説明

発射ユニット、および封入球式遊技機

【課題】遊技球の発射を停止したたきに発生し得る持球数の誤差を防止できる発射ユニット、および封入球式遊技機を提供すること。
【解決手段】前面側の遊技領域1aから裏面側に遊技球Pを回収して循環利用する封入球式遊技機100に設けられ、裏面側から発射位置150Bに供給された遊技球Pを操作ハンドル153の操作に応じて弾発して前記遊技領域1aに発射する発射装置72を有した発射ユニット150であって、前記操作ハンドル153が非操作状態となったときに、前記発射位置150Bに残留している残留球P4を前記裏面側に回収する残留球回収機構180を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の遊技に供する遊技球を弾発して発射する発射ユニット、および遊技球を封入して循環利用する封入球式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機内部に循環流路(循環経路)を形成して該循環流路内に所定個数の遊技球を封入して、封入した遊技球を繰り返して遊技領域に発射することで遊技を行うようにした封入球式遊技機が知られている。
このような封入球式遊技機では、遊技者が遊技に利用できる遊技球数(いわゆる持球数)が遊技球本体で管理されており、遊技球が発射されるごとに減算更新され、持球数がゼロになると遊技球の発射が禁止される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また一般に、遊技球の発射は、操作ハンドルの操作に連動して行われており、操作ハンドルが操作されている間は、持球数がゼロでない事を条件に遊技球が発射位置に供給され、発射装置により発射される、という一連の動作が繰り返し行われる。このとき、持球数の減算更新は、一般に、遊技球が発射位置から発射されたタイミングではなく、検出の容易性等の理由から、発射位置に供給されたタイミングで行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−119508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遊技者が操作ハンドルの操作を止めて遊技球の打ち出しを停止した場合、発射位置に遊技球が繰り出されて残留する事がある。この場合、そのまま遊技者が遊技を終了して遊技球を精算したときには、発射位置に残留した球数は、持球数から減算されてしまっているため、その分損をしてしまう。
また、発射位置に遊技球が残留している分、打ち出し停止後に未回収の遊技球が発生してしまい、持球数の計数値に誤差が生じる。この場合、エラーを発する等して店員に通知することとなるが、店員がその場で計数値の誤差の要因を特定することは困難である。このため、店員が計数値の誤差の要因を特定するまでの間、その場で延々と待たされることとなる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、遊技球の発射を停止したたきに発生し得る持球数の誤差を防止できる発射ユニット、および封入球式遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、前面側の遊技領域から裏面側に遊技球を回収して循環利用する封入球式遊技機に設けられ、裏面側から発射位置に供給された遊技球を操作子の操作に応じて弾発して前記遊技領域に発射する発射装置を有した発射ユニットであって、前記操作子が非操作状態となったときに、前記発射位置に残留している遊技球を前記裏面側に回収する残留球回収機構を備えたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記発射ユニットにおいて、前記残留球回収機構は、前記発射位置に残留している遊技球を前記裏面側に回収する残留球回収路を備え、当該残留球回収路の回収口を前記発射位置の前記前面側に配置したことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記発射ユニットにおいて、前記残留球回収機構は、前記操作子が非操作状態になったときに突出子を突出させて前記発射位置に残留している遊技球を前記回収口に押し出す球抜き装置を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記発射ユニットにおいて、前面側に前記発射装置が設けられたベース板を備え、前記ベース板の裏面側に前記球抜き装置を設け、前記ベース板に設けた通し孔から前記突出子を前面側に突出させて遊技球を押し出したことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記発射ユニットにおいて、裏面側から前面側に遊技球を供給する供給口よりも前記発射位置側に、前記残留回収路の回収口を配置したことを特徴とする。
【0012】
また上記目的を達成するために、本発明は、発射位置の遊技球を操作子の操作に応じて弾発して前面側の遊技領域に発射する発射装置を備え、前記遊技領域から裏面側に遊技球を回収して循環利用する封入球式遊技機であって、前記操作子が非操作状態となったときに、前記発射位置に残留している遊技球を前記裏面側に回収する残留球回収機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作子が非操作状態となったときに発射位置に残留する遊技球を裏面側に回収する球抜き機構を備えるため、遊技者が操作子の操作を止めたときに、遊技球が発射位置に残留することがなく、遊技終了時の持球数に誤差が発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を係る封入球式遊技機をCRユニットと共に示す斜視図である。
【図2】ガラス枠を開いた状態を示す封入球式遊技機の斜視図である。
【図3】封入球式遊技機の正面側を示す正面図である。
【図4】封入球式遊技機の裏面側を示す背面図である。
【図5】封入球式遊技機の下部裏面を示す要部模式図である。
【図6】発射ユニットの六面図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は背面図である。
【図7】図6(A)のI−I線断面図である。
【図8】発射ユニットから前面カバーを取り外した状態を示す正面図である。
【図9】(A)は、発射位置を上側からみた模式図であり、(B)は遊技球の弾発動作の説明図、図9は残留球の回収動作の説明図、及び(D)は(A)のA−A線断面を模式的に示す図である。
【図10】封入球式遊技機の機能的な概略構成を示すブロック図である。
【図11】自動球抜き(残留球回収)処理のフローチャートである。
【図12】発射可能球数の決済処理のフローチャートである。
【図13】発射中球詰まり検知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施の形態の封入球式遊技機は、本発明をパチンコ遊技機に応用したものであり、例えば、遊技内容等は、従来のパチンコ遊技機と同様とすることが可能となっているとともに、外形等のサイズも同様となっており、パチンコ遊技店の現状の島設備に設置可能となっているが、島設備の球供給機構や球排出機構を用いることがないものとなっている。すなわち、封入球式遊技機として、予め封入された遊技球を用い、遊技者の持球数を限度に遊技球を遊技領域に発射可能とされる。持球数は、遊技球貸出装置(CRユニット)に投入中のカードやコイン等の記録媒体に記録されている獲得球数と、封入球式遊技機が保持している発射可能球数との合計値に相当する。獲得球数は、封入球式遊技機の発射可能球数を遊技球貸出装置の記録媒体に価値移行したものであり、同じ封入球式遊技機で遊技する条件の下、封入球式遊技機の発射可能球数への価値移行(払い戻し)が許可されている。発射可能球数から獲得球数への価値移行は、遊技終了に伴う記録媒体の返却操作時に行われ、このときには発射可能球数の全部が獲得球数に価値移行される。この記録媒体を同じ遊技球貸出装置に再投入したときには獲得球数が発射可能球数に価値移行可能になる。なお、発射可能球数の一部だけを、他の遊技者の記録媒体の獲得球数に価値移行可能にして、持球を他の遊技者に分け与えることもできる。
封入球式遊技機で遊技球を発射すると発射された遊技球数に対応して発射可能球数のデータが減算され、また、発射された遊技球が各種入賞口や変動入賞装置等の入賞具に入賞して賞球(遊技球)が発生した場合は、実際の遊技球を払い出すことなく、前記発射可能球数のデータに賞球数が加算されるようになっている。また、発射可能球数のデータがゼロとなると、遊技球の発射ができない状態となる。この状態でカード等の記憶媒体に記録されている獲得球数を発射可能球数に移行して発射可能球数を補充すると再び遊技球の発射が可能となる。
遊技球貸出装置に投入される記録媒体には、プリペイド残価値が記録されており、獲得球数及び発射可能球数がゼロとなり持球が無くなった場合には、球貸操作によってプリペイド残価値を対価に貸球を受けることができ、かかる貸球数が持球数に加算される。また、遊技者が遊技店に預けている遊技球(いわゆる「貯球」)を記録媒体に紐付けておくことで、貯球の払出操作によって貯球を持球数に移行することもできる。
【0016】
また、発射された遊技球は、遊技領域に至って一部は、入賞して遊技盤の裏面側に導かれてセーフ球として回収されるとともに、残りの入賞しなかった遊技球はアウト球として回収され、これら回収された遊技球が再び発射可能な状態となり、遊技球は封入球式遊技機内で循環するようになっている。
