説明

発光装置のための光取り出し構造

複数の回折光取り出しユニット(diffractive outcoupling unit)を有する発光装置の指向性光取り出しシステムの一部を形成する回折光取り出しユニット(404)であって、ここで、該回折光取り出しユニットは、回折表面レリーフパターン(406)を収容するためのキャリア素子(401)、及びキャリア素子の表面領域上に画定された複数の連続する回折表面レリーフ形状であって、ここで、この形状の周期は、好ましくは、約10ミクロン若しくはそれ未満であり、該回折表面レリーフパターンの該複数の表面レリーフ形状のうちの少なくとも2個の表面レリーフ形状が関与する相互作用を通して、結合光の指向性を高めるように該回折表面レリーフパターンへの入射光をキャリア素子外部へ結合するよう配列された形状、を含む回折表面レリーフパターンを有する。さらに、複数の回折光取り出しユニットを含む回折光取り出しシステム、及びこの光取り出しシステムを含む導光体を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、本発明は、光学に関する。詳細には、本発明は、回折格子の効果を利用する、光取り出し(outcoupling)及び指向(directing)構造に関する。
【背景技術】
【0002】
回折格子構造は、回折効果を含む物理光学に基づいて光路を調節する微細表面構造である(断面プロフィールが、例えば、5ミクロン)。多くの周知の「マイクロプリズム」構造は、これらが比較的大きなものであり(断面プロフィールが、例えば、50ミクロン)、それによって、光路の変化がその中での屈折効果のみに基づく、すなわち、幾何光学の原理のみが適用されることから、真の回折構造ではない。
【0003】
一般的に、2つの媒体間の界面における光の屈折は、以下のスネルの法則によって記述され、
【数1】

反射は、θ=θで説明され、
ここで、θ、θ、及びθは、それぞれ、界面に対する法線ベクトルと入射ビーム、反射ビーム、及び屈折ビームとの間の入射角、反射角、及び屈折角である。n及びvは、それぞれ、第一及び第二の媒体の屈折率、並びに該媒体中での光速を意味する。図1aを参照されたい。内部全反射は、第二の物質と比べて屈折率の高い物質から到達する光が、表面に対する法線に対して臨界角以上の角度で媒体境界へ到達した場合に発生し得る。
【0004】
回折現象は、光をスペクトルに分光するために用いられる、多数の平行線、すなわち、格子溝又は「スリット」の透過又は反射面パターンを意味する回折格子によって検査される場合が多い。透過格子は、透過性材料上に溝を有する。反射格子は、表面の反射性コーティング上に溝を有する。そのような表面を通過又は反射する光線は、回折の結果として曲げられる。回折角は、光波長λ、及び「ピッチ」とも称される、いわゆる溝「間隔」又は溝「周期」dに依存し、以下の(面内)格子方程式に従う。
【数2】

ここで、角度α及びβは、それぞれ、入射角及び回折角を意味する。これらの角度は、本例では、格子法線から測定される。「m」は、回折次数を意味し、整数である。選択された波長λに対して、|mλ/d|<2に従うmの値は、式(2)から明らかに物理的に実現可能である。m=0の次数は、正透過又は正反射に相当する。格子の各々の溝が回折パターンを誘導し、それによって、複数の溝による多くの回折パターンが干渉する。反射格子の概略図を示す図1bを参照されたい。ここで、格子溝はページ表面に対して垂直であり、単色光線が平面中を伝播する。ほとんどの回折では、回折格子の溝は、長方形断面を有する、すなわち、バイナリ溝(binary groove)であるが、台形状又は三角形状とすることも可能である。
【0005】
正確で効率的な光管理は、その重要性を増し続けている。電力消費及び光害は、ともにあらゆる光学アプリケーションにおける実際の問題となっている。光学ソリューションにおける現在の主たる焦点は、光結合及び指向構造である。
【0006】
導波路は、その内部で波を伝達するよう特に適合された素子である。光学的には、導波路は導光体(lightguide)と称されることが多く、通常、比較的屈折率の高い誘電体を含む。導波路は、屈折率の低い環境下に置かれると、有利に、内部全反射の原理に従って光波を伝達する。導光体には、光ファイバー、ガラス、及び、例えば、種々のフィルムが含まれる。
【0007】
バイナリ溝などの回折格子は、光学アプリケーションにおいて、光の取り出し及び散乱に用いることができる。しかし、以下再検討するように、単に回折格子溝を用いるだけでは、いかなる基準であっても、許容レベルのパフォーマンスが自動的に保証されるわけではない。
【0008】
図2は、LED(発光ダイオード)などの光源204が装着された縦長形状の導光体202の断面を図示した概要を開示する。大部分の光は、媒体界面法線に対するその入射角が臨界角よりも小さい場合、導光体の上面から、好ましくない、適切ではない方向へ取り出される。コノスコープによる図から分かるように、導光体202から放射される光出力206は、特に均一でもなく、指向性でもない。そのような出力は、導光体内を全反射で伝播していた光の一部がその方向及び入射角を変え、それによって、媒体界面と接触した際に導光体外部へと伝達されるように、導光体の底面又は上面に提供される光路を変えるための多数の微細構造によって達成が可能である。
【0009】
図3は、対応する状況を開示しており、ここでは、光取り出しのために、多数の単独の(solitary)、すなわち、単一のブレーズ型(blazed)格子溝302が、導光体底部表面304に配置されている。ブレーズ型格子溝は、特に、入射角に対する選択性及び感度を有する構造であるため、格子溝の指向性結合効率(directive coupling efficiency)は、光の入射角と強い相関があり、円錐角(conical
angle)、すなわち、入射光と格子法線に平行な図3の平面(XY)との間の角度に対しても同様である。従って、指向性の光取り出しは、導波路の出力係数、すなわち、入射光と適切に取り出された光との間の関係から決定することができる好ましい効率パラメータがなお適度である狭い垂直方向の取り出し角を達成するための非常に限定された範囲の入射角によってのみ達成される。それ以外の入射角では、例えば、光はブレーズ型格子構造を通過し、導光体の内部又は外部へとさらに伝播する。この光の大部分は、最終的には導光体から漏出するか、又は好ましくない角度で取り出されて無指向性の出射光となり、従って、多くの用途において、発光効果が劣り、光結合効率が低くなる。単独ブレーズ型格子溝により、連続する溝の間の間隔が少なくとも数十ミクロンである先行技術の一つのソリューションが、EP1260853に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1260853号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
種々の先行技術によるソリューションにもかかわらず、導光体又はその他の発光装置の発光表面からの出射は、取り出し光の指向性及び均一性という点で十分に適切ではなかった。取り出し光は、おおよそ均等拡散(Lambertian)であり、不均一であった。
【0012】
回折格子溝の性能をさらに分析するために、図3に示すように格子溝が導光体底部に位置した場合における、単独マイクロプリズム型格子溝のパフォーマンス、及び電磁気学的(〜物理光学)手法と光線追跡法との違いに関して、いくつかの試験及びシミュレーションを行った。単独格子溝、又はブレーズ角が45°であり、従って、等辺三角形状であるマイクロプリズム上での入射光の相互作用の分析の後、以下の結論が導かれた。この試験の設定では、60°〜90°の範囲の角度αでマイクロプリズム型の溝へ光が入射し、ここで、角度αは、垂直線に対するXY面内の入射光の角度である。角度θは、円錐角、すなわち、XZ面内の入射光の角度である。θ=0°の場合、光は、XY面内を溝に対して垂直に伝播する。
【0013】
