説明

発電システム

【課題】回転時に永久磁石がコアから受ける抵抗が小さく、ロータの回転負荷トルクを減少させて発電効率を向上させ、ステータコイル間の干渉を防ぎ、コイル毎に生じた電力を加算して大きな発電出力が得られる発電機システムの提供。
【解決手段】回転軸に取り付けられたロータと、ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なるように永久磁石が複数配置された第一界磁部と、永久磁石の端面に固着された第一磁束遮断部材と、端部に第一磁束遮断部材とギャップを介して対向する第一対向面を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコアと、コアに巻回されたコイル毎又は同位相の交流起電力が発生するコイル群毎に変圧器又は整流器に接続されたステータコイルと、を備えた発電機と、ステータコイルと変圧器又は整流器との間に並列に接続されステータコイルを短絡する第一のリレースイッチと、変圧器又は整流器の出力電圧を入力して蓄電する蓄電池と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を配置したロータの回転により、ステータコイルに誘導電圧を生じさせる発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁石を多数配置したロータと、ステータコイルを有するステータと、を備え、ロータを回転させることによりステータコイルに誘導電圧を生じさせる発電機が知られている。
例えば、(特許文献1)には、「複数の永久磁石が円環列状に設けられた円板状のロータと、永久磁石の回転軌道面を両側から隙間をもって挟み込むように円環列状に配置されたコアレスコイルと、コアレスコイル間に配置され回転自在に形成された磁石車と、を備えた発電装置」が開示されている。
(特許文献2)には、「界磁極を形成するN磁極とS磁極とを交互に配設した磁極ロータと、ステータ鉄心にステータコイルを巻装したステータ極と、ステータ極のステータコイル毎又はロータの回転に伴い同位相の交流起電力が発生するステータコイル群毎に接続された整流回路と、を備えた発電機」が開示されている。
【0003】
(特許文献3)には、「ロータの外周に沿って配置された複数の永久磁石ユニットと、前記永久磁石ユニットの外側に配置された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイルと、を備えた発電機と、前記コイルより出力される交流電圧を直流電圧に変換する整流器と、前記整流器により出力される直流電圧を入力して蓄電する蓄電池と、を備え、前記蓄電池により出力される電圧の一部を負荷に供給するとともに、前記蓄電池より出力される電圧の一部を前記ロータに回転駆動力を与えるモータへの入力電圧として供給する発電システム」が開示されている。また、明細書の段落〔0032〕、図2及び図3に、実施の形態として、永久磁石ユニットの上端面が描く円状の軌跡に沿って、軟鉄等の常磁性体からなるパイプ(56)が設けられることが記載されている。
【0004】
(特許文献4)には、「ロータの外周に沿って配置された複数の永久磁石ユニットと、前記永久磁石ユニットの外側に配置された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイルと、を備えた発電機と、前記コイルより出力される交流電圧を直流電圧に変換する整流器と、前記整流器の出力電圧に基づき電荷を蓄積するキャパシタと、前記キャパシタと蓄電池との間に接続されオン/オフを切り替え前記キャパシタに蓄積された電荷を前記蓄電池に放電するゲート回路と、を備え、前記蓄電池により出力される電圧の一部を負荷に供給するとともに、前記蓄電池より出力される電圧の一部を前記ロータに回転駆動力を与えるモータへの入力電圧として供給する発電システム」が開示されている。また、明細書の段落〔0033〕、図2及び図3に、実施の形態として、永久磁石ユニットの上端面が描く円状の軌跡に沿って、軟鉄等の常磁性体からなるパイプ(56)が設けられることが記載されている。また、明細書の段落〔0051〕及び図4に、コイル(54)と変圧器(3)や整流器(4)との間に第一のリレースイッチ(11)が直列に接続されていることが記載されており、明細書の段落〔0055〕に、第一のリレースイッチ(11)はゲート回路(15)とは逆相で同期してオン/オフを切り替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2003/094329号公報
【特許文献2】特開2006−191790号公報
【特許文献3】特開2008−220120号公報
【特許文献4】特開2008−245420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術では、回転自在に形成された磁石車をコアレスコイル間に設けるため、構造が複雑化し保守も煩雑化するという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術では、(特許文献2)の段落〔0083〕欄乃至段落〔0088〕欄、図23及び図24に、駆動モータの負荷電流が5.1A(AC)のときに、発電機の出力電圧が292.6V(DC)、出力電流が10.36A(DC)との実施例が記載されており、発電効率が高いことが示されている。しかしながら、本実施例では、発電機の磁極ロータに電磁石を使用しているため、励磁のための電力が必要となる。本実施例の場合は、段落〔0084〕欄に記載されているように、コイルへの印加電圧は約50V、電流は3Aのため、約150Wの電力が消費されている。この励磁のための消費電力により、発電機の発電効率が低下するという課題を有していた。また、磁極ロータに電磁石を使用する場合は、励磁のための電源回路が必要となり、さらに電源回路から磁極ロータに電流を導くためのスリップリングやブラシ等の電気的接点も必要となるため、構造が複雑化し保守も煩雑化するという課題を有していた。
(3)(特許文献3)及び(特許文献4)に開示された技術は、電磁石を使用することなく、磁極ロータに永久磁石を使用した同期発電機を利用した発電システムである。しかしながら、電磁石を単に永久磁石に置き換えた発電機は、磁極ロータを回転させる際に、磁極ロータを回転させる駆動モータの負荷電流が著しく大きくなることがわかった。以下、図面を参照してこの現象を説明する。
【0007】
図10は、永久磁石を使用した従来の同期発電機の原理を説明する模式図である。
図中、100は図示しない磁極ロータに配置された永久磁石、101は永久磁石100の端面、102はコア、103は永久磁石100の端面101と対向するコア102の対向面、104はコア102に巻回されたステータコイル、105はコア102の隣に矢印で示すロータの回転方向に沿って配置されたコア、106は永久磁石100の端面101と対向するコア105の対向面、107はコア105に巻回されたステータコイルである。
以上のように構成された同期発電機において、永久磁石100が配置された図示しない磁極ロータを回転させると、永久磁石100の端面101(N磁極とする)から出てコア102、105に導かれた磁束が変化するので、永久磁石100が離れていくステータコイル104には矢印で示す方向の電流が生じ、ステータコイル104に生じた電流によりコア102の対向面103はS磁極となる。一方、永久磁石100が近づいてくるステータコイル107には矢印で示す方向の電流が生じ、ステータコイル107に生じた電流によりコア105の対向面106はN磁極となる。この結果、永久磁石100は、端面101がコア105の対向面106に近づく間はコア105から反発力を受けるが、対向面106を通過したとたんにステータコイル107を流れる電流の向きが変わるので、コア105の対向面106がS磁極となり、コア105から強い吸引力を受ける。これにより、磁極ロータの回転負荷トルクが大きくなり、磁極ロータを回転させる駆動モータの負荷電流が著しく大きくなるのである。この結果、磁極ロータを回転させるための消費電力が著しく増大し、発電機の発電効率が大幅に低下するという課題を有していた。
このように、磁極ロータを回転させるのに大電力を消費するため、特許文献3及び4に記載されているように、発電機の出力電圧を蓄電池に充電し、この電圧を負荷とロータの駆動モータの両方に供給した場合、発電量が著しく低下し、発電の効率性に欠けるという課題を有していた。
【0008】
(4)(特許文献3)及び(特許文献4)には、永久磁石ユニットの上端面が描く円状の軌跡に沿って、軟鉄等の常磁性体からなるパイプ(56)を設けることが記載されている。軟鉄は強磁性体であるため、特許文献3及び4の「軟鉄等の常磁性体からなるパイプ」という記載は、パイプが軟鉄で形成されているのか、常磁性体で形成されているのかが不明である。強磁性体の軟鉄でパイプが形成されているとすれば、第一永久磁石ユニットと第二永久磁石ユニットからの反対向きの磁束が透磁率の高いパイプを流れ、磁束が相殺されるため、コアに磁束が流れることがなく、ステータコイルに起電力が生じないので発電を行なうことができない。また、常磁性体でパイプが形成されているとすれば、常磁性体は永久磁石が形成する磁場によって特定の方向に弱く磁化され、第一永久磁石ユニットと第二永久磁石ユニットからの反対向きの磁束がパイプを流れ、コアに導入される磁束密度が小さくなり、ステータコイルに生じる起電力が小さいため、発電によって得られる電力はわずかである。以上のように、永久磁石ユニットの上端面に「軟鉄等の常磁性体からなるパイプ」が設けられていると、発電機によって得られる電力が少ないので、発電機によって得られる電力よりロータを駆動させる消費電力が大きいため、蓄電池の電圧が短期間でロータの駆動電圧以下に下回ってしまう。このように、発電機の出力電圧を蓄電池に充電し、この電圧を負荷とロータの駆動モータの両方に供給した場合、発電量が著しく低下し、発電の効率性に欠けるという課題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、永久磁石がコアの対向面を通過する際にコアから受ける反発力や吸引力が少なく、わずかな駆動力でロータを回転させることができ発電効率を向上させることができ、また永久磁石の励磁磁力とコアの磁界磁力によってロータの回転方向に作用する吸引力と反発力をバランスさせて、ロータの回転負荷トルクを減少させることができ、また、ステータコイル間の干渉を防ぎ、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができるため、発電出力を高めることができ、さらに、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に異なる負荷や蓄電池に接続して、各々の電力を利用したり蓄えたりすることができ自在性に優れる発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために本発明の発電システムは、以下の構成を有している。
