説明

発光装置及び電子機器

【課題】発光光の取り出し効率の向上を達成できると共に、表示面内で均一な表示輝度が得られ高い信頼性も具備し、大画面化を施す場合でも各種配線構造に起因する発光光の取り出し効率の低下を抑制できる発光装置、発光装置の製造方法、及び電子機器を提供する。
【解決手段】基体12上に第1の電極14と、発光層15を含む機能層25と、第2の電極17とを順次積層してなる発光素子13を具備してなる発光装置100であって、前記第1の電極14及び第2の電極17は光反射性を有しており、前記第2の電極17は、発光層15からの光を透過する開口部17aを有していることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置や、有機EL(Electro-Luminescence)装置、無機EL装置に代表される発光装置、当該発光装置の製造方法、及び当該発光装置を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)装置などの発光装置においては、基板上に複数の回路素子、陽極、正孔注入層、EL物質などの電気光学物質で形成される発光層、また、陰極などが積層され、それらを封止基板によって基板との間に挟んで封止した構成を具備しているものがある。具体的には、ガラス基板等の透明基板上に、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化スズ(SnO2)、等の透明導電材料からなる陽極と、ポリチオフェン誘導体(以下、PEDOTと略記する)のドーピング体からなる正孔注入層と、ポリフルオレン等の発光物質からなる発光層と、Ca等の低仕事関数を有する金属材料や金属化合物からなる陰極とを順次積層したものである。
【0003】
このような有機EL装置においては、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とが、蛍光能を有する発光層内で再結合し、励起状態から失活する際に発光する現象を利用している。
また、発光光を観察者側に取り出す構造としては、例えば、ボトムエミッションと呼ばれる構造が知られており、当該構造は回路素子が形成された基板側から発光光を取り出すようになっている(例えば、特許文献1参照。)。また、近年では、有機EL装置の大型化、高精細化、高輝度化に対するニーズが高く、発光素子の高開口率化、高効率化を実現するのに有利なトップエミッション型の有機EL装置の研究開発が盛んに行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4356429号明細書
【特許文献2】国際公開第WO98/36407号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トップエミッション型の有機EL装置では、光取り出し側の上部電極を透明にする必要があり、上記特許文献1に記載の構成では、上部電極にITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)膜、又は薄いAl膜とITO膜との積層膜を用いている。しかしながら、係る構成を採用した場合、ITOに代表される透明導電膜はAlに代表される金属膜と比較して抵抗が高くなるため、透明導電膜自体の抵抗に起因する電圧降下により発光素子の輝度むらが生じる。
また、少なくともAlに代表される金属膜からなる上部電極を形成すると、十分な透明性が得られず光取り出し効率が低下するという課題を有していた。
また、トップエミッション構造の殆どが電極を透明にする技術であり、十分な透明度が得られず、或いは透明度が得られても、信頼性が悪い等の問題を有していた。また、従来の有機EL装置では発光層内で発生した発光光を直接外部に取り出すため、20%程度の取り出すことができないという問題があった。
また、Li、Na、等のアルカリ金属やBe、Mg、Ca等のアルカリ土類金属を含む仕事関数の低い電子注入層上にITO等の金属酸化物からなる透明導電材料を積層すると電子注入層が損傷し易いという問題もある。
【0006】
一方、ボトムエミッション型の有機EL装置では、各種配線が発光光を遮る位置に配置されているため、このような配線が発光光の取り出し効率を低下させるという問題もあった。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、発光光の取り出し効率の向上を達成できると共に、表示面内で均一な表示輝度が得られ高い信頼性も具備し、大画面化を施す場合でも各種配線構造に起因する発光光の取り出し効率の低下を抑制できる発光装置、発光装置の製造方法、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、基体上に第1の電極と、発光層を含む機能層と、第2の電極とを順次積層してなる発光素子を具備してなる発光装置であって、前記第1の電極及び第2の電極は光反射性を有しており、前記第2の電極は、発光層からの光を透過する開口部を有していることを特徴とする発光装置を提供する。
【0009】
本発明において、発光装置とは、電気エネルギーを光学エネルギーに変換して発光現象を生じさせる装置等を含んで総称している。
また、本発明における開口部とは、発光層からの光が透過する部位を意味しており、電極が形成されていない部分や、電極に形成された孔部分を意味している。また、透明性を有する電極と非透明性の電極とが積層された場合に、当該非透明性の電極に形成された孔部分には、透明性を有する電極を経て光が透過することから、当該孔部分も開口部としての意味を有している。
【0010】
本発明によれば、前記第1の電極と第2の電極とに挟まれた機能層に電力を供給することにより発光層で生じた光を、第1の電極と第2の電極との間で反射させつつ機能層の面方向に伝搬させ、第2の電極の開口部にて機能層の外側に取り出すことができる。
【0011】
また、本発明において、第2の電極として金属酸化物からなる透明導電材料を使用しない場合においては、Li、Na、等のアルカリ金属やBe、Mg、Ca等のアルカリ土類金属を含む仕事関数の低い材料を電子注入層として用いることができるため、効率よく電子を発光層に注入することができ、発光素子からの光の輝度を向上することができる。
また、本発光装置では、発光層で生じた光が透明導電膜を透過することなく射出されるため、発生した光がほとんど減衰することなく高効率に取り出され、明るい表示を実現することができる。
更に、本発明では、第2の電極は光反射性を有しており、信頼性に優れ、抵抗の低い金属膜を用いることができるため、第2の電極自体の抵抗に起因する電圧降下による発光素子の輝度むらを低減することができる。また、電極が透明導電材料によって形成されている従来の発光装置に比して高い信頼性を得ることができる。
【0012】
本発明の発光装置では、前記第1の電極は、前記第2の電極の非形成領域において、基体面に対して傾斜した傾斜面部を有していることが好ましい。
このようにすれば、前記機能層内部を伝搬した光が外部に取り出される領域である、第2の電極の非形成領域にて、発光装置の正面側(基体の略法線方向)に多くの光を取り出せるようになる。
即ち、観察者方向にて高輝度の表示が得られる発光装置を提供することができる。また、前記傾斜面部の傾斜角度は、前記基体面に対して略45°とすることが好ましい。このようにすれば、機能層内部を伝搬して前記傾斜面部により反射された光を、基体法線方向へ射出することができ、発光装置正面で最も明るい表示を得ることができる。
【0013】
本発明の発光装置では、前記発光素子を取り囲む隔壁を備えており、前記第1の電極は前記隔壁の内壁面まで延設されていることが好ましい。
このようにすれば、上記隔壁の内壁面に延設された第1の電極は、前記内壁面にて電極面から立ち上がるように配置される。これにより、機能層内部を伝搬した光は、第1の電極の立ち上がり部分にて反射されるので、装置正面側へ高い指向性を持って出力され、もって観察者方向で高輝度の表示が得られるようになる。
【0014】
本発明の発光装置では、前記隔壁に囲まれた領域を平面的に区画する内部隔壁をさらに備え、前記第1の電極は前記内部隔壁の内壁面に延設されている構成とすることもできる。
本発明に係る発光装置では、第1の電極と第2の電極とが対向配置された領域にて発生した光を、機能層の面方向に伝搬させるとともに第2の電極の非形成領域で外部に取り出すようになっているため、機能層内部での伝搬距離が長くなると、少ないながらも減衰量が多くなり効率が低下する可能性がある。そこで本発明の如く内部隔壁により発光素子を区画することで、上記両電極の対向領域(発光領域)を小さくすることができ、機能層内部での減衰量を抑えることができる。また、内部隔壁の内壁面まで第1の電極が形成されているので、この内壁面に形成された第1の電極によって、特定方向に高効率に光を取り出すことができる。本発明は、特に、発光素子の平面積が比較的大きくなる大画面の発光装置に好適である。
【0015】
本発明の発光装置では、前記隔壁又は内部隔壁の内壁面は、前記基体面に対して略45°の傾斜角度を有していることが好ましい。
このようにすれば、前記内壁面に形成された第1の電極の傾斜角度を略45°とすることができ、機能層内部を伝搬する光を、発光装置の正面方向へ高効率に射出することができる。
【0016】
本発明の発光装置では、前記第2の電極の外面側に反射防止手段が設けられていることが好ましい。
このようにすれば、発光装置の表示面に配置される第2の電極で外光が反射されるのを防止することができ、もって視認性に優れる発光装置を提供することができる。
【0017】
本発明の発光装置では、前記第2の陰極は、光透過性を有する透明性導電膜と、当該透明性導電膜の導電性を補助する補助電極とからなり、前記補助電極には前記発光層からの光を透過させる前記開口部が形成されていることが好ましい。
ここで、透明性導電膜は、機能層の全面に形成されていることが好ましい。また、当該透明性導電膜の表面に補助電極が形成されていることが好ましい。また、補助電極は、光反射性を有していることが好ましい。
【0018】
このような発光装置においては、前記第1の電極と前記第2の陰極とに挟まれた機能層に電力が供給されると、透明性導電膜と第1の電極との間に電力が供給されると共に、補助電極が透明性導電膜の導電性を補助し、機能層に電力が供給される。そして、このように電力が供給された発光層においては、発光光を発生させることができると共に、当該発光光を第1の電極と補助電極との間で発光光を多重反射させつつ、機能層及び透明性導電膜において面方向に伝搬させ、補助電極の開口部にて機能層の外側に取り出すことができる。即ち、本発光装置では、補助電極が透明性導電膜の導電性を向上させるので、効率的に電力を機能層に供給することができ、発生した光が高効率に取り出され、明るい表示を実現することができる。また、機能層の全面に透明性導電膜が形成されていることから、機能層の一部に電極が接触形成されている場合と比較して、機能層との接触面積を増加させることができる。これにより、機能層の一部に電極が形成されている場合よりも、発光面積を増加させることができる。
