説明

発電装置、及びこれを用いたテレメータ水位観測システム

【課題】 悪天候に影響されること無く電力の供給が可能な発電装置及びテレメータ水位観測システムを得る。
【解決手段】 発電装置と観測装置とを具備するテレメータ水位観測システム。発電装置は風力または水力により回転可能な磁性体、及び内部にコイルを備えた伝送路を含み、磁性体の回転によって生じる電磁誘導を用いて発電する風力水力発電部、水位計測器、電磁誘導によりコイルに発生する交流電圧を整流する整流器、及び整流された直流電圧を蓄電する蓄電部を含む。観測装置は、発電装置と接続された直流電源、水位計測部で計測された計測データを処理し、水位情報を算出する計測データ処理部、及び水位情報を外部情報端末に通信するデータ通信部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テレメータ水位観測システム及びその発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレメータ水位観測システムは、円柱内に川・湖・海の水を取り込み、そこを浮遊するフロートの動きでデータの観測を行う水位計センサ部分と、遠隔地の管理事務所に設置されたテレメータ監視装置からの観測指令により、データ観測を行うテレメータ観測装置(以降、観測装置)とを有し、観測装置に電気が通電されることで水位計から電気的に水位測定情報を取り込み、観測したデータをテレメータ監視装置にデータ送信する。
【0003】
このようなテレメータ水位観測システムは、市街地や山間部に設置される際に商用電源の確保が困難な場合があり、その対策として太陽光発電を利用する為にソーラ発電パネル設備(以降、ソーラ設備)を設置し電源を確保すると共に、蓄電用に大型のバッテリーも設置するケースが増えている。
【0004】
しかしながら、テレメータシステムは、悪天候の時に使用頻度が高くなるという運用特性を持つシステムである。例えば晴天時には、1時間間隔のデータ観測が、悪天候時には10分間隔になる。つまり、テレメータシステムは、ソーラ設備で発電出来ない状況で、電力を消費するので効率が悪い。また、ソーラ設備を長寿命化しても、バッテリーの耐用期間が短い為、ランニングコストが掛かることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−014579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態によれば、悪天候に影響されること無く電力の供給が可能な発電装置及びテレメータ水位観測システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、風力または水力により回転可能な磁性体、及び該磁性体の周囲に配置され、内部にコイルを備えた伝送路を含み、前記磁性体の回転によって生じる電磁誘導を用いて発電する風力水力発電部、水位計測器、前記電磁誘導によりコイルに発生する交流電圧を整流する整流器、及び該整流された直流電圧を蓄電する蓄電部を含む発電装置と、
発電装置と接続された直流電源、該水位計測部で計測された計測データを処理し、水位情報を算出する計測データ処理部、及び得られた水位情報を外部情報端末に通信するデータ通信部を含む観測装置とを具備するテレメータ水位観測システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態の発電装置の構成の一例を表すブロック図である。
【図2】実施形態のテレメータ水位観測システムの一例の構成を表す図である。
【図3】図2の一部を拡大した図である。
【図4】実施形態に用いられる伝送路の一例の一部の切欠図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る発電装置は、風力及び水力のいずれを用いても発電が可能な風力水力発電部、発電により得られた交流電圧を整流する整流器、及び整流された直流電圧を蓄電する蓄電部を具備する。
【0010】
風力水力発電部は、風力及び水力のいずれを用いても回転可能な磁性体、及び磁性体の周囲に配置され、内部にコイルを備えた伝送路を含む。
【0011】
風力水力発電部は、磁性体の回転によってコイルに生じる電磁誘導を用いて発電することができる。
【0012】
図1に、実施形態にかかる発電装置の構成の一例を表すブロック図を示す。
【0013】
図示するように、この発電装置10は、風力水力発電部11と、風力水力発電部11に接続された整流器12と、整流器12と接続された蓄電部13とを含む。
【0014】
また、実施形態にかかるテレメータ水位観測システムは、風力及び水力のいずれを用いても発電が可能な風力水力発電部、及び風力水力発電部と併設された水位計測器、風力水力発電部と接続され、電磁誘導によりコイルに発生する交流電圧を整流する整流器、整流された直流電圧を蓄電する蓄電部、水位計測器に接続され、計測データを処理し、水位情報を算出する計測データ処理部、及び得られた水位情報を外部情報端末に通信するデータ通信部を含む観測装置を含む。
【0015】
図2に、実施形態にかかるテレメータ水位観測システムの一例の構成を表す図を示す。
【0016】
図示するように、このテレメータ水位観測システム100は、水位計測兼発電部材20と、水位計測兼発電部材20に各々接続された電源供給部30及び観測装置40を含む。
【0017】
図3に、水位計測兼発電部材20の一部を拡大した図を示す。
【0018】
図示するように、水位計測兼発電部材20は、複数のセル2−1,2−2,2−3…が連結した構成を有する。例えばセル2−1は、回転可能な磁性体例えば球状の磁性体8−1を含む。この磁性体8−1は、その表面に数本のスリット9が設けられており、このスリット9の部分が磁化され、スリット9以外の表面は非磁性となっている。セル2−1において、磁性体8−1は、例えば4本の柱状の伝送路3,4,5,6,及び1本のフロート式水位計7と、伝送路3,4,5,6,及びフロート式水位計7に支持され、伝送路3,4,5,6,及びフロート式水位計7の長手軸を分割するように互いに間隔をおいて配置された2枚の仕切り板14−1,14−2とにより区画された領域内に収容されている。
【0019】
伝送路3,4,5,6,は、必要に応じて複数本を連結することにより、所望の長さに調節可能である。また、伝送路3,4,5,6の長さに応じて、仕切り板の枚数、回転可能な磁性体の数を調整することにより、水位計測兼発電部材20の長さを用途に合った長さに調整し得る。