回転軸に取り付けられたロータと、前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なるように永久磁石が複数配置された第一界磁部と、前記永久磁石の端面に固着された第一磁束遮蔽部材と、前記第一磁束遮蔽部材と間隔をあけて配置され端部に前記第一磁束遮蔽部材とギャップを介して対向する第一対向面を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイル毎又は前記ロータの回転に伴い同位相の交流起電力が発生するコイル群毎に変圧器又は整流器に接続されたステータコイルと、を備えた発電機と、前記ステータコイルと前記変圧器又は前記整流器との間に並列に接続され前記ステータコイルを短絡する第一のリレースイッチと、前記変圧器又は前記整流器の出力電圧を入力して蓄電する蓄電池と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)第一界磁部を構成する永久磁石の端面に固着された第一磁束遮蔽部材と、第一磁束遮蔽部材と間隔をあけて配置され端部に第一磁束遮蔽部材と対向する第一対向面を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコアと、を備えているので、永久磁石の磁束が第一磁束遮蔽部材に導かれ、第一磁束遮蔽部材から出た磁束がコアに導かれる。ロータが回転してコアに導かれた磁束が変化すると、電磁誘導によりステータコイルに電流が流れて発電を行うことができる。一方、永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束は、第一磁束遮蔽部材に遮蔽されて少なくなるので、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際に第一磁束遮蔽部材がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなる。これにより、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
(2)さらに、コアに巻回されたコイル毎又はロータの回転に伴い同位相の交流起電力が発生するコイル群毎に変圧器又は整流器に接続されたステータコイルを備えているので、永久磁石の励磁磁力とコアの磁界磁力によってロータの回転方向に作用する吸引力と反発力をバランスさせて、ロータの回転負荷トルクを減少させることができる。また、ステータコイル間の干渉を防ぐことができるため、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができ、発電出力を高めることができる。また、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に異なる負荷や蓄電池に接続して、各々の電力を利用したり蓄えたりすることができ自在性に優れる。
(3)ステータコイルと変圧器又は整流器との間に並列に接続されステータコイルを短絡する第一のリレースイッチと、変圧器又は整流器の出力電圧を入力して蓄電する蓄電池と、を備えているので、第一のリレースイッチがオフのときは、ステータコイルに発生した交流出力を蓄電池に接続された変圧器又は整流器に入力できる。第一のリレースイッチがオンのときは、ステータコイルが短絡されるので、ステータコイルに発生した交流出力は変圧器又は整流器に入力されず、ステータコイルに短絡電流が遅れ位相で流れる。これにより、ステータコイル内を通過する磁力線が減少し、隣り合う第一磁束遮蔽部材間を結ぶ漏れ磁束が増加するので、第一磁束遮蔽部材がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、ロータの回転負荷トルクを減少させることができる。この結果、第一のリレースイッチがオンのときの充電に寄与していない期間は、小さな駆動力でロータを回転させることができるため、ロータを回転駆動させる消費電力を抑えて発電効率を向上させることができる。
【0011】
ここで、ロータとしては、円柱状や多角柱状等の柱状、板状等に形成されたものを用いることができる。柱状に形成されたロータに対しては、ロータの外周面に永久磁石を配置することができる。板状に形成されたロータに対しては、ロータの平板面に永久磁石を配置することができる。
ロータは、駆動用モータ等の回転駆動装置に連結することができる。また、風車や水車に連結することもできる。回転駆動装置の駆動力や風力、水力により、ロータを回転させて発電させることができる。これにより、自動車,船舶,鉄道,航空機,建設機械等に搭載する発電機として用いることができる。また、工場,店舗,住宅等に電力を供給する自家発電用等の発電機として用いることもできる。
【0012】
永久磁石としては、アルニコ磁石、フェライト磁石、Fe−Cr−Co磁石、サマリウム系,ネオジウム系等の希土類磁石等の中から、発電出力に応じて適宜選択して用いることができる。大きな出力を得る場合には、磁束密度も保磁力も大きな希土類磁石、特にネオジウム系の永久磁石を用いるのが好ましい。
永久磁石は、一つの部材で塊状等に形成されたものを用いることができる。また、板状の永久磁石を複数枚吸着させて重ねたものを用いることもできる。永久磁石の端面の形状は、特に限定する必要はなく、矩形状、円形状等の種々の形状を採用することができる。
端面の磁極が交互に異なるように複数の永久磁石をロータの外周面若しくは平板面に配置し、第一界磁部が構成される。
【0013】
第一磁束遮蔽部材としては、鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金(Fe−Al−Ni−Co合金)等の強磁性体で、塊状,板状等に形成されたものを用いることができる。硬磁性体,軟磁性体のいずれも用いることができ、着磁を施したものを用いることもできる。着磁を施した第一磁束遮蔽部材は、異方性、等方性のいずれも用いることができるが、異方性の第一磁束遮蔽部材を用いる場合は、配向方向がロータの回転方向に沿って向くように、第一磁束遮蔽部材を永久磁石に固着するのが望ましい。回転方向に沿って隣り合う第一磁束遮蔽部材間を結ぶ漏れ磁束を増加させ、ロータの回転負荷トルクを減少させられるからである。
第一磁束遮蔽部材は、厚いものを永久磁石の端面に一枚固着することができる。また、薄い第一磁束遮蔽部材を複数枚重ねて、永久磁石の端面に固着することもできる。
永久磁石の種類に応じて、第一磁束遮蔽部材の材質を適宜選択することができる。材質によって第一磁束遮蔽部材の透磁率が変わり、磁気飽和を起こす磁束密度が変わり漏洩磁束が生じるからである。特に、保磁力が永久磁石材料の保磁力よりも小さい第一磁束遮蔽部材の中で、できるだけ保磁力が大きなものが用いられる。例えば、永久磁石として希土類磁石を用いた場合は、フェライト,アルニコ合金等の強磁性体が好適に用いられる。さらに、強磁性体に着磁を施したフェライト磁石,アルニコ磁石等の着磁処理済強磁性体が好適に用いられる。第一磁束遮蔽部材から出る磁束密度を大きくでき、発電の出力を上げられるからである。
第一磁束遮蔽部材の大きさとしては、永久磁石の端面より小さくて、端面の一部を覆うようなものでもよいが、端面と同一の大きさかそれより大きくするのが好ましい。永久磁石の端面を完全に覆うことにより、端面から出る磁束のほとんど全てを第一磁束遮蔽部材の中に入れるためである。
第一磁束遮蔽部材の材質や形状、大きさ、厚さ、枚数等を適宜選択することにより、第一磁束遮蔽部材がコアから受ける反発力や吸引力、ステータコアに生じる電流量を設計することができる。
第一磁束遮蔽部材は、永久磁石の端面に密接して固着することができる。また、端面に密接させずに適当な間隔をあけて固着することもできる。固着する手段としては、ボルト等の締結部材や接着剤等を用いることができる。また、合成樹脂製等で形成されたケース内に永久磁石と第一磁束遮蔽部材を収容することもできる。
【0014】
コアの第一対向面と対向する第一磁束遮蔽部材の表面の形状は、永久磁石の端面の回転軌道面の形状に応じて設計するのが好ましい。第一磁束遮蔽部材から出る磁束を均一化させるためである。具体的には、柱状に形成されたロータの外周面に永久磁石を配置した場合には、永久磁石の端面の回転軌道面は立体的な円環帯状面となるので、第一磁束遮蔽部材の表面は、中央部を突き出した湾曲状や山形状等に形成するのが好ましい。また、板状に形成されたロータの平板面に永久磁石を配置した場合には、永久磁石の端面の回転軌道面は平面的な円環状となるので、第一磁束遮蔽部材の表面は、平坦状に形成するのが好ましい。
【0015】
コアは、アルミニウム,ステンレス鋼,真鍮等の非磁性材料製や合成樹脂製等で形成されたケーシングに取り付けられ、磁気的に絶縁される。
コアに巻回されたステータコイルが接続される変圧器としては、変圧器、変成器、トランス等を用いることができる。ステータコイルを変圧器に接続することにより、所望する電圧に降圧させることができる。ステータコイル毎やステータコイル群毎に生じた交流電圧は、他のステータコイルやステータコイル群に生じた交流電圧に干渉されることなく、所望の交流電圧に変圧され負荷回路等に供給されるため、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができる。整流器と組み合わせて交流を直流に変換することもできる。
【0016】
ステータコイルが接続される整流器としては、サイリスタ、ダイオード等を用いることができる。整流器とインバータを組み合わせた電力変換装置を用いることもできる。ステータコイル毎やステータコイル群毎に生じた交流電流は、他のステータコイルやステータコイル群に生じた交流電流に干渉されることなく、所望の直流電流に変換され負荷回路や蓄電池等に供給されるため、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができる。