すなわち、この封入球式遊技機は、発射位置の遊技球を遊技盤の前面側に形成される遊技領域に向けて発射するとともに、遊技領域の入賞具に入賞して遊技盤の裏面側に導かれたセーフ球および入賞具に入賞しないアウト球の各々を回収して、再び遊技領域に発射する封入球式遊技機である。
【0017】
図1及び図2に示すように、この封入球式遊技機100は、矩形枠状に構成された機枠110を備え、この機枠110の一側方には、該機枠110に対し回動可能に矩形枠状の前面枠120が軸支されている。また、前面枠120は、当該前面枠120に備えられる各種部材等の取付用のベースとなる前面枠本体130(本体枠)と、当該前面枠本体130に対して、その前面側に回動可能に軸支されたガラス枠140とを備え、前面枠本体130の前面のガラス枠140を開けると、前面枠本体130の下側の取付盤300に取り付けられた発射ユニット150が臨む構成となっている。
200は遊技球貸出装置(CRユニット)である。
【0018】
前面枠本体130は、矩形枠状の機枠110内にちょうど収まるように、概略矩形板状に構成されるとともに、その中央から上端部に渡る部分に後述する遊技盤1を嵌め込んで収容するための方形状の開口部が形成されている。そして、前面枠本体130に収容された遊技盤1の前面が前面枠本体130の開口部121から前側に臨むようになっている。また、前面枠本体130の全域に渡る部分を覆ってガラス枠140が配置されており、遊技盤1の前面とガラス枠140に嵌め込まれたガラス板141との間で、図3に示すように、遊技盤1の前面に設けられたガイドレール2に囲まれた部分が、遊技球が発射されて流下する遊技領域1aとされている。ガイドレール2は遊技盤1の左側に内ガイドレール2A1及び外ガイドレール2A2を形成するように重なる渦巻き状に形成され、これら内ガイドレール2A1及び外ガイドレール2A2の間の隙間が遊技球Pを遊技領域1aに導く案内路158を構成する。
【0019】
また、図2に示すように、ガラス枠140の一方の側部(左側部)は、前面枠本体130の一方の側部に回動可能に軸支されて、扉状に開閉自在とされ、ガラス枠140を開くことにより、遊技盤1の前面側の遊技領域1aの前側を開放可能となっている。
ガラス枠140には、前面枠本体130の開口部をほぼ閉塞するように、該開口部に嵌め込まれた遊技盤1との間に遊技球が流下可能な遊技領域1aとなる間隔を開けてガラス板141が固定されている。そして、ガラス枠140において、封入球式遊技機100の前側からガラス板141を介して遊技盤1の前面側の少なくとも遊技領域1aの部分が視認可能となっている。
【0020】
ガラス枠140の前面側には、遊技領域1aの視認を妨げない位置に、図1に示すように、装飾ランプ11、サイドランプ12、スピーカ13、遊技盤1の隅に配設された各種表示器を外側から透視する透視窓15等が設けられている。
封入球式遊技機100では、上述のように賞球の払い出しは行われず、上述の出球数(遊技球が入賞口等に入って出てきた賞球数)、入球数(遊技者が遊技機に打ち込んだ球数)、差球数(出球数から入球数を引いた球数)、持球数等は、実際の遊技球の個数ではなく、データ上の数値となる。すなわち、実際に使用される遊技球は、循環使用される、限られた所定数(遊技内容や機種によって異なるが例えば80〜90発)しかなく、持球数は、例えば、遊技領域に発射される遊技球を検知してカウントした発射球数、発射されたが戻ってしまった遊技球を検知してカウントしたファウル球数、遊技領域に発射されて回収された遊技球を検知してカウントした回収球数、入賞した場合の賞球数、遊技店から借りた貸球数等の数値から上述の入球数、出球数、差球数、持球数が得られる。
【0021】
前面枠本体130の前面側のガラス枠140の下側には、表示装置としての液晶ディスプレイを有する表示ユニット151や、遊技球を発射する発射ユニット150を操作するための回転操作式の操作ハンドル153などが取り付けられている。表示ユニット151は、例えば、持球数の情報、金額情報(カード等の記憶媒体に記憶された残額等)、貯球情報(景品と交換せずに遊技店側に貯蓄した遊技球数等)等の遊技情報を表示し、実際の遊技球の払い出しがなくても、いつでも、持球数を確認できるようになっている。操作ハンドル153は、回転することにより発射勢を調整できるようになっている。また、操作ハンドル153にはタッチセンサ70(図10)が設けられ、遊技者の手が接触している間、タッチセンサ70が信号を発射制御基板53(図10)に出力し、発射制御基板53の制御に基づいて発射ユニット150の発射装置72を作動させて遊技球を弾発発射する。
【0022】
以上のような封入球式遊技機100において、前面枠本体130の開口部に嵌め込まれた遊技盤1の前面側の遊技領域1aにおいて遊技が行われることになる。
すなわち、封入球式遊技機100は、遊技盤1のガイドレール2で囲まれた遊技領域1a内に遊技球(打球;遊技媒体)を発射して遊技を行うものであり、該遊技領域1aには、図1に示すように、普図始動ゲート6、この普図始動ゲート6を遊技球が通過して普図変動表示ゲームが未処理となっている未処理回数を表示する普図始動記憶表示器(図示略)、普通図柄(普図)の変動表示ゲームを表示する普通図柄変動表示器58(図10)、普通変動入賞装置9、この普通変動入賞装置9に遊技球が入賞して特図変動表示ゲームが未処理となっている未処理回数を点灯表示する特図始動記憶表示器(図示略)、特別図柄(特図、識別情報)の変動表示ゲームの表示等を行う変動表示装置57(図8)、特別変動入賞装置5、一般入賞口8,8,8…、風車と呼ばれる打球方向変換部材(図示略)、多数の障害釘(図示略)などが設けられている。
【0023】
普通変動入賞装置9は左右一対の開閉部材を具備し、この開閉部材は、常時は遊技球が1個流入可能な程度の間隔で閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)を保持しているが、普通図柄変動表示器の普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様(例えば、「7」)となった場合には、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置9に遊技球が流入し易い状態(遊技者にとって有利な状態)に変化されるようになっている。この普通変動入賞装置9は、特図の始動入賞口も兼ねている。
普図始動ゲート6内には、該普図始動ゲート6を通過した遊技球を検出するための普図始動センサが設けられている。そして、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が、普図始動ゲート6内を通過すると、普通図柄変動表示器において普図の変動表示ゲームが行われる。ここで、普通図柄変動表示器は、例えば、LEDなどによって構成され、普通図柄(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)の変動表示ゲームは、普通図柄変動表示器の点灯状態を所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うようになっている。この普図の変動表示ゲームの結果、普通図柄変動表示器における停止表示が特別の結果態様となれば、普図の当たりとなって、普通変動入賞装置9の開閉部材が所定時間(例えば、0.5秒間)上述のように開放される。これにより、普通変動入賞装置9に遊技球が入賞しやすくなり、特図の変動表示ゲームの始動が容易となる。
【0024】
特図の変動表示装置57は、液晶ディスプレイ(図示略)を備え、表示内容が変化可能な表示画面を有している。この表示画面における表示内容は、表示制御手段としての機能を有する演出制御装置となる演出制御基板(サブ基板、盤用演出基板)により制御されるようになっている。そして、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が特図の始動口を兼ねる普通変動入賞装置9へ進入して始動条件が成立することに基づき、表示画面にて複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる特図の変動表示ゲームを実行可能となっている。この特図の変動表示ゲームの結果として、表示画面の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当たりとなって特別遊技状態(いわゆる、大当たり状態)となる。
【0025】
特別変動入賞装置5は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカー形式の開閉扉によって開閉される大入賞口を備え、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせるサイクル遊技が、所定回数(所定ラウンド数)を限度に行われる。大入賞口の内部(入賞領域)には、該大入賞口に入った遊技球を検出するためのカウントセンサが配設されている。なお、各一般入賞口8,8,8…の内部(入賞領域)には、該入賞口8,8,8…に入った遊技球を検出するための入賞口センサが配設されている。ここで、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が、一般入賞口8、普通変動入賞装置9、特別変動入賞装置5の大入賞口等の入賞口の何れかに流入して入賞が発生すると、該入賞した遊技球が各入賞口のセンサにより検出され、該検出に基づき、各入賞口に対応して設定された所定の賞球数が、上述の遊技球数(持球数)のデータに加算されるようになっている。