【0020】
水位計測兼発電部材20は,例えば川、湖、海等に立てられたH型鋼1に、その長手軸が水面Lに対しほぼ垂直になるように取り付けられる。このH型鋼は、その一端が、川、湖、海等の底に強固に埋め込まれ、他端が十分水面上に出るよう設置される。伝送路及びフロート水位計は、その一部が水中に浸るように実装することができる。
【0021】
フロート水位計は、内部のフロート浮き沈みで、既定点からの水位を計測することができる。
【0022】
各セル内には空気や水が自由に出入りすることができる。スリット9が風や水流の抵抗を受けることにより、磁性体8−1は容易に回転することができる。
【0023】
図4に、1本の伝送路の一例の一部を切欠いた図を示す。
【0024】
図示するように、伝送路3の内部には、コイル15が巻き回されていることがわかる。
【0025】
磁性体8−1の回転運動に応じて磁化されたスリットがセル内を移動し、隣接した伝送路3内のコイルに電磁誘導が生じる。
【0026】
電源供給部30は、電磁誘導によりコイルに発生する交流電圧を整流する整流器12と、整流された直流電圧を必要に応じて蓄電する蓄電部13とを含む。伝送路3,4,5,6は整流器12に接続され、これにより、水位計測兼発電部材20にて発生した誘導電流は整流器12に送られる。
【0027】
観測装置40は、フロート水位計7に接続され、計測データを処理し、水位情報を算出する計測データ処理部22、及び得られた水位情報を外部情報端末に通信するデータ通信部23、計測データ処理部22とデータ通信部23、及び電源供給部30のそれぞれに接続された直流電源21を含む。
【0028】
外部情報端末24を介して、遠隔地に設置されたテレメータ監視装置からの観測指令に基づき、観測装置40は電源供給部30より供給された電気によりデータ収集を行い、その結果をテレメータ監視装置に返送する。
【0029】
計測データ処理部22では、例えば、まず、フロート水位計7から得られた計測データを図示しない計測データ記憶部内に記憶し、次に、計測データ記憶部に接続された図示しない算出部において、記憶された計測データを読み出し、水位を算出して、水位情報を得ることができる。データ通信部23では、得られた水位情報を外部情報端末24に通信することができる。
【0030】
実施形態にかかる発電装置及びテレメータ水位観測システムは、水面より上の部分では風力で、水面下では水力で各々発電し得、風力と水力の両方を活用することができるので、効率が良い。また、この発電は、ソーラー発電システムとは異なり日照には影響されず、テレメータ水位観測システムの使用頻度が高くなる悪天候下でも十分に発電が可能である。実施形態にかかる発電装置及びテレメータ水位観測システムを用いると、商用電源の確保の必要性も更に低下する。
【0031】
これにより、実施形態にかかる発電装置及びテレメータ水位観測システムを用いると、効率良く安定した電力の供給が可能となる。
【0032】
回転可能な磁性体として、球状または円柱状の形状を有する磁性体を使用することができる。
【0033】
また、実施形態にかかるテレメータ水位観測システムでは、水位計測兼発電部材の補助電源として、直流電源に接続され、太陽光により発電するソーラー発電装置をさらに設けることができる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1…H型鋼、3,4,5,6…伝送路、7…フロート水位計、8−1…回転可能な磁性体、10…発電装置、9…スリット、11…風力水力発電部、12…整流器、13…蓄電部、14−1,14−2…仕切り板、20…水位計測兼発電部材、21…直流電源、22…計測データ処理部、23…データ通信部、30…電源供給部、40…観測装置、100…テレメータ水位観測システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力または水力により回転可能な磁性体、及び該磁性体の周囲に配置され、内部にコイルを備えた伝送路を含み、前記磁性体の回転によって生じる電磁誘導を用いて発電する風力水力発電部、
前記電磁誘導によりコイルに発生する交流電圧を整流する整流器、及び
該整流された直流電圧を蓄電する蓄電部を具備することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記回転可能な磁性体を2以上含み、
各磁性体は、少なくとも1本の柱状の伝送路と、該伝送路に支持され、該伝送路の長手軸を分割するように互いに間隔をおいて配置された2以上の仕切り板とにより区画された領域内に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記回転可能な磁性体は、球状または円柱状の形状を有する請求項1または2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記回転可能な磁性体の表面は、空気及び水の抵抗を受けるための磁化されたスリットを有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記伝送体を2本以上連結することにより、全体の長さを調節できる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
水位計測器をさらに含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発電装置と、
該発電装置と接続された直流電源、該水位計測部で計測された計測データを処理し、水位情報を算出する計測データ処理部、及び得られた水位情報を外部情報端末に通信するデータ通信部を含む観測装置とを具備することを特徴とするテレメータ水位観測システム。
【請求項7】
前記直流電源に接続され、太陽光により発電するソーラー発電装置をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載のテレメータ水位観測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−196049(P2012−196049A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58061(P2011−58061)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】