【0017】
第一磁束遮蔽部材と、第一磁束遮蔽部材と対向する第一対向面と、の間隔(ギャップ)は、発電効率に影響を与える。該間隔(ギャップ)を小さくすることで、発電効率を向上させることができ、回転数が低い場合でも発電量を多くすることができる。このため、第一磁束遮蔽部材と第一対向面との間隔を調整する間隔調整手段を設けるのが望ましい。第一界磁部の外側にコアを配置して発電機を組み立てる際、第一磁束遮蔽部材と第一対向面との間隔を、間隔調整手段を用いて所定の範囲内に調整することで、発電効率を高められるからである。
間隔調整手段としては、電動式,油圧式,機械式等の駆動機構を有し、永久磁石やコアを上下方向や左右方向に移動自在にして、第一磁束遮蔽部材と第一対向面の間隔を調整するものが用いられる。
【0018】
永久磁石の他端面には、ロータ側磁束遮蔽部材を固着するのが好ましい。ロータ側磁束遮蔽部材を有することで、漏洩磁束を抑え第一磁束遮蔽部材や第二磁束遮蔽部材の端部の磁束密度を高められるので、コアに導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができるからである。
【0019】
ここで、ロータ側磁束遮蔽部材としては、前述の第一磁束遮蔽部材と同様に、鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金等の強磁性体で、板状等に形成されたものを用いることができる。ロータの外面に固着することができるが、ロータの外面の一部を、鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で形成してもよい。
第二界磁部が配置されている場合は、一枚のロータ側磁束遮蔽部材の両端側に、第一界磁部の永久磁石の他端面と第二界磁部の永久磁石の他端面とを固着することができる。これにより、さらに永久磁石の減磁を抑制することができる。
【0020】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発電システムであって、前記第一磁束遮蔽部材と前記コアの前記第一対向面とのギャップが、前記ロータの回転方向に沿って前記永久磁石の中心線に対して非対称となるように形成された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ギャップがロータの回転方向に沿って永久磁石の中心線に対して非対称となるように形成されると、磁束密度は、ギャップの小さな側で大きく、ギャップの大きな側に向かって次第に小さくなるので、磁束が非対称に分散した状態となる。このため、ロータが回転する際に、第一界磁部がコアから受ける反発力や吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
(2)ロータの回転方向における第一磁束遮蔽部材の両端部(第一磁束遮蔽部材の回転方向の両端部)の磁束密度は、第一磁束遮蔽部材の両端部を除く領域よりも大きく、両端部を除く領域の磁束密度は、ギャップの小さな側から大きな側に向かって次第に小さくなる傾向を示すので、ロータの回転時に、第一磁束遮蔽部材からコアに真っ直ぐに向かう磁束を少なくして、第一界磁部がコアから受ける反発力や吸引力(回転を阻害する力)を効果的に低減させることができ、発電の効率性に優れる。
【0021】
ここで、ギャップをロータの回転方向に沿って永久磁石の中心線に対して非対称となるように形成するのは、第一磁束遮蔽部材のコアとの対向面を凸起状や凹陥状に形成し、凸起部や凹陥部(凸起状の頂部や凹陥状の底部)を永久磁石の中心線に対して回転方向遅れ側若しくは回転方向進み側にずらすことにより実現できる。これにより、第一磁束遮蔽部材の磁束密度が永久磁石の中心線に対して非対称となり、ロータの回転方向に沿って徐々(連続的)に増減し、わずかな駆動力で滑らかな回転を行って、効率的な発電を行う。
なかでも、第一磁束遮蔽部材のコアとの対向面を凸起状に形成し、凸起部を永久磁石の中心線に対して回転方向進み側にずらしたものが好適に用いられる。これにより、第一磁束遮蔽部材の磁束密度が回転方向進み側から回転方向遅れ側に向かって次第に小さくなり、さらに第一のリレースイッチがオンのときにステータコイルに遅れ位相で流れる短絡電流により、ステータコイル内を通過する磁力線が著しく減少し、隣り合う第一磁束遮蔽部材間を結ぶ漏れ磁束が著しく増加するので、第一のリレースイッチがオンのときのロータの駆動力が小さくなるだけでなく、ロータの回転をアシストして、ロータの回転数を第一のリレースイッチがオフのときよりも増加させることができる。この結果、第一のリレースイッチをオフに切り換えたときに、ロータの回転の慣性力によって、発電の出力を上げることができる。
【0022】
なお、第一磁束遮蔽部材やコアの第一対向面の面積を、ギャップと同様に非対称にすることもできる。磁束の分布を変えて、コアから受ける反発力や吸引力(回転を阻害する力)を調整するためである。
【0023】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発電システムであって、前記第一磁束遮蔽部材の外周部が、前記永久磁石の端面の外周部の外側に張り出した構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一磁束遮蔽部材の外周部が永久磁石の端面の外周部の外側に張り出しているので、磁束は第一磁束遮蔽部材の外周部に集中し、永久磁石の端面から第一磁束遮蔽部材を通過してコアに向かう磁束が少なくなるため、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際に、第一磁束遮蔽部材がコアから吸引力(回転を阻害する力)を受ける時間が短くなり、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を大幅に向上させることができる。
【0024】
ここで、第一磁束遮蔽部材の外周部が永久磁石の端面の外周部の外側に張り出す方向としては、永久磁石の回転方向(回転軌道面)に沿わせるのが好ましい。第一磁束遮蔽部材がコアから反発力や吸引力を受けるのは、永久磁石の回転方向に沿う方向だからである。
第一磁束遮蔽部材の外周部の張り出し長さとしては、隣り合う第一磁束遮蔽部材と接触しないような範囲で適宜設定されるが、回転方向の前方と後方の各々において、永久磁石の回転方向における端面の長さの1/3〜1倍が好適に用いられる。張り出し長さが1/3倍より短くなるか1倍より長くなると、いずれもステータコイルに生じる起電力が小さくなる傾向がみられるからである。
なお、第一磁束遮蔽部材の外周部の張り出し長さは、永久磁石の回転方向の前方と後方の各々において、同一長さでも異なっていてもよい。
【0025】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の発電システムであって、前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なり、かつ、前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された永久磁石同士の端面の磁極が異なるように前記第一界磁部と並設された第二界磁部と、前記第二界磁部の端面に固着された第二磁束遮蔽部材と、前記コアの前記第一対向面の他端に形成され前記第二磁束遮蔽部材と対向する第二対向面と、を備え、前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された前記第一界磁部の永久磁石の端面の中心と前記第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、前記第一対向面の中心と前記第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一界磁部の永久磁石の端面の中心と第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、第一対向面の中心と第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されているので、ロータの回転により、第一界磁部がコアから吸引力(又は反発力)を受けているときに、第二界磁部がコアから反発力(又は吸引力)を受けることになり、ロータのいかなる位相においてもロータの回転を阻害するコアの磁界磁力を軽減させることができ、ロータの回転負荷トルクを軽減させることができる。
【0026】
ここで、第二界磁部における永久磁石、第二磁束遮蔽部材としては、前述の第一界磁部における永久磁石、第二磁束遮蔽部材と同様のものなので、説明を省略する。また、第二磁束遮蔽部材とコアの第二対向面とのギャップについても、前述の第一磁束遮蔽部材とコアの第一対向面とのギャップと同様なので、説明を省略する。
【0027】
ずれ角αは、ロータの回転方向と略直交する位置に配置された第一界磁部の永久磁石の端面の中心と第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、第一対向面の中心と第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、を求め、ロータの中心軸と界磁側中心線との間に投影面を置き、ロータの中心軸を視点として、界磁側中心線とコア側中心線上の任意の点と視点とを直線(投影線)で結んだ場合に、投影面上に形成された投影図における界磁側中心線とコア側中心線とのなす角である。
ずれ角αとしては、1〜20°好ましくは3〜10°が好適に用いられる。ずれ角αが3°より小さくなるにつれ、コアの磁界磁力により第一界磁部と第二界磁部が受ける吸引力や反発力によりコッキング(ロータの回転動作がギクシャクする現象)が生じ易くなるとともに、回転負荷トルクの軽減効果が低下する傾向がみられ、10°より大きくなるにつれステータコイルに生じる電流に位相差が生じ出力電流が低下する傾向がみられる。特に、1°より小さくなるか20°より大きくなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
