説明

発射用球供給装置

【課題】 スプロケットが遊技球を通過させる方向に回転することを防止したときに、スプロケットが遊技球を通過させる方向の反対方向に回転することも制限できる発射用球供給装置を提供すること。
【解決手段】 発射用球供給装置Aに、複数の球搬送凹部31が外周部に形成され、遊技球Bの重さによって回転することにより遊技球Bを通過させるスプロケット30と、回転本体41の上部と下部からそれぞれスプロケット30側に突出する上側係合部43と下側係合部44とを備え、往復回転することにより上側係合部43と下側係合部44とがスプロケット30に対して交互に進退して歯部32に係合するストッパ40とを設けた。そして、上側係合部43と下側係合部44とを、ストッパ40の回転中心側から外周側に向かって延びる突部で構成し、スプロケット30の一方向への回転を禁止したときに他方向への回転を制限できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機における球供給路から、発射レールの下端に設けられた発射位置に遊技球を供給するために用いられる発射用球供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ機においては、パチンコ機の表面下部に設けられた供給皿内の遊技球を、球供給路を介して発射レールの下端に設けられた発射位置に送り、発射位置に送られた遊技球を、駆動部の作動により発射位置に対して進退する発射杵で打撃して発射レールから遊技盤に送り出すようにしている。この場合、一度に、複数の遊技球が発射位置に供給されることを防止するために、発射杵の1回の進退に対して、1個の遊技球を球供給路を通過させて発射位置に供給する機構を備えた発射用球供給装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この発射用球供給装置では、1個の遊技球を係合可能な凹部と、歯部とが外周縁に交互に形成されたスプロケットを、球供給路に臨ませて回転可能に配置している。そして、このスプロケットを、凹部に位置する遊技球の重さによって回転させることにより、遊技球を球供給路の上流側から発射位置側に1個ずつ通過させる。また、スプロケットの近傍には、スプロケットの歯部に係合可能な上側係合部と下側係合部とを備えたストッパが回転可能に設けられている。このストッパは、プランジャ式ソレノイドの駆動によって発射位置に対して進退する発射杵と連動して往復回転するように構成されている。
【0004】
そして、ストッパが発射杵の進退に連動して往復回転することにより、上側係合部と下側係合部とを、交互にスプロケットの歯部に係合させたり、その係合を解除させたりする。このとき、上側係合部と歯部との係合が解除されてから、下側係合部と歯部とが係合し、さらに、下側係合部と歯部との係合が解除されて上側係合部と歯部とが係合するまでの間に、遊技球の重さによってスプロケットが回転し、1個の遊技球を球供給路の上流側から発射位置側に通過させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−29375号公報
【発明の概要】
【0006】
前述した従来のスプロケットとストッパとを備えた発射用球供給装置では、遊技球を供給するタイミングに一定の間隔を持たせるために、上側係合部と下側係合部とが、交互に、スプロケットが遊技球を通過させる方向に回転することを防止するように構成されている。しかしながら、スプロケットは、遊技球を通過させる方向だけでなく、その反対方向にも回転可能になっており、スプロケットが往復回転する際に、振動によりがたついて遊技球を通過させる方向の反対方向に回転した場合には、複数の遊技球が球供給路を通過したり、スプロケットの歯部と球供給路の壁部との間に遊技球が挟み込まれてスプロケットが回転不能の状態になったりすることがある。
【0007】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、ストッパの上側係合部や下側係合部がスプロケットに係合して、スプロケットが遊技球を通過させる方向に回転することを防止したときに、スプロケットが反対方向に回転することも制限できる発射用球供給装置を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明に係る発射用球供給装置の構成上の特徴は、発射レール(12)の下端に設けられた発射位置(12a)に遊技球(B)を供給する球供給路(11)と、発射位置に対して進退可能に設けられた発射杵(21)と、発射杵を発射位置に対して進退させることにより、発射位置に供給される遊技球を発射杵に打撃させる駆動部と、可動領域の外周縁(a)から内部に窪んだ複数の球搬送凹部(31)が外周部に形成され、外周部を球供給路に臨ませて配置された回転体からなり、球搬送凹部に入る遊技球の重さによって一方向に回転することにより、遊技球を球供給路の上流側から発射位置側に通過させるスプロケット(30)と、往復回転可能に設置された本体(41)と、本体の上部と下部からそれぞれスプロケット側に突出する上側係合部(43)と下側係合部(44)とを備え、往復回転することによって、上側係合部と下側係合部とをスプロケットに対して交互に進退させて球搬送凹部の縁部に係合させ、上側係合部と下側係合部との球搬送凹部の縁部に対する係合が切り換わる際に、スプロケットの回転を許容するストッパ(40)と、発射杵の進退に連動してストッパを往復回転させる連動手段(50)とを備えた発射用球供給装置(A)において、上側係合部と下側係合部とを、ストッパの回転中心側から外周側に向かって延びる突部で構成し、上側係合部の回転中心側の端部(43d)が球搬送凹部の縁部に係合してスプロケットの一方向への回転を禁止したときに上側係合部の先端部(43a)が上側係合部の回転中心側の端部と同じ球搬送凹部内に位置するようにするとともに、下側係合部の先端部(44a)が球搬送凹部の縁部に係合してスプロケットの一方向への回転を禁止したときに下側係合部の回転中心側の端部(44b)が下側係合部の先端部と同じ球搬送凹部内に位置するようにしたことにある。