前述のマイクロプリズム型の溝は、一般的に、角度αが87°<α<132°の範囲(溝法線に対して42°<γ<87°の入射角に対応)である場合に、導光体の最上部表面を通しての出射光に適している。これより小さい角度では、光が溝を通して導光体から放射され、導光体の最上部表面まで到達する光エネルギーは少しの部分でしかない。αの最適角度は90°である。角度αが80°乃至100°の範囲である場合、導波路からの出射角は、実質的に15°以下である。さらに、例えば、87°乃至100°など、角度αの範囲が比較的狭い場合、87°未満の角度では光の一部分が回折溝を通過することが思い起こされる一方、導波路の出力係数は、明らかに0.90を超えていることも明らかとなったが、ここで、この係数は、溝の反射率と導波路最上部表面の透過率との積として定義される。θのゼロからの偏移は、出射角φの絶対値を増加させる。θが10°を超える場合、15°よりも小さい角度での導光体最上部からの光の取り出しは実質的に不可能である。単独の溝は、従って、入射角の大きな光を、出口面に対して垂直方向に取り出すことに特に適してはいない。
【0014】
例えば偏光現象を組み込んだ電磁気学的モデルと光線追跡モデル(幾何光学)とを比較すると、この二つの手法は、例えば、30°未満など、角度θが特に大きくない場合、光の進行方向及び光出力係数に関して、概ね同じ結果を提供することができることが分かった。しかし、電磁気学的モデルは、特に、入射角が小さい場合と大きい場合に関して、回折現象のために、高い光出力係数を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態の目的は、先行技術の配列において明らかな前述の欠点を少なくとも軽減することである。
【0016】
この目的は、結合光の指向性の改善された効率的な制御を提供する回折表面レリーフ構造を含み、通常、改変、複製、及びその他の要素との一体化によって発光装置の回折光取り出しシステムの少なくとも一部を形成することができる本発明のソリューションによって達成される。
【0017】
従って、本発明の一つの局面において、複数の回折光取り出しユニットを含む発光装置の指向性光取り出しシステムの一部分を形成する回折光取り出しユニットは、
‐回折表面レリーフパターンを収容するキャリア素子と、
‐キャリア素子の表面領域上に画定された複数の連続する回折表面レリーフ形状を含む回折表面レリーフパターンと、
を含み、ここで、この形状周期は、好ましくは、約10ミクロン以下であり、該回折表面レリーフパターンの該連続する回折表面レリーフ形状のうちの少なくとも2個の表面レリーフ形状が関与する相互作用を介して結合光の指向性を高めるように、該回折表面レリーフパターンへの入射光をキャリア素子外部へ結合するよう配置されている。
【0018】
一つの実施形態では、複数の連続する回折光取り出しユニットは、その表面領域上に、多数のブレーズ型又は傾斜型(slanted)格子溝、凹状又は凸状のプロフィールを画定する。ブレーズ型溝のプロフィールは、マイクロプリズム型、三角形状、又は鋸歯状プロフィールと称することもできる。傾斜型溝のプロフィールとしては、例えば、平行四辺形及び台形の形状を挙げることができる。
【0019】
本発明の実施形態では、光取り出しユニットの連続する回折表面レリーフ形状間の相互作用を組み入れており、それによって、単に単一の光取り出しユニット及びその指向性だけではなく、複数の光取り出しユニットを含む光取り出しシステムに関して、所定の方向への全体の結合効率、すなわち、光の指向性を高めることができる。各々の光学設計は、一般的に、複数の類似の又は異なる光取り出しユニットを含むことができる。
【0020】
通常、所望する光取り出し角は、実施形態によるが、より広い範囲の入射角を、上記の表面レリーフ形状の相互作用を用いることによってより狭い範囲の光取り出し角へと効果的に取り出すことができるように、入射角に比べて狭い。光取り出しユニットの効率は、所望の光取り出し角内で取り出された光の入射光に対する量(例:光束/光強度)に関連する選択された基準に従って測定することができる。従って、入射光は、少なくともその一部分が所望するように取り出され、一方、ある程度の漏光又は所望されない光取り出し角は依然として発生する可能性はある。
【0021】
前述のユニットは、複製し、任意に大きさ及び形などを改変し、導光体又は別の要素の所定の多数の部位に配置することで、その光取り出しシステムの少なくとも一部分を形成し、取り込まれた(incoupled)入射光を導光体内又はその他の要素内の所定の方向へ指向させることができる。このシステムのキャリア素子、又は「キャリア媒体」(基材)は、光の輸送が可能であってよく、及び光取り出しユニットの複数のより小さく光学的に透明であって、該ユニット並びにその他の光学及び/又は回折素子の回折表面レリーフパターンが形成されるキャリア素子を含んでよい。回折表面レリーフパターンの、又は光取り出しシステム全体のキャリア素子は、導光体として用いられない場合でも、回折パターンを搭載するのに適する材料を含むべきであり、そこへ、入射光が到達して、キャリア素子自体の内部に侵入することなく取り出される。
【0022】
光取り出しユニットの前述の実施形態は、従って、光取り出しシステム全体の機能的構成要素とみなすことができる。光取り出しユニットの回折表面レリーフパターン中の連続する回折表面レリーフ形状、すなわち回折構造の総数は、例えば2〜5個などの数個から、数十個まで、用途に応じて様々としてよい。数を決定することができる方法は、実施形態の詳細な説明と関連して、以下でより詳細に分析する。
【0023】
キャリア基材上の回折光取り出しユニット全般の物理的な配置及び外観について考察すると、ユニットには、周囲のキャリア素子物質及びその任意の表面レリーフ形状に対して、含有される表面レリーフ形状の境界によってキャリア素子の残りの表面から視覚的にも区別可能であり分離可能である、機能的に分離可能な表面領域が通常は含まれる。回折光取り出しユニットの分離可能な表面領域は、通常、さらに、少なくとも2個の連続する回折表面レリーフ形状を有する少なくとも1個の回折表面レリーフパターンを含む。この少なくとも2個の連続する形状は、好ましくは、説明した相互作用によって効果的に光が結合されるように配置され、整列される。例えば、そのような相互作用を提供する整列とは、ブレーズ型プロフィールを有する2個の格子溝などの実質的に平行な2個の型のことであり得る。回折光取り出しユニットの回折表面レリーフパターンの少なくとも2個の連続する形状は、ある実施形態では、完全に平行な形状とは対照的に、例えば、5°又は10°の違いを有する整列など、異なった形で整列してもよい。
【0024】
回折光取り出しユニットの前述の分離可能な表面領域は、例えば、第一及び第二の表面領域など、各々が異なる、又は少なくとも異なった形で整列された表面レリーフパターンを含む複数のサブ領域へ、機能的に及び/又は視覚的に分離することも可能であってよい。しかし、他の形状も可能であるため、必ずしもそのような表面レリーフパターンのすべてが、回折表面レリーフ形状を有する必要なはい。表面(サブ)領域には、実質的に表面レリーフ形状がなくてもよい。複数の表面レリーフパターン又は少なくとも複数の表面領域が機能的光取り出し要素を構成する場合、集合(aggregate)光取り出しユニットが作り出される。
【0025】
光取り出しユニットの大きさ、整列、表面レリーフ型、形、及び位置は、1若しくは2個以上の所定の方向へのシステムの所望する全体の効率に基づいて調節することができ、実際、一つの光取り出しシステムは、回折型を有する複数の少なくとも機能的に分離可能な表面領域を含むことができ、該領域は、異なった所定の結合方向を有する。このような集合光取り出しシステムは、従って、複数の光取り出しサブシステムから構築されると見なすことができる。
【0026】
従って、一つの実施形態では、前記のキャリア素子は、第一の表面領域、及び第一の表面領域に隣接する第二の表面領域を含むことができ、ここで、該第一の表面領域は、上記の回折表面レリーフパターンを含み、該第二の表面領域は、回折要素を含まないか、又は第一の表面領域の第一の回折構造のレリーフ形状と異なるか(形、大きさ、など)、若しくは少なくとも異なった形で整列される1個以上の回折素子を含む。従って、異なる種類の集合ユニットを形成することができる。第二の表面領域を用いて、例えば、第一の表面領域からの光取り出しを補助、調節、及び/又は微調整することができる。第二の表面領域の回折素子は、表面レリーフ形状を用いて形成することもできる。
【0027】
本発明の第二の局面によると、回折光取り出しシステムは、
‐複数の回折光取り出しユニットを含むキャリア素子を含み、
ここで、各ユニットは、キャリア素子の表面領域上に画定されたブレーズ型又は傾斜型格子プロフィールなどの複数の連続する回折表面レリーフ形状を含む回折表面レリーフパターンを含み、ここで、この形状周期は、好ましくは、約10ミクロン以下であり、該複数の連続する回折表面レリーフ形状のうちの少なくとも2個の表面レリーフ形状が関与する相互作用を介して光取り出しシステムの該複数の回折光取り出しユニットによる結合光の指向性を高めるように、該回折表面レリーフパターンへの入射光をキャリア素子外部へ結合するよう配置されている。