【0028】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の発電システムであって、前記第一磁束遮蔽部材の底面が、前記永久磁石の端面に密接した構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一磁束遮蔽部材の底面が、永久磁石の端面に密接しているので、永久磁石の端面から出たほとんど全ての磁束が第一磁束遮蔽部材に導かれ、漏洩磁束が生じ難いため、第一磁束遮蔽部材の端部の磁束密度を高められるので、コアに導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができる。
【0029】
ここで、第二磁束遮蔽部材の底面も、第一磁束遮蔽部材の底面と同様に、永久磁石の端面に密接させるのが好ましい。
【0030】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発電システムであって、前記第一磁束遮蔽部材の底面に凹部が形成され、前記永久磁石の端面が前記凹部に収装された構成を有している。
この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一磁束遮蔽部材の底面に凹部が形成され、永久磁石の端面が凹部に収装されているので、永久磁石の先端及び先端周縁を第一磁束遮蔽部材で覆うことができ、永久磁石の端面から出たほとんど全ての磁束が、第一磁束遮蔽部材に導かれ、漏洩磁束が生じ難いため、第一磁束遮蔽部材の外周部の磁束密度を高められるので、コアに導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができる。
【0031】
ここで、第一磁束遮蔽部材の底面に凹部が形成され、永久磁石の端面が凹部に収装されることにより、請求項3で説明したように、第一磁束遮蔽部材の外周部が永久磁石の端面の外周部の外側に張り出すので、磁束は第一磁束遮蔽部材の外周部に集中し、永久磁石の端面から第一磁束遮蔽部材を通過してコアに向かう磁束が少なくなり、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際に、第一磁束遮蔽部材がコアから吸引力(回転を阻害する力)を受ける時間が短くなり、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を大幅に向上させることができる。尚、第二磁束遮蔽部材の底面も、第一磁束遮蔽部材の底面と同様に、凹部を形成し永久磁石の端面を凹部に収装するのが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明の発電システムによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)永久磁石の端面からコアに真っ直ぐに向かう磁束は、第一磁束遮蔽部材に遮蔽されて少なくなるので、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際に第一磁束遮蔽部材がコアから受ける反発力や吸引力が少なくなり、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる発電システムを提供できる。
(2)永久磁石の励磁磁力とコアの磁界磁力によってロータの回転方向に作用する吸引力と反発力をバランスさせて、ロータの回転負荷トルクを減少させることができ、また、ステータコイル間の干渉を防ぐことができるため、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができ、発電出力を高めることができ、さらに、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に異なる負荷や蓄電池に接続して、各々の電力を利用したり蓄えたりすることができ自在性に優れた発電システムを提供できる。
(3)第一のリレースイッチがオンのときはステータコイルが短絡され、ステータコイルに発生した交流出力は変圧器又は整流器に入力されず、ステータコイルに短絡電流が遅れ位相で流れるため、ステータコイル内を通過する磁力線が減少し、隣り合う第一磁束遮蔽部材間を結ぶ漏れ磁束が増加するので、第一磁束遮蔽部材がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、ロータの回転負荷トルクを減少させることができ、第一のリレースイッチがオンのときの充電に寄与していない期間は、充電時よりも小さな駆動力でロータを回転させることができるため、ロータを回転駆動させる消費電力を抑えて発電効率を向上させることができる発電システムを提供できる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)ロータの回転方向における第一磁束遮蔽部材の両端部の磁束密度が、両端部を除く領域よりも大きく、両端部を除く領域では、磁束密度がギャップの小さな端部側から他方の端部に向かって次第に小さくなる傾向を示し、磁束が分散した状態となるため、第一界磁部がコアから受ける反発力や吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、わずかな駆動力でロータを回転させることができ、発電効率を向上させることができる発電システムを提供できる。
【0034】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)第一磁束遮蔽部材の外周部が、永久磁石の端面の外周部の外側に張り出しているので、磁束は第一磁束遮蔽部材の外周部に集中し、永久磁石の端面から第一磁束遮蔽部材を通過してコアに向かう磁束が少なくなるため、第一磁束遮蔽部材がコアの第一対向面を通過する際に、第一磁束遮蔽部材がコアから反発力や吸引力を受ける時間が短くなるので、わずかな駆動力でロータを回転させることができ発電効率を大幅に向上させることができる発電機を提供できる。
【0035】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)第一界磁部の永久磁石の端面の中心と第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、第一対向面の中心と第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されているので、ロータの回転により、第一界磁部がコアから吸引力(又は反発力)を受けているときに、第二界磁部がコアから反発力(又は吸引力)を受けることになり、ロータのいかなる位相においてもロータの回転を阻害するコアの磁界磁力を軽減させることができ、ロータの回転負荷トルクを軽減させることができる発電機を提供できる。
【0036】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)永久磁石の端面から出たほとんど全ての磁束が第一磁束遮蔽部材に導かれ、漏洩磁束が生じ難いため、第一磁束遮蔽部材の端部の磁束密度を高められるので、コアに導かれる磁束密度を上げることができ発電出力を高めることができる発電機を提供できる。
【0037】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、
(1)永久磁石の端面から出たほとんど全ての磁束が第一磁束遮蔽部材に導かれ、漏洩磁束が生じ難いため、第一磁束遮蔽部材の外周部の磁束密度を高められるので、コアに導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1における発電システムの構成図
【図2】実施の形態1における発電機の側面図
【図3】図1のA−A線における断面図
【図4】実施の形態1における発電機の正面図
【図5】実施の形態1における発電機の原理を示す模式図
【図6】実施の形態1における変形例の発電機の原理を示す模式図
【図7】実施の形態2における発電機の要部断面図
【図8】実施の形態2における発電機の永久磁石に固着した第一磁束遮蔽部材の斜視図
【図9】実施の形態3における発電機の要部断面図
【図10】永久磁石を使用した従来の同期発電機の原理を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における発電システムの構成図であり、図2は本発明の実施の形態1における発電機の側面図であり、図3は図2のA−A線における断面図であり、図4は実施の形態1における発電機の正面図であり、図5は実施の形態1における発電機の原理を示す要部模式図である。
図1において、1は本発明の実施の形態1における発電システム、2は後述する発電機、3は非磁性の合成樹脂製やステンレス鋼等で円柱状に形成された発電機2のロータ、4はロータ3の外側に配設された複数のステータコイル、5はステータコイル4毎に接続された変圧器、6はステータコイル4と変圧器5との間に並列に接続された第一のリレースイッチ、7はダイオード等で構成された整流器、8は整流器7より出力される脈流を直流とする平滑コンデンサ、9は整流器7の出力電圧に基づき電荷を蓄積する第一のコンデンサ、10はサイリスタ等で構成され第一のコンデンサ9に接続されたゲート回路、11はゲート回路10に接続された整流ダイオード、12はゲート回路10に並列に接続された第二のコンデンサである。本実施の形態においては、第一のコンデンサ9,ゲート回路10,第二のコンデンサ12が充電制御回路を構成している。
13はゲート回路10に直列に接続された蓄電池、14は変圧器5と整流器7との間に直列に接続された第二のリレースイッチ、15は第一のリレースイッチ6,第二のリレースイッチ14,ゲート回路10に接続されたタイマであり、第一のリレースイッチ6,第二のリレースイッチ14,ゲート回路10は、タイマ15から所定時間毎に供給される信号に従って所定時間毎に同期してオン/オフを切り替えるように設定されている。具体的には、第一のリレースイッチ6がオフ、第二のリレースイッチ14がオンのときにゲート回路10をオフにして、第一のコンデンサ9に電荷を蓄積し、第一のリレースイッチ6がオン、第二のリレースイッチ14がオフのときにゲート回路をオンにして、第一のコンデンサ9に蓄積された電荷を蓄電池13に放電するように同期させている。16は蓄電池13を放電させ図示しない負荷回路に電力を供給するスイッチである。
【0040】