従って、上記のように補助電極が透明性導電膜の導電性を補助することで導電性を高めることができると共に、発光面積を増加することができるので、より一層の発光効率の向上を実現できる。
【0019】
また、本発明の発光装置は、基板上に、一対の対向する電極と、当該電極間に挟持された発光層を含む機能層と、を備えた発光装置であって、前記基板と前記発光層の間には前記基板の表示領域を遮る配線が設けられ、当該配線には前記発光層の側に光反射性を有する反射面が形成され、前記配線の側部には前記発光層の発光光が通過する開口部が形成されていることを特徴としている。
ここで、配線とはTFT等のスイッチング素子の配線や、発光層に電流を供給する電源線や、所定の電位を保持する容量線等、の各種配線を意味する。
【0020】
このような発光装置においては、発光層が発光した際に、発光光が直接的に開口部から基板外部へ出射される場合と、発光光が配線に衝突する場合とがある。ここで、配線には反射面が形成されているので、発光光は配線の反射面や電極に反射されて開口部から出射したり、また、多重反射によって発光層の水平方向に伝播した後に開口部から出射したりする。
従って、配線が表示領域を遮るように形成されている場合でも、発光光を反射させて開口部から出射させるので、発光光の取り出し効率の向上を達成できる。また、発光装置の大画面化を施す場合には、配線抵抗の低抵抗化のためにその線幅が太くなり、表示領域を遮り、発光光の取り出し効率の低下を招く恐れがあるが、上記構成を採用することによって発光光の取り出し効率の低下を抑制することができる。従って、配線構造や配線パターンの自由度が大きくなるので、所望の位置にTFT配線や電源線を這わせることが可能となり、大画面化を容易に施すことができる。
【0021】
また、発光光は、配線の側部に形成された開口部から出射するので、例えば、当該配線を所望のパターンに形成することにより、発光光を所望の開口部から出射させることができる。また、発光層や電極の形状に起因して発光光の強度が偏っている場合には、効率的に発光光を取り出せるように積極的に配線のパターンを調整し、開口部を所望の位置に形成することで、発光光の取り出し効率を更に向上させることができる。
なお、上記構成は、TFTや各種配線が設けられた基板側から発光光を取り出す所謂ボトムエミッション構造において、特に有効である。
【0022】
また、前記発光装置においては、前記発光層に対して、前記配線が複数本数に分岐して形成されていることを特徴としている。
このように配線が複数本数に分岐されることによって、複数の分岐配線が形成され、当該分岐配線の間には、開口部が複数形成される。従って、発光光は、分岐配線に隣接する開口部から出射させることができる。ここで、当該分岐配線を所望のパターンに形成することにより、発光光を所望の開口部から出射させることができる。また、発光層や電極の形状に起因して発光光の強度が偏っている場合には、効率的に発光光を取り出せるように積極的に配線を分岐させて開口部を所望の位置に形成することで、発光光の取り出し効率を更に向上させることができる。また、多重反射を避けることができるので、当該多重反射に起因する発光光の減衰を抑制できる。
【0023】
また、前記発光装置においては、前記反射面は、発光光を散乱させる光散乱性を有することを特徴としている。
このように反射面が光散乱性を有することによって、反射面に衝突する発光光を散乱させることができる。従って、発光光の反射方向の偏りを防止することができる。
また、ここで言う光散乱性は、発光層側に発光光を反射させないことが好ましい。このようにすれば、多重反射を避けることができるので、当該多重反射に起因する発光光の減衰を抑制できる。
【0024】
また、前記発光装置においては、前記発光層を挟持する前記電極の一方は、光反射性を有することを特徴としている。
ここで、「発光層を挟持する電極の一方」とは、発光層から見て配線とは反対側に位置する電極が好ましい。
このように電極が光反射性を有することにより、発光層から電極に向けて発光した発光光や、配線によって反射された発光光を、配線や開口部に向けて反射することができる。
【0025】
また、前記発光装置においては、前記発光層は、前記配線とは反対側に凹凸面を有することを特徴としている。
このように発光層が凹凸面を有することにより、当該凹凸面の形状に応じて発光光を出射することができる。また、当該凹凸面を覆うように前記光反射性を有する電極を設けることで、凹凸面の法線方向に発光光を出射させることができる。
また、所望の形状で凹凸面を形成することにより、所望の位置に発光光を集光させることが可能となり、発光強度を部分的に強くすることができる。また、このような発光光を直接的に開口部から出射させたり、反射させて出射させたりすることで、発光光の取り出し効率の向上を更に促進させることができる。
【0026】
また、前記発光装置においては、前記凹凸面の端部において、前記基板の垂直方向と当該凹凸面とがなす角度は、30°以上、50°以下であることを特徴としている。
このようにすれば、上記の凹凸面を有する効果を良好に得ることができる。
【0027】
また、前記発光装置においては、前記凹凸面における頂部又は底部は、前記開口部と対応していることを特徴としている。
このようにすれば、上記の凹凸面を有する効果を良好に得ることができる。
【0028】
また、前記発光装置においては、前記基板には、光反射性を有する反射部が形成されていることを特徴としている。
このように基板に反射部を設けることで、開口部から出射した発光光は、観察者側に確実に出射させることができる。従って、上記の効果を更に促進させることができる。
【0029】
また、前記発光装置においては、前記基板と前記配線の間には、光吸収層が形成されていることを特徴としている。
このようにすれば、観察者側からの外光反射を防止するので、コントラストの向上を達成できる。
【0030】
本発明の発光装置では、前記機能層は、有機エレクトロルミネッセンス材料を含んでいる構成とすることができる。即ち本発明によれば、有機EL素子を発光素子として備えた発光装置が提供される。
【0031】
また、本発明の発光装置の製造方法は、基板上に、一対の対向する電極と、当該電極間に挟持された発光層を含む機能層と、を備えた発光装置の製造方法であって、前記基板と前記発光層の間に、前記基板の表示領域を遮る配線を形成する工程を有し、当該配線は、前記発光層の側に光反射性を有する反射面を備えていることを特徴としている。
更に、前記配線の側部には、前記発光層の発光光が通過する開口部が形成されていることが好ましい。
このようにすれば、配線が表示領域を遮るように形成されていても、発光光を反射させて開口部から出射させるので、発光光の取り出し効率の向上を達成できる。また、発光装置の大画面化を施す場合には、配線抵抗の低抵抗化のためにその線幅が太くなり、表示領域を遮り、発光光の取り出し効率の低下を招く恐れがあるが、上記構成を採用することによって発光光の取り出し効率の低下を抑制することができる。従って、配線構造や配線パターンの自由度が大きくなるので、所望の位置にTFT配線や電源線を這わせることが可能となり、大画面化を容易に施すことができる。
【0032】
また、発光光は、配線の側部に形成された開口部から出射するので、例えば、当該配線を所望のパターンに形成することにより、発光光を所望の開口部から出射させることができる。また、発光層や電極の形状に起因して発光光の強度が偏っている場合には、効率的に発光光を取り出せるように積極的に配線のパターンを調整し、開口部を所望の位置に形成することで、発光光の取り出し効率を更に向上させることができる。
なお、上記の製造方法は、TFTや各種配線が設けられた基板側から発光光を取り出す所謂ボトムエミッション構造の発光装置を製造する場合において、特に有効である。
【0033】
また、前記発光装置の製造方法においては、複数の前記発光層を隔てる隔壁を形成する工程と、液滴吐出法によって前記発光層を前記隔壁に隣接して形成する工程と、を更に有することを特徴としている。
更に、隔壁の表面が相対的に親液性や撥液性を有するように、親液処理や撥液処理を施すことが好ましい。
このようにすれば、液滴吐出法を用いて発光層材料を隔壁に近傍に吐出することにより、隔壁と発光層の接触部において、隔壁の撥液性、下地の親液性、発光層材料の溶媒の蒸発性等、の各種要因に起因して、所望の角度で接触させることができる。従って、上述の凹凸面を容易に形成することができる。
【0034】
次に、本発明の電子機器は、先に記載の本発明の発光装置を備えたことを特徴とする。
ここで、電子機器としては、例えば、携帯電話機、移動体情報端末、時計、ワープロ、パソコンなどの情報処理装置などを例示することができる。
従って、本発明によれば、先に記載の発光装置を用いた表示部を備えているので、明るく、高画質、高信頼性、高輝度かつ高コントラストの画像を表示可能な表示部を備えた電子機器となる。
また、本発明の電子機器は、発光素子の輝度むらを低減することができるため、例えば対角20インチ以上の大面積の表示部を備える電子機器に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る発光装置、発光装置の製造方法、及び電子機器について、図面を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
【0036】
図1は、本発明に係る発光装置の一実施の形態である有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)装置の全体構成を示す平面構成図、図2は、同、部分断面図、図3は、同有機EL装置の複数の発光素子を示す平面構成図である。本実施形態の有機EL装置は、発光層からの出力光を素子形成側から取り出すトップエミッション型であって、各発光素子に対応してスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス方式の有機EL装置である。
【0037】
まず、図1に基づいて、本実施の形態の有機EL装置の全体構成について説明する。