【0028】
光取り出しシステムの設計全般について考察すると、設計の要求事項により、例えば、キャリア素子の許容される形及び大きさを決定することができる。さらに、設計の要求事項により、使用する光源の種類、光源の位置及び整列、並びに、複数を使用する予定であるか又は使用することができる場合は、光源の総数、を決定することができる。そのような設計パラメータの1若しくは2個以上を最初は固定せず、従って、設計プロセスの間に調整可能としてもよい。要求事項は、所定の方向への光取り出し効率の目標を設定してもよく、そのような効率を、1若しくは2個以上の別の選択肢としての設計オプションによって達成することを可能とすることができ、ここで、選択された光取り出しユニットの回折構造の位置、形、整列、及び光学的形状は、別の選択肢としての設計間で、及び設計内でさえも異なっていてよく、それでも、すべての設計は所定の要求事項を満たす。許容される設計の最終的なパフォーマンスは、それでも、必然的に異なる場合がある。
【0029】
本発明の第三の局面によると、導光体は、
‐光源からの光を導光体内へ結合するための光取り込みシステム(incoupling
system)と、
‐光を輸送するための光学的に実質的に透明であるキャリア素子と、
‐複数の回折光取り出しユニットを含む光取り出しシステムと、
を含み、
ここで、各ユニットは、キャリア素子上に画定された、ブレーズ型又は傾斜型格子プロフィールなどの複数の連続する回折表面レリーフ形状を含む回折表面レリーフパターンを含み、ここで、この形状周期は、好ましくは、約10ミクロン以下であり、該回折表面レリーフパターンの該複数の表面レリーフ形状のうちの1個の表面レリーフ形状と少なくとも別の1個とが関与する相互作用を介して光取り出しシステムの該複数の回折光取り出しユニットによる結合光の指向性を高めるように、該回折表面レリーフパターンへの入射光をキャリア素子外部へ結合するよう配置されている。
【0030】
一つの実施形態では、複数の回折表面レリーフパターンの1個への、所定の入射角及び所定の円錐角の範囲内の入射光線の少なくとも一部が、該複数の回折表面レリーフ形状のうちの少なくとも2個の回折表面レリーフ形状が関与する相互作用によって、少なくとも部分的に所望の出口領域を通して結合され、所定の方向に対する所定の取り出し角の範囲内でキャリア素子から放射されることで光の指向性の効果的な制御が高められるように、該回折表面レリーフパターン上の入射光が結合されるように導光体が設計される。
【0031】
実施形態では、光取り出しシステムが延長するよう構成される表面領域は、さらに、回折要素を含まない位置か、又は前記の回折表面レリーフパターンの回折表面レリーフ形状と異なるか若しくは少なくとも異なる形で整列される1個以上の回折素子を含む位置をさらに含む。
【0032】
従って、導光体の前述の光取り出しシステムが延長することができる領域は、領域内にその他の構造、異なった形で整列された構造、又は構造のない領域が存在することができるように、好ましくは、正確に類似し、類似した形で整列された前述の回折構造によって100%の密度で完全に覆われていないことが好ましい。好ましくは、その他の構造も、回折表面レリーフパターンを含む。結果として、延長された全領域を、例えば、最大密度の格子で単に充填するよりも、さらなる制御性を得ることができる。
【0033】
特定の実施形態によっては、例えば導光体最上部表面などの所定の出口領域、及び光取り出しシステムが延長される領域は、別々の領域であっても、又は少なくとも部分的に重なり合った領域であってもよい。
【0034】
光取り込みシステムは、格子構造、光分配体、散光体などの、光源からの光を導光体へ伝達する手段を含むことができる。LED、又は蛍光灯若しくは白熱灯、又はこれらの複数などの光源自体をさらに含むことができる。
【0035】
本発明の有用性は、各々の特定の実施形態に応じた複数の課題より生ずる。一般的に述べると、特定の結合ソリューションは、光を正確に、及び効率的に制御するための多様な光学アプリケーションに適している。前述のユニットの回折パターンは、好ましくは、20μm(長さ)×20μm(幅)で、周期及び深さ(又は高さ)が5μmなど、小さいものであり、高い変調度が提供される。例えば、溝のブレーズ角を様々に変えて、光取り出し角、及び導光体などの関連する発光装置の配光、すなわち、放射パターンを、少ない損失及び漏光で制御することができる。提案する光取り出しソリューションは、特別の光取り出しユニットの補助のもとで(「相互作用」)、より広い範囲の入射角を処理し、効率的に取り出すことが可能であることから、有利に、単独の溝によるソリューションよりも、光取り出し効率が高く、光の指向性が優れている。例えば、ノート型コンピュータ及び携帯型端末のディスプレイの照明など、多くの用途において、例えば、セキュリティ及びプライバシーの問題などのため、均等拡散光よりも効率及び指向性に優れる光の方が好ましく、本発明により、照射される対象が所定の角度の範囲内の外部観察者にのみ視認されるように、取り出された光線を所望の方向に対して平行とすることができる。単一の光取り出しユニットが効率的であるように、複数の光取り出しユニットに対応するより広い変調された発光表面も効率的である。本発明の一若しくは二つ以上の実施形態による回折構造は、種々の光電子工学的用途にも利用することができる。
【0036】
本発明の実施形態の発明である光取り出し構造は、通常、従来のソリューションと比べて、入射角及び波長の変化による影響を受けにくく、むしろ広い範囲の入射角及び波長に対して効率的な光取り出し器であり、さらに、種々の波長に対しても(例:準単色光に対して)、光取り出しの指向性に対する制御性を高めることができる。光取り出しユニットを用いて、例えば、フロントライト及び/又はバックライトの両方の機構を形成することができる。フロントライトの用途では、通常、見る方向に対してライト自体が視認可能な加工物を作り出さないことが有益であり、本発明の光取り出しユニットは、照明標的に向かって光を効果的に取り出す、精密で、内部が密であり、しかし、一体として実質的に感知できない局所的な回折素子の構築を提供する。さらに、本発明の実施形態に従う効率的な回折構造を用いるため、多くの用途において、都合よく、後方反射体を省略することができる。
【0037】
本発明は、高価で、比較的厚く、所望の方向へ光を集光するための光結合という点で損失の多い素子である従来のプリズム型のBEF(輝度上昇フィルム)シートの使用を避けることも可能とすることができる。本発明の場合、散光体などの種々の追加の回折構造を、キャリア素子に一体化することができる。本発明の実施形態による光取り出しユニットは、それ自体で光の指向性の制御性をすでに高めているが、任意に、さらなる制御のための表面レリーフパターンをさらに用いて、例えば、円形又は楕円形の発光パターンを形成することができる。
【0038】
格子溝などの表面レリーフ形状の長さは、小さい凹状部からより長い(例:20μm〜数mm)連続する溝まで様々であってよい。光取り出しユニット内の形状は、異なる長さであってよいが、それでも、例えばピクセルなどの機能的光取り出しユニットが作られるように組織化される。この形状の断面の形、すなわちプロフィールを制御して、例えば、所望するように回折エネルギーを集中させることができる。光源の数及び配置に応じて、キャリア素子表面上を直線状に伸びる溝に加えて、若しくはその代わりに、曲線状の溝、又はその他の形状を用いることもできる。
【0039】
本発明の光取り出しユニットの実施形態に従う発光素子は、薄く、及び電気的/光学的に効率的であるように作製することができ、従って、腕時計、ポータブルコンピュータ、携帯用端末、及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)などのディスプレイ及び/又はキーパッド/キーボードの照明のための低電力ソリューションに適用可能である。発光素子の光の指向性の効率的な制御は、街灯、交通信号灯、信号灯、自動車用照明、光学電子工学的及び一般的な発光用途にも利用することができる。
【0040】
本明細書で用いる「多数の」という表現は、1から始まるいずれの正の整数をも意味し、例えば、1、2、3などである。
【0041】
