、特に薄膜トランジスタ(TFT)で構成した回路により、有機EL層を駆動する表示体が知られている。例えば、下田氏等の論文(T. Shimoda, H. Ohshima, S. Miyashita, M. Kimura, T. Ozawa, I. Yudasaka, S. Kanbe, H. Kobayashi, R. H. Friend, J. H. Burroughes and C. R. Towns: Proc. 18th Int. Display Research Conf., Asia Display 98, (1998) p. 217.)には、ガラス基板上に低温ポリシリコン(poly-Si)薄膜トランジスタ(TFT)を利用した駆動回路を画素毎に形成し、さらに、配線形成工程、透明電極形成工程、バンク層形成工程、正孔注入層形成工程、有機EL層形成工程、陰極形成工程等を順に経て有機EL表示体を形成することが開示されている。
【0003】
図16及び図17に、このような公知技術によって作成される表示体の構成を示す。図17は、公知技術によって作成される有機EL表示体の平面図であり、図16は、図17に示す平面図上のB−B切断面(屈曲断面)における断面図である。図16に示すように、ガラス基板1上に、薄膜トランジスタ2、配線層3、透明電極4、バンク層5、正孔注入層6、有機EL層7、及び陰極8が順次積層されている。
【0004】
ここで、陰極8は光を透過しない金属によって形成されているので、有機EL層7からの光は駆動回路が形成されているガラス基板1側から外に取り出される。即ち、有機EL層7に対して駆動回路側の面が表示面となる。このような表示体では、駆動回路が形成されている領域は光を透過しない為、開口率が低下してしまう。すなわち、図17に示すように、薄膜トランジスタ2その他の配線(キャパシタ2、配線3及び9)が形成されている領域を避けて有機EL層7を形成せざるを得なかった。画素領域内にメモリ等、色々な回路を内蔵し表示体の性能や付加価値を上げようとする要求がある場合、或いは高精細な表示体を実現しようとする場合に、光を透過しない回路部分の面積が相対的に大きくなるため、この開口率の低下は顕著な問題になる。
【0005】
この問題を解決するには、光を射出する側に駆動回路等が存在しない構造、すなわち、陰極に透明な電極材料を用いるか、陰極が駆動回路側にあるような構造にする必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T. Shimoda, H. Ohshima, S. Miyashita, M. Kimura, T. Ozawa, I. Yudasaka, S. Kanbe, H. Kobayashi, R. H. Friend, J. H. Burroughes and C. R. Towns: Proc. 18th Int. Display Research Conf., Asia Display 98, (1998) p. 217.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、陰極に透明な材料を用いるのは困難である。これは、電極材料は有機EL層に用いる有機EL材料に対し仕事関数を近いものを選ばなければならないという制限があるからである。例えば、陽極に用いる電極材料は有機EL材料のHOMOレベル、陰極に用いる電極材料は有機EL材料のLUMOレベルに対してそれぞれ仕事関数の近いものを選定する必要がある。ところが、陰極に用いるための、有機EL材料のLUMOレベルに近い透明な電極材料には、現在のところ適当なものがないのである。陰極の膜厚を極めて薄くすることも考えられるが、薄い電極層は耐久性や電流容量の点で欠点があり信頼性上好ましくない。
【0008】
一方、陰極を駆動回路側に設ける構造の場合、今までは、陰極形成後に有機EL層を形成し、その上に正孔注入層を形成する必要がある。このとき、有機EL層を正孔注入層より先に形成する必要があるため、有機EL層に膜厚の不均一性が生じ発光光量のむらが生じるおそれがある。また、陰極に用いる材料はカルシウムCa等酸化し易い材料であるため、陰極を密閉した構造としなければならない。この様な事情から、これまで有機EL層からの光を駆動回路に対して反対側に取り出すことは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような要求に基づいてなされたものであって、EL層に対し陰極層を駆動回路側に備える発光装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明に係る発光装置は、第1の基板(60)と、第1の基板上に配置されている第1の配線(61)と、前記第1の基板及び前記第1の配線の上に配置されている保護薄膜(62)と、前記保護薄膜上及び前記保護薄膜の一部を貫通させた貫通孔(63)の内部に形成され、前記第1の配線と電気的に接続されている第2の配線(64)と、前記保護薄膜上に配置されている第1の電極(65)と、前記第2の配線及び前記第1の電極と電気的に接続されている駆動回路(66)と、前記第1の電極と電気的に接続された第2の電極(76)と、前記第2の電極上に配置された、複数のバンク(72)間に配置された有機EL層(74)を含む発光層(75)と、前記有機EL層及び前記複数のバンク上に配置された第3の電極(71)と、前記第3の電極上に配置された第2の基板(70)と、を有することを特徴とする。
ここで、前記第2の電極の酸化を防止するための封止手段を有することは好ましい。
また本発明は、前記発光層は前記第1の基板または前記第2の基板の平面に略垂直方向から見て前記駆動回路の一部または全部と重なり合っていることを特徴とする。
ここで、封止手段は、少なくとも前記保護薄膜と前記第2の電極までの間に配置されている接着剤であることは好ましい。
ここで、前記封止手段は、少なくとも前記保護薄膜と前記第2の電極までの間の間隙に封入されている不活性気体であることは好ましい。
例えば、前記発光層は、少なくとも前記第1の電極側に形成されている正孔注入層と、前記正孔注入層の上に形成されている前記有機EL層と、を備える。
ここで第2の電極は、前記発光層から前記バンクの端部まで覆うように形成されていることは好ましい。
本発明は本発明の上記発光装置を備える電気光学装置でもある。
また本発明は本発明の上記発光装置を備える電子機器でもある。
本発明の発光装置の製造方法は、第1の基板上に第1の配線を形成する工程と、前記第1の基板及び前記第1の配線の上に保護薄膜を形成する工程と、前記保護薄膜の一部を前記第1の配線に達するところまで貫通させた貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の内部及び前記保護薄膜上に、前記第1の配線と電気的に接続するように第2の配線を形成する工程と、前記保護薄膜上に第1の電極を形成する工程と、前記第2の配線及び前記第1の電極と電気的に接続するように駆動回路を形成する工程と、第2の基板上に第2の電極を形成する工程と、前記第2の電極または前記第2の基板の上に複数のバンクを形成する工程と、前記複数のバンクで相互に分離された画素形成領域に有機EL層を含む発光層を形成する工程と、前記発光層上に第3の電極を形成する工程と、前記第2の電極上に形成されている複数のバンクと、前記複数のバンクで相互に分離された画素形成領域に形成されている有機EL層を含む発光層と、前記発光層上に形成されている第3の電極と、前記第1の基板と前記第2の基板とを張り合わせるようにして、前記第1の電極と前記第3の電極とを電気的に接続する工程と、を備えていることを特徴とする。
ここで、さらに前記第1の基板と前記第2の基板との間を封止する工程を備えていることは好ましい。
本発明は、前記発光層は、前記第1の基板または前記第2の基板の平面に略垂直方向から見て前記駆動回路の一部または全部と重なり合うように形成することを特徴とする。
ここで、前記封止工程では、少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板との間の一部に接着剤を封入することは好ましい。
ここで、前記封止工程では、少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板との間に不活性気体を封入することは好ましい。
例えば、前記発光層を形成する工程では、少なくとも前記第1の電極側に正孔注入層を形成する工程と、前記正孔注入層の上に前記有機EL層を形成する工程と、を備える。
ここで、前記第3の電極を形成する工程では、前記発光層から前記バンクの端部まで覆うように前記第3の電極を形成することは好ましい。
