説明

発電用内燃機関

【課題】安価で再生可能な可燃性粉体燃料による発電効率向上のため、爆発燃焼を利用した発電用内燃機関を得る。
【解決手段】内燃機関のシリンダー内のピストンの役目をシリンダー内の液体でおこなうことで、可燃性粉体を爆発燃焼させた時に発生する灰や炭化物による障害を除去する

【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は可燃性粉体を利用することのできる発電用内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来発電用内燃機関として天然ガス、石油を利用していたが、発電効率が低く主に小規模な非常用電源として利用されていた。
【0003】
又発電用燃料として、天然ガス、石油、石炭は地球温暖化と排ガスに、原子力は安全性に、水力は利用できる場所、風力と太陽光は利用できる時間にそれぞれ問題があった。
【0004】
そこで、再生可能で安価でしかもクリーンな燃料が利用できかつ電気変換効率のよい発電装置が求められていた。
【0005】
そのため日光エネルギーの貯蔵庫である植物からエタノールや油を抽出していたが、その抽出に多大なエネルギーを要し、直接植物を利用する電気変換効率のよい発電装置が求められていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】FAQ粉じん爆発 日清エンジニアリング株式会社
【非特許文献2】ウイキペデア 内燃機関
【非特許文献3】電気事業連合会 でんきの情報広場
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から発電効率を高めるために、燃料の爆発燃焼力とその余熱を利用していたが、安価な燃料として可燃性粉体を利用すれば、大量の灰や炭化物が発生し、発電装置を連続して運転する事ができなかった。
【0008】
そのため、安価な燃料である草木、石油を生産する藻等の乾燥粉体と空気の混合体の爆発燃焼力とその余熱を利用する発動効率の良い発電装置ができなかった。
【0009】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、従来は直接利用できなかった例えば 植物乾燥粉体を燃料とする内燃機関を提供し、その余熱で蒸気タービンを回わし、コンバインサイクル発電をし、発電効率を高めようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして本発明は上記目的を達成するために、可燃性粉体を燃焼した時に発生する灰や炭化物が内燃機関のシリンダーとピストンの間に詰る事を防ぎ、内燃機関内に溜まった灰や炭化物を効率よく除去しやすくするため、可燃性粉体と空気の混合体の爆発燃焼力で直接ピストンを動かすのでなく、液体を介してピストンを動かしている。
【0011】
そして内燃機関からの排ガスを遠心分離機に導びき、効率よく連続して灰、炭化物を取り除き、蒸気タービンを回わすボイラーに導びいている。
【発明の効果】
【0012】
本発明内燃機関は上記の様な形態をとっているので、可燃性粉体と空気の混合体をシリンダー内で爆発燃焼さした爆発力を、液体を介することでピストンを詰らせることなくピストン運動として取り出すことができ
【0013】
シリンダー内で発生した大量の灰と炭化物は、内燃機関内の液体や排ガスを遠心分離機で効率よく連続して取り出している。
【0014】
太陽エネルギーを電気に変換するに、いつたん太陽エネルギーを植物に蓄えているので、電気への変換効率も、必要な時に発電できる利用効率も直接電気に変換するに比較して向上している。
【0015】
植物の硬い幹等は軟化し柔らかい部分はそのままで乾燥粉砕するだけで燃料として利用しているので、エネルギー利用効率と燃料製造効率が向上している。
【0016】
本発明内燃機関を利用した発電は、植物の乾燥粉体を燃料として爆発燃焼力で本発明内燃機関を動かし、その排ガスの余熱を利用して蒸気タービンを回す事ができ、発電効率が高くなっている。
【0017】
本発明内燃機関のシリンダー内部で、乾燥粉体と空気の混合体が爆発燃焼した時、気体の膨張方向は、液体のある方向すなわち液体の表面に堆積した灰と炭化物の層方向だけであるので、爆発燃焼により生じた灰と炭化物の飛散方向も又同じ方向であり、灰と炭化物の飛散によるシリンダー内壁の損傷はない。
【0018】
本発明内燃機関のシリンダー内に網目状可動性隔壁を設置しているので、その上部に灰や炭化物が堆積してその層が断熱効果が大きく、その下の液体に熱はほとんど伝らない。又その層とシリンダーの間にある蒸気が潤滑剤となって摩擦による抵抗は非常に小さい。
【0019】
網目状可動性隔壁の各部の孔の大きさを制御すると、灰と炭化物の層が下の液体に流れ込む量がコントールされる。又可燃性粉体と空気の混合比率を変えても、発生する灰と炭化物の量が変化し、シリンダー内の網目状可動性隔壁の上に堆積している灰と炭化物の層の厚さを制御できている。
【0020】
本発明内燃機関にあるシリンダー上部周囲をボイラーの水で冷却すれば、余熱の利用効率が向上する。
【0021】
本発明内燃機関の動力取り出しピストンの先端に蓋を連結する事で、動力を伝える液体中の灰や炭化物の微粒子や溶けているガス成分の侵入を遅くする効果がある。
【0022】
本発明内燃機関内の液体を循環さし、遠心分離機で灰と炭化物の固形物を取り除いているので、その時その循環液体を冷却することができる。
【0023】
本発明内燃機関を使用した発電は、比較的低温で発電しているので、排気ガス中に窒素酸化物が少なく、燃料が植物であるので、硫黄酸化物も少ない。又比較的小規模発電にも適しているので、都市近郊に設置でき送電ロスが少なく又低温温水も地域暖房に有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】 本発明内燃機関の断面図
【図2】 本発明内燃機関の遠心分離機正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明内燃機関の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例】
