説明

白色フィルム

【課題】紫外線や高温での色相変化が少なく、長時間使用においても輝度の経時的低下が少ない、面光源用反射板として好適に用いることのできる白色フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムおよびその少なくとも片面に水系塗剤から形成された帯電防止層からなる白色フィルムであって、帯電防止層は4級アンモニウム塩の基を含む高分子型帯電防止剤を10〜50重量%含有するとともにフェニル基をもつ化合物の界面活性剤を3〜15重量%含有することを特徴とする白色フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は白色フィルムに関し、詳しくは面光源用反射板として好適な白色フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶画面を使用した用途の拡大はめざましく、従来のノートパソコンの他に据え置き型のパソコン、液晶テレビ、携帯電話のディスプレイ、各種ゲーム機などで広く採用されてきている。特に液晶テレビでは画面の高輝度化、高精細化が望まれ、照明光源の高出力化や光源ランプ数の増加が望まれている。また、高い輝度を求めて特に直下型の光源を使用する場合には、光源から照射される光が反射板に直接当たることになるので、より高い耐久性が求められる。
【0003】
面光源用反射板を要素として含むバックライトには、いくつかの方式がある。例えば、特開昭63−62104号公報に示されるように照明光源からの光を導光板のエッジから入光させるエッジライト方式が広く使用されている。この方式では光をより効率的に活用するため、光源の周囲にリフレクターを設け、導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の下に反射板を用いている。
【0004】
液晶テレビのような大画面用のバックライトユニットでは、液晶素子の背面に照明を複数個並べ、光拡散シートを介して画面側に光を透過させる直下型ライト方式が採用されてきている。この方式では、反射板に高い反射機能が要求され、従来、顔料を添加したフィルムや非相溶性樹脂を添加して内部に微細な気泡を含有させた白色フィルムが使用されてきた。
【特許文献1】特開昭63−62104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の顔料を添加した白色フィルムや非相溶性樹脂を添加した白色フィルムでは、高濃度に微粒子を添加した場合に安定して製膜することが難しいほか、液晶表示装置を長時間使用しているうちに白色フィルムが劣化して黄変が発生し、光線の反射特性を低下させ、ひいては画面の輝度を低下させるという問題が生じ得る。反射板の材料として樹脂を使用する限りにおいて静電気の発生が避けられないが、特に液晶画面が大型化するに従い組込みの際や組み込んだ後に反射フィルムの帯電のため、ごみを吸い寄せてしまうことが顕著になる。
【0006】
本発明は上記の問題を解決し、高濃度に微粒子を添加しても安定して製膜できるとともに、紫外線や高温での色相変化が少なく、長時間使用においても輝度の経時的低下が少ない、面光源用反射板として好適に用いることのできる白色フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、ポリエステルフィルムおよびその少なくとも片面に水系塗剤から形成された帯電防止層からなる白色フィルムであって、帯電防止層は下記式で表わされる繰り返し単位から構成される高分子型帯電防止剤を10〜50重量%含有するとともにフェニル基をもつ化合物の界面活性剤を3〜15重量%含有することを特徴とする白色フィルムである。
【0008】
【化1】