「形状周期」という表現は、例えば格子溝などの形状(プロフィール)の始端部から、連続する形状(プロフィール)の始端部までの距離を意味する。格子溝の場合、対応する用語である「溝周期」が用いられることが多い。
【0042】
「深さ」及び「高さ」という表現は、以降、関連する回折表面レリーフ形状の実際の性質、すなわち、それが、例えば、キャリア素子上の凹状であるか又は凸状であるか、にかかわらず、同等に用いられる。
【0043】
本発明の種々の実施形態は、添付の従属クレームに開示される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1a】スネルの法則及び光の屈折を示す図である。
【図1b】回折格子を示す図である。
【図2】光源が接続された、縦長形状の導光体の断面図である。
【図3】導光体底部に画定された多数の単独の格子溝からの光の取り出しを示す図である。
【図4a】複数の光取り出しユニットを有する導光体の実施形態の平面図を開示する。
【図4b】本発明の一つの実施形態による回折光取り出しユニットの断面図である。
【図4c】本発明の一つの実施形態による光取り出しシステムの一部分としての、回折光取り出しユニットの立体図である。
【図4d】取り出し光及びキャリア素子に対する回折光取り出しユニットの配置の例を開示する。
【図5a】ブレーズ角が格子溝間で異なる回折光取り出しユニットの実施形態を示す図である。
【図5b】回折光取り出しユニット内の溝プロフィール形状の考えられる様々な実施形態を示す図である。
【図6a】擬似ランダムである方法でその上に画定された光取り出しユニットを有する光取り出しシステムの平面図である。
【図6b】キャリア素子表面上の本発明の実施形態に従う複数の光取り出しユニットの回折構造によって形成された規則的な表面パターンの顕微鏡で捉えた平面図である。
【図6c】回折素子の形の二つの実施形態の平面図である。
【図6d】キャリア素子表面上の本発明の実施形態による光取り出しユニットの表面レリーフパターンの顕微鏡で捉えた平面図である。
【図6e】キャリア素子表面上の本発明の実施形態による光取り出しユニットの回折構造の顕微鏡で捉えた別の平面図である。
【図7a】光取り出しユニットの配列のさらなる実施形態を示す図である。
【図7b】光取り出しユニットの配列のさらなる実施形態を示す図である。
【図8】導光体全体上の集合光取り出しユニットの一つの例を示す図である。
【図9a】表面レリーフパターン内に3個の回折表面レリーフ形状を有する実施形態を示す図である。
【図9b】光取り出し効率測定のための、一つの考えられる設定を示す図である。
【図9c】本発明に従う一つの実施形態に関する光取り出し効果を示す図である。
【図9d】入射光の円錐角の影響を分析する典型的なシナリオを示す図である。
【図10】本発明に従う一つの考えられる導光体設定のパフォーマンスの実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図4aは、例示のみの目的で、導光体の設定の一つの実施形態を示し、ここで、複数の異なる光取り出しユニット404が、透明である導光体表面領域401の上に構築され、蛍光灯又はLEDなどの1若しくは2個以上の光源402が、導光体の一方の端部に隣接して位置している。この特定の実施形態のユニット404内の線は、格子溝(又はその「尾根部(peak)」)などの回折表面レリーフ形状を表す。光取り出しユニット402は、大きさ、形、整列、内部構造、材料などが異なっていてもよい。さらに、直線状、曲線状、又は波形状などの異なる種類のサブ構造を含む集合ユニットを用いて、そこへの入射光を効率的に指向させることもできる。隣接する光取り出しユニット間の距離は、所定のスキーマに基づいて変えることができる。例えば、光源402から離れるに従って光強度は弱まる傾向にあるため、光取り出しユニットの密度を、長さ方向及び/又は幅方向に応じて、光源及び/又は光取り込み手段までの距離の関数として増加させ、損失を補償することができる。
【0046】
光取り出しユニット404は、独立して又はグループとして、所定の光源方向へ整列させてよく、例えば、右上の2個のユニット404が回転され、その溝の尾根部の線が、402と表示される要素に含まれる複数の光源の中の特定の点光源(この光源からの仮想光線を2本の点線で表す)に対して実質的に垂直に位置していることに留意されたい。
【0047】
導光体の材料は、例えば、ポリマーなどのプラスチック、クラス、又はシリコンであってよい。
【0048】
図4bは、本発明に従う光取り出しユニット(長方形の内部)の一つの実施形態の断面を開示する。このような回折光取り出しユニットは、一般に、複数の回折光取り出しユニットを含む発光装置の光取り出しシステムの一部を形成し、光を輸送するための実質的に透明であるキャリア素子、及びキャリア素子の表面領域上に画定された複数の連続する回折表面レリーフ形状を含む回折構造を含むと言うことができ、ここで、形状は、実質的にブレーズ型又は傾斜型の溝プロフィールを有し、プロフィール周期は、15ミクロン若しくはそれ未満、好ましくは、0と10ミクロンとの間であり、最も好ましくは、例えば3ミクロンなどの0と5ミクロンの間であり、所定の入射角及び所定の円錐角の範囲内である、複数の格子溝のうちの一つへの入射光線の少なくとも一部が、該複数のレリーフ形状のうちの1個レリーフ形状と少なくとも別の1個とが関与する相互作用により、所望の方向及び/又は出口領域へ向けて少なくとも部分的に結合されるように、回折構造への入射光を複数のレリーフ形状に属する1若しくは2個以上のレリーフ形状によって所定の方向及び/又はキャリア素子上の出口領域へ向けて結合するように配列される。適切に結合された光線のいくつかは、格子構造のレリーフ形状の各々、すなわち、光取り出しユニットの表面レリーフパターンと協動することができる。
【0049】
さらに図4bを参照すると、この特定の実施形態において、任意に反射体408で覆われるキャリア素子の底部表面上に画定された回折表面レリーフパターンの表面レリーフ形状として、ブレーズ型の溝406が存在し、例えば、所望の発光効果が得られるように、所定の種類の反射性を提供し、発光作業全体において表面レリーフパターン406の溝を補助するように配列された格子などの表面レリーフパターンによって鏡面反射体を提供することができる。
【0050】
表面レリーフパターン406の溝は、本実施形態では、5ミクロンの周期と高さを有するが、その他の実施形態では、異なる寸法を用いることができ、例えば、1、2、3、4、又は10ミクロンの周期及び/又は高さなどである。この実施形態のキャリア素子は、屈折率1.49であり、これは、合成ポリマーPMMA(アクリル系透明プラスチック)と同程度であり、一方、周囲の媒体は、屈折率が約1.0である、例えば、真空、又は実用的な条件では最も多くの場合空気に相当する。格子法線に対する入射角は、γで表示する。所望の光取り出し方向は、本例では、導光体の最上部表面の法線方向であり得る所定の方向であり、すなわち、光取り出し角は、光取り出し最上部表面、すなわち、所望の出口表面の法線に対して決定されることになる。図中、光取り出し角は、φで表示する。光取り出し角を決定するその他の別の選択肢も用いることができ、例えば、角度は、選択された格子表面に基づいて決定することができる。
【0051】
図示した光線はすべて、少なくとも部分的に第一の格子溝を貫通し、第二又は第三の格子溝からキャリア素子の最上部表面に向けて反射及び散乱する。図示した光線の一部は、光学反射体408のない底部表面を通してキャリア素子から放出される。底部表面の少なくとも一部を処理して、入射光が、それでも所定の所望する出口表面及び/又は方向から、好ましくは、さらに、例えば+/−φなどの所定の所望する出射角内で出射されるように、入射角γを広げることができる。出口表面、すなわち、この特定の実施形態では最上部表面は、取り出し光の散乱を微調整するために回折要素を含んでいてよく、例えば、バイナリ状、正弦波状、又は回転(「横方向(lateral)」)ブレーズ(blazing)を含む散光体(円形/楕円形対角度相関)などのレリーフ構造410の形が好ましい。この散光体を用いて、改善された光取り出しユニットの主表面レリーフパターン効率のために、例えば、特定の用途には平行過ぎる可能性のある光であっても、制御可能に散乱させることができる。従って、種々の回折表面構造(好ましくは、レリーフパターンであるが、追加のフィルム、シート、積層構造なども可能である)を、用途に応じて賢明に使用し、光取り出しユニットの基礎となるレリーフパターンによって提供されるより固定される可能性のある光取り出し角を微調整することができる。