ここで、前記駆動回路を形成する工程では、第3の基板の上に剥離層を形成する工程と、前記剥離層の上に複数の前記駆動回路を形成する工程と、前記第3の基板と前記第1の基板とを、少なくとも複数の前記駆動回路の一部が前記第1の電極及び前記第2の配線と電気的に接続する位置にアライメントする工程と、位置合わせした少なくとも前記駆動回路の一部が形成されている剥離層にエネルギーを付与することにより、前記駆動回路を前記第1の電極及び前記第2の配線と電気的に接続する位置に転写する工程と、を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、第2の電極が駆動回路と電気的に接続されるので第2の電極が有機EL層に対し駆動回路側に存在する。また、第2の電極には酸化を防止する手段が設けられるので、第2の電極の損傷を防止できる。そして、第3の電極が光透過性を備えるので、発光層から射出された光は第3の電極を透過して射出される。発光効率が第2の電極の下層にある駆動回路の規模や配置に影響されないため、発光装置の開口率を高くすることが可能である。
ここで、本発明において「光透過性」とは、光をほぼ100%透過する透明な状態の他、ある程度光を減衰しても実用目的を満たす程度に光を透過し得るような状態をも含む。
また、「EL(エレクトロルミネッセンス)層」とは、その発光性物質が有機であるか無機(Zn:S等)であるかを問わず、電界の印加によって、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが再結合する際に再結合エネルギーにより発光させるエレクトロルミネッセンス現象を利用して発光する発光材料で形成された層一般をいう。また「発光層」の層構造として、発光性物質からなるEL層の他、正孔注入(輸送)層および電子注入(輸送)層のいずれかまたは双方を備えていてもよい。具体的には、層構造として、陰極/発光層/陽極の他、陰極/発光層/正孔注入層/陽極、陰極/電子注入層/発光層/陽極、または陰極/電子注入層/発光層/正孔注入層/陽極などの層構造を適用可能である。特に、陽極に透明電極材料を用いるなら、正孔注入層を備えていることが好ましい。
また「駆動回路」とは、電流駆動型のEL層を備える発光基板を駆動する電流を供給可能に構成された回路をいい、例えば、薄膜トランジスタを含んで構成される。発光装置がアクティブマトリックス型等の電気光学装置である場合には、各画素の発光に関与する回路素子の集合体をいう。
また「発光装置」は、光を発する機能を有していれば充分で、必ずしも画像表示機能を要求されるものではない。例えば、照明装置や掲示装置等を含む概念である。
本発明の構成によれば、発光層からの光は第3の電極側から射出されるので、発光層から見て第2の電極の下層側には重複して駆動回路が存在していても射出される光を遮ることがない。発光効率が駆動回路の規模や配置に影響されないため、発光装置の開口率を高くすることが可能である。
ここで例えば、第2の電極の酸化を防止する手段としては、例えば、第2の電極を密封する接着剤が発光基板と前記駆動回路基板との間に封入されているので、接着剤を充填することにより、第2の電極を酸化する要因となる酸素を遮断できる。また、接着剤の接着力によって、発光基板と駆動回路基板とをより強固に貼り合わせることが可能となる。接着剤によれば、絶縁性能も高いため、電気的特性に悪影響を与えることもない。
ここで例えば、陰極層の酸化を防止する手段として、第2の電極の酸化を防止する不活性気体が封入されているので、第2の電極を酸化する要因となる酸素が第2の電極に作用することを防止可能である。不活性気体を封入し空気を遮断する必要があるため、発光装置の基板端面等には不活性気体を密封する構造を設けることが好ましい。
ここで例えば、発光層は、正孔注入層と、有機EL層と、を少なくとも備えるので、正孔注入層を用いる場合、動作時に第3の電極からの正孔を効率よく有機EL層側に供給し発光効率を上げることができる。また、製造工程において、第3の電極側から積層していく場合に、正孔注入層を形成してから有機EL層を形成することになるため、正孔注入層の存在により有機EL層を平坦にかつ均一な厚みに形成できる。このことは発光量の均一化や一部に電流が集中することによる耐久性の低下を防止することに繋がる。
ここで例えば、第2の電極は、発光層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止構造を備えるので、電子を効率的に有機EL層に注入することが可能となる他、第2の電極が空気等に触れて酸化されることを防止することが出来る。
なお「露出防止構造」とは、第2の電極が直接酸素に触れることを防止する構造をいい、例えば、第2の電極をパターニングして、接続後に露出部分を接着剤や不活性気体で囲むことが可能な構造にすることをいう。または、他の層を第2の電極上にさらに積層して酸化を防止することも含まれる。
ここで例えば、駆動回路基板は、出力が供給され、第2の電極に接続される電極を備える。電極を備えれば第2の電極に接続し易く、また、このような電極が形成されている駆動回路基板は、当該発明に適用されることを推定できる。
ここで例えば、第1の電極と第2のとは導電性材料により電気的に接続されているが可能であり、導電性材料により、第1の電極と第2の電極との接触抵抗を下げ、また、不必要な電気的接続が発生する等、予期せぬ短絡等を防止することが出来る。
なお、「導電性材料」は、導電性が高く、電極間の接続に利用できるものをいうが、例えば異方性導電性ペーストや異方性導電性フィルムを利用可能である。
本発明において、「電気光学装置」とは、上記発光装置に電源等を供給する設備を備え、独立して発光作用を奏することができるように構成された装置をいい、電子機器の部品となりうるもの、例えば照明板、表示体等のユニットをいう。また「電子機器」は上記発光装置を備え取引の対象となりうる装置一般をいい、その構成に限定が無いが、例えば、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル付き装置、携帯電話、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置等をいう。
本発明の製造方法によれば、第2の電極が駆動回路と電気的に接続されるので第2の電極が有機EL層に対し駆動回路側に存在する発光装置が製造できる。また、第2の電極には酸化を防止する手段が設けられるので、第2の電極の損傷を防止できる。そして、第2の電極が光透過性を備えるので、発光層から射出された光は第3の電極を透過して射出される。発光効率が第2の電極の下層にある駆動回路の規模や配置に影響されないため、発光装置の開口率を高くすることが可能である。
ここで例えば、発光基板と駆動回路基板とを接続した場合に、基板平面に略垂直方向から見て、駆動回路基板における駆動回路の一部または全部が発光基板における発光層と重なり合う位置に形成する。本発明によれば、発光層からの光は第3の電極側から射出されるので、発光層から見て第2の電極の下層側には重複して駆動回路が存在していても射出される光を遮ることがない。このため、発光効率の低下を考慮することなく、仕様に応じて自由に駆動回路を配置したり回路構成を設計したりすることが可能である。
ここで例えば、封止する工程では、第2の電極を密封する接着剤を発光基板と駆動回路基板との間に充填してもよい。接着剤を充填することにより、第2の電極を酸化する要因となる酸素を遮断できる。また、接着剤の接着力によって、発光基板と駆動回路基板とをより強固に貼り合わせることが可能となる。接着剤によれば、絶縁性能も高いため、電気的特性に悪影響を与えることもない。
ここで例えば、封止する工程では、第3の電極の酸化を防止する不活性気体を発光基板と駆動回路基板との間に封入する。不活性気体を充填すれば、第2の電極を酸化する要因となる酸素が第2の電極に作用することを防止可能である。不活性気体を封入し空気を遮断する必要があるため、発光装置の基板端面等には不活性気体を密封する構造を設けることが好ましい。
ここで例えば、発光層として、第3の電極側に正孔注入層を形成する工程と、正孔注入層上に有機EL層を形成する工程と、を備えるので、正孔注入層を形成してから有機EL層を形成することになるため、正孔注入層の存在によりEL層を平坦にかつ均一な厚みに形成できる。このことは発光量の均一化や一部に電流が集中することによる耐久性の低下を防止することに繋がる。また正孔注入層を用いるので、動作時に第3の電極からの正孔を効率よく有機EL層側に供給し発光効率を上げることができる。
ここで例えば、第2の電極を、有機EL層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止形状に形成する。このような形状に形成すれば、電子を効率的にEL層に注入することが可能となる他、第2の電極が空気等に触れて酸化されることを防止することが出来る。
ここで例えば、駆動回路基板を形成する工程では、駆動回路からの出力が供給され、第2の電極に接続される電極を形成する。電極を形成すれば第2の電極に接続し易く、また、このような電極が形成されている駆動回路基板は、当該製造方法を使用したものと推定できる。
ここで例えば、第1の電極と第2の電極とを導電性材料により電気的に接続する。導電性材料により、第1の電極と第2の電極との接触抵抗を下げ、また、不必要な電気的接続が発生する等、予期せぬ短絡等を防止することが出来る。