【0009】
本発明に係る発射用球供給装置では、ストッパに、本体の上部と下部からそれぞれ突出して、スプロケットの球搬送凹部の縁部に係合できる上側係合部と下側係合部とが備わっている。そして、上側係合部を、ストッパの回転中心側から外周側に向かって延びる突部で構成し、上側係合部の回転中心側の端部が球搬送凹部の縁部に係合してスプロケットの一方向への回転を禁止したときに、上側係合部の先端部も上側係合部の回転中心側の端部と同じ球搬送凹部内に位置するようにしている。この場合の球搬送凹部は、スプロケットの可動領域の外周縁よりも窪んだ部分である。このため、上側係合部の回転中心側の端部がスプロケットの一方向への回転を禁止したときに、振動によりスプロケットが他方向に回転しようとすると、上側係合部の先端部が球搬送凹部の反対側の縁部に係合してスプロケットの他方向への回転を制限する。
【0010】
同様に、下側係合部を、ストッパの回転中心側から外周側に向かって延びる突部で構成し、下側係合部の先端部が球搬送凹部の縁部に係合してスプロケットの一方向への回転を禁止したときに、下側係合部の回転中心側の端部も下側係合部の先端部と同じ球搬送凹部内に位置するようにしている。このため、下側係合部の先端部がスプロケットの一方向への回転を禁止したときに、振動によりスプロケットが他方向に回転しようとすると、下側係合部の回転中心側の端部が球搬送凹部の反対側の縁部に係合してスプロケットの他方向への回転を制限する。この結果、上側係合部がスプロケットの一方向への回転を禁止したときも、下側係合部がスプロケットの一方向への回転を禁止したときも、スプロケットの他方向への回転は制限される。
【0011】
なお、スプロケットが他方向に回転できる周方向の長さは、上側係合部と下側係合部とにおけるスプロケットの周方向の長さで決まる。このため、上側係合部と下側係合部とにおけるスプロケットの周方向の長さや、スプロケットの球供給路に対する設置位置を、適宜設定することにより、複数の遊技球が球供給路を通過したり、スプロケットの球搬送凹部間に形成される突出した歯部と球供給路の壁部との間に遊技球が挟み込まれてスプロケットが回転不能の状態になったりすることを防止できる。
【0012】
また、本発明では、連動手段が、発射杵の進退に連動してストッパを往復回転させることにより、上側係合部と下側係合部とを交互にスプロケットの球搬送凹部の縁部に係合させ、上側係合部と下側係合部との球搬送凹部の縁部に対する係合が切り換わる際に、スプロケットの一方向への回転を許容する。このため、遊技球は、発射杵の1回の進退に対して1個ずつ発射位置に供給される。この場合、発射杵が待機位置にあるときに、上側係合部がスプロケットの上側の球搬送凹部の縁部に係合し、このときに、所定の球搬送凹部内に遊技球が保持される。つぎに、発射杵が発射位置に進み、すでに発射位置に供給されている遊技球を打撃する間に、上側係合部と球搬送凹部の縁部との係合が解除され、下側係合部がスプロケットの下側の球搬送凹部の縁部に係合する。この間にスプロケットが一方向に回転して遊技球を発射位置に供給する。
【0013】
また、発射杵が待機位置に戻るときに、下側係合部と球搬送凹部の縁部との係合が解除され、上側係合部が、再度上側の球搬送凹部の縁部に係合し、このときに、スプロケットが一方向に回転して次の遊技球を球搬送凹部内に導く。このように、遊技球を発射位置に供給する動作が、発射杵が遊技球を打撃する動作と同じタイミングで行われる。なお、駆動部としては、ロータリソレノイドやプランジャ式ソレノイドを用いることができる。また、連動手段としては、カムやリンク等を用いて機械的に連動させる連動機構や、別途、ストッパを往復回転させるソレノイドを設け、このソレノイドの作動を駆動部の作動と電気的に連動させる連動装置等を用いることができる。
【0014】
また、本発明に係る発射用球供給装置の他の構成上の特徴は、上側係合部と下側係合部との少なくとも一方の一部が、球搬送凹部内に位置するようにしたことにある。
【0015】
これによると、上側係合部と球搬送凹部の縁部との係合が解除されて上側係合部がスプロケットの可動領域から出たときには、下側係合部の一部が球搬送凹部内に位置しているため、スプロケットの外周部の回転長さが球搬送凹部の一つ分の長さ以下になる。そして、上側係合部がスプロケットの可動領域から出たのちに、すぐに、下側係合部と球搬送凹部の縁部が係合する。下側係合部の場合も上側係合部と同様になる。このため、上側係合部と球搬送凹部の縁部との係合と、下側係合部と球搬送凹部の縁部との係合とが切り換わるときに、スプロケットが球搬送凹部の一つ分以上回転することを確実に防止できる。
【0016】
また、本発明に係る発射用球供給装置のさらに他の構成上の特徴は、球搬送凹部の縁部の外周側部分を、ストッパが回転するときの上側係合部の回転中心側の端部の回転軌道(b)の曲率と同じ曲率の凸曲線部(34)で構成し、かつ上側係合部の回転中心側の端部が球搬送凹部の縁部の外周側部分に係合したときに、凸曲線部が回転軌道に位置するようにしたことにある。
【0017】
これによると、上側係合部と球搬送凹部の縁部とが係合する際に、上側係合部の回転中心側の端部が凸曲線部の奥側に到達し難くなって、上側係合部と球搬送凹部の縁部とが係合し難くなったり、上側係合部と球搬送凹部の縁部との係合が解除される際に、スプロケットが遊技球を通過させる方向に回転して、上側係合部と球搬送凹部の縁部との係合が解除され難くなったりすることがなくなる。すなわち、本発明によると、上側係合部の回転中心側の端部が球搬送凹部の縁部の外周側部分に係合したときに、凸曲線部が回転軌道に位置するため、上側係合部と球搬送凹部の縁部とが係合するときや、その係合が解除されるときに、スプロケットが静止状態を保つことができ、係合やその解除の動作がスムーズになる。
