説明

発毛調節光照射装置

【課題】光源部からの光が漏れ出ることを確実に防止でき、尚且つ光源部から発する光により行われる体毛の成長の調節を確実に行える発毛調節光照射装置を提供する。
【解決手段】体毛の成長を調節するための光を発する光源部2を備える。光源部2から発した光を囲む位置に配置される遮光筒3を備える。遮光筒3の端面を被施療部となる皮膚22に接触させる皮膚接触面9とする。光源部2を遮光筒3に設ける。遮光筒3を機器本体1に対して光源部2の投光軸方向にフロート自在に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚に対して体毛の成長を調節するための光を照射する発毛調節光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源部から発した光を被施療部となる皮膚に当て、体毛の成長を抑制又は促進させ、脱毛又は育毛を行う発毛調節光照射装置が知られている。この発毛調節光照射装置においては、毛の生えた皮膚に対して垂直方向に光を照射することが要求され、例えば特許文献1に開示される発毛調節光照射装置においては、機器先端の光照射口を囲む位置に複数の接触センサを配置し、各接触センサが皮膚との接触を検知した時点で垂直姿勢にあると判断して光照射を開始するようにしている。また、このものは接触センサが皮膚に接触した状態でのみ光照射がなされるので、機器に内蔵した光源部から皮膚までの距離を一定に保つことができ、皮膚に発毛調節にとって最適な光量の光を安定して当てることができる。
【0003】
しかし、上記特許文献1の発毛調節光照射装置は外部への光漏れに対する安全対策としては不十分であり、閃光が外部に漏れて目に入る恐れがある。
【特許文献1】特開2005−278724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、光源部からの光が漏れ出ることを確実に防止でき、尚且つ光源部から発する光により行われる体毛の成長の調節を確実に行える発毛調節光照射装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る発毛調節光照射装置は、体毛の成長を調節するための光を発する光源部2と、光源部2から発した光を囲む位置に配置される遮光筒3を備え、遮光筒3の端面を被施療部となる皮膚22に接触させる皮膚接触面9とし、前記光源部2を遮光筒3に設け、該遮光筒3を機器本体1に対して光源部2の投光軸方向にフロート自在に設けて成ることを特徴とする。このように遮光筒3を機器本体1に対して光源部2の投光軸方向にフロート自在に設けることで、遮光筒3の皮膚接触面9を光源部2からの光が照射される照射領域の回りに押圧でき、これにより遮光筒3により光源部2からの光が漏れ出ることを確実に防止できる。また、このように光源部2の投光軸方向にフロート自在となった遮光筒3に光源部2を設けることで、遮光筒3の沈み込み量が変わっても、光源部2から遮光筒3の皮膚接触面9に接触させた皮膚22までの距離を一定に保つことができ、皮膚22に対して最適な光量の光を安定して当てることができる。
【0006】
また、前記遮光筒3の皮膚接触面9に接触センサ19と、接触センサ19が皮膚22の接触を検知した場合にのみ光源部2を発光可能とする制御回路7とを備えることが好ましい。この場合、遮光筒3の皮膚接触面9に皮膚22が充分に接触していない状態で光源部2から光が発せられることを防止できる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明では、遮光筒を機器本体に対して光源部の投光軸方向にフロート自在に設けることで、遮光筒の皮膚接触面を光源部からの光が照射される照射領域の回りに押圧でき、これにより遮光筒により光源部からの光が漏れ出ることを確実に防止できる。また、このように光源部の投光軸方向にフロート自在となった遮光筒に光源部を設けることで、遮光筒の沈み込み量が変わっても、光源部から遮光筒の皮膚接触面に接触させた皮膚までの距離を一定に保つことができ、皮膚に対して最適な光量の光を安定して当てることができ、体毛の成長の調節を確実に行える。
【0008】