本例の有機EL装置100は、電気絶縁性を有する基板(基体)12上に、発光素子駆動部(図示せず)に接続された画素電極が基板12上にマトリクス状に配置されてなる平面視略矩形の画素部33(図1中の一点鎖線枠内)を具備して構成されている。画素部33は、中央部分の表示領域34(図1中の二点鎖線枠内)と、表示領域34の周囲に配置されたダミー領域35(一点鎖線枠と二点鎖線枠との間の領域)とに区画されている。表示領域34には、それぞれ画素電極を有する3色(R,G,B)の発光素子(有機EL素子)13からなる画素が、紙面の縦方向および横方向にそれぞれ離間してマトリクス状に配置されている。また、図1における表示領域34の左右には走査線駆動回路38が配置される一方、図1における表示領域34の上下にはデータ線駆動回路31が配置されている。これら走査線駆動回路38、データ線駆動回路31はダミー領域35の周縁部に配置されている。なお、図1においては、走査線およびデータ線の図示は省略している。
【0038】
さらに、図1におけるデータ線駆動回路31の上側には、検査回路30が配置されている。この検査回路30は、有機EL装置100の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)を備え、製造途中や出荷時の有機EL装置の品質、欠陥を検査できるようになっている。なお、この検査回路30も、ダミー領域35の内側に配置されている。また、基板12には駆動用外部基板36が接続され、駆動用外部基板36上に外部駆動回路32が搭載されている。
【0039】
次に、図2に示す断面構造をみると、基板12の一方の面に設けられた複数の発光素子(画素)13は、それぞれに対応して設けられた発光素子駆動部18と電気的に接続されている。発光素子13は、基板12上に立設されたバンク(隔壁)22に囲まれる領域内に設けられており、陽極(第1の電極)14及び陰極(第2の電極)17に挟持されたEL層(機能層)25を備えている。EL層25は、有機エレクトロルミネッセンス材料を主体とする発光層15と、正孔注入/輸送層16とを有している。また、基板12の素子形成面側には、透光性の封止基板19が披着されている。
【0040】
本実施形態の場合、陽極14及び陰極17は、いずれも銀や金、アルミニウム等の光反射性の金属膜により形成されており、陰極17は、陽極14の平面領域内で部分的に形成され、各発光素子13の平面領域内に開口部17aを有している。このような構成のもと、陰極17の開口部17aに対応する領域にて陽極14及びEL層25の一部が素子上面側に露出され、係る露出領域が発光素子13の出力光を放射する光射出部を成している。
図示した3つのEL層25はそれぞれ例えば赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の3色の発光層を含んで構成されており、これら3色の発光素子13(画素)が、有機EL装置100の1表示単位を構成している。
【0041】
発光素子13を取り囲むバンク22は、図示の如く断面視略台形状を成して形成されており、発光素子13側の内壁面22bが基板面に対し傾斜した面となっている。バンク22の上面には、発光素子駆動部18に達するコンタクトホール22aが設けられており、発光素子13は、このコンタクトホール22aに一部を埋設された陽極14により、下側の素子形成層11に設けられた発光素子駆動部18と電気的に接続されている。陽極14と発光素子駆動部18は絶縁層11を挟んで直接導通しても良い。発光素子駆動部18は、発光素子13に対して表示階調に応じた電力を供給するものであり、例えば、表示回路から供給されるデータに応じて発光素子13への印加電圧情報を出力する画素選択用スイッチング素子と、この画素選択用スイッチング素子から出力される電圧印加情報に基づき電源線から供給される電圧を発光素子13に印加する画素駆動用スイッチング素子とを備えた回路を適用することができる。
【0042】
また、封止基板19と基板12とは図示略の接着層を介して接着されており、封止基板19及び接着層により有機EL素子13が封止されている。また、封止基板19の内面側に、封止された空間の水分を除去するための乾燥剤20が配設されている。封止基板19と基板12との間に接着層を設けず、不活性ガスを充填しておいても良い。先に記載のように、図1に示す有機EL装置100は発光層16からの発光を、封止基板19側から装置外部に取り出すトップエミッション型の有機EL装置である。
【0043】
次に、図3に示す平面構造を見ると、各発光素子13において、平面視略矩形状の開口部を有するバンク22の内部に、平面視矩形状の陽極14とEL層25とが配置されるとともに、複数の矩形状の開口部(光射出部)17aを有する陰極17が、複数の発光素子13に跨って形成されている。陰極17に設けられた開口部17aは、バンク22の内壁面22b上に形成された陽極14の平面領域とほぼ重なる位置に配置されている。また、両端の発光素子13において、陰極17の図示左右方向外側も開口部17aとなっている。そして、バンク22の内部で陽極14とEL層25と陰極17とが平面的に重なった部分が、各発光素子13の発光領域13aを成している。発光素子13の陽極14と陰極17を電気的に絶縁するため、バンク22の内壁面22b上に形成された陽極14aのEL層25を配していない部分は陰極17に設けられた開口部17aの領域内となっている。
発光素子13の陽極14と陰極17を確実に電気的に絶縁するため、絶縁層(図示せず)をバンク22の内壁面22bに形成された陽極14a上に配しても良い。
【0044】
上記構成を備えた本実施形態の有機EL装置100において、発光素子駆動部18から発光素子13に対して電力が供給されると、EL層25が電極により挟まれている発光領域13aにて発光層15が発光する。EL層25を挟持している陽極14と陰極17とはいずれも光反射性を有する金属膜を用いて形成されているので、発光領域13aで発生した光は、両極間を反射しつつEL層25の平面方向へ伝搬する。そして、このEL層25内部を伝搬した光が陰極17の外側に達すると、図2上方へ開口した光射出部17aから封止基板19側へ光が射出されるようになっている。
ここで、発光素子13において、基板12上、及び基板12表面に対して傾斜した内壁面22bに沿って陽極14が形成されているので、陽極14は発光素子13の両側部で基板面から立ち上がった略舟形を成している。つまり、陽極14は、その両側部に基板12に対して傾斜した傾斜面部14a、14aを備えたものとなっている。この構成により、発光領域13aから外側に伝搬した光が、この陽極14の傾斜面部14a、14aで反射され、光射出部17aから効率よく出力されるようになっている。
このように内部で生じた光の射出手段としても機能する陽極14は、前記出力光を効率よく基板上方へ反射させるために、傾斜面部14aの基板面に対する傾斜角度が35°から55°であり、略45°であることが好ましい。さらに、これら傾斜面部14a(即ちバンク22の内壁面22b)が曲面形状を成している構成とすることもできる。
【0045】
このように、本実施形態の有機EL装置100によれば、発光素子13の発光領域13aで生じた光を、EL層25を挟持した陽極14及び陰極17で反射させつつ光射出部17aに導き、この光射出部17aにて基板12上方へ高い指向性を持って出力することができる。即ち、本有機EL装置では、トップエミッション型の有機EL装置でありながら、発光素子13からの出力光が透明電極を透過しないので、極めて高効率に出力光を取り出すことが可能である。さらに、第2の電極として金属酸化物からなる透明導電材料を使用しないため、Li、Na、等のアルカリ金属やBe、Mg、Ca等のアルカリ土類金属を含む仕事関数の低い材料を電子注入層として用いることができるため、効率よく電子を発光層に注入することができ、発光素子からの光の輝度を向上することができる。また、電子注入層として、比較的厚い層を用いることができ、光透過性の低い材料を用いても良い。
【0046】
また陽極14及び陰極17が金属膜により形成されているので、従来のITO等の透明導電材料により上部電極を形成する構成に比して高い信頼性を得ることができる。さらには、透明導電材料と比較すると抵抗が著しく低いため、表示領域34のほぼ全面に形成される陰極17において電圧降下が生じ難く、大画面化した場合にも表示むら等が生じ難くなっている。
【0047】
以下、有機EL装置100の各構成要素についての具体的な構成例を説明する。
図1に示した有機EL装置100において、基板12の形成材料としては、ガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの合成樹脂材料などが挙げられる。基板12には不透明材料のほか、光を透過可能な透明あるいは半透明材料も用いることができ、安価なガラスが好適に用いられる。
【0048】
陽極14は、光反射性を有する金属膜(例えば金、銀等)を含んで構成される。この金属膜として、金、銀を用いるならば、仕事関数が大きい(4.6eV以上が好ましい。)ため、単層の金属膜により陽極14を形成する場合に好適である。あるいは、他の導電膜との積層構造も適用できる。陽極14は、スパッタ法や蒸着法等の公知の成膜法を用いて形成することができる。
陰極17は、光反射性を有する金属膜(例えば、アルミニウムや、金、銀等)を含んで形成される。即ち、これらの金属膜単層で形成することもでき、これらの金属膜のEL層25側に、Li、Na、等のアルカリ金属やBe、Mg、Ca等のアルカリ土類金属を含む仕事関数の低い材料を含む層を設けた構成とすることもできる。陰極17は、公知の成膜法により形成することが可能であるが、成膜時に既設のEL層25を損傷しないようにするため、メタルマスクを用いたマスク蒸着法により選択形成することが好ましい。
さらに陰極17の外面側に、反射防止膜(反射防止手段)を設けることもできる。本実施形態の場合、陰極17は透光性の封止基板19側に配置されて観察者に視認されるため、有機EL装置100に入射した光が陰極17にて反射されると表示の視認性を低下させる可能性があるが、上記反射防止膜を設けておくことで、係る反射光による視認性低下を防止できるのに加え、光射出部17aとのコントラストが高まり、表示の高画質化にも寄与する。
【0049】
正孔注入/輸送層16は、例えば、高分子系材料として、ポリチオフェン、ポリスチレンスルホン酸、ポリピロール、ポリアニリン及びこの誘導体などが好ましい構成材料として例示される。また、低分子系材料を使用する場合は、正孔注入層と正孔輸送層を積層して形成するのが好ましく、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。また、正孔輸送層としては、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等からなる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4'−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。なお、正孔輸送層または正孔注入層のいずれか一方を形成してもよい。
【0050】
