説明

白色LEDランプ、バックライトおよび照明装置

【課題】出射される白色光中のUV光の量および放出される熱量を少なくした白色LEDランプ、この白色LEDランプを用いたバックライトおよび照明装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る白色LEDランプ1は、導電部12と、導電部12に実装され、ピーク波長360nm以上420nm以下の1次光を発光する発光ダイオードチップ20と、発光ダイオードチップ20を封止し、第1の透明樹脂硬化物からなる透明樹脂層30と、第2の透明樹脂硬化物中に1次光を受光して1次光より長波長の2次光を発光する蛍光体粉末42が分散された蛍光体層40とを備え、発光効率が20lm/W以上であると共に、出射光に含まれる前記1次光のエネルギーが0.4mW/lm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV光(紫外光)〜紫色光を発光する発光ダイオードと、この発光ダイオードのUV光〜紫色光を受光して、UV光〜紫色光より長波長の2次光を発光する蛍光体粉末が透明樹脂中に分散された蛍光体層と、を備えて白色光を発光する技術に関し、詳しくは、白色光を発光する白色LEDランプ、この白色LEDランプを用いたバックライトおよび照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は光を放射する半導体ダイオードであり、電気エネルギーをUV光または可視光に変換するものである。
【0003】
従来、LEDランプを用いた発光装置が広く利用されている。LEDランプは、たとえば、透明基板等の基板とGaP、GaAsP、GaAlAs、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlP等の発光材料と用いて発光チップを形成し、この発光チップを透明樹脂で封止することにより得られる。
【0004】
また、LEDランプは、封止樹脂中に各種の蛍光体粉末を含有させることにより、放射光の色を調整することができる。すなわち、発光チップと、発光チップから放射された光を吸収して所定波長域の光を発光する蛍光体粉末とを組み合わせて用いることにより、発光チップから放射された光と蛍光体粉末から放射された光との作用で、可視光領域の光や白色光を発光させることが可能になる。
【0005】
白色光を発光する白色発光LEDランプとしては、青色発光ダイオードチップを用いたものと、UV光または紫色発光ダイオードチップを用いたものが知られている。
【0006】
青色発光ダイオードチップを用いた白色発光LEDランプとしては、青色発光ダイオードチップと、赤色発光蛍光体および緑色発光蛍光体等とを組み合わせたもの(以下、「白色LEDランプ1型」という)や、青色発光ダイオードチップと黄色発光蛍光体(YAG)等とを組み合わせたもの(以下、「白色LEDランプ2型」という)が知られている。
【0007】
また、UV光または紫色光発光ダイオードチップを用いた白色発光LEDランプとしては、UV光または紫色光発光ダイオードチップと、赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体等とを組み合わせたもの(以下、「白色LEDランプ3型」という)が知られている。
白色LEDランプは、白色であることを利用して、液晶表示装置のバックライト用光源や、照明装置の光源等として用いられている。
【0008】
液晶表示装置のバックライト用光源として用いられる白色LEDランプには、色再現性が広い、所定の白色色度に設計することができる、色度のばらつきが小さい等の色品質が求められる。
【0009】
また、照明装置の光源として用いられる白色LEDランプには、演色性がよい、所定の白色色度に設計することができる、色ムラが小さい、色度のばらつきが小さい等の色品質が求められる。
【0010】
このため、白色LEDランプを液晶表示装置のバックライト用光源や照明装置の光源として用いる場合、白色LEDランプ1型や白色LEDランプ2型には以下の問題があった。
【0011】
すなわち、白色LEDランプ1型には、色ムラが大きい、色度のばらつきが大きい等の問題があった。また、白色LEDランプ2型には、色再現性が狭い、演色性が悪い、所定の白色色度に設計することができない等の問題があった。
【0012】
これに対し白色LEDランプ3型によれば、色再現性が広い、所定の白色色度に設計することができる、色度のばらつきが小さい、演色性がよい、色ムラが小さい等の色品質を満たすことができる。このため、白色LEDランプ3型は液晶表示装置のバックライト用光源や照明装置の光源として好適である。
【0013】
たとえば特開2005−191420号公報(特許文献1)には、白色LEDランプ3型の白色LEDランプが開示されている。この白色LEDランプによれば、発光効率が高くなる。
【0014】
一方、近年、表示装置として従来のブラウン管テレビに代わり液晶テレビあるいはプラズマテレビに代表される薄型テレビに移行しつつある。上記のような表示装置は、例えば特開2000−49380号公報および特開平10−187062号公報に開示されている(特許文献2,3参照)。上記の各表示装置についてその長所、短所を表3にまとめて示す。
【0015】
表3に示す結果から明らかなように、各表示装置の長所、短所は様々であるが、一般にブラウン管テレビから液晶テレビやプラズマテレビなどの薄型テレビに需要が移行している理由は、画像自身の問題よりも奥行きや重量サイズの問題が大きいことが主であることが判明している。したがってブラウン管テレビの良好な特性を維持しつつ、サイズ問題が解決できればより理想的なディスプレー(表示装置)が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−191420号公報
【特許文献2】特開2000−49380号公報
【特許文献3】特開平10−187062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、白色LEDランプ3型には、発光ダイオードチップから発光されたUV光の一部が、可視光に変換されないままLEDランプの外部に出射されると、UV光の影響と、白色LEDランプからの熱の影響とが作用して、以下の現象が生じるという問題があった。
【0018】
すなわち、白色LEDランプ3型が液晶表示装置のバックライト用光源として用いられる場合には、液晶表示装置の導光板や光学フィルム等の樹脂製周辺部材が黄変し、液晶表示装置の輝度が低下したり、色度異常が生じたりするという問題があった。
【0019】
また、白色LEDランプ3型が照明装置の光源として用いられる場合には、照らされる対象物が損傷して変退色を生じるという問題があった。このため、白色LEDランプ3型は美術館や博物館の照明装置の光源として用いることができなかった。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、出射される白色光中のUV光の量および放出される熱量を少なくした白色LEDランプ、この白色LEDランプを用いたバックライトおよび照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る白色LEDランプは、上記問題点を解決するものであり、導電部と、この導電部に実装され、ピーク波長360nm以上420nm以下の1次光を発光する発光ダイオードチップと、この発光ダイオードチップを封止し、第1の透明樹脂硬化物からなる透明樹脂層と、第2の透明樹脂硬化物中に前記1次光を受光して前記1次光より長波長の2次光を発光する蛍光体粉末が分散された蛍光体層と、を備え、発光効率が20lm/W以上であると共に、出射光に含まれる前記1次光のエネルギーが0.4mW/lm以下であることを特徴とする。
また、本発明に係るバックライトは、上記問題点を解決するものであり、前記白色LEDランプを用いたことを特徴とする。
さらに、本発明に係る照明装置は、上記問題点を解決するものであり、前記白色LEDランプを用いたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る発光装置は、ピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光を発光するレーザーダイオードと、このレーザー光によって励起されて赤色光、緑色光、青色光を発光する蛍光体層とを備えることを特徴とする。
【0023】
さらに本発明に係る表示装置は、ピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光を発光するレーザーダイオードと、このレーザー光によって励起されて赤色光、緑色光、青色光を発光する蛍光体層を2次元方向に所定のパターンで形成した蛍光面とを備え、上記レーザー光を蛍光面上に2次元方向に走査してレーザー光による励起光によって画像を表示することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る照明装置は、ピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光を発光するレーザーダイオードと、このレーザー光によって励起されて赤色光、緑色光、青色光を発光する蛍光体を混合して形成した蛍光膜とを備え、上記レーザー光を蛍光膜に照射して可視光を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る白色LEDランプによれば、出射される白色光中に含まれるUV光の量、および放出される熱量が少ない。
また、本発明に係るバックライトによれば、白色LEDランプから出射される白色光中に含まれるUV光の量、および放出される熱量が少ない。
【0026】
さらに、本発明に係る照明装置によれば、白色LEDランプから出射される白色光中に含まれるUV光の量、および放出される熱量が少ない。したがって、漏洩する有害紫外線量が少なく目や皮膚に対する有害性が排除できる。また、発熱量が少なくエネルギー効率が高く、省エネルギー特性に優れる。
特に励起光源としてピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光を発光するレーザーダイオードを用いた本発明に係る表示装置によれば、ピーク波長が狭い励起光となるために蛍光体層への走査が容易であり、鮮明度が高い画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る白色LEDランプの第1実施形態の断面図。
【図2】本発明に係る白色LEDランプの第2実施形態の断面図。
【図3】本発明に係る白色LEDランプの第3実施形態の断面図。
【図4】比較例2の白色LEDランプの断面図。
【図5】透明樹脂層の厚さの例を示す図。
【図6】蛍光体層の厚さの例を示す図。
【図7】本発明に係る表示装置の一実施形態を示す断面図。
【図8】本発明に係る表示装置の蛍光体層の構成例を示す断面図。
【図9】本発明に係る照明装置の一実施形態を示す断面図。
【図10】本発明に係る照明装置の他の実施形態を示す平面図および断面図。
【図11】本発明に係る照明装置のその他の実施形態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る白色LEDランプ、バックライトおよび照明装置について図面を参照して説明する。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る白色LEDランプの第1実施形態の断面図である。図1に示すように、白色LEDランプ1は、絶縁部11上に導電部としての表面側電極12が設けられた基板10と、基板10の表面側電極12上に実装された発光ダイオードチップ20と、発光ダイオードチップ20を封止する透明樹脂層30と、透明樹脂層30を被覆する蛍光体層40とを備える。
【0030】
{基板}
基板10は、絶縁部11と、絶縁部11の表裏側に設けられた導電部としての表面側電極12および裏面側電極13と、絶縁部11を貫通して表面側電極12および裏面側電極13を導通する給電用ビア14とを有する。
【0031】
(絶縁部)
絶縁部11としては、たとえば、アルミナ、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックス、ガラスエポキシ樹脂等からなる板材が挙げられる。絶縁部11がアルミナ板や窒化アルミニウム板であると、熱伝導性が高く、白色LEDランプの温度上昇を抑制することができるため好ましい。また、絶縁部11が、表面側電極12のうち発光ダイオードチップ20が設けられる部分の全部または一部と、裏面側電極13と、を貫通するビアホールに、銀ペースト、銅ペースト等を充填した放熱ビアを設けたガラスエポキシ樹脂板であると、熱伝導性が高くなり、白色LEDランプの温度上昇を抑制することができるため好ましい。
【0032】
白色LEDランプの温度上昇が抑制されることは、たとえば、ジャンクション部と、絶縁部11の裏面と、の間の熱抵抗であるRthが低くなることでわかる。熱抵抗Rthは、発光ダイオードチップ1個あたり、たとえば40℃/W以下になる。
【0033】
(導電部)
導電部としての表面側電極12は絶縁部11上に配されて基板10を構成する。表面側電極12は、発光ダイオードチップが実装される側の導電部であるため、光反射性電極になっている。光反射性電極とは、分光反射率計で測定した、波長400nmでの反射率が60%以上のものを意味する。光反射性電極としては、Ag、Pt、Ru、PdおよびAl等からなる金属電極が挙げられる。
【0034】
表面側電極12が光反射性電極であると、蛍光体粉末42からの2次光の一部が表面側電極12側に反射されたり、発光ダイオードチップ20からの1次光の一部が透明樹脂層30と蛍光体層40との界面で反射されて表面側電極12側に反射されたりしても、表面側電極12でさらに出射面60側に反射させることができるため、白色LEDランプ1の輝度を高くすることができる。
裏面側電極13は、表面側電極12のように光反射性が要求されないため、Ag、Pt、Ni、Cu、Au等の公知の金属材料を用いることができる。
【0035】
基板10は、絶縁部11としてアルミナ板を用いたアルミナ基板、絶縁部11として窒化アルミニウム板を用いた窒化アルミニウム基板、または絶縁部11として放熱ビアを備えたガラスエポキシ板を用いたガラスエポキシ基板であると、熱伝導性が高く、白色LEDランプの温度上昇を抑制することができるため好ましい。
【0036】
{発光ダイオードチップ}
発光ダイオードチップ20は、ピーク波長360nm以上420nm以下のUV光〜紫色光(1次光)を発光する発光ダイオードチップである。発光ダイオードチップ20としては、たとえば、InGaN、GaNまたはAlGaN系発光ダイオードチップが挙げられる。発光ダイオードチップの出射光のピーク波長は360nm以上410nm以下の範囲であることがより好ましい。
【0037】
発光ダイオードチップ20は、たとえば、AuSn共晶半田他の各種半田、銀ペースト等により基板に接合され、さらに発光ダイオードチップの電極はボンディングワイヤ25を用いて表面側電極12の表面に電気的に接続される。
【0038】
{透明樹脂層}
透明樹脂層30は、発光ダイオードチップ20を封止するものであり、第1の透明樹脂硬化物31からなる。
【0039】
発光ダイオードチップ20は、通常、屈折率が高く、光を発光ダイオードチップ内に閉じ込める性質がある。このため、発光ダイオードチップからの1次光の一部が透明樹脂層と蛍光体層との界面で発光ダイオードチップに反射されたり、蛍光体層40の蛍光体粉末42で放出された可視光(2次光)が発光ダイオードチップ20に入光されたりすると、これらの光は発光ダイオードチップ内にとどまり、取り出しにくくなり効率が低下するという問題がある。透明樹脂層30は、蛍光体層40からの2次光が、発光ダイオードチップ20に入光される量を少なくして効率の低下を抑制するものである。
【0040】
第1の透明樹脂硬化物31は、透明性の高い樹脂を硬化させたものである。透明樹脂としては、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。シリコーン樹脂のうちでは、ジメチルシリコーン樹脂が、UV耐性が高いため好ましい。
【0041】
透明樹脂層30は、透明樹脂を、発光ダイオードチップ20およびボンディングワイヤ25の上に流下し、たとえば、100℃以上160℃以下に加熱することにより硬化させることにより得られる。
【0042】