【0018】
また、本発明に係る発射用球供給装置のさらに他の構成上の特徴は、ストッパの回転中心と上側係合部の回転中心側の端部との間の長さと、ストッパの回転中心と下側係合部の先端部との間の長さとを同じにしたことにある。
【0019】
これによると、上側係合部が球搬送凹部の縁部に係合した状態から下側係合部が球搬送凹部の縁部に係合する状態に移行するときのそれぞれの係合部分と、下側係合部が球搬送凹部の縁部に係合した状態から上側係合部が球搬送凹部の縁部に係合する状態に移行するときのそれぞれの係合部分とが同一円弧上に位置するようになる。このため、スプロケットとストッパとが互いに受ける力のバランスが良くなる。
【0020】
また、本発明に係る発射用球供給装置のさらに他の構成上の特徴は、連動手段を、下側係合部がスプロケットに接近するようにストッパを回転させる付勢手段(51)と、発射杵とストッパとの間に設けられ、ストッパを、付勢手段の付勢力に抗して発射杵の発射位置からの後退に追従させて、上側係合部がスプロケットに接近するように回転させる押圧手段(52)とで構成したことにある。これによると、連動手段を簡単な構成にすることができる。
【0021】
また、本発明に係る発射用球供給装置のさらに他の構成上の特徴は、ストッパの本体が、ストッパの回転中心側から外周側に向かって延びる一対の細長い連結片(42a,42b)を備えており、一方の連結片に上側係合部が設けられ、他方の連結片に下側係合部が設けられていることにある。これによると、ストッパの本体を、無駄な部分をなくして必要最小限の部分だけで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る発射用球供給装置を示した正面図である。
【図2】発射用球供給装置の内部を示した正面図である。
【図3】発射用球供給装置が備えるスプロケットを示した正面図である。
【図4】発射用球供給装置が備えるストッパを示した斜視図である。
【図5】ストッパを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
【図6】コイルばねを示しており、(a)は正面図、(b)は平面図である、
【図7】発射用球供給装置が備える発射杵取付レバーを示した斜視図である。
【図8】発射杵取付レバーを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図である。
【図9】ストッパの上側係合部とスプロケットの歯部との係合が解除される直前の状態を示した説明図である。
【図10】ストッパの下側係合部とスプロケットの歯部とが係合した状態を示した説明図である。
【図11】ストッパの下側係合部とスプロケットの歯部との係合が解除される直前の状態を示した説明図である。
【図12】上側係合部の頂部が歯部に係合してスプロケットの反時計周り方向への回転を停止させたときの状態を示した説明図である。
【図13】上側係合部の頂部と歯部との係合が解除される直前の状態を示した説明図である。
【図14】下側係合部の先端部が歯部に係合してスプロケットの反時計周り方向への回転を停止させたときの状態を示した説明図である。
【図15】下側係合部の先端部と歯部との係合が解除される直前の状態を示した説明図である。
【図16】スプロケットの凸曲線部に対する上側係合部の係合状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1および図2は同実施形態に係る発射用球供給装置Aを示している。この発射用球供給装置Aは、設置用ケース10を介してパチンコ機本体(図示せず)の下部に組み込まれており、パチンコ機本体の表面に設けられた供給皿内の遊技球B(図2参照)を、球供給路11を介して発射レール12の下端に設けられた発射位置12aに供給するものである。発射用球供給装置Aは、設置用ケース10に、打球装置20と、スプロケット30と、ストッパ40と、打球装置20が備える発射杵21とストッパ40とを連動させる連動機構50とを設置して構成されている。
【0024】
設置用ケース10は、表面を前方に向けて配置された四角板状の基板10aと、基板10aの周縁部(基板10aの右側においては、縁部よりも少し中央寄りの部分)から前方に突出する枠状の周壁部10b(一部しか図示せず)と、周壁部10bの前端周縁部に接続されて周壁部10bの内部を覆う前面部10cとを備えている。本明細書では、左右および前後の方向は、図1および図2に基づいて記載する。また、基板10aと前面部10cとの間の左側部分には、図2に示したように、左上方から右下方に傾斜して延びる下ガイド壁13と上ガイド壁14とが上下に間隔を保って平行に形成されている。そして、下ガイド壁13の下端に発射レール12が設置されている。発射レール12の断面形状は、略M形に形成されており、上面に長手方向に沿った断面V形の浅い溝(図示せず)が形成されている。この発射レール12は、ねじ13aによって下ガイド壁13に固定されている。
【0025】
上ガイド壁14は、下ガイド壁13と発射レール12との間に遊技球Bを余裕を持って通すことのできる間隔を保って形成されており、その下端に下方に向かって突出する球停止部14aが設けられている。すなわち、下ガイド壁13および発射レール12と、上ガイド壁14との間は、遊技球Bが遊技盤に向けて発射される球発射路を構成し、その下端の上下方向の幅は、球停止部14aが下方に突出することによって狭められ、遊技球Bが通過できない長さになっている。本実施形態では、この発射レール12の下端と球停止部14aの下端との間の近傍(下端よりも僅かに上方)の遊技球Bが通過できない部分を発射位置12aとしている。
【0026】
