説明

発音学習支援装置及び発音学習支援プログラム

【課題】所望の領域で用いられる発音を学習する。
【解決手段】 電子辞書装置1おいて、アメリカ英語についての英和辞書「リー○ーズ」の辞書データベース85aが指定される、つまり、発音の学習対象国として「アメリカ」が指定された後(図(a))、文字キー13c等の操作によって学習対象語句「blessed」が入力されると(図(b))、学習対象語句「blessed」に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データが表示される(図(c))。そして、発音学習キー13jが操作されると、録音部4に入力されたユーザ音声からユーザ音声データが生成され(図(d))、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「アメリカ」に対応する模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され、これらの分析結果が比較評価された後、評価結果がディスプレイ10に表示される(図(e))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発音の学習を支援する発音学習支援装置及び発音学習支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声出力の可能な電子辞書装置などの発音学習支援装置では、内部に記憶した模範音声と、ユーザの発声によるユーザ音声とを比較して評価することにより、発音の学習効果を高めるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、語句の発音は、国や地域、人種、世代、職業等の各領域ごとに異なる場合がある。換言すれば、所定の概念で領域を括ると、語句の発音は領域によって異なる場合があると言える。例えば英語を例にとると、国や地域については英国、米国、カナダ、オーストリア、香港等の各領域があり、人種については白人、黒人、インド人、日本人等の各領域があり、世代については子供、若者、老人等の各領域があり、職業については労働者、IT関連業者等の各領域があり、これら各領域ごとに英語の発音が異なることになる。
【特許文献1】特開平11−296060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の電子辞書装置では、アメリカ英語やイギリス英語での一般的な模範音声しか記憶されておらず、国別や人種別、職業別等の所望の各領域で用いられる発音を学習することができない。
【0005】
本発明の課題は、所望の領域(国や人種、職業等)で用いられる発音を学習することができる発音学習支援装置及び発音学習支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、発音学習支援装置(例えば、図1の電子辞書装置1)において、
領域ごとに語句と、当該語句の模範発音情報(例えば、発音記号)とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶手段(例えば、図2の辞書データベース85a〜85e)と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶手段に記憶された何れかの語句,領域を、指定語句,指定領域として入力する語句領域入力手段(例えば、図2の入力部5;図6のステップS1〜S2)と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力手段(例えば、図2の録音部4;図6のステップS6)と、
前記指定語句及び前記指定領域に対応する模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力手段に取り込まれたユーザ音声の発音を評価するユーザ音声評価手段(例えば、図2のCPU6及び発音学習支援プログラム84;図6のステップS8)と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで領域には、国別や地域別の各領域や人種別の各領域、世代別の各領域、職業別の各領域を含む。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発音学習支援装置において、
前記指定語句及び前記指定領域に対応する模範発音情報に基づいて前記指定語句の模範音声を音声出力する模範音声出力手段(例えば、図2の音声出力部3)を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発音学習支援装置において、
ユーザが属する領域での発音傾向に関する発音傾向情報を記憶する発音傾向記憶手段(例えば、図2の発音傾向記憶テーブル87)を備え、
前記ユーザ音声評価手段は、
前記発音傾向情報に基づいて重み付けを行い、ユーザ音声の発音を評価する重み付け評価手段(例えば、図2のCPU6及び発音学習支援プログラム84;図6のステップS8)を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発音学習支援装置において、
前記指定語句の発音記号を表示する発音記号表示手段(例えば、図2の表示部2)を備え、
この発音記号表示手段は、前記指定領域に関わらず、同一表記法による発音記号を表示することを特徴とする。
【0011】
ここで、指定領域に関わらず同一表記法による発音記号を表示するとは、同一の表記法で発音記号を表示することを意味し、指定領域によって異なる発音記号を同一に表示することを意味するものではない。
【0012】
請求項5記載の発明は、発音学習支援装置(例えば、図1の電子辞書装置1A)において、
所定概念で括られた領域(例えば、国)ごとに語句と、当該語句の模範発音情報(例えば、発音記号)とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶手段(例えば、図2の辞書データベース85a〜85e)と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶手段に記憶された何れかの語句を、指定語句として入力する語句入力手段(例えば、図2の入力部5;図6のステップS2)と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力手段(例えば、図2の録音部4;図6のステップS6)と、
前記指定語句に対応する各領域の模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力手段に取り込まれたユーザ音声の発音を領域ごとに評価するユーザ音声評価手段(例えば、図2のCPU6及び発音学習支援プログラム84A;図18のステップT1,T3,T5,T7)と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の発音学習支援装置において、