図2において、17は発電機2のロータ3の回転軸、18は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で板状に形成されロータ3の外周に固着されたロータ側磁束遮蔽部材、19は板状永久磁石を複数枚重ねて吸着させ一端面がロータ側磁束遮蔽部材18の一端部側に固着された永久磁石、20は永久磁石19の端面、21は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金(Fe−Al−Ni−Co合金)等の強磁性体で非対称の切り妻状に形成され永久磁石19の端面20に固着された第一磁束遮蔽部材、22はロータ3の回転方向に沿って永久磁石19の端面20の磁極が交互に異なるように(N極とS極が交互になるように)複数配置された第一界磁部である。
ここで、本実施の形態においては、第一磁束遮蔽部材21の外周部は、永久磁石19の端面20の外周部の外側に張り出して形成されている。また、第一磁束遮蔽部材21の底面は、永久磁石19の端面20に密接して固着されている。また、第一磁束遮蔽部材21は、表面が凸起状に形成され頂部が永久磁石10の中心線(一点鎖線で示す)に対してロータ3の回転方向進み側にずれている。
23はアルミニウム,ステンレス鋼,真鍮等の非磁性材料製や合成樹脂製等で形成されたケーシング、24は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で形成されケーシング23の内側に図示しないボルト等の締結部材で磁気的に絶縁された状態で第一磁束遮蔽部材21の外側に配置されステータコイル4が巻回されたコア、25は第一磁束遮蔽部材21とギャップを介して対向するコア24の端部に形成された第一対向面である。
本実施の形態においては、第一磁束遮蔽部材21の凸起状の頂部が、永久磁石19の中心線に対してロータ3の回転方向進み側にずれていることから、第一磁束遮蔽部材21と第一対向面25とのギャップが、ロータ3の回転方向に沿って永久磁石19の中心線に対して非対称となっている。
【0041】
図3、図4において、26は板状永久磁石を複数枚重ねて吸着させ一端面がロータ側磁束遮蔽部材18の他端部側に固着された永久磁石、27は永久磁石26の端面、28は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金等の強磁性体で図2の第一磁束遮蔽部材21と同様に非対称の切り妻状に形成され永久磁石26の端面27に固着された第二磁束遮蔽部材、29はロータ3の回転方向に沿って永久磁石26の端面27の磁極が交互に異なるように(N極とS極が交互になるように)複数配置され、ロータ3の回転方向と略直交する位置に配置されて同一のロータ側磁束遮蔽部材18に固着された永久磁石19の端面20と永久磁石26の端面27の磁極が異なるように第一界磁部22と並設された第二界磁部である。
ここで、本実施の形態においては、第二磁束遮蔽部材28の底面は、永久磁石26の端面27を完全に覆い、端面27に密接して固着されている。また、第二磁束遮蔽部材28の外周部は、永久磁石26の端面27の外周部の外側に対称状に張り出して形成されている。また、第二磁束遮蔽部材28は、図2の第一磁束遮蔽部材21と同様に、表面が凸起状に形成され頂部が永久磁石26の中心線に対してロータ3の回転方向進み側にずれている。
【0042】
30はコア24の他端部に形成され第二磁束遮蔽部材28と対向する第二対向面、31はコア24の第二対向面30の近くに巻回されステータコイル4と接続されたステータコイル、32は永久磁石19の端面20の外側に張り出した第一磁束遮蔽部材21に形成された孔部に挿通され第一磁束遮蔽部材21とロータ側磁束遮蔽部材18とを連結する非磁性のボルト等の締結部材、33は永久磁石26の端面27の外側に張り出した第二磁束遮蔽部材28に形成された孔部に挿通され第二磁束遮蔽部材28とロータ側磁束遮蔽部材18とを連結する非磁性のボルト等の締結部材、Xはロータ3の回転方向と略直交する位置に配置された第一界磁部22の永久磁石19の端面20の中心と第二界磁部29の永久磁石26の端面27の中心とを結ぶ界磁側中心線、Yはコア24に形成された第一対向面25の中心と第二対向面30の中心とを結ぶコア側中心線、αは界磁側中心線Xとコア側中心線Yとのずれ角である。
本実施の形態においては、界磁側中心線Xはロータ3の回転方向と直交し、コア側中心線Yが界磁側中心線Xに対してずれ角α=1〜20°の範囲で斜交するようにコア24が配置されている。
【0043】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における発電システムの発電機について、以下その動作を、図面を参照しながら説明する。
図5において、4aはステータコイル、24aはステータコイル4aが巻回されたコア、25aは永久磁石19に固着された第一磁束遮蔽部材21と対向するコア24aの第一対向面、4bはステータコイル4aの隣に矢印で示す永久磁石19の回転方向に沿って配設されたステータコイル、24bはステータコイル4bが巻回されたコア、25bは第一磁束遮蔽部材21と対向するコア24bの第一対向面である。なお、以下、第一磁束遮蔽部材21について説明するが、第二磁束遮蔽部材28は第一磁束遮蔽部材21と同様に形成される。
以上のように構成された発電機2において、第一磁束遮蔽部材21の外周部は永久磁石19の端面20の外周部の外側に張り出して形成されているので、永久磁石19の磁束のほとんどは図5に示すように第一磁束遮蔽部材21に流れ、磁束密度は第一磁束遮蔽部材21の回転方向進み側と遅れ側の両端部で大きくなっている。また、凸起状の第一磁束遮蔽部材21の頂部が永久磁石19の中心線(一点鎖線で示す)に対して回転方向進み側にずれているので、磁束密度は回転方向進み側から遅れ側に亘って次第に小さくなっている。この状態のもとで、永久磁石19を図示しないモータ等により回転させて磁束を変化させると、電磁誘導によりステータコイル4a,4bに電流が流れて発電を行うことができる。一方、永久磁石19の端面からコア24a,24bに真っ直ぐに向かう磁束は、第一磁束遮蔽部材21に遮蔽され第一磁束遮蔽部材21の回転方向進み側と遅れ側の両端部に集中し少なくなるので、第一磁束遮蔽部材21がコア24aの第一対向面25aやコア24bの第一対向面25bを通過する際に、第一磁束遮蔽部材21がコア24a,24bから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、わずかな駆動力でロータを回転させることができ発電効率を向上させることができる。
【0044】
図1を参照して、発電システム1において、発電機2が発電した交流電圧は、第一のリレースイッチ6がオフ、第二のリレースイッチ14がオン、ゲート回路10がオフのときに、変圧器5に入力され変圧器5で降圧されて整流器7を介して直流に変換され、充電制御回路を構成する第一のコンデンサ9に電荷が蓄積される。第二のリレースイッチ14がオフ、ゲート回路10がオンに切り替わると、第一のコンデンサ9に蓄積された電荷が放電されて蓄電池13に充電される。第一のコンデンサ9が放電中のゲート回路27がオンのときは、第一のリレースイッチ6をオンに切り替えることにより、ステータコイル4が短絡され、ステータコイル4に遅れ位相で短絡電流が流れ、ステータコイル4内を通過する磁力線が減少し、隣り合う第一磁束遮蔽部材21間を結ぶ漏れ磁束が増加するので、ロータ3の駆動力が小さくなり消費電力が小さくなり、さらにロータ3の回転がアシストされる。この間にステータコイル4に発生した起電力は変圧器5には入力されないが、この間のロータ3の消費電力を最小にすることができる。次に、第一のリレースイッチ6をオフ、第二のリレースイッチ14をオン、ゲート回路10をオフに切り換えると、再び、発電機2が発電した交流電圧が変圧器5で降圧され、整流器7を介して直流に変換され、充電制御回路を構成する第一のコンデンサ9に電荷が蓄積される。
このように本発明の実施の形態1における発電システム1では、ゲート回路10,第一のリレースイッチ6,第二のリレースイッチ14の切り替えをステータコイル4毎に行い、各々のステータコイル4に生じた電力を各々に接続された蓄電池13に充電させることができる。
【0045】
以上のように、本発明の実施の形態1における発電システムは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)第一界磁部22を構成する永久磁石19の端面20に固着された第一磁束遮蔽部材21と、第一磁束遮蔽部材21と間隔をあけて配置され端部に第一磁束遮蔽部材21とギャップを介して対向する第一対向面25を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコア24と、を備えているので、永久磁石19の磁束が第一磁束遮蔽部材21に導かれ、第一磁束遮蔽部材21から出た磁束がコア24に導かれる。ロータ3が回転してコア24に導かれた磁束が変化すると、電磁誘導によりステータコイル4に電流が流れて発電を行うことができる。一方、永久磁石19の端面からコア24に真っ直ぐに向かう磁束は、第一磁束遮蔽部材21に遮蔽されて少なくなるので、第一磁束遮蔽部材21がコア24の第一対向面25を通過する際に第一磁束遮蔽部材21がコア24から受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなる。これにより、わずかな駆動力でロータ3を回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
(2)さらに、コア24に巻回されたコイル毎に変圧器5及び整流器7に接続されたステータコイル4を備えているので、永久磁石19の励磁磁力とコア24の磁界磁力によってロータ3の回転方向に作用する吸引力と反発力をバランスさせて、ロータ3の回転負荷トルクを減少させることができる。また、ステータコイル4間の干渉を防ぐことができるため、ステータコイル4毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができ、発電出力を高めることができる。また、ステータコイル4毎に異なる負荷や蓄電池に接続して、各々の電力を利用したり蓄えたりすることができ自在性に優れる。
(3)ステータコイル4と変圧器5との間に並列に接続されステータコイル4を短絡する第一のリレースイッチ6と、整流器7の出力電圧を入力して蓄電する蓄電池13と、を備えているので、第一のリレースイッチ6がオフのときは、ステータコイル4に発生した交流出力を変圧器5に入力できる。第一のリレースイッチ6がオンのときは、ステータコイル4が短絡されるので、ステータコイル4に発生した交流出力は変圧器5に入力されず、ステータコイル4に短絡電流が遅れ位相で流れる。これにより、ステータコイル4内を通過する磁力線が減少し、回転方向に隣り合う第一磁束遮蔽部材21間を結ぶ漏れ磁束が増加するので、第一磁束遮蔽部材21がコア24から受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、ロータ3の回転負荷トルクを減少させることができる。この結果、第一のリレースイッチ6がオンのときの充電に寄与していない期間は、小さな駆動力でロータ3を回転させることができるため、ロータ3を回転駆動させる消費電力を抑えて発電効率を向上させることができる。