球供給路11は、パチンコ機本体の供給皿から設置用ケース10の前面部10cの前面側にかけて形成されており、その下端は発射位置12aに連通している。球供給路11は、前面部10cの一部と、前面部10cから互いの間隔を保って前方に突出するガイド側壁11a,11bと、ガイド側壁11a,11bの前部を覆う被覆壁15の一部とで構成されている。球供給路11は、設置用ケース10の前部右上方から左下方に緩やかに傾斜して設置用ケース10の前部左上部に延びたのちにUターンするように屈曲し、さらに右側に突出した半円状の円弧を描くように延びたのちに下方に延びている。また、ガイド側壁11aにおける球供給路11が半円状の円弧を描くように延びる部分には、遊技球Bの直径の2倍程度の長さの開口部11cが形成され、ガイド側壁11bにおける開口部11cに対向する部分には、球供給路11の内部側に向かって突出する突部11dが形成されている。
【0027】
前面部10cにおけるガイド側壁11a,11bの下端部分が位置する部分は切り欠かれて、球供給路11を後方の発射位置12aに連通させている。また、ガイド側壁11a,11bの下端部分は、側方から見た状態で扇形に形成されており、下方に行くほど徐々に前面部10cに接近している。このため、被覆壁15におけるガイド側壁11a,11bの下端部分に位置する部分は、下方に行くほど徐々に前面部10cに接近する曲面部15aで構成されている。また、被覆壁15は、ガイド側壁11aから、さらに、前面部10cの左右方向の中央部分で、かつ上部に対向する部分まで前面部10cに平行して延びている。そして、被覆壁15の裏面における前面部10cの中央よりも僅かに右側でかつ上側の部分に対向する部分に、後方に突出する筺体側停止片15bが形成されている。
【0028】
打球装置20は、発射杵21と、発射杵21を回転駆動させるロータリソレノイド(図示せず)と、発射杵21の打撃側の位置を規制する停止部22と、発射杵21の待機側の位置を規制する停止部23とを備えており、ロータリソレノイドの内部には、発射杵21を停止部23側に吸引する磁石が設けられている。発射杵21は、ロータリソレノイドに備わっている電磁石に通電されてないときには、磁石と電磁石との吸引力により待機側に付勢され、電磁石に通電すると、磁石と電磁石とが反発して打撃側に移動する。この磁石を備えたロータリソレノイドで、本発明に係る駆動部が構成される。発射杵21は、右側縁部が凸曲部になるように湾曲して延びる板状の金属本体21aと、金属本体21aの凸側の右側縁部を被覆する被膜層21bとからなるレバーで構成されている。そして、発射杵21の基端部(図2の上部)に軸孔が形成されており、この軸孔に、ロータリソレノイドに連結された回動軸の前端部が固定されている。
【0029】
ロータリソレノイドは、基板10aの裏面に設置されている。そして、ロータリソレノイドに連結された回転軸が基板10aを貫通して基板10aの表面側に延びその前端部に、発射杵21の基端部が軸孔を介して連結されている。ロータリソレノイドへの通電により回転軸が回転し、これによって、発射杵21が、図2の時計周り方向に回転する。このとき、発射杵21の先端部21cは、発射位置12aまで移動し、発射位置12aに供給される遊技球Bを打撃する。その後、ロータリソレノイドへの通電が停止すると、発射杵21は、磁石の吸引力により待機位置に戻る。
【0030】
スプロケット30は、円形の板状体の外周縁に、5つの同形の球搬送凹部31を一定間隔で形成することにより、図3に示した形状に形成されている。そして、各球搬送凹部31間に位置する突起で、一定間隔に配置された5つの同形の歯部32が構成される。各球搬送凹部31は、縁部が円弧状に形成された凹部で構成されており、ここでは、スプロケット30の中心と歯部32の先端部との間の長さを半径として円を描いたときの外周縁a(図12ないし図15参照)と球搬送凹部31の縁部との間を球搬送凹部31とする。また、図3に示したスプロケット30が反時計周り方向(本発明に係る一方向)に回転するときの各歯部32における、回転方向の前方側の縁部には、小さな円弧状の切欠き部33と、切欠き部33の外周側に位置する緩やかな凸曲線部34とが形成されている。
【0031】
また、図3に示したスプロケット30が反時計周り方向に回転するときの各歯部32における、回転方向の後方側の縁部の外周側には、凸曲線部34よりも短く、真直ぐな傾斜線部35が形成されている。凸曲線部34と傾斜線部35とで形成される角部は先端が尖った角部に形成されている。また、スプロケット30の中央には軸穴36が形成され、この軸穴36に支軸37の後端部が挿通している。支軸37の前端部は、被覆壁15に固定されており、スプロケット30は、支軸37の後端部に設けられたフランジ部によって支軸37から抜け止めされた状態で、前面部10cと被覆壁15との双方から間隔を保って回転可能に支持されている。
【0032】
また、スプロケット30は、左側の一部が球供給路11内に位置するようにして開口部11cに配置されている。このスプロケット30と、ガイド側壁11bの突部11dとの間隔は、球搬送凹部31内に遊技球Bを位置させた状態でスプロケット30を反時計周り方向に回転させたときに、遊技球Bが通過でき、スプロケット30が停止状態にあるときには、遊技球Bが通過できない長さに設定されている。また、スプロケット30は、球供給路11内を上流から流下してくる遊技球Bが、左側に位置する球搬送凹部31内に入ったときに、遊技球Bの重さによって反時計周り方向に回転する。
【0033】
ストッパ40は、図4および図5に示したように、環状の回転本体41と、回転本体41の前部外周から異なる方向に向かってそれぞれ延びる連結片42a,42b,42cと、連結片42aの先端後面に設けられた上側係合部43と、連結片42bの先端後面に設けられた下側係合部44と、連結片42cの後面に設けられた係止片45と、回転本体41の前面に設けられたストッパ側停止片46とで構成されている。回転本体41および連結片42a,42b,42cで本発明に係る本体が構成される。回転本体41は、環状に形成された基部41aと、基部41aの前部に設けられ基部41aよりも外径が大きく軸方向の長さが短くなった中央環状部41bとを備えた2段状の環状体で構成されている。