発光層15の形成材料としては、高分子発光体や低分子の有機発光色素、即ち各種の蛍光物質や燐光物質などの発光物質が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン又はポリフルオレン構造を含むものなどが特に好ましい。低分子発光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。
【0051】
なお、陰極17と発光層15との間に、必要に応じて電子輸送層や電子注入層を設けてもよい。電子輸送層の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等を例示でき、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適である。
【0052】
封止基板19としては、例えばガラス基板を用いるが、透明でガスバリア性に優れていれば例えば、プラスチック、プラスチックのラミネートフィルム、ラミネート成型基板等のガラス基板以外の部材、またはガラスのラミネートフィルム等を用いてもよい。また、保護層として紫外線を吸収する部材を用いることもできる。
【0053】
図1ないし図3に示す有機EL装置100の発光層15を含む機能層は、液滴吐出法(インクジェット法)を用いて形成することができる。液滴吐出法を用いて機能層を形成する際には、該機能層が形成されるべき領域に開口部を有する平面視略格子状のバンク22が形成される。そして、液滴吐出装置の吐出ヘッドより、前記機能層形成用材料を含む液体材料がバンク22の開口部に対して吐出されることにより、所定の位置に機能層が形成される。
【0054】
ここで、液滴吐出装置の吐出ヘッドはインクジェットヘッドを含む。インクジェット方式としては、圧電体素子の体積変化により流動体を吐出させるピエゾジェット方式であっても、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式であってもよい。なお、液滴吐出装置としてはディスペンサー装置でもよい。また、液体材料とは、吐出ヘッドのノズルから吐出可能な粘度を備えた媒体をいう。水性であると油性であるとを問わない。ノズル等から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。また、液体材料に含まれる固体物質は融点以上に加熱されて溶解されたものでも、溶媒中に微粒子として分散させたものでもよく、溶媒の他に染料や顔料その他の機能性材料を添加したものであってもよい。
【0055】
詳細な図示は省略したが、本実施形態の有機EL装置100はアクティブマトリクス型であり、実際には複数のデータ線と複数の走査線とが平面視略格子状を成して素子形成層11に形成される。そして、これらのデータ線や走査線に区画されてマトリクス状に配置された各画素毎に、スイッチングトランジスタやドライビングトランジスタ等の駆動用TFTを介して発光素子13が接続されている。データ線や走査線を介して駆動信号が供給されると電極間に電流が流れ、発光素子13の発光層15が発光して光射出部17aから封止基板19の外側に光が射出され、その画素が点灯する。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態の有機EL装置110の部分断面構成図であって、先の実施形態の有機EL装置100における図2に相当する図面である。図4では封止基板は図示を省略しているが、本実施形態の有機EL装置110は、先の有機EL装置100と同様の基本構成を備えており、各発光素子を区画するバンク22の内部に、同領域をさらに区画するサブバンク(内部隔壁)32が設けられている点に特徴を有している。従って、以下の説明及び図4では、先の実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0057】
図4に示す有機EL装置110は、複数の発光素子53を備えている。各発光素子53は、基板12上に立設されたバンク22に囲まれた領域内に設けられている。各発光素子53は、陽極14と陰極17との間にEL層25を挟持した構成を備えており、バンク22と同層に設けられたサブバンク32により平面的に区画されている。そして、前記サブバンク32により区画された領域の各々で、陽極14と陰極17とがEL層25を挟持して対向配置されることで、複数(図示では2つ)の発光領域13aが形成されている。陰極17は先の実施形態と同様に陽極14の平面領域内で部分的に形成されており、これにより発光領域13aの両側に、光射出部を成す開口部17aが形成されている。各開口部17aの位置において、バンク22及びサブバンク32上に形成された陽極14は、これらのバンクの内壁面に倣う傾斜面部14aを有している。
【0058】
上記構成を備えた本実施形態の有機EL装置110は、コンタクトホールを介して陽極14と導電接続された発光素子駆動部18から供給される電流により、発光領域13aの発光層15が発光され、この光を陰極17と陽極14との間で反射させつつ発光領域13aの両側へ導くことで、複数箇所に設けられた光射出部(陰極の開口部)17aから出力させることができるようになっている。陽極14と発光素子駆動部18は絶縁層11を挟んで直接導通しても良い。このように、発光素子13を平面的に区画し、複数の発光領域13aとそれに対応する光射出部17aを設けた構成とすることで、比較的大型の画素を形成した場合にも、高い光取り出し効率を得ることができる。従って、本実施形態の有機EL装置110によれば、高輝度の大画面表示が可能である。
【0059】
また本実施形態においても、光射出部17aにて形成された陽極14の傾斜面部14aは、基板12の主面に対して略45°の角度を成して形成されていることが好ましい。即ち、サブバンク32の内壁面32bは、基板面に対して略45°の角度を成していることが好ましい。このような構成とすることで、有機EL装置110の正面方向で輝度が最大になり、観察者方向で高輝度の表示が得られるようになる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の有機EL装置120の部分断面構成図であって、先の実施形態の有機EL装置100における図2に相当する図面である。
なお、図5では封止基板は図示を省略しているが、本実施形態においては先の実施形態と異なる構成について説明し、同一構成には同一符号を付して説明を簡略化している。
【0061】
本実施形態の有機EL装置120は、図5に示すように先の有機EL装置100と同様の基本構成と、バンク(隔壁)60と、陰極(第2の電極)62と、層間絶縁膜64とを有している。
ここで、バンク60においては、第1バンク層60a、第2バンク層60b、及び第3バンク層60cが層間絶縁膜64上に順次積層された構造を有している。そして、第1バンク層60aは、発光素子13を取り囲むように、図示の如く断面視略台形状を成して形成されたものであり、発光素子13側の内壁面60dが基板面に対し傾斜した面となっている。また、第2バンク層60bは、第1バンク層60aの形状に倣って形成された反射膜であり、銀や金、アルミニウム等の光反射性の金属膜によって構成されたものである。
また、第3バンク層60cは、第2バンク層60bの形状に倣って形成された透明樹脂膜であり、アクリル等の樹脂膜によって構成されたものである。従って、バンク60は、断面視略台形状で、かつ、光反射性を有し、絶縁性の表面を有するものとなる。
【0062】
また、陰極62においては、透明性導電膜62a及び補助電極62bが積層された構造を有している。そして、透明性導電膜62aは、インジウム錫酸化物(以下、ITOと略記する。)等の透明導電膜である。また、ITOの他にも金属酸化物に亜鉛(Zn)を含有した材料、例えば、酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide:IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標))(出光興産社製)を採用することができる。このような透明性導電膜62aは、EL層25及びバンク60を含めて、基板12上に全面に形成されたものである。
また、補助電極62bは、各発光素子13の平面領域内において透明性導電膜62a上に部分的に形成されたものである。また、当該補助電極62bは、透明性導電膜62aよりも導電性が高く、透明性導電膜62aの導電性を補助するようになっている。また、このように補助電極62bが透明性導電膜62a上に部分的に形成されることにより、補助電極62bの側部に開口部63が形成されたものとなる。また、このような開口部63は、各発光素子13の平面領域内に形成されたものとなる。また、当該開口部63においては、後述するように透明性導電膜62aを透過する発光層15の発光光が通過するようになっており、また、陽極14と補助電極62bの間で多重反射した発光光が透明性導電膜62aを経て通過するようになっており、また、第2バンク層60bの反射膜で反射した発光光が透明性導電膜62aを経て通過するようになっている。このような構成のもと、補助電極62bの開口部63に対応する領域にてEL層25の一部が透明性導電膜62aに接触し、係る接触領域が発光素子13の出力光を放射する光射出部を成している。図示した3つのEL層25はそれぞれ例えば赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の3色の発光層を含んで構成されており、これら3色の発光素子13(画素)が、有機EL装置100の1表示単位を構成している。
【0063】
また、層間絶縁膜64は、陽極14と発光素子駆動部18の間に設けられた絶縁膜であり、当該層間絶縁膜64に形成されたコンタクトホール64aを介して陽極14と発光素子駆動部18とが接続されている。
【0064】
このような有機EL装置120の製造方法について説明する。
まず、発光素子駆動部18を形成後に、層間絶縁膜64及びコンタクトホール64aを形成する。次に、反射性陽極14(Al製膜後ITO形成、または他の金属膜、銀、金など反射率が高く仕事関数が4.6eV以上の金属)を形成する。次に、第1バンク60aをアクリル樹脂によって、テーパ角が45度程度になるように形成する。次に、反射性金属膜を成膜して第2バンク60bを形成する。次に、第2バンク60bを覆うように第3バンク60cを形成する。引き続きEL層25を形成する。必要に応じて電子ブロック層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層を形成する。次に、Ca/ITO等の積層構造で透明性導電膜62aを形成し、更にマスク越しに反射性の補助電極62bをAl等の金属で蒸着し、開口部63を図5のごとく開けておく。
【0065】
