発熱体通電制御装置、定着装置、画像形成装置及び発熱体通電制御方法
【課題】発熱体の両端の実電圧を検出し、その検出電圧に基づいて制御し、オーバーシュートを抑制し、電力不足をなくす。
【解決手段】定着ヒータ101に入力される電源電圧を検知して定着ヒータ101への通電を制御する定着制御回路104を有する定着装置100であって、電源102と定着ヒータ101との間に配置された定着制御回路104と、定着制御回路104の後段に配置され、検知した電圧値を前記定着制御回路に入力するAC電圧検知回路105と、を備え、AC電圧検知回路104は、定着ヒータ101への通電が開始され、所定温度まで昇温した後、予め設定された電圧検知開始待機時間が経過した時点で電圧検知を開始し、定着制御回路104は電圧検知完了後に検知された電圧を制御に反映させる。
【解決手段】定着ヒータ101に入力される電源電圧を検知して定着ヒータ101への通電を制御する定着制御回路104を有する定着装置100であって、電源102と定着ヒータ101との間に配置された定着制御回路104と、定着制御回路104の後段に配置され、検知した電圧値を前記定着制御回路に入力するAC電圧検知回路105と、を備え、AC電圧検知回路104は、定着ヒータ101への通電が開始され、所定温度まで昇温した後、予め設定された電圧検知開始待機時間が経過した時点で電圧検知を開始し、定着制御回路104は電圧検知完了後に検知された電圧を制御に反映させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体通電制御装置、定着装置、画像形成装置及び発熱体通電制御方法に係り、特に発熱体の通電立ち上げ時にオーバーシュートあるいは電力不足が発生しないようにした発熱体通電制御装置、この発熱体通電制御装置を備えた定着装置、この定着装置を備えた画像形成装置、及び発熱体通電制御装置で実行される発熱体通電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置を始め、各種画像形成装置、その他ヒータによって加熱する加熱部を備えた電子機器が知られている。これらの装置では、入力電源電圧を検出し、ヒータ(発熱体)点灯時に投入する電力を、検知した入力電圧値と加熱目標温度に応じて予め設定したデューティを選択することによって制限し、オーバーシュート及び電力不足が生じないようにすることも既に知られている。特に電子写真方式の画像形成装置における定着ヒータの制御には、このようなヒータに印加する電圧のデューティを制御する制御方式が多く用いられている。
【0003】
図12は、従来例に係る電子写真方式の画像形成装置の定着装置の回路構成を示す図である。同図において、従来では、定着装置100は、定着ヒータ101、商用交流電源102、リレー103、定着制御回路104、AC電圧検知回路105及び制御基板106から基本的に構成されている。定着ヒータ101はリレー103を介して商用交流電源102に接続され、ヒータ駆動用の電源が供給される。定着ヒータ101には直列に定着制御回路104が設けられ、AC電圧検知回路105は定着制御回路104の前段(リレー103と定着制御回路104との間)に定着ヒータ101に対して並列に接続されている。AC電圧検知回路105で検知されたAC電圧の検知信号は制御基板106のASIC(Application Specific Integrated Circuit)107に入力され、ASIC107は入力された検知信号に基づいて定着ヒータ101への供給電力のデューティを選択し、定着制御信号を定着制御回路104に供給し、定着制御回路104を制御していた。図13はそのときのタイミングチャート、図14はこの従来例における制御手順を示すフローチャートである。
【0004】
従来の構成では、図13のタイミングチャート及び図14のフローチャートから分かるように、主電源がONされ(タイミングT1)、DC電源が立ち上がり、所定のソフト処理が実行された後、リレー103がONされる(タイミングT2:ステップS201)。リレー103がONされると、電圧検知が開始され、AC電圧検知回路105が作動し、AC/DC変換処理が開始される(ステップS202)。AC/DC変換処理と並行して、ASICはリレー確認の終了後に、ソフトスタート制御にて定着ヒータをONを開始する(タイミングT3)。ソフトスタート制御完了後は、デューティ制限されていない状態で定着ON信号を出力し、定着ヒータをONする(タイミングT4)。ASIC107がAC/DC変換されたDCを取り込み(ステップS203)、ASIC107内に設定されたテーブルに基づいてAC電圧値を判断する(ステップS204)。そして、このAC電圧値に基づいて定着ヒータON時の上限デューティを変更し(ステップS205)、このデューティに基づいて定着ON信号を出力し(ステップS206)、デューティ制限された状態での定着制御回路104ONに切り替わり、定着ヒータ101がONされる(タイミングT5)。
【0005】
そして、図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)によってヒータ温度を検出し、目標温度に達したか否かを判定する(ステップS208)。
【0006】
目標温度に達していなければステップS206に戻ってステップS208までの処理を繰り返し、目標温度に達した時点で、定着制御回路104をOFFし(ステップS209)、ヒータの立ち上げ制御を終了する。
【0007】
一方、オーバーシュート及び電力不足が生じないようにした技術として、例えば、特許文献1(特開2006−039027号公報)に開示された発明が公知である。この発明は、入力電源電圧が異なっても、ヒータ立ち上げ時に投入するオフセット電力を一定になるように制御し、また目標温度に応じてオフセット電力を変化させることにより、オーバーシュートや電力不足のない温調制御を行うため、加熱ヒータを有する加熱部材と、加圧部材とが互いに圧接して形成される定着ニップ部に、未定着トナー像が保持された記録剤を通過させて加熱定着する画像形成装置において、加熱ヒータに投入する電力を制御する電力制御手段と、加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段を有し、記録剤の加熱定着を行う際の定着目標温度に応じて、加熱ヒータの立ち上げ時に投入する電力を変化させることを特徴とするものである。そして、電力制御手段が、入力電源電圧を検出する電圧検知手段であり、加熱ヒータ立ち上げ時に投入する電力は、検知した入力電圧値と定着目標温度に応じて予め設定したデューティにより決定するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献1記載の発明を含め、従来のヒータ制御回路の手前に入力電源電圧の検知手段を設けた構成では、電源スイッチのオン時であればいつでも入力電源電圧を検知できるが、ヒータ(発熱体)点灯により電圧降下するヒータ両端の実電圧を検出していないので、実際には、ヒータ両端の実電圧とは異なる検出電圧でヒータの立ち上げ制御を実施していた。そのため、オーバーシュート及び電力不足の発生をなくすことはできなかった。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、発熱体の立ち上げ時のオーバーシュートを抑制し、電力不足の発生をなくすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、発熱体への通電を制御する発熱体通電制御装置であって、前記発熱体の両端で電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段によって検出される前記発熱体の通電時の実電圧に基づいて前記発熱体への通電デューティを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発熱体の立ち上げ時のオーバーシュートを抑制し、電力不足の発生をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す定着装置を備えた画像形成装置の各部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】実施例1に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】実施例1に係る定着装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例1における定着ヒータの時間に対する温度変化特性を示す図である。
