説明

発熱機器収容ラックの吸排気構造及びデータセンタ

【課題】複数の発熱機器に適切に冷気を供給でき、かつ、発熱機器収容ラックから排気される空気の温度を下げないようにすることで、効率のよい熱回収が実現可能な発熱機器収容ラックの吸排気構造及びデータセンタを提供を提供する。
【解決手段】発熱機器収容ラック4に収容される複数の発熱機器A,Bが、排気温度が所定温度以下の低発熱機器Aと、排気温度が所定温度より高い通常発熱機器Bとからなり、発熱機器収容ラック4内の下方に、低発熱機器Aを積層してなる低発熱機器エリア31を形成すると共に、発熱機器収容ラック4の後面側に低発熱機器エリア31の直上の通常発熱機器Bの下部側と発熱機器収容ラック4の下部の間に、低発熱機器Aの排気を発熱機器収容ラック4の後方へ直接排気させることを妨げるための後面仕切部32を設けて、後面仕切部32の上方のみで排気可能とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーなどの発熱機器を上下方向に積層して収容する発熱機器収容ラックの吸排気構造及びデータセンタに係り、特に、発熱機器収容ラック内に収容される発熱機器に低発熱機器が含まれる場合であっても、発熱機器収容ラックから排気される空気の温度を下げないようすることができ、効率のよい熱回収が可能な発熱機器収容ラックの吸排気構造及びデータセンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発熱体である発熱機器、例えば、サーバーなどの電子機器は、サーバーラックなどの発熱機器収容ラック内に多段に収容されて空調室内に配置される。サーバーなどの電子機器では電力消費に伴い熱が発生するので、この熱による悪影響を排除するために、空調機などの冷却システムにより発熱機器収容ラック内に収容された発熱機器に空調空気(冷気)を供給し、発熱機器で発生した熱を除去するのが一般的である。
【0003】
従来のデータセンタとして、特許文献1および特許文献2では、吸気と排気を行うファンを有するサーバー等を、複数段、積層してサーバーラックに収容し、そのサーバーラックを複数個、直線状に同じ方向に向けて配列することでラック列を構成し、2列のラック列を対向するように配置すると共に、その2列のラック列の間を塞ぐことで、1つのラックモジュールを構成することが提案されている。
【0004】
特許文献1では、2列のラック列を排気側である後面側を対向させて配置することで、ラック列間に、ホットエリアを形成している点が特徴的である。
【0005】
また、特許文献2では、2列のラック列を吸気側である前面側を対向させて配置することで、ラック列間に、クールエリアを形成している点が特徴的である。
【0006】
このように、データセンタでは、空調機からの空調空気(冷気)と、サーバーラックの後面から排出される熱気とを区別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2006−526205号公報
【特許文献2】特開2007−316989号公報
【特許文献3】実開昭63−159895号公報
【特許文献4】特開2006−140343号公報
【特許文献5】特表2007−502027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、熱の再利用といった省エネルギー技術が盛んであるが、そんな中、本発明者らは、サーバーラックの後面から排出される熱気を熱回収し、ボイラー等に利用する技術を開発した。
【0009】
しかし、例えば、1つのサーバーラックに発熱量が相違するサーバーを収容した場合や、サーバー内のファンの排気能力が高すぎてサーバー内の空気の循環が良い場合など、ある特定のサーバーの排気温度が低い場合がある。このような排気温度の低いサーバーが1つでもサーバーラック内に収容されていると、そのサーバーラック全体での排気温度が低下してしまい、効率的に熱回収を行うことができなくなるという問題が生じる。
【0010】
そこで、この問題を解決するために、特許文献3に記載されるように、排気温度が低いサーバーを直列状に配置して、上流側に配置されたサーバーの排気を下流側のサーバーに供給することで、上流側に配置されたサーバーからの排気を下流側のサーバーでさらに暖めて排気するようにし、サーバーラック全体での排気温度を高く保つことが考えられる。