また請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の効果に加えて、遮光筒の皮膚接触面に皮膚が充分に接触していない状態で光源部から光が発せられることを防止でき、光源部の光が漏れ出すことをより確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下では光源部2から照射される光の照射方向を上方として説明し、即ち光源部2から照射される光の投光軸方向は上下方向となる。
【0010】
図1及び図2に示す本実施形態の一例の発毛調節光照射装置は体毛の成長を抑えて脱毛を行うための光を発する光脱毛装置であって、機器本体1と、体毛の成長を抑えて脱毛を行うための光を発する光源部2と、光源部2から発した光を囲む位置に配置される遮光筒3を備えている。
【0011】
機器本体1は外郭を把持部を構成する縦長のハウジング4で構成してあり、上部が上方に開口する筒状部6となり、下部には制御回路7と電源となる電池8(乾電池)を内装している。
【0012】
遮光筒3は底部11の外周部から周壁を立ち上げた上方に開口する有底筒状の部材であって、該遮光筒3の底部11には光源部2を貫通するように設けている。光源部2は脱毛処理用の光を発するキセノンランプ(フラッシュライト)からなる。光源部2は発光部分が遮光筒3の内側に位置すると共に図1中aに示す投光軸の向きが遮光筒3の軸方向と同一方向である上下方向と平行となり、光源部2からは遮光筒3の先端部の内側領域に向けて脱毛処理用の光が照射される。なお、図1に示す光源部2は電球であるが、光源部2の形状は球状に限定されず管状であっても良い。
【0013】
遮光筒3の先端部は機器本体1の筒状部6よりも上方に突出し、その先端面の全周に亘る部分が皮膚22に接触させる皮膚接触面9となっている。遮光筒3の平面視環状の皮膚接触面9は対向する二箇所を凸部20として上方に突出した湾曲面としてあり、人体のわき部分の皮膚22に沿って密着できるようにしてある。
【0014】
上記光源部2を設けた遮光筒3は機器本体1に対して光源部2の投光軸方向にフロート自在に設けてある。ここで、フロート自在な状態とは、遮光筒3を軸方向(即ち投光軸方向)において機器本体1から離れる方向に付勢しながら一定範囲内で遮光筒3を投光軸方向に移動自在とした状態である。即ち、遮光筒3は筒状部6の内側に上下方向にスライド自在に収納してあり、遮光筒3の底部11と筒状部6の底部12との間にはコイルばねからなるばね部材13を複数配設してあり、これら複数のばね部材13により遮光筒3は上方に付勢されている。また、遮光筒3の外周面の下端部には突起14を形成してあり、遮光筒3に力を加えていない状態では前記複数のばね部材13による付勢力により突起14は筒状部6の内周面の上部に形成した抜止用突部15の下面に押し当てられ、これにより遮光筒3が上方に抜け出ることが防止されている。
【0015】
上記フロート自在の遮光筒3に設けた光源部2は前述の機器本体1に内蔵した制御回路7にリード線16を介して電気接続してある。リード線16は機器本体1の筒状部6の底部12の中央に形成した配線挿通孔23を介して筒状部6内に引き出され、この後、光源部2の遮光筒3の底部11外面に露出した電気接続部17に接続されている。リード線16は図1に示すように遮光筒3を機器本体1から最大限突出した状態においても遮光筒3の光源部2に接続される長さに設定され、つまり光源部2は遮光筒3が移動範囲内にある時には常に制御回路7に電気接続されている。
【0016】
制御回路7は電源から供給される電圧を高電圧として光源部2に印加し、該光源部2の発光のオンオフ等を適宜制御するものであり、光源部2の発光及び発光の停止は機器本体1の外面に設けた操作スイッチ18を操作することで切り替えられる。
【0017】
また、本例の光脱毛装置は、遮光筒3の先端面に皮膚22との接触を検知するための接触センサ19を複数設けている。接触センサ19は皮膚接触面9において2箇所の凸部20間に形成された凹部21の夫々に設けてあり、図示は省略するが、各接触センサ19は制御回路7に電気的に接続されている。そして制御回路7は全ての接触センサ19が皮膚22との接触を検知した場合にのみ、皮膚22が遮光筒3の先端部に密着しているとして光源部2を発光可能な状態とする。
【0018】
上記構成から成る発毛調節光照射装置を使用するには、機器本体1を片手で把持した状態で、人体の皮膚22に対して遮光筒3の皮膚接触面9を当て、皮膚接触面9に囲まれる領域内に皮膚22の処理対象部位を位置させる。この状態で図3に示すように更に機器本体1を皮膚22側に押し込んでゆくと、遮光筒3は上方への付勢力を強めながら下方に沈み込んでゆき、皮膚接触面9が全周に亘って皮膚22に密着する。ここで機器本体1を多少動かしても、フロート自在である遮光筒3は追従して上下動をしながら皮膚接触面9が皮膚22に密着した状態を維持する。
