説明

発泡ポリマー製の容器を成形、充填及び密封する装置

【課題】簡易な構成かつ安全な操作で上記従来の装置における欠点を解消することが可能な装置を提供すること。
【解決手段】発泡ポリマーウェブ4用の第1の繰出し機1と、発泡ポリマーウェブ4を予熱するための予熱ステーション3と、熱成形ステーション5と、成形された容器を密封するためのフィルム9用の第2の繰出し機7と、密封ステーション10と、切断ステーション11と、発泡ポリマーウェブ4を各ステーション間で搬送するための搬送システム12とを備えて成る。また、予熱ステーション3を、垂直方向に重ねて配置された2つの同形状の引き出しで構成するとともに、これら2つの引き出しのそれぞれ対向する面に加熱手段を設け、駆動シリンダによってこれら2つの引き出しの間隔を調整できるように構成し、さらに、前記密封ステーションを、容器内を真空にし、かつ、容器に所定の不活性ガスを充填する手段を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡スチロールのような発泡ポリマーウェブから容器を形成し、該容器に充填し、密封する装置に関するものである。
【0002】
また、本発明による装置は、特に、リールから供給される発泡ポリマーウェブ又はこれに類似するものから容器を連続して成形し、この容器に所定の製品を充填し、これを密封するように設計されている。そして、最終的には、密封された各容器は商品となる。さらに、本発明による装置は、密封したシート又はフィルムに例えば密封した日付、賞味期限等を印字する手段を含んでいる。
【0003】
そのため、本発明による装置は、発泡ポリマーウェブのリール用の第1の繰出し機と、前記発泡ポリマーウェブを予熱するための予熱ステーションと、熱成形ステーションと、充填領域と、成形された容器を密封するためのフィルムのリール用の第2の繰出し機と、密封ステーションと、切断ステーションとを備えて構成されている。また、本発明による装置は、前記発泡ポリマーウェブを前記各ステーション間で、すなわち第1の繰出し機の入口から切断ステーションまで搬送するための搬送システムを更に含んで構成されている。なお、熱成形ステーションと前記第2の繰出し機あるいは密封ステーションの間には空間があるが、この空間は、手動又は自動で製品を充填する充填領域となっている。
【背景技術】
【0004】
様々な製品を発泡スチロール製の容器に梱包することがますます多くなってきており、このような容器は保存性が良好なために、特に腐りやすい製品について顕著である。また、このような容器は、成形設備によって一般的にトレーの形で得られるとともに、この容器に充填し、密封する荷造り業者に提供される。
【0005】
しかし、このようなシステムによれば、例えば荷造り業者が容器を運搬・保管しなければならなかったり、容器を飲料用に用いる場合には、容器製造業者から供給されてから飲料を充填する間に容器が汚染されてしまう可能性がある等の欠点がある。
【0006】
そこで、この欠点を解消するために、発泡ポリマーウェブから容器を連続的に成形し、充填し、密封して商品とすることが特許文献1に提案されている。この特許文献1に開示されている装置は、リール支持軸、発泡ポリマーウェブの繰出しユニット、発泡ポリマーウェブを予熱する予熱ユニット、容器を成形する成形ユニット、容器の密封を行う密封ユニット、印字ユニット並びに容器の搬送方向及びこれと直角な方向に切断を行う切断ユニットによって構成されている。
【0007】
そして、特許文献1記載の装置の終端部にはシートを搬送する搬送システムが設けられており、各ユニットでの処理中には、この搬送システムが停止し、すべての処理が終了すると始動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/030471号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1記載の装置は、容器の成形、充填及び密封を連続的に行うものであるが、容器の予熱ユニット、成形ユニット及び密封ユニットの構造及び動作について根本的な問題がある。
【0010】
すなわち、予熱ユニットについては、発泡ポリマーウェブの速度に応じた予熱温度の最適な制御がなされないようになっている。また、密封ユニットについては、不活性ガスを生成した後に、充填された製品を保護する手段が設けられていない。さらに、切断ユニットについては、搬送方向に切断するユニットと、これと直角な方向に切断するユニットとが設けられていることにより、装置全体の長さが長くなり、これに伴いコストアップを招いてしまう。
【0011】