語句と、当該語句の基準発音情報とを対応付けて記憶する基準発音情報記憶手段(例えば、図2の辞書データベース85a,85c)を備え、
前記領域別発音情報記憶手段は、
所定の領域の模範発音情報として、前記基準発音情報に対する補正情報を記憶する補正情報記憶手段(例えば、図2の発音補正テーブル86a,86b)を有することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、発音学習支援プログラム(例えば、図2の発音学習支援プログラム84)において、
コンピュータに、
領域(例えば、国)ごとに語句と、当該語句の模範発音情報(例えば、発音記号)とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶機能によって記憶された何れかの語句,領域を、指定語句,指定領域として入力する語句領域入力機能(例えば、図6のステップS1〜S2)と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力機能(例えば、図6のステップS6)と、
前記指定語句及び前記指定領域に対応する模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力機能に取り込まれたユーザ音声の発音を評価するユーザ音声評価機能(例えば、図6のステップS8)と、
を実現させることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、発音学習支援プログラム(例えば、発音学習支援プログラム84A)において、
コンピュータに、
領域(例えば、国)ごとに語句と、当該語句の模範発音情報(例えば、発音記号)とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶機能によって記憶された何れかの語句を、指定語句として入力する語句入力機能(例えば、図6のステップS2)と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力機能(例えば、図6のステップS6)と、
前記指定語句に対応する各領域の模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力機能に取り込まれたユーザ音声の発音を領域ごとに評価するユーザ音声評価機能(例えば、図18のステップT1,T3,T5,T7)と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,7記載の発明によれば、指定語句及び指定領域に対応する模範発音情報に基づいてユーザ音声の発音が評価されるので、領域によって発音が異なる場合であっても、所望の領域で用いられる発音を学習することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、指定領域に対応する模範発音情報に基づいて指定語句の模範音声が音声出力されるので、発音の学習効率を更に高めることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、ユーザの属する領域での発音傾向情報に基づき重み付けを行ってユーザ音声の発音が評価されるので、発音の学習効果を更に高めることができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、指定領域に関わらず、同一表記法による発音記号が表示されるので、各領域での発音表記を理解する手間を省くことができる分、発音の学習効果を更に高めることができる。
【0020】
請求項5,8記載の発明によれば、指定語句に対応する各領域の模範発音情報に基づいてユーザ音声の発音が領域ごとに評価されるので、領域によって発音が異なる場合であっても、所望の領域で用いられる発音を学習することができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、所定の領域の模範発音情報として、基準発音情報に対する補正情報が記憶されるので、各語句の発音が体系的に確定していない領域の発音であっても、この領域の発音が他領域の模範発音に対して変化規則を有するような場合には、この変化規則を補正情報として用いることにより、当該領域で用いられる発音を学習することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る発音学習支援装置を適用した電子辞書装置の実施形態について説明する。
【0023】
<第1実施形態>
[外観構成]
図1(a)は本実施形態における電子辞書装置1の斜視外観図である。
この図に示すように、電子辞書装置1は、ディスプレイ10、スピーカ11、マイク12及びキー群13を備えている。
【0024】
ディスプレイ10は、ユーザによるキー群13の操作に応じた文字や符号等、各種データを表示する部分であり、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって構成されている。
【0025】
スピーカ11は、ユーザによるキー群13の操作に応じた語句の音声を出力する部分である。
マイク12は、スピーカ11により出力される模範音声や、ユーザにより発声されるユーザ音声など、外部で伝播している外部音声を取り込む部分であり、本実施の形態においてはスピーカ11と一体化されている。
【0026】
キー群13は、ユーザが電子辞書装置1を操作するための各種キーを有している。具体的には、図1(b)に示すように、キー群13は、訳/決定キー13bと、文字キー13cと、辞書選択キー13dと、カーソルキー13eと、シフトキー13fと、戻るキー13gと、音声出力キー13hと、録音キー13iと、発音学習キー13j等とを有している。
【0027】
訳/決定キー13bは、検索の実行や、見出語の決定等に使用されるキーである。文字キー13cは、ユーザによる文字の入力等に使用されるキーであり、本実施の形態においては“A”〜“Z”キーを備えている。辞書選択キー13dは、後述の辞書データベース85a〜85e(図2参照)の選択に使用されるキーである。
【0028】
カーソルキー13eは、ディスプレイ10内で反転表示等により示されるカーソルの移動に使用されるキーである。シフトキー13fは、日本語の語句を検索対象に設定するとき等に使用されるキーである。戻るキー13gは、前回表示した画面に戻るとき等に使用されるキーである。
【0029】
音声出力キー13hは、スピーカ11に語句の模範音声を音声出力させるとき等に使用されるキーである。録音キー13iは、マイク12を介して外部音声を録音させるとき等に使用されるキーである。