【0026】
図3に示すように、遊技盤1は、ガイドレール2で囲まれた遊技領域1aを備え、この遊技領域1a内に遊技球Pを発射して遊技を行うものであり、この遊技盤1の遊技領域1aは下端部まで上述のガイドレール2で囲われている。遊技盤1には一般入賞口8、普通変動入賞装置9、特別変動入賞装置5の大入賞口等の入賞口の他に、遊技領域1aの下端部にアウト穴10が設けられている。そして、入賞口の何れかに流入した遊技球(セーフ球)P1や、遊技領域1aをその下端部まで流下しても入賞しなかった遊技球(アウト球)P2などが、上述の入賞口やこのアウト穴10を通過して遊技盤1の裏面側に導かれて、遊技領域1aから遊技盤1の裏面側に移動するようになっている。
【0027】
遊技球を発射する発射ユニット150は、上記の通り、遊技盤1の下側に設けられた取付盤300に、遊技領域1aの下方位置であって前面側から見て遊技盤1のセンターよりやや右寄りに配置する位置に取り付けられている。
発射ユニット150によって発射された遊技球Pは、ガイドレール2の案内路158に至り当該案内路158に沿って遊技領域1a内に打ち出される。ガイドレール2の案内路158の下端側の開口155と発射ユニット150の間には、発射ユニット150で弾かれた遊技球Pのうち、遊技領域1aに至らずに流下した遊技球(ファウル球)P3を回収するファウルレール2Bが設けられ、当該ファウル球P3はファウルレール2Bで下方へ案内され、裏側に通じる通路152Aに落下する。
また、発射ユニット150は、発射位置に残留する遊技球(残留球)P4を通路152Bを通じて裏面側に回収する残留球回収機構180を備えるが、残留球回収機構180の具体的な構成については後述する。
【0028】
つぎに、遊技球Pの回収経路を説明する。
図4は封入球式遊技機100の裏面側を示す背面図であり、図5は上述のセーフ球P1、アウト球P2、ファウル球P3、及び残留球P4の回収経路を遊技盤1の裏面から見て示す模式図である。
これらの図において、符号161は遊技盤1の裏面側に配置された上回収皿(上回収部)であり、遊技盤1の前面の各入賞口5,8,9からのセーフ球P1や、遊技盤1の前面のアウト穴10からのアウト球P2は、すべて各入賞口5,8,9及びアウト穴10を通って遊技盤1の裏面側に移動し、上回収皿161に回収される。そして、これらの球P1,P2は上回収皿161から図4に示す略くの字状に曲がる遊技盤1の裏面側に配置された上下樋162を通って、図4及び図5に示す同じく遊技盤1の裏面側に配置された下回収皿(下回収部)163に回収される。また下回収皿163には上述の通路152Aを通ってファウルレール2Bに案内されるファウル球P3や、通路152Bを通って発射ユニット150から回収される残留球P4が、セーフ球P1やアウト球P2と合流して回収され、各球P1〜P4は下回収皿163上を傾斜に沿って徐々に自由落下して揚上待ちレーン164上に一つ一つ整列される。揚上待ちレーン164は研磨揚上ユニット(球研磨装置)171の入口171Aに連なり、研磨揚上ユニット171の入口171Aに流入した遊技球Pは、研磨揚上ユニット171を研磨されながら揚上して研磨揚上ユニット171の出口171Bに至り、当該出口171Bから自由落下により送り出されて発射待ちレーン165上に整列される。上述の入口171Aには入口球検知センサ172Aが設けられ、入口球検知センサ172Aは揚上待ちレーン164上に整列する遊技球Pの先頭側に配置されている。上述の出口171Bには出口球検知センサ172Bが設けられ、出口球検知センサ172Bは発射待ちレーン165上に整列する遊技球Pの後端側に配置されている。なお、入口171Aと出口171Bの高低差は実機において例えば7〜8cm程度に設定されている。発射待ちレーン165上に整列した遊技球Pは、発射ユニット150が備える球送り装置401(図6)によって供給口たる通路152Cを通って遊技盤1の表面側に一つ一つ送り出され、適宜に発射ユニット150の後述する発射位置150B(図8)にセットされる。
【0029】
実際には、図4に示すように、各入賞口5,8,9及びアウト穴10の真下に、中央部を両側より低くした上回収皿(上回収部)161が配置され、上回収皿161の中央部に上下樋162の上端が連結される。上下樋162は略くの字に曲がって、その下端が真下に下り、下回収皿(下回収部)163に連結される。この構成では、上回収皿161に回収された遊技球Pが上回収皿161の中央部に集まり、この中央部から殆ど真下に落下して下回収皿163に回収されるため、遊技球Pの途中での詰まりが抑制され、下回収皿163まで迅速に回収される。また、下回収皿163には上述の通路152A,152Bが連結され、各通路152A,152Bはアウト穴10の略真下に、すなわち遊技盤1の略センターに延在し、各通路152A,152Bよりも下回収皿163の下流に向けて、略くの字に曲がった上下樋162の下端が連絡される。この構成では、通路152A,152Bの位置が、発射ユニット150の配置との関係から、ほぼ限定されており、この位置を避けて、下回収皿163の下流に上下樋162の下端を連絡するため、上下樋162からのセーフ球P1やアウト球P2と、通路152A,152Bからのファウル球P3や残留球P4とが衝突せず、遊技球Pの干渉が抑制できる。セーフ球P1やアウト球P2の数は、ファウル球P3や残留球P4の数よりも圧倒的に多く、遊技球P間の干渉を考慮した場合には、上下樋162の下端は、通路152A,152Bよりも下回収皿163の下流に連絡することが望ましいが、反対に上下樋162の下端を、通路152A,152Bよりも下回収皿163の上流に連絡することは可能である。
【0030】
下回収皿163は揚上待ちレーン164として機能し、揚上待ちレーン164の下端は研磨揚上ユニット171の入口171Aに連絡している。ここから遊技球Pは、研磨揚上ユニット171により研磨されながら揚上して出口171Bに至り、出口171Bから送り出されて発射待ちレーン165に連絡する。発射待ちレーン165は上述の上下樋162と十文字状に重なるように立体交差して延出し、研磨揚上ユニット171と対向して配置された発射ユニット150に連絡する。なお、この発射待ちレーン165は遊技盤1の前面側から見て上下樋162の背側に重なっている。この構成では、すべての遊技球Pが、まず、最下位に位置する下回収皿163に集められ、遊技領域1aの下方域において、一方のスペース(一半部)に配置された研磨揚上ユニット171の入口171Aに至り、ここを揚上し、最上位に位置する出口171B、発射待ちレーン165を経て、他方のスペース(他半部)に配置された発射ユニット150に連絡するため、遊技領域1aの狭隘な下方域に、遊技球Pの回収経路を効率よく纏めて配置できる。また、発射待ちレーン165と上下樋162とが、十文字状に立体交差して延出するため、これら経路を交差させない場合と比較して最短距離で連絡でき、遊技球Pの迅速な回収が可能となる。
【0031】
発射待ちレーン165は、研磨揚上ユニット171の出口171Bから緩やかに下方に傾斜し先端部165Aが発射ユニット150に連結され、この連結箇所を先頭にして遊技球Pが整列する。
【0032】
図6は発射ユニット150の六面図であり、図6(A)は正面図、図6(B)は平面図、図6(C)は底面図、図6(D)は左側面図、図6(E)は右側面図、図6(F)は背面図である。図7は図6(A)のI−I線断面図である。
これら図6及び図7に示すように、発射ユニット150は、略矩形板状のベース板400を備え、このベース板400が、前掲図2及び図3に示すように、封入球式遊技機100の前面枠本体130の下側の取付盤300に設けた取付用開口301(図2、図3)に取り付けられてネジ止めされることで、発射ユニット150が封入球式遊技機100に取り付けられる。
【0033】
図6に示すように、ベース板400の背面側には球送り装置401が取り付けられ、正面側には発射装置72が取り付けられている。球送り装置401には、図6(F)に示すように、連結口401Aが設けられ、この連結口401Aに発射待ちレーン165の先端部165Aが連結され、この連結口401Aを先頭にして発射待ちレーン165の上に遊技球Pが整列する。球送り装置401には、その背面を覆うように、発射制御基板ボックス402が取り付けられている。この発射制御基板ボックス402には、球送り装置401、及び発射装置72を制御する発射制御基板53が収納されている。ベース板400には適宜の箇所に配線用の開口403が設けられており、これらの開口403を通じてベース板400の正面に設けられた発射装置72やセンサ類等の電気部品が背面側の発射制御基板53に配線接続される。またベース板400の正面には、正面開放型の発射レール75と、後述する残留球回収樋405が取り付けられており、発射レール75の正面側が遊技球Pの脱落を防止するように透明樹脂製の前面カバー406で覆われている。なお、符号64は後述する発射位置150Bに遊技球Pがセットされているか否かを検知するための発射待機球センサである。
【0034】
図8は、発射ユニット150から前面カバー406を取り外し発射レール75を露出させた状態を示す正面図である。