【図6】実施例2に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】実施例3に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図8】実施例3に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】実施例4に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図10】実施例4に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】図10のヒータON後のワット数の大きな定着ヒータとワット数の小さな定着の突入電流の安定期間を比較して示す図である。
【図12】従来例に係る定着装置の回路構成を示す図である。
【図13】従来例に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】従来例に係る定着装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ヒータ両端の実電圧と差のない検出電圧に基づいて制御することにより、ヒータへの通電開始時のオーバーシュート及び電力不足をなくすことを特徴とする。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は実施例1に係る定着装置100−1の回路構成を示すブロック図である。同図では、図12に示した従来例に対して、定着制御回路104と、AC電圧検知回路105の配置位置が入れ替わり、AC電圧検知回路105は定着制御回路104の後段(定着制御回路104と定着ヒータ101との間)に配置されている。その他の構成は従来例と同一である。
【0016】
このように、本実施例では、電源側から見て定着制御回路104の後段に入力電源電圧の検知手段であるAC電圧検知回路105を設けたので、定着ヒータ101の点灯時しか入力電源電圧を検知することはできない。しかし、定着ヒータ101両端の実電圧を検出することが可能となり、ASIC107は実電圧での検出電圧で定着ヒータのデューティを設定し、ヒータ温度を制御することができる。また、AC電圧検出回路105による電力消費も定着ヒータ101の点灯時のみであり、図12に示した従来例よりも消費電力も少なくなる。なお、ASIC107に代えて後述のCPU2で制御することも可能である。
【0017】
図2は、図1に示す定着装置を備えた画像形成装置の各部構成を示す機能ブロック図である。
同図において、画像形成装置1は、CPU2にバスを介して各部が接続され、CPU2が各部を制御し、画像形成装置1の機能を発揮できるようにしている。各部は、原稿読取部6、画像処理部7、作像部21、定着部11、電圧検出部17、搬送部3、排紙部5、給紙部5、メモリ部8、及びインターフェース18等からなる。画像読取部6は原稿などの画像を読み取り、画像処理部7は、読み取った画像データあるいは外部から転送されてきた画像データを印字可能な画像データ処理し、印字データとして出力する。作像部21は、画像処理部7から出力される印字データに基づいて記録媒体である例えば用紙に画像を作像し、定着部11は用紙に作像されたトナー画像を加熱及び加圧により定着する。用紙は給紙部5から搬送部3によって作像部21に搬送され、作像及び定着後は排紙部4から排紙される。
【0018】
メモリ部8はROM9及びRAM10を含む。ROM9には、CPU2が実行するプログラムコードが格納され、CPU2はプログラムコードをROM9から読み出し、RAM10に展開して、RAM10をデータバッファとしても使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムを実行し、各部を制御する。RAM10は制御データ及び画像データを記憶する。また、RAM10は検出電圧を1次的に格納し、ROM9は定着制御パターンが恒久的に格納されている。
【0019】
定着部11は、トナーを用紙に対して熱溶着するための熱源(発熱体)13及び熱源13を制御する熱源制御回路部12、並びに加熱ローラ及び定着ローラの温度を検出するサーミスタ15及びサーミスタ15で検出したアナログ値をCPUで処理するためのデジタル値にA/D変換してCPU2に通知するA/D変換器14を含む。電圧検出部17はオーバーシュートや電力不足のない制御を行うために電圧検出を行い、A/D変換部16は検出したアナログ電圧をCPU2で処理するためのデジタル値に変換し、CPU2に通知する。なお、熱源13は特許請求の範囲における発熱体に相当する。
【0020】
インターフェース18はパソコンなどの外部通信機器20やハードディスク装置などの外部記憶素子19と接続する接続手段として機能し、外部から画像形成装置1内に画像データを取り込む。
【0021】
図1に示した定着装置100−1は画像形成装置1でいう定着部11に、熱源13は定着ヒータ101に、熱源制御回路部12は定着制御回路104に対応する。
【0022】
図3は、このように構成された本実施形態に係る定着装置100−1の動作タイミングを示すタイミングチャート、図4は本実施例における制御手順を示すフローチャートである。本実施形態では、定着装置100−1は、突入電流が安定するまでの期間(以下、「突入安定期間」と称す。)後から電圧検出を開始するという制御シーケンスにしている。
【0023】
すなわち、本実施形態では、主電源が入ると(タイミングT1)、DC電源が立ち上がり、所定のソフト処理が実行された後、リレー103がONされる(タイミングT2)。リレーONが確認されると、定着制御回路がONされ、定着ヒータ101がONとなる(タイミングT3)。定着ヒータ101ONにより定着ソフトスタート制御が開始し、同時に突入安定期間T10と電圧検知開始待機時間T20が開始する。定着ヒータ101の温度が所定温度まで昇温して突入安定期間T10が経過し(タイミングT6)、さらに電圧検知開始待機時間T20が経過した時点で電圧検出部(AC電圧検知回路105)17の電圧検出動作を開始する(タイミングT7)。その後、検出された電圧に基づいてステップS107以降の処理を実行し(タイミングT5’)、目標温度に達した時点で立ち上げ制御を終了する。
【0024】
その際、初期的には、定着ヒータ101の温度が目標温度まで上昇するように制御し、目標温度に達すると、本制御を終了し、その後は他の制御により定着温度を維持するように制御される。これにより、オーバーシュート及び電力不足の発生を防止することができる。本実施例では、前記タイミングT1からT5’までの制御が対象である。
【0025】
このタイミングチャートの動作と制御手順を対照すると、タイミングT2でリレー103がONされると(ステップS101)、ASIC107は上限デューティを設けずに、定着制御回路104に定着ヒータON信号を出力する(タイミングT3:ステップS102)。定着ヒータON信号によって定着制御回路104はONとなり、定着ヒータ101の通電制御を開始する(ステップS103)。その際、ステップS102で上限デューティが設けられていないので、定着制御回路104の通電制御のデューティ制限なしである。ここで定着ヒータ101がONになると、定着ソフトスタート制御、突入安定期間、電圧検知開始持続時間が開始される。
【0026】
そして、定着ソフトスタート制御が終了し(タイミングT4)、突入安定期間T10が経過し(タイミングT10)、さらに、電圧検知開始待機時間(T20)が経過した時点(タイミングT7)でAC電圧検知回路105による電圧検出処理が開始される。電圧検出が開始されると、AC電圧検知回路105はAC/DC変換し(ステップS104)、ACIC107でAC電圧検知回路105から入力されたDCをAC変換器で取り込む(ステップS105)。ASIC107では、ASIC107内に設定されたテーブルに基づいてAC電圧値を判断する(ステップS106)。そして、このAC電圧値に基づいて定着ヒータON時の上限デューティを決定し(ステップS107)、上限デューティを設けて定着制御回路104に定着ON信号を出力する(ステップS108)。
【0027】
定着制御回路104は定着ON信号によりONされ、デューティ制限がされた状態で定着ヒータ101の通電制御を実行する(ステップS109)。その間、図示しないヒータ温度検出センサの検出温度と定着目標温度を比較し(ステップS110)、目標温度に達するまでステップS108からステップS110の制御を繰り返し、目標温度に達した時点で定着制御回路104をOFFし(ステップS111)、定着ヒータの立ち上げ制御を終了する。
【0028】