【0034】
また、中央環状部41bの中心に形成された穴41cの直径は、基部41aの外径よりも少し小さい程度になっており、その穴41c内に、基部41aの中央から前方に延びる筒状の支持部47が、穴41cの内周面と間隔を保って配置されている。この支持部47の後端は、基部41aの後面から僅かに後方に突出しており、支持部47の中央には前後に貫通する支持穴47aが形成されている。そして、基部41aにおける穴41cの内周面と支持部47の外周面との間の部分には、基部41aの裏面に貫通する係止穴48が形成されている。また、中央環状部41bの前面における右上部分(図5(b)の状態での右上)から前方に向かって、ストッパ側停止片46が突出している。
【0035】
連結片42aは、中央環状部41bの外周における左上部分(図5(b)の状態での左上)から左斜め上方に向かって真直ぐに延びる細長い板状に形成されており、その先端形状は前方から見た状態で半円状に形成されている。そして、連結片42aの先端後面に、後方に突出する上側係合部43が形成されている。上側係合部43は、連結片42aの長手方向に沿った長さの方が、連結片42aの幅方向に沿った長さよりも長くなっており、先端部43aの縁部は、連結片42aの先端部に沿った半円状に形成されている。上側係合部43の回転本体41側部分の縁部は、後方から見た状態で、上部が外部側に突出する円弧状に形成された凸曲部43bで構成され、下部が凸曲部43bの下端部から上側係合部43の先端側下部に向かって真直ぐ延びる直線部43cで構成されている。凸曲部43bと直線部43cとの境界に位置する頂部43dは、連結片42aの幅方向の中央に位置している。
【0036】
連結片42bは、中央環状部41bの外周における左下部分から左斜め下方に向かって延びる細長い板状に形成されており、その基端部は、連結片42aの幅と略同じ幅に形成され、先端側部分は前方から見た状態で先細り状に形成されている。連結片42bの先端側部分の先細り状は、連結片42bの左側縁部が先端側に行くほどを右側縁部に近づくように、左側縁部を右側縁部に対して傾斜させることにより形成されている。そして、連結片42bの後面に、後方に突出する下側係合部44が形成されている。
【0037】
下側係合部44は、連結片42bの基端側部分を除いた略全体にかけて形成されている。下側係合部44の先端部44aは、右側の円弧状部分と左側の直線部分とが交差する頂部で構成されている。また、下側係合部44の回転本体41側部分は、後方から見た状態で、回転本体41側に突出する半円状の突部44bで構成されている。下側係合部44の先端部44aと回転本体41の中心部との間の長さは、上側係合部43の頂部43dと回転本体41の中心部との間の長さと同じに設定されている。
【0038】
連結片42cは、中央環状部41bの外周における下部分から下方における僅かに右寄りの方向に向かって延びる幅の大きな板状に形成されており、その先端形状は前方から見た状態で半円状に形成されている。連結片42cは、幅が連結片42aの幅の2倍程度に形成され、長さが連結片42bの長手方向の長さよりも少し短くなっている。そして、連結片42cの裏面に、後方に突出する矩形の係止片45が形成されている。このように構成されたストッパ40の支持穴47aには支軸49が挿通しており、ストッパ40は、支軸49の後端部に設けられたフランジ部によって支軸49から抜け止めされた状態で、前面部10cと被覆壁15との双方から間隔を保って回転可能に支持されている。
【0039】
ストッパ40は、中央環状部41bおよび連結片42a,42b,42cをスプロケット30よりも前方に位置させて、スプロケット30の近傍に設置されている。そして、上側係合部43と下側係合部44との前後方向の位置が、スプロケット30と同じ位置になるようにするとともに、上側係合部43と下側係合部44とがスプロケット30の外周側に位置するようにして設置されている。また、ストッパ40は、上側係合部43と下側係合部44とでスプロケット30を挟んだ状態で往復回転でき、上側係合部43と下側係合部44とのどちらか一方の一部がスプロケット30の可動範囲の外周縁a内に位置するように設置される。
【0040】
このため、上側係合部43と下側係合部44との一方が、スプロケット30の可動範囲の外周縁aよりも外側に位置しているときに、スプロケット30は、歯部32を上側係合部43や下側係合部44の位置を通過させて回転することができる。また、上側係合部43の頂部43dがスプロケット30の歯部32に係合しているとき(図2参照)には、上側係合部43の先端部43aは、球搬送凹部31内、すなわち、スプロケット30の可動範囲の外周縁aの内側に位置する。一方、下側係合部44の先端部44aがスプロケット30の歯部32に係合しているとき(図10参照)には、下側係合部44の突部44bの中央部は、球搬送凹部31内に位置する。
【0041】
また、歯部32の凸曲線部34の曲率は、ストッパ40が回転するときの上側係合部43の頂部43dの回転軌道b(図16参照)の曲率と同じに設定され、上側係合部43の頂部43dが歯部32の凸曲線部34に係合したときに、凸曲線部34が回転軌道bに位置する。また、ストッパ40は、図6に示したコイルばね51によって時計周り方向に付勢されている。コイルばね51は螺旋状のばね部51aと、ばね部51aの両端に位置し軸方向に真直ぐに延びる係止部51b,51cとで構成されており、係止部51b,51cの一方が、係止穴48内に挿入されている。そして、ストッパ40を時計周り方向に付勢するようにばね部51aを捩った状態で係止部51b,51cの他方が、被覆壁15の裏面に固定されている。
【0042】