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、簡易な構成かつ安全な操作で上記従来の装置における欠点を解消することが可能な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による装置においては、予熱ステーションが、正確な温度調整ができるように形成されている。すなわち、放射要素の数及び該放射要素と成形されるべき発泡ポリマーウェブの間隔を調整することによって温度調整がなされる。一方、熱成形ステーションは、成形型下半部及び成形型上半部の表面において発泡ポリマーウェブが正確に位置決めされ、不都合な変形が生じるのを防止するように構成されている。そして、製品の保存状態は容器内に不活性ガスを充填することで維持されるようになっているが、この処理は、密封ステーションにおいて簡易になされる。さらに、本発明による装置によれば、既に密封された容器の切断を1つの切断ステーションにおいて完了させることが可能である。
【0013】
上述のように、本発明による装置は、発泡ポリマーウェブのリール用の第1の繰出し機と、発泡ポリマーウェブを予熱するための予熱ステーションと、熱成形ステーションと、成形された容器を密封するためのフィルムのリール用の第2の繰出し機と、密封ステーションと、切断ステーションと、前記発泡ポリマーウェブを前記各ステーション間で搬送するための搬送システムとを備えて構成されている。ここで、搬送システムは、いずれかのステーションで処理が行われている間は発泡ポリマーウェブの移動を停止させ、あるいはその処理が完了した後、発泡ポリマーウェブを再び移動させるものである。
【0014】
そのため、様々な駆動要素(すなわち、例えば発泡ポリマーウェブあるいは容器を各ステーション間で移動させるための搬送用のチェーン及び繰出し機)が適当な制御プログラムによって公知の方法で連動される。
【0015】
また、本発明は、予熱ステーションを、垂直方向に重ねて配置された2つの同形状の引き出しで構成するとともに、これらのうち1つを前記搬送システムの上方に配置する一方、もう一方を前記搬送システムの下方に配置し、さらに、前記2つの引き出しのそれぞれ対向する面に加熱手段を設けるとともに、第1の駆動シリンダによってこれら2つの引き出しの間隔を調整できるように構成したことを特徴としている。
【0016】
この予熱ステーションにおいては、発泡ポリマーウェブが、その熱成形の予備段階として、接触することなく加熱される。また、加熱手段としては、特に、反射面に設けた赤外線を放射する抵抗線が考えられる。そして、予熱温度は、前記抵抗線の数及び各引き出しの間隔によって調整することができる。
【0017】
また、本発明は、発泡ポリマーウェブをセンタリングするためのテーブルを予熱ステーションの直前に設け、該テーブル上で前記第1の繰出し機からの発泡ポリマーウェブを正確に位置決めしつつ前記搬送システムへ案内するよう構成するとともに、前記テーブル上に、発泡ポリマーウェブをセンタリングするため横方向に可動なストッパを設けたことを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、熱成形ステーションを、垂直方向に可動な基台上に配置されつつ互いに対向する成形型下半部及び成形型上半部で構成するとともに、これら成形型下半部及び成形型上半部に貫通孔を穿設し、該貫通孔により成形型下半部及び成形型上半部を真空源と接続して成形型下半部及び成形型上半部と成形される容器の間に真空状態が生じるよう構成したことを特徴としている。
【0019】
そのため、発泡ポリマーウェブが完全に合わされて成形されるため、不都合な変形の危険を回避することが可能である。なお、熱成形して得られる容器は、一般的にトレーである。また、熱成形ステーションの後には製品を充填あるいはパッケージングする充填領域が設定されており、この充填あるいはパッケージングは人手又は自動で行われる。
【0020】
そして、充填領域の後には密封ステーションが配置されており、本発明は、該密封ステーションを、成形された容器と同様な形状を有する凹型及び溶着プレートで構成するとともに、これら凹型及び溶着プレートを第2の駆動シリンダによって垂直方向に可動にし、さらに、前記凹型と前記溶着プレートの間において、製品が充填された容器と前記フィルムを重ねて通過させるとともに、前記容器内を真空にし、かつ、該容器に所定の不活性ガスを充填する手段を備える構成としたことを特徴としている。
【0021】
さらに、本発明は、切断ステーションを、所定時間内に当該切断ステーションへ供給される前記容器の数と同数かつ該容器と同形状で、前記搬送システムの直下に設けたフレームと、前記容器と同形状で、かつ、第3の駆動シリンダによって垂直方向に可動に前記搬送システムの上方に設けた切断ブレードと、前記切断ブレードが形成する形状に対して垂直に立設された柱状部材に吊設されつつ前記容器の上方において該容器を吸着保持する少なくとも2つの吸着盤と、前記フレームの下方に設けられたコンベヤベルトとを備える構成としたことを特徴としている。なお、このコンベヤベルトは、発泡ポリマーウェブから切り離された容器を受ける役目を果たしている。