図5はこのときの時間に対する温度変化特性を示す図である。図5では、従来例の場合と本実施形態の場合の2つの特性を比較のために示している。従来例では、図Cに示すT2のタイミングでリレー103がONとなり、通電が開始されるとすぐに定着ヒータ101の両端の電圧を検知し、その検知した電圧に基づいてON/OFFデューティを制御している。これに対し、本実施形態では、タイミングT2でリレー103がONとなり、突入安定時間T10、電圧検知開始持続時間T20が経過したT7のタイミングで電圧検出を開始している。そして、電圧検出完了後に、その検出した定着ヒータ101に印加される実電圧に基づいてデューティ制限し、定着ヒータ101の通電制御を実行する。
【0029】
すなわち、従来では、通電開始時に商用電源の100Vが検知され、検知した100Vの電圧に基づいてデューティが設定され、定着ヒータ101は検知電圧100Vとして通電制御が実行される。これに対し、本実施形態では、図3に示したようにリレー103ON後の過渡時期を経て電圧が安定した後、定着ヒータ101両端の実電圧を検知し、この実電圧に基づいて定着ヒータ101のON/OFFデューティが設定される。その結果、図5に示すように本実施形態では、オーバーシュートは非常に小さくなり、安定した温度制御が可能となる。なお、本実施形態では、T7のタイミングはリレーON(T2)から1秒程度であり、定着ヒータ101が昇温して定常状態になるのは10秒程度である。
【0030】
また、T7のタイミング以降の実電圧は97V程度であり、T2のタイミングにおける100Vとは3V程度の電圧降下が認められる。この3Vは定着ヒータ101の消費電力(以下、「ワット数」と称す。)が大きいと大きな変動要素となり、従来では、定着ヒータ101を発熱させるための電力不足となることがあるが、本実施形態では、実電圧で制御するので、電力不足となることはない。
【実施例2】
【0031】
実施例2は複数本の定着ヒータに対して同時点灯制御を行う場合の例である。本実施例では、ワット数が最も大きな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける。
【0032】
図6は実施例2に係る定着装置100−2の回路構成を示すブロック図である。実施例2は実施例1に対して定着ヒータを複数(2個)及び設け、さらに定着制御回路を当該定着ヒータ毎に設けた例である。この例では、定着ヒータの一方の通電回路にAC電圧検知回路を設けている。その他の各部は実施例1と同様なので、同一若しくは同一と見なせる各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
実施例2に係る定着装置100−2は、実施例1の定着装置100−1に対してリレー103の後段に第2の定着制御回路104−2を備えた定着ヒータ101−2aを、定着ヒータ101と並例に設けたものである。第2の定着制御回路104−2には制御基板106のASIC107に接続され、実施例1における定着制御回路104(以下、実施例2においては符号104−1で示す。)と同様にASIC107によって制御される。なお、実施例1における定着ヒータ101に対応する定着ヒータ(電圧検出対象ヒータ)は、実施例2では、第1の定着ヒータ101−1aである。実施例2では、第1の定着ヒータ101−1aは700W、第2の定着ヒータ101−2aは500Wである。
【0034】
この実施例では、定着ヒータを第1及び第2の2個設けた場合に、AC電圧検知回路105は突入電流が最も大きくなる消費電力の定着ヒータ、ここでは、700Wの第1の定着ヒータ101−1aの定着制御回路104−1の後段に設けられている。そして、第1の定着ヒータ101−1aの両端の実電圧を検出し、この実電圧に基づいてASIC107が第1及び第2の定着制御回路104−1,2にON/OFFデューティを指示し、第1及び第2の定着制御回路104−1,2は、この指示されたON/OFFデューティに基づいてそれぞれ第1及び第2の定着ヒータ101−1a,2aの通電を制御する。
【0035】
このようにワット数の大きな第1の定着ヒータ101−1の両端の実電圧を検出し、第1及び第2の定着ヒータ101−1,2のON/OFFデューティを設定した場合、逆の場合に比べて第2の定着ヒータ101−2aの実電圧と第1の定着ヒータ101−1aと検知電圧との差を小さく抑えることができる。
【0036】
その他の各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能する。
【0037】
本実施例によれば、ワット数が最も大きな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設けたので、そうでない場合に比べて検知電圧と実電圧の差を抑えることができる。
【実施例3】
【0038】
実施例3は、複数本の定着ヒータに対して同時非点灯制御を行う場合の例である。本実施例では、最も早く点灯する定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける。
【0039】
図7は実施例3に係る定着装置100−3の回路構成を示すブロック図である。実施例3では実施例2と同様に実施例1に対して定着ヒータが複数(2個)設けられ、さらに定着制御回路も当該定着ヒータ毎に設けられている。ただし、AC電圧検知回路105は一方の定着ヒータにのみ設けられている。その他の各部は実施例1と同様なので、同一若しくは同一と見なせる各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
実施例3に係る定着装置100−3は、実施例1の定着装置100−1に対してリレー103の後段に第2の定着制御回路104−2を備えた定着ヒータ101−2bを、定着ヒータ101−1bと並例に設けたものである。第2の定着制御回路104−2は制御基板106のASIC107に接続され、実施例1における定着制御回路104(以下、実施例3においては符号104−2で示す。)と同様にASIC107によって制御される。なお、実施例1における定着ヒータ101に対応する定着ヒータ(電圧検出対象ヒータ)は、実施例3では、第1の定着ヒータ101−1bである。
【0041】
実施例としては、第1及び第2の定着ヒータ101−1,2bの通電開始タイミングを異ならせ、早く点灯する第1の定着ヒータ101−1bの両端にAC電圧検出回路105を設けている。なお、実施例2のようにワット数に大小はなく、同一として話を進める。
【0042】
図8は実施例3における定着装置100−3の動作タイミングを示すタイミングチャートである。本実施例では、タイミングT2のリレーONまでは実施例1と同様であるが、リレー103のON確認後、まず、第1のヒータ101−1bをONし(タイミングT31)、第1の定着ヒータ101−1bのソフトスタート制御を開始する。同時に第2の定着ヒータ101−2bの点灯待機期間のカウントをスタートし、予め設定された点灯期間(時間)が経過した時点で第2の定着ヒータ101−2bをONする(タイミングT32)。第2の定着ヒータ101−2bをON動作により、第2の定着ヒータ101−2bのソフトスタート制御が開始される。
【0043】
第1の定着ヒータ101−1bの突入安定期間が経過し、設定温度まで上昇し(タイミングT6)、予め設定したマージンが経過した時点(タイミングT71)で、AC電圧検出回路105によって第1の定着ヒータ101−1bの両端の実電圧検出を行う。そして、検出した実電圧に基づいて第1の定着ヒータ101−1bのON/OFFデューティを設定して第1の定着ヒータ101−1bに通電し(タイミングT5’)、所定温度に上昇するまで、前記ステップS108,S109,S110の処理を繰り返す。そして、設定温度まで上昇した時点でこの立ち上げ制御を終了する。このときの制御手順は図4のフローチャートに示した通りである。他方、第2の定着ヒータ101−2bも第2の定着ヒータ101−2bのONタイミングT32から突入安定期間を経過した所定のタイミングT72より後のタイミングT5’から第1の定着ヒータ101−1bと同様のON/OFFデューティで通電制御される。
【0044】
図8のタイミングチャートから分かるように、第2の定着ヒータ101−2bで電圧の検出を行うと、検出開始タイミングがT72のタイミングとなり、T71のタイミングよりも遅くなる。複数の定着ヒータを備えた定着装置の一定温度まで立ち上げと温度の安定化を図るには、T5’のタイミングを早くする必要がある。そのためには、最初に通電される定着ヒータの電圧を検出し、その検出電圧に基づいて制御することが必須である。
【0045】
その他の各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能する。
【0046】
本実施例によれば、最も早く点灯する定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設けたので、電圧検出開始までの時間を最短にすることができる。
【実施例4】
【0047】