【0030】
発音学習キー13jは、後述の発音学習支援処理(図6参照)を実行させるとき等に使用されるキーである。
【0031】
[内部構成]
図2は、電子辞書装置1の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、電子辞書装置1は、表示部2、音声出力部3、録音部4、入力部5、CPU6、フラッシュROM8及びRAM7を備えている。
【0032】
表示部2は、上述のディスプレイ10を備えており、CPU6から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイ10に表示するようになっている。
【0033】
音声出力部3は、上述のスピーカ11を備えており、CPU6から入力される音声出力信号に基づいて音声データをスピーカ11に再生させるようになっている。
【0034】
録音部4は、上述のマイク12を備えており、マイク12で取り込まれる外部音声をCPU6から入力される録音信号に基づいて録音し、音声データを作成するようになっている。
【0035】
入力部5は、上述のキー群13を備えており、押下されたキーに対応する信号をCPU6に出力するようになっている。
【0036】
CPU6は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの転送等を行い、電子辞書装置1を統括的に制御するようになっている。具体的には、CPU6は、入力部5から入力される操作信号等に応じてフラッシュROM8に格納された各種プログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、CPU6は、処理結果をRAM7に保存するとともに、当該処理結果を表示・音声出力するための信号を表示部2や音声出力部3に適宜出力して、対応した内容を表示・音声出力させる。
【0037】
フラッシュROM8は、電子辞書装置1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するメモリである。本実施の形態においては、フラッシュROM8は、辞書検索プログラム81と、音声合成プログラム82と、本発明に係る発音学習支援プログラム84と、辞書データベース群85と、発音補正テーブル群86と、発音傾向記憶テーブル87等とを記憶している。
【0038】
辞書検索プログラム81は、従来より公知の辞書検索処理、即ち、ユーザ操作で指定された指定見出語に対応する説明情報を検索して表示する処理をCPU6に実行させるためのプログラムである。
【0039】
音声合成プログラム82は、発音記号を音声データ化する処理をCPU6に実行させるプログラムである。なお、このような処理としては、従来より公知の処理を用いることができる。
【0040】
発音学習支援プログラム84は、後述の発音学習支援処理(図6参照)をCPU6に実行させるためのプログラムである。
【0041】
辞書データベース群85は、少なくとも1種類の辞書データベースを有しており、本実施の形態においては、アメリカ国内の英語(以下、アメリカ英語とする)を学習するための英和辞書「リー○ーズ」,「ジー○アス」の辞書データベース85a,85bと、イギリス国内の英語(以下、イギリス英語とする)を学習するための英英辞書「オク○フォード」の辞書データベース85cと、オーストラリア国内の英語(以下、オーストラリア英語とする)を学習するための英英辞書の辞書データベース85dと、カナダ国内の英語(以下、カナダ英語とする)を学習するための英英辞書の辞書データベース85e等とを有している。
【0042】
これら辞書データベース85a〜85eは、例えば図3に1例を示すように、複数の見出語と、この見出語の模範発音情報としての発音記号と、見出語を詳細に説明する説明情報とを対応付けて格納している。
【0043】
ここで、アメリカ英語についての辞書データベース85a,85bには、アメリカ英語での模範発音に対応する発音記号が格納されており、イギリス英語についての辞書データベース85cには、イギリス英語での模範発音に対応する発音記号が格納されている。
【0044】
一方、オーストラリア英語やカナダ英語においては、各語句の発音が体系的には確定していないが、所定の語句については、イギリス英語やアメリカ英語の模範発音に対して変化規則を有している。具体的には、例えばオーストラリア英語では、アメリカ英語での英単語「day」の模範発音[dei]が[dai]に変化する規則を有している。そのため、オーストラリア英語についての辞書データベース85dには、イギリス英語での模範発音に対応する発音記号が格納されており、カナダ英語についての辞書データベース85eには、アメリカ英語での模範発音に対応する発音記号が格納されている。
【0045】
また、本実施の形態においては、発音記号として国際音声記号(IPA(International Phonetic Alphabet)が用いられており、この発音記号は全世界共通の表記法によって表記されている。
【0046】
発音補正テーブル群86は、オーストラリア英語の発音補正テーブル86aと、カナダ英語の発音補正テーブル86bとを有している。
【0047】
これら発音補正テーブル86a,86bは、基準となるイギリス英語,アメリカ英語での模範発音を、オーストラリア英語,カナダ英語での模範発音に変換するための発音補正情報を記憶している。より詳細には、オーストラリア英語の発音補正テーブル86aは、図4に示すように、所定の語句についてイギリス英語での模範発音の発音記号と、オーストラリア英語での模範発音の発音記号との対応関係を、発音補正情報として格納している。同様に、カナダ英語の発音補正テーブル86bは、所定の語句についてアメリカ英語での模範発音の発音記号と、カナダ英語での模範発音の発音記号との対応関係を、発音補正情報として格納している。
【0048】
発音傾向記憶テーブル87は、発音傾向に関する発音傾向情報を国ごとに記憶しており、より詳細には、図5に示すように、電子辞書装置1の使用される国と、発音記号と、その重み係数とを対応付けて記憶している。なお、本実施の形態における重み係数は、対応する使用国で不正確に発音される傾向が高い場合には、1よりも大きい値となり、正確に発音される傾向が高い場合には、1よりも小さい値となるようになっている。
【0049】
また、上述の図2に示すように、RAM7は、CPU6が実行する各種プログラムや、これらプログラムの実行に係るデータ等を一時的に保持するメモリであり、本実施の形態においては、指定辞書種別記憶領域71と、学習対象語句記憶領域72と、発音記号記憶領域73と、模範音声データ記憶領域74と、ユーザ音声データ記憶領域75と、使用国記憶領域76とを備えている。