このように構成された有機EL装置120においては、陽極14と陰極62とに挟まれたEL層25に電力が供給される。これにより、陽極14と透明性導電膜62aとに挟まれたEL層25に電力が供給され、更に、補助電極62bが透明性導電膜62aの導電性を補助して、EL層25に電力が供給される。そして、このように電力が供給されたEL層25においては、発光光を発生させることができると共に、当該発光光を陽極14と補助電極62bとの間で発光光を多重反射させつつ、また、第2バンク60bによって発光光を反射させつつ、発光光はEL層25及び透明性導電膜62aにおいて面方向に伝搬する。そして、最終的に透明性導電膜62aを透過した発光光は開口部63から有機EL装置120の外側に出射される。
【0066】
上述したように、本実施形態の有機EL装置120においては、EL層25の発光光を陽極14と補助電極62bとの間で発光光を多重反射させることができ、また、第2バンク60bによって発光光を反射させることができ、発光光をEL層25及び透明性導電膜62aにおいて面方向に伝搬させることができる。そして、透明性導電膜62aを透過させて発光光を開口部63から出射させることができる。
また、有機EL装置120においては、補助電極62bが透明性導電膜62aの導電性を向上させるので、効率的に電力をEL層25に供給することができ、発光光を高効率に取り出すことができ、明るい表示を実現できる。また、EL層25の全面に透明性導電膜62aが形成されていることから、EL層25の一部に電極が接触形成されている場合と比較して、EL層25との接触面積を増加させることができる。これにより、EL層25の一部に電極が形成されている場合よりも、発光面積を増加させることができる。
従って、上記のように補助電極62bが透明性導電膜62aの導電性を補助することで導電性を高めることができると共に、発光面積を増加することができるので、より一層の発光効率の向上を実現できる。
【0067】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。図6は、本実施形態の有機EL装置130の部分断面構成図であって、先の実施形態の有機EL装置100における図2に相当する図面である。図7は、有機EL装置130の要部を示す平面図であって、補助電極と、陽極と、バンクと、の位置関係を説明するための図である。
なお、図6では封止基板は図示を省略しているが、本実施形態においては、先の実施形態と異なる構成について説明し、同一構成には同一符号を付して説明を簡略化している。
【0068】
本実施形態の有機EL装置130は、図6に示すように先の有機EL装置120と同様の基本構成と、バンク(隔壁)70と、を有している。
ここで、バンク70においては、親液バンク層70aと撥液バンク層70bとが層間絶縁膜64上に順次積層された構造を有している。そして、親液バンク層70aは酸化シリコン等の親液性が高い無機材料からなるものであり、撥液バンク層70bはアクリル樹脂材料にフッ素プラズマ処理が施されたものである。このようなバンク70においては、液滴吐出法を用いてEL層25を形成する際に、親液バンク層70aが陽極14上にEL層25を留めるので、当該陽極14上にEL層25を形成することが可能となる。また、吐出ヘッドから吐出された液体材料において飛行曲がりが生じ、撥液バンク層70bに液体材料が塗布された場合でも、撥液バンク層70bの撥液性を利用して陽極14上に液体材料を流動させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態の有機EL装置130においては、発光素子13毎に複数の開口部63が形成された構成を有している。具体的には、図6及び図7に示すように、バンク70で囲まれた発光素子13において、複数の補助電極62bが分岐して形成されており、当該補助電極62bの側部の開口部63が複数形成されている。
このような構成においては、有機EL装置120と比較して、より多くの開口部63から発光光を出射させることができる。ここで、補助電極62bを所望のパターンに分岐して形成することにより、発光光を所望の開口部63から出射させることができる。また、発光層15の形状に起因して発光光の強度が偏っている場合には、効率的に発光光を取り出せるように積極的に補助電極62bを分岐させて開口部63を所望の位置に形成することで、発光光の取り出し効率を更に向上させることができる。また、上記構成によって多重反射を避けることができるので、当該多重反射に起因する発光光の減衰を抑制できる。
従って、本実施形態の有機EL装置130においては、先に記載した有機EL装置120と同様の効果が得られるだけでなく、発光光の減衰を抑制できるので、より一層の発光効率の向上を実現できる。
【0070】
上記各実施の形態では、アクティブマトリクス型有機EL装置を用いて説明したが、アクティブマトリクス型有機EL装置に限定されるものではなく、単純マトリクス型有機EL装置、パッシブ型有機EL装置に適用できる。上記各実施の形態では、発光素子として有機EL素子を備えた有機EL装置を例示して説明したが、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、有機EL素子以外の発光素子を用いた場合にも適用できるのは勿論であり、特に基板上に配設した発光素子の上面側から光を射出する形態の有機EL装置に用いて好適である。
【0071】
(第5の実施形態)
図8は、本実施形態に係る有機EL装置の配線構造を示す模式図である。
有機EL装置(発光装置)140は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下では、TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス方式の 有機EL装置である。
【0072】
図8に示すように、有機EL装置140は、複数の走査線101…と、各走査線101に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102…と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103…とがそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線101…と信号線102…の各交点付近に、画素領域X…が設けられている。
【0073】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路32が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路38が接続されている。
【0074】
更に、画素領域Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される発光素子駆動部18と、この発光素子駆動部18を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む陽極(電極)23と、この陽極14と陰極17との間に挟み込まれた発光機能層82とが設けられている。発光機能層82においては、陽極14及び陰極17から注入される正孔と電子が結合することで、発光現象が生じるようになっている。
【0075】
この有機EL装置140によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオン状態になると、そのときの信号線102の電位が保持容量113に保持され、該保持容量113の状態に応じて、発光素子駆動部18のオン・オフ状態が決まる。そして、発光素子駆動部18のチャネルを介して、電源線103から陽極14に電流が流れ、更に発光機能層82を介して陰極17に電流が流れる。発光機能層82は、これを流れる電流量に応じて発光する。そこで、発光はそれぞれ陽極14…ごとにオン・オフを制御されるから、陽極14は画素電極となっている。
【0076】
次に、本実施形態の有機EL装置140の具体的な態様を、図9から図12を参照して説明する。図9は有機EL装置140の構成を模式的に示す平面図、図10は図9の表示領域R、G、Bの側断面図、図11は発光層の近傍を拡大した拡大断面図、図12は電源線の幅と画素の幅とを比較する図である。
【0077】
図9に示すように、本実施形態の有機EL装置140は、電気絶縁性を備える基板12と、図示略のスイッチング用TFTに接続された陽極14…が基板12上にマトリックス状に配置されてなる図示略の画素電極領域と、画素電極領域の周囲に配置されるとともに各陽極14…に接続される電源線103…(図8参照)と、少なくとも画素電極領域上に位置する平面視ほぼ矩形の画素部33(図中一点鎖線枠内)と、データ線駆動回路31とを具備して構成されている。また、画素部33は、中央部分の実表示領域34(図中二点鎖線枠内)と、実表示領域34の周囲に配置されたダミー領域35(一点鎖線及び二点鎖線の間の領域)とに区画されている。
【0078】
実表示領域34には、それぞれ陽極14…を有する表示領域R、G、Bが離間して配置されている。また、実表示領域34の図中両側には、走査線駆動回路38が配置されている。この走査線駆動回路38はダミー領域35の下側に位置して設けられている。
更に、実表示領域34の図中上側には、検査回路30が配置されている。この検査回路30はダミー領域35の下側に位置して設けられている。この検査回路30は、有機EL装置140の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する不図示の検査情報出力手段を備え、製造途中や出荷時の有機EL装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。
【0079】
走査線駆動回路38及び検査回路30の駆動電圧は、所定の電源部から電源線103(図10参照)を発光素子駆動部18に印加されようになっている。また、これら走査線駆動回路38及び検査回路30への駆動制御信号や駆動電圧は、有機EL装置140の作動制御を司る所定のメインドライバ等から印加されるようになっている。なお、この場合の駆動制御信号とは、走査線駆動回路38及び検査回路30が信号を出力する際の制御に関連するメインドライバなどからの指令信号である。
【0080】
図10に示すように、有機EL装置140は基板12と封止基板19とが封止樹脂19aを介して貼り合わされることによって構成されている。基板12、封止基板19及び封止樹脂19aとで囲まれた領域には、乾燥剤が挿入されると共に、例えば窒素ガスなどの不活性ガスが充填された不活性ガス充填層が形成されている。
【0081】