本発明において透明樹脂層30の厚さは、発光ダイオードチップ20の表面と、蛍光体層40との界面32との間の距離を意味する。透明樹脂層30の厚さは、図5中に符号t1、t2、t3、t4、t5等で表される。
透明樹脂層30の厚さは、通常0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上1.0mm以下の範囲内にある。
透明樹脂層30の厚さが0.1mm以上であると、白色LEDランプの発光効率が向上するため好ましい。
【0043】
一方、透明樹脂層30の厚さが大きすぎると、白色LEDランプが大きくなり、液晶表示装置のバックライト用光源や照明用光源として適さなくなるおそれがある。このため、白色LEDランプが、液晶表示装置のバックライト用光源や照明用光源として適した範囲内のサイズに収まるように、透明樹脂層30の厚さを1.0mm以下にすることが好ましい。
【0044】
本発明において、透明樹脂層30中の、ワイヤ着地点26と、蛍光体層40との界面32との間の距離をワイヤ着地点厚さという。ワイヤ着地点厚さは、図5中に符号t11で表される。
ワイヤ着地点厚さは、ボンディングワイヤ25の保護の観点から0.5mm以上であることが好ましい。
【0045】
{蛍光体層}
蛍光体層40は、透明樹脂層30を被覆するものであり、第2の透明樹脂硬化物41中に、発光ダイオードチップ20の1次光を受光してこの1次光より長波長の光(2次光)を発光する蛍光体粉末42が分散されたものである。
【0046】
第2の透明樹脂硬化物41は、透明性の高い透明樹脂を硬化させたものである。第2の透明樹脂硬化物41の作製に用いられる透明樹脂としては、たとえば、第1の透明樹脂硬化物31の作製に用いた透明樹脂と同様の樹脂が挙げられる。第2の透明樹脂硬化物41の作製に用いる透明樹脂と、第1の透明樹脂硬化物31の作製に用いる透明樹脂とは同一種類の樹脂であってもよいし、異なる種類の樹脂であってもよい。
【0047】
蛍光体層40に用いられる蛍光体粉末42としては、発光ダイオードチップ20の1次光を受光して、青色光を発光する青色蛍光体粉末42B(42)、緑色光を発光する緑色蛍光体粉末42G(42)、黄色光を発光する黄色蛍光体粉末42Y(42)、赤色光を発光する赤色蛍光体粉末42R(42)等が挙げられる。
【0048】
(青色蛍光体粉末)
青色蛍光体粉末42Bとしては、ピーク波長430nm〜460nmの青色光を発光する青色蛍光体粉末が用いられる。青色蛍光体粉末42Bとしては、たとえば、下記式(1)で表される組成を有する青色蛍光体粉末が用いられる。
[化1]
(Sr1−x−y−zBaCaEu(POCl (1)
(式中、x、yおよびzは、0≦x<0.5、0≦y<0.1、0.005<z<0.1を満たす値である)。
【0049】
式(1)中のxおよびyがそれぞれ上記範囲内にあると、青色蛍光体粉末からの光の波長が照明用途やバックライト用途の白色LEDランプに適するため好ましい。
式(1)中のxおよびyがそれぞれ上記範囲内で大きくなるほど、青色蛍光体粉末からの光の長波長の発光成分が増加するため白色LEDランプが照明用途により適するようになる。また、式(1)中のxおよびyがそれぞれ上記範囲内で小さくなるほど、青色蛍光体粉末からの光のスペクトル幅が狭くなるため白色LEDランプがバックライト用途により適するようになる。
式(1)中のzが上記範囲内にあると、青色蛍光体粉末の発光効率が高いため好ましい。
【0050】
(緑色蛍光体粉末)
緑色蛍光体粉末42Gとしては、ピーク波長490nm〜575nmの緑色光を発光する緑色蛍光体粉末が用いられる。緑色蛍光体粉末42Gとしては、たとえば、下記式(2)で表される組成のユーロピウムマンガン付活アルミン酸塩からなる緑色蛍光体粉末が用いられる。
[化2]
(Ba1−x−y−zSrCaEu)(Mg1−uMn)Al1017
(2)
(式中、x、y、zおよびuは、0≦x<0.2、0≦y<0.1、0.005<z<0.5、0.1<u<0.5を満たす値である)。
【0051】
式(2)中のzおよびuがそれぞれ上記範囲内にあると、緑色蛍光体粉末の発光効率が高いため好ましい。
式(2)中のxおよびyがそれぞれ上記範囲内にあると、緑色蛍光体粉末の寿命と輝度のバランスがよいため好ましい。
式(2)中のxが0.2以上であると緑色蛍光体粉末の寿命が低下するおそれがある。式(2)中のxが0であると緑色蛍光体粉末からの光の短波長成分が増加し、輝度が低下するおそれがある。
【0052】
(黄色蛍光体粉末)
黄色蛍光体粉末42Yとしては、ピーク波長545nm〜565nmの黄色光を発光する黄色蛍光体粉末が用いられる。黄色蛍光体粉末42Yとしては、たとえば、下記式(3)で表される組成を有する黄色蛍光体粉末、および下記式(4)で表される組成を有する黄色蛍光体粉末の少なくとも1種が用いられる。
[化3]
ZnS:AuAl (3)
(式中、cおよびdは、0.0001<c、d<0.002を満たす値である)。
式(3)中のcおよびdがそれぞれ上記範囲内にあると、黄色蛍光体粉末の発光効率が高いため好ましい。
【0053】
[化4]
(Sr2−x−y−z−uBaMgEuMn)SiO (4)
(式中、x、y、zおよびuは、0.1<x<0.4、0.005<y<0.21、0.05<z<0.3、0.001<u<0.04を満たす値である)。
【0054】
式(4)中のxが上記範囲内にあると、黄色蛍光体粉末からの光の波長が照明用およびバックライト用に適するため好ましい。また、式(4)中のxが上記範囲内で大きくなるほど、黄色蛍光体粉末からの光の波長が短波長化しバックライト用により適するようになる。
式(4)中のyが上記範囲内にあると、黄色蛍光体粉末中でMnの固溶が十分に行われるため好ましい。
式(4)中のzが上記範囲内にあると、黄色蛍光体粉末の発光効率が高いため好ましい。
式(4)中のuが上記範囲内にあると、黄色蛍光体粉末からの光の波長が照明用およびバックライト用に適するため好ましい。また、式(4)中のuが上記範囲内で大きくなるほど、黄色蛍光体粉末からの光の波長が長波長化し照明用により適するようになる。
【0055】
(赤色蛍光体粉末)
赤色蛍光体粉末42Rとしては、ピーク波長620nm以上780nm以下の赤色光を発光する赤色蛍光体粉末が用いられる。赤色蛍光体粉末42Rとしては、たとえば、下記式(5)で表される組成のユーロピウム付活酸硫化ランタンからなる赤色蛍光体粉末、および下記式(6)で表される組成を有する赤色蛍光体粉末の少なくとも1種が用いられる。
[化5]
(La1−x−yEuS (5)
(式中、Mは、Sb、Sm、GaおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素であり、xおよびyは、0.01<x<0.15、0≦y<0.03を満たす値である)。
式(5)中のMがSb、Sm、GaおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素であると、赤色蛍光体粉末の発光効率が高いため好ましい。
【0056】
[化6]
(SrCa1−x)SiAlN:Eu (6)
(式中、xは、0≦x<0.4を満たす値である)。
【0057】
式(6)中のxが上記範囲内にあると、赤色蛍光体粉末からの光の波長域が適切になるとともに、発光効率が高く、波長域と発光効率とのバランスがよいため好ましい。式(6)中のxが上記範囲内で大きくなるほど赤色蛍光体粉末からの光が短波長化しやすく、上記範囲内で小さくなるほど赤色蛍光体粉末の発光効率が高くなりやすい。
【0058】
各色の蛍光体粉末42(42B、42G、42Y、および42R)は、それぞれ平均粒径が、通常10μm以上、好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは20μm以上80μm以下である。ここで、平均粒径とは、重量積算値50%の粒径を示すD50を意味する。
蛍光体粉末42の平均粒径が10μm以上であると、白色LEDランプ1の光取り出し効率が高くなるため好ましい。
【0059】
蛍光体粉末42の平均粒径が大きすぎると蛍光体スラリー中で蛍光体粒子が沈降し不均一なスラリーとなるため光学特性のばらつきが大きくなるおそれがある。蛍光体粉末42の平均粒径が10μm未満であると白色LEDランプ1の光取り出し効率が低下するおそれがある。
【0060】
蛍光体末42は、各蛍光体粉末の公知の製造方法において、原料の配合比を調整したり、焼成温度や焼成時間を調整したり、分級したりすることにより得られる。
【0061】
蛍光体粉末42は、青色蛍光体粉末42B、緑色蛍光体粉末42G、黄色蛍光体粉末42Y、および赤色蛍光体粉末42Rから、通常、3種または4種組み合わせて蛍光体層40中に分散される。また、各色の蛍光体粉末42を3種組み合わせて用いる場合、通常、少なくとも青色蛍光体粉末42Bおよび赤色蛍光体粉末42Rが含まれるように用いる。
【0062】
図1は、各色の蛍光体粉末42(42B、42G、42Y、および42R)は、蛍光体層40に混合されて分散された状態を模式的に示すものである。
【0063】
蛍光体層40は、たとえば、はじめに透明樹脂と各色の蛍光体粉末とを混合して、各色の蛍光体粉末が透明樹脂中に分散した蛍光体スラリーを調製し、次に、各色の蛍光体スラリーを混合して混合蛍光体スラリーを調製し、この混合蛍光体スラリーを透明樹脂層30に塗布し硬化させることにより得られる。混合蛍光体スラリーの調製の際の各色の蛍光体スラリーの混合比率は、所望の2次光の発光色を得られるように調整する。
【0064】
混合蛍光体スラリーは、スラリー濃度が、通常40重量%以上80重量%以下、好ましくは50重量%以上80重量%以下である。スラリー濃度がこの範囲内にあると、発光効率が高く、かつ透明樹脂層30への塗布が可能であるため好ましい。
【0065】
スラリー濃度が40重量%未満であると、蛍光体層を透過する1次光が増加するおそれがある。スラリー濃度が80重量%を超えると、透明樹脂層30への塗布が困難になるおそれがある。
混合蛍光体スラリーは、たとえば、100℃以上160℃以下に加熱することにより硬化させることができる。
【0066】
本発明において蛍光体層40の厚さは、透明樹脂層30との界面32と、蛍光体層40の表面43との間の距離を意味する。蛍光体層40の厚さは、図6中に、符号T1、T2、T3、T4、T5等で表される。
【0067】
蛍光体層40の厚さは、通常0.1mm以上、好ましくは0.1mm以上1.5mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上0.8mm以下の範囲内にある。
【0068】
蛍光体層40の厚さが0.1mm以上であると、発光ダイオードチップ20からのUV光の白色LEDランプ1外への出射を抑制することができるとともに、2次光を効率よく取り出せるため好ましい。
【0069】
蛍光体層40の厚さが0.1mm未満であると、発光ダイオードチップ20からのUV光の白色LEDランプ1外への出射を抑制できないおそれがある。蛍光体層40の厚さが大きすぎると、2次光の取り出し効率が低下するおそれがある。
【0070】
{作用}
次に、白色LEDランプ1の作用について説明する。
【0071】
発光ダイオードチップ20は通電によりピーク波長360nm以上420nm以下、好ましくは360nm〜410nmのUV光〜紫色光(1次光)を放射する。この1次光は、透明樹脂層30を透過して蛍光体層40に到達し、蛍光体層40中の蛍光体粉末42が青色光、緑色光、黄色光および赤色光等の光(2次光)を放射する。蛍光体層40中の各色の蛍光体粉末42の含有割合は、各色の2次光の合計した光の色が白色になるように定められているため、白色LEDランプ1は、出射面60から白色光を出射する。出射面60から出射される白色光は、通常、XYZ表色系で0.19≦x、y≦0.38の範囲内にある。
【0072】
発光ダイオードチップ20から放射される1次光(UV光〜紫色光)の一部は、蛍光体層40の第2の透明樹脂硬化物41を透過して白色LEDランプ1から出射される。
白色LEDランプ1は、出射光に含まれる1次光のエネルギー量が、通常0.4mW/lm以下になる。
【0073】
本発明では1次光エネルギーを光束あたり0.4mW/lm以下と規定している。この指標は全光束測定装置、瞬間マルチ測光システム(MCPD)やその他の測定装置で得られるスペクトルF(λ)を用いて以下の手順で求めることができる。
【0074】
下記式(7)により、スペクトルF(λ)と、比視感度曲線(波長555nmの光に対して1としたときの視感度)V(λ)とを掛け合わせて積分し、φを求める。
【数1】

1次光エネルギーは、下記式(8)により、スペクトルF(λ)を360−420nmの範囲で積分してUVを求める。
【0075】
【数2】

光束あたりの1次光エネルギーはUV/φより求めることができる。
【0076】
上記手順により、F(λ)の単位が、W/nm、W/(sr・m・nm)、または無単位(相対値)であっても、光束あたりの1次光エネルギーを求めることが可能である。
【0077】
白色LEDランプ1は、出射される白色光中に青色光が含まれる場合は、出射光の発光スペクトルにおいて、青色光に対する1次光のピーク強度の比(1次光のピーク強度/青色光のピーク強度)を1次光の強度の指標にした場合に0.5以下になり、出射光中の1次光の残存量が少ない。
【0078】
なお、蛍光体層40にUV光吸収粉末がさらに分散された場合は、発光ダイオードチップ20からの1次光が蛍光体層40のUV光吸収粉末で吸収されるため、白色LEDランプ1の出射面60から1次光がさらに出射されにくくなる。
さらに、白色LEDランプ1は、発光効率が20lm/W以上と高い。
【0079】
また、表面側電極12の光反射性が低い場合には、蛍光体粉末42からの2次光の一部が表面側電極12に反射され、また、発光ダイオードチップ20からの1次光の一部が透明樹脂層30と蛍光体層40との界面で反射されて表面側電極12に反射されるため、白色LEDランプの輝度が低下する。しかし、白色LEDランプ1は、表面側電極12が光反射性電極になっており、表面側電極12への反射光を出射面60側に反射するため、輝度が高い。
【0080】
白色LEDランプ1によれば、出射される白色光中に含まれるUV光が少ないため、白色LEDランプ1の出射光による対象物の変退色が生じにくい。
白色LEDランプ1によれば、発光効率が高いため、所定の輝度、照度を得るための消費電力が少なくてすみ、熱の発生も少ない。
【0081】
なお、本発明では基板10に代えて図示しないリードフレームを用い、白色LEDランプ1をリードフレームの導電部上に実装してもよい。リードフレームとしては、Cu−Fe−P等のCu系素材や、Fe−42%Ni等のFe系素材等の各種金属製のリードフレームを用いることができる。リードフレームは、一般的に熱伝導性が高いため、リードフレームに実装された白色LEDランプの温度上昇を抑制することができる。
【0082】
これにより、リードフレームの導電部に接続されるジャンクション部と、リードフレームの裏面と、の間の熱抵抗であるRthを低くすることができる。熱抵抗Rthは、発光ダイオードチップ1個あたり、たとえば40℃/W以下になる。
【0083】
[第2実施形態]
図2は、本発明に係る白色LEDランプの第2実施形態の断面図である。図2に示される第2実施形態の白色LEDランプ1Aは、図1に示される第1実施形態の白色LEDランプ1に対し、基板10に代えて基板10Aを用いたものである。その他の構成は、第2実施形態の白色LEDランプ1Aと第1実施形態の白色LEDランプ1とで同一であるため、同じ構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0084】
基板10Aは、基板10に対し、表面側電極12に代えて表面側電極12Aを用いるとともに、表面側電極12Aの表面にさらに光反射層16を形成したものである。
【0085】
表面側電極12Aは、Ag、Pt、Ni、Cu、Au等の金属材料からなる。表面側電極12Aは、表面に光反射層16が形成されるため、光反射性電極でなくてもよい。
光反射層16としては、たとえば、微粉末を含む被覆層や、金属製の被覆層が挙げられる。
【0086】
微粉末を含む被覆層としては、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナおよびシリカから選ばれた少なくとも1種の無機物からなる微粉末を含む被覆層が挙げられる。ここで、微粉末とは、平均粒径が10μm以下の粉末を意味する。
【0087】
微粉末を含む被覆層は、たとえば、微粉末を、リン酸塩系、アルカリ金属ケイ酸等の無機バインダーやシリコーン樹脂等の有機バインダーを用いて表面側電極12Aの表面に接着したり、微粉末を焼結して表面側電極12Aの表面に固着させたりすることにより得られる。