発射レール75は、正面側からみて右端部75Aよりも左端部75Bが高くなるように傾斜して配置されており、その傾斜の略直線上に、遊技盤1の上記ガイドレール2の下端側の開口155が位置するようになっている。発射レール75の左端部75Bは、前掲図3及び図4で説明したファウルレール2Bに連結される。この発射レール75の途中には、背面側から正面側に遊技球Pを通す通し孔としてベース板400に設けられた供給口たる通路152Cが配置されている。
上記球送り装置401は、発射制御基板53で励磁が制御されるソレノイド(図示略)を備えた、いわゆるマグネット式の装置であり、連結口401Aを先頭にして発射待ちレーン165の上に整列した遊技球Pの先頭の1個の遊技球Pをソレノイドの磁力によって吸着して通路152Cに運び当該通路152Cを通して発射レール75に投入するアーム410(図8)を備えている。球送り装置401による遊技球Pの投入動作は、操作ハンドル153に遊技者が触れた状態(操作状態)であって、なおかつ、発射可能球数がゼロでない事を条件に、発射装置72によって遊技球Pが発射される度に繰り返し行われる。
【0035】
球送り装置401によって発射レール75に供給された遊技球Pは、この発射レール75の傾斜に沿って右端部75Aに向けて自由落下する。この発射レール75は、図9(D)に示すように、断面中心に遊技球Pを導いて位置決め可能にする溝部75Fを有した断面V字状を成している。このV字状による溝部75Fの深さは略水平と見なせる程に浅く、遊技球Pの位置決めを促す程度となっている。遊技球Pが発射レール75上を右端部75Aに向けて落下する際には、発射レール75に沿って落下し、前掲図8に示すように、発射レール75の右端部75Aに設けられた係止材75Cによって落下が止められる。この係止材75Cの面内には、図9(D)に示すように、遊技球Pが通過しない程度の打球用開口75Eが形成されている。遊技球Pは、この打球用開口75Eから表面の一部を係止材75Cから露出させた状態で待機し、この位置が遊技球Pの発射位置150B、すなわち発射装置72による打球位置(弾発位置)となる。打球用開口75Eは、略矩形状に開口し、遊技球Pからみて正面側(図9(D)では右側)との間の隙間は殆ど無く、発射位置150Bの背面側から前面側にわたる幅は、遊技球Pの幅に若干のマージンを持たせた程度となっている。これにより、後述するハンマー72Cで打撃する際に、ハンマー72Cが殆どぶれることなく遊技球Pの中心(重心)G付近を打撃することができる。
なお、発射位置150Bの幅が遊技球Pの幅程度であり、なおかつハンマー72Cの打撃面が大きさを有することから、当該打撃面の大きさによっては、上記溝部75Fによって位置決めを促さなくとも遊技球Pの中心(重心)G付近を打撃することができる。このような場合には、上記溝部75Fを設ける必要はない。
【0036】
前掲図8に戻り、発射装置72は、発射制御基板53によって励磁が制御されるソレノイド72Aと、当該ソレノイド72Aの励磁によって回転駆動されるハンマー機構72Bとを備え、このハンマー機構72Bの先端に打球槌たるハンマー72Cが連結されている。発射装置72は、操作ハンドル153のタッチセンサ70が接触を検知している間、ソレノイド72Aが発射制御基板53によって励磁されハンマー72Cを間欠的に作動させ、遊技球Pを間欠的に弾発して発射する。なお、操作ハンドル153には、ソレノイド72Aの駆動を停止して遊技球Pの発射を停止する発射停止スイッチ(図示略)が設けられている。
【0037】
発射装置72が弾発した遊技球Pは、発射位置150Bから発射レール75に沿って移動して左端部75Bに至り、前掲図2及び図3に示すように、遊技盤1のガイドレール2に向けて発射され、当該ガイドレール2の案内路158に案内されながら遊技領域1aに投入される。このとき遊技領域1aに至らなかった遊技球P、並びに発射レール75からガイドレール2に到達しなかった遊技球Pは、全てファウルレール2Bに沿って自由落下し通路152Aを通って裏面側に回収される。
【0038】
また、本実施形態の発射ユニット150は、操作ハンドル153から手が離されたとき(操作状態から非操作状態に移行したとき)に作動して、発射装置72によって弾発されずに発射位置150Bに残留している遊技球(残留球)P4を通路152Bを通じて裏面側に回収する残留球回収機構180を備えている。
【0039】
図9(A)は、発射位置150Bを上側からみた模式図であり、図9(B)は遊技球Pの弾発動作の説明図、図9(C)は残留球P4の回収動作の説明図、及び図9(D)は図9(A)のA−A線断面を模式的に示す図である。
残留球回収機構180は、球抜き装置としての球抜きアクチュエータ181と、透明樹脂製の上記残留球回収樋405とを備えて大略構成されている。さらに詳述すると、図9(A)に示すように、発射レール75の正面側の側縁部には、発射位置150Bの遊技球Pに差し掛からない程度に離れた位置に略円弧状の切り欠き182が形成され、この正面側の切り欠き182に、回収路としての上記残留球回収樋405の回収口405Aが連結されている。残留球回収樋405は、前掲図6に示すように、回収口405Aから下方に延び、下端側でベース板400の背面側(すなわち、封入球式遊技機100の背面側)に向けて略L字状に屈曲し、その端部が上記通路152Bとして構成され、この通路152Bの背面側出口が下回収皿163(図4及び図5)に残留球Pを落下させる位置に配置されている。
【0040】
すなわち、残留球回収樋405の回収口405Aは、発射位置150Bからみて正面側(封入球式遊技機100の前面側)に配設されることから、発射位置150Bの背面側、すなわちベース板400に組み付けられている発射装置72や発射レール75等のレイアウトに大きな変更を加えることなく、残留球回収樋405を発射ユニット150に配設できる。さらに、残留球回収樋405、及び回収口405Aが封入球式遊技機100の前面側に配置されているため、図2に示したガラス枠140を開けたときに、これら残留球回収樋405及び回収口405Aが露出し、これら残留球回収樋405、及び回収口405Aでの球詰まりを確認できる。
かかる残留回収樋405の回収口405Aは、裏面側から正面側の発射レール75に遊技球Pを送るための通路152Cよりも発射位置150B側(発射レール75の下流側)に配置されているため、回収口405Aに向けて押し出された遊技球Pが通路152Cに侵入し逆流するのが防止される。
【0041】
球抜きアクチュエータ181は、ハンマー72Cに隣接して配置されており、軸方向に突出自在に突出子たる球抜きピン183を備えている。さらに詳述すると、球抜きアクチュエータ181は、図6及び図9に示すように、ベース板400の背面側に配置されている。ベース板400には、図9に示すように、球抜きピン183を正面側に通す通し孔184が形成されており、この通し孔184から球抜きピン183が正面側に突出されて発射位置150Bの残留球P4が正面側に押し出される。
このように、球抜きアクチュエータ181をベース板400の裏側に配置し、当該ベース板400に設けた通し孔184から球抜きピン183を突出させて残留球P4を押し出す構成とすることで、ベース板400の正面側に設けた発射装置72、特にハンマー72Cのレイアウトに変更を生じさせることなく、発射ユニット150に球抜きアクチュエータ181を設けることができる。
【0042】
ここで、発射位置150Bから残留球P4を回収するに際し、発射位置150Bたる発射レール75の右端部75Aを例えば正面側に傾動させたり、当該右端部75Aに残留球P4を落下させる開閉扉等を設けたりする構成でも、発射位置150Bから残留球P4を回収できる。しかしながら、かかる構成では、発射レール75に構造的な変更や可動部を設ける必要があり、これにより遊技球Pの軌道が変化してしまう虞がある。
これに対し、本実施形態では、残留球回収機構180の球抜きアクチュエータ181が残留球P4を押し出すことで回収するため、遊技球Pの軌道に影響を与えることなく遊技球Pを回収できる。
【0043】
かかる球抜きアクチュエータ181の動作は、発射制御基板53によって制御されており、遊技者が操作ハンドル153から手を離す(非操作状態になる)ごとに、球抜きピン183を突出させて残留球P4の回収動作が行われる。
すなわち、ユーザが操作ハンドル153を触り操作すると、図9(B)に示すようにハンマー72Cが動作して、当該ハンマー72Cが遊技球Pを弾発して発射する。ユーザが操作ハンドル153から手を離すと、図9(C)に示すように、ハンマー72Cによる弾球が停止し、球抜きアクチュエータ181が動作し、球抜きピン183が突出して遊技球Pがベース板400から正面側に向かって押し出され、切り欠き182を通じて残留球回収樋405の回収口405Aに落下し、残留球回収樋405を通って通路152Bに案内され下回収皿163に落下することで、封入球式遊技機100の背面側(裏面側)に回収される。この通路152Bには、残留球P4の通過を検知する通過センサとしての残留球検知センサ63が配設されており、残留球検知センサ63によって残留球P4の回収が検知されると、遊技者の持球数を示す発射可能球数に残留球P4の分が加算される。
【0044】
このように、発射ユニット150は、操作ハンドル153が非操作状態となるごとに作動して、発射位置150Bに残留している残留球P4を裏面側に回収する残留球回収機構180を備えため、遊技者が操作ハンドル153の操作を止めたときに遊技球Pが発射位置150Bに残留することがない。