実施例4は、複数本の定着ヒータに対して同時非点灯制御を行う場合の例である。本実施例では、ワット数が小さな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける。
【0048】
図9は実施例4に係る定着装置100−4の回路構成を示すブロック図である。実施例4では実施例2と同様に実施例1に対して定着ヒータが複数(2個)設けられ、さらに定着制御回路も当該定着ヒータ毎に設けられている。また、実施例3と同様に、AC電圧検知回路は一方の定着ヒータにのみ設けられている。その他の各部は実施例1と同様なので、同一若しくは同一と見なせる各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
実施例4に係る定着装置100−4は実施例2に対して第1の定着ヒータ101−1cと第2の定着ヒータ101−2cのワット数が逆になっている。すなわち、AC電圧検知回路105は、ワット数の少ない第1の定着ヒータ101−1cの両端の電圧を検出するように構成されている。なお、実施例4では、第1の定着ヒータ101−1cは500W、第2の定着ヒータ101−2cは700Wである。その他の各部は実施例2と同一である。
【0050】
図10は実施例4に係る定着装置100−4の動作タイミングを示すタイミングチャートである。本実施例では、タイミングT2のリレー103のON、タイミングT3のヒータON、及び定着ソフトスタート制御T4までは実施例1と同様であるが、ワット数の小さな第1の定着ヒータ101−1cの突入安定期間が終了し(T61)、予め設定したマージンが経過した時点T71で第1の定着ヒータ101−1cの両端の電圧検出を開始する(T5’1)。他方、ワット数の大きな第2の定着ヒータ101−2cは第1及び第2の定着ヒータ101−1c,2cのONタイミングT3から突入安定期間を経過した所定のタイミングT72より後のタイミングT5’から第1の定着ヒータ101−1bと同様のON/OFFデューティで通電制御される。
【0051】
図9に示した定着装置の通電制御回路では、AC電圧検知回路105はワット数の小さな第1の定着ヒータ101−1cの両端の実電圧を検知するようになっているので、実電圧を検知しない側の第2の定着ヒータ101−2cについては実施例3と同様の制御が行われる。これに対して、図10に示した第2の定着ヒータ101−2cに関するタイミングは、実施例3のワット数の大きな定着ヒータの両端部の実電圧を検知して制御するタイミングであり、実施例3と同一である。
【0052】
そこで、図10において、電圧検出開始タイミングT71、T72を比較すると、ワット数の小さな定着ヒータ101−1cの方がヒータON後の突入電流の安定期間が短いので、電圧検出開始タイミングも早いことが分かる。図11は図10のヒータON後のワット数の大きな定着ヒータ101−2cとワット数の小さな定着ヒータ101−1cの突入電流の安定期間を比較して示す図である。同図(a)はワット数700W、同図(b)はワット数500Wの例をそれぞれ示す。なお、図では、ヒータワッテージ:700Wと500Wとして表示している。
【0053】
同図からワット数の大きな定着ヒータ101−2cの方が突入電流の安定期間が長い分ことが分かる。そのため、ワット数の大きな定着ヒータ101−2c側で電圧を検出すると、突入電流の安定期間が長い分だけ、電圧検出開始までの時間が長くなる。そこで、本実施例のようにワット数の小さな方の定着ヒータ101−1cの電圧を検出するようにすると、電圧検出開始までの時間を短くすることができる。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、電源側から見て定着制御回路104の後段でAC電圧検知回路105によって電圧を検出し、定着ヒータ101両端の実電圧と差のない検出電圧に基づいて定着ヒータの立ち上げ制御を行うので、オーバーシュートや電力不足のない制御を行うことができる。
【0055】
また、複数本の定着ヒータに対して同時点灯制御を行う場合には、ワット数が最も大きな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける方が好ましく、複数本の定着ヒータに対して同時非点灯制御を行う場合には、最も早く点灯する定着ヒータ側あるいはワット数の小さな方の定着側にAC電圧検出回路を設ける方が好ましい。
【0056】
さらに、従来では、電源スイッチがオン状態である限り、常に電圧検出回路で電力を消費する構成となっていたが、本実施形態では、電圧検出はヒータオン(タイミングT3)後、電圧検知開始待機時間T20が経過した後のタイミングT7で開始されるので、その間の電力消費が抑えられ、その分の省エネを図ることができる。
【0057】
なお、特許請求の範囲における発熱体は定着ヒータ101、第1の定着ヒータ101−1a,1b,1c及び第2の定着ヒータ101−2a,2b,2cに、電圧検出手段はAC電圧検知回路105に、制御手段は定着制御回路104に、主制御手段はASIC107に、定着装置は符号100(100−1,2,3,4)及び定着部11に、画像形成装置は符号1に、それぞれ対応する。
【0058】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 、画像形成装置
11 定着部
100、100−1,2,3,4 定着装置
101、101−1a,1b,1c、101−2a,2b,2c 定着ヒータ
104 定着制御回路
105 AC電圧検知回路
107 ASIC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2006−039027号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体通電制御装置、定着装置、画像形成装置及び発熱体通電制御方法に係り、特に発熱体の通電立ち上げ時にオーバーシュートあるいは電力不足が発生しないようにした発熱体通電制御装置、この発熱体通電制御装置を備えた定着装置、この定着装置を備えた画像形成装置、及び発熱体通電制御装置で実行される発熱体通電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置を始め、各種画像形成装置、その他ヒータによって加熱する加熱部を備えた電子機器が知られている。これらの装置では、入力電源電圧を検出し、ヒータ(発熱体)点灯時に投入する電力を、検知した入力電圧値と加熱目標温度に応じて予め設定したデューティを選択することによって制限し、オーバーシュート及び電力不足が生じないようにすることも既に知られている。特に電子写真方式の画像形成装置における定着ヒータの制御には、このようなヒータに印加する電圧のデューティを制御する制御方式が多く用いられている。
【0003】
図12は、従来例に係る電子写真方式の画像形成装置の定着装置の回路構成を示す図である。同図において、従来では、定着装置100は、定着ヒータ101、商用交流電源102、リレー103、定着制御回路104、AC電圧検知回路105及び制御基板106から基本的に構成されている。定着ヒータ101はリレー103を介して商用交流電源102に接続され、ヒータ駆動用の電源が供給される。定着ヒータ101には直列に定着制御回路104が設けられ、AC電圧検知回路105は定着制御回路104の前段(リレー103と定着制御回路104との間)に定着ヒータ101に対して並列に接続されている。AC電圧検知回路105で検知されたAC電圧の検知信号は制御基板106のASIC(Application Specific Integrated Circuit)107に入力され、ASIC107は入力された検知信号に基づいて定着ヒータ101への供給電力のデューティを選択し、定着制御信号を定着制御回路104に供給し、定着制御回路104を制御していた。図13はそのときのタイミングチャート、図14はこの従来例における制御手順を示すフローチャートである。
【0004】
従来の構成では、図13のタイミングチャート及び図14のフローチャートから分かるように、主電源がONされ(タイミングT1)、DC電源が立ち上がり、所定のソフト処理が実行された後、リレー103がONされる(タイミングT2:ステップS201)。リレー103がONされると、電圧検知が開始され、AC電圧検知回路105が作動し、AC/DC変換処理が開始される(ステップS202)。AC/DC変換処理と並行して、ASICはリレー確認の終了後に、ソフトスタート制御にて定着ヒータをONを開始する(タイミングT3)。ソフトスタート制御完了後は、デューティ制限されていない状態で定着ON信号を出力し、定着ヒータをONする(タイミングT4)。ASIC107がAC/DC変換されたDCを取り込み(ステップS203)、ASIC107内に設定されたテーブルに基づいてAC電圧値を判断する(ステップS204)。そして、このAC電圧値に基づいて定着ヒータON時の上限デューティを変更し(ステップS205)、このデューティに基づいて定着ON信号を出力し(ステップS206)、デューティ制限された状態での定着制御回路104ONに切り替わり、定着ヒータ101がONされる(タイミングT5)。