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高濃度に微粒子を添加しても安定して製膜できるとともに、紫外線や高温での色相変化が少なく、長時間使用においても輝度の経時的低下が少ない、面光源用反射板として好適に用いることのできる白色フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
ポリエステルフィルムはポリエステル組成物から構成される。ポリエステル組成物のポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いる。ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を挙げることができる。ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオールを挙げることができる。これらのポリエステルの中で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステルは共重合ポリエステルを用いることが好ましい。共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分あたり、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは2〜15モル%、さらに好ましくは3〜14モル%、特に好ましくは5〜13モル%である。共重合成分が1モル%未満であると無機粒子を多量に含有する層、例えば40重量%以上を含有する場合において、製膜できないことがあり好ましくない。共重合成分が20モル%を超えると熱寸法安定性に欠けたフィルムになったり、製膜すらできない状況に陥る可能性があり好ましくない。
【0011】
ポリエステルがポリエチレンテレフレートである場合、共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。イソフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸を1〜20モル%の範囲で共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートは、本発明において好ましいポリエステルである。
【0012】
光線反射性能や耐光性能の観点から、ポリエステル組成物は、無機粒子を好ましくは40〜70重量%、さらに好ましくは43〜65重量%、特に好ましくは45〜60重量%含有する。すなわち、本発明においては無機粒子を好ましくは40〜70重量%、さらに好ましくは43〜65重量%、特に好ましくは45〜60重量%を含有するポリエステル組成物からなる白色ポリエステルフィルムを用いる。無機粒子が40重量%未満であると反射性能に劣り好ましくなく、70重量%を越えると製膜が非常に不安定になり、フィルムとならない場合があり好ましくない。
【0013】
無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.3〜7μm、特に好ましくは0.5〜5μmである。0.1未満であると分散性に劣り、粒子自体が凝集し、白色度の斑や、反射率のばらつきとなり、溶融押出しの際に溶融樹脂のろ過を行う工程でろ過圧が上昇する原因になり好ましくない。10μmを越えるとフィルムが破れやすくなり好ましくない。
【0014】
無機粒子としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素を例示することができる。二酸化チタンはルチル型のものが好ましい。ルチル型のものは、アナターゼ型のものよりも光線を長時間ポリエステルフィルムに照射した後の黄変が少なく、色差の変化を抑制するのに適している。
【0015】
反射率の向上の観点から、無機粒子として硫酸バリウムが特に好ましい。硫酸バリウムは板状、球状いずれの粒子形状でもよい。特にルチル型二酸化チタンは、分散性を向上させるために、ステアリン酸等の脂肪酸およびその誘導体等を用いて処理して用いると、フィルムの光沢度を一層向上させることができるので好ましい。
【0016】
ルチル型二酸化チタンを用いる場合には、ポリエステルに添加する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行うことが好ましい。精製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段で例えばジェットミル、ボールミルを適用することができ、分級手段としては、例えば乾式もしくは湿式の遠心分離を適用することができる。これらの手段は2種以上を組み合わせ、段階的に精製してもよい。
【0017】
微粒子をポリエステルに含有させる方法としては各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記のような方法を挙げることができる。
(ア)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に添加、もしくは重縮合反応開始前に添加する方法。
(イ)ポリエステルに添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)または(イ)の方法において不活性粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと添加剤を含有しないポリエステルとを混練して所定量の添加物を含有させる方法。
(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
【0018】
これらのうちでも、上記(ウ)または(エ)の方法をとることが好ましい。なお、上記(ア)の方法を用いる場合には、酸化チタンにおいてはグリコールに分散したスラリーとして、反応系に添加することが好ましい。
【0019】
粗大凝集粒子の個数を減らすために、製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き15〜50μmの不織布型フィルターを用い、溶融ポリマーを濾過してから押し出してフィルムを製膜することが好ましい。
【0020】
ポリエステルフィルムは、ポリエステルおよびポリエステルと非相溶な樹脂との組成物を延伸して白色化したポリエステルフィルムを用いてもよい。非相溶な樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンといったポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂を用いることができる。中でも臨界表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンといったポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0021】
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物には、酸化防止剤、蛍光増白剤を本発明の範囲を逸脱しない範囲内で、必要に応じて配合してもよい。蛍光増白剤を配合する場合、ポリエステル組成物に対する濃度として、好ましくは0.005〜2.0重量%、さらに好ましくは0.01〜1.0重量%の範囲で配合するとよい。0.005重量%未満では400nm付近の波長域の反射率が十分でなく、反射板とした時に照度が十分なものとならないことから好ましくない。2.0重量%を越えると、蛍光増白剤の持つ特有の色が現れてしまうため好ましくない。蛍光増白剤としては、公知の蛍光増白剤、例えばOB−1(イーストマン社製)、Uvitex−MD(チバガイギー社製)、JP−Conc(日本化学工業所製)を用いることができる。
【0022】
なお、本発明の白色フィルムは、例えば、単層、A層/B層の2層構成、B層/A層/B層の3層構成、B層/A層/B層/A層の4層構成であってもよい。特にB層/A層/B層の3層構成は、良好な反射特性が得られることから好ましい。
また、必要に応じて酸化防止剤、蛍光増白剤等を有する塗剤をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布してもよい。
【0023】
[帯電防止層]
本発明において、帯電防止性能および耐久性を両立させる観点から、4級アンモニウム塩の基を含む高分子型帯電防止剤、具体的には下記式で表わされる繰り返し単位から構成される高分子型帯電防止剤を、帯電防止層に10〜50重量%含有する。
【0024】
【化2】

