説明

発声補助装置

【課題】実際にビブラートのかかった声を歌唱者自身が発声することができる発声補助装置を提供する。
【解決手段】本発明の発生補助装置は、可動部材と、該可動部材を周期的に動作させる制御機構と、前記可動部材及び前記制御機構を担持する容器とを備えた発生補助装置であって、前記可動部材は、前記制御機構により動作したとき、前記容器の所定位置から所定量飛び出すように前記容器に担持されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歌唱時の発声を補助する発声補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
美しいビブラートがかかった声で歌唱することは全人類の夢であるが、うまれつき可能な人を除き、非常に厳しいトレーニングを積まなければビブラートを取得することはできない。これを可能にするため従来、マイクからスピーカーに至る電気回路に細工をし、電気的にビブラートを付加する技術が多く提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この方法では実際に歌唱者自らがビブラートのかかった声を出すわけではないので、精神的満足感や達成感が得られず、また、狭い部屋などでマイクを通らない声が同時に聞こえる環境下ではビブラートのかからない地声がそのまま聞こえてしまい、すべてがばれてしまうという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、実際にビブラートのかかった声を歌唱者自身が発声することができる発声補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための第一の手段は「可動部材と、該可動部材を周期的に動作させる制御機構と、前記可動部材及び前記制御機構を担持する容器とを備えた発生補助装置であって、
前記可動部材は、前記制御機構により動作したとき、前記容器の所定位置から所定量飛び出すように前記容器に担持されてなることを特徴とする発声補助装置(請求項1)」である。
【0006】
ここで「前記可動部材及び前記制御機構を担持する容器」とは、可動部材及び制御機構が容器内に内蔵されている場合と、可動部材が容器外に外付けされ、制御機構が容器内に内蔵されている場合を含む概念である。
【0007】
ビブラートは基本的に呼吸法に基づく発声原理に根ざしており、気道に外圧を加えることにより声が震えることが知られている。本発明の発生補助装置の可動部材が人体の気道に周期的圧力を加えることにより、同じ周期のビブラートがかかった声の発生を可能にする。
【0008】
前記課題を解決するための第二の手段は「前記周期が2〜15Hzであることを特徴とする請求項1記載の発声補助装置(請求項2)」である。
前記課題を解決するための第三の手段は「さらに、歌唱者に発生補助装置を固定するための固定部材を備えていることを特徴とする請求項1又2記載の発生補助装置(請求項3)」である。
【0009】
前記課題を解決するための第四の手段は「さらに、前記制御機構の動作条件を操作するためのリモートコントローラを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の発生補助装置(請求項4)」である。
【0010】
前記課題を解決するための第五の手段は「前記可動部材が、歌唱者の胸から腹にいたる部分にあたるように請求項1〜7記載の発生補助装置が装着されることを特徴とする発生補助装置の使用方法。(請求項5)」である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型軽量で外見からは装着していることが他人にわからない発声補助装置の使用により、歌唱者自身がビブラートのかかった声で歌唱することができ、精神的に高い満足感・達成感を得ることが可能となる。
【0012】
また、マイクを用いなくてもビブラートがかかるので、カラオケ等のインフラのない場所でもビブラートのかかった優れた歌唱を披露することができる。これによってカラオケ等のストレス解消効果が格段に向上し、日々の激務で消耗した心身を完全にリフレッシュできるため、歌唱者自身のみならず日本のあらゆる産業において大きな貢献をなすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明にかかる第1の実施形態の発生補助装置を示す斜視図である。