【0005】
そして、図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)によってヒータ温度を検出し、目標温度に達したか否かを判定する(ステップS208)。
【0006】
目標温度に達していなければステップS206に戻ってステップS208までの処理を繰り返し、目標温度に達した時点で、定着制御回路104をOFFし(ステップS209)、ヒータの立ち上げ制御を終了する。
【0007】
一方、オーバーシュート及び電力不足が生じないようにした技術として、例えば、特許文献1(特開2006−039027号公報)に開示された発明が公知である。この発明は、入力電源電圧が異なっても、ヒータ立ち上げ時に投入するオフセット電力を一定になるように制御し、また目標温度に応じてオフセット電力を変化させることにより、オーバーシュートや電力不足のない温調制御を行うため、加熱ヒータを有する加熱部材と、加圧部材とが互いに圧接して形成される定着ニップ部に、未定着トナー像が保持された記録剤を通過させて加熱定着する画像形成装置において、加熱ヒータに投入する電力を制御する電力制御手段と、加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段を有し、記録剤の加熱定着を行う際の定着目標温度に応じて、加熱ヒータの立ち上げ時に投入する電力を変化させることを特徴とするものである。そして、電力制御手段が、入力電源電圧を検出する電圧検知手段であり、加熱ヒータ立ち上げ時に投入する電力は、検知した入力電圧値と定着目標温度に応じて予め設定したデューティにより決定するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献1記載の発明を含め、従来のヒータ制御回路の手前に入力電源電圧の検知手段を設けた構成では、電源スイッチのオン時であればいつでも入力電源電圧を検知できるが、ヒータ(発熱体)点灯により電圧降下するヒータ両端の実電圧を検出していないので、実際には、ヒータ両端の実電圧とは異なる検出電圧でヒータの立ち上げ制御を実施していた。そのため、オーバーシュート及び電力不足の発生をなくすことはできなかった。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、発熱体の立ち上げ時のオーバーシュートを抑制し、電力不足の発生をなくすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、発熱体への通電を制御する発熱体通電制御装置であって、前記発熱体の両端で電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段によって検出される前記発熱体の通電時の実電圧に基づいて前記発熱体への通電デューティを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発熱体の立ち上げ時のオーバーシュートを抑制し、電力不足の発生をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す定着装置を備えた画像形成装置の各部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】実施例1に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】実施例1に係る定着装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例1における定着ヒータの時間に対する温度変化特性を示す図である。
【図6】実施例2に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】実施例3に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図8】実施例3に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】実施例4に係る定着装置の回路構成を示すブロック図である。
【図10】実施例4に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】図10のヒータON後のワット数の大きな定着ヒータとワット数の小さな定着の突入電流の安定期間を比較して示す図である。
【図12】従来例に係る定着装置の回路構成を示す図である。
【図13】従来例に係る定着装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】従来例に係る定着装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ヒータ両端の実電圧と差のない検出電圧に基づいて制御することにより、ヒータへの通電開始時のオーバーシュート及び電力不足をなくすことを特徴とする。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は実施例1に係る定着装置100−1の回路構成を示すブロック図である。同図では、図12に示した従来例に対して、定着制御回路104と、AC電圧検知回路105の配置位置が入れ替わり、AC電圧検知回路105は定着制御回路104の後段(定着制御回路104と定着ヒータ101との間)に配置されている。その他の構成は従来例と同一である。
【0016】
このように、本実施例では、電源側から見て定着制御回路104の後段に入力電源電圧の検知手段であるAC電圧検知回路105を設けたので、定着ヒータ101の点灯時しか入力電源電圧を検知することはできない。しかし、定着ヒータ101両端の実電圧を検出することが可能となり、ASIC107は実電圧での検出電圧で定着ヒータのデューティを設定し、ヒータ温度を制御することができる。また、AC電圧検出回路105による電力消費も定着ヒータ101の点灯時のみであり、図12に示した従来例よりも消費電力も少なくなる。なお、ASIC107に代えて後述のCPU2で制御することも可能である。
【0017】
図2は、図1に示す定着装置を備えた画像形成装置の各部構成を示す機能ブロック図である。
同図において、画像形成装置1は、CPU2にバスを介して各部が接続され、CPU2が各部を制御し、画像形成装置1の機能を発揮できるようにしている。各部は、原稿読取部6、画像処理部7、作像部21、定着部11、電圧検出部17、搬送部3、排紙部5、給紙部5、メモリ部8、及びインターフェース18等からなる。画像読取部6は原稿などの画像を読み取り、画像処理部7は、読み取った画像データあるいは外部から転送されてきた画像データを印字可能な画像データ処理し、印字データとして出力する。作像部21は、画像処理部7から出力される印字データに基づいて記録媒体である例えば用紙に画像を作像し、定着部11は用紙に作像されたトナー画像を加熱及び加圧により定着する。用紙は給紙部5から搬送部3によって作像部21に搬送され、作像及び定着後は排紙部4から排紙される。
【0018】
メモリ部8はROM9及びRAM10を含む。ROM9には、CPU2が実行するプログラムコードが格納され、CPU2はプログラムコードをROM9から読み出し、RAM10に展開して、RAM10をデータバッファとしても使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムを実行し、各部を制御する。RAM10は制御データ及び画像データを記憶する。また、RAM10は検出電圧を1次的に格納し、ROM9は定着制御パターンが恒久的に格納されている。
【0019】
定着部11は、トナーを用紙に対して熱溶着するための熱源(発熱体)13及び熱源13を制御する熱源制御回路部12、並びに加熱ローラ及び定着ローラの温度を検出するサーミスタ15及びサーミスタ15で検出したアナログ値をCPUで処理するためのデジタル値にA/D変換してCPU2に通知するA/D変換器14を含む。電圧検出部17はオーバーシュートや電力不足のない制御を行うために電圧検出を行い、A/D変換部16は検出したアナログ電圧をCPU2で処理するためのデジタル値に変換し、CPU2に通知する。なお、熱源13は特許請求の範囲における発熱体に相当する。
【0020】