本発明の発光装置(有機EL表示体)は有機EL素子を表示部に用いた表示体であって、前記有機EL素子の駆動回路が作りこまれた第1の基板と、前記有機EL素子が作りこまれた第2の基板をそれぞれ用意し、これを張り合わせて構成される。
これにより、駆動回路に対してEL素子側の面が表示面となり、画素領域内にメモリを始めとする色々な回路を内蔵し、表示体の性能や付加価値を上げたり、高精細な表示体の実現が可能となる。
なお、上記の発光体において、前記第1の基板及び第2の基板の張り合わせる側の表面には、それぞれ接続用の電極が形成され、この電極同士を接続してもよい。
また上記の発光装置において、前記第2の基板の接続用電極は、ELの第2の電極につながっていいてもよい。
また上記の発光装置において、表示体としての表面は前記第2の基板側としてもよい。
また上記の発光装置において、前記EL基板は透明材料からなる共通の第3の電極と、その上に各画素に対応して形成されたホール輸送層、発光層、第2の電極のパターンを含んでいてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板上の、駆動回路はガラス基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板上の、駆動回路はフレキシブル基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板が、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を転写して形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板が、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を画素毎或いは複数の画素毎に転写して形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板が、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路をフレキシブル基板上に転写して形成されていてもよい。この構成によれば、転写技術を用いて駆動回路を画素毎に転写して、半導体材料を無駄にすることなく表示体を製造することができる。
また上記の発光装置において、前記第2の基板が、ガラス基板上に形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第2の基板が、フレキシブル基板上に形成されていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第1の基板及び第2の基板の張り合わせが、異方性導電性ペースト又は異方性導電性フィルムを両者間に挟み込むことによりなされていてもよい。
また上記の発光装置において、前記第2の基板が、基板表面に各画素で共通の透明電極層が積層されるとともに、その透明電極層の上面に、有機EL層を含む発光層及び第2の電極が、前記各画素に対応した位置に積層されていてもよい。
本発明の発光装置の製造方法は、有機EL素子の駆動回路が作りこまれた第1の基板と、前記有機EL素子が作りこまれた第2の基板とを張り合わせる。
この製造方法によれば、大型表示体の製造やフレキシブルな表示体の製造が可能となる。
なお、上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板と第2の基板とを張り合わせる側の表面には、それぞれ接続用の電極を形成し、この電極同士を接続してもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第2の基板の接続用電極を、第2の電極に接続する。
また上記の製造方法において、表示体としての表面は前記第2の基板側であることを特徴とする。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第2の基板は透明材料からなる共通の第3の電極と、その上に各画素に対応して形成されたホール輸送層、発光層、第2の電極のパターンを含んでいてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板において、駆動回路はガラス基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記駆動回路はフレキシブル基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されていてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板は、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を転写して形成されてもよい。
また上記の発光装置の製造方法において、前記第1の基板は、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路を画素毎或いは複数の画素毎に転写して形成されていてもよい。
また前記駆動回路基板は、他の基板上に形成された薄膜トランジスタで構成される駆動回路をフレキシブル基板上に転写して形成されていてもよい。
また前記第2の基板は、ガラス基板上に形成されていてもよい。
また前記第2の基板は、フレキシブル基板上に形成されていてもよい。
また前記第1の基板及び第2の基板の張り合わせを、異方性導電性ペースト又は異方性導電性フィルムを両者間に挟み込むことにより行ってもよい。なお、異方性導電性ペースト及び異方性導電性フィルムとは、既に公知のものであって、接着剤として利用可能なペースト及びフィルムであり、接着剤として二つの部材間に薄く介在した場合に、膜厚方向には低い電気抵抗を示し、膜の面に沿った方向には高い電気抵抗を示すものである。
また前記第2の基板は、基板表面に各画素で共通の透明電極層が積層されるとともに、その透明電極層の上面に、有機EL層を含む発光層及び第2の電極が、前記各画素に対応した位置に積層されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の発光装置の一例である第1の実施の形態に係る発光装置の断面図(図2におけるA−A切断面)。
【図2】第1の実施の形態に係る発光装置の平面図。
【図3】貼り合わせ工程前における駆動回路基板の断面図。
【図4】貼り合わせ工程前の発光基板の断面図。
【図5】貼り合わせ工程後の発光装置の断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置の回路図。
【図7】第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法を例示する製造工程図。
【図8】本発明の発光装置の一例である第2の実施の形態に係る発光装置における、貼り合わせ工程前の発光基板の断面図。
【図9】第2の実施の形態に係る発光装置における貼り合わせ工程前の駆動回路基板の断面図。
【図10】貼り合わせ工程後の発光装置の断面図。
【図11】本発明の発光装置の一例である第3の実施の形態に係る発光装置における貼り合わせ工程前の発光基板の断面図。
【図12】第3の実施の形態に係る発光装置における駆動回路基板に転写される前の、薄膜トランジスタから構成される駆動回路の断面図。
【図13】本発明に係る電子機器の一例であるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図。
【図14】本発明に係る電子機器の一例である携帯電話の構成を示す斜視図。
【図15】本発明に係る電子機器の一例であるディジタルスチルカメラの背面側の構成を示す斜視図。
【図16】従来の有機EL表示体の構造を示す断面図。
【図17】従来の有機EL表示体の構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、好適な本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
<発光装置の構造>
図1に、本発明に係る第1の実施の形態の発光装置1000の断面図を示す。図2に、当該第1の実施の形態に係る発光装置1000の平面図を示す。図1は、図2の平面図におけるA−A切断面における断面図である。
【0013】
本第1の実施の形態における発光装置1000は、画像表示に用いられる有機EL表示体であり、駆動回路基板100側の構造と、発光(EL)基板300側の構造と、を備えている。
【0014】
図1に示すように、駆動回路基板100の層構造は、下層側から、基板10、半導体薄膜11(ソース112、ドレイン113、チャネル114)、ゲート絶縁膜12、ゲート電極層13、第1保護薄膜14、配線層16、第2保護薄膜17、画素電極層19の各層を備えて構成されている。
【0015】