【0052】
一般的に、光の光取り出し角(範囲)φは、光取り出しユニットのブレーズ角、形状プロフィール(例:ブレーズ型、傾斜型、高さ、周期)、及び整列(水平及び/又は垂直、例えば、キャリア表面に対して傾斜)を選択し、追加の表面構造又は層((鏡面)反射体、散光体などの最上部表面及び底部表面の機能素子)を導入し、及びユニット自体を所定の設定に従ってキャリア素子基材上へ配置することによって、調節することができる。回折素子は、単に反射/散乱又は輸送/屈折しただけの光線に追加して、取り出し光に規則性を導入し、そして、表面レリーフ周期、形状、整列などの用いられた構成を注意深く選択することにより、取り出し光を、それでも賢明に制御して、少なくとも所定の十分な部分の取り出し光を、選択された効率基準に従って所定の目標角φ内に維持することができる。
【0053】
図4cは、本発明の実施形態に従う光取り出しシステムの一部としての、図4bの光取り出しユニット404の立体図を開示する。この特定の例では、ユニット404は、キャリア素子、例えば導光体、401の底部から最上部まで実質的に延びる立方体として示しているが、その他の構成及び光取り出しユニットの形状を用いることもできる。1若しくは2個以上の類似の又は異なる光取り出しユニット404を、光取り出しシステム全体に利用して、所望の方向及び/又はキャリア素子上の所望の出口表面領域へ向けての入射光の結合を制御することができる。用いられたユニット404の形及び大きさに関係なく、これらは、格子溝などの関連する表面レリーフ形状が、実際に、幅、長さ、及び高さを有することから、立体的要素と見なすことができる。
【0054】
光源402は、導光体401によって輸送される光(矢印)を放射するように配置され、そこから、導光体401の最上部表面の点線長方形412として図示される出口領域を通しての光取り出しが、多数の光取り出しユニット404によって実行される。別の実施形態では、最上部表面など導光体401の一つの所定の表面が、そのような出口領域を形成することができる。さらなる実施形態では、出口領域は、導光体401のいくつかの表面の少なくとも一部分から構築することができる。なおさらなる実施形態では、複数の所望の出口領域がキャリア素子上に存在する。
【0055】
同じことが各光取り出しユニット404から発生する光取り出しに適用され、すなわち、光取り出しシステム内の特定の光取り出しユニット404の、システムの集合出口領域に対する位置及び形に応じて、ユニット404の出口領域は、通常、ユニット404の1若しくは2個以上の表面領域の少なくとも一部を含む。ユニット404の回折構造の設計及び位置決定は、所定の入射角の範囲内の少なくとも所定の部分の入射光を結合して、所定の放出角の範囲内でユニットの所望の表面から、すなわち、所定の要求効率の範囲内で所望の方向へ出射するように選択することができる。当業者であれば、この文章に関連して、実際の条件下ではその他の領域からのある程度の漏光も通常は存在するが、出口領域とは、明白に所望の出口領域であるということは理解される。
【0056】
散光体などのレリーフ構造410も最上部表面上に存在してもよいが、分かりやすいように、図では省略している。反射体408などの、種々の追加の最上部/底部/側部表面の素子を導光体上に設け、所望の表面の少なくとも一部を覆ってもよい。
【0057】
図示したユニット404は、表面レリーフパターンとして、複数の連続するブレーズ型のマイクロプリズム型溝406を、キャリア素子、すなわち、導光体401の底部表面上に含む。さらに、ユニット404は、例えば、複数のバイナリ溝などの格子など、追加の回折素子を含んでもよく、これらは、溝406の後ろ又は前の表面の空いている領域上に配置され、溝406に対して平行か又は直角に整列される。
【0058】
図4dは、本発明に従う表面レリーフパターン及びキャリア素子の種々の実施形態を、概略的に開示する。図では、回折表面レリーフ形状及び入射/取り出し光は説明のみの目的で示されており、使用した角度又はその他の寸法は、一般的に、特に有利な設計であるとみなしてはならない。断面図420では、キャリア素子は、光が媒体内を前進し、媒体の表面上に画定される凸部(414)及び/又は凹部/溝(416)である表面レリーフパターン414、416によって結合されるように、透明材料を含む。
【0059】
図422は、表面レリーフパターン414、416が、透明で光輸送性のキャリア素子の所定の表面領域上に、キャリア素子の所望の出口領域とは区別して、例えば、その反対側に、凸部及び/又は凹部として画定される実施形態を示す。
【0060】
図424は、キャリア素子自体が光を転送するように構成されておらず、例えば凸部及び/又は凹部/溝である表面レリーフパターンの単にキャリアとして作用する実施形態を開示する。
【0061】
類似の配置オプションが、例えば、反射体及び散光体などの追加の回折素子418に適用され、これらは、キャリア素子上の凸部又は凹部/溝などの表面レリーフパターンとして提供してもよく、又は、別の選択肢として若しくは追加して、シート、層、又はフィルムとしてキャリア素子の所望の表面上に提供してもよい。このような素子418は、表面レリーフパターン414、416の上に提供してもよく、又は横に提供してもよい。熟練した読者であれば、回折素子418の考えられる位置の種々の例を図で開示したが、図示した配置及び素子の厚さは、説明のための観点から主に選択されたものであることを理解するであろう。
【0062】
本発明の一つの実施形態では、回折光取り出しユニットは、キャリア素子の向かい合った面に位置する2個の表面領域を含むことができ、ここで、2個の領域は、両方が回折表面レリーフパターンを含み、キャリア素子の外側において協同で光を結合する。
【0063】
図5aは、回折アウトカップリングユニット内の格子溝の構成の実施形態の断面図を示す。この実施形態の回折構造は、種々のブレーズ角を持つプロフィールを画定する4個のブレーズ型溝を含み、入射光に対して第一及び第三の溝は約45°のブレーズ角を持ち、第二及び第四の溝は約41°とより小さいブレーズ角を持つ。ブレーズ角を様々に変えることにより、例えば、所定の波長に対する所望の回折効率の提供、又は入射角に対する光取り出し角の好ましい方向への調節が可能となる。
【0064】
図5bは、表面レリーフパターンのさらなる典型的な実施形態を示す。構成502において、類似のブレーズ角を有する溝などの多数の表面レリーフ形状が、溝のない小領域で分割されている。別の実施形態では、個々の溝間でブレーズ角が異なり得る。504では、4個の同一の溝が、所望のブレーズ角で、単に互いに連続して位置している。構成506では、連続する溝間のブレーズ角が、少しずつ変化している。構成508では、ブレーズ角が溝によって異なっている。510では、溝は傾斜した長方形、すなわち、傾斜したバイナリ溝である。図5bのパターンは、例えば、キャリア素子表面から伸びる凸部として提供してもよく、又はその中への凹部として提供してもよい。
【0065】
本発明の光取り出しユニットの異なる実施形態では、表面レリーフパターンの1若しくは2個以上の連続する形状は、504のように実質的にお互いのすぐ後ろに位置してもよく、又は形状間の距離が十分に短く維持されるように分離されていてもよく、すなわち、形状周期が、本発明の相互作用の特徴を十分な効率で実行するための所定の限界の範囲内である。502に示すような後者の実施形態の断面図を観察すると、形状のプロフィールは互いに直接連結されておらず、間に物理的な小分離部が存在する。形状周期は、やはり、15ミクロン以下が好ましく、より好ましくは10ミクロン以下であり、最も好ましくは、5ミクロン以下である。
【0066】
図6aは、複数の光取り出しユニットが、キャリア素子として作用する基材上にセミランダムな形で組織化された光取り出しシステムの実施形態を開示する。セミランダム化において、キャリア素子からの光取り出しはやはり分析検討されるが、ユニットを互いに完全に整列させて規則的なグリッドを形成しないようにさらなる注意が払われた。一つの実施形態では、基材の所定の表面領域は、多数の局所的モデル領域に分割され、ここで、各局所的モデル領域は、やはり、光取り出しユニット間の最大距離、又は領域内の光取り出しユニットの所定の密度などの多数の条件を満たさなければならない。図中にて小正方形で表され、単独で位置するか、又は種々の形のグループを形成するユニットは、互いに対して、及び光源に対して、回転及び/又は傾斜されてもよい。このようなセミランダム化を用いることで、例えば、モアレ効果の回避、又は種々の光源に対するユニットの整列が可能となる。