インターフェース18はパソコンなどの外部通信機器20やハードディスク装置などの外部記憶素子19と接続する接続手段として機能し、外部から画像形成装置1内に画像データを取り込む。
【0021】
図1に示した定着装置100−1は画像形成装置1でいう定着部11に、熱源13は定着ヒータ101に、熱源制御回路部12は定着制御回路104に対応する。
【0022】
図3は、このように構成された本実施形態に係る定着装置100−1の動作タイミングを示すタイミングチャート、図4は本実施例における制御手順を示すフローチャートである。本実施形態では、定着装置100−1は、突入電流が安定するまでの期間(以下、「突入安定期間」と称す。)後から電圧検出を開始するという制御シーケンスにしている。
【0023】
すなわち、本実施形態では、主電源が入ると(タイミングT1)、DC電源が立ち上がり、所定のソフト処理が実行された後、リレー103がONされる(タイミングT2)。リレーONが確認されると、定着制御回路がONされ、定着ヒータ101がONとなる(タイミングT3)。定着ヒータ101ONにより定着ソフトスタート制御が開始し、同時に突入安定期間T10と電圧検知開始待機時間T20が開始する。定着ヒータ101の温度が所定温度まで昇温して突入安定期間T10が経過し(タイミングT6)、さらに電圧検知開始待機時間T20が経過した時点で電圧検出部(AC電圧検知回路105)17の電圧検出動作を開始する(タイミングT7)。その後、検出された電圧に基づいてステップS107以降の処理を実行し(タイミングT5’)、目標温度に達した時点で立ち上げ制御を終了する。
【0024】
その際、初期的には、定着ヒータ101の温度が目標温度まで上昇するように制御し、目標温度に達すると、本制御を終了し、その後は他の制御により定着温度を維持するように制御される。これにより、オーバーシュート及び電力不足の発生を防止することができる。本実施例では、前記タイミングT1からT5’までの制御が対象である。
【0025】
このタイミングチャートの動作と制御手順を対照すると、タイミングT2でリレー103がONされると(ステップS101)、ASIC107は上限デューティを設けずに、定着制御回路104に定着ヒータON信号を出力する(タイミングT3:ステップS102)。定着ヒータON信号によって定着制御回路104はONとなり、定着ヒータ101の通電制御を開始する(ステップS103)。その際、ステップS102で上限デューティが設けられていないので、定着制御回路104の通電制御のデューティ制限なしである。ここで定着ヒータ101がONになると、定着ソフトスタート制御、突入安定期間、電圧検知開始持続時間が開始される。
【0026】
そして、定着ソフトスタート制御が終了し(タイミングT4)、突入安定期間T10が経過し(タイミングT10)、さらに、電圧検知開始待機時間(T20)が経過した時点(タイミングT7)でAC電圧検知回路105による電圧検出処理が開始される。電圧検出が開始されると、AC電圧検知回路105はAC/DC変換し(ステップS104)、ACIC107でAC電圧検知回路105から入力されたDCをAC変換器で取り込む(ステップS105)。ASIC107では、ASIC107内に設定されたテーブルに基づいてAC電圧値を判断する(ステップS106)。そして、このAC電圧値に基づいて定着ヒータON時の上限デューティを決定し(ステップS107)、上限デューティを設けて定着制御回路104に定着ON信号を出力する(ステップS108)。
【0027】
定着制御回路104は定着ON信号によりONされ、デューティ制限がされた状態で定着ヒータ101の通電制御を実行する(ステップS109)。その間、図示しないヒータ温度検出センサの検出温度と定着目標温度を比較し(ステップS110)、目標温度に達するまでステップS108からステップS110の制御を繰り返し、目標温度に達した時点で定着制御回路104をOFFし(ステップS111)、定着ヒータの立ち上げ制御を終了する。
【0028】
図5はこのときの時間に対する温度変化特性を示す図である。図5では、従来例の場合と本実施形態の場合の2つの特性を比較のために示している。従来例では、図Cに示すT2のタイミングでリレー103がONとなり、通電が開始されるとすぐに定着ヒータ101の両端の電圧を検知し、その検知した電圧に基づいてON/OFFデューティを制御している。これに対し、本実施形態では、タイミングT2でリレー103がONとなり、突入安定時間T10、電圧検知開始持続時間T20が経過したT7のタイミングで電圧検出を開始している。そして、電圧検出完了後に、その検出した定着ヒータ101に印加される実電圧に基づいてデューティ制限し、定着ヒータ101の通電制御を実行する。
【0029】
すなわち、従来では、通電開始時に商用電源の100Vが検知され、検知した100Vの電圧に基づいてデューティが設定され、定着ヒータ101は検知電圧100Vとして通電制御が実行される。これに対し、本実施形態では、図3に示したようにリレー103ON後の過渡時期を経て電圧が安定した後、定着ヒータ101両端の実電圧を検知し、この実電圧に基づいて定着ヒータ101のON/OFFデューティが設定される。その結果、図5に示すように本実施形態では、オーバーシュートは非常に小さくなり、安定した温度制御が可能となる。なお、本実施形態では、T7のタイミングはリレーON(T2)から1秒程度であり、定着ヒータ101が昇温して定常状態になるのは10秒程度である。
【0030】
また、T7のタイミング以降の実電圧は97V程度であり、T2のタイミングにおける100Vとは3V程度の電圧降下が認められる。この3Vは定着ヒータ101の消費電力(以下、「ワット数」と称す。)が大きいと大きな変動要素となり、従来では、定着ヒータ101を発熱させるための電力不足となることがあるが、本実施形態では、実電圧で制御するので、電力不足となることはない。
【実施例2】
【0031】
実施例2は複数本の定着ヒータに対して同時点灯制御を行う場合の例である。本実施例では、ワット数が最も大きな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける。
【0032】
図6は実施例2に係る定着装置100−2の回路構成を示すブロック図である。実施例2は実施例1に対して定着ヒータを複数(2個)及び設け、さらに定着制御回路を当該定着ヒータ毎に設けた例である。この例では、定着ヒータの一方の通電回路にAC電圧検知回路を設けている。その他の各部は実施例1と同様なので、同一若しくは同一と見なせる各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
実施例2に係る定着装置100−2は、実施例1の定着装置100−1に対してリレー103の後段に第2の定着制御回路104−2を備えた定着ヒータ101−2aを、定着ヒータ101と並例に設けたものである。第2の定着制御回路104−2には制御基板106のASIC107に接続され、実施例1における定着制御回路104(以下、実施例2においては符号104−1で示す。)と同様にASIC107によって制御される。なお、実施例1における定着ヒータ101に対応する定着ヒータ(電圧検出対象ヒータ)は、実施例2では、第1の定着ヒータ101−1aである。実施例2では、第1の定着ヒータ101−1aは700W、第2の定着ヒータ101−2aは500Wである。
【0034】
この実施例では、定着ヒータを第1及び第2の2個設けた場合に、AC電圧検知回路105は突入電流が最も大きくなる消費電力の定着ヒータ、ここでは、700Wの第1の定着ヒータ101−1aの定着制御回路104−1の後段に設けられている。そして、第1の定着ヒータ101−1aの両端の実電圧を検出し、この実電圧に基づいてASIC107が第1及び第2の定着制御回路104−1,2にON/OFFデューティを指示し、第1及び第2の定着制御回路104−1,2は、この指示されたON/OFFデューティに基づいてそれぞれ第1及び第2の定着ヒータ101−1a,2aの通電を制御する。
【0035】
このようにワット数の大きな第1の定着ヒータ101−1の両端の実電圧を検出し、第1及び第2の定着ヒータ101−1,2のON/OFFデューティを設定した場合、逆の場合に比べて第2の定着ヒータ101−2aの実電圧と第1の定着ヒータ101−1aと検知電圧との差を小さく抑えることができる。
【0036】
その他の各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能する。
【0037】
本実施例によれば、ワット数が最も大きな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設けたので、そうでない場合に比べて検知電圧と実電圧の差を抑えることができる。
【実施例3】
【0038】