一方、発光基板300の層構造は、上層側(図面上から:製造時には下層側になる)から、透明基板30、透明電極層31、バンク32で仕切られた画素形成領域内に正孔注入層33、有機EL層34、及び陰極層36が積層されて構成されている。正孔注入層33及び有機EL層34によって発光層35が形成されている。
【0016】
より具体的には、図2の平面図に示すように駆動回路や画素領域が配置されている。図6に、この配置に対応する発光装置1000の回路図を示す。図2及び図6を参照して判るように、当該発光装置は、電源を供給する電源線(supply line)161及び書き込み情報を供給する信号線(signal line)163と、走査信号を供給する走査線(scan line)193及び保持容量(storage capacitor)Cが接続される容量線(capacitor line)192と、が交差した領域に、個々の画素領域が設けられている。
【0017】
半導体薄膜11は、駆動用薄膜トランジスタ(driving TFT)T1に係る薄膜110、及びスイッチング用薄膜トランジスタ(switching TFT)T2に係る薄膜111にパターニングされている。ゲート電極層13は、薄膜トランジスタT1に係るゲート電極131、及び薄膜トランジスタT2に係るゲート電極132にパターニングされている。また配線層16は、電源線161、ドレイン電極162、信号線163、及び容量電極164にパターニングされている。画素電極層19は、画素電極191、容量線192、及び走査線193にパターニングされている。
【0018】
さらに、駆動用薄膜トランジスタT1を構成する半導体薄膜110のソース112は、貫通孔151を介して電源線161に接続されている。薄膜トランジスタT1のドレイン113は、貫通孔152を介してドレイン電極162に接続されている。ドレイン電極162は、貫通孔181を介して画素電極191に接続されている。一方、薄膜トランジスタT1のゲート電極131は、貫通孔154を介して保持容量Cに接続され、さらに貫通孔155を介してスイッチング用薄膜トランジスタT2を構成する半導体薄膜111のソース112に接続されている。保持容量Cは、容量線192との間で電荷を蓄積し、この保持容量Cの両端に保持される電圧に対応して発光層35を駆動するための電流が定まるようになっている。さらに、薄膜トランジスタT2のドレイン113は、貫通孔153を介して信号線163に接続されている。薄膜トランジスタT2のゲート電極132は、貫通孔156を介して走査線193に接続されている。
【0019】
図1及び図6から判るように、上記構成によれば、駆動回路基板100において、走査タイミング毎に走査線193がオン状態になると、スイッチング用薄膜トランジスタT2が導通し、信号線163に供給されている電圧が保持容量Cに蓄積される。次いで、この電圧に対応した電流が駆動用薄膜トランジスタT1を流れるようになるため、この電流が有機EL素子の陽極側(cathode)、すなわち陽極層31からが発光層35、すなわち正孔注入層33及び有機EL層34に流れ込み、電流量に対応する光量で発光する。つまり、信号線163において指定された電圧に対応する光量で有機EL素子が発光するのである。
【0020】
特に本発明では、発光層35から発せられた光が、光透過性のある陽極層31を介して基板30から射出され、陰極層36側には射出されない。このため、発光層35から見て陰極層36の背後には光を透過しない部材を設けても、すなわち駆動回路が存在していても影響がない。そこで、本実施の形態では、例えば図2の平面図に示すように、平面図上、発光層35に一部または全部が重複させて薄膜トランジスタT1やT2、保持容量C、配線層161〜164、191〜193を配置することができるのである。
【0021】
<駆動回路の製造方法>
次に、図7の製造工程フローチャートを参照して、本発光装置の製造方法について説明する。図7に示すように、この製造方法は、駆動回路基板100を形成する工程(S10〜S17)、発光基板300を形成する工程(S20〜24)、及び両基板を用いて発光装置1000を製造する工程(S30、S31)によって構成されている。
【0022】
この駆動回路基板の形成や発光基板の形成は、別個独立に、例えば異なる工場で実施されてもいいし、同一の製造現場にて順番に実施(例えば駆動回路基板を形成し、その次に発光基板を形成する。またはその逆)してもよい。また、発光装置1000を製造する工程は、駆動回路基板の形成や発光基板の形成と同じ場所で行っても、異なる場所で行ってもよい。ここでは、便宜上、駆動回路基板の形成から順に説明する。
【0023】
駆動回路基板100の製造には、公知の各種製造技術を適用可能である。以下その一例を挙げる。まず駆動回路基板100の基台となる基板10上に半導体薄膜11(110、111)を形成する(S10)。本発明では駆動回路基板側に光透過性のある材料を使用する必要はないため、耐久性、機械的強度等によって基板材料を選択可能である。例えば基板10には、金属等の導電性物質、シリコン・カーバイトやアルミナ、窒化アルミニウム等のセラミック材料、溶融石英やガラス等の透明または非透明絶縁性物質、シリコンウェーハー等の半導体物質、およびそれを加工したLSI基板等が使用可能である。
【0024】
なお、本願出願人が開発した転写技術(例えば、特開平10−125931号公報や特開平11−26733号公報)を利用してガラス基板等に予め別途に形成した半導体装置をフレキシブル基板に転写して駆動回路基板を製造する場合には、基板10がフレキシブル基板となる。詳しくは第2の実施の形態において述べる。
【0025】
半導体薄膜11の材料としてはシリコンやゲルマニウム、シリコン・ゲルマニウムやシリコン・カーバイドやゲルマニウム・カーバイド等を利用可能である。半導体薄膜11は、APCVD法やLPCVD法、PECVD法等のCVD法、或いはスパッタ法等や蒸着法等のPVD法で形成される。半導体薄膜11の性能を高めるためには、エキシマレーザ等の高出力レーザを用いて半導体薄膜を多結晶化させてもよい。この半導体薄膜11は、各薄膜トランジスタ形状にフォトリソグラフィ等でフォトリソグラフィによりパターンを形成した後、ドライエッチング等でエッチングされて形成される。
【0026】
次いで、ゲート絶縁膜12を形成する(S11)。ゲート絶縁膜12は、ECRプラズマCVD法、平行平板RF放電プラズマCVD法等公知の方法によって、SiO2を堆積させて所定の厚みに形成される。
【0027】
引き続いて、ゲート電極層13(131、132)を形成する(S12)。まず、ゲート絶縁膜12上にゲート電極なる金属薄膜をPVD法或いはCVD法などで堆積する。ゲート電極層の材質は電気抵抗が低く、熱工程に対して安定である事が望まれ、例えばタンタル、タングステン、クロム等の高融点金属がふさわしい。また、イオンドーピングによってソース、ドレインを形成する場合、水素のチャネリングを防止するためにこのゲート電極の膜厚がおよそ700nm程度必要になる。ゲート電極層13形成後に、公知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法を適用してゲート電極131、132の形状にパターニングする。
【0028】
次に、半導体薄膜11に不純物導入をしてソース112、ドレイン113、チャネル114の各領域を形成する(S13)。この不純物導入ではゲート電極131、132がイオン注入のマスクとなるので、チャネルはゲート電極下のみに形成される自己整合構造となる。例えば、薄膜トランジスタがn型MOSトランジスタである場合、チャネル114にはボロン、ガリウム、インジウムなどのp型不純物がドーピングされ、ソース112及びドレイン113にはリン、ヒ素、アンチモンなどのn型不純物が導入される。
【0029】
次いで、ゲート電極を覆うように第1保護薄膜14を形成する(S14)。第1保護薄膜14の形成は、ゲート絶縁膜の形成と同様に行う。
【0030】
次いで、配線層16(161〜164)を形成する(S15)。その前に、当該配線層16と半導体薄膜11やゲート電極13とを電気的に接続するための貫通孔15(151〜155)をゲート絶縁膜12や第1保護薄膜14に開孔させる。そして、PVD法やCVD法等の公知の技術を利用して、アルミニウム等の金属で配線層16を形成し、各配線の形態にパターニングし、電源線161、ドレイン電極162、信号線163、容量電極164を形成する。
【0031】
次いで第2保護薄膜16を第1保護薄膜14と同様にして形成してから(S16)、配線層19(191〜193)を下層のドレイン電極162、走査線193を電気的に接続するための貫通孔18(181、182)を開孔させる。そして、第2の配線層19をPVD法やCVD法等の公知の技術を利用して形成し、画素電極191や容量線192、走査線193の形状にパターニングする(S17)。各配線層19や画素電極層19は、導電性のある金属材料、例えばアルミニウムリチウム(Al−Li)を0.1μm〜1.0μm程度積層して形成する。以上の各工程により駆動回路基板100が形成される。
【0032】
図3に、このようにして製造された駆動回路基板100の層構造を示す。なお図3は、図2の平面図における屈曲した切断面B−Bおいて切断した場合の断面図である。