【0067】
図6bは、例えば、光取り出しユニットの回折表面レリーフパターンなど、複数の回折構造によって基材上に形成された比較的密である規則的なパターンの実施形態を開示する。
【0068】
図6cは、光取り出しユニットに用いることができるさらに2種類の典型的な回折構造を示す。符号602は、6本の曲線によるユニットに関し、一方、604の集合構造は、部分ごとには直線であり、ある所定の物理的間隔で、異なる整列の3個のグループに分離された溝を含む。
【0069】
図6dは、3本の平行で連続する溝による回折表面レリーフパターンの実施形態を、顕微鏡で捉えた様子を開示する。
【0070】
図6eは、長さの異なる2本及び4本の平行な溝を組み込んだ、回折表面レリーフパターンなどの回折構造を共焦点顕微鏡で捉えた様子を開示する。プロフィール測定により、溝の周期及び高さが示される。
【0071】
図7aは、基材上の、輪郭が正方形状であり大きさが同じである回折構造702、704、706の三つの実施形態のさらなる顕微鏡で捉えた様子である。ユニット間及び/又はユニット内において、溝の整列及び長さが異なる。
【0072】
図7bは、基材上の、種々の正方形状の輪郭を有する回折構造の複数の実施形態の顕微鏡で捉えた様子である。
【0073】
図8は、集合光取り出しユニット及び/又は隣接(adjacent)構造及び入れ子(nested)構造を含む補助構造とみなすことができる異なる要素を有する、変調された導光体パターンの回折表面レリーフ構造の三つの部分の実施形態を開示する。大正方形の要素は、任意に、整列の異なる小正方形806(点線で強調、拡大)を含み、これはさらに、小正方形を三つの分割可能なサブ領域に分割する分岐状(divergent)の溝などの分岐状のレリーフ形状を含む。別の実施形態では、溝は、平行であるが非連続的であり、すなわち、溝に変位部分が存在して小正方形806をさらにサブ領域へ分割する。サブ領域は、それ自体を縦長形状の長方形の光取り出しユニットとして見なすか、又は単一の光取出しユニットの異なる部分と見なすことができる。レリーフ形状の角度の変位を用いることで、導光体及びディスプレイとの組み合わせであるモアレ効果を回避することができる。得られた全体の構造は、従って、賢明にその寸法の変更が可能である。回折形状を包含する領域の一部を主光取り出し部分として作用するよう構成してもよく、一方、それ以外の領域は、主光取り出し部分によって主に設定される光取り出し角の微調整又は調節を行うように構成される。例えば、小正方形806を主光取り出しユニットとして配置することができ、一方、大正方形の取り囲んでいる部分は、例えば部分散乱などの補助要素を含む。集合構造における典型的な溝の組み合わせとしては、ブレーズ型+バイナリ型溝、ブレーズ型+(90°若しくはx°)に回転した溝、ブレーズ型溝+最上部/底部散光体要素、などである。溝の代わりに、対応する凸状の形状も適用可能であり、又は実施形態によってはこちらが好ましい。
【0074】
以降、本発明の実施形態に従う所望の回折光取り出しユニット及びシステムの構成の設計を促進するための典型的ないくつかのシナリオについてレビューする。
【0075】
図9aは、マイクロプリズム型のブレーズ型格子溝へ、XY平面内の角度α及びYZ平面内の角度θで光が到達する構成を開示する。符号908は、例えば鏡などの任意の反射体を示す。5×5ミクロンの格子溝は、互いに近接して位置する。導光体の屈折率は、例えば、n=1.49である。まず、反射体908が存在しない状況について考察する。さらに、−45°<α<42°の角度の光線は導光体内に存在しないと仮定する。連続する三連プリズムに固有の特徴は、第一の溝への42°<α<87°の角度の入射光線は、ほとんどすべてが表面Aを透過することである。側面Aの基部へ到達した光の一部は導波路から空間へ抜け出ることで失われ、一方、側面Bに到達した残りの光は、導波路へ再入光することには留意されたい。しかし、側面Bを通して導波路へ再入光した後は、角度αは大きくなる。1若しくは2個の溝を通過した後は、角度の増大の結果として、光線は、入射角が87°<α<132°となり、第三の溝によって導波路から出射され得る。ここで、この構成の性能を、導波路の最上部表面、すなわち、所望の出口領域からの出射パワーと、反射体なしで底部表面から失われるパワーとの間の関係を考察することによって算出する。表1は、種々の入射角αに対する損失エネルギーPmissed、並びに溝で失われるエネルギーに対する有用な出射エネルギーの比、Pout/Pmissedの算出値を示す。データは無偏光光によるものである。
【0076】
【表1】

【0077】
out/Pmissed=∞の場合、すべてのエネルギーが導波路の最上部から出射される。Pout/Pmissed→0の場合、ほとんどのエネルギーが導波路の底部から出射され、失われる。表1より、角度αが小さいほど、損失が大きく、有用な出射が小さいことがわかる。
【0078】
表2は、種々の角度θに対する出射エネルギーのデータを示す。
【0079】
【表2】

【0080】
ここで、いくつかの結論を導き出すことができる。
【0081】
角度θが大きいほど、導波路の出射における角度φが大きくなる。Pout/Pmissedが大きいほど、有用な出射エネルギーの割合が大きくなる。この比が1の場合、導波路の最上部と底部から同じ量のエネルギーが出射される。実験により、上記の比は、角度αと共に上昇することが示された。
【0082】
次に、反射体908を組み込んだ対応するシナリオについて分析するが、プリズム型の溝の数は1から5の間で変化させ、包括的な比較データを得た。角度βは、特定の光線のα=90°の角度からの、すなわち、水平方向からのずれを表す。導波路の屈折率がn=1.49(例:PMMA)であることから、42°<α<90°(逆からは、0°<β<48°)の範囲の角度の光線は、内部全反射の条件下で導波路内を伝播する。導波路の最上部及び底部の表面からの反射のために、角度+β及び−βは同時に存在することから、負の角度−48°<β<0°(90°<α<138°)は、正の角度と共に考察される。従って、考察される角度の範囲は、0°<|β|<48°である。当業者であれば、−45°<β<−42°の範囲内の入射光は、溝の第一の側面に到達し、そこから反射されることは理解されるであろう。従って、この範囲の角度は、たとえブレーズ型格子溝の数を増やしたとしても、有用な角度での光出射エネルギーに加算されることはない。
【0083】
ある角度Φでの光の指向効率は、多く方法で算出することができ、一つの典型例として図9bを参照されたい。
【0084】
放射線パワーPが溝に到達したとする。この場合、効率は、η=P’/Pと定義することができ、ここで、P’は、溝による出射放射線であり、光出射角:0<|φ|<20°に対して課された一つの考えられる条件を満足する。α=90°の場合、入射光はすべて、理論的には、導波路から出射されることになり、すなわち、η=P’/P=100%である。入射角αが90°以外の場合、出射効率は低くなり:η=P’/P<100%となる。従って、上記の計算に基づくと、この場合、溝の性能が悪化すると推定することができる。しかし、入射ビームの均一な密度(ビームの断面に対するパワーの比)を考えた場合、h>hにより、P>P(P/h=P/h)であるため、出射パワーの絶対値は、P’以上であり得る。
【0085】
従って、格子溝上での入射パワーは、角度α(又はβ)によって異なることから、上記の効率の計算は十分ではないと結論付けることができる。このため、すべての角度αにおいて溝への入射光の密度が均一であると仮定して(P/h=一定)、回折素子を利用した光出射効率の別の計算:
【数3】

を導入し、ここで、42°<α<90°であり、Pは、角度αの現在値における0<|φ|<20°の方向への導波路からの出射パワーであり、max{Pα}は、いずれの数のブレーズ型格子溝に対しても、42°<α<90°の条件を満たす角度αに対する出射パワーの最大値である。
【0086】
従って、χの値は、種々の格子溝数及び入射角に対して導き出された最大出射パワーに対して標準化された出射光の相対パワーを表し、入射角パラメータと格子溝数との唯一の組み合わせに対して、χ=100(相対単位)となる。
【0087】