実施例3は、複数本の定着ヒータに対して同時非点灯制御を行う場合の例である。本実施例では、最も早く点灯する定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける。
【0039】
図7は実施例3に係る定着装置100−3の回路構成を示すブロック図である。実施例3では実施例2と同様に実施例1に対して定着ヒータが複数(2個)設けられ、さらに定着制御回路も当該定着ヒータ毎に設けられている。ただし、AC電圧検知回路105は一方の定着ヒータにのみ設けられている。その他の各部は実施例1と同様なので、同一若しくは同一と見なせる各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
実施例3に係る定着装置100−3は、実施例1の定着装置100−1に対してリレー103の後段に第2の定着制御回路104−2を備えた定着ヒータ101−2bを、定着ヒータ101−1bと並例に設けたものである。第2の定着制御回路104−2は制御基板106のASIC107に接続され、実施例1における定着制御回路104(以下、実施例3においては符号104−2で示す。)と同様にASIC107によって制御される。なお、実施例1における定着ヒータ101に対応する定着ヒータ(電圧検出対象ヒータ)は、実施例3では、第1の定着ヒータ101−1bである。
【0041】
実施例としては、第1及び第2の定着ヒータ101−1,2bの通電開始タイミングを異ならせ、早く点灯する第1の定着ヒータ101−1bの両端にAC電圧検出回路105を設けている。なお、実施例2のようにワット数に大小はなく、同一として話を進める。
【0042】
図8は実施例3における定着装置100−3の動作タイミングを示すタイミングチャートである。本実施例では、タイミングT2のリレーONまでは実施例1と同様であるが、リレー103のON確認後、まず、第1のヒータ101−1bをONし(タイミングT31)、第1の定着ヒータ101−1bのソフトスタート制御を開始する。同時に第2の定着ヒータ101−2bの点灯待機期間のカウントをスタートし、予め設定された点灯期間(時間)が経過した時点で第2の定着ヒータ101−2bをONする(タイミングT32)。第2の定着ヒータ101−2bをON動作により、第2の定着ヒータ101−2bのソフトスタート制御が開始される。
【0043】
第1の定着ヒータ101−1bの突入安定期間が経過し、設定温度まで上昇し(タイミングT6)、予め設定したマージンが経過した時点(タイミングT71)で、AC電圧検出回路105によって第1の定着ヒータ101−1bの両端の実電圧検出を行う。そして、検出した実電圧に基づいて第1の定着ヒータ101−1bのON/OFFデューティを設定して第1の定着ヒータ101−1bに通電し(タイミングT5’)、所定温度に上昇するまで、前記ステップS108,S109,S110の処理を繰り返す。そして、設定温度まで上昇した時点でこの立ち上げ制御を終了する。このときの制御手順は図4のフローチャートに示した通りである。他方、第2の定着ヒータ101−2bも第2の定着ヒータ101−2bのONタイミングT32から突入安定期間を経過した所定のタイミングT72より後のタイミングT5’から第1の定着ヒータ101−1bと同様のON/OFFデューティで通電制御される。
【0044】
図8のタイミングチャートから分かるように、第2の定着ヒータ101−2bで電圧の検出を行うと、検出開始タイミングがT72のタイミングとなり、T71のタイミングよりも遅くなる。複数の定着ヒータを備えた定着装置の一定温度まで立ち上げと温度の安定化を図るには、T5’のタイミングを早くする必要がある。そのためには、最初に通電される定着ヒータの電圧を検出し、その検出電圧に基づいて制御することが必須である。
【0045】
その他の各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能する。
【0046】
本実施例によれば、最も早く点灯する定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設けたので、電圧検出開始までの時間を最短にすることができる。
【実施例4】
【0047】
実施例4は、複数本の定着ヒータに対して同時非点灯制御を行う場合の例である。本実施例では、ワット数が小さな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける。
【0048】
図9は実施例4に係る定着装置100−4の回路構成を示すブロック図である。実施例4では実施例2と同様に実施例1に対して定着ヒータが複数(2個)設けられ、さらに定着制御回路も当該定着ヒータ毎に設けられている。また、実施例3と同様に、AC電圧検知回路は一方の定着ヒータにのみ設けられている。その他の各部は実施例1と同様なので、同一若しくは同一と見なせる各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
実施例4に係る定着装置100−4は実施例2に対して第1の定着ヒータ101−1cと第2の定着ヒータ101−2cのワット数が逆になっている。すなわち、AC電圧検知回路105は、ワット数の少ない第1の定着ヒータ101−1cの両端の電圧を検出するように構成されている。なお、実施例4では、第1の定着ヒータ101−1cは500W、第2の定着ヒータ101−2cは700Wである。その他の各部は実施例2と同一である。
【0050】
図10は実施例4に係る定着装置100−4の動作タイミングを示すタイミングチャートである。本実施例では、タイミングT2のリレー103のON、タイミングT3のヒータON、及び定着ソフトスタート制御T4までは実施例1と同様であるが、ワット数の小さな第1の定着ヒータ101−1cの突入安定期間が終了し(T61)、予め設定したマージンが経過した時点T71で第1の定着ヒータ101−1cの両端の電圧検出を開始する(T5’1)。他方、ワット数の大きな第2の定着ヒータ101−2cは第1及び第2の定着ヒータ101−1c,2cのONタイミングT3から突入安定期間を経過した所定のタイミングT72より後のタイミングT5’から第1の定着ヒータ101−1bと同様のON/OFFデューティで通電制御される。
【0051】
図9に示した定着装置の通電制御回路では、AC電圧検知回路105はワット数の小さな第1の定着ヒータ101−1cの両端の実電圧を検知するようになっているので、実電圧を検知しない側の第2の定着ヒータ101−2cについては実施例3と同様の制御が行われる。これに対して、図10に示した第2の定着ヒータ101−2cに関するタイミングは、実施例3のワット数の大きな定着ヒータの両端部の実電圧を検知して制御するタイミングであり、実施例3と同一である。
【0052】
そこで、図10において、電圧検出開始タイミングT71、T72を比較すると、ワット数の小さな定着ヒータ101−1cの方がヒータON後の突入電流の安定期間が短いので、電圧検出開始タイミングも早いことが分かる。図11は図10のヒータON後のワット数の大きな定着ヒータ101−2cとワット数の小さな定着ヒータ101−1cの突入電流の安定期間を比較して示す図である。同図(a)はワット数700W、同図(b)はワット数500Wの例をそれぞれ示す。なお、図では、ヒータワッテージ:700Wと500Wとして表示している。
【0053】
同図からワット数の大きな定着ヒータ101−2cの方が突入電流の安定期間が長い分ことが分かる。そのため、ワット数の大きな定着ヒータ101−2c側で電圧を検出すると、突入電流の安定期間が長い分だけ、電圧検出開始までの時間が長くなる。そこで、本実施例のようにワット数の小さな方の定着ヒータ101−1cの電圧を検出するようにすると、電圧検出開始までの時間を短くすることができる。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、電源側から見て定着制御回路104の後段でAC電圧検知回路105によって電圧を検出し、定着ヒータ101両端の実電圧と差のない検出電圧に基づいて定着ヒータの立ち上げ制御を行うので、オーバーシュートや電力不足のない制御を行うことができる。
【0055】
また、複数本の定着ヒータに対して同時点灯制御を行う場合には、ワット数が最も大きな定着ヒータ側にAC電圧検出回路を設ける方が好ましく、複数本の定着ヒータに対して同時非点灯制御を行う場合には、最も早く点灯する定着ヒータ側あるいはワット数の小さな方の定着側にAC電圧検出回路を設ける方が好ましい。
【0056】
さらに、従来では、電源スイッチがオン状態である限り、常に電圧検出回路で電力を消費する構成となっていたが、本実施形態では、電圧検出はヒータオン(タイミングT3)後、電圧検知開始待機時間T20が経過した後のタイミングT7で開始されるので、その間の電力消費が抑えられ、その分の省エネを図ることができる。