【0088】
金属製の被覆層としては、Al、Ag、Pt、RuおよびPdから選ばれた少なくとも1種の金属からなる被覆層が挙げられる。金属製の被覆層は、たとえば、これらの金属を表面側電極12の表面にめっきすることにより得られる。
【0089】
{作用}
次に、白色LEDランプ1Aの作用について説明する。
【0090】
白色LEDランプ1Aの作用は、白色LEDランプ1の作用に対し、表面側電極12に代えて、表面側電極12Aおよび光反射層16を用いた点のみが異なるため、共通する作用については、説明を省略または簡略化する。
白色LEDランプ1Aは、白色LEDランプ1と同様に、出射面60から白色光を出射する。
【0091】
白色LEDランプ1Aでは、蛍光体粉末42からの2次光の一部や、透明樹脂層30と蛍光体層40との界面で反射された発光ダイオードチップ20からの1次光の一部が光反射層16に照射される。白色LEDランプ1Aは、光反射層16への反射光を光反射層16が出射面60側に反射するため、白色LEDランプ1と同様に、輝度が高い。
【0092】
また、白色LEDランプ1Aは、白色LEDランプ1と同様に、出射面60から出射される白色光は、通常、XYZ表色系で0.19≦x、y≦0.38の範囲内にある。
白色LEDランプ1Aは、白色LEDランプ1と同様に、出射光に含まれる1次光のエネルギー量が、通常0.4mW/lm以下になる。
【0093】
また、白色LEDランプ1Aは、蛍光体層40中に青色蛍光体粉末が含まれることにより、出射される白色光中に青色光が含まれる場合は、白色LEDランプ1と同様に、青色光に対する1次光のピーク強度の比(1次光のピーク強度/青色光のピーク強度)が0.5以下になり、発光効率が20lm/W以上と高い。
【0094】
白色LEDランプ1Aによれば、出射される白色光中に含まれるUV光が少ないため、白色LEDランプ1Aの出射光による対象物の変退色が生じにくい。
白色LEDランプ1Aによれば、発光効率が高いため、所定の輝度、照度を得るための消費電力が少なくてすみ、熱の発生も少ない。
【0095】
白色LEDランプ1Aにおいても、白色LEDランプ1と同様に、基板10Aに代えて図示しないリードフレームを用い、リードフレームに実装された白色LEDランプの温度上昇を抑制することができる。
【0096】
これにより、リードフレームの導電部に接続されるジャンクション部と、リードフレームの裏面と、の間の熱抵抗であるRthを低くすることができる。熱抵抗Rthは、発光ダイオードチップ1個あたり、たとえば40℃/W以下になる。
【0097】
[第3実施形態]
図3は、本発明に係る白色LEDランプの第3実施形態の断面図である。図3に示される第3実施形態の白色LEDランプ1Bは、図1に示される第1実施形態の白色LEDランプ1に対し、蛍光体層40の表面にさらにUV光吸収層50が形成されたものである。その他の構成は、第3実施形態の白色LEDランプ1Bと第1実施形態の白色LEDランプ1とで同一であるため、同じ構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略化する。
UV光吸収層50は、図示しない第3の透明樹脂硬化物中にUV光吸収粉末が分散されてなる。
【0098】
第3の透明樹脂硬化物は、透明性の高い透明樹脂を硬化させたものである。第3の透明樹脂硬化物の作製に用いられる透明樹脂としては、たとえば、第2の透明樹脂硬化物41の作製に用いた透明樹脂と同様の樹脂が挙げられる。第3の透明樹脂硬化物の作製に用いる透明樹脂と、第2の透明樹脂硬化物41の作製に用いる透明樹脂とは同一種類の樹脂であってもよいし、異なる種類の樹脂であってもよいが、同一種類の樹脂であると蛍光体層40とUV光吸収層50との接着性が高いため好ましい。
【0099】
UV光吸収粉末とは、UV光を選択的に吸収する粉末を意味する。UV光吸収粉末としては、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化セリウムから選ばれた少なくとも1種の無機物からなる微粉末が挙げられる。ここで、微粉末とは、平均粒径が0.1μm以下の粉末を意味する。
【0100】
UV光吸収層50は、たとえば、透明樹脂とUV光吸収粉末とを混合してUV光吸収粉末スラリーを調製し、このUV光吸収粉末スラリーを蛍光体層40に塗布し硬化させることにより得られる。
【0101】
UV光吸収粉末スラリーは、スラリー濃度が、通常0.2重量%以上50重量%以下、好ましくは1重量%以上10重量%以下である。UV光吸収粉末のスラリー濃度が、0.2重量%以上50重量%以下であると、UV光吸収層50が発光ダイオードチップ20からのUV光の白色LEDランプ1B外への出射を抑制することができるため好ましい。
【0102】
UV光吸収層50を形成すると、発光ダイオードチップ20からの1次光がUV光吸収層50中のUV光吸収粉末で吸収されるため、白色LEDランプ1Bの出射面60Aから1次光が出射されにくくなる。
【0103】
UV光吸収層50は、厚さが、通常1μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下の範囲内にある。UV光吸収層50の厚さが1μm以上200μm以下であると、発光ダイオードチップ20からのUV光が白色LEDランプ1Bの出射面60Aから出射されにくく、かつ、輝度の低下が少ないため好ましい。
ここでUV光吸収層50の厚さとは、蛍光体層40との界面43と、UV光吸収層50の表面53との間の距離を意味する。
【0104】
{作用}
次に、白色LEDランプ1Bの作用について説明する。
【0105】
白色LEDランプ1Bの作用は、白色LEDランプ1の作用に対し、蛍光体層40の表面にさらにUV光吸収層50が形成された点のみが異なるため、共通する作用については、説明を省略または簡略化する。
白色LEDランプ1Bは、白色LEDランプ1と同様に、出射面60Aから白色光を出射する。
【0106】
白色LEDランプ1Bでは、蛍光体層40の表面にさらにUV光吸収層50が形成されるため、発光ダイオードチップ20から放射される1次光の一部が蛍光体層40を透過しても、UV光吸収層50中のUV光吸収粉末で吸収される。
このため、白色LEDランプ1Bは、白色LEDランプ1に比べて、出射面60Aから1次光がさらに出射されにくくなる。
【0107】
また、白色LEDランプ1Bは、白色LEDランプ1と同様に、出射面60Aから出射される白色光は、通常、XYZ表色系で0.19≦x、y≦0.38の範囲内にある。
白色LEDランプ1Bは、白色LEDランプ1と同様に、出射光に含まれる1次光のエネルギー量が、通常0.4mW/lm以下になる。
【0108】
また、白色LEDランプ1Bは、蛍光体層40中に青色蛍光体粉末が含まれることにより、出射される白色光中に青色光が含まれる場合は、白色LEDランプ1と同様に、青色光に対する1次光のピーク強度の比(1次光のピーク強度/青色光のピーク強度)が0.5以下になり、発光効率が20lm/W以上と高い。
白色LEDランプ1Bによれば、出射される白色光中に含まれるUV光が少ないため、白色LEDランプ1Bの出射光による対象物の変退色が生じにくい。
白色LEDランプ1Bによれば、発光効率が高いため、所定の輝度、照度を得るための消費電力が少なくてすみ、熱の発生も少ない。
【0109】
白色LEDランプ1Bにおいても、白色LEDランプ1と同様に、基板10に代えて図示しないリードフレームを用い、リードフレームに実装された白色LEDランプの温度上昇を抑制することができる。
これにより、リードフレームの導電部に接続されるジャンクション部と、リードフレームの裏面と、の間の熱抵抗であるRthを低くすることができる。熱抵抗Rthは、発光ダイオードチップ1個あたり、たとえば40℃/W以下になる。
【0110】
本発明に係るバックライトは、上記白色LEDランプをたとえば液晶表示装置用の光源として用いたものである。
本発明に係るバックライトは、たとえば、上記白色LEDランプを複数個、横に一直線状に並べて作製した光源ユニットと、この光源ユニットから放射される略帯状の光を側面から受光するとともに正面から出光する導光板と、を備えた構成とすることができる。
【0111】
本発明に係るバックライトによれば、上記白色LEDランプを光源として用い、白色LEDランプは、UV光をほとんど出射しないとともに熱をあまり放出しないため、たとえば液晶表示装置用の光源として用いることにより、導光板や輝度向上フィルムに黄変が生じて、液晶表示装置等の輝度が低下したり色度異常が生じたりすることが生じにくい。
【0112】
本発明に係る照明装置は、上記白色LEDランプを光源として用いたものである。
本発明に係る照明装置は、たとえば、上記白色LEDランプを複数個用いて、直線状、格子状、放射状に配列したり、これらを組み合わせたりした配列とした構成とすることができる。
【0113】
本発明に係る照明装置によれば、上記白色LEDランプを光源として用い、白色LEDランプは、UV光をほとんど出射しないとともに熱をあまり放出しないため、照らされる対象物が損傷して変退色を生じることが起こりにくい。このため、本発明に係る照明装置は、照らされる対象物が美術館や博物館の展示物である場合に有用であり、美術館や博物館の照明装置の光源として好適である。
【0114】
また、本発明に係る発光装置は、ピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光を発光するレーザーダイオードと、このレーザー光によって励起されて赤色光、緑色光、青色光を発光する蛍光体層とを備えることを特徴とする。本発明に係る発光装置の基本的構成は、上述した白色LEDランプの構成と同様であり、前記白色LEDランプを複数組み合わせて構成される。
【0115】
さらに本発明に係る表示装置は、ピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光を発光するレーザーダイオードと、このレーザー光によって励起されて赤色光、緑色光、青色光を発光する蛍光体層を2次元方向に所定のパターンで形成した蛍光面とを備え、上記レーザー光を蛍光面上に2次元方向に走査してレーザー光による励起光によって画像を表示することを特徴とする。
【0116】
本発明に係る表示装置100は、例えば図7に示すように構成される。すなわち、1次元発光素子からなる光源101と、この光源101からの出射光を受けて映像光を発する1次元表示素子102と、この素子102から投写レンズ103を介して出射された映像光を反射する固定反射ミラー104と、この反射ミラー104によって反射された映像光をさらに反射する変位可能な反射ミラー(ポリゴンミラー)105と、この反射ミラー105によって反射された映像光を二次元映像として表示するスクリーン106とから構成される。これらの部品は厚さ100mm程度の薄い筺体(液晶プロジェクター)107内に配置される。上記スクリーンは、図8に示すように、ガラス基板上にブラックストライプで相互に区切られたBGRの3色の蛍光体層108が形成されている。
【0117】
本発明の表示装置はまず青色、緑色、赤色発光の蛍光体が所定のパターンで形成された蛍光面とそれらの蛍光体を励起、発光させる波長365nm以上420nm以下の近紫外UVレーザー光発生光源とから成る表示装置である。図8にはこの表示装置100の原理を示す。まずUV励起光光源より発生したレーザー光はストライプ状に形成されたBGR蛍光体を励起し発光させる。発光は蛍光体ストライプが形成されたガラスのような透明板を通してUV光源と反対側から画像として認識されるものである。原理的にはブラウン管と類似の方式となっている。
【0118】
UV励起光源としては、例えば近年伸張が著しい窒化ガリウム、窒化ガリウムインジウム、窒化ガリウムアルミニウムなどの化合物半導体を用いた固体レーザー(LD)を用いることができる。
【0119】
レーザービームはブラウン管の電子線と同様に、蛍光体ストライプ上を左右上下に走査され画像を形成していく。ビームを走査する方法はレーザーダイオードが固定された台座を電気あるいは磁気によりその方向を制御することによって、さらにはダイオードからビームが発せられてからポリゴンミラーのようなミラーにてその方向を制御する方法などを採用できる。用いられるレーザーは、図8に示すように、青、緑、赤色蛍光体ストライプを一本のビームで走査していく方法の他に、青、緑、赤色蛍光体ストライプに対し各一本のビームで走査、励起しても良い。
【0120】
レーザービームで青、緑、赤各色のストライプを励起する際に、蛍光面の場所によっては、各ストライプの励起場所が僅かにずれたり、ビーム径の大きさによっては一つのストライプがはみ出したりする場合が起こりうる。こうした状況が発生した場合は目的以外の色のストライプを励起したりし画像の品位を落とすことになる。このような欠点は、各色のストライプの間に黒い非発光ストライプを形成しておくことにより改善することができる。また、ビームが当たる位置のずれやビーム径のはみ出しの影響を低減しコントラストを大幅に向上することもできる。
【0121】
またこのような画像の低下を改善するには、蛍光面に近接し、ストライプ、ドット、格子状に穴のあいた黒色板を置く方法も用いることができる。この黒色板の効果はビームが当たる位置のずれやビーム径のはみ出しが起こる場合、ビーム径の不要な部分をカットし目的の色及び場所にのみビームが当たるようにするものである。各色の蛍光体ストライプの間に形成される黒色非発光層は例えばカーボンブラックのような黒色物質を用いることができる。
【0122】
また蛍光面に近接して置かれる黒色板は例えば炭素板、カーボンブラック顔料を混ぜ込んだ樹脂シート、カーボン繊維を加工して用いることができる。黒色板は薄い方が好ましいが、ビームが通過する穴の近傍だけ板厚が薄くなるような加工を施しても良い。
【0123】
蛍光体としては365nm以上420nm以下のレーザー光で効率よく励起されるものが好適であり、具体的には次のような組成範囲を有する蛍光体が好ましい。
すなわち、青色蛍光体としては、一般式:
(Sr1−x−y−z,Ba,Ca,Eu(POCl
(但しx、yは関係式x、y<0.3、0.001<z<0.2を満たす数である);
および
(Ba1−x,Eu)MgAl1017
(但しxは関係式0.01<x<0.3を満たす数である);
さらに
(Ba3−x−y,Sr,Eu)MgSi28
(但しx、y,zは関係式0≦x<2.9、0.02<y<0.4、0.95<z<1.4を満たす数である);
の少なくとも一つの組成を有することが好ましい。
【0124】
一方、緑色蛍光体としては、一般式:
(Ba1−x、Eu)(Mg1−y、Mn)Al1017
(但しx、yは関係式0.05<x<0.5、0.1<y<0.6を満たす数である);
(Sr2−x−y−z−ω,Ba、Mg,Mn,Euω)SiO
(但しx、y,z、ωは関係式0.05<x<1、0≦y<0.2、0≦z<0.009、0.03<ω<0.3を満たす数である);
ZnS:Au,Al
(但しx、yは関係式0.0002≦x≦0.015,0.0001≦y≦0.0012を満たす数である);
Sr1−x−y,Ca,Eu)Ga
(但しx、yは関係式x<0.2,0.05<y<0.3を満たす数である);
(Sr3−x,Eu)SiAlω
(但しx、y,z、v,ωは関係式x<0.2、12<y<14、2<z<4、1<v<3、20<ω<22を満たす数である);
の少なくとも一つの組成を有することが好ましい。
【0125】
一方、赤色蛍光体としては、一般式:
(La1−x―y,Eu,Sm
(但しx、yは関係式0.01<x<0.2,0≦y≦0.2を満たす数である);
(Ca1−x,Eu)AlSiN
(但しxは関係式0.005<x<0.03を満たす数である);
(Sr2−x−y−z−uCaMgEuMn)SiO
(式中、x、y、zおよびuは、0.05<x<0.4、0.005<y<0.21、0.05<z<0.3、0.001<u<0.04を満たす値である。);および
(Ba3−x−y−z,Sr,Eu,Mn)MgωSi28
(但しx、y,zは関係式0≦x<0.2、0.02<y<0.6、0.05<z<1.5、0.95<ω<1.4を満たす数である);
の少なくとも一つの組成を有することは好ましい。
【0126】
上記青、緑、赤色蛍光体の粒径は、5μm以上50μm以下の範囲にあることが好ましい。粒径が5μm未満の蛍光体では輝度が不十分となりまた蛍光体の生産効率が低下する傾向がある。一方、蛍光体の粒径が50μmを超えるようになると蛍光体膜の緻密度が低下すると共に、ストライプのエッジ部がきれいに形成できなくなる傾向が生じる。
【0127】