【0050】
指定辞書種別記憶領域71には、後述の発音学習支援処理(図6参照)において選択される辞書データベース85a〜85eの辞書種別が記憶されるようになっている。
【0051】
学習対象語句記憶領域72には、後述の発音学習支援処理(図6参照)において学習対象語句として指定される学習対象語句が記憶されるようになっている。
【0052】
発音記号記憶領域73には、後述の発音学習支援処理(図6参照)において学習対象語句の模範発音の発音記号データが記憶されるようになっている。
【0053】
模範音声データ記憶領域74には、後述の発音学習支援処理(図6参照)において模範音声の音声データ(以下、模範音声データとする)が記憶されるようになっている。
【0054】
ユーザ音声データ記憶領域75には、後述の発音学習支援処理(図6参照)においてユーザ音声の音声データ(以下、ユーザ音声データとする)が記憶されるようになっている。
使用国記憶領域76には、電子辞書装置1の使用される国が記憶されるようになっている。
【0055】
[発音学習支援処理]
続いて、電子辞書装置1の動作について説明する。図6は、CPU6がフラッシュROM8から発音学習支援プログラム84を読み出して実行する発音学習支援処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0056】
この図に示すように、まず辞書選択キー13d等の操作により辞書データベース85a〜85eの何れかが指定される、つまり、発音の学習対象とする国(以下、学習対象国とする)が「アメリカ」,「イギリス」,「オーストラリア」,「カナダ」の何れかに指定されると(ステップS1)、CPU6は、指定された辞書データベース85a〜85eの辞書種別を指定辞書種別記憶領域71に記憶させる。
【0057】
次に、文字キー13c等の操作によって学習対象語句が入力または指定され、訳/決定キー13bが操作されると(ステップS2)、CPU6は、当該学習対象語句を学習対象語句記憶領域72に記憶させる。また、CPU6は、辞書検索プログラム81を実行し、指定された辞書データベース85a〜85eから学習対象語句に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データを読み出し(ステップS3)、これら見出語、発音記号及び説明情報をディスプレイ10に表示させるとともに、発音記号データを発音記号記憶領域73に記憶させる。
【0058】
なお、このとき、オーストラリア英語またはカナダ英語についての辞書データベース85d,85eが指定されており、学習対象語句についての発音補正情報が発音補正テーブル86a,86bに格納されていると判定した場合には、CPU6は、当該発音補正情報に基づいて発音記号記憶領域73内の発音記号データを補正し、オーストラリア英語またはカナダ英語での模範発音の発音記号データを生成した後、得られた発音記号データをディスプレイ10に表示させるとともに、発音記号記憶領域73に記憶させて発音記号データを更新する。
【0059】
次に、発音学習キー13jが操作されると、CPU6は、発音記号記憶領域73内の発音記号データ、つまり発音の学習対象国に対応する模範発音の発音記号データに基づいて模範音声データを生成し、模範音声データ記憶領域74に記憶させる(ステップS4)。
【0060】
次に、CPU6は、学習対象語句についてのユーザ音声が録音部4に入力されるか否かを判定し(ステップS5)、入力されないと判定した場合(ステップS5;No)には、当該ステップS5の処理を繰り返す。
【0061】
一方、ステップS5においてユーザ音声が入力されたと判定した場合(ステップS5;Yes)には、CPU6は、入力されたユーザ音声からユーザ音声データを生成し、ユーザ音声データ記憶領域75に記憶させる(ステップS6)。
【0062】
次に、CPU6は、ユーザ音声データ記憶領域75内のユーザ音声データと、模範音声データ記憶領域74内の模範音声データ、つまり発音の学習対象国に対応する模範発音の模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声を周波数分析し(ステップS7)、これらの分析結果を比較して評価する(ステップS8)。
【0063】
より詳細には、CPU6は、使用国記憶領域76に記憶された使用国情報に基づいて当該使用国の発音傾向情報を発音傾向記憶テーブル87から読み出し、この発音傾向情報に基づいて重み付けを行いつつ、ユーザ音声,模範音声についての周波数分析の結果を比較して、ユーザの発音を評価する。
【0064】
例えば、図7に示すように、学習対象語句が「refrigerator」である場合には、まずCPU6は、ユーザ音声,模範音声についての周波数分析の結果を比較して、学習対象語句の各音節について評価スコア(SP)を算出する。ここで、評価スコア(SP)の算出手法としては、従来より公知の手法を用いることができる。また、CPU6は、電子辞書装置1の使用国の発音傾向情報として、各音節の発音記号に対応する重み付け係数(K)を、発音傾向記憶テーブル87から読み出す。次に、CPU6は、各音節について評価スコア(SP)と重み係数(K)とを乗算し、重み付け補正後の評価スコア(SO)を算出する。そして、CPU6は、評価スコア(SO)の平均値を算出し、評価結果とする。
【0065】
ここで、上述のように、使用国で不正確に発音される傾向の高い発音記号に対しては、重み係数は1よりも大きい値となっている。そのため、以上の評価手法によれば、苦手な傾向のある発音箇所については評価が甘く算出され、得意な傾向のある発音箇所については評価が厳しく算出されることとなる。たとえば、オーストラリア英語では、dayを[dai]と不正確に発音される傾向があるが、オーストラリア英語としては、[dei]と発音するべきところを[dai]と発音しても評価が甘く算出されることになる。
【0066】
そして、CPU6は、評価結果をディスプレイ10に表示させ(ステップS9)、発音学習支援処理を終了する。
【0067】
[動作例]
続いて、上記の発音学習支援処理を具体的に説明する。
【0068】
(動作例(1))
まず、図8(a)〜(c)に示すように、辞書選択キー13d等の操作によりアメリカ英語についての英和辞書「リー○ーズ」の辞書データベース85aが指定される、つまり、発音の学習対象国として「アメリカ」が指定された後(ステップS1)、文字キー13c等の操作によって学習対象語句「blessed」が入力され、訳/決定キー13bが操作されると(ステップS2)、指定された辞書データベース85aから学習対象語句「blessed」に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データが読み出され(ステップS3)、これら見出語、発音記号及び説明情報がディスプレイ10に表示され、発音記号データが発音記号記憶領域73に記憶される。