【0011】
しかし、この場合、冷気を吸い込む吸気口から遠い下流側に位置するサーバーに十分な冷気が供給できず、下流側のサーバー自体の放熱が不十分になるおそれがある。また、吸気口から近い上流側に位置するサーバーが故障すると、上流側に位置するサーバーが邪魔になり、吸気口から遠い下流側に位置するサーバーに、十分な冷気が供給できないことも考えられ、問題である。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、複数の発熱機器を収容することができる発熱機器収容ラックにおいて、複数の発熱機器に適切に冷気を供給でき、かつ、発熱機器収容ラックから排気される空気の温度を下げないようにすることで、効率のよい熱回収が実現可能な発熱機器収容ラックの吸排気構造及びデータセンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、吸気と排気を行うためのファンを有し、前面側から吸気し後面側から排気する複数の発熱機器を、上下方向に積層して収容する発熱機器収容ラックの吸排気構造において、前記複数の発熱機器は、排気温度が所定温度以下の低発熱機器と、排気温度が所定温度より高い通常発熱機器とからなり、前記発熱機器収容ラック内の下方に、前記低発熱機器を積層してなる低発熱機器エリアを形成すると共に、前記低発熱機器の上方に前記通常発熱機器を積層し、かつ、両発熱機器を、前記発熱機器収容ラックの前面側を吸気側、後面側を排気側として、吸気側と排気側が揃うように配置し、前記発熱機器収容ラックは、その前面側が上下方向にわたって前記両発熱機器に対応するように吸気可能とされると共に、その後面側に前記低発熱機器エリアの直上の前記通常発熱機器の下部側と前記発熱機器収容ラックの下部の間に、前記低発熱機器の排気を前記発熱機器収容ラックの後方へ直接排気させることを妨げるための後面仕切部を設けて、後面側が前記後面仕切部の上方のみで排気可能とされる発熱機器収容ラックの吸排気構造である。
【0014】
前記発熱機器収容ラック内の前記低発熱機器エリアの下方に、前記両発熱機器を配置しない暖気収容空間を形成し、前記低発熱機器からの温度が低い排気を前記暖気収容空間に導入するようにしてもよい。
【0015】
前記発熱機器収容ラックの前面側の下方において、前記低発熱機器エリアの下部側と前記発熱機器収容ラックの下部の間に、前記暖気収容空間に導入された前記低発熱機器の排気が前記発熱機器収容ラックの前面から前方に流出するのを妨げるための前面仕切部を設けてもよい。
【0016】
また、本発明は、前記発熱機器収容ラックの吸排気構造を有する発熱機器収容ラックを複数台左右方向に並べてラック列を形成すると共に、該ラック列の後面側同士を間隔をおいて向かい合わせて空調室内の床面上に配置し、その向かい合わせたラック列の左右方向の一方の端部に、ラック列の下縁から前記空調室の天井に延びるパネルを設けると共に、他方の端部を前記空調室の壁で塞ぎ、かつ、両ラック列の前縁上部に天井に延びるパーティションを設けて、前記空調室内に前記ラック列に囲まれたホットエリアを区画し、そのホットエリア内の天井に、該ホットエリア内の熱気を回収する回収口を形成すると共に、前記空調室内の空調空気をラック列の前面から後面に通して前記ホットエリアに導入するようにしたデータセンタである。
【0017】
さらに、本発明は、前記発熱機器収容ラックの吸排気構造を有する発熱機器収容ラックを複数台左右方向に並べてラック列を形成すると共に、該ラック列の前面側同士を間隔をおいて向かい合わせて空調室内の床面上に配置し、その向かい合わせたラック列の左右方向の一方の端部に、ラック列の下縁から前記空調室の天井に延びるパネルを設けると共に、他方の端部を前記空調室の壁で塞ぎ、かつ、両ラック列の前縁上部に天井に延びるパーティションを設けて、前記空調室内に前記ラック列に囲まれたクールエリアを区画し、そのクールエリア内の天井に、空調機からの空調空気を供給する供給口を形成すると共に、前記クールエリア以外のホットエリアの天井に熱気を回収する回収口を形成し、前記空調空気をラック列の前面から後面に通して前記ホットエリアに導入するようにしたデータセンタである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の発熱機器に適切に冷気を供給でき、かつ、発熱機器収容ラックから排気される空気の温度を下げないようにすることで、効率のよい熱回収が実現可能な発熱機器収容ラックの吸排気構造及びデータセンタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデータセンタの平面図である。