また、ストッパ40は、図7および図8に示した発射杵取付レバー52を介して、発射杵21の反時計周り方向への回転に連動して反時計周り方向に回転する。この発射杵取付レバー52と、コイルばね51と、ストッパ40の係止片45とで連動機構50が構成される。発射杵取付レバー52は、発射杵21に取り付けられており、固定部53と、押圧片54とで構成されている。固定部53は、発射杵21の金属本体21aに取り付けられる部分で、平面部55と、ずれ防止片56と、フック部57とで構成されている。この固定部53は、平面部55を金属本体21aの基端側左部分の前面に位置させ、ずれ防止片56を金属本体21aの基端側部分の左下縁部に当てた状態で、フック部57と平面部55との間に形成された凹部57aの位置を金属本体21aの軸孔に合わせている。
【0043】
そして、軸孔を挿通する回転軸の前端にねじ(図示せず)を螺合させることにより、固定部53は、金属本体21aに固定されている。固定部53を金属本体21aに固定することにより、押圧片54は、金属本体21aから前方に向かって突出し、ストッパ40の係止片45に係合可能になる。なお、ストッパ40を時計周り方向に付勢するコイルばね51の弾性による復帰力は、発射杵21を待機位置に戻そうとする磁石の吸引力よりも小さく設定されている。このため、発射杵21が待機位置(図2の状態)に位置しているときには、ストッパ40の係止片45が、押圧片54によって反時計周り方向に付勢される。この場合、上側係合部43がスプロケット30の歯部32に係合する。
【0044】
また、発射杵21が遊技球Bを打撃するために、時計周り方向に回転するときには、ストッパ40は、コイルばね51の復帰力によって発射杵21とともに時計周り方向に回転する。そして、ストッパ40が所定角度回転したときに、ストッパ側停止片46が被覆壁15に固定された筺体側停止片15bに当たり、ストッパ40の回転は停止する。このとき、下側係合部44がスプロケット30の歯部32に係合する。すなわち、ストッパ40は、係止片45が、押圧片54によって反時計周り方向に付勢されたときの位置と、ストッパ側停止片46が筺体側停止片15bに当たったときの位置との間で回転し、この回転によって、上側係合部43と下側係合部44とが交互にスプロケット30の歯部32に係合する。
【0045】
そして、スプロケット30の球搬送凹部31内に遊技球Bを入れた状態で、ストッパ40を、磁石の吸引力やコイルばね51の復帰力に応じて回転させると、上側係合部43がスプロケット30の歯部32に係合した状態から、つぎに、上側係合部43がスプロケット30の歯部32に係合するまでの間に、スプロケット30は、球搬送凹部31の1個分だけ反時計周り方向に回転する。その際に、遊技球Bは、スプロケット30を通過して、発射位置12aに向かって球供給路11内を流下していく。
【0046】
このように構成された発射用球供給装置Aが備わったパチンコ機を使用する場合には、まず、球受皿に所定量の遊技球Bを入れる。これによって、先に球受皿に入った遊技球Bから順に、球供給路11を流下していく。そして、先頭の遊技球Bは、スプロケット30における球供給路11内に突出した突部11dに対向した球供給路11内に入る。この場合、図2に示したように、ストッパ40の上側係合部43はスプロケット30の歯部32に係合した状態になる。
【0047】
つぎに、操作部(図示せず)を回転操作することによって、ロータリソレノイドを作動させる。これによって、発射杵21は、時計周り方向に回転して、図2の状態から図9の状態を経て図10の状態になる。すなわち、図9は、上側係合部43の頂部43dが歯部32の先端部から離れる直前の状態を示しており、図10は、下側係合部44の先端部44aが歯部32の切欠き部33に係合した状態を示している。この間に、スプロケット30は、遊技球Bの重さによって、球搬送凹部31の1個分反時計周り方向に回転し、遊技球Bは、球搬送凹部31内から球供給路11を流下して発射位置12aに向かう。
【0048】
なお、図10に示した状態のときに、ストッパ40の時計周り方向の回転は停止するが、発射杵21は、さらに時計周り方向に回転して、発射杵21の先端部21cは発射位置12aに到達する。そして、ロータリソレノイドの作動が停止して、発射杵21は、基端側部分が停止部22に当たったところで停止し、その後、磁石の吸引力により反時計周り方向に回転し始める。この場合、最初の遊技球Bは、まだ、発射位置12aに達していないため、発射杵21は空振りの状態になる。その間に、最初の遊技球Bは、発射位置12aに到達し、つぎの遊技球Bが、図10および図11に示したようにして、球搬送凹部31内に入っていく。
【0049】
図11は、下側係合部44の先端部44aが歯部32の先端部から離れる直前の状態を示しており、このとき、発射杵21は、待機位置に戻ろうとしている。この後、ストッパ40は、発射杵21によって押圧されコイルばね51の復帰力に抗して反時計周り方向に回転する。そして、発射杵21が停止部23に当たって停止したときに、ストッパ40も停止して、図2の状態になる。図2の状態から、再度、発射杵21が、時計周り方向に回転して、発射杵21の先端部21cが発射位置12aに到達すると、発射位置12aの最初の遊技球Bは先端部21cによって打撃される。
【0050】
打撃された遊技球Bは、球発射路を通過してパチンコ機本体の表面に設けられた遊技盤に入っていく。その間に、つぎの遊技球Bが、発射位置12aに到達し、さらにつぎの遊技球Bが球搬送凹部31内に入っていく。このような動作が繰り返されることにより、遊技球Bが1個ずつ供給皿から球供給路11に送られ、球供給路11に配置されたスプロケット30を通過して発射位置12aに供給される。そして、発射位置12aに到達した遊技球Bは、発射杵21によって打撃される。
【0051】