【0022】
また、本発明は、吸着盤を、前記容器の情報の位置と前記容器を吸着保持する位置の間で垂直方向に可動に構成するとともに、前記コンベヤベルト上で前記容器に吸着させるよう構成したことを特徴としている。
【0023】
また、本発明は、第2の繰出し機を、リールを支持する軸と、前記フィルムを案内する複数のローラと、前記フィルムの通過又は動作を検出するセンサと、該センサに応じて動作し、前記フィルムを制動する制動要素とで構成して、前記容器上に前記フィルムを正確に位置決めすることが可能であるようにしたことを特徴としている。
【0024】
また、本発明は、容器内を真空にし、かつ、該容器に所定の不活性ガスを充填する前記手段を、前記溶着プレートを覆うカバーで構成するとともに、非動作位置である上方位置と前記凹型により支持されて密封を行う位置である下方位置の間で可動に構成し、前記溶着プレートを下降させることで前記フィルムを前記容器に連続して溶着できるよう前記カバーを真空源及び不活性ガス源に接続したことを特徴としている。
【0025】
すなわち、まず、容器内の汚染されている気体を排除して不活性ガスが容器内に充填され、つづいて、溶着プレートを下降させて、容器の隙間によって囲まれた発泡ポリマーウェブの一部と、溶着プレートと凹型の間のフィルムとで密封されるまで押圧される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易な構成かつ安全な操作で上記従来の装置における欠点を解消することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による装置の正面図である。
【図2】第1のリール2のための第1の繰出し機の斜視図である。
【図3】発泡ポリマーウェブをセンタリングするテーブルの斜視図である。
【図4】予熱ステーションの斜視図である。
【図5】熱成形ステーションの垂直方向の断面図である。
【図6】フィルム用の第2のリールに用いる第2の繰出し機の正面図である。
【図7】第2の繰出し機の軸の斜視図である。
【図8】図7におけるVIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】密封ステーションの垂直方向の断面図である。
【図10】図9に示す密封ステーション出口における発泡ポリマーウェブを示す斜視図である。
【図11】切断ステーションの垂直方向の断面図である。
【図12】発泡ポリマーウェブを搬送する搬送システムの概略を示す図である。
【図13】図12におけるXIII−XIIIに沿った断面図である。
【図14】発泡ポリマーウェブを搬送するチェーンの軌道を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は本発明による装置の正面図であり、この装置は、例えば発泡スチロールなどの発泡ポリマー用の第1のリール2のための第1の繰出し機1、発泡ポリマーウェブ4の予熱を行う予熱ステーション3、容器用の熱成形ステーション5、成形された容器に充填する充填領域6、成形された容器を密封するためのフィルム9用の第2のリール8に用いる第2の繰出し機7、密封ステーション10、切断ステーション11及び発泡ポリマーウェブ4をすべてのステーション間、すなわち予熱ステーション3の入口から切断ステーション11の出口まで搬送する搬送システム12を備えて構成されている。
【0030】
図2は第1の繰出し機1を示しており、この第1の繰出し機1は、リール支持軸14が架設されたフレーム13、繰出し用モータ15及び繰出しを制御する揺動部材16を備えて構成されている。ここで、リール支持軸14は、リールのセンタリング及び支持のための2つの円すい状部材を備えている。
【0031】
上記のような繰出しシステムは、基本的にリール支持軸14を回転せしめる繰出し用モータ15及び発泡ポリマーウェブ4に張力を与える揺動部材16の2つの部材で構成されている。そして、発泡ポリマーウェブ4の繰出しは、装置の動作に応じて断続的に行われる。
【0032】
しかして、発泡ポリマーウェブ4が繰り出されると、該発泡ポリマーウェブ4は、当該発泡ポリマーウェブ4のセンタリングをするテーブル18(図3)がある装置入口を通過する。このテーブル18は、発泡ポリマーウェブ4のセンタリングをするために、横方向に可動に形成された可動ストッパ19を長手方向エッジ部に有している。そして、発泡ポリマーウェブ4がテーブル18を通過すると、後述するように、発泡ポリマーウェブ4をその搬送のために突く上方へ向いた突起部を有するリンク機構を備えた搬送システム12のチェーンによって、発泡ポリマーウェブ4が固定される。
【0033】