【図2】図1のデータセンタ内に配置されるラック群の正面図である。
【図3】図2のラック群のサーバーラック内の空気の流れ(吸排気の様子)を説明する説明図である。
【図4】図2のラック群のサーバーラック内における低発熱機器エリアの空気の流れ(吸排気の様子)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係るデータセンタの平面図である。
【0022】
図1に示すように、データセンタ1は、空調室2内に4つのラック群3を配置して構成されている。空調室2には、空調室2に出入りするための扉が設けられているが、図1では省略している。
【0023】
ラック群3は、発熱機器収容ラックとしてのサーバーラック4を複数台左右方向に直線状に並べてラック列5を形成し、2列のラック列5の後面側同士を間隔をおいて向かい合わせて(背向列設して)空調室2内の床面上に配置し、かつ、その向かい合わせたラック列5の左右方向の一方の端部にパネル(側壁)6を設けると共に、他方の端部を空調室2の壁Wで塞ぐことにより構成されている。
【0024】
サーバーラック4の高さが空調室2の天井に届かない場合、図2に示すように、パネル6を天井Rまで延長すると共に、天井Rとサーバーラック4との間を塞ぐ、パーティション(上部閉塞部材)7を設ける。パーティション7は、ラック列5の前縁上部から天井Rに延びるように形成されており、適宜分割されていてもよい。
【0025】
ラック群3を形成することで、空調室2内にラック列5に囲まれたホットエリアHが区画される。ラック列5の端部に設けられたパネル6には、ホットエリアH内に出入りするための扉(図示せず)が形成されている。
【0026】
ホットエリアH内の天井Rには、ホットエリアH内の熱気を回収する回収口(図示せず)が複数形成され、ホットエリアH以外の空調室2であるクールエリアCの天井Rには、図示しない空調機からの空調空気(冷気)が供給される供給口(図示せず)が複数形成されている。これら供給口および回収口には、それぞれに接続されるダクトが天井Rに設けられており、空調室2内の空調空気をラック列5の前面から後面に通してホットエリアHに導入するようにしている。回収口より回収された熱気は、回収口に接続されたダクトを通って、例えば、ボイラ等に供給される。
【0027】
なお、本明細書では、空調機からの空調空気(冷気)を供給されるエリアをクールエリアC、サーバーラック4からの熱気が排気されるエリアをホットエリアHという。クールエリアCの温度は約10〜25℃であり、ホットエリアHの温度は約25〜40℃である。
【0028】
次に、本実施の形態に係る発熱機器収容ラックの吸排気構造を説明する。
【0029】
図2に示すように、発熱機器収容ラックとしてのサーバーラック4は、直方体の箱状に形成され、発熱機器としての複数のサーバーA,Bを、上下方向に積層して収容する。
【0030】
サーバーラック4の前面側には、開閉自在な前面板4aが設けられており、後面側には、図示しないが前面側と同様に後面板が設けられている。前面板と後面板はメッシュ状に形成されている。
【0031】
図2の中央部に示すように、サーバーラック4の内部には、前面側に2本、後面側に2本という具合に、4本の支柱20が配置され、かつ、前面側の2本の支柱20の間、および後面側の2本の支柱20の間を掛け渡すように複数個の横桁21がそれぞれ設けられており、この横桁21にサーバーA,Bを載置するように構成されている。本実施の形態では、全てのサーバーラック4が同じ内部構造とされるが、全てではなく、一部のサーバーラック4が同じ内部構造であってもよい。
【0032】