図2は、発生補助装置に内蔵されるソレノイドの断面図である。
第1の実施形態の発声補助装置M1は、小型のケース1の中に図2に示すソレノイドが内蔵され、先端に樹脂部材(保護部材)2が設けられた可動鉄心12が、磁力から開放(伸長)された状態で、ケース1に設けられた開口部3よりケース1外に所定量飛び出すようにケース1内に配置されている。
【0014】
ソレノイドは、フレーム11中央に設けられたガイドパイプ15内に固定鉄心13と可動鉄心12が配置され、ガイドパイプ15の周辺にはコイル14が配置されている。フロントフレーム16は可動鉄心12がガイドパイプ15からはずれないようにストッパーの役割を果たしている。
【0015】
可動鉄心12は、コイル14に電流が流れていないときは、可動可能な状態で存在し、コイル14に電流が流れると磁場(磁力)が生じ、その作用により可動鉄心12は固定鉄心13に引き寄せられる(吸着する)。従って、コイル14へ流す電流を周期的にon、offすることにより、可動鉄心12が固定鉄心13から開放された状態と引き寄せられた(吸着された)状態の繰り返し(所定周期のピストン運動)を実現することができる。即ち、可動鉄心12が、開口部3より所定量飛び出した状態と、固定鉄心13に引き寄せられケース1内に引っ込んだ状態の繰り返し運動とを所定周期で実現することができる。
【0016】
また、可動鉄心12の開口部3からの飛び出し量(ストローク)は、可動鉄心12の可動範囲内(ガイドパイプ内で可動鉄心12が動ける範囲)でコイル14に流す電流量を変えることにより任意に変更できる。
【0017】
リモコン6は、ケーブル7を介してケース1の不図示の電源に接続されており、このリモコン6のスイッチを操作することによって前述のような原理によりケース1内のソレノイド(可動鉄心12)の動作(周期)、ストローク、及び駆動開始、停止等を制御することができる。
【0018】
一般的な人間の声のビブラート周波数帯域を再現するためには、ソレノイドの駆動(可動鉄心12のピストン運動の周期)の周波数は2〜15Hzが適当である。
また、電源としては電池が用いられるが、装置の小型軽量化の見地からボタン電池が好ましい。
【0019】
ケース1には固定ベルト取付用取手8が二箇所形成され、その取手には固定ベルト4がそれぞれ取り付けられている。この固定ベルト4は伸縮可能な材料で構成され、かつベルト4先端付近には長手方向に沿ってマジックテープ5が縫い付けてある。
【0020】
ケース1の開口部3側を歌唱者の身体に接した状態で固定ベルト4を歌唱者の胸部から背面にかけて巻きつけて、背面においてマジックテープ5を張り合わせることによって、様々な体格の歌唱者でも好ましい位置に装置を配置することができる。また、固定ベルト4の伸縮性により、振り付けを伴う歌唱時等の体の動きに対しても、発声補助装置M1が離脱するおそれがなく安心して歌唱することができる。
【0021】
尚、本実施例では、ソレノイドの動作音が歌唱の障害にならないように、静音型ソレノイドの使用が望ましい。静音型ソレノイドは、固定鉄心13と可動鉄心12の間に緩衝材が設けられている。
【0022】
図3は、本発明にかかる第2の実施形態の発生補助装置を示す上面概略図である。(b)は(a)のカム22を180°回転させたときの形態を示す。第2の実施形態の発生補助装置M2は、ケース21の中に図示しない回転モーターを内蔵し、この回転モーターの回転軸23はケース21を貫通し、外に突出している。突出した回転軸23の先端にはカム22が取り付けられ、回転軸23の回転に伴ってカム22が回転するようになっている。カム22は、カム22を回転させた場合に、カム22の先端部22aが所定周期で所定量だけ装着面21aから飛び出すように設置される。
【0023】
ここで、装着面21aとは、発生補助装置M2を歌唱者に装着させる場合に歌唱者の身体に接触させる面をいう。
従って、発声補助装置M2を歌唱者に装着した状態で回転モーターを駆動すると、カム22の回転に伴ってカム22の先端部22aが所定周期で歌唱者の体を押す。これは、第一の実施形態の可動鉄心12と同様の働きをするので、第一の実施の形態と同様の効果を得ることができる。カム22の回転に伴い、カム22の先端部22aは歌唱者の肌または、衣服と摩擦が生じるので、カム22の先端部22aの押圧動作を妨げない柔軟性を有する布、樹脂等を配置して、肌または衣服への負担を軽減することが望ましい。また、同様の目的でカム22の先端に自由に回転する車輪を取り付けてもよい。
【0024】