また、図12ないし図15に、遊技球Bが、球供給路11に配置されたスプロケット30を通過する際の、スプロケット30とストッパ40との係合状態を示している。すなわち、図12は、上側係合部43の頂部43dが歯部32の凸曲線部34に係合してスプロケット30の反時計周り方向への回転を禁止させたときの初期状態を示しており、このときに、上側係合部43の先端部43aが球搬送凹部31内に位置する。このため、スプロケット30が時計周り方向に回転しようとしても、上側係合部43の先端部43aが歯部32に係合してスプロケット30の時計周り方向への回転を制限する。この場合に、スプロケット30が時計周り方向に回転できる周方向の最大の長さは、球搬送凹部31の周方向の長さの1/2程度で、遊技球Bの直径よりも短い。
【0052】
このため、複数の遊技球Bが球供給路11を通過したり、スプロケット30の歯部32と球供給路11の突部11dとの間に、球搬送凹部31内の遊技球B以外の遊技球Bが挟み込まれてスプロケット30が回転不能の状態になったりすることが防止される。また、図13は、上側係合部43の頂部43dと歯部32との係合が解除される直前の状態を示しており、このときに、下側係合部44の先端部44aがスプロケット30の可動領域の近傍に位置するとともに、下側係合部44の一部がスプロケット30の可動領域内に位置している。このため、上側係合部43と歯部32との係合が解除されて上側係合部43がスプロケット30の可動領域から出たのちに、すぐに、下側係合部44の先端部44aも歯部32に係合可能な可動領域内に入る。これによって、スプロケット30が球搬送凹部31の一つ分以上回転することが確実に防止される。
【0053】
図14は、下側係合部44の先端部44aが歯部32の切欠き部33に係合してスプロケット30の反時計周り方向への回転を停止させたときの状態を示しており、このときに、下側係合部44の突部44bが球搬送凹部31内に位置する。このため、スプロケット30が時計周り方向に回転しようとしても、下側係合部44の突部44bが歯部32に係合してスプロケット30の時計周り方向への回転を制限する。この場合に、スプロケット30が時計周り方向に回転できる周方向の最大の長さは、球搬送凹部31の周方向の長さの1/2よりも短く、遊技球Bの直径よりも短い。このため、この場合も、複数の遊技球Bが球供給路11を通過したり、スプロケット30の歯部32と球供給路11の突部11dとの間に、球搬送凹部31内の遊技球B以外の遊技球Bが挟み込まれてスプロケット30が回転不能の状態になったりすることが防止される。
【0054】
また、図15は、下側係合部44の先端部44aと歯部32との係合が解除される直前の状態を示しており、このときに、上側係合部43の頂部43dがスプロケット30の可動領域の近傍に位置するとともに、上側係合部43の一部がスプロケット30の可動領域内に位置している。このため、下側係合部44と歯部32との係合が解除されて下側係合部44がスプロケット30の可動領域から出たのちに、すぐに、上側係合部43の頂部43dも歯部32に係合可能な可動領域内に入る。これによって、スプロケット30が球搬送凹部31の一つ分以上回転することが確実に防止される。
【0055】
また、図16は、スプロケット30の凸曲線部34と上側係合部43の頂部43dとの係合状態を示している。本実施形態では、上側係合部43の頂部43dが歯部32に係合しているときに、凸曲線部34が頂部43dと先端部44aとの回転軌道bに位置しているため、上側係合部43と歯部32とが係合するときや、その係合が解除されるときの動作がスムーズになる。この凸曲線部34を、例えば、破線cで示したように、先端側が回転軌道bよりも外側に位置するようにすると、上側係合部43の頂部43dと歯部32との係合が解除される際に、上側係合部43がスプロケット30を時計周り方向に押し戻すようになり、頂部43dが歯部32から離れにくくなる。
【0056】
また、凸曲線部34を、一点鎖線dで示したように、先端側が回転軌道bよりも内側に位置するようにすると、上側係合部43の頂部43dが凸曲線部34の奥側に到達し難くなって、発射杵21が、待機位置に戻ることが妨げられたり、上側係合部43の頂部43dと歯部32との係合が解除され易くなって、振動により、係合が解除されたりすることもある。したがって、上側係合部43の頂部43dが歯部32に係合しているときに、凸曲線部34が頂部43dと先端部44aとの回転軌道bに位置するようにすることにより、スプロケット30の歯部32とストッパ40の上側係合部43との係合状態を良好なものにすることができる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る発射用球供給装置Aでは、上側係合部43の頂部43dがスプロケット30の一方向への回転を禁止したときに、スプロケット30が他方向に回転することも制限できる。また、下側係合部44の先端部44aがスプロケット30の一方向への回転を禁止したときに、スプロケット30が他方向に回転することを制限できる。このため、複数の遊技球Bが球供給路11を通過したり、スプロケット30の歯部32と球供給路11の突部11dとの間に遊技球Bが挟み込まれてスプロケット30が回転不能の状態になったりすることを防止できる。
【0058】
また、本実施形態では、上側係合部43と下側係合部44との少なくとも一方の一部が、球搬送凹部31内に位置するようにしたため、上側係合部43と歯部32との係合と、下側係合部44と歯部32との係合とが切り換わるときに、スプロケット30が球搬送凹部31の一つ分以上回転することを確実に防止できる。また、ストッパ40の回転中心と上側係合部43の頂部43dとの間の長さと、ストッパ40の回転中心と下側係合部44の先端部44aとの間の長さとを同じにしたため、上側係合部43と歯部32が係合した状態から下側係合部44が歯部32に係合した状態への移行や、下側係合部44と歯部32が係合した状態から上側係合部43が歯部32に係合した状態への移行がスムーズになる。
【0059】