【0025】
含有量が10重量%未満であると十分な帯電防止性を得ることができない。50重量%を超えて添加しても帯電防止効果は飽和状態に達しており更なる防止効果は期待出来ない。この高分子型帯電防止剤の分子量は、好ましくは200〜1000、さらに好ましくは300〜600である。200未満であるとブリードアウトが生じる懸念があり好ましくなく、1000を超えると帯電防止層をコーティングにて形成させようとした際に塗剤の粘度上昇が懸念され好ましくない。
【0026】
本発明において、帯電防止層はフェニル基をもつ化合物の界面活性剤を3〜15重量%含有する。3重量%未満であると塗工における欠陥が発生しやすく、15重量%を超えると十分な帯電防止性の発現が阻害され、もしくは紫外線照射後の帯電防止効果が低下する。この界面活性剤の化合物は、フェニル基を有するポリオキシエチレンであることが好ましい。このフェニル基を有するポリオキシエチレンの繰り返し単位は、好ましくは2〜20、さらにに好ましくは3〜15である。
【0027】
帯電防止層のその他の成分としては公知の高分子バインダー、架橋剤を用いることができる。高分子バインダーとしては例えばポリエステル樹脂やアクリル樹脂を用いることができる。架橋剤としては例えばオキサゾリンを用いることができる。
【0028】
帯電防止層の厚みは、好ましくは10〜60nm、さらに好ましくは15〜50nm、特に好ましくは20〜40nmである。10nm未満であると帯電防止性能の発現が発揮されず好ましくなく、60nmを超えると塗布の欠陥が生じやすくなり好ましくない。
【0029】
[製造方法]
本発明の白色フィルムを製造する方法の一例を説明する。ダイから溶融したポリマーをフィードブロックを用いた同時多層押出し法により、積層未延伸シートを製造する。すなわちA層を形成するポリマーの溶融物とB層を形成するポリマーの溶融物を、フィードブロックを用いて例えばB層/A層/B層となるように積層し、ダイに展開して押出しを実施する。この時、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。また、マルチマニホルールドダイでも製膜可能であるが、剥離強度を上げる点ではフィードブロックを用いる方がより好ましい。
【0030】
ダイより押出された未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸フィルムとなる。この未延伸状フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度、更にはTg〜70℃高い温度とするのが好ましい。延伸倍率は、用途の要求特性にもよるが、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.5〜4.0倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0031】
縦延伸後のフィルムに、続いて帯電防止層を構成する成分の水系塗液をコートする。このようにすると製造上の作り易さの観点から好ましい。横延伸、熱固定および熱弛緩の処理を順次施して、帯電防止層を備える二軸配向フィルムとする。これらの処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始める。そしてTgより(5〜70)℃高い温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず好ましくなく、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0032】
横延伸後のフィルムは両端を把持したまま(Tm―10〜100)℃で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。これより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。また、熱処理温度が(Tm―80)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがある。また、熱固定後フィルム温度を常温に戻す過程で(Tm―10〜100)℃以下の領域の熱収縮量を調整する為に、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜1.5%の速度ダウンすなわち弛緩(以降この値を弛緩率という)を実施する。より好ましくは0.2〜1.2%の弛緩率、さらに好ましくは0.3〜1.0%の弛緩率を実施して縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
【0033】
