説明

発泡スチロール減容機

【課題】能率的に減容することのできる発泡スチロール用の減容機を提供する。
【解決手段】内部空間を有する適宜形状の溶解槽を設けるとともに、該溶解槽内に斜方平板部を有する回動体を軸支し、この回動体を所定範囲内にて回動させるための駆動機構を設け、溶解槽適所に排出部を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発泡スチロールを効率よく減容させることのできる減容機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の発泡スチロール減容機が利用されているが、その大半は溶解液を入れた槽内に発泡スチロールを単に投入して溶解させるものであり、本発明にて示すように、回動体を用いた連続投入および溶解を可能とした構成の減容機は見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の発泡スチロール減容機は、前記の構成であるために投入と溶解を交互に繰り返して減容するために、その溶解効率が良いとはいえない。この効率を高めようとすればより大型の溶解槽を必要とし、コスト面で有利とはいえないものであった。
本発明は、以上のような従来からの発泡スチロール減容機に関わる課題を解決するために発明されたもので、溶解槽と回動体を組み合わせた構成とすることにより、減容と投入を同時に行うことを可能とする新規かつ有用なる装置を提供することを目的として開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は、溶解槽内に回動体を設け、この回動体を回動させるための駆動機構を設けてその主要部を構成した。
すなわち、上部開放の溶解槽を設けるとともに、該溶解槽内に斜方平板部を有する回動体を軸支し、この回動体を所定範囲内にて回動させるための駆動機構を設け、溶解槽適所に排出弁を設ける。本発明は以上の構成よりなる発泡スチロール減容機である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、溶解槽内に回動体が所定範囲内にて反復回動すなわち首振り運動をするために、槽内の片方では発泡スチロールを溶解させ、他方からは発泡スチロールを投入することができ、回動体の回動にてこれを同時に行うことが可能なため、発泡スチロールの溶解と投入を連続的に行うことにより、従来品に比べて溶解効率の向上を得ることのできる有用なる装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は基台で、鉄板とチャンネル材を組み合わせ接合して形成される直方体である。2は溶解槽で、同様に鉄板とチャンネル材を組み合わせ接合して形成される上部開放の中空直方体である。3は溶解槽の中央に、その両端を溶解槽の内面に接して立設固着される仕切板、4は溶解槽の中ほどにベアリングを内蔵した適宜支持部材にて架設される軸、5はこの軸の突端に固定される回動板、6は溶解槽に隣接して基台上に固定されるギヤードモーター、7はギヤードモーターの出力軸に取り付けられる回転板、8は回動板5の外周近傍と回転板7の外周近傍にその両端を軸支されるアーム、9は軸4に固定される回動体である。なお、回動板へのアーム軸支個所は、回動体の中心線の延長上よりもやや下方の位置(図8の下図参照)であり、このために回動時の死点状態を避けることができる。また、アームの軸支位置関係から、発泡スチロールの押し込み溶解時(図8の上図と下図)の回動体の回動速度は小さく、回動体の中間回動時(図8の中図)の動きは大とすることができる。
この回動体は図3〜図6に示すように、略扇形の側板10間に折曲部を有する金網11を対向固着し、側板下部間にスリーブ管12を固着して形成される。このスリーブ管内には前記の軸4が挿通され、適宜手段にて軸に固定される。13は溶解槽下部側面の孔に取り付けられる排出部としての排出弁である。なお、ギヤードモーターには電源接続にて電力が供給され、制御盤(図示略)のスイッチ操作にて作動が開始される。
【0007】
本発明の使用に際しては、まず溶解槽内に適量の溶解剤(液状)を貯留させる。
また、排出バルブに管体を接続し、この管先には容器を適宜に位置させておく。
スイッチONにてギヤードモーターは作動を開始し、回転板7が回転を始めると、この回転板7と回動板5間にはアームが軸支されており、回転板の回転中心とアームの軸支間距離に比べて回動板の回動中心とアームの軸支間距離は大きく、従ってこの回転板7の回転にて回動板5は所定範囲角度内での回動運動をすることになる。この回動板は軸4に固定され、この軸には回動体のスリーブ管が固定されている。そのためにこの回動板の回動にて回動体は首振り運動をする。また、回動体には金網が斜方平板部分として位置している。この部分は回動体の回動にて溶解液内外に位置することとなる。
このように回動体には金網を用いたので、金網近傍の溶解液は自由に金網を出入りするために投入された発泡スチロールを安定して押さえることができ、図8のように、投入された発泡スチロールを片方では押しこんで溶解させ、他方では空隙が生じてここに発泡スチロールを投入することができ、これを連続的に行うことができる。なお、溶解槽内には仕切板が位置しており、溶解時の部分と投入時の部分との混合を避けることができる。溶解剤にて溶解されたものは粘性液状に変化し、排出弁を経て外部に排出され、処理される。
【0008】
図7は本発明の他例を示すもので、この例はアームを用いずに軸4とモーター出力軸に外径を違えたスプロケットを各々取り付け、この双方のスプロケット間にチェーンを巻回させたものであり、このモーター駆動と停止および逆転をスイッチ操作による手動で行うものとした例であり、効果上は前例と同様である。
以上、本発明について記したが、本発明は発泡スチロールの投入と溶解を連続的に行うところにその特徴を有し、投入と溶解を交互に行う従来法に比べてより能率良く溶解作業を行うことができる。なお、図示は簡略化して表現したが、設計上は適宜に補強材等が付加される。また、図示は実施の一例であり、溶解槽に蓋を設けたり、排出部は単に配管接続とする、回動板や回転板の代わりに短アームを用いるクランク機構とするなど、近似の他の形状・構造とすることができる。以上のごとく、本発明にて能率良く発泡スチロールを溶解処理することのできる減容機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明の平面図
【図2】 本発明の正面図
【図3】 本発明の回動体の平面図
【図4】 本発明の回動体の正面図
【図5】 本発明の回動体の右側面図
【図6】 A−A拡大断面図
【図7】 本発明の他例説明図(正面視)
【図8】 本発明の機能・作動説明図
【符号の説明】
【0010】
1 基台
2 溶解槽
3 仕切板
4 軸
5 回動板
6 ギヤードモーター
7 回転板
8 アーム
9 回動体
10 側板
11 金網
12 スリーブ管
13 排出弁
14 発泡スチロール
15 スプロケット
16 スプロケット
17 チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する適宜形状の溶解槽を設けるとともに、該溶解槽内に斜方平板部を有する回動体を軸支し、この回動体を所定範囲内にて回動させるための駆動機構を設け、溶解槽適所に排出部を設けたことを特徴とする発泡スチロール減容機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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