横桁21は、その両端がボルト22にて支柱20に固定されるが、支柱20には、ボルト22と螺合する穴(図示せず)が段階的に形成されており、サーバーラック4に載置するサーバーA,Bの高さに合わせて、上下方向に、取り付け位置を調整できるようになっている。
【0033】
サーバーラック4内に収容されるサーバーA,Bは、吸気と排気を行うためのファン(図示せず)を有し、前面側から吸気し後面側から排気するようにされる。サーバーA,Bは、サーバーラック4の前面側を吸気側、後面側を排気側として、吸気側と排気側が揃うようにそれぞれサーバーラック4内に配置される。
【0034】
サーバーラック4内には、排気温度が所定温度以下の低発熱機器であるサーバーAと、排気温度が所定温度より高い通常発熱機器であるサーバーBが収納される。
【0035】
サーバーAは、暖気(約25〜32℃の空気)が排気されるサーバーであり、サーバーBは熱気(約32〜40℃の空気)が排気されるサーバーである。ここでは、便宜上2種類のサーバーA,Bを用いる場合を説明するが、決して、サーバーの型番が2種類あるという意味ではなく、サーバーA,Bは、複数種類の型番のサーバーを含むものであってもよい。
【0036】
本実施の形態では、3台のサーバーA1〜A3と、4台のサーバーB1〜B4をサーバーラック4内に収容する場合を説明する。
【0037】
図2および図3に示すように、サーバーラック4内には、下方から上方にかけて、サーバーA1、サーバーA2、サーバーA3、サーバーB1、サーバーB2、サーバーB3、およびサーバーB4が順次配置される。サーバーラック4内の下方に配置されたサーバーA1〜A3を積層したエリアを、低発熱機器エリア31と称する。
【0038】
最も下方に配置されたサーバーA1の下方、すなわち低発熱機器エリア31の下方には、サーバーA,Bを配置しない暖気収容空間32が形成される。
【0039】
本実施の形態に係る発熱機器収容ラックの吸排気構造100では、サーバーラック4の後面側に低発熱機器エリア31の直上のサーバーB1の下部側とサーバーラック4の下部の間に、低発熱機器であるサーバーA1〜A3の排気をサーバーラック4の後方へ直接排気させることを妨げるための後面仕切部33が設けられる。これにより、サーバーラック4の後面側では、後面仕切部33の上方のみで排気可能とされる。
【0040】
後面仕切部33は、その上端が、サーバーA1〜A3のうち最も上方に配置されたサーバーA3の上面(図3に破線aで示す位置)から、サーバーB1〜B4のうち最も下方に設置されたサーバーB1の下面(図3に破線bで示す位置)の間にくるように形成されることが望ましい。
【0041】
また、サーバーラック4の前面側の下方において、低発熱機器エリア31の下部側とサーバーラック4の下部の間に、暖気収容空間32に導入されたサーバーA1〜A3の排気がサーバーラック4の前面から前方に流出するのを妨げるための前面仕切部34が設けられる。前面仕切部34は、サーバーラック4下方のサーバーA,Bが配置されていない部分の前面側を塞ぐように設けられる。これにより、サーバーラック4の前面側では、前面仕切部34の上方のみで排気可能となるが、サーバーA,Bは全て暖気収容空間32の上方に配置されるので、サーバーラック4の前面側では、上下方向にわたってサーバーA,Bに対応するように吸気可能とされていることとなる。
【0042】
サーバーラック4内の空気の流れを図3および図4を用いて説明する。
【0043】
図3および図4に示すように、低発熱機器であるサーバーA1〜A3からの排気は、サーバーラック4の後面側で後面側仕切部33に衝突する。サーバーA1〜A3からの排気は、熱気ではなく暖気であり比重が重いため、下方に流れて暖気収容空間32に導入される。
【0044】
暖気収容空間32に導入された暖気は、図4に矢印41で示すように、押し出されるようにサーバーラック4内の前方に誘導され、さらに、前面仕切部34に衝突して上方に誘導されて、再びサーバーA1〜A3に吸気される。つまり、サーバーA1〜A3は、サーバーラック4の前面側から供給される空調空気と、暖気収容空間32からの暖気(サーバーA1〜A3からの排気)を吸気することになる。
【0045】
なお、サーバーA1〜A3から排気された空気の一部は、サーバーA1とサーバーA2間の空間や、サーバーA2とサーバーA3間の空間を通ってサーバーA1〜A3の前方に誘導される。