表3〜表7は、5°刻みの入射角α及びβ、並びに1〜5個のブレーズ型格子溝の導波路からの対応する出射光の角度φを示す。有用な出射角度は太字で示し、0<|φ|<20°である。効率η(パーセント)及びχ(相対単位)の値は、上記で規定した物理的意味を有する。表3〜表7中の負の角度φは、光線が半平面−XYへ(図9aの左方向へ)、すなわち、半平面XYに対して正の角、進行することを示している。表4〜表7では、新たな光出射角φは、下地を暗くして示しており、これらの新しい角度φが、この例では0<|φ|<20°である有用な角度の範囲内である場合、対応するη及びχの値も下地を暗くして示している。列の中で、η>50%であるα及びβの値は、下地を暗くして記載している。
【0088】
すべての表の最後行は、すべての角度におけるブレーズ型格子溝の性能の算出値を示す。最後行のηの値は、均一な光が上記で考察したすべての入射角から同時に溝へ到達した場合の、平均光出射効率を表す。すべての表の最終行のχの値は、すべての格子溝数に対する有用な方向への出射エネルギーに比例しており、5個の溝による放射線出射が100%に対応する。
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
表を見ると、新たに格子溝を追加することにより、新たな光出射角φが出現することを理解することができる。ブレーズ型溝を追加するごとに、新たに出現する角度の数が減少し、新たな角度が、入射角βのより大きい値の範囲(より小さい値の角度α)で見られることに留意されたい。平均光出射効率ηは、ブレーズ型格子溝の数と共に上昇し、格子溝の数が多いほど、上昇率は低い。同様に、ブレーズ型格子溝の数が多いほど、有用な方向への出射エネルギーの割合が上昇する。2個の溝は、1個の溝に比べて89%多いエネルギーを出射することができ、3個の溝は2個よりも48%多く、4個の溝は3個よりも28%多く、5個の溝は4個よりも22%多いと推定することができる。上記の結論は、考察したすべての角度において入射光が均一である場合について有効であることには留意されたい。さらに、3、4、及び5個の溝を用いた場合は、すべての考察した入射角において放射線が出射されるが、一方、1又は2個の溝の場合は、屈折光の大部分は導波路中を伝播し続けるという結論も得ることができる。
【0095】
従って、例えば、広い入射角範囲の光の狭い出射角範囲への取り出しなど、光取り出しの指向性を改善する必要のある多くの用途において、ブレーズ型格子溝を一つだけ用いることは、十分に効果的ではなく、数個のブレーズ型格子溝を追加することにより、出射角を広げ過ぎることなく効率が劇的に改善される。
【0096】
図9cは、3個のブレーズ型溝、反射体、及びα=60°の角度の入射光を含む実施形態をさらに示す。50%を超える光線が、有利に、導波路最上部表面から、導波路表面法線に対して小さい角度にて取り出される。導波路内を伝播し続ける光線は50%未満である。この図は、光線の一部が底部を通して導波路から漏出するのを反射体が防止する様子を示すものである。
【0097】
図9dは、角度θがゼロでない実施形態を示す。この例では、円錐角θは、図示したYZ平面からの溝のずれを定める。光は、格子上にθb=0の角度で到達する。溝からの出射光線は、θbの角度で回転される。溝に到達する前に、入射光線はXY平面に存在する。第一の溝の表面へ到達すると、光線は、反射(後方散乱)又は屈折して他の表面へ到達する。溝との相互作用(屈折又は後方散乱による)の回数が増加すると、出射光線が回転される角度θbが大きくなる。光線1は、傾斜した溝表面から、180°に近い角度αで反射する。光線は、1若しくは2個の溝を通過後に導波路から出射されない形で溝に到達した場合、ゼロではない角度θbで導波路内の伝播を続ける(光線2)。この場合、光線は、次の平行な溝(の集合)へ、より小さい入射角:θ−θbで到達することになり、ここで、0<θb<θである。
【0098】
従って、角度θで回転される、異なる溝の集合との連続する相互作用の回数が非常に多い場合、光線の角度θbは、θb→∞となる(θbは、θb=0°及びθ=0°であるかのように角度θを補償する)。これは、導波路内の伝播を続ける光線が溝を通過する場合にのみ発生する。光線が、溝表面から反射された後に導波路内の伝播を続ける場合、そのずれθbは、逆の方向となる。しかし、導波路内のそのような光線の割合は比較的小さい。
【0099】
次に、導波路からの出射角、すなわちφが、|φ|<15°の条件を満足する角度θの値について調べる。表8は、α=90°における、角度θに応じた出射角φを示す。
【0100】
【表8】

【0101】
表8は、入射光の角度をα=90°に一定とした場合、0<θ<10の範囲のすべての角度において、良好な光取り出しの結果(|φ|<15°)が得られることを示す。この考察中の例では、溝(すなわち、列中の第一の溝)からの反射時に、光線の単一のビームが形成された。しかし、θを一定として角度αを小さくし、光線の出射角φを大きくすると、新たな光線群が発生した。新たな光線群の発生により、光の一部が再度許容される角度で導波路から放出される結果となる。
【0102】
従って、θ≠0°の角度の溝へ光が入射する場合、溝との相互作用の後に導波路内の伝播を続ける光の最大部分は、θbの角度で伝播し、それによって、続く溝へ到達した際、この角度は部分的に角度θを補償することになる。出射光線とプリズムとの相互作用の回数が多いほど、θbの角度が大きくなるが、角度αも180度に近づく。適切な角度αに対してθ<10°の場合に、典型的な条件|φ|<15°は実質的に満たされており;表8を参照されたい。しかし、溝へ光が入射する実際のシナリオでは、溝群を拡張することができ、従って、光取り出しユニットあたりの溝の数、一般的には表面レリーフ形状の数を注意深く選択することができるため、角度θに対する条件はこれほど厳しくなくてもよい。
【0103】
図10は、本発明の一つの実施形態に従う導光体によって提供される性能に関する実験結果を図示すものである。非常に高いファクターの光指向性が、優れた効率と共に達成されている。上側の顕微鏡による図は、複数の光取り出しユニットを示しており、放射状に整列されており、曲線状の格子溝を有する。下側のコノスコープによる図は、狭い取り出し角±5°を示す。実際の導光体の性能は、特に小さい入射角及び大きい入射角において回折効率が高いことから、理論的に確定された性能を上回る場合がある。
【0104】
本発明の実施形態に従う回折光取り出しユニット及びキャリア媒体の製造には、例えば、リソグラフィ製造プロセス及び/又は微細加工プロセスによる原版作製並びに射出成型プロセス、ロール・ツー・ロール又は平板エンボス加工などを使用することができる。
【0105】
上記の分析では、多くの場合、回折ユニットは、回折表面レリーフプロフィールとしてブレーズ型溝を有していたが、用途に応じて、ブレーズ型の凸状又はその他のパターン(例:傾斜プロフィール)も十分に適用可能な選択肢であり得る。
【0106】
本発明の範囲は、添付の請求項及びその均等物により決定される。当業者であれば、明確に開示された実施形態が、説明のみの目的で構築されたものであるという事実を理解し、その範囲は、本発明の個々の使用事例に適したさらなる実施形態及び均等物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回折光取り出しユニット(diffractive outcoupling unit)を含む発光装置の指向性光取り出しシステムの一部を形成するための回折光取り出しユニットであって、
該回折光取り出しユニットは、
回折表面レリーフパターンを収容するキャリア素子と、
キャリア素子の表面領域に画定された複数の連続する回折表面レリーフ形状を含む回折表面レリーフパターンと、
を含み、
該形状周期は、好ましくは、約10ミクロン以下であり、該回折表面レリーフパターンの該複数の連続する回折表面レリーフ形状のうちの少なくとも2個の表面レリーフ形状が関与する相互作用を介して結合光の指向性を高めるように該回折表面レリーフパターンへの入射光をキャリア素子外部へ結合するよう配置されている、
回折光取り出しユニット。
【請求項2】
前記複数の連続する回折光取り出しユニットが、表面領域上に、ブレーズ型(blazed)若しくは傾斜型(slanted)格子溝、凹状又は凸状プロフィールを画定する、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項3】
前記複数の連続する回折表面レリーフ形状に属する少なくとも2個の連続する回折表面レリーフ形状が、実質的に同一の高さである、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項4】