【0057】
なお、特許請求の範囲における発熱体は定着ヒータ101、第1の定着ヒータ101−1a,1b,1c及び第2の定着ヒータ101−2a,2b,2cに、電圧検出手段はAC電圧検知回路105に、制御手段は定着制御回路104に、主制御手段はASIC107に、定着装置は符号100(100−1,2,3,4)及び定着部11に、画像形成装置は符号1に、それぞれ対応する。
【0058】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 、画像形成装置
11 定着部
100、100−1,2,3,4 定着装置
101、101−1a,1b,1c、101−2a,2b,2c 定着ヒータ
104 定着制御回路
105 AC電圧検知回路
107 ASIC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2006−039027号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体への通電を制御する発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体の両端で電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出される前記発熱体の通電時の実電圧に基づいて前記発熱体への通電デューティを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記電圧検出手段が前記制御手段の後段に設けられていること
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体が並列に複数設けられ、
前記制御手段は前記発熱体毎に直列に設けられ、
前記複数の発熱体に同時に通電が開始される場合、前記電圧検出手段は突入電流が最も大きくなる発熱体に直列に設けられた制御手段の後段で電圧検出を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体が並列に複数設けられ、
前記制御手段は前記発熱体毎に直列に設けられ、
前記複数の発熱体に非同時に通電が開始される場合、前記電圧検出手段は最も早く通電が開始される発熱体に直列に設けられた制御手段の後段で電圧検出を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体が並列に複数設けられ、
前記制御手段は前記発熱体毎に直列に設けられ、
前記複数の発熱体に非同時に通電が開始される場合、前記電圧検出手段は突入電流が最も小さくなる発熱体に直列に設けられた制御手段の後段で電圧検出を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記制御手段に制御信号を出力する主制御手段をさらに備え、
前記主制御手段は、前記発熱体に対してデューティ制限なしで通電を開始させるオン信号を前記制御手段に出力し、
前記制御手段は前記出力に基づいて前記発熱体をデューティ制限なしで通電し、
前記電圧検出手段は通電された前記発熱体両端からAC電圧を検出してDC電圧に変換し、
前記主制御手段は変換されたDC電圧に基づいて検出したAC電圧値を判断し、当該判断したAC電圧値に基づいて前記発熱体の通電上限デューティを決定し、当該決定された上限デューティで前記発熱体に通電する通電オン信号を前記制御手段に出力し、
前記制御手段は前記上限デューティで前記発熱体の通電制御を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の発熱体通電制御装置であって、
前記上限デューティで制限された通電を、前記発熱体が目標温度に達するまで繰り返すこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発熱体通電制御装置を備えていることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項8記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
発熱体の通電制御を行う発熱体通電制御方法であって、
前記発熱体の両端で電圧検出手段によって電圧を検出する工程と、
前記電圧を検出する工程で検出される前記発熱体の通電時の実電圧に基づいて前記発熱体への通電デューティを制御する工程と、
を備えたことを特徴とする発熱体通電制御方法。
【請求項1】
発熱体への通電を制御する発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体の両端で電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出される前記発熱体の通電時の実電圧に基づいて前記発熱体への通電デューティを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記電圧検出手段が前記制御手段の後段に設けられていること
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体が並列に複数設けられ、
前記制御手段は前記発熱体毎に直列に設けられ、
前記複数の発熱体に同時に通電が開始される場合、前記電圧検出手段は突入電流が最も大きくなる発熱体に直列に設けられた制御手段の後段で電圧検出を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体が並列に複数設けられ、
前記制御手段は前記発熱体毎に直列に設けられ、
前記複数の発熱体に非同時に通電が開始される場合、前記電圧検出手段は最も早く通電が開始される発熱体に直列に設けられた制御手段の後段で電圧検出を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記発熱体が並列に複数設けられ、
前記制御手段は前記発熱体毎に直列に設けられ、
前記複数の発熱体に非同時に通電が開始される場合、前記電圧検出手段は突入電流が最も小さくなる発熱体に直列に設けられた制御手段の後段で電圧検出を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発熱体通電制御装置であって、
前記制御手段に制御信号を出力する主制御手段をさらに備え、
前記主制御手段は、前記発熱体に対してデューティ制限なしで通電を開始させるオン信号を前記制御手段に出力し、
前記制御手段は前記出力に基づいて前記発熱体をデューティ制限なしで通電し、
前記電圧検出手段は通電された前記発熱体両端からAC電圧を検出してDC電圧に変換し、
前記主制御手段は変換されたDC電圧に基づいて検出したAC電圧値を判断し、当該判断したAC電圧値に基づいて前記発熱体の通電上限デューティを決定し、当該決定された上限デューティで前記発熱体に通電する通電オン信号を前記制御手段に出力し、
前記制御手段は前記上限デューティで前記発熱体の通電制御を行うこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の発熱体通電制御装置であって、
前記上限デューティで制限された通電を、前記発熱体が目標温度に達するまで繰り返すこと
を特徴とする発熱体通電制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発熱体通電制御装置を備えていることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項8記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
発熱体の通電制御を行う発熱体通電制御方法であって、
前記発熱体の両端で電圧検出手段によって電圧を検出する工程と、
前記電圧を検出する工程で検出される前記発熱体の通電時の実電圧に基づいて前記発熱体への通電デューティを制御する工程と、
を備えたことを特徴とする発熱体通電制御方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図3】
【図5】
【図13】
【図2】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図3】
【図5】
【図13】
【公開番号】特開2012−212101(P2012−212101A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277439(P2011−277439)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]