【0046】
サーバーA1〜A3を複数回通過すると、たとえ低発熱機器といっても、サーバーA1〜A3からの排気は次第に温度が上がって熱気となる。熱気となった排気は比重が軽いため、図4に矢印42で示すように上方に流れ、後面仕切部33の上方からサーバーラック4の後方、すなわちホットエリアHに排出される。
【0047】
サーバーB1〜B4については、前面側から空調空気を中心に吸気を行い、後面側から熱気を排気する。ただし、サーバーA1〜A3からの排気が全く吸気されないわけではなく、サーバーA1〜A3からの排気も多少は吸気されることとなる。
【0048】
本実施の形態の作用を説明する。
【0049】
本実施の形態に係る発熱機器収容ラックの吸排気構造100では、サーバーラック4内の下方に、低発熱機器であるサーバーA1〜A3を積層してなる低発熱機器エリア31を形成し、サーバーラック4の前面側を、上下方向にわたってサーバーA,Bに対応するように吸気可能とすると共に、サーバーラック4の後面側に低発熱機器エリア31の直上のサーバーB1の下部側とサーバーラック4の下部の間に、サーバーA1〜A3の排気をサーバーラック4の後方へ直接排気させることを妨げるための後面仕切部33を設けている。
【0050】
つまり、本実施の形態に係る発熱機器収容ラックの吸排気構造100では、低発熱機器であるサーバーA1〜A3からの排気温度の低い空気をそのままホットエリアHに排気するのではなく、再利用し、再びサーバーA1〜A3の冷却に利用しており、排気温度が高くなってからホットエリアHに導入するようにしている。
【0051】
排気温度の低い空気をそのまま排出しないことにより、排気温度が低い低発熱機器であるサーバーA1〜A3がサーバーラック4内に収容される場合であっても、サーバーラック4から排気される空気の温度(排気温度)を下げないようにすることが可能となり、効率のよい熱回収が実現可能となる。
【0052】
さらに、本実施の形態では、発熱機器であるサーバーA,Bを上下方向に積層して収容しており、サーバーラック4の前面側が上下方向にわたってサーバーA,Bに対応するように吸気可能とされているため、サーバーA,Bに対して適切に空調空気を供給することが可能となり、サーバーA,Bの放熱が不十分となることがない。
【0053】
また、本実施の形態では、サーバーラック4内の低発熱機器エリア31の下方に、サーバーA,Bを配置しない暖気収容空間32を形成している。
【0054】
これにより、サーバーラック4内の下方に形成された暖気収容空間32に排気温度の低い空気をためることができ、排気温度の低い空気がサーバーラック4内の下方にたまり過ぎて、後面仕切部33を乗り越えてしまうことを防止できる。
【0055】
さらに、本実施の形態では、サーバーラック4の前面側の下方において、低発熱機器エリア31の下部側とサーバーラック4の下部の間に前面仕切部34を設けているため、暖気収容空間32に導入されたサーバーA1〜A3の排気が、サーバーラック4の前面から前方のクールエリアCに流出してしまうことを防止できる。
【0056】
上記実施の形態では、発熱機器としてサーバーA,Bを挙げたが、別の発熱機器、例えば、スイッチングハブや電源装置などであってもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、1つのサーバーラック4に複数の低発熱機器(サーバA)を設けた場合を説明したが、1つだけ設けた場合であってもよい。
【0058】
さらに、上記実施の形態では、ラック列5間にホットエリアHを形成するタイプのデータセンタ1を説明したが、ラック列5間にクールエリアCを形成するタイプのデータセンタであってもよい。
【0059】
この場合、ラック列5の前面側同士を間隔をおいて向かい合わせてラック群3を形成して、空調室2内にラック列5に囲まれたクールエリアCを区画し、そのクールエリアC内の天井Rに、空調機からの空調空気を供給する供給口を形成すると共に、クールエリアC以外のホットエリアHの天井Rに熱気を回収する回収口を形成するようにすればよい。
【0060】
このように、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 データセンタ