(4)第一磁束遮蔽部材21の外周部が、永久磁石19の端面20の外周部の外側に張り出しているので、磁束を遮蔽する第一磁束遮蔽部材21の面積が大きいため、第一磁束遮蔽部材21がコア24の第一対向面25を通過する際に、第一磁束遮蔽部材21がコア24から吸引力(回転を阻害する力)を受ける時間が短くなり、わずかな駆動力でロータ3を回転させることができ、発電効率を大幅に向上させることができる。
(5)第一磁束遮蔽部材21とコア24の第一対向面25とのギャップが、ロータ3の回転方向に沿って永久磁石19の中心線に対して非対称となるように形成されているので、ロータ3の回転方向における磁束密度は、第一磁束遮蔽部材21の回転方向進み側と遅れ側の両端部で大きく、両端部を除く領域では、ギャップの小さな頂部からギャップの大きな端部に向かって次第に小さくなる傾向を示し、磁束が非対称に分散した状態となる。このため、ロータ3の回転時に、第一磁束遮蔽部材21からコア24に真っ直ぐに向かう磁束が少なくなり、第一界磁部21がコア24から受ける反発力や吸引力(回転を阻害する力)を低減して、わずかな駆動力でロータ3を回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
(6)第一磁束遮蔽部材21のコア24との対向面を凸起状に形成し、凸起部を永久磁石の中心線に対して回転方向進み側にずらしているので、第一磁束遮蔽部材21の磁束密度が回転方向進み側から回転方向遅れ側に向かって次第に小さくなり、さらに第一のリレースイッチ6がオンのときにステータコイル4に遅れ位相で流れる短絡電流により、ステータコイル4内を通過する磁力線が著しく減少し、回転方向に隣り合う第一磁束遮蔽部材21間を結ぶ漏れ磁束が著しく増加するので、第一のリレースイッチ6がオンのときのロータ3の駆動力が小さくなるだけでなく、ロータ3の回転をアシストして、ロータ3の回転数を第一のリレースイッチ6がオフのときよりも増加させることができる。この結果、第一のリレースイッチ6をオフに切り換えたときに、ロータ3の回転の慣性力によって、発電の出力を上げることができる。
(7)第一界磁部22の永久磁石19の端面20の中心と第二界磁部29の永久磁石26の端面27の中心とを結ぶ界磁側中心線Xと、第一対向面25の中心と第二対向面30の中心とを結ぶコア側中心線Yと、の間にずれ角αが形成されているので、ロータ3の回転により、第一界磁部22がコア24から吸引力(又は反発力)を受けているときに、第二界磁部29がコア24から反発力(又は吸引力)を受けることになり、ロータ3のいかなる位相においてもロータ3の回転を阻害するコア24の磁界磁力を軽減させることができ、ロータ3の回転負荷トルクを軽減させることができる。さらに、ずれ角α=1〜20°のため、コア24の磁界磁力により第一界磁部22と第二界磁部29が受ける吸引力や反発力によりコッキング(ロータの回転動作がギクシャクする現象)が生じ難く、さらにステータコイル4に生じる電流に位相差が生じ難く出力電流の低下がみられない。
(8)第二磁束遮蔽部材28の外周部が、永久磁石26の端面27の外周部の外側に張り出しているので、磁束を遮蔽する第二磁束遮蔽部材28の面積が大きいため、第二磁束遮蔽部材28がコア24の第二対向面30を通過する際に、第二磁束遮蔽部材28がコア24から吸引力(回転を阻害する力)を受ける時間が短くなり、わずかな駆動力でロータ3を回転させることができ、発電効率を大幅に向上させることができる。
(9)第一磁束遮蔽部材21と第二磁束遮蔽部材28の底面が、永久磁石19,26の端面20,27に密接しているので、永久磁石19,26の端面20,27から出たほとんど全ての磁束が第一磁束遮蔽部材21や第二磁束遮蔽部材28に導かれ、漏洩磁束が生じ難いため、第一磁束遮蔽部材21や第二磁束遮蔽部材28の端部の磁束密度を高められるので、コア24に導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができる。
(10)ロータ側磁束遮蔽部材18を有しているので、漏洩磁束を抑え第一磁束遮蔽部材21や第二磁束遮蔽部材28の端部の磁束密度を高められるので、コア24に導かれる磁束密度を上げることができ、発電出力を高めることができる。
(11)変圧器5の一次側に第一のリレースイッチ6が接続され、二次側に第二のリレースイッチ14が接続されており、第二のリレースイッチ14のオン/オフが充電制御回路(ゲート回路10)と逆相で同期しているので、ゲート回路10がオンに切り替わると、第一のコンデンサ9に蓄積された電荷が放電されて蓄電池13に充電されるため、蓄電効率に優れる。
(12)蓄電池13と並列に第二のコンデンサ12が接続されているので、第一のコンデンサ9の放電電流が蓄電池13に印加されるときの蓄電池13に加わる負荷を軽減することができ、蓄電池13が早期に劣化するのを防止することができる。
【0046】
ここで、本実施の形態においては、ステータコイル4毎に変圧器5が接続され、変圧器5と直列に整流器7が接続された場合について説明したが、変圧器5又は整流器7のいずれか一方が接続される場合もある。変圧器5を接続することで所定値に変圧することができる。また、整流器7を接続することで直流に変換できる。
また、ロータ3の周囲に配置するステータコイル4の数を増やして、ロータ3の回転に伴い同位相の交流起電力が発生するコイル群毎に変圧器5又は整流器7に接続する場合もある。
また、本実施の形態においては、界磁側中心線Xがロータ3の回転方向と直交し、コア側中心線Yが界磁側中心線Xに対してずれ角α=1〜20°の範囲で斜交するようにコア24が斜めに配置された場合について説明したが、これに限定するものではなく、界磁側中心線Xをつくる永久磁石19,26を斜めに配置する場合もある。また、永久磁石19,26とコア24の両方を斜めに配置する場合もある。これらの場合も同様の作用が得られる。
また、ステータコイル4毎に取り出された電力が全て蓄電池13に充電される場合について説明したが、一部を蓄電池13に接続して残りを負荷に接続する場合もある。また、蓄電池13に充電された電圧の一部を用いて、ロータ3を回転させる図示しない駆動モータを駆動させることも可能である。ロータ3を回転駆動させる消費電力が小さいからである。
また、4つのゲート回路10が、タイマ15からの信号に基づき全て同期してオン/オフする場合について説明したが、例えば、非同期で順番にオン/オフが切り替わるようにする場合もある。
また、発電機2は、ステータコイル4の内側でロータ3が回転する内転型の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステータコイルの外側でロータが回転するアウタロータ型即ち外転型とする場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
また、ギャップを非対称とするために、第一磁束遮蔽部材21のコア24との対向面を凸起状(切り妻状)に形成し、凸起部(頂部)を永久磁石の中心線に対して回転方向進み側にずらした場合について説明したが、これに限るものではなく、凸起部(頂部)を回転方向遅れ側にずらす場合や、凸起状ではなく凹陥状に形成する場合もある。また、コア24の第一対向面25や第二対向面30を凸起状や凹陥状等に形成して、ギャップを非対称とする場合もある。
【0047】
次に、実施の形態1における変形例の発電機について説明する。図6は実施の形態1における変形例の発電機の原理を示す模式図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
変形例の発電機が、実施の形態1の発電機と異なる点は、第一磁束遮蔽部材21aの外周部が、永久磁石19の端面20の外周部と同一の大きさで形成されている点である。
【0048】
図6において、21aは鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金等の強磁性体で形成され外周部が永久磁石19の端面20の外周部と同一の大きさの第一磁束遮蔽部材である。
以上のように構成された発電機において、第一磁束遮蔽部材21aの外周部は永久磁石19の端面20の外周部と同一の大きさで形成されているので、永久磁石19の磁束は、第一磁束遮蔽部材21aに遮蔽されて永久磁石19の側方(回転方向進み側と遅れ側の両端部)に導かれるものと、コア24a,24b側に漏洩するものとに分かれる。ロータ3を図示しないモータ等により回転させてコア24a,24bに導かれた磁束が変化すると、電磁誘導によりステータコイル4a,4bに電流が流れて発電を行うことができる。一方、永久磁石19の端面からコア24a,24bに真っ直ぐに向かう磁束は、第一磁束遮蔽部材21aに遮蔽されて少なくなるので、第一磁束遮蔽部材21aがコア24aの第一対向面25aやコア24bの第一対向面25bを通過する際に、第一磁束遮蔽部材21aがコア24a,24bから受ける吸引力(回転を阻害する力)が少なくなり、わずかな駆動力でロータ3を回転させることができ発電効率を向上させることができる。
ここでは、第一磁束遮蔽部材21aについて説明したが、第二磁束遮蔽部材についても同様のものを用いることができ、同様の作用を得ることができる。