また屋外などの強い外光下でこのような表示装置を用いる場合は蛍光面に外光が当たって反射しその反射光が画像品位を低下させる原因となる。このような場合には青、緑、赤色蛍光体をそれぞれの発光色と同様な体色を持つ顔料を被覆することにより改善することができる。
【0128】
代表的な顔料としては青色蛍光体にはコバルトブルー顔料(アルミン酸コバルト)、緑色蛍光体にはビリジアングリーン(水酸化クロム)、赤色蛍光体には弁柄顔料(酸化鉄)などの化合物が例示できる。これらの顔料は外光の大部分を吸収し、表示画像をより鮮明に表示させる効果がある。ただし蛍光体自身が体色を持っている場合には必ずしも顔料を被覆する必要はない。
【0129】
本発明に係る表示装置が高湿状態にさらされるような場合には、蛍光体に透明性の高い保護層を設けることが好ましい。このような目的で用いられる材料としては緻密な無機材料が好適であり、例えば、シリカ、アルミナ、チタニアあるいはそれらの化合物、混合物を用いることが有効である。これらの材料が蛍光体表面に均一に被覆された場合、水分の透過を抑え蛍光体の劣化を防止する効果が得られる。
【0130】
また蛍光面に青、緑、赤色蛍光体のストライプを形成する場合、そのストライプ幅は10μm以上2000μm以下の範囲であることが好ましい。ストライプ幅が2000μmを超えるようになると画像の精細度が低下する傾向が現れる。一方、ストライプ幅が10μm未満ではレーザービームのミスランディングにより、発光色の純度が低下したり、蛍光面形成時ストライプが剥離を起こしたりし易くなるなど好ましくない。
【0131】
また、本発明に係る照明装置は、ピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光を発光するレーザーダイオードと、このレーザー光によって励起されて赤色光、緑色光、青色光を発光する蛍光体を混合して形成した蛍光膜とを備え、上記レーザー光を蛍光膜に照射して可視光を得ることを特徴とする。
【0132】
具体的には本発明に係る照明装置200は、例えば図9に示すように、透明な円筒ガラス管201の内面にBGRの3色蛍光体を塗布して蛍光面(蛍光膜)202を作製し、次いでその円筒ガラス管201の内部に、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、チタン酸カリウム等のレーザー散乱体203を含有するシリコーンなどの透明樹脂が埋め込まれて円筒管型レーザー照明装置として構成される。円筒ガラス管201の両端にはレーザー光反射ミラー204a、204bが設けられ、レーザー光反射ミラー204aに対向して配置されたレーザーダイオード205から出射されたピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光が、一方の反射ミラー204aの細孔から円筒ガラス管201の内部に導かれる。
【0133】
上記照明装置200において、レーザーダイオード205から出射されたピーク波長が360nm以上420nm以下であるレーザー光は、管内に充填されたレーザー散乱体203によって管壁方向に散乱され、蛍光面に照射される。照射されたレーザー光によって蛍光体が効果的に励起されて白色光が管外に効率的に放出される。
【0134】
なお上記照明装置200を複数基連接して、図10に示すように平面型レーザー照明装置200aとして構成することも可能である。さらに、他の平面型レーザー照明装置として、図11に示すように筒状の光路206を渦巻き状に形成すると共に、渦巻き状の光路206の両面または片面に蛍光膜202を形成し、同様に光路206の一端部にレーザーダイオード205を配置して平面型レーザー照明装置200bを構成することも可能である。
【実施例】
【0135】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
実施例、比較例および参考例で用いられた蛍光体粉末は、以下のとおりである。
【0136】
[青色蛍光体粉末]
(1)(Sr0.894Ba0.1Eu0.00610(PO・Cl(平均粒径10μm)
ストロンチウムおよびバリウムのリン酸塩、ストロンチウム及びバリウムの塩化物、さらに酸化ユーロピウムの各所定量を秤量し、ボールミルで1時間混合した後、還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径10μmの青色蛍光体粉末((Sr0.894Ba0.1Eu0.00610(PO・Cl)を得た。
ここで平均粒径とは、重量積算値50%の粒径を示すD50を意味する。平均粒径は、以下、同様の意味で用いる。
【0137】
(2)(Sr0.42Ba0.48Ca0.01Eu0.0910(PO・Cl(平均粒径12μm、8μm)
ストロンチウムおよびバリウムのリン酸塩、ストロンチウム及びバリウムの塩化物、さらに酸化ユーロピウムの各所定量を秤量し、ボールミルで混合した後還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径12μmの青色蛍光体粉末((Sr0.42Ba0.48Ca0.01Eu0.0910(PO・Cl)を得た。
【0138】
また、同じ原料を用い、混合条件、焼成温度、焼成時間、粉砕条件、水洗条件等を制御して、平均粒径8μmの青色蛍光体粉末((Sr0.42Ba0.48Ca0.01Eu0.0910(PO・Cl)を得た。
【0139】
(3)(Sr0.85Ba0.01Ca0.09Eu0.0510(PO・Cl(平均粒径20μm)
ストロンチウムおよびバリウムのリン酸塩、ストロンチウム及びバリウムの塩化物、さらに酸化ユーロピウムの各所定量を秤量し、ボールミルで1時間混合した後還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径20μmの青色蛍光体粉末((Sr0.85Ba0.01Ca0.09Eu0.0510(PO・Cl)を得た。
【0140】
(4)(Sr0.44Ba0.49Ca0.02Eu0.0510(POCl(平均粒径40μm)
ストロンチウムおよびバリウムのリン酸塩、ストロンチウム及びバリウムの塩化物、さらに酸化ユーロピウムの各所定量を秤量し、ボールミルで1時間混合した後還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径40μmの青色蛍光体粉末((Sr0.44Ba0.49Ca0.02Eu0.0510(POCl)を得た。
【0141】
[緑色蛍光体粉末]
(1)((Ba0.32Sr0.19Ca0.01Eu0.48)(Mg0.89Mn0.11)Al1017(平均粒径11μm)
【0142】
Ba、Sr、CaおよびMnそれぞれの炭酸塩と、Eu酸化物と、Mg酸化物と、Al酸化物とを所定の比率で調合し、ボールミルで混合した後還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径11μmの緑色蛍光体粉末((Ba0.32Sr0.19Ca0.01Eu0.48)(Mg0.89Mn0.11)Al1017)を得た。
【0143】
(2)(Ba0.975Sr0.01Ca0.009Eu0.006)(Mg0.51Mn0.49)Al1017(平均粒径22μm)
Ba、Sr、CaおよびMnそれぞれの炭酸塩と、Eu酸化物と、Mg酸化物と、Al酸化物とを所定の比率で調合し、ボールミルで混合した後、還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径22μmの緑色蛍光体粉末((Ba0.975Sr0.01Ca0.009Eu0.006)(Mg0.51Mn0.49)Al1017)を得た。
【0144】
(3)(Ba0.799Sr0.1Ca0.001Eu0.1)(Mg0.7Mn0.3)Al1017)(平均粒径25μm)
Ba、Sr、CaおよびMnそれぞれの炭酸塩と、Eu酸化物と、Mg酸化物と、Al酸化物とを所定の比率で調合し、ボールミルで混合した後還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径25μmの緑色蛍光体粉末((Ba0.799Sr0.1Ca0.001Eu0.1)(Mg0.7Mn0.3)Al1017)を得た。
【0145】
(4)(Ba0.975Sr0.01Ca0.009Eu0.006)(Mg0.7Mn0.3)Al1017)(平均粒径8μm)
Ba、Sr、CaおよびMnそれぞれの炭酸塩と、Eu酸化物と、Mg酸化物と、Al酸化物とを所定の比率で調合し、ボールミルで混合した後還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径8μmの緑色蛍光体粉末((Ba0.975Sr0.01Ca0.009Eu0.006)(Mg0.7Mn0.3)Al1017)を得た。
【0146】
[黄色蛍光体粉末]
(1)ZnS:Au0.0002Al0.0002(平均粒径22μm)
ZnS粒子に所定量の金およびアルミ原料を混合し焼成することにより、平均粒径22μmの黄色蛍光体粉末(ZnS:Au0.0002Al0.0002)を得た。
【0147】
(2)(Sr1.58Ba0.11Mg0.2Eu0.1Mn0.01)SiO(平均粒径30μm)
Ba、SrおよびMnそれぞれの炭酸塩と、Eu酸化物と、Mg酸化物とを所定の比率で調合し、ボールミルで混合した後還元雰囲気で焼成した。合成された蛍光体を乳鉢で粉砕し、メッシュを通すことにより、平均粒径30μmの黄色蛍光体粉末((Sr1.58Ba0.11Mg0.2Eu0.1Mn0.01)SiO)を得た。
【0148】
[赤色蛍光体粉末]
(1)(La0.98Eu0.02S(平均粒径10μm)
所定量の酸化ランタン及び酸化ユーロピウムに、硫黄粉末を混合し、焼成することにより、平均粒径10μmの赤色蛍光体粉末((La0.98Eu0.02S)を得た。
【0149】
(2)(La0.86Eu0.14S(平均粒径7μm)
所定量の酸化ランタン及び酸化ユーロピウムに、硫黄粉末を混合し、焼成することにより、平均粒径7μmの赤色蛍光体粉末((La0.86Eu0.14S)を得た。
【0150】
(3)(La0.859Eu0.14Ga0.001S(平均粒径40μm)
所定量の酸化ランタン、酸化ガリウム及び酸化ユーロピウムに、硫黄粉末を混合し、焼成することにより、平均粒径40μmの赤色蛍光体粉末((La0.859Eu0.14Ga0.001S)を得た。
【0151】
(4)(Sr0.39Ca0.61)SiAlN:Eu(平均粒径18μm)
窒化ストロンチウム、窒化カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウムおよび窒化ユーロピウムを混合し、焼成することにより、平均粒径18μmの赤色蛍光体粉末((Sr0.39Ca0.61)SiAlN:Eu)を得た。
【0152】
(5)(Sr0.01Ca0.99)SiAlN:Eu(平均粒径25μm)
窒化ストロンチウム、窒化カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウムおよび窒化ユーロピウムを混合し、焼成することにより、平均粒径25μmの赤色蛍光体粉末((Sr0.01Ca0.99)SiAlN:Eu)を得た。
【0153】
[実施例1]
{白色LEDランプの作製}
以下の、「発光ダイオードチップの実装」、「透明樹脂層の形成」、「蛍光体スラリーの作製」、および「蛍光体層の形成」の手順を行って、白色LEDランプを作製した。
【0154】
(発光ダイオードチップの実装)
【0155】
AlN基板の表面に設けられた2つのAg電極のうち、一方のAg電極の表面に、InGaN系発光ダイオードチップ(縦0.4mm×横0.4mm×高さ0.15mm)を、AuSn半田を用いて実装した。
【0156】
この発光ダイオードチップの頂部と他方のAg電極の表面とをワイヤボンディングで電気的に接続した。2つのAg電極は、共に表面に光沢を有する光反射性電極である。
【0157】
(透明樹脂層の形成)
ジメチルシリコーン樹脂を用いて、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤを透明樹脂で封止し、透明樹脂層を形成した。すなわち、はじめに、断面矩形の角筒状金型(第1の角筒状金型)を用い、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤが、第1の角筒状金型内に配置されるように、第1の角筒状金型をAlN基板上に載置した。次に、第1の角筒状金型内にシリコーン樹脂を流し込み、140℃で10分熱処理してシリコーン樹脂を硬化させた。シリコーン樹脂が硬化した後に第1の角筒状金型を除去したところ、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤが透明樹脂層で封止された直方体状の封止物が得られた。透明樹脂層の厚さt1、t2、t3およびt4は0.2mm、透明樹脂層の厚さt5は1.2mmであった。
【0158】
(蛍光体スラリーの作製)
透明樹脂層の形成に用いたものと同じシリコーン樹脂と、各種の蛍光体粉末とを所定比率で混合して蛍光体スラリーを作製した。
【0159】
蛍光体スラリーは、青色蛍光体粉末((Sr0.894Ba0.1Eu0.00610(PO・Cl、平均粒径10μm)、緑色蛍光体粉末((Ba0.32Sr0.19Ca0.01Eu0.48)(Mg0.89Mn0.11)Al1017、平均粒径11μm)、および赤色蛍光体粉末((La0.98Eu0.02S、平均粒径10μm)のそれぞれについて作製した。
【0160】
蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する蛍光体粉末の混合比率は、青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末のそれぞれにつき80質量%とした。
表1に、蛍光体スラリーの作製に用いた蛍光体粉末の種類を示す。
【0161】
(蛍光体層の形成)
青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末の蛍光体スラリーの3種を混合して、CIE(国際照明委員会)のXYZ表色系のx値が0.28、y値が0.23を示す混合蛍光体スラリーを作製した。混合蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する全蛍光体粉末の混合比率は、各色の蛍光体スラリーの混合比率と同じ80質量%であった。
【0162】
次に、この混合蛍光体スラリーを用いて、上記封止物の透明樹脂層表面が蛍光体層で被覆された白色LEDランプを作製した。すなわち、はじめに、断面矩形の角筒状金型(第2の角筒状金型)を用い、上記封止物が、第2の角筒状金型内に配置されるように、第2の角筒状金型をAlN基板上に載置した。次に、第2の角筒状金型内に混合蛍光体スラリーを流し込み、140℃で10分熱処理して混合蛍光体スラリーを硬化させた。混合蛍光体スラリーが硬化した後に第2の角筒状金型を除去したところ、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤが透明樹脂層および蛍光体層で被覆された直方体状の白色LEDランプが得られた。白色LEDランプの蛍光体層の厚さT1、T2、T3、T4およびT5は0.1mmであった。
【0163】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、Labsphere株式会社製全光束測定装置SMLS、および大塚電子株式会社製瞬間マルチ測光システムMCPD−3700を用いて、発光特性を評価した。
白色LEDランプに30mAを通電したときの電圧を求めたところ、電圧は3.3Vであった。
白色LEDランプからの出射光は、光束が2lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.28、yが0.23であった。
【0164】
白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.032mW/nmの残存1次光(発光ダイオードチップの光が白色LEDランプから出射されたもの)が含まれていた。白色LEDランプからの出射光のスペクトルのうち、波長360nm〜410nmの範囲のスペクトル強度(残存1次光のスペクトル強度)を積分したところ、エネルギーは0.58mWであった。
【0165】
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が447nmで、30mAでのピーク強度が0.10mW/nmの青色光(青色蛍光体粉末からの2次光)が含まれていた。
【0166】