【0069】
次に、図8(d)に示すように、発音学習キー13jが操作されると、発音記号記憶領域73内の発音記号データに基づいて学習対象語句「blessed」について模範音声データが生成されるとともに、録音部4に入力されたユーザ音声からユーザ音声データが生成される(ステップS4,S5)。
【0070】
そして、図8(e)に示すように、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「アメリカ」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され(ステップS7)、これらの分析結果が比較評価された後(ステップS8)、評価結果がディスプレイ10に表示される(ステップS9)。
【0071】
(動作例(2))
まず、図9(a)〜(c)に示すように、辞書選択キー13d等の操作によりイギリス英語についての英英辞書「オク○フォード」の辞書データベース85cが指定される、つまり、発音の学習対象国として「イギリス」が指定された後(ステップS1)、文字キー13c等の操作によって学習対象語句「blessed」が入力され、訳/決定キー13bが操作されると(ステップS2)、指定された辞書データベース85aから学習対象語句「blessed」に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データが読み出され(ステップS3)、これら見出語、発音記号及び説明情報がディスプレイ10に表示され、発音記号データが発音記号記憶領域73に記憶される。
【0072】
次に、図9(d)に示すように、発音学習キー13jが操作されると、発音記号記憶領域73内の発音記号データに基づいて学習対象語句「blessed」について模範音声データが生成されるとともに、録音部4に入力されたユーザ音声からユーザ音声データが生成される(ステップS4,S5)。なお、本動作例(2)においては、ユーザ音声を取り込むタイミングで、学習対象語句「blessed」の発音記号が表示されるようになっている。
【0073】
そして、図9(e)に示すように、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「イギリス」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され(ステップS7)、これらの分析結果が比較評価された後(ステップS8)、評価結果がディスプレイ10に表示される(ステップS9)。
【0074】
(動作例(3))
まず、図10(a)〜(c)に示すように、辞書選択キー13d等の操作によりアメリカ英語についての英和辞書「ジー○アス」の辞書データベース85bが指定される、つまり、発音の学習対象国として「アメリカ」が指定された後(ステップS1)、文字キー13c等の操作によって学習対象語句「air」が入力され、訳/決定キー13bが操作されると(ステップS2)、指定された辞書データベース85aから学習対象語句「air」に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データが読み出され(ステップS3)、これら見出語、発音記号及び説明情報がディスプレイ10に表示され、発音記号データが発音記号記憶領域73に記憶される。
【0075】
次に、図10(d)に示すように、発音学習キー13jが操作されると、発音記号記憶領域73内の発音記号データに基づいて学習対象語句「air」について模範音声データが生成されるとともに、録音部4に入力されたユーザ音声からユーザ音声データが生成される(ステップS4,S5)。
【0076】
そして、図10(e)に示すように、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「アメリカ」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され(ステップS7)、これらの分析結果が比較評価された後(ステップS8)、評価結果がディスプレイ10に表示される(ステップS9)。
【0077】
(動作例(4))
まず、図11(a)〜(c)に示すように、辞書選択キー13d等の操作によりイギリス英語についての英英辞書「オク○フォード」の辞書データベース85cが指定される、つまり、発音の学習対象国として「イギリス」が指定された後(ステップS1)、文字キー13c等の操作によって学習対象語句「air」が入力され、訳/決定キー13bが操作されると(ステップS2)、指定された辞書データベース85aから学習対象語句「air」に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データが読み出され(ステップS3)、これら見出語、発音記号及び説明情報がディスプレイ10に表示され、発音記号データが発音記号記憶領域73に記憶される。
【0078】
次に、図11(d)に示すように、発音学習キー13jが操作されると、発音記号記憶領域73内の発音記号データに基づいて学習対象語句「air」について模範音声データが生成されるとともに、録音部4に入力されたユーザ音声からユーザ音声データが生成される(ステップS4,S5)。
【0079】
そして、図11(e)に示すように、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「イギリス」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され(ステップS7)、これらの分析結果が比較評価された後(ステップS8)、評価結果がディスプレイ10に表示される(ステップS9)。
【0080】
(動作例(5))
まず、図12(a)〜(c)に示すように、辞書選択キー13d等の操作によりイギリス英語についての英英辞書「オク○フォード」の辞書データベース85cが指定される、つまり、発音の学習対象国として「イギリス」が指定された後(ステップS1)、文字キー13c等の操作によって学習対象語句「refrigerator」が入力され、訳/決定キー13bが操作されると(ステップS2)、指定された辞書データベース85aから学習対象語句「refrigerator」に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データが読み出され(ステップS3)、これら見出語、発音記号及び説明情報がディスプレイ10に表示され、発音記号データが発音記号記憶領域73に記憶される。
【0081】