【0033】
<発光基板の製造方法>
次に、さらに図7の製造工程フローチャートを参照して発光基板300の製造方法を説明する。発光基板300の製造には、公知の各種製造技術を適用可能である。以下その一例を挙げる。
【0034】
まず、透明基板30上に透明電極層31を形成する(S20)。本発明では発光層からの光はこの基板30を透過して射出されるため、基板30は光透過性があることが基本であり、その他、耐久性、機械的強度等を考慮して材料を選択する。例えば、溶融石英やガラス等の透明または半透明絶縁性物質を使用可能である。透明電極層31は、導電性がありかつ光透過性のある材料であって、EL層34に用いられる有機EL材料のHOMOレベルに対してそれぞれ仕事関数の近いもの、例えばITO、ネサ等により形成する。透明電極層31は、各画素領域の共通電極となるように各画素に配置されている発光層35の全域にわたって共通に形成されている。形成方法は公知の塗布用、スパッタ法等により、0.05μm〜0.2μm程度の厚みに調整されている。
【0035】
次いで透明電極層31上にバンク層32を形成する。当該バンク層は、各画素において発光層35や陰極層36を分離する仕切部材としての役割を果たしている。バンク層32の材料は、絶縁無機化合物または絶縁有機化合物によって構成され、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ポリイミドまたはフッ素化合物等を利用可能である。例えば、バンク層32は、正孔注入層33やEL層34等を形成するための薄膜材料液に対する接触角が30度以下となるようにその親和性が調整される。バンク層32の厚みは、正孔注入層33及びEL層34の形成後の厚みの合計より厚く、かつ、陰極層36の形成後の厚みをさらに合計した厚みよりは低くなるように調整される。バンク層32は、上記絶縁化合物を公知のスパッタ法、CVD法、各種塗布法(スピンコート、スプレーコード、ロールコート、ダイコート、ディップコート)等で成膜後に、フォトリソグラフィ法等でバンク領域を残して当該化合物を除去することによって形成される。
【0036】
次いで、正孔注入層33を形成する(S22)。正孔注入層33の材料としては、正孔の注入機能または電子の障壁となる機能を備えた有機物または無機物を使用する。例えば特開平10-163967号や特開平8-248276号に記載されているものを使用可能である。
【0037】
さて当該正孔注入層33や次工程のEL層34の形成には、公知の種々の方法を利用できるが、インクジェット法を利用することは好ましい。そのために、バンク層32で囲まれた凹部にこれら層を形成するために薄膜材料液を順次充填して薄膜層を形成していく。インクジェット方式によれば任意の位置に任意の量で流動体を充填することができ、家庭用プリンタに使用されるような小型の装置で充填が可能だからである。例えば、インクジェットヘッドから薄膜材料液をバンク層32間の凹部に充填し、加熱して溶媒成分を除去する。なおインクジェット方式としてはピエゾジェット方式でも熱による気泡発生による吐出する方法でも静電加圧方式であってもよい。加熱による流動体の変質が無い点でピエゾジェット方式が好ましい。
【0038】
正孔注入層33形成後に、同様の方法でEL層34を形成する(S23)。電流を流すことにより発光する材料を使用する。この材料は発光させる色彩に応じて、例えば特開平10-163967号や特開平8-248276号に記載されているものを使用する。具体的には、赤色のEL層の材料としては、シアノポリフェニレンビニレン前駆体、2-1,3',4'-ジヒドロキシフェニル-3,5,7-トリヒドロキシ-1-ベンゾポリリウムパークロレート、PVKにDCM1をドーピングしたものなどを用いる。緑色のEL層の材料としては、ポリフェニレンビンレン前駆体、2,3,6,7-テトラヒドロ-11-オキソ-1H、5H、11H-(1)ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-10-カルボン酸、PVKにコータミン6をドーピングしたものなどを用いる。青色のEL層の材料としては、アルミニウムキノリノール錯体、ピラゾリンダイマー、2,3,6,7-テトラヒドロ-9-メチル-11-オキソ-1H、5H、11H-(1)ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン、ジスチル誘導体、PVKに1,1,4,4-トリフェニル-1,3-ブタジエンをドーピングしたものなどを用いる。EL層34は、十分な光量が得られる厚み、例えば0.05μm〜0.2μm程度積層して構成される。
【0039】
なお、必要に応じて電子注入層をEL層の上に同様の方法で形成してもよい。陰極層から注入された電子を発光層に効率よく伝達するためである。電子注入層の材料としては、例えば特開平10-163967号や特開平8-248276号、特開昭59-194393号に記載されているものを使用可能である。具体的には、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体などを使用可能である。その厚みは電子輸送機能を十分に果たせる程度にする。
【0040】
次いで、陰極層36を形成する(S24)。本発明では、陰極層に光の透過率を考慮する必要がないので、発光層に用いる有機EL材料のLUMOレベルに対して仕事関数の近いものであればよい。例えば、陰極層の材料としては、カルシウム、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム、アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、その他希土類金属が挙げられる。陰極層の形成には、公知の技術、スパッタ法や蒸着法等を用いる。陰極層形成後にフォトリソグラフィ法とエッチング法とを適用して各画素領域毎に分離する。このとき、図1や図4に示すように、バンク層32のエッジを覆うように形成することは好ましい。発光層35に隙間無く接触させることが可能となるからである。
【0041】
図4に、このようにして形成された発光基板300の層構造を示す。なお図4は、図2の平面図における屈曲した切断面B−Bおいて切断した場合の断面図である。図4に示すように、ガ透明基板30の表面全体には、透明電極層31が成膜され、さらにその透明電極層31の上面には、絶縁物からなるバンク32で相互に分離された画素形成領域に透明電極層31側から、正孔注入層33、EL層34及び陰極層36が積層されていて、正孔注入層33及び有機EL層34で発光層35が構成されている。
【0042】
<接続工程:S30>
次に、図3に示した駆動回路基板100と、図4に示した発光基板300とを、画素電極191が形成された側と陰極層36が形成された側とを向かい合わせて張り合わせる。画素電極191と陰極層36とは電気的に接続されるように、駆動回路基板100及び発光基板300の位置合わせを行う。このとき、駆動回路基板100における画素電極191と発光基板300における陰極層36との間の導電性を確保するために、異方性導電性ペースト又は異方性導電性フィルムを用いることが好ましい。このような導電性材料を用いることによって、予期せぬ短絡等を避けることができる。本実施の形態によれば、画素電極191と陰極層36とがそれぞれ相対的に突出しているので、位置合わせを正しく行えば、両電極を圧着して確実な電気伝導を確保することが可能である。
【0043】
図5に、このようにして駆動回路基板100及び発光基板300を貼り合わせた状態の発光装置1000全体の断面図を示す。なお図5は、図2の平面図における屈曲した切断面B−Bおいて切断した場合の断面図である。
【0044】
<封止工程:S31>
次に、必要に応じて、電気的に接続した駆動回路基板100と発光基板300との間に、電気伝導性の無い、かつ、陰極材料に対し不活性な充填材料20を充填し基板間を封止する。
【0045】
このような材料20として例えば、各種接着剤が適当である。接着剤としては、反応性硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等の各種硬化型接着剤が挙げられ得る。このような接着剤の組成としては、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等を適用することが可能である。接着剤は、例えば塗布法によって形成される。陰極層も駆動回路基板も光を透過しないため、光以外のエネルギーで硬化する接着剤であることが好ましい。例えば駆動回路基板100の画素電極191以外の領域に適量接着剤を塗布し、画素電極191と発光基板300の陰極層36との電気的接続を確保しながら発光基板300全体を接合した後、硬化型接着剤の特性に応じた硬化方法により、前記硬化型接着剤を硬化させる。
【0046】