【0049】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における発電システムの発電機の要部断面図であり、図8は実施の形態2における発電システムの発電機の永久磁石に固着した第一磁束遮蔽部材の斜視図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図7及び図8中、41は本発明の実施の形態2における発電システムの発電機、42は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金等の強磁性体で非対称の切り妻状に形成され永久磁石19の端面20に固着された第一磁束遮蔽部材、43は第一磁束遮蔽部材42の底面に窪み状に形成され永久磁石19の端面20が密接して収装された凹部、44は外周部が永久磁石19の端面20の外周部の外側に張り出してロータ3の回転方向進み側に下り勾配が形成された第一磁束遮蔽部材42の傾斜面、45は外周部が永久磁石19の端面20の外周部の外側に張り出してロータ3の回転方向遅れ側に下り勾配が形成された第一磁束遮蔽部材42の傾斜面、46は傾斜面44,45によって凸起状に形成された第一磁束遮蔽部材42の頂部(凸起部)であり、本実施の形態においては、頂部46が永久磁石19の中心軸に対して回転方向進み側にずれている。これにより、第一磁束遮蔽部材42とコアの第一対向面とのギャップが、ロータ3の回転方向に沿って永久磁石19の中心線に対して非対称とされている。47は傾斜面46に形成され第一磁束遮蔽部材42とロータ側磁束遮蔽部材4とを連結する非磁性のボルト等の締結部材が挿通される孔部である。
【0050】
以上のように、本発明の実施の形態2における発電システムの発電機は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第一磁束遮蔽部材42に凹部43が形成され、永久磁石19の端面20が凹部43に収装されているので、永久磁石19の端面20からの磁束のほぼ全てを第一磁束遮蔽部材42に導くことができ、第一磁束遮蔽部材42の磁束密度を上げて発電出力を高めることができる。
(2)第一磁束遮蔽部材42に傾斜面44が形成されているので、磁束を永久磁石19の斜め側方に導くとともに傾斜面44の磁束密度を高め、コア24bに導かれる磁束密度を上げて発電出力を高めることができる。
(3)頂部46が永久磁石19の中心軸に対して回転方向進み側にずれることにより、第一磁束遮蔽部材42とコアの第一対向面とのギャップが、ロータ3の回転方向に沿って永久磁石19の中心線に対して非対称となるので、ロータ3の回転時にギャップが周方向に変化すると共に、最大ギャップ位置が中心とずれることになり、第一磁束遮蔽部材42がコアから受ける吸引力(回転を阻害する力)が分散して少なくなり、わずかな駆動力でロータ3をスムーズに回転させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0051】
ここで、本実施の形態においては第一磁束遮蔽部材42について説明したが、第二磁束遮蔽部材についても同様のものを用いることができ、同様の作用を得ることができる。
【0052】
(実施の形態3)
図9は本発明の実施の形態3における発電システムの発電機の要部断面図である。
図9において、51は本発明の実施の形態3における発電システムの発電機、52は回転軸、53は非磁性の合成樹脂製やステンレス鋼等で円板状に形成され回転軸52の直交方向に取り付けられたロータ、54は非磁性の合成樹脂製やステンレス鋼等で円板状に形成されロータ53と平行して回転軸52の直交方向に取り付けられたロータ、55は一端面がロータ53のロータ54側の平面に固着された永久磁石、56は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ,フェライト,アルニコ合金等の強磁性体で板状に形成され永久磁石55の端面に固着された第一磁束遮蔽部材、57はロータ53の回転方向に沿って永久磁石55の端面の磁極が交互に異なるように(N極とS極が交互になるように)複数配置された第一界磁部である。
ここで、本実施の形態においては、第一磁束遮蔽部材56の外周部は、永久磁石55の端面の外周部の外側に張り出して形成されている。また、第一磁束遮蔽部材56の底面は、永久磁石55の端面に密接して固着されている。
58は一端面がロータ54のロータ53側の平面に固着された永久磁石、59は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で板状に形成され永久磁石58の端面に固着された第二磁束遮蔽部材、60はロータ54の回転方向に沿って永久磁石58の端面の磁極が交互に異なるように(N極とS極が交互になるように)複数配置され、ロータ53,54の回転方向と略直交する対向位置に配置された永久磁石55の端面と永久磁石58の端面の磁極が異なるように第一界磁部57と並設された第二界磁部である。
ここで、本実施の形態においては、第二磁束遮蔽部材59の底面は、永久磁石58の端面を完全に覆い、端面に密接して固着されている。また、第二磁束遮蔽部材59の外周部は、永久磁石58の端面の外周部の外側に張り出して形成されている。
61は鉄,ケイ素鉄,パーマロイ等の強磁性体で形成され磁気的に絶縁された状態で第一磁束遮蔽部材56及び第二磁束遮蔽部材59と間隔をあけて図示しないケーシングに配置されたコア、62はコア61の端部に形成され第一磁束遮蔽部材56と対向する第一対向面、63はコア61の他端部に形成され第二磁束遮蔽部材59と対向する第二対向面、64はコア61に巻回されたステータコイルである。
【0053】
以上のように、本発明の実施の形態3における発電機は構成されているので、実施の形態1に記載した作用と同様の作用が得られる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施の形態1で説明した発電システムを用いて発電出力を調べる実験を行った。
実施例1の発電システムでは、直径150mm、長さ300mmの円柱状のロータを有する発電機を用いた。ロータの外周面の6箇所にケイ素鉄製で幅30mm、長さ300mmの板状のロータ側磁束遮蔽部材を等間隔に対称状に配置した。永久磁石は、短手方向の長さ50mm、長手方向の長さ60mm、厚さ10mmの板状のネオジウム系希土類磁石(板状永久磁石1枚当たりの吸着力30kgf(294N)。表面磁束密度400mT。住友特殊金属製)を3枚重ねたものを用いた。ロータ側磁束遮蔽部材の両側に、永久磁石(板状永久磁石を3枚重ねたもの)を端面の磁極が交互に異なり、永久磁石の短手方向がロータの回転方向と一致するように配置して、第一界磁部と第二界磁部を形成した。第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材は、鉄製で非対称の切り妻状に形成されており、ロータの回転方向の長さ70mm、ロータの回転方向と直交する方向の長さ80mm、最大厚さ(永久磁石との固着面から頂部までの高さ)10mmとし、外周部を永久磁石の端部の外周部の外側に対称状に張り出させて永久磁石に固着させた。第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材の頂部は、永久磁石の中心線からロータの回転方向進み側に10mmずれている。ロータの回転方向に隣り合う第一磁束遮蔽部材同士の間隔は約5mmであった。同様に、第二磁束遮蔽部材も約5mmの間隔であった。
第一対向面及び第二対向面を有する略コ字状に形成したコアを、ロータの周囲の5箇所に対称状に配置した。コアの第一対向面及び第二対向面の近傍に、線径1.8mmの銅線を各々600回巻いてステータコイルを形成した。コアの第一対向面と第一磁束遮蔽部材の間隔(ギャップ)の最短距離(第一磁束遮蔽部材の頂部と第一対向面との最短距離)、コアの第二対向面と第二磁束遮蔽部材の間隔(ギャップ)の最短距離(第二磁束遮蔽部材の頂部と第二対向面との最短距離)は、各々10mmとした。第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材の頂部が、永久磁石の中心線からロータの回転方向進み側にずれていることから、ギャップが永久磁石の中心軸に対して非対称となっている。
以上のように構成することで、実施例1の発電システムを得た。
【0055】
(実施例2)
実施例1と同様の第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材(厚さ15mm)の裏面に、永久磁石の端面を収装できる深さ5mmの凹部を形成し、凹部を永久磁石の端面に固着した。その他は実施例1と同様にして、実施例2の発電システムを得た。
【0056】
(実施例3)
第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材を、ロータの回転方向の長さ50mm、ロータの回転方向と直交する方向の長さ60mm、最大厚さ(永久磁石との固着面から頂部までの高さ)10mmとし、外周部の大きさを永久磁石の端部の外周部の大きさと同一にした。その他は実施例1と同様にして、実施例3の発電システムを得た。
【0057】
(実施例4)
第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材を、鉄製でロータの回転方向の長さ70mm、ロータの回転方向と直交する方向の長さ80mm、最大厚さ10mmとし、外周部を永久磁石の端部の外周部の外側に対称状に張り出させ、表面をロータの回転方向に沿って対称状の湾曲状に形成した。第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材の表面が対称状に形成されていることから、ギャップは永久磁石の中心軸に対して対称である。その他は実施例1と同様にして、実施例4の発電システムを得た。
【0058】
(比較例1)
永久磁石の端面に固着した第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材を除去し、ロータの第一対向面及び第二対向面と永久磁石の端面とを10mmの間隔(ギャップ)をあけて対向させた以外は実施例1と同様にして、比較例1の発電システムを得た。
【0059】
(回転負荷トルクの測定)
ロータを回転させる駆動モータをロータに連結しない状態で、ロータの回転負荷トルクを測定した。その結果、実施例1、実施例2及び実施例4の発電システムにおける発電機の回転負荷トルクは、比較例1の発電システムにおける発電機の回転負荷トルクの1/15であった。また、実施例3の発電システムにおける発電機の回転負荷トルクは、比較例1の発電システムにおける発電機の回転負荷トルクの7/15であった。
以上のように、第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材を設けることで、ロータの回転負荷トルクが低下することが確認された。特に、実施例1、実施例2及び実施例4の発電システムのように、第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材の外周部を永久磁石の端部の外周部の外側に張り出させることにより、回転負荷トルクが著しく低下することが確認された。