[物性]
このようにして得られる本発明の白色フィルムの85℃の熱収縮率は、直交する2方向ともに0.7%以下、さらに好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.5%以下の達成が可能である。2軸延伸後のフィルムの厚みは、好ましくは25〜250μm、さらに好ましくは30〜220μm、さらに好ましくは40〜200μmである。25μm未満であると、反射率が低下し、250μmを超えるとこれ以上厚くしても反射率の上昇が望めないことから好ましくない。
【0034】
本発明により得られる白色フィルムは、少なくとも一方の表面の反射率として波長400〜700nmの平均反射率で92%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上を達成することができる。92%未満であると十分な画面の輝度を得ることができないので好ましくない。
【0035】
本発明により得られる白色フィルムは、紫外線照射後の表面抵抗値1014Ω/□以下を達成することができる。1014Ω/□を超えると帯電によるごみの付着が懸念されて好ましくない。
【0036】
本発明により得られる白色フィルムは、紫外線照射後の色相変化ΔE*5以下を達成することができる。5を超えると紫外線による白色フィルムの黄変により反射率の低下が起こるので好ましくない。なお、ここでの紫外線照射は、ハリソン東芝ライティング社製の高圧水銀ランプ照射器「トスキュアー401」を用い、強度30mW/cmにて3時間照射を行う。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0038】
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
【0039】
(2)各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚みを求めた。
【0040】
(3)反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときの反射率を400〜700nmにわたって測定した。得られたチャートより2nm間隔で反射率を読み取った。上記の範囲内で平均値を求めた。
【0041】
(4)紫外線照射促進試験
ハリソン東芝ライティング社製の高圧水銀ランプ照射器「トスキュアー401」を用い、強度30mW/cmにて3時間照射を行った。
【0042】
(5)表面抵抗値
帯電防止層表面の表面固有抵抗をタケダ理研社製「固有抵抗測定器」を使用し、測定温度23℃、測定湿度60%RHの条件下で印加電圧100Vにて1分後の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。また、上記の紫外線照射促進試験を行い、照射後の表面抵抗値も同様に測定した。
【0043】
(6)ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20m/分で測定を行った。
【0044】
(7)無機粒子の平均粒子径
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率10000倍にて、樹脂(フィルム)に添加する前の各粒子を100個ずつ任意に測定し(楕円状の場合は(長径+短径)/2にて求める)、平均粒子径を求めた。
【0045】
(8)色相変化ΔE*
上記の紫外線照射促進試験を行い、処理前の色相(L1*、a1*、b1*)と処理後の色相(L2*、a2*、b2*)を色差計(日本電飾製SZS−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)にて測定し、下記式にて色相変化ΔE*を求めた。
ΔE*={(L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)21/2
【0046】
(9)塗布外観
塗布フィルムの表面の塗布抜け、塗布筋等の欠陥状態を蛍光灯下にて目視観察して評価した。フィルムは長手方向の10mの範囲を対象として評価を行った。
○:塗布抜けおよび塗布筋がいずれも見えない
×:塗布抜けまたは塗布筋が見える
【0047】
(10)塗布厚み
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色し、透過型電子顕微鏡にて塗布の厚みを測定した。
【0048】
(11)成分
・アクリル1
日本カーバイド社製 商品名「RX9008A」
【0049】
・AS1
下記式に示す構造を50モル%/メチルアクリレート35モル%/N−メチロールアクリルアミド15モル%からなる共重合ポリマー
【化3】