2 空調室
3 ラック群
4 サーバーラック(発熱機器収容ラック)
5 ラック列
6 パネル
7 パーティション
20 支柱
21 横桁
22 ボルト
31 低発熱機器エリア
32 暖気収容空間
33 後面仕切部
34 前面仕切部
A サーバー(低発熱機器)
B サーバー(通常発熱機器)
100 発熱機器収容ラックの吸排気構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気と排気を行うためのファンを有し、前面側から吸気し後面側から排気する複数の発熱機器を、上下方向に積層して収容する発熱機器収容ラックの吸排気構造において、
前記複数の発熱機器は、排気温度が所定温度以下の低発熱機器と、排気温度が所定温度より高い通常発熱機器とからなり、
前記発熱機器収容ラック内の下方に、前記低発熱機器を積層してなる低発熱機器エリアを形成すると共に、前記低発熱機器の上方に前記通常発熱機器を積層し、かつ、両発熱機器を、前記発熱機器収容ラックの前面側を吸気側、後面側を排気側として、吸気側と排気側が揃うように配置し、
前記発熱機器収容ラックは、その前面側が上下方向にわたって前記両発熱機器に対応するように吸気可能とされると共に、その後面側に前記低発熱機器エリアの直上の前記通常発熱機器の下部側と前記発熱機器収容ラックの下部の間に、前記低発熱機器の排気を前記発熱機器収容ラックの後方へ直接排気させることを妨げるための後面仕切部を設けて、後面側が前記後面仕切部の上方のみで排気可能とされることを特徴とする発熱機器収容ラックの吸排気構造。
【請求項2】
前記発熱機器収容ラック内の前記低発熱機器エリアの下方に、前記両発熱機器を配置しない暖気収容空間を形成し、前記低発熱機器からの温度が低い排気を前記暖気収容空間に導入するようにした請求項1記載の発熱機器収容ラックの吸排気構造。
【請求項3】
前記発熱機器収容ラックの前面側の下方において、前記低発熱機器エリアの下部側と前記発熱機器収容ラックの下部の間に、前記暖気収容空間に導入された前記低発熱機器の排気が前記発熱機器収容ラックの前面から前方に流出するのを妨げるための前面仕切部を設けた請求項2記載の発熱機器収容ラックの吸排気構造。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の発熱機器収容ラックの吸排気構造を有する発熱機器収容ラックを複数台左右方向に並べてラック列を形成すると共に、該ラック列の後面側同士を間隔をおいて向かい合わせて空調室内の床面上に配置し、その向かい合わせたラック列の左右方向の一方の端部に、ラック列の下縁から前記空調室の天井に延びるパネルを設けると共に、他方の端部を前記空調室の壁で塞ぎ、かつ、両ラック列の前縁上部に天井に延びるパーティションを設けて、前記空調室内に前記ラック列に囲まれたホットエリアを区画し、そのホットエリア内の天井に、該ホットエリア内の熱気を回収する回収口を形成すると共に、前記空調室内の空調空気をラック列の前面から後面に通して前記ホットエリアに導入するようにしたことを特徴とするデータセンタ。
【請求項5】
請求項1〜3いずれかに記載の発熱機器収容ラックの吸排気構造を有する発熱機器収容ラックを複数台左右方向に並べてラック列を形成すると共に、該ラック列の前面側同士を間隔をおいて向かい合わせて空調室内の床面上に配置し、その向かい合わせたラック列の左右方向の一方の端部に、ラック列の下縁から前記空調室の天井に延びるパネルを設けると共に、他方の端部を前記空調室の壁で塞ぎ、かつ、両ラック列の前縁上部に天井に延びるパーティションを設けて、前記空調室内に前記ラック列に囲まれたクールエリアを区画し、そのクールエリア内の天井に、空調機からの空調空気を供給する供給口を形成すると共に、前記クールエリア以外のホットエリアの天井に熱気を回収する回収口を形成し、前記空調空気をラック列の前面から後面に通して前記ホットエリアに導入するようにしたことを特徴とするデータセンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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