説明

発光装置

【課題】口金部材と発光管端部との間を延びる配管の長さを延長せずに、発光初期時の光束の立ち上がりと発光安定時の光束の維持とを両立できる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置1は、発光管2および放電媒体6を有する。放電媒体6は、発光管2内に封入および配置された希ガス8およびアマルガム9を含むとともに、発光初期時は、希ガス8およびアマルガム9から発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出する。一方、発光安定時は、少なくともアマルガム9から発生する、希ガス8よりも発光効率が高い水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制するという時代要請から、従来の白熱電球に替わる電球型蛍光ランプが消費電力を抑える目的で提案されている。
【0003】
従来の電球型蛍光ランプでは、発光初期時の光束の立ち上がりを改善するために低温で水銀を放出できるアマルガムを使用していた。しかし、発光安定時は発光管が高温になるため、そのままでは発光管から放射される光束が低下するという問題があった。
【0004】
この問題に対処するために、例えば図2(a)に示すように、発光管102を安定的に発光させる電子安定器105を保持する樹脂カバー内において、比較的温度が低い口金部材103にアマルガム109を配置することが提案されている(特許文献1参照)。この形態では、発光管102と口金部材103との間にアマルガム109が内部に収容された管110が配されている。あるいは、図2(b)に示すように、発光管102に最冷点を設けるために、発光管102先端部とガラスグローブ104との間に放熱材111が配されたりしていた。これにより、水銀蒸気圧の上昇に伴って増大する発光管102内で発生する熱は、発光管102先端部からガラスグローブ104へと放熱材111を介して各固体間で伝導される。このようにして水銀蒸気圧の過度な上昇が制御されていた。
【特許文献1】特開2004−119127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水銀を含むアマルガムを口金部材に配する形態を採ると、口金部材で発生した水銀蒸気を発光管へと送るために、配管は、必然的に口金部材から発光管端部までの長さを少なくとも要する。よって、配管は細くて長い形態となるため、外的な力で容易に折れてしまう。更に、配管は細くて長くなるほど加工性も低下してしまう。
【0006】
代わって、発光用の放電媒体に着目すると、水銀の代替としてキセノンを採用しても次のような水銀と同様の発光機構が得られる。すなわち、フィラメントから発せられる熱電子とキセノン原子とが衝突することでキセノンのエネルギーが励起され、キセノン原子が基底状態へエネルギー遷移することで紫外線が発せられる。これにより、キセノンを採用した水銀レス蛍光ランプの普及は進んでいるものの、発光安定時のキセノンによる発光は水銀に比べて弱いため、発光効率が低く一般照明として望ましくない面があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、口金部材と発光管端部との間を延びる配管の長さを延長せずに、発光初期時の光束の立ち上がりと発光安定時の光束の維持とを両立できる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の発光装置は、発光管と、発光管内に封入および配置された希ガスおよびアマルガムを含む放電媒体であって、発光初期時は、希ガスおよびアマルガムから発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出し、発光安定時は、少なくともアマルガムから発生する、希ガスよりも発光効率が高い水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出する、放電媒体と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る発光装置によれば、アマルガムが口金部材ではなく発光管内に配されていることから、アマルガムの配置位置に付随する、配管の口金部材から発光管端部までの延長は不要となる。
【0010】
更に、本発明に係る発光装置は、発光初期時は、希ガスおよびアマルガムから発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出し、発光安定時は、少なくともアマルガムから発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出するように構成されている。これにより、発光初期時において希ガスのみならずアマルガムから生じる水銀蒸気を放電媒体として使用できることで、希ガスのみ放電媒体として使用して紫外線を放出し可視光に変換する発光装置の形態に比べ、発光効率を向上できる。また、発光安定時においては放電媒体として希ガスより発光効率が高い水銀蒸気が主に使用されるため、従来の希ガスを用いる発光装置に比し、発光効率を向上できる。こうした本発明に係る発光装置により、発光初期時の光束の立ち上がりと発光安定時の光束の維持とを両立できる。
【0011】
従って、口金部材と発光管端部との間を延びる配管の長さを延長せずに、発光初期時の光束の立ち上がりと発光安定時の光束の維持とを両立できる発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。図1に本発明の一実施形態に係る発光装置の一部切り欠き図を示す。発光装置1は、発光管2と、口金部材3と、ガラスグローブ4と、電子安定器5と、放電媒体6とを有する。発光装置1は照明器具に適用でき、発光装置1は照明器具の不図示の受け金部材により壁などの取り付け箇所に取り付けられる。