上記のデータから、白色LEDランプにつき、発光効率、全光束あたりの波長360nm〜410nmの範囲の光エネルギー(以下、「全光束あたりの残存1次光のエネルギー」という)、および青色光のピーク強度に対する残存1次光のピーク強度の比率(残存1次光のピーク強度/青色光のピーク強度。以下、この比率を「ピーク強度比率」という)を算出した。
【0167】
発光効率は2lm/(30mA・3.3V)より20lm/Wと算出された。全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.58mW/2lmより0.3mW/lmと算出された。
ピーク強度比率は(0.032mW/nm)/(0.10mW/nm)より0.32と算出された。
【0168】
さらに、白色LEDランプにつき、ΔVf法でジャンクション温度Tjを測定した。具体的には、白色LEDランプを中空に保持した状態におき、測定電流100μA、加熱電流30mA、加熱時間30分、加熱電流OFF時から測定電流ON時までの時間間隔200μsecの測定条件でジャンクション温度Tjを求めた。また、白色LEDランプにつき、熱電対を用いて加熱電流通電中の基板裏面温度Tsを測定した。
【0169】
白色LEDランプにつき、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出した。熱抵抗Rthは、ジャンクション温度Tjと基板裏面温度Tsとを用いて、(Tj−Ts)/(30mA・3.3V)より7℃/Wと算出された。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0170】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプ16個を、鉛フリー半田を用いて液晶ポリマー銅張積層板上に実装した。得られたFPC基板(フレキシブルプリント基板)を、熱伝導性接着剤(サンハヤト(株)製)を用いて、アルミニウム製フィンからなるヒートシンクに接着した。この白色LEDランプの上に、シート状の樹脂製輝度上昇フィルム(住友スリーエム株式会社製DBEF−D400)を載置した後、この状態のまま、雰囲気90℃、電流30mAの条件で白色LEDランプを点灯させた。
【0171】
白色LEDランプを2000時間点灯させた後、輝度上昇フィルムの波長400nmの光に対する透過率を測定した。2000時間点灯後でも輝度上昇フィルムに黄変は認められず、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として97%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
【0172】
[参考例1]
市販の液晶モジュールを解体して得た冷陰極管を用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。2000時間点灯後でも輝度上昇フィルムに黄変はほとんど認められず、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として90%であった。
【0173】
[実施例2]
{白色LEDランプの作製}
以下の、「発光ダイオードチップの実装」、「透明樹脂層の形成」、「蛍光体スラリーの作製」、および「蛍光体層の形成」の手順を行って、白色LEDランプを作製した。
【0174】
(発光ダイオードチップの実装)
銀ペーストからなる放熱ビアを備えたガラスエポキシ樹脂基板(FR−4)の表面に設けられた2つのPt電極のうち、一方のPt電極の表面に、実施例1で用いられたものと同様の発光ダイオードチップを、銀ペーストを用いて実装した。
【0175】
この発光ダイオードチップの頂部と他方のPt電極の表面とをワイヤボンディングで電気的に接続した。2つのPt電極は、共に表面に光沢を有する光反射性電極である。
【0176】
(透明樹脂層の形成)
透明樹脂層の厚さt1、t2、t3およびt4を0.3mmにした以外は実施例1と同様にして発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤを透明樹脂で封止し、透明樹脂層を形成した。
【0177】
(蛍光体スラリーの作製)
実施例1の透明樹脂層の形成に用いたものと同じシリコーン樹脂と、各種の蛍光体粉末とを所定比率で混合して蛍光体スラリーを作製した。
【0178】
蛍光体スラリーは、青色蛍光体粉末((Sr0.42Ba0.48Ca0.01Eu0.0910(PO・Cl、平均粒径12μm)、緑色蛍光体粉末((Ba0.975Sr0.01Ca0.009Eu0.006)(Mg0.51Mn0.49)Al1017、平均粒径22μm)、黄色蛍光体粉末(ZnS:Au0.0002Al0.0002、平均粒径22μm)、および赤色蛍光体粉末((Sr0.39Ca0.61)SiAlN:Eu、平均粒径18μm)のそれぞれについて作製した。
【0179】
蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する蛍光体粉末の混合比率は、青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末、黄色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末のそれぞれにつき80質量%とした。
表1に、蛍光体スラリーの作製に用いた蛍光体粉末の種類を示す。
【0180】
(蛍光体層の形成)
青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末、黄色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末の蛍光体スラリーの4種を混合して、CIE(国際照明委員会)のXYZ表色系のx値が0.28、y値が0.23を示す混合蛍光体スラリーを作製した。混合蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する全蛍光体粉末の混合比率は、各色の蛍光体スラリーの混合比率と同じ80質量%であった。
【0181】
次に、この混合蛍光体スラリーを用い、白色LEDランプの蛍光体層の厚さT1、T2、T3、T4およびT5が0.2mmになるようにした以外は実施例1と同様にして、白色LEDランプを作製した。
【0182】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光特性を評価した。
白色LEDランプからの出射光は、光束が4lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.28、yが0.23であった。
【0183】
白色LEDランプからの出射光には、実施例1と同様に、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.0026mW/nmの残存1次光が含まれていた。
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が452nmで、30mAでのピーク強度が0.08mW/nmの青色光が含まれていた。
上記のデータから、白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光効率、全光束あたりの残存1次光のエネルギー、およびピーク強度比率を算出した。
発光効率は40lm/W、全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.01mW/lm、ピーク強度比率は0.032であった。
白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出したところ、40℃/Wであった。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0184】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプを8個用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。
【0185】
白色LEDランプは、2000時間点灯後でも輝度上昇フィルムに黄変は認められず、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として99%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
【0186】
本実験例(実施例2)より、ガラスエポキシ樹脂基板のように放熱性の悪い基板を用いる場合であっても、蛍光体粉末の選定や蛍光体層の厚さを適正化して全光束あたりの残存1次光のエネルギーを少なくすることにより、輝度上昇フィルムの黄変が抑制されることが分かる。
【0187】
[実施例3]
{白色LEDランプの作製}
以下の、「発光ダイオードチップの実装」、「透明樹脂層の形成」、「蛍光体スラリーの作製」、および「蛍光体層の形成」の手順を行って、白色LEDランプを作製した。
【0188】
(発光ダイオードチップの実装)
Agめっきを施したCu製リード部2つをエポキシ樹脂で固めた樹脂パッケージを用い、一方のCu製リード部に実施例1で用いられたものと同様の発光ダイオードチップを、銀ペーストを用いて実装した。
この発光ダイオードチップの頂部と他方のCu製リード部の表面とをワイヤボンディングで電気的に接続した。
【0189】
(透明樹脂層の形成)
透明樹脂層の厚さt1、t2、t3およびt4を0.4mmにした以外は実施例1と同様にして発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤを透明樹脂で封止し、透明樹脂層を形成した。
【0190】
(蛍光体スラリーの作製)
実施例1の透明樹脂層の形成に用いたものと同じシリコーン樹脂と、各種の蛍光体粉末とを所定比率で混合して蛍光体スラリーを作製した。
【0191】
蛍光体スラリーは、青色蛍光体粉末((Sr0.85Ba0.01Ca0.09Eu0.0510(PO・Cl、平均粒径20μm)、緑色蛍光体粉末((Ba0.799Sr0.1Ca0.001Eu0.1)(Mg0.7Mn0.3)Al1017、平均粒径25μm)、および赤色蛍光体粉末((Sr0.01Ca0.99)SiAlN:Eu、平均粒径25μm)のそれぞれについて作製した。
【0192】
蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する蛍光体粉末の混合比率は、青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末のそれぞれにつき40質量%とした。
表1に、蛍光体スラリーの作製に用いた蛍光体粉末の種類を示す。
【0193】
(蛍光体層の形成)
青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末の蛍光体スラリーの3種を混合して、CIE(国際照明委員会)のXYZ表色系のx値が0.28、y値が0.23を示す混合蛍光体スラリーを作製した。混合蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する全蛍光体粉末の混合比率は、各色の蛍光体スラリーの混合比率と同じ40質量%であった。
【0194】
次に、この混合蛍光体スラリーを用い、白色LEDランプの蛍光体層の厚さT1、T2、T3、T4およびT5が0.2mmになるようにした以外は実施例1と同様にして、白色LEDランプを作製した。
【0195】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光特性を評価した。
白色LEDランプからの出射光は、光束が3lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.28、yが0.23であった。
【0196】
白色LEDランプからの出射光には、実施例1と同様に、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.1mW/nmの残存1次光が含まれていた。
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が445nmで、30mAでのピーク強度が0.2mW/nmの青色光が含まれていた。
上記のデータから、白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光効率、全光束あたりの残存1次光のエネルギー、およびピーク強度比率を算出した。
発光効率は30lm/W、全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.4mW/lm、ピーク強度比率は0.5であった。
白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出したところ、4℃/Wであった。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0197】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプを11個用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。
【0198】
白色LEDランプは、2000時間点灯後でも輝度上昇フィルムに黄変はほとんど認められず、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として90%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
【0199】
本実験例(実施例3)より、放熱性のよい(樹脂パッケージ)を用いる場合であっても、全光束あたりの残存1次光のエネルギーが比較的多いことにより、輝度上昇フィルムの黄変の抑制効果が多少少なくなることが分かる。
【0200】
[実施例4]
{白色LEDランプの作製}
以下の、「発光ダイオードチップの実装」、「透明樹脂層の形成」、「蛍光体スラリーの作製」、および「蛍光体層の形成」の手順を行って、白色LEDランプを作製した。
【0201】
(発光ダイオードチップの実装)
(アルミニウム製)電極パッドが7個直列に配置されたアルミナ基板を用い、電極パッドのそれぞれの表面に、実施例1で用いられたものと同様の発光ダイオードチップを1個ずつ、AuSn共晶半田を用いて実装した。
【0202】
これら7個の発光ダイオードチップを、ボンディングワイヤを用いて電気的に直列に接続した。(アルミニウム製)電極パッドは、共に表面に光沢を有する光反射性電極である。
【0203】
(透明樹脂層の形成)
7個の発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤを一度に収容可能な第1の角筒状金型を用いた以外は実施例1と同様にして発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤを透明樹脂で封止し、透明樹脂層を形成した。
【0204】
(蛍光体スラリーの作製)
実施例1の透明樹脂層の形成に用いたものと同じシリコーン樹脂と、各種の蛍光体粉末とを所定比率で混合して蛍光体スラリーを作製した。
【0205】
蛍光体スラリーは、青色蛍光体粉末((Sr0.44Ba0.49Ca0.02Eu0.0510(POCl、平均粒径40μm)、黄色蛍光体粉末((Sr1.58Ba0.11Mg0.2Eu0.1Mn0.01)SiO、平均粒径30μm)、および赤色蛍光体粉末((La0.859Eu0.140.001S、平均粒径40μm)のそれぞれについて作製した。
【0206】
蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する蛍光体粉末の混合比率は、青色蛍光体粉末、黄色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末のそれぞれにつき70質量%とした。
表1に、蛍光体スラリーの作製に用いた蛍光体粉末の種類を示す。
【0207】
(蛍光体層の形成)
青色蛍光体粉末、黄色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末の蛍光体スラリーの3種を混合して、CIEのXYZ表色系のx値が0.28、y値が0.23を示す混合蛍光体スラリーを作製した。混合蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する全蛍光体粉末の混合比率は、各色の蛍光体スラリーの混合比率と同じ70質量%である。