ケース21には、第1の実施形態と同様に固定ベルト取付用取手24及び固定ベルト25が設けられている。
図4は本発明にかかる第一実施形態にかかる発生補助装置を歌唱者が装着した状態を示す図である。
【0025】
発生補助装置M1は、歌唱者26のみぞおち部分に開口部3から飛び出す樹脂部2があたるように固定バンド4により歌唱者26の身体に固定されている。歌唱者26が左手に握っているのが発声補助装置M1を制御するリモコン6であり、発声補助装置M1におけるソレノイド駆動の周期(可動鉄心12の周期)、ストロークおよび駆動開始・停止などをコントロールすることができる。歌唱者26は歌唱中、ビブラートが必要な部分にリモコン6のスイッチを入れて効果的に歌唱に生かすことができる。また、ストロークと周期は予め歌唱者26の好みや曲の性格にあわせて設定することができる。
【0026】
なお、図4では説明の都合上、衣服の上から発声補助装置M1を装着した状態を示してあるが、身体に直接装着することも可能であり、その場合着衣の状態では見えないことは言うまでもない。
【0027】
図4では発声補助装置M1が歌唱者26のみぞおちに固定されているが、外圧によって声がふるえる部位はみぞおちだけではない。一般に外圧によって気道に影響する部位は胸から腹にかけて、呼吸に関与する臓器の部分にわたって広がっており、発声補助装置M1の固定位置は場合によりこれらの範囲内で選択すればよい。
【0028】
リモコン6から発声補助装置M1は無線で制御できることが好ましいが、無線でない場合は極めて細いコードで結ばれていることが好ましい。
図4からもわかるように発声補助装置M1は小型軽量であることが重要な要件であり、身体に直接装着した場合には、衣服着用後にその装着がわからなくなる程度の大きさであることが好ましい。さらに、固定バンドに代えて吸盤、粘着式のテープによる固定も可能であり、その場合は、吸盤、粘着式テープ程度の吸着力で十分に固定可能に軽量であれば好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる第1の実施形態の発声補助装置を示す斜視図である。
【図2】発生補助装置に内蔵されるソレノイドの一例を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる第2の実施形態の発声補助装置を示す上面図である。
【図4】本発明にかかる発声補助装置を歌唱者が装着した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1、21・・・容器
2・・・樹脂部材
3・・・開口
4、25、・・・固定バンド
5・・・マジックテープ
6・・・リモコン
7・・・ケーブル
8、24・・・固定ベルト取付用取手
11・・・フレーム
12・・・可動鉄心
13・・・固定鉄心
14・・・コイル
15・・・ガイドパイプ
16・・・フロントフレーム
22・・・カム
23・・・回転軸
26・・・歌唱者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材と、
該可動部材を周期的に動作させる制御機構と、
前記可動部材及び前記制御機構を担持する容器とを備えた発生補助装置であって、
前記可動部材は、前記制御機構により動作したとき、前記容器の所定位置から所定量飛び出すように前記容器に担持されてなることを特徴とする発声補助装置。
【請求項2】
前記周期が2〜15Hzであることを特徴とする請求項1記載の発声補助装置。
【請求項3】
さらに、歌唱者に発生補助装置を固定するための固定部材を備えていることを特徴とする請求項1又2記載の発生補助装置。
【請求項4】
さらに、前記制御機構の動作条件を操作するためのリモートコントローラを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の発生補助装置。
【請求項5】
前記可動部材が、歌唱者の胸から腹にいたる部分にあたるように請求項1〜7記載の発生補助装置が装着されることを特徴とする発生補助装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−133340(P2006−133340A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320046(P2004−320046)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】