これにより、遊技終了時の遊技者の持球数である発射可能球数に残留球P4の分だけ誤差が発生するのを防止できる。また、遊技終了時には、全ての遊技球Pを裏面側に回収した状態とできるから、当該裏面側に回収された遊技球Pの個数をカウントして、予め封入されていた遊技球数と比較することで、遊技領域1aでの遊技球Pの残留、或いは不正等による遊技球Pの増減を容易に検知することができるようになる。
【0045】
次いで、かかる封入球式遊技機100の機能的な構成について説明する。
図10は、封入球式遊技機100の機能的な概略構成を示すブロック図である。
封入球式遊技機100は、主基板(主制御基板)に分類される遊技機メイン基板50及び払出制御基板51と、主基板に対する周辺基板である演出制御基板52、発射制御基板53、球磨制御基板54、及び接続基板55とを備えている。主基板は、当落抽選及び遊技球Pの獲得に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する回路を実装した基板である。これら遊技機メイン基板50及び払出制御基板51のそれぞれは、開封の痕跡を残すことができる、いわゆる、かしめ構造を有したケース体(図示せず)に封入されている。
【0046】
遊技機メイン基板50は、遊技盤1の裏面に取り付けられ、マイクロコンピュータたる主制御CPU(不図示)を備えた基板であり、入賞に伴う賞球の払出指示や上述の当落抽選等の処理を実行する。
すなわち、封入球式遊技機100では、遊技球Pの入賞(通過)を検知する入賞検知センサ56が入賞口ごとに設けられ、遊技機メイン基板50は、各入賞検知センサ56の入賞検知信号により入賞を検知し、入賞に対応する賞球数の賞球払い出しを指示する賞球払出指示信号を払出制御基板51に出力する。
また遊技機メイン基板50は、普通変動入賞装置9への入賞検知を契機として当落抽選し、演出制御基板52を通じて特図により当落抽選結果を変動表示装置57に表示する。特賞当選時には、遊技機メイン基板50は、遊技状態を特別遊技状態(いわゆる大当たり遊技状態や確率変動状態、時間短縮遊技状態など)に移行させ、特別遊技状態の終了条件成立に伴って通常の遊技状態に移行する。
また遊技機メイン基板50は、普図始動ゲート6の遊技球Pの通過を契機に、当落抽選を行い、抽選結果を普通図柄変動表示器58に表示図柄によって表示する。また当選時には、遊技機メイン基板50は、普通変動入賞装置9の開放制御を実行する。
【0047】
さらに遊技機メイン基板50は、遊技盤1の遊技領域1aに設けた上述の変動表示装置57や装飾ランプ11、サイドランプ12、12、スピーカ13、13等により当落抽選結果に応じた遊技演出を行うべく、どういった演出を行うかを指定し、また図柄の変動表示時間(当落抽選結果の表示タイミング)やリーチ演出の種別等を指定する演出指示信号を、当落抽選結果を示す大当たり発生信号とともに演出制御基板52に出力する。演出制御基板52は、遊技機メイン基板50からの演出指示信号、及び大当たり発生信号に基づいて、表示演出、ランプ点灯、及び音声出力を行うことで遊技演出や遊技状態の報知等を趣向を凝らせた態様で行う。
【0048】
払出制御基板51は、遊技球の払出及び発射を管理する払出制御CPU(不図示)を備えた基板であり、CRユニット200との通電状態に基づいて接続状態を監視し、正常に接続されていない(非導通状態)の場合は、遊技球Pの発射を禁止して遊技を不能にする。
また封入球式遊技機100は、上述の通り、封入球式の遊技機として構成されているため、遊技中に封入球式遊技機100の外から遊技球Pが投入されることはなく、当該遊技球Pの実際の投入に代えて、発射可能な遊技球Pの投入がデジタルデータ上で行われる。すなわち、払出制御基板51は、遊技者が発射可能な上述の発射可能球数Npを管理する発射可能球数管理部59を備え、発射可能球数Npがゼロでない事を条件に、遊技球の発射を許可する発射許可信号を後述する発射制御基板53に出力する。
【0049】
発射可能球数Npは、遊技者がCRユニット200を通じて遊技球Pの貸し出し、或いは貯球の払い出し操作を行うことで加算される。具体的には、払出制御基板51は、接続基板55を通じてCRユニット200と通信可能に接続され、遊技球Pの貸し出し、或いは貯球の払い出しを指示する貸出(払出)指示信号がCRユニット200から入力されるようになっている。そして払出制御基板51の発射可能球数管理部59は、かかる貸出(払出)指示信号が入力されるごとに、所定貸玉個数分を発射可能球数Npに加算し、これにより封入球式遊技機100が管理する持球がデータ上で補充される。なお、本実施形態の封入球式遊技機100では、CRユニット200以外の指示に基づく持球の補充は行われることはない。
【0050】
また払出制御基板51には、遊技の間の発射可能球数Npの増減を管理可能にすべく、送出検知センサ61、ファウル球検知センサ62、及び残留球検知センサ63のそれぞれの検知信号が入力されている。
送出検知センサ61は、球送り装置401により1発の遊技球Pが発射位置150Bに送り出されてセットされるごとに検知信号を出力するセンサである。
ファウル球検知センサ62は、発射位置150Bから発射後に遊技領域1aに至らずにガイドレール2を逆流して戻って来たファウル球P3を検知するものである。このファウル球検知センサ62は、図2及び図3に示すように、遊技盤1の表面側に設けられているファウルレール2Bの落下式の通路152Aに配設され、この通路152Aを落下しながら通過する遊技球Pを環状検出子に通して検知する通過検知センサにより構成されている。
残留球検知センサ63は、発射位置150Bからそのまま回収された残留球P4を検知するものである。残留球検知センサ63は、ファウル球検知センサ62と同様構成の通過検知センサにより構成され、図6に示すように、残留球回収樋405の通路152Bに配設されている。
【0051】
払出制御基板51の発射可能球数管理部59は、遊技球Pの送り出しが検知された時点で発射可能球数Npを減算更新し、またファウル球P3、及び残留球P4が発生した場合には遊技に供されなかった遊技球Pであるため、発射可能球数管理部59は、これらファウル球P3及び残留球P4のいずれかが検知された時点で発射可能球数Npを加算更新する。かかる更新処理により、遊技中の発射可能球数Npの増減がリアルタイムに管理される。この可能球数は、逐次、CRユニット200に出力され、CRユニット200の制御の下、封入球式遊技機100に設けられた表示ユニット60に表示される。
【0052】
なお、発射位置150Bから発射後にファウル球P3とならずに発射位置150Bにまで逆流してきた遊技球Pについては、検知、並びに発射可能球数Npの加減算を行われない。ただし、発射位置150Bには、遊技球Pの有無を検知して払出制御基板51に入力する発射待機球検知センサ64が設けられており、逆流した球等によって発射位置150Bに遊技球Pの残留が検知されているときには、払出制御基板51は、発射許可信号を停止することで球送り装置401による遊技球の送り出しは行われない(したがって発射可能球数Npの減算も無い)ようにする。なお、遊技球Pの逆流によって発射位置150Bに複数の遊技球Pが溜まったとしても、これらの遊技球Pはハンマー72Cの弾発により遊技盤1、或いはファウルレール2Bに導かれることで発射位置150Bから排除され、またハンドル操作停止に伴う残留球回収機構180の回収動作によっても発射位置150Bから回収されることから、遊技球Pの逆流が生じた場合に必ずしも遊技球Pの送り出しを停止する必要はない。このため、発射位置150Bの上での遊技球Pの残留を検知する発射待機球検知センサ64を必ずしも備えている必要はない。
【0053】
ここで、ファウル球検知センサ62、及び残留球検知センサ63は、遊技盤1の表面側の経路上であって裏面側に回収される前に設けられているため、これらのセンサを裏面側に設ける構成よりも、ファウル球P3及び残留球P4が早いタイミングで検知される。これにより、ファウル球P3及び残留球P4の発生から発射可能球数Npの加算更新(持球への復帰)までのタイムラグを小さくすることができる。
なお、ファウルレール2B及び球抜きレール2Cの下流を共通の通路に接続して通路152A、及び通路152Bを共通化し、この通路に遊技球Pの通過検知センサを設けて、ファウル球P3、及び球抜き球P4を区別せずに検知する構成としても良い。
【0054】
また、一般にパチンコ遊技機にあっては、遊技領域1a等に遊技球Pが詰まったり滞留したりする球詰まり等が発生することがある。封入球式遊技機100にあっては、打ち出し可能な実球が限られているため、球詰まり等が発生して遊技球Pの回収が滞ると球切れを生じする虞がある。そこで、払出制御基板51は、球詰まり等による未回収の遊技球Pを管理する未回収遊技球管理部76と、遊技領域1aから回収された回収球を検知し払出制御基板51に出力する回収球検知センサ65とを備えている。
回収球検知センサ65は、遊技盤1の表面の遊技領域1aから裏面の上回収皿161(図5)に回収されたアウト球P2、及びセーフ球P1のそれぞれを検知するものである。回収球検知センサ65は、ファウル球検知センサ62等と同様構成の通過検知センサとして構成され、図5に示すように、上回収皿161の下流に接続された落下式の上下樋162に配設されている。