基板12は、基板側発光型(ボトムエミッション型)の有機EL装置においては基板12側から発光を取り出す構成であるので、透明あるいは半透明のものが採用される。例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特に、安価なソーダガラス基板が好適に用いられる。
また、発光素子駆動部18の下地又は電源線103の下地に、例えば酸化クロムや酸化チタン等の光吸収性の材料からなる遮光層(光吸収層)BMが形成されている。また、当該遮光層BMの周囲には、透明性の絶縁層80が形成されている。
【0082】
封止基板19は、例えば、電気絶縁性を有する板状部材を採用することができる。また、封止樹脂19aは、例えば、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂からなるものであり、特に熱硬化樹脂の一種であるエポキシ樹脂よりなることが好ましい。
【0083】
また、基板12上には、陽極14…を駆動するための発光素子駆動部18…と、電源線103…と、層間絶縁膜64と、開口部81が形成されている。
発光素子駆動部18…は、公知のTFT製造技術を用いることにより形成されたスイッチング素子であり、不純物がドーピングされたシリコン膜、ゲート電極、ゲート絶縁膜等が積層された部材である。更に、発光素子駆動部18…は、表示領域R、G、Bの位置に対応して設けられており、後述するように陽極14…に各々接続している。
【0084】
層間絶縁膜64は、透明性樹脂材料からなることが好ましく、また、加工性が良好な材料からなることが好ましい。例えば、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂からなることが好ましく、当該例として、熱硬化樹脂の一種であるエポキシ樹脂やアクリル樹脂等を採用することが好ましい。また、層間絶縁膜64においては、陽極14…との界面が高精度に平坦化されていることが好ましく、当該平坦化を達成するために複数の工程を経て積層形成された構成でもよい。また、層間絶縁膜64には発光素子駆動部18…と陽極14…の位置に応じてコンタクトホールCが形成されており、当該コンタクトホールCに埋設された接続配線によって発光素子駆動部18…と陽極14…が接続されている。
なお、層間絶縁膜64によって被覆される各種回路部には、走査線駆動回路38、検査回路30、及びそれらを接続して駆動するための駆動電圧動通部や、駆動制御信号導通部等が含まれている。
【0085】
電源線103は、発光素子駆動部18のオン・オフ状態に応じて発光機能層101に電力を供給するものであり、低抵抗金属材料で形成されていることが好ましく、例えば、Al系金属によって形成されている。また、当該電源線103…の表面は、光反射性を有する反射面103aが形成されている。また、当該反射面103aは光散乱性を有している。
【0086】
また、図12に示すように、電源線103…の幅W2と画素の幅W1は、例えば画素幅W1が45μmである場合に対して、電源線幅W2は10μm以下であることが好ましい。また、電源線103…の低抵抗化を図るために、電源線幅W2を大きくする必要がある場合には、電源線103…を複数本に分割することが好ましい。例えば、電源線103…の合計幅を20μmとする場合には、5μmの線幅で4本に分割することが好ましい。或いは、画素幅W1を50μm、電源線幅W2を10μmとする場合には、電源線本数を2本とすることが好ましい。また、電源線103…を複数に分割させたすだれ状としてもよい。
【0087】
開口部81は、発光素子駆動部18…と電源線103…と間に隣接して形成されており、発光機能層82が発光した発光光を実表示領域(表示領域)4側に通過させるための部位である。また、開口部81の開口面積は、発光光の通過量や、電源線103…の抵抗値に応じた平面積、発光素子駆動部18の配置、発光機能層82と電源線103…の間における発光光の多重反射作用等、を考慮した設計事項に応じて決定される。
【0088】
また、陽極14…が形成された層間絶縁層21の表面は、陽極14…と、SiO2等の親液性材料を主体とする親液性制御層90と、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等からなるバンク層(隔壁)91…とによって覆われている。バンク層91…は、陽極14…の間にその回りを取り囲むように2次元的に配置されており、機能層110…の発光光が、バンク層91によって仕切られる構成とされている。なお、本実施形態における親液性制御層の「親液性」とは、少なくともバンク層91を構成するアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の材料と比べて親液性が高いことを意味するものとする。
【0089】
更に、発光素子駆動部18は、陽極14…と各々接続し、陽極14…の上層には、発光機能層82が形成され、その上層には、陰極17が形成されている。
発光機能層82は、陽極14と陰極17に挟まれる多層構造を備えており、陽極14側から順に、正孔注入層83、発光層84(84R、84G、84B)を順に形成されたものである。
【0090】
陽極14は、ITOによって構成され、印加された電圧によって、正孔を発光層84に向けて注入するものであり、仕事関数が高く導電性を有している。陽極14を形成するための材料としては、ITOに限るものではなく、封止側発光型の有機EL装置の場合には、特に光透過性を備えた材料を採用する必要はなく、好適な材料であればよい。また、基板側発光型の有機EL装置の場合には、光透過性を備えた公知の材料を採用することができる。例えば、金属酸化物が挙げられるが、インジウム錫酸化物(ITO)、もしくは、金属酸化物に亜鉛(Zn)を含有した材料、例えば、酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide:IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標))(出光興産社製)を採用することができる。
【0091】
正孔注入層83は、導電性高分子材料の一つであり、陽極14の正孔を発光層84に注入するための正孔注入層を構成するものであり、その膜厚は、30nmに形成されている。このような正孔注入層を形成する材料の例として種種の導電性高分子材料が好適に用いられ、例えば、PEDOT:PSS、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等を採用することができる。
【0092】
発光層84は、陽極14から正孔注入層83を経て注入された正孔と、陰極17からの注入された電子とが結合して蛍光を発生させるようになっている。発光層84を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。具体的には、ポリフルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料、例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の材料をドープして用いることもできる。
また、本実施形態の有機EL装置140は、カラー表示を行うべく構成されている。即ち、光の三原色R、G、Bに対応する表示領域R、G、B毎に各発光層84が、それぞれ三原色に対応して形成され、発光層84R、84G、84Bを構成している。
【0093】
次に、図11を参照して、発光層84の断面形状について説明する。
図11に示すように、発光層84はその上部に凸部(頂部)Tと凹部(底部)Oを備えた凹凸面OTを有して、更に、凸部Tの端部にはバンク層91に接触する接触点(端部)Pを有している。接触点Pにおいては、基板12の垂直方向に延在する垂線Aと凹凸面OTとがなす角度θは、30°以上、50°以下となっている。当該角度θを決定するには、発光層84の材料液体に対するバンク層91表面の撥液性を調整することによって行われる。従って、角度θは好適に設定される。更に、凸部Tは開口部81に対応する位置に形成されている。
【0094】
陰極17は、図10に示すように、実表示領域34及びダミー領域35の総面積より広い面積を備え、それぞれを覆うように形成されている。陰極17は、陽極14の対向電極として、電子を発光層84に注入する機能を備える。陰極17を形成する材料としては、例えばカルシウム金属又はカルシウムを主成分とする合金を発光層84側に積層して第1の陰極層とし、その上層にアルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金、もしくは銀又は銀−マグネシウム合金などを積層して第2の陰極層とした積層体を採用することができる。なお、第2の陰極層は第1の陰極層を覆って、酸素や水分などとの化学反応から保護するとともに、陰極17の導電性を高めるために設けられる。従って、化学的に安定で仕事関数が低く、単層構造でもよく、また金属材料に限るものではない。
また、陰極17は発光層84側に反射面を有しており、発光層84の発光光を実表示領域34側に反射するようになっている。なお、陰極17自体を反射性材料から形成させてもよい。
また、陰極17の反射面は、発光層84の凹凸面OTに応じて形成された曲面となるので、例えば、発光層84の凸部Tに形成された反射面は実表示領域34に向けて発光光を集光する鏡として機能する。
【0095】
このような構成を有する有機EL装置140においては、電源線103(図8参照)から駆動電流が発光機能層82の陽極14に流れ込むと、陽極14と陰極17の間に電位差が生じ、陽極14の正孔が正孔注入層83を介して、発光層84に注入され、陰極17の電子が発光層84に注入されるので、発光層84に注入された正孔と電子とが結合することにより、発光層84は発光する。そして、発光層84の発光光は、直接的に開口部81を経て実表示領域34へ出射される場合と、発光光が電源線103…に衝突する場合とがある。ここで、電源線103…には反射面103aが形成されているので、発光光は電源線103…の反射面103aや、陰極17の反射面に反射されて開口部81から出射したり、また、反射面103aと陰極17において多重反射が生じて発光層84の水平方向に伝播した後に開口部81から出射したりする。また、反射層103aは光散乱性を有しているので、反射面103aに衝突する発光光は散乱し、多重反射に起因する発光光の減衰が抑制される。また、発光層84の凹凸面OTに応じて陰極17が形成されているので、陰極17は曲面状の反射面を有することとなる。また、凸部Tが開口部81の位置に応じているので、陰極17の反射面は開口部81に応じた位置に形成されている。従って、陰極17の反射面によって反射した発光光は集光され、強度が強くなった状態で開口部81から出射する。
【0096】