接着剤を充填することにより、陰極層を酸化する要因となる酸素を遮断できる。また、接着剤の接着力によって、発光基板と駆動回路基板とをより強固に貼り合わせることが可能となる。接着剤によれば、絶縁性能も高いため、電気的特性に悪影響を与えることもない。
【0047】
なお、接着剤を利用せずに、駆動回路基板100と発光基板300との間に不活性気体を充填して封止してもよい。不活性気体としては、例えばヘリウム、アルゴン等を利用可能である。ただし、陰極層に酸素が作用しなければよいため、駆動回路基板と発光基板との間の真空度を高めてもよい。気体を利用したり真空にしたりする場合には、両基板間の気密性を高めるため、基板端を封止するような構造にする必要がある。不活性気体を充填したり真空にしたりすれば、陰極層を酸化する要因となる酸素が陰極層に作用することを防止可能である。
【0048】
図5にも示されるように、上記の製造工程によって製造される発光装置1000において、駆動回路が動作して電流が陰極層36から発光層35に流入すると、発光層35はその電流量に応じた光量で発光するようになる。このとき、陰極層36には光透過性は無いが、陽極側は透明電極層31が形成されているので、発光層35から発せられた光は、透明電極層31及び基板30を通じて外部に照射されることになる。
【0049】
<実施の形態の利点>
このように、本第1の実施の形態であれば、駆動回路基板100と発光基板300とを別工程で製造するため、歩留まりが向上する。事情に応じて、駆動回路基板100と発光基板300とを別々の工場或いは異なった企業においてそれぞれ製造し、最終的に両者を張り合わせるといった製造方法も可能であるから、製造コストの低減を図る上でも極めて有利である。
【0050】
また本第1の実施の形態によれば、発光層35から発せられた光は、透明電極層31及び基板30を通じて外部に照射されることになる。つまり、基板30全体が表示面となるが、発光層35の基板30側には光を遮る配線等が作り込まれていないから、発光装置としての開口率を極めて高くすることができる。
【0051】
一方、駆動回路基板100側の構造については開口率に関与しない為、画素領域全てに回路を配置できる。従って、画素領域内にメモリを始めとする色々な回路を内蔵し、表示体の性能や付加価値を上げることが可能になる。また有機ELは電流駆動素子であることから、表示体のサイズ、或いは精細度の増大に伴い、駆動電流も大きくなる。この場合配線幅を太くする必要が生じるが、この問題にも配線領域を自由に確保可能であるため対応可能である。また駆動回路基板の構成材料が透明である必要もない。
【0052】
しかも、発光装置1000の各画素のピッチは、発光基板30に作り込まれた発光層35の間のピッチによって決まるものであって、駆動回路基板100とEL基板30との張り合わせの際の位置決め精度は、画素ピッチにはなんら影響を与えない。このため、本実施の形態のような張り合わせによる製造方法を採用したとしても、発光装置1000の画素ピッチの精度が低下するようなことがないのである。
このように、本実施の形態の製造方法によれば、発光装置を極めて効率的に製造することができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
以下では、本発明第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図8乃至図10は、本発明第2の実施形態を示す図である。図8は張り合わせる前の駆動回路基板600の断面図、図9は張り合わせる前の発光(EL)基板700の断面図、図10は両者を張り合わせることにより製造された有機EL表示体である発光装置800の断面図である。
本実施の形態に係る発光装置800にといて、具体的な各層の構成(材料)については、上記第1の実施の形態と類似しているため、異なる点を主に説明するものとする。
【0054】
図8に示すように、駆動回路基板600において、合成樹脂等の絶縁物からなる基材60の表面には、後に製造される発光装置800の画素の位置に対応して、走査線や信号線等の配線61が形成されている。更に配線61の表面は保護薄膜62で覆われている。この保護薄膜62には配線61の一部を露出させるための貫通孔63が開口しており、その貫通孔63を通じて配線61の一部と導通がとられるように、配線64及び画素電極65が形成されている。特に本実施の形態においては、基材60が合成樹脂等で構成されている点に特徴がある。
【0055】
なお、保護薄膜62の製膜方法、貫通孔63の開口方法、配線61、64、画素電極65のパターニング方法等については上記第1の実施の形態と同様に考えられる。すなわち、公知の製膜方法やフォトリソ工程が適用可能である。
【0056】
更に薄膜トランジスタ等から構成される駆動回路66が画素毎或いは複数の画素毎に配置され、且つ配線64及び画素電極65とつながっている。従って、駆動回路は駆動回路基板600の走査線や信号線等61及び画素電極65と接続していることになる。
【0057】
上記各層の材料及び製造方法については、上記第1の実施の形態と同様に考えられるため(図7:S10〜S17)、説明を省略する。
【0058】
一方、図9に示すように、発光基板700において、合成樹脂等からなる基材70の表面全体には、透明電極層71が成膜されている。さらにその透明電極層71の上面には、絶縁物からなるバンク72で相互に分離された画素形成領域に透明電極層71側から、正孔注入層73、有機EL層74及び陰極層76が積層されている。正孔注入層73及び有機EL層74で発光層75が構成されている。特に本実施の形態においては、基材70が合成樹脂から構成されている点にも特徴がある。
【0059】
なお、他の透明電極層71、正孔注入層73、有機EL層74、陰極層76を形成する材料及び製造方法は、上記第1の実施の形態と同様(図7:S20〜S24)に考えられるため、説明を省略する。
【0060】
図10に示すように、本実施の形態に係る発光装置800は、図8に示した駆動回路基板600と、図9に示した発光基板700とを、画素電極65が形成された側と陰極層76が形成された側とを内側に向けて張り合わせて構成されている。従って、画素電極65と陰極層76とが電気的に接続されるように、駆動回路基板600及び発光基板700の位置合わせを行って張り合わせる必要がある。両基板を貼り合わせる工程については、上記第1の実施の形態(図7:S30)と同様である。また上記第1の実施の形態と同様に、必要に応じて接着剤を充填したり不活性気体を封入したり真空にしたりする工程(S7:S31)を適用しても良い。
【0061】
ここで、発光基板700の代わりに、図11に示すような構造の発光基板900を適用してもよい。当該発光基板900において、合成樹脂等からなる基材90の表面全体には、透明電極層91が成膜されており、基材90はエッチングされている。ここで残った基板部分はバンク92として働く。バンク92により相互に分離された画素形成領域に透明電極層91側から、正孔注入層93、有機EL層94及び陰極層96が積層されていて、正孔注入層93及び有機EL層94で発光層95が構成されている。各層の材料及び構成については、上記第1の実施の形態と同様に考えられる。この変形例においても、基材90は合成樹脂等の材料で構成されている。
【0062】
また、駆動回路基板600において、各駆動回路66を、例えば図12に示すように、ガラス等の透明基板200の表面に形成されたものを転写技術により駆動回路基板600に転写して製造しても良い。すなわち、この製造方法を利用する場合、図12に示すように、予め転写元基板となるガラス等の透明基板200上にアモルファスシリコン等からなる剥離層201を堆積し、その上に複数の被転写体である薄膜トランジスタから構成される駆動回路66を形成する。この透明基板200と駆動回路基板600をアライメントし、駆動回路66の領域毎に透明基板200の、転写させるべき薄膜トランジスタに対応する一部領域にエネルギーを付与し(裏側から光を照射して)、当該薄膜トランジスタを転写先の駆動回路基板600に転写する。
【0063】
本第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、特に、駆動回路基板600における基材60と発光基板700における基材70とが共に合成樹脂等が用いられる点に特徴がある。このような合成樹脂製のプラスチック・フィルムは、温度を加えた時の膨張率が大きく、従来の方法では、有機EL層を形成する際のマスクアライメントが困難であるため使用できないとの認識があった。ところが本発明では、発光装置800の各画素のピッチは、基板70に作り込まれた発光層75のピッチによって決まるものであって、駆動回路基板600の基材60と発光基板700の基材70との張り合わせの際の位置決め精度は、画素ピッチにはなんら影響を与えない。すなわち、二つの基板上の微小なピッチの位置合わせを行うという目的ために、熱膨張率の低い重量のかさむガラス等の基板を用いる必要が無い。このため本実施の形態のように、合成樹脂等で基板を構成することが可能となり、自由に安価な基板材料を選択できるようになる。
【0064】