ところで、装置は、テーブル18につづいて、図4に示すように、駆動シリンダ23によって垂直方向に可動の上側の引き出し20及び下側の引き出し21の2つの引き出しによって構成された予熱ステーション3が設けられている。ここで、上側の引き出し20及び下側の引き出し21は、それぞれ搬送システム12の上方及び下方に設けられている。これら上側及び下側の引き出し20,21はその内面(搬送システム12側)に反射面を備えており、この反射面には赤外線放射性セル24が配置されている。なお、この赤外線放射性セル24の数は、発泡ポリマーウェブ4の通過動作及び幅に応じて変更することが可能である。
【0034】
また、上側及び下側の引き出し20,21は、発泡ポリマーウェブ4が過熱され、これによる損傷によって場合により生じてしまう装置の停止を防ぐために、駆動シリンダ23によって互いの間隔を調整できるようになっている。さらに、この予熱ステーション3内では、様々な環境において汚染されている可能性がある発泡ポリマーウェブ4を、通常の運転において上側及び下側の引き出し20,21の間で生じる熱によって殺菌消毒するようになっている。
【0035】
図1に示す装置において、容器用の熱成形ステーション5は、予熱ステーション3につづいて配置されている。図5に詳細に示すこの熱成形ステーション5は、互いに対向し、かつ、嵌合する成形型下半部26及び成形型上半部27によって構成されている。なお、図5は、3つの互いに横に並んだ成形型下半部26とこれと同数の成形型上半部27の断面に対応したものである。
【0036】
これら成形型下半部26及び成形型上半部27は垂直方向に可動な複数の基台上に設置されているが、図5には、成形型上半部27を支持しつつ空気圧シリンダ29によって駆動可能な上方の基台28のみが示されている。また、成形型下半部26及び成形型上半部27は共に貫通孔30を備えており、該貫通孔30を介して成形型下半部26及び成形型上半部27と、真空状態を生じさせる回路とが接続されている。
【0037】
また、前記基台28はアセンブリ31を示しており、このアセンブリ31は、成形される発泡ポリマーウェブ4と成形型上半部27の間に真空状態を発生させるための真空源に接続されている。
【0038】
ところで、熱成形ステーション5では容器が成形されるが、このために、形状が容器の形状に対応したものとなっている成形型下半部26が上昇される。この上昇動作は、容器の内部形状と同様の形状を有する成形型上半部27における押圧機構と同様に、空気圧シリンダ29によって駆動される一般的な機構によってなされる。
【0039】
また、発泡ポリマーウェブ4から形成される容器の形状は、成形型下半部26と成形型上半部27を互いに組み合わせるとともに、真空状態とすることで得ることができる。このような処理をされて成形された容器は、充填領域6に沿って通過しつつ、該充填領域6において、充填されるべき製品が容器内に充填される。そして、チェーンによって搬送されているこの容器が製品で満たされると、該容器は密封ステーション10へ至るようになっている。なお、この密封ステーション10の手前には、容器を密封するためのフィルム9のリール8用の繰出し機7が配置されている。
【0040】
図6には、フィルム9を案内する複数のローラ32、テンションローラ33、フィルム9を制動する制動要素34及びフィルム9に表示された目印又はサインを検出するセンサ35を含んで構成された第2の繰出し機7が示されている。この第2の繰出し機7は、容器の密封を確実なものとするものである。さらに、図6には、フィルム9を密封ステーション10の入口へ案内するガイド部材36も示されている。
【0041】
図7は第2の繰出し機7の軸37を示しており、この軸37は、チューブ状に形成されているとともに、長手方向に延在する溝を備えている。この溝内には、歯が刻まれたロッド38がこの溝から突出するように収納されており、このロッド38は、軸37内に収容されている膨張可能なパッド39によって図8に示すように支持されている。なお、軸37の一端にはパッド39を膨張させるためのコネクタ40が設けられている一方、他端には駆動モータ41が接続されている。
【0042】
図9には密封ステーション10内へ案内されるフィルム9が示されており、この密封ステーション10は、充填された製品と共に、成形された容器42の輪郭部にフィルム9を封着するためのものである。この密封ステーション10は、容器42を収容できるよう採寸された凹型43と、上方の溶着プレート44とで構成されている。そして、製品が充填された容器42及びフィルム9は、互いに重ねられて凹型43と溶着プレート44の間を通過する。
【0043】
ここで、容器42はこれが密封される前に真空状態にされるが、このために、凸型45がこれと対向する凹型43によって支持されている。凸型45は真空源と接続した貫通孔46を備えており、これにより容器42の外部及び内部に真空状態が発生する。その後、1つ又は複数の適当に配分された封入ガスが前記貫通孔46を通って封入され、溶着プレート44が降下されて容器42が密封される。