【0019】
そして、全ての接触センサ19が皮膚22の接触を検知した状態で、光源部2の発光が可能な状態となり、ここで操作スイッチ18を使用者が手動操作でオンにしたときに、光源部2は断続的なパルス状の閃光を発し、この光が処理対象部位の皮膚22に照射される。これにより光源部2から発する光エネルギが毛に伝えられて毛が加熱され、毛に栄養が届き難くなって脱毛処理がなされる。また、この時、遮光筒3の皮膚接触面9は全周に亘って皮膚22に圧接した状態となるので、光源部2から発せられた光が外に漏れることを防止できる。
【0020】
以上説明した本例の発毛調節光照射装置は、遮光筒3を機器本体1に対して光源部2の投光軸方向にフロート自在に設けることで、遮光筒3の皮膚接触面9をばね部材13のばね力で光源部2からの光が照射される照射領域の回りに押圧でき、これにより遮光筒3により光源部2からの光が漏れ出ることを確実に防止できる。また、このように光源部2の投光軸方向にフロート自在となった遮光筒3に光源部2を設けることで、遮光筒3の下方への沈み込み量が変わっても、光源部2から遮光筒3の皮膚接触面9に接触させた皮膚22までの距離を一定に保つことができ、皮膚22に対して最適な光量の光を安定して当てることができる。
【0021】
また、遮光筒3の皮膚接触面9に設けた接触センサ19と、接触センサ19が皮膚22の接触を検知した場合にのみ光源部2を発光可能とする制御回路7を備えているので、遮光筒3の皮膚接触面9に皮膚22が充分に接触していない状態で光源部2から光が発せられることを防止でき、光源部2の光が漏れ出すことをより確実に防止できる。
【0022】
なお、発毛調節光照射装置の光源部2はキセノンランプに限定されず、キセノンランプ以外の他のフラッシュライトであっても良いし、或いはレーザダイオード等のレーザ光を照射するものであってもよい。また、本例では接触センサ19を遮光筒3の皮膚接触面9に設けたが、接触センサ19は遮光筒3の先端部の内面に設けても良く、この場合は遮光筒3を皮膚接触面9に当てることで、遮光筒3の先端部の内側に盛り上がった皮膚22により接触センサ19が押圧されて作動することとなり、より一層、光源部2から発せられた光の漏れを防止できる。また、本例の発毛調節光照射装置は、光源部2から皮膚22に光を照射して体毛の成長を抑えて脱毛を行う光脱毛装置であるが、例えば光源部2から体毛の成長を促進させるための光を発して、この光を皮膚22に照射して育毛を行う光育毛装置であっても良く、即ち光源部2は体毛の成長を調節するための光を発するものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の一例の発毛調節光照射装置の断面を概略的に示す説明図である。
【図2】同上の発毛調節光照射装置を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図3】同上の発毛調節光照射装置の使用状態の断面を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 機器本体
2 光源部
3 遮光筒
9 皮膚接触面
22 皮膚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体毛の成長を調節するための光を発する光源部と、光源部から発した光を囲む位置に配置される遮光筒を備え、遮光筒の端面を被施療部となる皮膚に接触させる皮膚接触面とし、前記光源部を遮光筒に設け、該遮光筒を機器本体に対して光源部の投光軸方向にフロート自在に設けて成ることを特徴とする発毛調節光照射装置。
【請求項2】
前記遮光筒の皮膚接触面に接触センサと、接触センサが皮膚の接触を検知した場合にのみ光源部を発光可能とする制御回路とを備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の発毛調節光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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