【0026】
図1に示すように、シリンダー1の内部に網目状可動性隔壁2を設置し、その上に灰と炭化物の層3を作り、網目状可動性隔壁2の下に水4満たす。そして吸気管5から吸気管5内の弁6を開いて可燃性粉体と空気の混合体をシリンダ1内の爆発燃焼空間7に注入する。
【0027】
そして複数の点火装置8にて爆発燃焼空間7内で、均等に爆発燃焼さす。この事により灰と炭化物の層3と網目状可動性隔壁2を介して、水4に圧力を及ぼす。
【0028】
この圧力がシリンダー1の爆発燃焼空間7と反対側にあるピストン内蔵シリンダー9に伝播し、ピストン内蔵シリンダー9内にある油10を介して、ピストン11を押しこの運動を、回転体の回転運動として外に取り出す。
【0029】
次に回転体の慣性回転運動によりピストン11が油10に圧力をかけるので、その圧力で、シリンダー1内部の水4を押し上げ、爆発燃焼空間7にある燃焼したガスを排気管12内の弁13を開けて、排気管12から排気させる。
【0030】
その次に回転体の慣性回転運動により、ピストン11がシリンダー1の外部方向に引いて、弁6を開いた吸気管5から可燃性粉体と空気との混合気体を爆発燃焼空間7に吸引する。
【0031】
そして回転体の慣性回転運動により、ピストン11でシリンダー1の上部方向に水4を押すことで、爆発燃焼空間7で可熱性粉体と空気との混合気体を圧縮し、複数の点火装置8により点火する。この圧縮し点火することで、爆発力を増しかつ燃焼効率を上げ、炭化物の発生を減少さしている。
【0032】
この作業を繰り返す事により、爆発燃焼空間7における爆発力をピストン11のピストン運動さらに回転体の回転運動に変換して発電している。
【0033】
シリンダー1の天井部分に超音波装置14を設置し、網目状可動性隔壁2の上に堆積した灰と炭化物層3の厚さを測定し、網目状可動性隔壁2の孔の大きさを調節している。又可燃性粉体と空気との混合比を変える事により灰と炭化物の発生量を変化させて制御する方法がある。
【0034】
シリンダー1内の水4は循環用パイプ15で排水し、途中にある遠心分離機16で灰や炭化物を分離して再度ピストン内蔵シリンダー9内に注水することで、シリンダー1内の水4を循環し、灰や炭化物を外部に取り出しかつ水4を冷却している。
【0035】
排気管12から出た排ガスは、遠心分離機17に導びかれる。この時遠心分離機17の回転翼18に斜めから吹きつけられているので、回転翼18の回転の一助となっている。
【0036】
この遠心分離機17で灰や炭化物が連続してかつ効率よく取り除かれた排ガスは、ボイラーを暖めて、その蒸気で蒸気タービンを回転し発電している。
【0037】
ボイラを暖めた排ガスは、再度水の中に吹きつけられて有害成分を取り除かれ、蒸気タービンを回した後冷却された温水と共に前記排ガスを吹きつけられ暖められた温水は、地域暖房に使用される。このためこの可燃性粉体の熱エネルギー利用効率は極めて高くなっている。そして、灰は林業や農業に再利用される。
【0038】
ピストン11には蓋18が連結されていて、蓋18とピストン11との間に油10が封入されているので、蓋18が油10の汚染の進行を遅らせている。
【0039】
可燃性粉体の製造は、植物の幹のごとく硬い部分は腐朽菌でもろくし粉体とし、軟らかい部分はそのまますり潰して乾燥して粉体とする。又その乾燥粉体に少し油を混じてもよい。又この機械的に粉体を製造し、さらに水分を含ませ高温高圧から一気に減圧してさらに細かく砕く方法がある。
【0040】
爆発力を強めかつ均一に爆発さすために、爆発燃焼空間7に数か所よりレーザー光又はフラツシユランプよりの強力パルス発光ビームを照射し点火する方法がある。
【0041】
水4のかわりにシリコーン油を用いた実施例がある。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、植物から製造した可燃性粉体を利用した火力発電に利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 シリンダー
2 網目状可動性隔壁
3 灰と炭化物層
4 水
5 吸気管
6、13 弁
7 爆発燃空間
8 複数の点火装置
9 ピストン内蔵シリンダー
10 油
11 ピストン
12 排気管
14 超音波装置
15 循環用パイプ
16、17 遠心分離機
18 回転翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー内の爆発力を、液体の運動に変換する発電用内燃機関。
【請求項2】
シリンダー内に可動性隔壁を持つ請求項1記載の発電用内燃機関。
【請求項3】
シリンダー内にある可動隔壁の上に載っている灰と炭化物層とシリンダー天井との距離を測定する機構を有し、灰と炭化物層の厚さを制御する機構を有する請求項2記載の発電用内燃機関。
【請求項4】
液体の運動をピストンの運動に変換する請求項1記載の発電用内燃機関。
【請求項5】
シリンダー内部のピストンに蓋を連結した請求項4記載の発電用内燃機関。
【請求項6】
シリンダー内部にあるピストに連結した蓋の外部に、精製液を注入する請求項5記載の発電用内燃機関。
【請求項7】
シリンダー内の液体を循環さし遠心分離機を通して、固体成分を除去する請求項1記載の発電用内燃機関。
【請求項8】
内燃機関からの排ガスを遠心分離機を通すことで固体成分を除去する請求項1記載の発電用内燃機関。
【請求項9】
複数の点火装置を有する請求項1記載の発電用内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−2441(P2013−2441A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160332(P2011−160332)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000181538)
【Fターム(参考)】