このように、本実施の形態の製造方法によれば、発光装置800を極めて効率的に製造することができ、結果として大型でフレキシブルな表示体の製造が可能となる。
【0065】
また本第2の実施の形態によれば、駆動回路基板600に間隔をおいて配置される複数の薄膜トランジスタ66を一括して透明基板200上に集積して製造することができるので、薄膜トランジスタ製造のための材料使用量を相対的に削減し、面積効率を大幅に向上し、多数の薄膜トランジスタ等の回路や素子が分散されて配置される駆動回路基板を効率よく安価に製造することができる。
【0066】
また本第2の実施の形態によれば、透明基板200上に集中的に製造した多数の薄膜トランジスタを転写前に選別、排除することが容易に実行可能となり、その結果製品歩留まりを向上することができる。
【0067】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態は、上述したEL素子駆動回路、及びこの駆動回路によって駆動される発光装置をアクティブマトリクス駆動可能に構成した電気光学装置である有機EL表示パネルを備えた電子機器の例のいくつかについて説明する。
【0068】
<その1:モバイル型コンピュータ>
まず、本第3の実施の形態に係る有機EL表示パネルをモバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図13は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図13において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とから構成されている。表示ユニット1106は、有機EL表示パネル1101を有している。
【0069】
<その2:携帯電話>
次に、有機EL表示パネルを、携帯電話の表示部に適用した例について説明する。図14は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図14において、携帯電話1200は、複数の操作ボタン1202のほか、受話口1204、送話口1206とともに、上述した有機EL表示パネル1201を備えるものである。
【0070】
<その3:ディジタルスチルカメラ>
さらに、有機EL表示パネルをファインダに用いたディジタルスチルカメラについて説明する。図15は、ディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図であるが、外部機器との接続についても簡易的に示すものである。
【0071】
通常のカメラは、被写体の光像によってフィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号を生成するものである。ここで、ディジタルスチルカメラ1300におけるケース1302の背面には、上述した有機EL表示パネル1301が設けられ、CDDによる撮像信号に基づいて、表示を行う構成となっている。このため有機EL表示パネル1301は、被写体を表示するファインダとして機能する。また、ケース1302の観察側(図15においては裏面側)には、光学レンズやCDDなどを含んだ受光ユニット1304が設けられている。
【0072】
ここで、撮影者が有機EL表示パネル1301に表示された被写体像を確認して、シャツボタン1306を押下すると、その時点におけるCDDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300にあっては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図15に示されるように、前者のビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、また、後者のデータ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作によって、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成となっている。
【0073】
なお、電子機器としては、図13のパーソナルコンピュータや、図14の携帯電話、図15のディジタルスチルカメラの他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、上述した表示装置が適用可能なのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明によれば、駆動回路が配設された駆動回路基板と発光層等が形成された発光基板とを張り合わせることにより発光装置を製造するようにしたため、発光装置を極めて効率的に製造することができるという効果がある。
特に、本発明によれば、大型でフレキシブルな表示体の製造が可能となる。
【符号の説明】
【0075】
10…基板、11…半導体薄膜(薄膜トランジスタ)、12…ゲート絶縁膜、13…ゲート電極層、14…保護薄膜、15…貫通孔、16…配線層、17…保護薄膜、18…貫通孔、19…画素電極層(配線層)、20…充填材料、30…透明(発光)基板、31…透明電極層(陽極層)、32…バンク、33…正孔注入層、34…有機EL層、35…発光層、36…陰極層、60…基材、61…配線、62…保護薄膜、63…貫通孔、64…配線、65…画素電極、66…駆動回路(薄膜トランジスタ)、70…基材、71…透明電極層、72…バンク、73…正孔注入層、74…有機EL層、75…発光層、76…陰極層、90…基材、91…透明電極層、92…バンク、93…正孔注入層、94…有機EL層、95…発光層、96…陰極層、100…駆動回路基板、110…半導体薄膜、111…半導体薄膜、112…ソース、113…ドレイン、114…チャネル、131…ゲート電極、132…ゲート電極、151…貫通孔、152…貫通孔、153…貫通孔、154…貫通孔、155…貫通孔、156…貫通孔、161…電源線、162…ドレイン電極、163…信号線、164…容量電極、181…貫通孔、191…画素電極、192…容量線、193…走査線、200…透明基板、201…剥離層、300…発光基板、600…駆動回路基板、700…発光基板、800…発光装置、900…発光基板、1000…発光装置、1100…パーソナルコンピュータ、1101…表示パネル、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1200…携帯電話、1201…表示パネル、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1300…ディジタルスチルカメラ、1301…表示パネル、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャツボタン、1308…回路基板、1312…ビデオ信号出力端子、1314…入出力端子、1430…テレビモニタ、1440…パーソナルコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性のある陽極層と陰極層との間にEL層を含む発光層が狭持されて構成される発光基板と、
前記発光層を駆動するための駆動回路が形成された駆動回路基板と、を備え、
前記駆動回路の出力が前記陰極層に電気的に接続されており、前記発光基板と前記駆動回路基板との間には、前記陰極層の酸化を防止する手段を備えている発光装置。
【請求項2】
前記発光層は、基板平面に略垂直方向から見て前記駆動回路の一部または全部と重なり合っている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記陰極層の酸化を防止する手段は、前記陰極層を密封する接着剤が前記発光基板と前記駆動回路基板との間に封入されて構成されている、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記陰極層の酸化を防止する手段は、前記陰極層の酸化を防止する不活性気体が前記発光基板と前記駆動回路基板との間に封入されて構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光層は、前記陽極層側に形成されている正孔注入層と、前記正孔注入層上に形成されている前記EL層と、を少なくとも備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記陰極層は、前記発光層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止構造を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記駆動回路基板は、前記出力が供給され、前記陰極層に接続される電極を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記電極と前記陰極層とは導電性材料により電気的に接続されている、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を備える電気光学装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を備える電子機器。