【0208】
次に、この混合蛍光体スラリーを用い、白色LEDランプの蛍光体層の厚さT1、T2、T3、T4およびT5が0.7mmになるようにした以外は実施例1と同様にして、白色LEDランプを作製した。
【0209】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光特性を評価した。
白色LEDランプからの出射光は、光束が32lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.28、yが0.23であった。
【0210】
白色LEDランプからの出射光には、実施例1と同様に、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.021mW/nmの残存1次光が含まれていた。
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が451nmで、30mAでのピーク強度が0.7mW/nmの青色光が含まれていた。
【0211】
上記のデータから、白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光効率、全光束あたりの残存1次光のエネルギー、およびピーク強度比率を算出した。
発光効率は45lm/W、全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.01mW/lm、ピーク強度比率は0.03であった。
白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出したところ、1チップあたり40℃/Wであった。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0212】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプを1個用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。白色LEDランプは、発光ダイオードチップを7個含むものである。
【0213】
白色LEDランプは、2000時間点灯後でも輝度上昇フィルムに黄変は認められず、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として99%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
【0214】
(変退色が生じる照明時間の算出)
発光特性の評価の際に得られたスペクトルから白色LEDランプの損傷係数を算出したところ、0.007と非常に小さく、良好であった。
【0215】
この損傷係数に基づき、白色LEDランプで光を照射したときにサンプルに変退色が生じるまでの照明時間を算出した。サンプルに変退色が生じるまでの照明時間は、(白色蛍光ランプを用いた場合のサンプル固有の最小のMPF/照度)×(白色蛍光ランプの損傷係数/白色LEDランプの損傷係数)で算出できる。MPFは、最小可知退色(Minimum Perceptible Fading)を示す。
【0216】
サンプルが85%毛、15%ナイロンの場合、白色蛍光ランプを用いたときの最小のMPFは960000lx時である。また、白色蛍光ランプの損傷係数は0.022である。これより、本例の白色LEDランプを照度750lxで照射したときにサンプルに変退色が生じるまでの照明時間は、(960000lx時/750lx)×(0.022/0.007)より、4023時間と算出された。
【0217】
本例の白色LEDランプに代えて損傷係数0.022の白色蛍光ランプを用いた場合の白色蛍光ランプの変退色が生じるまでの照明時間は1280時間であった。これより、本例の白色LEDランプは、白色蛍光ランプに比べて、変退色が生じるまでの照明時間が約3倍になることが分かる。
【0218】
[比較例1]
{白色LEDランプの作製}
白色LEDランプの蛍光体層の厚さT1、T2、T3、T4およびT5が0.09mmになるようにした以外は実施例3と同様にして、白色LEDランプを作製した。
【0219】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光特性を評価した。
白色LEDランプからの出射光は、光束が3.2lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.28、yが0.23であった。
【0220】
白色LEDランプからの出射光には、実施例1と同様に、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.106mW/nmの残存1次光が含まれていた。
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が445nmで、30mAでのピーク強度が0.20mW/nmの青色光が含まれていた。
【0221】
上記のデータから、白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光効率、全光束あたりの残存1次光のエネルギー、およびピーク強度比率を算出した。
発光効率は32lm/W、全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.45mW/lm、ピーク強度比率は0.53であった。
白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出したところ、4℃/Wであった。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0222】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプを10個用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。
【0223】
白色LEDランプは、2000時間点灯後に輝度上昇フィルムに黄変が認められ、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として87%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
本実験例(比較例1)より、蛍光体層が薄いと輝度上昇フィルムが黄変することが分かる。
【0224】
[比較例2]
{白色LEDランプの作製}
以下の手順で、白色LEDランプを作製した。
以下の、「発光ダイオードチップの実装」、「蛍光体スラリーの作製」、および「蛍光体層の形成」の手順を行って、白色LEDランプを作製した。
【0225】
(発光ダイオードチップの実装)
実施例2と同様にして、ガラスエポキシ樹脂基板上に発光ダイオードチップを実装した。
【0226】
(蛍光体スラリーの作製)
実施例3と同様にして、青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末、および赤色蛍光体粉末それぞれの蛍光体スラリーを作製した。
表1に、蛍光体スラリーの作製に用いた蛍光体粉末の種類を示す。
【0227】
(蛍光体層の形成)
実施例3と同様にして、青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末の蛍光体スラリーの3種を混合して、混合蛍光体スラリーを作製した。
【0228】
次に、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤを混合蛍光体スラリーで封止して、蛍光体層を形成し、白色LEDランプを作製した。すなわち、はじめに、断面矩形の角筒状金型(第1の角筒状金型)を用い、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤが、第1の角筒状金型内に配置されるように、第1の角筒状金型をガラスエポキシ樹脂基板上に載置した。次に、第1の角筒状金型内に混合蛍光体スラリーを流し込み、140℃で10分熱処理して混合蛍光体スラリーを硬化させた。混合蛍光体スラリーが硬化した後に第1の角筒状金型を除去したところ、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤが蛍光体層で封止された直方体状の白色LEDランプが得られた。白色LEDランプの蛍光体層の厚さT1、T2、T3、T4およびT5は0.2mmであった。
【0229】
図4に、得られた白色LEDランプの断面図を示す。図4に示される白色LEDランプ2は、図1に示される第1実施形態の白色LEDランプ1に対し、透明樹脂層が形成されないものである。その他の構成は、白色LEDランプ2と第1実施形態の白色LEDランプ1とで同一であるため、同じ構成に同じ符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0230】
図4に示されるように、本実験例(比較例2)の白色LEDランプは、透明樹脂層を形成せずに蛍光体層40で発光ダイオードチップ20およびボンディングワイヤ25を封止した構成になっている。
【0231】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光特性を評価した。
白色LEDランプからの出射光は、光束が1.8lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.28、yが0.23であった。
【0232】
白色LEDランプからの出射光には、実施例1と同様に、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.1mW/nmの残存1次光が含まれていた。
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が445nmで、30mAでのピーク強度が0.2mW/nmの青色光が含まれていた。
【0233】
上記のデータから、白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光効率、全光束あたりの残存1次光のエネルギー、およびピーク強度比率を算出した。
発光効率は18lm/W、全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.41mW/lm、ピーク強度比率は0.5であった。
白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出したところ、40℃/Wであった。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0234】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプを18個用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。
【0235】
白色LEDランプは、2000時間点灯後に輝度上昇フィルムに黄変が認められ、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として85%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
本実験例(比較例2)より、透明樹脂層を形成しないと発光効率が低下するとともに輝度上昇フィルムが黄変することが分かる。
【0236】
実施例1等のように透明樹脂層が形成された構成では、発光ダイオードチップで発生したUV光〜紫色光(1次光)は、蛍光体層中の蛍光体粉末に達し、2次光が生成される。1次光や2次光の一部が透明樹脂層と蛍光体層との界面で反射されて発光ダイオードチップや光反射性電極に入射される。発光ダイオードチップに入射された1次光および2次光はダイオードチップの屈折率が大きいためにチップ内に閉じ込められるので反射されにくいが、光反射性電極に入射された1次光は再び蛍光体層側に反射される。このように、透明樹脂層が形成された白色LEDランプでは、1次光および2次光の反射光の一部が発光ダイオードチップに閉じ込められるに過ぎない。
【0237】
これに対し、本実験例(比較例2)では、透明樹脂層を設けないので蛍光体層は発光ダイオードチップ表面に隣接する。発光ダイオードチップと蛍光体層の界面で反射された1次光および2次光は全て発光ダイオードチップに入射し、閉じ込められる。このため、本実験例では、発光効率が低くなったものと推測される。
【0238】
また、本実験例では、効率が低くなった分、必要光束量を確保するためLED個数を増やして黄変の評価を行っている。本実験例では、消費電力が増加し、発生する熱量も増加したため、UV光と熱とが作用して輝度上昇フィルムに黄変を生じさせたものと推測される。
【0239】
[実施例5]
{白色LEDランプの作製}
比較例1で得られた白色LEDランプを用い、以下の、「UV光吸収層スラリーの作製」、および「UV光吸収層の形成」の手順を行って、白色LEDランプを作製した。
【0240】
(UV光吸収層スラリーの作製)
実施例1の透明樹脂層の形成に用いたものと同じシリコーン樹脂と、平均粒径10nmのZnO微粒子とを混合して、ZnO微粒子が10質量%含まれたUV光吸収層スラリーを作製した。
【0241】
(UV光吸収層の形成)
比較例1で得られた白色LEDランプの蛍光体層の表面に、UV光吸収層スラリーを塗布し、140℃で10分熱処理して硬化させたところ、蛍光体層がUV光吸収層で被覆された直方体状の白色LEDランプが得られた。UV光吸収層の厚さは50μmであった。
【0242】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光特性を評価した。
白色LEDランプからの出射光は、光束が3.1lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.29、yが0.23であった。
【0243】
白色LEDランプからの出射光には、実施例1と同様に、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.061mW/nmの残存1次光が含まれていた。
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が445nmで、30mAでのピーク強度が0.19mW/nmの青色光が含まれていた。
【0244】
上記のデータから、白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光効率、全光束あたりの残存1次光のエネルギー、およびピーク強度比率を算出した。
発光効率は31lm/W、全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.25mW/lm、ピーク強度比率は0.32であった。
白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出したところ、4℃/Wであった。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0245】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプを10個用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。
【0246】
白色LEDランプは、2000時間点灯後でも輝度上昇フィルムに黄変はほとんど認められず、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として95%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
【0247】
[比較例3]
{白色LEDランプの作製}
以下の、「発光ダイオードチップの実装」、「透明樹脂層の形成」、「蛍光体スラリーの作製」、および「蛍光体層の形成」の手順を行って、白色LEDランプを作製した。
【0248】
(発光ダイオードチップの実装および透明樹脂層の形成)
実施例2と同様にして、発光ダイオードチップをガラスエポキシ樹脂基板の表面に実装した後、発光ダイオードチップおよびボンディングワイヤを透明樹脂で封止して、透明樹脂層を形成した。
【0249】
(蛍光体スラリーの作製)
実施例1の透明樹脂層の形成に用いたものと同じシリコーン樹脂と、各種の蛍光体粉末とを所定比率で混合して蛍光体スラリーを作製した。
【0250】