未回収遊技球管理部76は、遊技開始当初に発射可能球数Npを未回収球数Nxにセットし、回収球検知センサ65が遊技球Pの回収(通過)を検知するごとに未回収球数Nxを減算する。未回収球数Nxと発射可能球数Npとが不一致の場合には、発射後に未だ回収されていない遊技球Pがあることを示し、払出制御基板51は、この不一致の状態に基づいて球詰まり等を検知する。未回収遊技球管理部76の具体的な動作については後述することにする。
なお、送出検知センサ61、ファウル球検知センサ62、残留球検知センサ63、発射待機球検知センサ64、回収球検知センサ65のそれぞれの出力を遊技機メイン基板50に入力し、当該遊技機メイン基板50から払出制御基板51に出力する構成としても良い。
【0055】
上記発射制御基板53は、払出制御基板51の許可の下、遊技球Pの発射を制御する基板である。すなわち、発射制御基板53は、後述する球送り許可信号が払出制御基板51から入力されている事を条件に発射位置150Bに遊技球Pを送り出し、また発射許可信号が払出制御基板51から入力されている事を条件に操作ハンドル装置68の操作に応じて発射ユニット150のハンマー72Cで弾発して発射する。
さらに発射制御基板53は、球抜き指示信号が払出制御基板51から入力された場合に、発射位置150Bから残留球P4を回収するための球抜き制御を行う。
【0056】
具体的には、操作ハンドル装置68は、上述した回転操作式の操作ハンドル153の他に、操作ハンドル153に遊技者がタッチしていること(操作していることを)検知して発射制御基板53を通じて払出制御基板51に出力(図10中、発射状態信号)するタッチセンサ70と、操作ハンドル153の操作量を検知して発射制御基板53に出力する回転ボリュームセンサ71と、とを備えている。
【0057】
払出制御基板51は、発射可能球数Npがゼロでなく、なおかつ、操作ハンドル153への遊技者のタッチ(操作)が検知されていることを条件に、球送り装置401による遊技球Pの送り出し動作を許可する上記球送り許可信号を発射制御基板53に出力する。このとき、球送り許可信号の出力条件が成立している場合でも、払出制御基板51は、発射待機球検知センサ64の検知信号に基づいて、発射位置150Bに発射球Pが存在している事を検知した場合には、発射位置150Bで玉突きが生じるため球送り許可信号の出力を停止する。
【0058】
また払出制御基板51は、発射可能球数Npにかかわらず、操作ハンドル153がタッチ(操作)されており、かつ、発射停止スイッチ153Aが操作されていない事を、発射制御基板53を通じて検知している事を条件に、発射ユニット150による遊技球Pの発射を許可する上記発射許可信号を発射制御基板53に出力する。また払出制御基板51は、操作ハンドル153のタッチ(操作)が検知されなくなるごとに、球抜き指示信号を発射制御基板53に出力する。
【0059】
発射制御基板53は、払出制御基板51から球送り許可信号が入力されている間(すなわち、発射可能球数Npがゼロでなく、かつ、操作ハンドル153が操作されている間)、発射ユニット150の球送り装置401に遊技球の送り出し動作を行わせる。これにより、遊技球が1発ずつ発射位置150Bに送り出されてセットされ、発射ユニット150により順次に発射される。
また発射制御基板53は、払出制御基板51から発射許可信号が入力されている間(すなわち、操作ハンドル153が操作され、かつ発射停止スイッチ153Aが操作されていないとき)、発射位置150Bの遊技球Pの有無にかかわらず、発射ユニット150を駆動して発射動作を行わせる。
さらに、発射制御基板53は、発射制御基板53から球抜き指示信号が入力されるごとに、発射ユニット150に球抜き動作を行わせる。
【0060】
発射ユニット150は、ハンマー72Cを含む発射装置72と、遊技球Pを発射位置150Bに送り出す球送り装置401と、発射位置150Bに残留している残留球P4を回収する球抜きアクチュエータ181とを備えている。
発射装置72は、発射制御基板53の制御の下、操作ハンドル153の操作量に応じた強さで遊技球Pをハンマー72Cで弾発して発射し、また、球送り装置401は、発射制御基板53の制御の下、発射位置150Bに1発ずつ遊技球Pを送り出してセットする。球抜きアクチュエータ181は、発射制御基板53を介した払出制御基板51の制御(球抜き指示)の下、発射位置150Bに残留している残留球P4を押し出し残留球回収樋405(図6)を通じて裏面側に導くことで回収する。
【0061】
球磨制御基板54は、払出制御基板51の制御の下、上述の研磨揚上ユニット171(図5)を駆動するものである。すなわち、研磨揚上ユニット171の入口171Aの入口球検知センサ172A、及び出口171Bの出口球検知センサ172Bの検知信号がそれぞれ球磨制御基板54を通じて払出制御基板51に出力される。払出制御基板51は、入口球検知センサ172Aが遊技球Pを検知したときには、揚上すべき遊技球Pが存在していることを示すため、遊技球Pの揚上を開始し、この揚上の過程で同時に研磨を行う。一方、出口球検知センサ172Bが遊技球Pを検知したときには、発射待ちレーン165上の遊技球Pが満杯の状態にあることを示すため、払出制御基板51は、遊技球Pの揚上を停止する。
【0062】
次いで、封入球式遊技機100の動作について説明する。
【0063】
(初期状態(アイドル状態))
封入球式遊技機100で遊技を開始する前のアイドル状態にあっては、発射可能球数管理部59が管理する発射可能球数Npはゼロにクリアされている。また研磨揚上ユニット171は揚上動作を停止し、発射待ちレーン165上に遊技球Pが適当個数整列し、また揚上待ちレーン164上に残りの遊技球が整列する。このとき、遊技領域1a、ファウルレール2B等のファウル経路、及び発射位置150Bのいずれにも遊技球Pは無い状態に維持されている。
遊技者が遊技を開始する際には、貸球に使用できる価値、或いは貯球数を記録したプリペイドカードや会員カード等の記録媒体90(図10)をCRユニット200に挿入し、封入球式遊技機100の球貸ボタン81(図1)を操作し、或いはCRユニット200で貯球や獲得遊技球の払い出し操作をする。
【0064】
(発射可能球発生)
球貸操作し、或いは貯球の払い出し操作に伴い、CRユニット200から貸出(払出)指示信号が払出制御基板51に入力されると、払出制御基板51の発射可能球数管理部59は、所定貸玉個数分を発射可能球数Npに加算する。これにより遊技者が発射可能な球数がデータ上で補充される。この状態においては、発射可能球数Npの全てが未回収状態であるので未回収球数Nx=発射可能球数Npに設定される。
【0065】
(遊技中)
遊技者が操作ハンドル153をタッチした場合、払出制御基板51は発射制御基板53に、発射停止スイッチ153Aが操作されていないことを条件に発射許可信号を出力し、また発射可能球数Npがゼロでない事を条件に球送り許可信号を出力する。発射許可信号の出力に伴って発射装置72のハンマー72Cが駆動され、また球送り許可信号の出力に伴って球送り装置401による発射位置150Bへの球送り動作が行われ、発射位置150Bから遊技球Pが発射されて遊技が行われる。
【0066】
遊技中にあっては、操作ハンドル153の操作量に応じた弾発力で発射位置150Bから遊技球が発射される。一方で、発射位置150Bへの遊技球Pの送り出しが検知されるごとに、発射可能球数管理部59は、発射可能球数Npを減算し、また回収球検知センサ65で遊技球の回収が検知されるごとに未回収球数Nxを減算する。賞球発生時には、発射可能球数管理部59は、発射可能球数Np及び未回収球数Nxの両者に賞球数を加算する。また、ファウル球P3が発生したときには、発射可能球数管理部59は、発射可能球数Npを加算する。かかる動作は、発射可能球数Npがゼロでなくなるまで継続して行われる。
【0067】
一方、研磨揚上ユニット171については、遊技球の発射により発射待ちレーン165の遊技球が減少し出口球検知センサ172BがOFFとなったとき、入口球検知センサ172AがONの時は揚送動作を開始し、出口球検知センサ172BがOFF、なおかつ入口球検知センサ172AがONの条件が成立している間は、揚送動作を継続して行う。
【0068】
(遊技中断)
遊技者が操作ハンドル153から手を離すと(操作を止めると)、払出制御基板51は玉送り許可信号、及び発射許可信号の出力を共に停止(OFFに)する。これにより、発射位置150Bへの遊技球Pの送り出し、及び発射装置72による発射が停止される。
さらに払出制御基板51は、図10に示すように、遊技者が操作ハンドル153の操作を止めた場合(ステップSa1:Yes)、球抜き指示信号を発射制御基板53に出力する(ステップSa2)。この球抜き指示信号の出力により発射ユニット150の球抜きアクチュエータ181が遊技者の指示によらずに自動で作動し、この動作の結果、残留球検知センサ63で残留球P4が検知されたときには発射可能球数Npに加算される。
したがって、遊技者が操作ハンドル153の操作を止めるごとに、発射位置150Bからの球抜きアクチュエータ181が自動で行われることとなり、発射位置150Bに遊技球Pを残した状態で遊技者が遊技を終えてしまうことが無く、遊技者の発射可能球数Npにきちんと反映できる。
【0069】