【0044】
また、凸型45は、容器42及びフィルム9を置いた状態で凹型43を密封する覆いとして形成されている。なお、密封プロセスは、封入したガスを汚染しないよう、凸型45を開放したり上昇させたりすることなく行われる。そして、容器42が密封されると、凸型45は、大気圧まで減圧され、密封された容器43が切断ステーション11まで移動できるよう開放される。
【0045】
図10には、発泡ポリマーウェブ4に成形された容器42と、これをフィルム9で密封したものが示されている。また、図11には切断ステーション11の断面図が示されており、該切断ステーション11は、切断サブアセンブリ47、切断された容器49用の垂直駆動サブアセンブリ48及びコンベヤベルト50として形成された送り出しテーブルの3つのサブアセンブリによって構成されている。
【0046】
切断プロセスは、まず、容器を密封しているフィルム9で形成されているふたを吸着保持する複数の吸着盤51で構成された垂直駆動サブアセンブリ48から開始される。切断ステーション11は更に切断ブレード52を備えており、該切断ブレード52の形状は、切断すべき容器の形状に対応したものとなっている。また、上記吸着盤51は、容器49に到達することができるよう、切断ブレード52が形成する形状に対して垂直に立設された柱状部材53に吊設されている。
【0047】
吸着盤51が容器49のふたに吸着すると、可動テーブル56によって支持された下側の台車55が、容器49を支持する位置まで上昇する。この際、切断ブレード52を支持している支持プレート57は、容器を切断するための他のアクチュエータによって下降する。
【0048】
そして、容器が切断されて、これら切断された容器49が吸着盤51によって吸着されて吊るされていると認識されると、垂直駆動サブアセンブリ48が、容器49がコンベヤベルト50に近づく位置まで下降し、そこで吸着盤51がその吸着を停止して、容器49が、これを外部へ搬送するコンベヤベルト50上へ至ることになる。その後、台車55及び切断ブレード52並びにこれらを位置決めするシステムは、その中立位置へ復帰し、容器は装置の側方を通過して搬出される。上記のようなプロセスが終了すると、発泡ポリマーウェブ4の過剰部分を、これを再利用等するために除去する作業が行われる。
【0049】
図12〜図14には、発泡ポリマーウェブ4を各ステーションに沿って搬送する搬送システムが示されている。この搬送システムは、2つの互いに平行なチェーンを含んで構成されている。このチェーン64は、ガイド59に沿って移動するとともに、該ガイド59の一端でガイドホイール60及びモータ62によって駆動される駆動ホイール61で案内される一方、他端ではガイドホイール63によって案内される。
【0050】
また、図13に示すように、チェーン64の一方向へ移動する部分には上方へ向けて突起部65が設けられており、一方、チェーン64の他方向へ移動する部分には下方へ向けて突起部65が設けられている。ここで、この突起部65は、発泡ポリマーウェブ4に貫通して装置全体に発泡ポリマーウェブ4を搬送するためのものである。
【符号の説明】
【0051】
1 第1の繰出し機
2 第1のリール
3 予熱ステーション
4 発泡ポリマーウェブ
5 熱成形ステーション
6 充填領域
7 第2の繰出し機
8 第2のリール
9 フィルム
10 密封ステーション
11 切断ステーション
12 搬送システム
13 フレーム
14 リール支持軸
15 繰出し用モータ
16 揺動部材
17 円すい状部材
18 テーブル
19 可動ストッパ
20 上側の引き出し
21 下側の引き出し
22 構造部材
23 駆動シリンダ
24 赤外線放射性セル
26 成形型下半部
27 成形型上半部
28 基台
29 空気圧シリンダ
30 貫通孔
31 アセンブリ
32 ローラ
33 テンションローラ
34 制動要素
35 センサ
36 ガイド部材
37 軸
38 ロッド
39 パッド
40 コネクタ
41 駆動モータ
42 容器
43 凹型
44 溶着プレート
45 凸型
46 貫通孔
47 切断サブアセンブリ
48 垂直駆動サブアセンブリ
49 容器
50 コンベヤベルト
51 吸着盤
52 切断ブレード
53 柱状部材
55 台車
56 可動テーブル
57 支持プレート
59 ガイド
60 ガイドホイール
61 駆動ホイール
62 モータ
63 ガイドホイール
64 チェーン
65 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡スチロールのような発泡ポリマーウェブから容器を形成し、該容器に充填し、密封する装置であって、
発泡ポリマーウェブのリール用の第1の繰出し機と、
前記発泡ポリマーウェブを予熱するための予熱ステーションと、