【0013】
発光管2内部には不図示の一対の電極が設けられており、発光管2内部に封入および配置された放電媒体6を介する電極間の放電により発光管2は発光する。なお、図1に示す発光管2は螺旋状の形態であるが、この形態に限定されるものではない。すなわち、発光管2は、それと電気的に接続された口金部材3を介して不図示の外部電源から供給される電気エネルギーによって発光する形態であればよい。
【0014】
口金部材3は、発光管2および電子安定器5に電気的に接続されている。更に、口金部材3はGX53タイプの口金(JIS C 7709-1参照)で構成されていることが好ましい。
【0015】
ガラスグローブ4は、口金部材3と電気的に接続して設けられているとともに、内側空間7内に発光管2を収容する収容手段として機能する。ガラスグローブ4の形状に関しては、図1に示す丸みを帯びた形状に限定されず、内側空間7内に発光管2を収容する形態であれば直管状など他の任意の形態を採ることができる。
【0016】
電子安定器5は、発光を安定させるための発光安定手段として機能するとともに、発光管2および口金部材3と電気的に接続されている。
【0017】
放電媒体6は、発光管2内に封入および配置された希ガス8およびアマルガム9を含む。図1に示すアマルガム9は発光管2における口金部材3側の端部に配されているが、この形態に限定されるものではない。すなわち、アマルガム9は、この端部以外の発光管2の内表面に設けられている形態でもよい。このような放電媒体6においては、発光初期時は、希ガス8およびアマルガム9から発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出するという機能を有する。一方、発光安定時は、少なくともアマルガム9から発生する、希ガス8よりも発光効率が高い水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出するという機能も有する。なお、希ガス8は、キセノン、クリプトン、アルゴン、ネオンおよびヘリウムの少なくとも1つでなるガスであることが好適である。ネオン、ヘリウムなどの原子量が軽い希ガスを混合することにより、キセノンなどの原子量が重い希ガスに比し発光の始動性の改善およびコストの削減を図ることができる。
【0018】
以上のような本発明に係る発光装置によれば、アマルガム9が口金部材3ではなく発光管2内に配されていることから、アマルガムの配置位置に付随する、配管の口金部材から発光管端部までの延長は不要となる。
【0019】
更に、本発明に係る発光装置1は、発光初期時は、希ガス8およびアマルガム9から発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出し、発光安定時は、少なくともアマルガム9から発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出するように構成されている。これにより、発光初期時において希ガス8のみならずアマルガム9から生じる水銀蒸気を放電媒体6として使用できることで、希ガス8のみ放電媒体6として使用して紫外線を放出し可視光に変換する発光装置1の形態に比べ、発光効率を向上できる。また、発光安定時においては放電媒体6として希ガス8より発光効率が高い水銀蒸気が主に使用されるため、従来の希ガスを用いる発光装置に比し、発光効率を向上できる。こうした本発明に係る発光装置により、発光初期時の光束の立ち上がりと発光安定時の光束の維持とを両立できる。
【0020】
従って、口金部材と発光管端部との間を延びる配管の長さを延長せずに、発光初期時の光束の立ち上がりと発光安定時の光束の維持とを両立できる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る発光装置を示す一部切り欠き図である。
【図2】従来の発光装置の一形態を示す一部切り欠き図である。
【符号の説明】
【0022】
1 発光装置
2 発光管
3 口金部材
4 ガラスグローブ
5 電子安定器
6 放電媒体
7 内側空間
8 希ガス
9 アマルガム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管と、
前記発光管内に封入および配置された希ガスおよびアマルガムを含む放電媒体であって、発光初期時は、該希ガスおよび該アマルガムから発生する水銀蒸気が紫外線を含む電磁波を放出し、発光安定時は、少なくとも該アマルガムから発生する、該希ガスよりも発光効率が高い該水銀蒸気が該紫外線を含む該電磁波を放出する、放電媒体と、
を有する、
発光装置。
【請求項2】
前記希ガスは、キセノン、クリプトン、アルゴン、ネオンおよびヘリウムの少なくとも1つである、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
発光を安定させるための発光安定手段を有し、
前記発光安定手段は前記発光管と電気的に接続されている、
請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光管に電気的に接続されているとともに、GX53タイプの口金で構成されている口金部材を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置を取り付け箇所に取り付けるための受け金部材と、
を備えた、
照明器具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−102882(P2010−102882A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271893(P2008−271893)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】