蛍光体スラリーは、青色蛍光体粉末((Sr0.42Ba0.48Ca0.01Eu0・0910(PO・Cl、平均粒径8μm)、緑色蛍光体粉末((Ba0.975Sr0.01Ca0.009Eu0.006)(Mg0.7Mn0.3)Al1017、平均粒径8μm)、および赤色蛍光体粉末((La0.86Eu0.14S、平均粒径7μm)のそれぞれについて作製した。
【0251】
蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する蛍光体粉末の混合比率は、青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末のそれぞれにつき80質量%とした。
表1に、蛍光体スラリーの作製に用いた蛍光体粉末の種類を示す。
【0252】
(蛍光体層の形成)
青色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末および赤色蛍光体粉末の蛍光体スラリーの3種を混合して、CIEのXYZ表色系のx値が0.28、y値が0.23を示す混合蛍光体スラリーを作製した。混合蛍光体スラリーのシリコーン樹脂に対する全蛍光体粉末の混合比率は、各色の蛍光体スラリーの混合比率と同じ80質量%であった。
【0253】
次に、この混合蛍光体スラリーを用い、白色LEDランプの蛍光体層の厚さT1、T2、T3、T4およびT5が0.2mmになるようにした以外は実施例1と同様にして、白色LEDランプを作製した。
【0254】
{白色LEDランプの評価}
(白色LEDランプの発光特性の評価)
得られた白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光特性を評価した。
白色LEDランプからの出射光は、光束が1lm、CIEのXYZ表色系でのxが0.28、yが0.23であった。
【0255】
白色LEDランプからの出射光には、実施例1と同様に、発光ピーク波長が399nmで、30mAでのピーク強度が0.032mW/nmの残存1次光が含まれていた。
また、白色LEDランプからの出射光には、発光ピーク波長が452nmで、30mAでのピーク強度が0.07mW/nmの青色光が含まれていた。
【0256】
上記のデータから、白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、発光効率、全光束あたりの残存1次光のエネルギー、およびピーク強度比率を算出した。
発光効率は10lm/W、全光束あたりの残存1次光のエネルギーは0.42mW/lm、ピーク強度比率は0.46であった。
白色LEDランプにつき、実施例1と同様にして、ジャンクションと基板裏面との間の熱抵抗Rthを算出したところ、40℃/Wであった。
表2に、測定結果等の一部を示す。
【0257】
(輝度上昇フィルムの黄変の評価)
得られた白色LEDランプを32個用いた以外は実施例1と同様にして、輝度上昇フィルムの黄変の評価を行った。
【0258】
白色LEDランプは、2000時間点灯後に輝度上昇フィルムに黄変が認められ、2000時間点灯後の透過率は、点灯前の透過率を100%として85%であった。
表2に、点灯前の透過率に対する2000時間点灯後の透過率の比率を示す。
本実験例(比較例3)より、蛍光体粉末の平均粒径が小さいと発光効率が低下するとともに輝度上昇フィルムが黄変することが分かる。
【0259】
次に本発明に係る表示装置の実施形態について、以下の実施例および比較例を参照して具体的に説明する。
【0260】
[実施例101〜120および比較例101〜120]
各実施例および比較例の表示装置の蛍光体膜を形成するために下記組成の蛍光体を用意した。
【0261】
[実施例101]
青色蛍光体 (Sr0.99Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Ba0.8Eu0.2)(Mg0.7Mn0.3)Al1017
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[比較例101]
青色蛍光体 (Sr0.99Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 BaMgAl1017:Eu0.2,Mn0.2
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.099,Sm0.001
[実施例102]
青色蛍光体 (Sr0.8Ba0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Ba0.8Eu0.2)(Mg0.7Mn0.3)Al1017
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[比較例102]
青色蛍光体 (Sr0.81,Ba0.19(POCl:Eu0.01
緑色蛍光体 BaMgAl1017:Eu0.2,Mn0.2
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.098,Sm0.001,Bi0.001
[実施例103]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Ba0.8Eu0.2)(Mg0.7Mn0.3)Al1017
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[比較例103]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 BaMgAl1017:Eu0.2,Mn0.2
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.098,Ce0.001,Bi0.001
[実施例104]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[比較例104]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.024)SiO:Mn0.002,Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.001,Ce0.001,Bi0.001
[実施例105]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例105]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Ti0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.096,Sm0.002,Ce0.001,Bi0.001
[実施例106]
青色蛍光体 (Sr0.98Eu0.02(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例106]
青色蛍光体 (Sr0.98Eu0.0210(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Pr0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.096,Sm0.002,Ce0.001,Bi0.001
[実施例107]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例107]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.12Mg0.01(POCl:Eu
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Pb0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.096,Sm0.002,Bi0.002
[実施例108]
青色蛍光体 (Sr0.98Eu0.02(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[比較例108]
青色蛍光体 (Sr0.98Eu0.0210(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Li0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.001,Ce0.001,Bi0.001
[実施例109]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.13Ba0.72Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例109]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Ce0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.001,Ce0.001,Bi0.001
[実施例110]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr0.995Ba0.8Mg0.1Mn0.005Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[比較例110]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Sn0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.099,Sm0.001
[実施例111]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.098Eu0.1Sm0.002
[比較例111]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.374SiO:Mn0.002,Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.002,Bi0.001
[実施例112]
青色蛍光体 (Sr0.8Ba0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例112]
青色蛍光体 (Sr0.81Ba0.1910(POCl:Eu
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.35)SiO:Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.001,Ce0.001,Bi0.001
[実施例113]
青色蛍光体 (Sr0.99Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例113]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19(POCl:Eu0.05
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.35)SiO:Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.1,Sm0.002
[実施例114]
青色蛍光体 (Sr0.8Ba0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例114]
青色蛍光体 (Sr0.8Ba0.19(POCl:Eu0.05
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Zn0.024)SiO:Mn0.002,Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.1,Sm0.002,Bi0.001
[実施例115]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr0.97Eu0.03)Ga
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例115]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 SrGa:Eu0.03,Mn0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.002,Bi0.001
[実施例116]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 Ca0.99Eu0.01AlSiN
[比較例116]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Ti0.002
赤色蛍光体 CaAlSiN:Eu0.01
[実施例117]
青色蛍光体 (Ba0.99Eu0.01)MgAl1017
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例117]
青色蛍光体 (Ba,Mg)Al1017:Eu0.01,Mn0.01
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.023SiO:Mn0.002,Eu0.1,Ce0.002
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.096,Sm0.002,Ce0.001,Bi0.001
[実施例118]
青色蛍光体 (Ba0.97Eu0.03)MgAl1017
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例118]
青色蛍光体 (Ba,Mg)Al1017:Eu0.03,Mn0.01
緑色蛍光体 (Sr0.575Ba0.35Mg0.024SiO:Mn0.002,Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.002,Ce0.001
[実施例119]
青色蛍光体 (Ba0.99Eu0.01)MgAl1017
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例119]
青色蛍光体 BaMgAl1627:Eu0.01
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.35)SiO:Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.096,Sm0.002,Ce0.001,Bi0.001
[実施例120]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[比較例120]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.349)SiO:Eu0.1,Ce0.01
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.002,Bi0.001
[実施例121]
青色蛍光体 (Sr2.55Eu0.25)Mg1.25Si28
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 Sr0.1Ca0.89Eu0.01AlSiN
[比較例121]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.348)SiO:Eu0.1,Ce0.02
赤色蛍光体 CaAlSiN:Eu0.01
[実施例122]
青色蛍光体 (BaSr1.55Eu0.25)Mg1.1Si28
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.047Mn0.003Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 Sr0.085Ca0.9Eu0.015AlSiN
[比較例122]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.349)SiO:Eu0.1,Ce0.01
赤色蛍光体 CaAlSiN:Eu0.015
[実施例123]
青色蛍光体 (Ba0.99Eu0.01)MgAl1017
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002S 70%
(Sr1.688Ca0.2Mg0.01Eu0.1Mn0.002)SiO 30%
[比較例123]