熱成形ステーションと、
成形された容器を密封するためのフィルムのリール用の第2の繰出し機と、
密封ステーションと、
切断ステーションと、
前記発泡ポリマーウェブを前記各ステーション間で、すなわち第1の繰出し機の入口から切断ステーションまで搬送するための搬送システムと
を備えて成り、
前記予熱ステーションを、垂直方向に重ねて配置された2つの同形状の引き出しで構成するとともに、これらのうち1つを前記搬送システムの上方に配置する一方、もう一方を前記搬送システムの下方に配置し、さらに、前記2つの引き出しのそれぞれ対向する面に加熱手段を設けるとともに、第1の駆動シリンダによってこれら2つの引き出しの間隔を調整できるように構成し、
前記熱成形ステーションを、垂直方向に可動な基台上に配置されつつ互いに対向する成形型下半部及び成形型上半部で構成するとともに、これら成形型下半部及び成形型上半部に貫通孔を穿設し、該貫通孔により成形型下半部及び成形型上半部を真空源と接続して成形型下半部及び成形型上半部と成形される容器の間に真空状態が生じるよう構成し、
前記密封ステーションを、成形された容器と同様な形状を有する凹型及び溶着プレートで構成するとともに、これら凹型及び溶着プレートを第2の駆動シリンダによって垂直方向に可動にし、さらに、前記凹型と前記溶着プレートの間において、製品が充填された容器と前記フィルムを重ねて通過させるとともに、前記容器内を真空にし、かつ、該容器に所定の不活性ガスを充填する手段を備える構成とし、
前記切断ステーションを、所定時間内に当該切断ステーションへ供給される前記容器の数と同数かつ該容器と同形状で、前記搬送システムの直下に設けたフレームと、前記容器と同形状で、かつ、第3の駆動シリンダによって垂直方向に可動に前記搬送システムの上方に設けた切断ブレードと、前記切断ブレードが形成する形状に対して垂直に立設された柱状部材に吊設されつつ前記容器の上方において該容器を吸着保持する少なくとも2つの吸着盤と、前記フレームの下方に設けられたコンベヤベルトとを備える構成とし、
前記吸着盤を、前記容器の情報の位置と前記容器を吸着保持する位置の間で垂直方向に可動に構成するとともに、前記コンベヤベルト上で前記容器に吸着させるよう構成した
ことを特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記搬送システムの入口に発泡ポリマーウェブをセンタリングするためのテーブルを設け、該テーブル上で前記第1の繰出し機からの発泡ポリマーウェブを正確に位置決めしつつ前記搬送システムへ案内するよう構成するとともに、前記テーブル上に、発泡ポリマーウェブをセンタリングするため横方向に可動なストッパを設けたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2の繰出し機を、リールを支持する軸と、前記フィルムを案内する複数のローラと、前記フィルムの通過又は動作を検出するセンサと、該センサに応じて動作し、前記フィルムを制動する制動要素とで構成して、前記容器上に前記フィルムを正確に位置決めすることが可能であるようにしたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記軸をチューブ状に形成するとともに長手方向に延在する溝を備える構成とし、該軸内に収容されている膨張可能なパッドによって支持されつつ歯が刻まれたロッドを前記溝から突出するよう該溝内に収納し、前記軸を、一端のみで支持するとともに、この支持箇所を介してモータに接続したことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記容器内を真空にし、かつ、該容器に所定の不活性ガスを充填する前記手段を、前記溶着プレートを覆うカバーで構成するとともに、非動作位置である上方位置と前記凹型により支持されて密封を行う位置である下方位置の間で可動に構成し、前記溶着プレートを下降させることで前記フィルムを前記容器に連続して溶着できるよう前記カバーを真空源及び不活性ガス源に接続したことを特徴とする請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−541170(P2009−541170A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517295(P2009−517295)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000375
【国際公開番号】WO2008/000849
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(509002925)アイ・ディー・エム・ワールド・ソシエダッド・リミターダ (1)
【Fターム(参考)】