【請求項11】
光透過性のある陽極層と陰極層との間にEL層を含む発光層が狭持されて構成される発光基板を形成する工程と、
前記発光層を駆動するための駆動回路を備える駆動回路基板を形成する工程と、
前記発光基板における前記陰極層に前記駆動回路基板における前記駆動回路の出力を電気的に接続する工程と、
前記発光基板と前記駆動回路基板との間を、前記陰極層の酸化を防止可能に封止する工程と、を備えている発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記駆動回路基板を形成する工程では、前記発光基板と前記駆動回路基板とを接続した場合に、基板平面に略垂直方向から見て、前記駆動回路基板における前記駆動回路の一部または全部が前記発光基板における前記発光層と重なり合う位置に形成する、請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記封止する工程では、前記陰極層を密封する接着剤を前記発光基板と前記駆動回路基板との間に充填する、請求項11または12に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記封止する工程では、前記陰極層の酸化を防止する不活性気体を前記発光基板と前記駆動回路基板との間に封入する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記発光基板を形成する工程では、前記発光層として、前記陽極層側に正孔注入層を形成する工程と、前記正孔注入層上に前記EL層を形成する工程と、を少なくとも備える、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記発光基板を形成する工程では、前記陰極層を、前記発光層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止形状に形成する、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記駆動回路基板を形成する工程では、前記駆動回路からの前記出力が供給され、前記陰極層に接続される電極を形成する、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項18】
前記発光基板と前記駆動回路基板とを接続する工程では、前記電極と前記陰極層とを導電性材料により電気的に接続する、請求項17に記載の発光装置の製造方法。
【請求項19】
有機EL素子を表示部に用いた表示体であって、前記有機EL素子の駆動回路が作り込まれた駆動回路基板と、前記有機EL素子が作り込まれたEL基板をそれぞれ用意し、これを貼り合わせた発光装置。
【請求項20】
有機EL素子の駆動回路が作りこまれた駆動回路基板と、前記有機EL素子が作りこまれたEL基板を張り合わせる発光装置の製造方法。
【請求項1】
光透過性のある陽極層と陰極層との間にEL層を含む発光層が狭持されて構成される発光基板と、
前記発光層を駆動するための駆動回路が形成された駆動回路基板と、を備え、
前記駆動回路の出力が前記陰極層に電気的に接続されており、前記発光基板と前記駆動回路基板との間には、前記陰極層の酸化を防止する手段を備えている発光装置。
【請求項2】
前記発光層は、基板平面に略垂直方向から見て前記駆動回路の一部または全部と重なり合っている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記陰極層の酸化を防止する手段は、前記陰極層を密封する接着剤が前記発光基板と前記駆動回路基板との間に封入されて構成されている、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記陰極層の酸化を防止する手段は、前記陰極層の酸化を防止する不活性気体が前記発光基板と前記駆動回路基板との間に封入されて構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光層は、前記陽極層側に形成されている正孔注入層と、前記正孔注入層上に形成されている前記EL層と、を少なくとも備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記陰極層は、前記発光層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止構造を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記駆動回路基板は、前記出力が供給され、前記陰極層に接続される電極を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記電極と前記陰極層とは導電性材料により電気的に接続されている、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を備える電気光学装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を備える電子機器。
【請求項11】
光透過性のある陽極層と陰極層との間にEL層を含む発光層が狭持されて構成される発光基板を形成する工程と、
前記発光層を駆動するための駆動回路を備える駆動回路基板を形成する工程と、
前記発光基板における前記陰極層に前記駆動回路基板における前記駆動回路の出力を電気的に接続する工程と、
前記発光基板と前記駆動回路基板との間を、前記陰極層の酸化を防止可能に封止する工程と、を備えている発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記駆動回路基板を形成する工程では、前記発光基板と前記駆動回路基板とを接続した場合に、基板平面に略垂直方向から見て、前記駆動回路基板における前記駆動回路の一部または全部が前記発光基板における前記発光層と重なり合う位置に形成する、請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記封止する工程では、前記陰極層を密封する接着剤を前記発光基板と前記駆動回路基板との間に充填する、請求項11または12に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記封止する工程では、前記陰極層の酸化を防止する不活性気体を前記発光基板と前記駆動回路基板との間に封入する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記発光基板を形成する工程では、前記発光層として、前記陽極層側に正孔注入層を形成する工程と、前記正孔注入層上に前記EL層を形成する工程と、を少なくとも備える、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記発光基板を形成する工程では、前記陰極層を、前記発光層を覆い、かつ、基板端に端部が露出することを防止する露出防止形状に形成する、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記駆動回路基板を形成する工程では、前記駆動回路からの前記出力が供給され、前記陰極層に接続される電極を形成する、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項18】
前記発光基板と前記駆動回路基板とを接続する工程では、前記電極と前記陰極層とを導電性材料により電気的に接続する、請求項17に記載の発光装置の製造方法。
【請求項19】
有機EL素子を表示部に用いた表示体であって、前記有機EL素子の駆動回路が作り込まれた駆動回路基板と、前記有機EL素子が作り込まれたEL基板をそれぞれ用意し、これを貼り合わせた発光装置。
【請求項20】
有機EL素子の駆動回路が作りこまれた駆動回路基板と、前記有機EL素子が作りこまれたEL基板を張り合わせる発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−170946(P2009−170946A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113309(P2009−113309)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【分割の表示】特願2003−553880(P2003−553880)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【分割の表示】特願2003−553880(P2003−553880)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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