青色蛍光体 BaMgAl1627:Eu0.01
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.35)SiO:Eu0.1
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.096,Sm0.002,Ce0.001,Bi0.001
[実施例124]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002S 70%
(Ba2.75,Sr0.05,Eu0.1,Mn0.1)MgSi28 30%
[比較例124]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.0110(POCl0.24B
緑色蛍光体 (Sr0.55Ba0.349)SiO:Eu0.1,Ce0.01
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.002,Bi0.001
【0262】
次に上記のように用意した各実施例用および比較例用の各青色、緑色、赤色を透明樹脂液に分散して蛍光体スラリーとし、さらに紫外線で硬化する樹脂を加え混合した。A4サイズのガラス板を用意し、その上に青色蛍光体スラリーを約100μm幅のストライプ状にスクリーン印刷した。ストライプとガラス板との接着強度を上げるために、紫外線にて硬化処理を行った。緑色、赤色蛍光体スラリーに対しても同様のプロセスにより約100μm幅のストライプをそれぞれ形成し、図8に示すような蛍光体層108を有する蛍光面を得た。この蛍光面をさらにレーザー光励起システム(UV光発生光源)109に組み込むことにより、各実施例および比較例に係る表示装置を調製した。
【0263】
上記のように調製した表示装置の性能評価に際しては、同一白色色度を表示したときの明るさ及びどの程度多くの色を表現できるかを示す色再現域(対NTSC標準比較(%))が重要である。上記実施例101〜120および比較例101〜120に係る表示装置で得られた蛍光面中心部の輝度及び色再現域を示すNTSC比を対比して添付の表4に示す結果を得た。
【0264】
表4に示す結果から明らかなように、本実施例に係る各表示装置によれば、従来組成の各蛍光体を使用した従来の表示装置と比較して輝度及びNTSC比が共に高く、優れた発光特性を有することが判明した。
次に本発明に係る照明装置の実施形態について、以下の実施例および比較例を参照して具体的に説明する。
【0265】
[実施例201〜210および比較例201]
各実施例および比較例の照明装置の蛍光体膜を形成するために下記組成の青色、緑色、赤色蛍光体をそれぞれ用意した。
【0266】
[実施例201]
青色蛍光体 (Sr0.99Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Ba0.8Eu0.2)(Mg0.7Mn0.3)Al1017
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[実施例202]
青色蛍光体 (Sr0.8Ba0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Ba0.8Eu0.2)(Mg0.7Mn0.3)Al1017
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[実施例203]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Ba0.8Eu0.2)(Mg0.7Mn0.3)Al1017
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[実施例204]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
[実施例205]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[実施例206]
青色蛍光体 (Sr0.98Eu0.02(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[実施例207]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[実施例208]
青色蛍光体 (Sr0.98Eu0.02(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.15Ba0.7Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
赤色蛍光体 LaOS:Eu0.097,Sm0.001,Ce0.001,Bi0.001
[実施例209]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr1.13Ba0.72Mg0.048Mn0.002Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.898Eu0.1Sm0.002
[実施例210]
青色蛍光体 (Sr0.8Ca0.19Eu0.01(POCl
緑色蛍光体 (Sr0.995Ba0.8Mg0.1Mn0.005Eu0.1)SiO
赤色蛍光体 (La0.899Eu0.1Sm0.001
【0267】
次に上記のように用意した青色、緑色、赤色蛍光体は、混合蛍光体の発光色がCIE表色系による色度値(x、y)で(0.275±0.003、0.250±0.003)の白色を示す様、各色蛍光体を所定の割合で混合した後、シリコーン樹脂に分散し蛍光体スラリーをそれぞれ調製した。さらに外径10mm、長さ200mmの石英ガラス管の内面に上記シリコーン樹脂に分散した蛍光体を塗布した後に、硬化せしめることにより、図9に示すように所定の蛍光膜を形成した。
【0268】
さらに、石英ガラス管の一端を、銀めっきを施した金属板で封止し、その中に微粒子シリカ粉末(平均粒径:10mμ)を分散したシリコーン樹脂を流し込み他端に、中心部に細孔を穿設した銀めっき板を取付けた状態で温度150℃に加熱して、シリコーン樹脂を硬化せしめた。さらに図9に示すように、細孔からピーク波長が405nmのレーザー光を照射できるようにレーザーダイオード205を取り付けることにより、各実施例に係る円筒型レーザー照明装置を製造した。
【0269】
各蛍光体を上記に示すような組合せに変えて製造した各実施例に係る照明装置について、発光効率及び色再現域(NTSC比)を測定比較して、下記表5に示す結果を得た。なお、比較例201として、励起光源としてレーザーダイオードを使用せず、水銀蒸気を封入した従来のCCFL管(冷陰極線管)を同一電力値で稼動した場合の発光効率および色再現域も測定した。
【0270】
表5に示す結果から明らかなように、各実施例に係るレーザー照明装置によれば水銀蒸気を封入した従来のCCFL管(冷陰極線管)と比較して同等以上の発光効率および色再現域を同時に実現できることが判明した。しかも従来のCCFL管と異なり、管内封入成分として有害な水銀を使用しないために、環境負荷が少なく実用上極めて有用である。
【0271】
【表1】

【0272】
【表2】

【0273】
【表3】

【0274】
【表4】

【0275】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部と、
この導電部に実装され、ピーク波長360nm以上420nm以下の1次光を発光する発光ダイオードチップと、
この発光ダイオードチップを封止し、第1の透明樹脂硬化物からなる透明樹脂層と、
第2の透明樹脂硬化物中に前記1次光を受光して前記1次光より長波長の2次光を発光する蛍光体粉末が分散された蛍光体層と、
を備え、
発光効率が20lm/W以上であると共に、
出射光に含まれる前記1次光のエネルギーが0.4mW/lm以下であることを特徴とする白色LEDランプ。
【請求項2】
前記蛍光体粉末は、ピーク波長430nm以上460nm以下の青色光を発光する青色蛍光体粉末を含み、
出射光の発光スペクトルは、前記青色光に対する前記1次光のピーク強度の比(前記1次光のピーク強度/前記青色光のピーク強度)が0.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項3】
前記蛍光体層は、厚さが0.1mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項4】
前記蛍光体粉末は、
青色光を発光する青色蛍光体粉末と、
緑色光を発光する緑色蛍光体粉末と、
赤色光を発光する赤色蛍光体粉末と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項5】
前記蛍光体粉末は、
青色光を発光する青色蛍光体粉末と、
黄色光を発光する黄色蛍光体粉末と、
赤色光を発光する赤色蛍光体粉末と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項6】
前記蛍光体粉末は、
青色光を発光する青色蛍光体粉末と、
緑色光を発光する緑色蛍光体粉末と、
黄色光を発光する黄色蛍光体粉末と、
赤色光を発光する赤色蛍光体粉末と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項7】
前記青色蛍光体粉末は、下記式(1)で表される組成を有する青色蛍光体粉末を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の白色LEDランプ。
[化1]
(Sr1−x−y−zBaCaEu(POCl (1)
(式中、x、yおよびzは、0≦x<0.5、0≦y<0.1、0.005<z<0.1を満たす値である)。
【請求項8】
前記緑色蛍光体粉末は、下記式(2)で表される組成のユーロピウムマンガン付活アルミン酸塩からなることを特徴とする請求項4または6に記載の白色LEDランプ。
[化2]
(Ba1−x−y−zSrCaEu)(Mg1−uMn)Al1017
(2)
(式中、x、y、zおよびuは、0≦x<0.2、0≦y<0.1、0.005<z<0.5、0.1<u<0.5を満たす値である)。
【請求項9】
前記黄色蛍光体粉末は、下記式(3)で表される組成を有する黄色蛍光体粉末を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の白色LEDランプ。
[化3]
ZnS:AuAl (3)
(式中、cおよびdは、0.0001<c、d<0.002を満たす値である)。
【請求項10】
前記黄色蛍光体粉末は、下記式(4)で表される組成を有する黄色蛍光体粉末を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の白色LEDランプ。
[化4]
(Sr2−x−y−z−uBaMgEuMn)SiO (4)
(式中、x、y、zおよびuは、0.1<x<0.4、0.005<y<0.21、0.05<z<0.3、0.001<u<0.04を満たす値である)。
【請求項11】
前記赤色蛍光体粉末は、下記式(5)で表される組成のユーロピウム付活酸硫化ランタンからなる赤色蛍光体粉末を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の白色LEDランプ。
[化5]
(La1−x−yEuS (5)
(式中、Mは、Sb、Sm、GaおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素であり、xおよびyは、0.01<x<0.15、0≦y<0.03を満たす値である)。
【請求項12】
前記赤色蛍光体粉末は、下記式(6)で表される組成を有する赤色蛍光体粉末を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の白色LEDランプ。
[化6]
(SrCa1−x)SiAlN:Eu (6)
(式中、xは、0≦x<0.4を満たす値である)。
【請求項13】
前記緑色蛍光体は、下記式(7)で表される組成を有する緑色蛍光体粉末を含むことを特徴とする請求項4または6に記載の白色LEDランプ。
[化7]
(Sr3−X,Eu)SiAlω (7)
(式中x、y、z、v、ωは関係式x<0.2、12<y<14、2<z<4、1<v<3、20<ω<22を満たす数である。)
【請求項14】
上記式(1)で表される組成のユーロピウム付活ハロ燐酸塩からなる青色蛍光体粉末と、
上記式(2)で表される組成のユーロピウムマンガン付活アルミン酸塩からなる緑色蛍光体粉末と、
上記式(5)で表される組成のユーロピウム付活酸硫化ランタンからなる赤色蛍光体粉末と、
を含むことを特徴とする請求項4または6に記載の白色LEDランプ。
【請求項15】
前記青色蛍光体粉末は、上記式(1)で表される組成を有する青色蛍光体粉末を含み、
前記黄色蛍光体粉末は、上記式(3)で表される組成を有する黄色蛍光体粉末、および上記式(4)で表される組成を有する黄色蛍光体粉末の少なくともいずれかを含み、
前記赤色蛍光体粉末は、上記式(5)および(6)で表される組成を有する赤色蛍光体粉末の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の白色LEDランプ。
【請求項16】
前記導電部は絶縁部上に配されて基板を構成し、この絶縁部は、アルミナ板、窒化アルミニウム板、または放熱ビアを備えたガラスエポキシ板であることを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項17】
前記発光ダイオードチップのジャンクション部と、前記基板の裏面との間の熱抵抗Rthが、前記発光ダイオードチップ1個あたり40℃/W以下であることを特徴とする請求項16に記載の白色LEDランプ。
【請求項18】
前記導電部は、光反射性電極であることを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項19】
前記光反射性電極は、Ag、Pt、Ru、PdおよびAlから選ばれた少なくとも1種の金属からなる電極であることを特徴とする請求項18に記載の白色LEDランプ。
【請求項20】
前記導電部は、表面に光反射層が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項21】
前記光反射層は、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナおよびシリカから選ばれた少なくとも1種の無機物からなる微粉末を含む被覆層であることを特徴とする請求項20に記載の白色LEDランプ。
【請求項22】
前記光反射層は、Al、Ag、Pt、RuおよびPdから選ばれた少なくとも1種の金属からなる被覆層であることを特徴とする請求項20に記載の白色LEDランプ。
【請求項23】
第3の透明樹脂硬化物中にUV光吸収粉末が分散されてなるUV光吸収層が、前記蛍光体層の表面にさらに形成されたことを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項24】
前記UV光吸収粉末は、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化セリウムから選ばれた少なくとも1種の無機物からなる微粉末であることを特徴とする請求項23に記載の白色LEDランプ。
【請求項25】
前記発光ダイオードチップは、InGaN、GaNまたはAlGaN系発光ダイオードチップであることを特徴とする請求項1に記載の白色LEDランプ。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の白色LEDランプを用いたことを特徴とするバックライト。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の白色LEDランプを用いたことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−38447(P2013−38447A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228383(P2012−228383)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2010−500662(P2010−500662)の分割
【原出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(303058328)東芝マテリアル株式会社 (252)
【Fターム(参考)】