次に、図12(d)に示すように、発音学習キー13jが操作されると、発音記号記憶領域73内の発音記号データに基づいて学習対象語句「refrigerator」について模範音声データが生成されるとともに、録音部4に入力されたユーザ音声からユーザ音声データが生成される(ステップS4,S5)。
【0082】
そして、図12(e)に示すように、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「イギリス」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され(ステップS7)、これらの分析結果が比較評価された後(ステップS8)、評価結果がディスプレイ10に表示される(ステップS9)。
【0083】
以上の電子辞書装置1によれば、図6のステップS3〜S8や、図8〜図12に示したように、学習対象語句と、発音の学習対象国(指定された辞書データベース85a〜85e)とに対応する模範発音の模範音声データに基づいてユーザ音声の発音が評価されるので、国ごとに発音が異なる場合であっても、所望の国で用いられる発音を学習することができる。
【0084】
また、図6のステップS8や図7に示したように、ユーザの属する国、つまり電子辞書装置1の使用国での発音傾向情報に基づいて重み付けを行いつつ、ユーザ音声の発音が評価されるので、発音の学習効果を更に高めることができる。
【0085】
また、図6のステップS3に示したように、オーストラリア英語,カナダ英語での模範発音の発音記号として、イギリス英語,アメリカ英語での模範発音の発音記号と、イギリス英語,アメリカ英語での模範発音をオーストラリア英語,カナダ英語での模範発音に変換するための発音補正情報とを用いるので、各語句の発音が体系的に確定していないオーストラリア英語,カナダ英語の発音であっても、発音を学習することができる。
【0086】
また、図8〜図12に示したように、発音の学習対象国に関わらず、同一表記法による国際音声記号の発音記号が表示されるので、各国での発音表記を理解する手間を省くことができる分、発音の学習効果を更に高めることができる。
【0087】
なお、上記の第1実施形態においては、辞書データベース85a〜85eの指定によって発音の学習対象国を指定することとして説明したが、例えば図13に示すように、辞書データベース85a〜85eの指定とは無関係に、ユーザ音声を取り込む前に学習対象国や模範発音の選択画面を表示させ、この選択によって学習対象国を指定することとしても良い。
【0088】
<第2実施形態>
続いて、図2,図14〜17を参照して、本発明に係る発音学習支援装置を適用した電子辞書装置の第2実施形態について説明する。なお、上記の第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
[内部構成]
図2に示すように、本実施の形態における電子辞書装置1AはフラッシュROM8Aを備えており、このフラッシュROM8Aには、後述の発音学習支援処理(図6,図14〜図16参照)をCPU6に実行させるための発音学習支援プログラム84Aが格納されている。
【0090】
[発音学習支援処理]
続いて、電子辞書装置1Aの動作について説明する。図6,図14〜図16は、CPU6がフラッシュROM8Aから発音学習支援プログラム84Aを読み出して実行する発音学習支援処理の動作を説明するためのフローチャートである。なお、本実施形態における発音学習支援処理は、上記第1実施形態の発音学習支援処理におけるステップS9(図6参照)の後に下記の国別発音評価処理を行う点のみで異なるため、これ以外の処理については説明を省略する。
【0091】
まず、ステップS9において評価結果がディスプレイ10に表示された状態で所定のユーザ操作が行われると、CPU6は、各国の模範発音に対してユーザ音声の評価を行う国別発音評価処理を行う。
【0092】
この国別発音評価処理においては、図14に示すように、まずCPU6は、イギリスの模範音声に基づく発音評価処理(以下、イギリス系発音評価処理とする)を行う(ステップT1)。
【0093】
具体的には、図15に示すように、まずCPU6は、イギリス英語の辞書データベース85cから発音記号データを読み出し(ステップU11)、発音記号記憶領域73に記憶させるとともに、この発音記号データに基づいて模範音声データを生成して模範音声データ記憶領域74に記憶させる(ステップU12)。そして、CPU6は、上記ステップS7〜S8と同様に、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「イギリス」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいてユーザ音声,模範音声を周波数分析した後、これらの分析結果を比較して評価して(ステップU13〜U14)、イギリス系発音評価処理を終了する。
【0094】
次に、図14に示すように、CPU6は、評価結果をディスプレイ10に表示させた後(ステップT2)、オーストラリアの模範音声に基づく発音評価処理(以下、オーストラリア系発音評価処理とする)を行う(ステップT3)。
【0095】
具体的には、図16に示すように、まずCPU6は、オーストラリア英語の辞書データベース85dから学習対象語句の発音記号データを読み出し(ステップU21)、この発音記号データを記憶させて発音記号記憶領域73内の発音記号データを更新した後、当該学習対象語句について、オーストラリア英語の発音補正テーブル86aに発音補正情報が格納されているか否かを判定し(ステップU22)、格納されていないと判定した場合(ステップU22;No)には、後述のステップU24の処理に移行する。
【0096】
一方、ステップU22において発音補正情報が格納されていると判定した場合(ステップU22;Yes)には、CPU6は、当該発音補正情報に基づいて発音記号記憶領域73内の発音記号、つまりイギリス英語での模範発音の発音記号を補正し、オーストラリア英語での模範発音の発音記号を生成した後(ステップU23)、得られた発音記号データを発音記号記憶領域73に記憶させて発音記号データを更新する。
【0097】
次に、CPU6は、発音記号記憶領域73内の発音記号のデータに基づいて模範音声データを生成し、模範音声データ記憶領域74に記憶させる(ステップU24)。そして、CPU6は、上記ステップS7〜S8と同様に、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「オーストラリア」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいてユーザ音声,模範音声を周波数分析した後、これらの分析結果を比較して評価して(ステップU25〜U26)、オーストラリア系発音評価処理を終了する。
【0098】