【0060】
(駆動モータの負荷電流の測定)
ロータと駆動モータを連結して、駆動モータの負荷電流を測定した。駆動モータとしては定格電圧が24Vの直流モータ(出力400W、2400rpm)を用い、ロータを回転させた。
比較例1の発電システムにおいては、ステータコイルを短絡させる第一のリレースイッチがオフのとき、発電機に連結した駆動モータの始動時における負荷電流は50Aであり、定常時における負荷電流は20Aであった。駆動モータを稼動させた定常状態で第一のリレースイッチをオンにしてステータコイルを短絡すると、負荷電流は15A(第一のリレースイッチオフ時の3/4)に低下した。
これに対し、実施例1の発電システムの第一のリレースイッチがオフのとき、ロータに連結した駆動モータの始動時における負荷電流は15Aであり、定常時における負荷電流は10Aであった。駆動モータを稼動させた定常状態で第一のリレースイッチをオンにすると、負荷電流は5A(第一のリレースイッチオフ時の1/2)に低下した。
また、実施例2の発電システムの第一のリレースイッチがオフのとき、ロータに連結した駆動モータの始動時における負荷電流は17Aであり、定常時における負荷電流は11Aであった。駆動モータを稼動させた定常状態で第一のリレースイッチをオンにすると、負荷電流は6A(第一のリレースイッチオフ時の約1/2)に低下した。
また、実施例3の発電システムの第一のリレースイッチがオフのとき、ロータに連結した駆動モータの始動時における負荷電流は25Aであり、定常時における負荷電流は13Aであった。駆動モータを稼動させた定常状態で第一のリレースイッチをオンにすると、負荷電流は7A(第一のリレースイッチオフ時の約1/2)に低下した。
また、実施例4の発電システムの第一のリレースイッチがオフのとき、ロータに連結した駆動モータの始動時における負荷電流は16Aであり、定常時における負荷電流は10Aであった。駆動モータを稼動させた定常状態で第一のリレースイッチをオンにすると、負荷電流は7A(第一のリレースイッチオフ時の約3/4)に低下した。
また、実施例1〜3では、駆動モータを稼動させた定常状態で第一のリレースイッチをオンにすることで、ロータの回転数が、第一のリレースイッチがオフの場合よりも約7%高速化された。
以上のように、第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材を設けることで、始動時における駆動モータの負荷電流が低下することが確認された。特に、実施例1、実施例2及び実施例4の発電機のように、第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材の外周部を永久磁石の端部の外周部の外側に張り出させることにより、始動時における負荷電流が著しく低下することが確認された。
また、実施例1〜4のように、駆動モータを稼動させた定常状態で第一のリレースイッチをオンにしてステータコイルを短絡することで、駆動モータの負荷電流が低下することが確認された。さらに、実施例1〜3のように、ギャップを非対称にすることで、負荷電流の低下率を大きくすることができるとともに、ロータの回転数を高速化できることが確認された。
【0061】
(発電出力の測定)
ロータと駆動モータを連結して、ロータを800rpmの回転数で回転させ、第一のリレースイッチがオフのときに各ステータコイルに生じた交流起電力を整流器によって整流し、合算した出力電圧(直流)及び出力電流(直流)を測定した。
比較例1の発電機の出力電圧は270V、出力電流は9Aであり、実施例1、実施例3及び実施例4の発電機の出力電圧・出力電流もほぼ同じであった。
これに対し、実施例2の発電機の出力電圧は300V、出力電流は12Aであった。
第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材を設けることで駆動モータの負荷電流が低下するため、駆動モータの消費電力を減らすことができ、その結果、駆動モータの消費電力を差し引いた出力電力が向上することが確認された。特に、実施例1及び実施例2の発電機のように、第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材の外周部を永久磁石の端部の外周部の外側に張り出させることにより、効果が大きくなることが確認された。さらに、実施例2の発電機のように、第一磁束遮蔽部材及び第二磁束遮蔽部材の底部に凹部を形成し、凹部に永久磁石の端面を収装することで、出力が大きくなるため、出力電力をさらに高められることが確認された。
さらに、第一のリレースイッチのオン/オフを交互に切り替えることでステータコイルに生じた起電力を蓄電池に充電し、第一のリレースイッチがオンのときの充電に寄与していない期間は、小さな駆動力でロータを回転させることができるため、ロータを回転駆動させる消費電力を抑えて発電効率を向上できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、永久磁石を配置したロータの回転によりステータコイルに誘導電圧を生じさせる発電システムに関し、永久磁石がコアの対向面を通過する際にコアから受ける反発力や吸引力が少なく、わずかな駆動力でロータを回転させて発電効率を向上させることができ、また永久磁石の励磁磁力とコアの磁界磁力によってロータの回転方向に作用する吸引力と反発力をバランスさせて、ロータの回転負荷トルクを減少させることができ、また、ステータコイル間の干渉を防ぎ、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に独立して生じた電力を加算した電力を得ることができるため、発電出力を高めることができ、さらに、ステータコイル毎又はステータコイル群毎に異なる負荷や蓄電池に接続して、各々の電力を利用したり蓄えたりすることができ自在性に優れた発電システムを提供できる。
【符号の説明】
【0063】
1 発電システム
2 発電機
3 ロータ
4,4a,4b ステータコイル
5 変圧器
6 第一のリレースイッチ
7 整流器
8 平滑コンデンサ
9 第一のコンデンサ
10 ゲート回路
11 整流ダイオード
12 第二のコンデンサ
13 蓄電池
14 第二のリレースイッチ
15 タイマ
16 スイッチ
17 回転軸
18 ロータ側磁束遮蔽部材
19 永久磁石
20 端面
21,21a 第一磁束遮蔽部材
22 第一界磁部
23 ケーシング
24,24a,24b コア
25,25a,25b 第一対向面
26 永久磁石
27 端面
28 第二磁束遮蔽部材
29 第二界磁部
30 第二対向面
31 ステータコイル
32,33 締結部材
41 発電機
42 第一磁束遮蔽部材
43 凹部
44,45 傾斜面
46 頂部
47 孔部
51 発電機
52 回転軸
53,54 ロータ
55 永久磁石
56 第一磁束遮蔽部材
57 第一界磁部
58 永久磁石
59 第二磁束遮蔽部材
60 第二界磁部
61 コア
62 第一対向面
63 第二対向面
64 ステータコイル
100 永久磁石
101 端面
102,105 コア
103,106 対向面
104,107 ステータコイル
X 界磁側中心線
Y コア側中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に取り付けられたロータと、前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なるように永久磁石が複数配置された第一界磁部と、前記永久磁石の端面に固着された第一磁束遮蔽部材と、前記第一磁束遮蔽部材と間隔をあけて配置され端部に前記第一磁束遮蔽部材とギャップを介して対向する第一対向面を有し各々が磁気的に絶縁された複数のコアと、前記コアに巻回されたコイル毎又は前記ロータの回転に伴い同位相の交流起電力が発生するコイル群毎に変圧器又は整流器に接続されたステータコイルと、を備えた発電機と、
前記ステータコイルと前記変圧器又は前記整流器との間に並列に接続され前記ステータコイルを短絡する第一のリレースイッチと、
前記変圧器又は前記整流器の出力電圧を入力して蓄電する蓄電池と、
を備えていることを特徴とする発電システム。
【請求項2】
前記第一磁束遮蔽部材と前記コアの前記第一対向面とのギャップが、前記ロータの回転方向に沿って前記永久磁石の中心線に対して非対称となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記第一磁束遮蔽部材の外周部が、前記永久磁石の端面の外周部の外側に張り出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記ロータの回転方向に沿って端面の磁極が交互に異なり、かつ、前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された永久磁石同士の端面の磁極が異なるように前記第一界磁部と並設された第二界磁部と、前記第二界磁部の端面に固着された第二磁束遮蔽部材と、前記コアの前記第一対向面の他端に形成され前記第二磁束遮蔽部材と対向する第二対向面と、を備え、前記ロータの回転方向と略直交する位置に配置された前記第一界磁部の永久磁石の端面の中心と前記第二界磁部の永久磁石の端面の中心とを結ぶ界磁側中心線と、前記第一対向面の中心と前記第二対向面の中心とを結ぶコア側中心線と、の間にずれ角αが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の発電システム。
【請求項5】
前記第一磁束遮蔽部材の底面が、前記永久磁石の端面に密接していることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の発電システム。
【請求項6】
前記第一磁束遮蔽部材の底面に凹部が形成され、前記永久磁石の端面が前記凹部に収装されていることを特徴とする請求項5に記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−288336(P2010−288336A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138725(P2009−138725)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(308030710)株式会社M&Gジャパン (2)
【出願人】(592157858)
【Fターム(参考)】