払出制御基板51は、図11に示すように、操作ハンドル153の操作が無い間は(ステップSa1:Yes)、発射位置150Bに遊技球Pが残っている場合には(ステップSa3:Yes)、継続して球抜き指示信号を出力する(ステップSa2)。これにより、打ち損じ等によって発射位置150Bに一定量以上の遊技球Pが滞ってしまった場合でも、操作ハンドル153から手を離して遊技を停止したときに、全ての遊技球Pが球抜きされて回収されることから、発射位置150Bに遊技球Pが詰まって発射できなくなる、という事態を効率良く回避できる。
【0070】
(遊技終了)
(A.発射可能球数Np=未回収球数Nx=ゼロの場合)
遊技球Pを発射することで発射可能球数Npがゼロになったときは、払出制御基板51が即座に球送り許可信号の出力を停止(OFF)して、球送り装置401による繰り出し動作を停止する。ただし、操作ハンドル153がタッチされ、かつ発射停止スイッチ153Aが操作されていなければ、払出制御基板51が発射許可信号を出力するため発射装置72が継続して動作し、最後に発射位置150Bに繰り出された遊技球Pも残らずに全て発射される。また発射位置150Bに遊技球Pが無い状態でも、操作ハンドル153が操作されている場合には、発射装置72のハンマー72Cが継続して動作する。
【0071】
発射可能球数Npがゼロになったときでも、既に発射した遊技球Pがファウル球P3となったり、入賞して賞球が発生したりした場合には、貸出しや払い出しが無くとも発射可能球数Npが所定数増加し、発射可能球数Npがゼロでなくなるので、玉送り許可信号の出力が再開され(ONとなって)、発射位置150Bへの遊技球Pの送り出し動作が再開される。このとき、遊技者が操作ハンドル153を操作している限りは発射装置72が継続して動作されているから、発射位置150Bへの遊技球の送り出しと略同時に即座に遊技球Pを発射させることができる。
【0072】
このように、発射可能球数Npがゼロになったときに発射位置150Bへの遊技球の繰り出し動作を停止する一方で、発射装置72については発射可能球数Npにかかわらず操作ハンドル153が操作されている間は継続して動作させているため、持球を打ち切って発射可能球数Npがゼロになったときでも、その後にファウル球P3や賞球が発生して発射可能球数Npがゼロでなくなり発射位置150Bに遊技球Pが繰り出された時点で、即座に遊技球Pを発射させることができる。
【0073】
発射可能球数Np、及び未回収球数Nxの両者が共にゼロの場合、遊技者が発射可能な発射可能球数Npが全て回収された状態を示す。この状態で遊技者が操作ハンドル153を離すと、払出制御基板51は、発射許可信号の出力を停止し、封入球式遊技機100は、記録媒体90を挿入しただけで球貸し操作や払い出し操作が行われる前の上記のアイドル状態に戻る。
このとき、記録媒体90の残価値がゼロであり、なおかつ、遊技者に返却する必要の無い媒体(例えば会員カードではなく、その場限りで有効な媒体)であり、また返却する必要のある会員カード等がCRユニット200に挿入されてもいない場合には、払出制御基板51は、遊技者の操作がなくとも、残価値がゼロの発射可能球数Npを自動で記録媒体90に価値移行して決済処理し、ゼロの価値が移行した記録媒体90がCRユニット200によって自動で回収又は排出される。そして封入球式遊技機100の状態は上記のアイドル状態に戻る。
これにより、遊技者に還元する価値媒体が無い場合には、遊技者が記録媒体90の所定の返却操作、或いは封入球式遊技機100での遊技を終了するための所定の操作をしなくとも、封入球式遊技機100が自動で初期状態(アイドル状態)に復帰することとなる。このため、遊技者が所定の操作をせずに封入球式遊技機100立ち去ったとしても、次の遊技者が速やかに遊技を開始することができる。
【0074】
発射可能球数Np、及び未回収球数Nxの両者が共にゼロのときに、記録媒体90の残価値がゼロでない場合、遊技者に返却する必要のある媒体である場合、或いは、遊技者に返却する必要のある媒体がCRユニット200に挿入されている場合は、封入球式遊技機100の返却ボタン82(図1)の操作で返却可能となる。
返却ボタン82が操作された場合、かかる操作はCRユニット200に一旦出力され、当該CRユニット200から払出制御基板51に発射可能球数Npの決済要求が送られる。払出制御基板51は、決済要求を受け取ると、未回収の遊技球Pが無いことを条件に(後述)、発射可能球数Npの価値をCRユニット200の記録媒体90(会員カードでも良い)に移行して上述の獲得球数として記録するとともに、発射可能球数Npの計数値をゼロに初期化する価値移行処理を行って決済する。この記録媒体90や会員カードのCRユニット200からの返却が完了すると、封入球式遊技機100は上記の初期状態(アイドル状態)に移行する。
【0075】
なお、発射可能球数Np、及び未回収球数Nxの両者が共にゼロのときに、記録媒体90の残価値による球貸し操作、或いは貯球や獲得球数の払い出し操作が行われたときには、上記の(発射可能球発生)で説明した動作に戻る。
また、研磨揚上ユニット171の揚送動作については、発射可能球数Npや記録媒体90の返却完了にかかわらず、上述の通り、出口球検知センサ172BがOFF、なおかつ入口球検知センサ172AがONの条件が成立している間は、揚送動作を継続して行われる。これにより、発射待ちレーン165上に遊技球Pが適当個数整列し、また揚上待ちレーン164上に残りの遊技球Pが整列した状態に復帰させることができる。
【0076】
(B.発射可能球数Np≠未回収球数Nxの場合)
本実施形態では、払出制御基板51は、発射可能球数Npと未回収球数Nxとが不一致である間は、返却ボタン82が操作された場合でも、発射可能球数Npの決済処理を禁止して行わないようにする。
すなわち、未回収球数Nxから発射可能球数Npを引いた差分dNは、遊技領域1aを未だ転動し、或いは滞留している遊技球数と見なすことができる。すなわち、遊技者が操作ハンドル153から手を離したときに、差分dNがゼロでない場合には、遊技領域1aを転動中の遊技球Pが入賞し、或いは特賞が発生する等して発射可能球数Npが増加するケースがある(なお、ファウル球P3が発生した場合も同様である)。この場合に、決済処理が既に完了してしまっていると、増加分の遊技球Pを遊技者の持球に付与できずに損になる。また、決済処理後に特賞が発生した場合、遊技者は記録媒体90をCRユニット200に挿入した後、球貸し操作や払い出し操作をする等して遊技を再開する必要があり、かかる操作の間に、特賞遊技の機会を逸してしまうことも考える。
【0077】
そこで、払出制御基板51は、図12に示すように、CRユニット200から決済要求を受け取ると(ステップSb1)、操作ハンドル153が操作されていないかを判断する(ステップSb2)。操作ハンドル153が操作(タッチ)されている場合には(ステップSb2:No)、発射装置72の動作が継続して未回収の遊技球Pの有無が正確に検知できない虞があるため、払出制御基板51は、遊技者に操作ハンドル153の操作を止める旨の通知をする(ステップSb3)。この通知は、表示や音声で行うことができる。
操作ハンドル153が操作(タッチ)されている場合(ステップSb2:Yes)、払出制御基板51は、発射可能球数Npと未回収球数Nxとが一致するか否か(すなわち、未回収の遊技球Pが無いか否か)を判断する(ステップSb4)。
【0078】
発射可能球数Npと未回収球数Nxとが一致する場合(ステップSb4:Yes)、未回収の遊技球Pは無く、発射可能球数Npが増加することも無いから、払出制御基板51は、発射可能球数Npの価値をCRユニット200の記録媒体90に移行するとともに発射可能球数Npの計数値をゼロに初期化する価値移行処理(ステップSb5)を行って、決済を終了する。
一方、発射可能球数Npと未回収球数Nxとが不一致の場合(ステップSb4:No)、一定の監視時間が経過するまでの間、発射可能球数Npと未回収球数Nxとが一致するようになったかを監視する(ステップSb6)。この監視時間は、少なくとも、遊技領域1aから遊技球Pが遊技盤1の裏側に回収されて回収球検知センサ65を通過するまでに要する時間である。
監視時間が経過するまでに、発射可能球数Npと未回収球数Nxとが一致する場合(ステップSb6:No、かつステップSb4:Yes)、払出制御基板51は、価値移行処理を行って(ステップSb5)、決済を終了する。
【0079】
監視時間が経過しても、発射可能球数Npと未回収球数Nxとが不一致の場合(ステップSb6:Yes)、遊技領域1a等で遊技球Pが球詰まりや滞留を起こしている可能性があるため、払出制御基板51は玉詰まり等の発生を示す警報を出力する(ステップSb7)。この警報出力は、音声やランプ点灯により出力され、また店舗が備える管理端末(例えばホールコンピュータ)にも出力されて、店員に通知される。その後、店員により球詰まり等を解消し、発射可能球数Npと未回収球数Nxとが一致することで、価値移行処理が可能になる。なお、未回収球数Nxを発射可能球数Npに強制的に一致させるための操作子を封入球式遊技機100の内部に設け、かかる操作子を店員が操作することで、発射可能球数Npと未回収球数Nxとの不一致を解消可能にしても良い。
なお、遊技領域1aに進入した遊技球Pが裏側に回収されるまでの時間は、封入球式遊技機100が遊技領域1aに備える役物や遊技内容によって異なり(例えば玉プール式の役物を備える等)、上記監視時間も、かかる役物や遊技内容等に応じて設定される。
【0080】
(発射中の球詰まり等の検知)