次に、図14に示すように、CPU6は、評価結果をディスプレイ10に表示させた後(ステップT4)、アメリカの模範音声に基づく発音評価処理(以下、アメリカ系発音評価処理とする)を行う(ステップT5)。
【0099】
具体的には、図15に示すように、まずCPU6は、アメリカ英語の辞書データベース85a,85bから発音記号データを読み出し(ステップU31)、発音記号記憶領域73に記憶させるとともに、この発音記号データに基づいて模範音声データを生成して模範音声データ記憶領域74に記憶させる(ステップU32)。そして、CPU6は、上記ステップS7〜S8と同様に、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「アメリカ」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいてユーザ音声,模範音声を周波数分析した後、これらの分析結果を比較して評価して(ステップU33〜U34)、アメリカ系発音評価処理を終了する。
【0100】
次に、図14に示すように、CPU6は、評価結果をディスプレイ10に表示させた後(ステップT6)、カナダの模範音声に基づく発音評価処理(以下、カナダ系発音評価処理とする)を行う(ステップT7)。
【0101】
具体的には、図16に示すように、まずCPU6は、カナダ英語の辞書データベース85eから学習対象語句の発音記号データを読み出し(ステップU41)、この発音記号データを記憶させて発音記号記憶領域73内の発音記号データを更新した後、当該学習対象語句について、カナダ英語の発音補正テーブル86aに発音補正情報が格納されているか否かを判定し(ステップU42)、格納されていないと判定した場合(ステップU42;No)には、後述のステップU44の処理に移行する。
【0102】
一方、ステップU42において発音補正情報が格納されていると判定した場合(ステップU42;Yes)には、CPU6は、当該発音補正情報に基づいて発音記号記憶領域73内の発音記号、つまりアメリカ英語での模範発音の発音記号を補正し、カナダ英語での模範発音の発音記号を生成した後(ステップU43)、得られた発音記号データを発音記号記憶領域73に記憶させて発音記号データを更新する。
【0103】
次に、CPU6は、発音記号記憶領域73内の発音記号のデータに基づいて模範音声データを生成し、模範音声データ記憶領域74に記憶させる(ステップU44)。そして、CPU6は、上記ステップS7〜S8と同様に、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「カナダ」に対応する模範発音の模範音声データとに基づいてユーザ音声,模範音声を周波数分析した後、これらの分析結果を比較して評価して(ステップU45〜U46)、カナダ系発音評価処理を終了する。
【0104】
そして、図14に示すように、CPU6は、評価結果をディスプレイ10に表示させ(ステップT8)、国別発音評価処理を終了した後、発音学習支援処理を終了する。
【0105】
[動作例]
続いて、上記の発音学習支援処理を具体的に説明する。
【0106】
(動作例(6))
まず、図17(a)〜(c)に示すように、辞書選択キー13d等の操作によりイギリス英語についての英英辞書「オク○フォード」の辞書データベース85cが指定された後(ステップS1)、文字キー13c等の操作によって学習対象語句「thursday」が入力され、訳/決定キー13bが操作されると(ステップS2)、指定された辞書データベース85aから学習対象語句「thursday」に対応する見出語の発音記号データ及び説明情報データが読み出され(ステップS3)、これら見出語、発音記号及び説明情報がディスプレイ10に表示され、発音記号データが発音記号記憶領域73に記憶される。
【0107】
次に、図17(d)に示すように、発音学習キー13jが操作されると、発音記号記憶領域73内の発音記号データに基づいて学習対象語句「thursday」について模範音声データが生成されるとともに、録音部4に入力されたユーザ音声からユーザ音声データが生成される(ステップS5)。
【0108】
そして、図17(e)に示すように、ユーザ音声データと、発音の学習対象国「アメリカ」に対応する模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され(ステップS7)、これらの分析結果が比較評価された後(ステップS8)、評価結果がディスプレイ10に表示される(ステップS9)。
【0109】
そして、図17(f)に示すように、所定のユーザ操作によって国別発音評価処理が実行されると、ユーザ音声データと、「イギリス」,「オーストラリア」,「アメリカ」,「カナダ」の各国に対応する模範音声データとに基づいて、ユーザ音声,模範音声が周波数分析され(ステップU13,U25,U33,U45)、これらの分析結果が比較評価された後(ステップU14,U26,U34,U46)、評価結果がディスプレイ10に表示される(ステップT2,T4,T6,T8)。なお、本動作例(6)においては、各国の評価結果とともに、当該国での模範発音の発音記号が表示されている。
【0110】
以上の電子辞書装置1Aによれば、上記電子辞書装置1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、図14のステップT1,T3,T5,T7や、図17(e)に示したように、学習対象語句に対応する各国の模範音声の発音記号に基づいて、ユーザ音声の発音が国ごとに評価されるので、国によって発音が異なる場合であっても、所望の国で用いられる発音を学習することができる。
【0111】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0112】
例えば、上記の実施形態においては、発音学習支援処理において音声出力部3が動作しないこととして説明したが、学習対象語句の模範音声を音声出力部3が音声出力することとしても良い。この場合には、発音の学習効率を更に高めることができる。
【0113】
また、発音記号から模範音声データを生成することとして説明したが、予め模範音声データをフラッシュROM8などに記憶させることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係る発音学習支援装置を適用した電子辞書装置の概略構成を示す図であり、(a)は概観図であり、(b)は部分平面図である。
【図2】本発明に係る発音学習支援装置を適用した電子辞書装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】辞書データベースのデータ構造を示す図である。
【図4】発音補正テーブルのデータ構造を示す図である。
【図5】発音傾向記憶テーブルのデータ構造を示す図である。