上述したように、本実施形態の有機EL装置140においては、実表示領域34を遮るように配置された電源線103…が設けられ、当該電源線103…は反射面103aを有し、当該電源線103…の側部には、開口部81が形成されているので、電源線103…が実表示領域34を遮るように形成されていても、発光光を反射させて開口部81から出射させるので、発光光の取り出し効率の向上を達成できる。また、有機EL装置140の大画面化を施す場合には、配線抵抗の低抵抗化のために、電源線103…の線幅が太くなり、実表示領域34を遮り、発光光の取り出し効率の低下を招く恐れがあるが、上記構成を採用することによって発光光の取り出し効率の低下を抑制することができる。従って、配線構造や配線パターンの自由度が大きくなるので、所望の位置に発光素子駆動部18…やスイッチング用TFT112の各種や、電源線103…を這わせることが可能となり、大画面化を容易に施すことができる。
【0097】
また、発光光は、開口部81から出射するので、例えば、電源線103…を所望のパターンに形成することにより、発光光を所望の開口部81から出射させることができる。また、発光層84や陰極17の形状に起因して発光光の強度が偏っている場合には、効率的に発光光を取り出せるように積極的に電源線103…のパターンを調整し、開口部81を所望の位置に形成することで、発光光の取り出し効率を更に向上させることができる。そして、上記構成は、発光素子駆動部18…や各種配線が設けられた基板12側から発光光を取り出す所謂ボトムエミッション構造において、特に有効である。
【0098】
また、電源線103…は、複数本数に分岐して形成されてもよい。
このように電源線103…が複数本数に分岐されることによって、開口部81が複数形成されることになる。これによって、当該開口部81から発光光を出射させることができる。ここで、電源線103…を所望のパターンに分岐して形成することにより、発光光を所望の開口部81から出射させることができる。また、発光層84や陰極17の形状に起因して発光光の強度が偏っている場合には、効率的に発光光を取り出せるように積極的に電源線103…を分岐させて開口部81を所望の位置に形成することで、発光光の取り出し効率を更に向上させることができる。また、上記構成によって多重反射を避けることができるので、当該多重反射に起因する発光光の減衰を抑制できる。
【0099】
また、反射面103aは、発光光を散乱させる光散乱性を有するので、反射面103aに衝突する発光光を散乱させることができる。従って、発光光の反射方向の偏りを防止することができる。また、発光層84側に発光光を反射させないように光散乱性を有していれば、多重反射を避けることができるので、当該多重反射に起因する発光光の減衰を抑制できる。
【0100】
また、陰極17は、光反射性を有するので、発光層84から陰極17に向けて発光した発光光や、電源線103…によって反射された発光光を、電源線103…や開口部81に向けて反射することができる。
【0101】
また、発光層84は、凹凸面OTを有するので、当該凹凸面OTの形状に応じて発光光を出射させることができる。また、当該凹凸面OTを覆うように光反射性を有する陰極17が形成されているので、凹凸面OTの法線方向に発光光を出射させることができる。そして、凹凸面OTにおける凸部T又は凹部Oが開口部81と対応しているので、開口部81に向けて発光光を反射させることができる。
また、凹凸面OTを所望の形状で形成することにより、所望の位置に発光光を集光させることが可能となり、発光強度を部分的に強くすることができる。また、このような発光光を直接的に開口部81から出射させたり、任意の部位に反射させてから出射させたりすることで、発光光の取り出し効率の向上を更に促進させることができる。
【0102】
また、発光層84の凹凸面OTとバンク層91とが接触する接触点Pにおいて、角度θの値は、30°以上、50°以下であるので、上記効果を更に促進させることができる。
【0103】
また、遮光層BMが形成されているので、実表示領域34を観察する観察者側からの外光反射を防止するので、コントラストの向上を達成できる。
【0104】
なお、上記構成においては、陽極14…はITOからなる透明導電膜によって構成されているが、当該陽極14…を光反射性導電膜によって形成し、当該光反射性導電膜の開口部81に対応する位置にスリットを有する構成としてもよい。
このようにすれば、陽極14…と陰極17の間で反射が繰り返された後に、スリット部から発光光を取り出すことができる。
【0105】
また、上記構成においては、発光層84と陰極17の間に電子注入/輸送層を設けた構成を採用してもよい。ここで、電子注入/輸送層は、光透過性を有する程度の膜厚であることが好ましく、このようにすれば陰極17によって反射する発光光が遮蔽されることがなく、発光強度の低下を防止できる。
電子注入/輸送層は、発光層84に電子を注入する役割を果たすものであり、この形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。
【0106】
(有機EL装置の製造方法)
次に、上述の有機EL装置140の製造方法について、図10を参照して説明する。
まず、基板12上に、遮光層BMとして酸化クロムまたは酸化チタン膜を形成して、光取り出し部を抜くようにパターニングする。次に必要に応じてSiO2等で絶縁層80を形成し、その上に走査線101、信号線102…、電源線103…、保持容量113、スイッチング用TFT112、発光素子駆動部18を形成する。また、各配線の端部近傍には、データ線駆動回路32、走査線駆動回路38を形成する。そして、発光素子駆動部18と、電源線103…の間の距離を可能な限り開けておく。本実施形態においてはその距離を10μmとした。
【0107】
次に、層間絶縁膜64を形成する。層間絶縁膜64の膜厚は100nm以上が好ましい。当該膜厚が不十分であると、発光光の波長が変化して所望の発光色を実現することができない場合がある。そこで、RGB各色を確実に表示するために十分な膜厚で層間絶縁膜64を形成することが好ましい。また、層間絶縁膜64の膜厚を調整することによって、発光層84から電源線103…の反射面103aまでの距離と発光波長とを適宜調整することができる。即ち、波長領域を考慮して層間絶縁膜の膜厚を決定することが好ましい。
また、発光光が透過する透過性材料の屈折率に応じて層間絶縁膜64の膜厚は調整される。また、層間絶縁膜64の上面は平坦化が施されていることが好ましく、そのため複数の工程に分けて層間絶縁膜64を形成してもよい。
【0108】
次に、層間絶縁膜64上に陽極14…となるITOを成膜してパターニングする。
ここで、予め層間絶縁膜64にはコンタクトホールCが形成されていることが好ましい。このように陽極14…を形成することによって、発光素子駆動部18…のドレイン電極と陽極14…とが接続される。なお、陽極14…は、印刷法又はインクジェット法によって材料インクを吐出・乾燥して所定位置に成膜して形成してもよい。
【0109】
次に、画素開口部を決めるための無機絶縁膜としてSiO2を成膜した後に、パターニングすることで、親液性制御層90を形成する。
【0110】
次に、親液性制御層90の上に樹脂材料を成膜してパターニングすることにより、バンク層91を形成する(隔壁を形成する工程)。ここで、バンク層91の膜厚を50nmとした。具体的には、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に溶かしたものを、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して有機質層を形成してから、エッチングなどによってパターニングすることができる。しかし、印刷法又はインクジェット法(材料吐出法)によって、材料インクを吐出・乾燥して形成すれば、パターンニングの工程が不要となり材料の無駄もなくなることから、より好ましい。
ここで、バンク層91の膜厚は、100nm以上であると、画素内有機層の乾燥後のプロファイルが平坦になってしまうため、出射効率が低下するので、できれば50nm以下の膜厚であることが好ましい。更に、薄い撥液膜としては、バンク層91の替わりに撥液化処理を施した後に、画素開口部のみにVUV(300nm以下の波長の紫外線)を照射するとよい。撥液化処理剤としては、フッ素化アルキルのついたチタンカップリング剤や、シランカップリング剤を用いることもできる。
電源線をすだれ状に細分化してその隙間から発光光を出射する場合には、バンク91の厚みはこれに限らず、TFTや配線と陰極の間の寄生容量を無視できるまでに低減するためにバンク91の厚みは1〜2μm程度が好ましい。
【0111】
次に、親液化処理として酸素プラズマを全面に照射した後に、バンク層91の表面のみを撥液化するためにCF4プラズマを照射する。
【0112】
次に、インクジェット法(液滴吐出法)を用いることにより、正孔注入層83及び発光層84を形成する(発光層を隔壁に隣接して形成する工程)。即ち、正孔注入材料としてPEDOT:PSSインクをバンク層91に隣接するように吐出し、乾燥、200℃焼成を行うことで、正孔注入層83を形成する。更に、発光層84として赤、緑、青に発光する材料を順番に、バンク層91に隣接するように吐出して3原色を形成する。
【0113】
次に、反射性の陰極17を蒸着によって形成し、更に、パシベーション膜85を形成する。更に、乾燥剤(不図示)を入れて封止基板19を接着することで、有機EL装置140は完成となる。
【0114】
上述したように、本実施形態の有機EL装置140の製造方法においては、先に記載した有機EL装置140と同様の効果を奏する。
また、バンク層91を形成する工程と、インクジェット法によって発光層84をバンク層91に隣接して形成する工程とを有するので、バンク層91と発光層84の接触点Pにおいて、バンク層91の撥液性、下地の親液性、発光層84の材料溶媒の蒸発性等、の各種要因に起因して、所望の角度で接触させることができる。従って、上述の凹凸面OTを容易に形成することができる。
【0115】
(発光装置の第6の実施形態)
次に、図13を参照して、本発明の発光装置の第6の実施形態について説明する。
なお、本実施形態においては、第5の実施形態と同一構成には同一符号を付して、説明を簡略化している。
【0116】
図13に示すように本実施形態の有機EL装置(発光装置)150は、基板12の実表示領域34側に光反射性を有する反射部95が形成された構成を有している。
このように基板12に反射部95を設けることによって、開口部81から出射した発光光は、観察者側に確実に出射させることができる。従って、上記の効果を更に促進させることができる。
【0117】