前記形状周期が、7ミクロン以下であり、好ましくは、5ミクロン以下である、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項5】
前記複数の連続する回折表面レリーフ形状の一つに入射する、所定の入射角及び所定の円錐角の範囲内の光線の少なくとも一部が、少なくとも部分的に、前記の回折表面レリーフパターンの前記の複数の表面レリーフ形状のうちの1個の表面レリーフ形状と少なくとも別の1個とが関与する相互作用を介して所定の出口方向へ所定の光取り出し角の範囲内で結合される、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項6】
第一の表面領域、及び第一の表面領域に隣接する第二の表面領域を含み、
該第一の表面領域は、前記の回折表面レリーフパターンを含み、
該第二の表面領域は、回折素子を含まないか、又は第一の表面領域の第一の回折構造のレリーフ形状と異なるか、若しくは少なくとも異なった形で整列される1個以上の回折素子を含む、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項7】
前記複数の表面レリーフ形状のうちの少なくとも1個の回折表面レリーフ形状は、三角形状、台形状、平行四辺形状、及び等辺三角形状からなる群より選択されるプロフィールを画定する、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項8】
前記複数の回折表面レリーフ形状が、直線、曲線、波線、又はドット様形状である、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項9】
前記表面レリーフパターンが、少なくとも2個の実質的に平行である回折表面レリーフ形状を含む、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項10】
前記複数の連続する回折表面レリーフ形状の合計周期(aggregate period)が、30ミクロン以下である、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項11】
前記のキャリア素子が、実質的に光学的に透明であり、内部全反射による光の透過が可能なように構成される、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項12】
外部から結合されてきた光を取り出すように構成される、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項13】
前記複数の連続する回折表面レリーフ形状が、ブレーズ角が実質的に45°である1若しくは2個以上のブレーズ型プロフィールを有する、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項14】
前記複数の連続する回折表面レリーフ形状が、形状間で種々のブレーズ角を持つ1若しくは2個以上のブレーズ型プロフィールを有する、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項15】
前記複数の連続する回折表面レリーフ形状がブレーズ型プロフィールを有し、そのブレーズ角が形状間で徐々に変化する、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項16】
格子素子、反射体、又は散光体をキャリア素子表面に有する、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項17】
前記回折表面レリーフパターンが、第一の回折表面レリーフパターンであり、前記回折光取り出しユニットが、キャリア素子の第二の表面領域上に画定された第二の複数の連続する回折表面レリーフ形状を含んで、該第一の回折表面レリーフパターン上の入射光を、キャリア素子外部の該第一の回折表面レリーフパターンと協動で結合するよう配置された第二の回折表面レリーフパターンをさらに含む、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項18】
前記表面レリーフパターンが、その入射角が前記のキャリア素子の表面法線に対して45°と90°の間で等しく広がる複数の入射光線を取り出すように配置されたブレーズ型プロフィールを有する5個の回折形状を含み、それによって、該表面法線に対して取り出し角が20°の範囲内、該入射光線と該取り出し角の範囲内の取り出し光との間の結合効率が少なくとも30パーセントで光が取り出される、
請求項1に記載の回折光取り出しユニット。
【請求項19】
複数の回折光取り出しユニットを含むキャリア素子を含む回折光取り出しシステムであって、
各ユニットは、キャリア素子の表面領域に画定された、ブレーズ型又は傾斜型格子プロフィールなどの複数の連続する回折表面レリーフ形状を含む回折表面レリーフパターンを含み、
該形状周期は、好ましくは、約10ミクロン以下であり、該複数の連続する回折表面レリーフ形状のうちの少なくとも2個の表面レリーフ形状が関与する相互作用を介して光取り出しシステムの該複数の回折光取り出しユニットによって結合された光の指向性を高めるように回折表面レリーフパターンへの入射光をキャリア素子外部へ結合するよう配置されている、
回折光取り出しシステム。
【請求項20】
前記キャリア素子の所定の表面領域上に広がるように構成され、
該所定の表面領域が、前記の複数の回折光取り出しユニットを含み、さらに、回折素子を含まないか、又は前記の回折表面レリーフパターンの回折表面レリーフ形状と異なるか若しくは少なくとも異なった形で整列される1個以上の回折素子を含む場所を有する、
請求項19に記載の回折光取り出しシステム。
【請求項21】
光源からの光を導光体内へと結合するための光取り込みシステム(incoupling
system)と、
光を輸送するための、光学的に実質的に透明であるキャリア素子と、
複数の回折光取り出しユニットを含む光取り出しシステムと、
を含む導光体であって、
各ユニットは、キャリア素子上に画定された、ブレーズ型又は傾斜型格子プロフィールなどの複数の連続する回折表面レリーフ形状を含む回折表面レリーフパターンを含み、
該形状周期は、好ましくは、約10ミクロン以下であり、回折表面レリーフパターンの該複数の表面レリーフ形状のうちの1個の表面レリーフ形状と少なくとも別の1個とが関与する相互作用を介して光取り出しシステムの該複数の回折光取り出しユニットによって結合された光の指向性を高めるように該回折表面レリーフパターンへの入射光をキャリア素子外部へ結合するよう配置されている、
導光体。
【請求項22】
前記光取り出しシステムが、前記の複数の回折光取り出しユニットを含むキャリア素子の所定の表面領域上に広がるように構成され、
該所定の表面領域が、さらに、回折素子を含まないか、又は前記の回折表面レリーフパターンの回折表面レリーフ形状と異なるか若しくは少なくとも異なった形で配列される1個以上の回折素子を含む場所を有する、
請求項21に記載の導光体。
【請求項23】
発光ダイオードなどの光源を含む、
請求項21に記載の導光体。
【請求項24】
前記光取り込みシステムが、光分配体又は散光体を含む、
請求項21に記載の導光体。
【請求項25】
複数の回折光取り出しユニットが、キャリア素子上でセミランダムに組織化されることでモアレ効果を回避する、
請求項21に記載の導光体。
【請求項26】
前記複数の回折光取り出しユニットに属する多数の回折光取り出しユニットが、1若しくは2個以上の光源に対して単独で、又はグループとして整列される、
請求項21に記載の導光体。
【請求項27】
回折表面レリーフパターンの密度が、光源からの距離に応じて、キャリア素子上で増加するように設定される、
請求項21に記載の導光体。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−508553(P2010−508553A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535096(P2009−535096)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050586
【国際公開番号】WO2008/053078
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509124113)オーワイ モディネス エルティディ. (3)
【Fターム(参考)】