【図6】発音学習支援処理を示すフローチャートである。
【図7】ユーザ音声の評価手法を説明するための図である。
【図8】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図9】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図10】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図11】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図12】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図13】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図14】国別発音評価処理を示すフローチャートである。
【図15】イギリス系(アメリカ系)発音評価処理を示すフローチャートである。
【図16】オーストラリア系(カナダ系)発音評価処理を示すフローチャートである。
【図17】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1,1A 電子辞書装置(発音学習支援装置)
2 表示部(発音記号表示手段)
3 音声出力部(模範音声出力手段)
4 録音部(ユーザ音声入力手段)
5 入力部(語句領域入力手段、語句入力手段)
6 CPU(ユーザ音声評価手段、重み付け評価手段)
84 発音学習支援プログラム
85a〜85e 辞書データベース(領域別発音情報記憶手段)
85a,85c 辞書データベース(基準発音情報記憶手段)
86a,86b 発音補正テーブル(補正情報記憶手段)
87 発音傾向記憶テーブル(発音傾向記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域ごとに語句と、当該語句の模範発音情報とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶手段に記憶された何れかの語句,領域を、指定語句,指定領域として入力する語句領域入力手段と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力手段と、
前記指定語句及び前記指定領域に対応する模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力手段に取り込まれたユーザ音声の発音を評価するユーザ音声評価手段と、
を備えることを特徴とする発音学習支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の発音学習支援装置において、
前記指定語句及び前記指定領域に対応する模範発音情報に基づいて前記指定語句の模範音声を音声出力する模範音声出力手段を備えることを特徴とする発音学習支援装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の発音学習支援装置において、
ユーザが属する領域での発音傾向に関する発音傾向情報を記憶する発音傾向記憶手段を備え、
前記ユーザ音声評価手段は、
前記発音傾向情報に基づいて重み付けを行い、ユーザ音声の発音を評価する重み付け評価手段を有することを特徴とする発音学習支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の発音学習支援装置において、
前記指定語句の発音記号を表示する発音記号表示手段を備え、
この発音記号表示手段は、前記指定領域に関わらず、同一表記法による発音記号を表示することを特徴とする発音学習支援装置。
【請求項5】
領域ごとに語句と、当該語句の模範発音情報とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶手段に記憶された何れかの語句を、指定語句として入力する語句入力手段と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力手段と、
前記指定語句に対応する各領域の模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力手段に取り込まれたユーザ音声の発音を領域ごとに評価するユーザ音声評価手段と、
を備えることを特徴とする発音学習支援装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の発音学習支援装置において、
語句と、当該語句の基準発音情報とを対応付けて記憶する基準発音情報記憶手段を備え、
前記領域別発音情報記憶手段は、
所定の領域の模範発音情報として、前記基準発音情報に対する補正情報を記憶する補正情報記憶手段を有することを特徴とする発音学習支援装置。
【請求項7】
コンピュータに、
領域ごとに語句と、当該語句の模範発音情報とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶機能によって記憶された何れかの語句,領域を、指定語句,指定領域として入力する語句領域入力機能と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力機能と、
前記指定語句及び前記指定領域に対応する模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力機能に取り込まれたユーザ音声の発音を評価するユーザ音声評価機能と、
を実現させることを特徴とする発音学習支援プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
領域ごとに語句と、当該語句の模範発音情報とを対応付けて記憶する領域別発音情報記憶機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記領域別発音情報記憶機能によって記憶された何れかの語句を、指定語句として入力する語句入力機能と、
前記指定語句についてのユーザ音声を取り込むユーザ音声入力機能と、
前記指定語句に対応する各領域の模範発音情報に基づいて、前記ユーザ音声入力機能に取り込まれたユーザ音声の発音を領域ごとに評価するユーザ音声評価機能と、
を実現させることを特徴とする発音学習支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−83446(P2008−83446A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263945(P2006−263945)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】