上述の通り、差分dN(=未回収球数Nx−発射可能球数Np)は、遊技領域1aにある球数と見なされるため、操作ハンドル153の操作中であっても、この値が一定以上になったときには球詰まりや滞留状態である事を示す。封入球式遊技機100では遊技球Pの実球数が固定されているため、球詰まり等が発生すると発射可能な実球が減ってしまい、データ上は発射可能球数Npがゼロでないにもかかわらず、球切れにより遊技球が打てなくなるおそれがある。そこで、払出制御基板51は、図13に示すように、操作ハンドル153が操作されているときに(ステップSc1:Yes)、差分dNが一定値を超えた場合には(ステップSc2:Yes)、スピーカ13、13やランプ等により球詰まり警報を出力し、またホールコンピュータに警報を出力する(ステップSc3)。
これにより、球詰まり等の発生を速やかに検知して警報出力し店員等に通知することができ、遊技中の球切れ等を防止できる。
【0081】
ここで、この封入球式遊技機100では、回収された遊技球Pは、発射待ちレーン165、研磨揚上ユニット171、及び揚上待ちレーン164のいずれかに整列待機することとなるが、本実施形態では、アイドル状態においては、全ての遊技球Pが発射待ちレーン165に整列待機することとしている。
【0082】
したがって、封入球式遊技機100に封入されている遊技球数をF、出口球検知センサ172BがONになったときの発射待ちレーン165に整列している遊技球数をF1、発射位置150Bに残留している遊技球数をF2(本実施形態ではF2=1又はゼロ)、遊技領域1aを転動中の遊技球(すなわち、回収球検知センサ65等のいずれのセンサでも検知されていない遊技球)の数をF3、入口球検知センサ172AがOFFになったときの揚上待ちレーン164上の遊技球数をF4(本実施形態ではF4=ゼロ)、研磨揚上ユニット171で揚送中の遊技球数をF5とした場合には、次の式が成立する。
F=F1+F2+F3+F4+F5
【0083】
操作ハンドル153が操作されておらず発射装置72が停止しているときには、発射位置150Bから球抜き動作が行われることで、発射位置150Bの残留遊技球数F2がゼロになり、この状態で研磨揚上ユニット171が揚送動作を揚送中の遊技球が無くなるまで継続することで、全ての遊技球Pを発射待ちレーン165に整列待機させ(F1=F)、F2、F3、F4、及びF5のそれぞれをゼロになる。
【0084】
換言すれば、操作ハンドル153が操作されておらず発射装置72が停止しているときにおいて、発射位置150Bの球抜き動作、及び研磨揚上ユニット171の揚送動作によって発射位置150Bの残留遊技球数F2、揚上待ちレーン164上の遊技球数F4、研磨揚上ユニット171で揚送中の遊技球数F5をそれぞれにゼロにした状態でも、出口球検知センサ172BがONにならずに発射待ちレーン165の遊技球数F1が封入球数Fと一致しない場合には、球詰まり等が発生し未回収の遊技球Pが存在していることを示す。
これにより、アイドル状態になるごとに、球詰まりの有無を検知することができる。
なお、研磨揚上ユニット171の揚送動作を停止した状態で遊技球Pの発射を続け、発射待ちレーン165の全ての遊技球Pを打ち切ることで、全ての遊技球Pを揚上待ちレーン164上に整列待機させ(F4=F)、F1、F2、F3、及びF5のそれぞれをゼロにすることもできる。したがって、揚上待ちレーン164に全ての遊技球Pを整列待機させたときにONとなる検知センサを設けることでも、未回収の遊技球Pの存在を検知することができる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、発射ユニット150は、操作ハンドル153が非操作状態となるごとに作動して、発射位置150Bに残留している残留球P4を裏面側に回収する残留球回収機構180を備えため、遊技者が操作ハンドル153の操作を止めたときに遊技球Pが発射位置150Bに残留することがない。
これにより、遊技終了時の遊技者の持球数である発射可能球数に残留球P4の分だけ誤差が発生するのを防止できる。また、遊技終了時には、全ての遊技球Pを裏面側に回収した状態とできるから、当該裏面側に回収された遊技球Pの個数をカウントして、予め封入されていた遊技球数と比較することで、遊技領域1aでの遊技球Pの残留、或いは不正等による遊技球Pの増減を容易に検知することができるようになる。
【0086】
また本実施形態によれば、発射ユニット150の残留球回収機構180は、発射位置150Bに残留している残留球P4を裏面側に回収する残留球回収樋405を備え、当該残留球回収樋405の回収口405Aを発射位置150Bの前面側に配置した。
これにより、発射位置150Bの背面側、すなわち発射ユニット150のベース板400に組み付けられている発射装置72や発射レール75等のレイアウトに大きな変更を加えることなく、残留球回収樋405を発射ユニット150に配設できる。さらに、残留球回収樋405、及び回収口405Aが封入球式遊技機100の前面側に配置されているため、図2に示したガラス枠140を開けたときに、これら残留球回収樋405及び回収口405Aが露出し、これら残留球回収樋405、及び回収口405Aでの球詰まりを確認できる。
【0087】
また本実施形態によれば、残留球回収機構180は、操作ハンドル153が非操作状態になったときに突出子たる球抜きピン183を突出させて発射位置150Bに残留している残留球P4を回収口405Aに押し出す球抜きアクチュエータ181を備える構成とした。この構成によれば、球抜きアクチュエータ181が残留球P4を押し出すことで回収するため、発射レール75に加える変更が少なく、遊技球Pの軌道に影響が出ることがない。
【0088】
また本実施形態によれば、発射ユニット150のベース板400の裏面側に球抜きアクチュエータ181を設け、ベース板400に設けた通し孔184から球抜きピン183を前面側に突出させて残留球P4を押し出す構成としたため、ベース板400の正面側に設けた発射装置72、特にハンマー72Cのレイアウトに変更を生じさせることなく、発射ユニット150に球抜きアクチュエータ181を設けることができる。
【0089】
また、残留球回収樋405の回収口405Aは、裏面側から正面側の発射レール75に遊技球Pを送るための供給口たる通路152Cよりも発射位置150B側(発射レール75の下流側)に配置されているため、回収口405Aに向けて押し出された遊技球Pが通路152Cに侵入し逆流してしまうのを防止できる。
【0090】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
1 遊技盤
1a 遊技領域
53 発射制御基板
61 送出検知センサ
63 残留球検知センサ
64 発射待機球検知センサ
70 タッチセンサ
72 発射装置
72B ハンマー機構
72C ハンマー
75 発射レール
75C 係止材
75E 打球用開口
100 封入球式遊技機
150 発射ユニット
150B 発射位置
152C 通路(供給口)
153 操作ハンドル
180 残留球回収機構
181 球抜きアクチュエータ(球抜き装置)
183 球抜きピン(突出子)
184 通し孔
300 取付盤
400 ベース板
401 球送り装置
401A 連結口
402 発射制御基板ボックス
403 開口
405 残留球回収樋(残留球回収路)
405A 回収口
Np 発射可能球数
P 遊技球
P4 残留球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側の遊技領域から裏面側に遊技球を回収して循環利用する封入球式遊技機に設けられ、裏面側から発射位置に供給された遊技球を操作子の操作に応じて弾発して前記遊技領域に発射する発射装置を有した発射ユニットであって、
前記操作子が非操作状態となったときに、前記発射位置に残留している遊技球を前記裏面側に回収する残留球回収機構を備えたことを特徴とする発射ユニット。
【請求項2】
前記残留球回収機構は、前記発射位置に残留している遊技球を前記裏面側に回収する残留球回収路を備え、当該残留球回収路の回収口を前記発射位置の前記前面側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の発射ユニット。
【請求項3】
前記残留球回収機構は、
前記操作子が非操作状態になったときに突出子を突出させて前記発射位置に残留している遊技球を前記回収口に押し出す球抜き装置を備えることを特徴とする請求項2に記載の発射ユニット。
【請求項4】
前面側に前記発射装置が設けられたベース板を備え、
前記ベース板の裏面側に前記球抜き装置を設け、前記ベース板に設けた通し孔から前記突出子を前面側に突出させて遊技球を押し出した
ことを特徴とする請求項3に記載の発射ユニット。
【請求項5】
裏面側から前面側に遊技球を供給する供給口よりも前記発射位置側に、前記残留回収路の回収口を配置したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の発射ユニット。
【請求項6】
発射位置の遊技球を操作子の操作に応じて弾発して前面側の遊技領域に発射する発射装置を備え、前記遊技領域から裏面側に遊技球を回収して循環利用する封入球式遊技機であって、
前記操作子が非操作状態となったときに、前記発射位置に残留している遊技球を前記裏面側に回収する残留球回収機構を備えたことを特徴とする封入球式遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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