上述の第5の実施形態、及び第6の実施形態に示したように、実用的な電極を用いて、信頼性を確保した上で、画素内に電力配線を這わせることができるボトムエミッション構造を実現できる。また、本構成により、発光層84内の発光光のうち、平面内(基板12の水平方向)を伝播する光も外部に出射することができるため、80%以上の光取り出し効率を実現することができる。また、画素開口部が小さくでき、画素開口部以外を光吸収処理することにより、偏光板を用いずにコントラストの向上を達成できる。
【0118】
なお、上記の第1〜第6の実施形態の有機EL装置100、110、120、130、140、150においては、発光光の取り出し効率を向上させる構成として、レンズ等の光学部品を設けてもよい。
また、上記第1〜第6の実施形態においては、発光装置としての有機EL装置について説明したが、本発明は有機EL装置を限定したものではない。有機EL装置以外に、プラズマ発光や電子放出による蛍光等を用いた装置(例えば、PDP、FED、SED)、等においても、本発明が適用可能である。
【0119】
(電子機器)
次に、上記実施形態の有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。
図14(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図14(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置を用いた表示部を示している。
【0120】
図14(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図14(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の有機EL装置を用いた表示部を示している。
図14(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図14(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の有機EL装置を用いた表示部を示している。
図14(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施の形態の有機EL装置を備えているので、高輝度かつ高コントラストの画像表示が可能な表示部を備えた電子機器となる。
【0121】
なお、電子機器としては、前記の携帯電話などに限られることなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、ノート型コンピュータ、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器の表示部として適用することができる。
【0122】
また、本発明の電子機器は、発光素子の輝度むらを低減することができるため、例えば対角20インチ以上の大面積の表示部を備える電子機器に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1の実施形態に示す有機EL装置の全体平面構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態に示す有機EL装置の部分断面構成図。
【図3】本発明の第1の実施形態に示す有機EL装置の複数の発光素子平面構成図。
【図4】本発明の第2の実施形態に示す有機EL装置の部分断面構成図。
【図5】本発明の第3の実施形態に示す有機EL装置の部分断面構成図。
【図6】本発明の第4の実施形態に示す有機EL装置の部分断面構成図。
【図7】本発明の第4の実施形態に示す有機EL装置の要部を示す平面図。
【図8】本発明の第5の実施形態に示す有機EL装置の配線構造を示す模式図。
【図9】本発明の第5の実施形態に示す有機EL装置の構成を模式的に示す平面図。
【図10】本発明の第5の実施形態に示す有機EL装置の表示領域の側断面図。
【図11】本発明の第5の実施形態に示す有機EL装置の発光層近傍の拡大断面図。
【図12】本発明の第5の実施形態に示す有機EL装置の電源線幅と画素幅の比較図。
【図13】本発明の第6の実施形態に示す有機EL装置の表示領域の側断面図。
【図14】本発明の有機EL装置を備える電子機器を示す図。
【符号の説明】
【0124】
11…素子形成層、12…基板(基体)、13…発光素子、13a…発光領域、14…陽極(第1の電極)、14a…傾斜面部、15…発光層、16…正孔注入/輸送層、17…陰極(第2の電極)、17a…光射出部、18…駆動用TFT、19…封止基板、12…乾燥剤、22…バンク(隔壁)、22a…コンタクトホール、22b…(バンクの)内壁面、32…サブバンク(内部隔壁)、32b…(サブバンクの)内壁面、25…EL層(機能層)、100,110,120,130,140,150…有機EL装置(発光装置)、34…実表示領域(表示領域)、12…基板、17a,63,81…開口部、14…陽極(電極)、17…陰極(電極)、84…発光層、95…反射部、103…電源線(配線)、103a…反射面、OT…凹凸面、T…凸部(頂部)、O…凹部(底部)、θ…角度、P…接触点(端部)、A…垂直方向、BM…遮光層(光吸収層)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に第1の電極と、発光層を含む機能層と、第2の電極とを順次積層してなる発光素子を具備してなる発光装置であって、
前記第1の電極及び第2の電極は光反射性を有しており、前記第2の電極は、発光層からの光を透過する開口部を有していることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の電極は、前記第2の電極の前記開口部と平面的に重なる位置において、基体面に対して傾斜した傾斜面部を有していることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子を取り囲む隔壁を備えており、前記第1の電極は前記隔壁の内壁面まで延設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記隔壁に囲まれた領域を平面的に区画する内部隔壁をさらに備え、前記第1の電極は前記内部隔壁の内壁面まで延設されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記隔壁又は内部隔壁の内壁面は、前記基体面に対して略45°の傾斜角度を有していることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2の電極の外面側に反射防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2の陰極は、光透過性を有する透明性導電膜と、当該透明性導電膜の導電性を補助する補助電極とからなり、
前記補助電極には前記発光層からの光を透過させる前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
基板上に、一対の対向する電極と、当該電極間に挟持された発光層を含む機能層と、を備えた発光装置であって、
前記基板と前記発光層の間には、前記基板の表示領域を遮る配線が設けられ、
当該配線には、前記発光層の側に光反射性を有する反射面が形成され、
前記配線の側部には、前記発光層の発光光が通過する開口部が形成されていることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
前記発光層に対して、前記配線が複数本数に分岐して形成されていることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記反射面は、発光光を散乱させる光散乱性を有することを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項11】
前記発光層を狭持する前記電極の一方は、光反射性を有することを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項12】
前記発光層は、前記配線とは反対側に凹凸面を有することを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記凹凸面の端部において、前記基板の垂直方向と当該凹凸面とがなす角度は、30°以上、50°以下であることを特徴とする請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記凹凸面における頂部又は底部は、前記開口部と対応していることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項15】
前記基板には、光反射性を有する反射部が形成されていることを特徴とする請求項8から請求項14のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項16】
前記基板と前記配線の間には、光吸収層が形成されていることを特徴とする請求項8から請求項15のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項17】
前記機能層は、有機エレクトロルミネッセンス材料を含んでいることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項18】
基板上に、一対の対向する電極と、当該電極間に挟持された発光層を含む機能層と、を備えた発光装置の製造方法であって、
前記基板と前記発光層の間に、前記基板の表示領域を遮る配線を形成する工程を有し、
当該配線は、前記発光層の側に光反射性を有する反射面を備え、側部に前記発光層の発光光が通過する開口部を備えていることを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項19】
複数の前記発光層を隔てる隔壁を形成する工程と、
液滴吐出法によって前記発光層を前記隔壁に隣接して形成する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項18に記載の発光装置の製造方法。
【請求項20】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の発光装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−200908(P2007−200908A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80915(P2007−80915)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【分割の表示】特願2004−260547(P2004−260547)の分割
【原出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】