【0050】
・AS2
下記式に示す構造の繰り返し単位を60モル%/メチルアクリレート35モル%/アクリル酸5モル%からなる共重合ポリマー
【化4】

【0051】
・AS3
下記式に示す構造の繰り返し単位を95モル%/メタクリル酸5モル%からなる共重合ポリマー
【化5】

【0052】
・AS4
下記式に示す構造の繰り返し単位100モル%からなるホモポリマー
【化6】

【0053】
・架橋剤1 日本触媒製 オキサゾリン 商品名「エポクロスWS−700」
・架橋剤2 日本触媒製 オキサゾリン 商品名「エポクロスWS−300」
・界面活性剤1 花王製 ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル
商品名「エマルゲンA90」
・界面活性剤2 花王製 ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル
商品名「エマルゲンA60」
・界面活性剤3 花王製 ポリオキシエチレンアルキルエーテル
商品名「エマルゲン1108」
・界面活性剤4 花王製 ポリオキシエチレンオレイルエーテル
商品名「エマルゲン420」
【0054】
[実施例1〜8]
表1に示す通り、各種ポリマー(樹脂種の欄に記載されたポリマーに共重合成分の欄に記載された成分を共重合したポリマー)に粒子を添加し、それぞれ275℃に加熱された2台の押出機に供給し、A層ポリマー、B層ポリマーをA層とB層がA/B/A(ただし、実施例7および8ではA/B)となるような3層フィードブロック装置(ただし、実施例7および8では2層フィードブロック装置)を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化して未延伸フィルムとし、これを表2に記載された温度にて加熱し長手方向(縦方向)に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの片面に帯電防止層を設けるために表3に示す水系塗剤(濃度1.5重量%)のコーティングを行い、その後、フィルム両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に直交する方向(横方向)に延伸した。なお、実施例7および8の2層フィルムでは無機粒子の添加量多い側にコートを行った。その後テンター内で表2の温度で熱固定を行い、表2に示す温度領域にて記入された縦方向の弛緩、横方向の幅入れを行い、室温まで冷やして白色フィルムを得た。得られた白色フィルムの反射板基材としての物性を評価した。結果を表3にまとめる。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
[比較例1、2]
表1および2に示すように条件を変更する他は実施例1と同様にして実施した。表3に評価結果を示す。
【0059】
[比較例3]
コーティングを実施しない以外は実施例1と同様にして実施した。表3に評価結果を示す。
【0060】
[比較例4〜7]
表1および2に示すように条件を変更する他は実施例1と同様にして実施した。表3に評価結果を示す。
【0061】
[比較例8]
水溶性の塗剤をコートすることなくフィルムロールを作成し、その後、下記に示すような非水溶性塗剤のコートを実施し、コート後の厚みが2500nm(2.5μm)になるよう調整した。紫外線照射後の表面抵抗値が高かった。
【0062】
非水溶性塗液
トルエン/酢酸エチル=1/1の混合液 70部
アクリル樹脂(1−ブテン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸/アクリル酸ブチル/アクリル酸ヒドロキシエチル=4/47/19/27/3) 20部
下記式に示す構造の化合物 5部
【化7】

下記式に示す構造の化合物 5部
【化8】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の白色フィルムは、面光源用反射板として、特に特に液晶ディスプレイのバックライトユニットに用いる反射板として特に好適に利用することができる。また、太陽電池のバックシートや内照式電飾看板の反射板用基材、紙代替の媒体の基材、すなわちカード、ラベル、シール、宅配伝票、ビデオプリンタ用受像紙、インクジェット、バーコードプリンタ用受像紙、ポスター、地図、無塵紙、表示板、白板、感熱転写、オフセット印刷、テレフォンカード、ICカードなどの各種印刷記録に用いられる受容シートの基材としても用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムおよびその少なくとも片面に設けられた帯電防止層からなる白色フィルムであって、帯電防止層は下記式で表わされる繰り返し単位から構成される高分子型帯電防止剤を10〜50重量%含有するとともにフェニル基をもつ化合物の界面活性剤を3〜15重量%含有することを特徴とする白色フィルム。
【化1】

【請求項2】
面光源用反射板として用いる、請求項1記載の白色フィルム。
【請求項3】
請求項2に記載の白色フィルムを含む液晶表示装置。

【公開番号】特開2007−307789(P2007−307789A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139010(P2006−139010)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】