また、本発明に係る発射用球供給装置は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更することができる。例えば、前述した実施形態では、ストッパ40を時計周り方向に付勢するコイルばね51をストッパ40の係止穴48と被覆壁15の裏面との間に設置しているが、このコイルばね51を回転本体41の上部と周壁部10bの右側上部との間に掛け渡してストッパ40を時計周り方向に付勢してもよい。また、駆動部として、磁石が備わったロータリソレノイドを用いているが、この磁石に代えて発射杵21を停止部23側に付勢するばねを用いたり、発射杵21に重りを設ける等してその重さで発射杵21を停止部23側に付勢したりしてもよい。
【0060】
さらに、前述した実施形態では、駆動部として、ロータリソレノイドを用いているが、これに代えて、プランジャ式ソレノイドを用いることもできる。この場合、発射杵として軸方向に進退する棒状のものを用いる。また、連動手段として、前述した連動機構50に代えて、別途ストッパを往復回転させるソレノイドを設けて、このソレノイドと駆動部とを電気的に連動させる連動装置を用いることもできる。これによると、発射杵の進退とストッパの往復回転のタイミングとを簡単に変えることができる。また、本発明に係る発射用球供給装置は、発射用球供給装置のそれ以外の部分の構成についても本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
11…球供給路、12…発射レール、12a…発射位置、21…発射杵、30…スプロケット、31…球搬送凹部、32…歯部、34…凸曲線部、40…ストッパ、41…回転本体、42a,42b…連結片、43…上側係合部、43a…先端部、43d…頂部、44…下側係合部、44a…先端部、44b…突部、45…係止片、50…連動機構、52…発射杵取付レバー、A…発射用球供給装置、B…遊技球、a…外周縁、b…回転軌道。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射レールの下端に設けられた発射位置に遊技球を供給する球供給路と、
前記発射位置に対して進退可能に設けられた発射杵と、
前記発射杵を前記発射位置に対して進退させることにより、前記発射位置に供給される遊技球を前記発射杵に打撃させる駆動部と、
可動領域の外周縁から内部に窪んだ複数の球搬送凹部が外周部に形成され、前記外周部を前記球供給路に臨ませて配置された回転体からなり、球搬送凹部に入る遊技球の重さによって一方向に回転することにより、遊技球を前記球供給路の上流側から前記発射位置側に通過させるスプロケットと、
往復回転可能に設置された本体と、前記本体の上部と下部からそれぞれ前記スプロケット側に突出する上側係合部と下側係合部とを備え、往復回転することによって、前記上側係合部と前記下側係合部とを前記スプロケットに対して交互に進退させて球搬送凹部の縁部に係合させ、前記上側係合部と前記下側係合部との球搬送凹部の縁部に対する係合が切り換わる際に、前記スプロケットの回転を許容するストッパと、
前記発射杵の進退に連動して前記ストッパを往復回転させる連動手段と
を備えた発射用球供給装置において、
前記上側係合部と前記下側係合部とを、前記ストッパの回転中心側から外周側に向かって延びる突部で構成し、前記上側係合部の回転中心側の端部が球搬送凹部の縁部に係合して前記スプロケットの一方向への回転を禁止したときに前記上側係合部の先端部が前記上側係合部の回転中心側の端部と同じ球搬送凹部内に位置するようにするとともに、前記下側係合部の先端部が球搬送凹部の縁部に係合して前記スプロケットの一方向への回転を禁止したときに前記下側係合部の回転中心側の端部が前記下側係合部の先端部と同じ球搬送凹部内に位置するようにしたことを特徴とする発射用球供給装置。
【請求項2】
前記上側係合部と前記下側係合部との少なくとも一方の一部が、前記球搬送凹部内に位置するようにした請求項1に記載の発射用球供給装置。
【請求項3】
前記球搬送凹部の縁部の外周側部分を、前記ストッパが回転するときの前記上側係合部の回転中心側の端部の回転軌道の曲率と同じ曲率の凸曲線部で構成し、かつ前記上側係合部の回転中心側の端部が前記球搬送凹部の縁部の外周側部分に係合したときに、前記凸曲線部が前記回転軌道に位置するようにした請求項1または2に記載の発射用球供給装置。
【請求項4】
前記ストッパの回転中心と前記上側係合部の回転中心側の端部との間の長さと、前記ストッパの回転中心と前記下側係合部の先端部との間の長さとを同じにした請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の発射用球供給装置。
【請求項5】
前記連動手段を、
前記下側係合部が前記スプロケットに接近するように前記ストッパを回転させる付勢手段と、
前記発射杵と前記ストッパとの間に設けられ、前記ストッパを、前記付勢手段の付勢力に抗して前記発射杵の発射位置からの後退に追従させて、前記上側係合部が前記スプロケットに接近するように回転させる押圧手段と
で構成した請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の発射用球供給装置。
【請求項6】
前記ストッパの本体が、前記ストッパの回転中心側から外周側に向かって延びる一対の細長い連結片を備えており、一方の連結片に前記上側係合部が設けられ、他方の連結片に前記下側係合部が設けられている請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載の発射用球供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−224179(P2011−224179A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97510(P2010−97510)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】