説明

白血病の診断および治療ターゲット

本発明は、ヒストンメチル化およびHoxA5プロモーター活性に基づく、白血病治療用の候補化合物を識別する方法および診断方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願情報]
本願は、2006年1月20日に出願された米国仮特許出願第60/760,709号の利益を主張し、その開示は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
[連邦政府の支援に関する記載]
本発明は、米国国立衛生研究所によって交付された助成金番号GM68804の下に、連邦政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、ヒストンメチル化に基づく、白血病治療用の候補化合物を識別する方法および診断方法に関する。
【背景技術】
【0004】
高次クロマチン構造は、遺伝子調節および後成的遺伝に著しく重要である(Wu and Grunstein(2000)Trends Biochem.Sci.25:619−623)。コアヒストンの翻訳後修飾は、高次クロマチン構造の確立および維持に影響を及ぼす。一定のコアヒストンの、特定構造を持たないテールは、アセチル化、メチル化、リン酸化、リボシル化およびユビキチン化によって、大規模に修飾される。ヒストン修飾をクロマチン構造と結びつける「ヒストンコード」仮説は、近年の集中的な研究の焦点になってきた(Strahl and Allis(2000)Mol.Cell.Biol.22:1298−1306;Turner(2000)Bioessays 22:836−845)。ヒストンメチル化はヒストン修飾の主形態であることが明らかになっている(Strahl and Allis(2000)Mol.Cell.Biol.22:1298−1306;Zhang and Reinberg(2001)Genes Dev.15:2343−2360)。特に、SETドメインを含有するヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMTases)の大きなファミリーが同定されている(Lachner and Jenuwein(2002)Curr.Opin.Cell Biol.14:286−298)。SETドメインタンパク質は、ヒストンH3およびH4のさまざまなN末端リジン残基をメチル化することが示されている。ヒストンリジンメチル化は、転写調節から細胞分裂時に起こる染色体の正確な伝達まで、多様な生物学的過程に関連づけられている(Grewal and Elgin(2002)Curr.Opin.Genet.Dev.12:178−187)。
【0005】
さらにまた、SETドメイン含有タンパク質が触媒するリジンメチル化は、がんに結びつけられている(Schneider,et al.(2002)Trends Biochem.Sci.27:396−402)。例えば、H3−K4メチルトランスフェラーゼMLLは白血病ではしばしば転座し(Ayton and Cleary(2001)Oncogene 20:5695−5707;Milne,et al.(2002)Mol.Cell 10:1107−1117;Nakamura,et al.(2002)Mol.Cell 10:1119−1128)、H3−K27メチルトランスフェラーゼEZH2はいくつかの腫瘍において過剰発現され、その発現レベルはそれらの腫瘍の侵襲性と相関する(Bracken,et al.(2003)EMBO J.22:5323−5335;Kleer et al.(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:11606−11611;Varambally,et al.(2002)Nature 419:624−9)。
【0006】
Dot1は、元々、サッカロミセスセレビシェ(S.cerevisiae)において、テロメアサイレンシングの破壊因子(isruptor elomeric silencing)として同定された(Singer et al.,(1998)Genetics 150:613−632)進化的に保存されたタンパク質である。これは減数分裂周期中のパキテン期チェックポイントにおいても機能する(San−Segundo and Roeder(2000)Mol.Biol.Cell.11:3601−3615)。酵母Dot1の配列解析により、これは、タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ中のものに似た一定の特徴的SAM結合モチーフを有することが明らかになった(Dlakic(2001)Trends Biochem.Sci.26:405−407)。
【0007】
最近、hDOT1LはヒストンH3−K79メチルトランスフェラーゼであり(Feng et al.,(2002)Curr.Biol.12:1052−1058)、MLL−AF10による白血病誘発に重要な役割を果たすこと(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)が証明された。MML−AF10によるHoxa9遺伝子へのhDOT1Lのミスターゲティングは、H3−K79メチル化およびHoxa9のアップレギュレーションをもたらし、それが白血病性形質転換の一因になることが示された(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。さらに、hDOT1LとMLL−AF10の相互作用には、MLL−AF10による白血病性形質転換に必要なAF10のOM−LZ(オクタペプチドモチーフ−ロイシンジッパー)領域が関与することも証明された(DiMartino et al.,(2002)Blood 99:3780−5)。
【発明の開示】
【0008】
本発明者らは、(1)CALM−AF10融合は、インビトロおよびインビボで白血病誘発を媒介するのに、必要かつ十分であるらしいこと、(2)hDOT1LおよびそのH3−K79メチルトランスフェラーゼ活性がCALM−AF10による白血病性形質転換に関係すること、(3)Hoxa5遺伝子がCALM−AF10による形質転換に関与することを、ここに初めて証明する。いかなる本発明の理論にも束縛されることは望まないが、本発明者らは、hDOT1Lがタンパク質−タンパク質相互作用によってCALM−AF10の核局在化を保つ実験モデルも提供する。hDOT1Lと会合したCALM−AF10は、次に、Hoxa5プロモーターに動員されてH3−K79メチル化を媒介し、それが結果として、Hoxa5アップレギュレーションおよび白血病誘発につながる。
【0009】
染色体転座は、(特に急性白血病において)ヒトがんの主原因の一つである。キメラ遺伝子CALM−AF10を生成するt(10;11)(p12−13;q14−q23)の転座は、T−ALL(T細胞急性リンパ性白血病)およびAML(急性骨髄性白血病)を含むさまざまなタイプの白血病に観察される(Carlson et al.,(2000)Leukemia 14:100−104;Dreylng et al.,(1998)Blood 91:4662−7)。この染色体転座は、キメラ遺伝子MLL−AF10を生成するt(10;11)(p13;q23)の転座と区別することが難しい場合もあるが、MLL−AF10を持つ患者は、もっぱらAMLを発症する(Beverloo et al et al.,(1995)Cancer Res.55:4220−4)。CALM−AF10によるAMLとMLL−AF10によるAMLにも顕著な相違がある。例えばCALM−AF10によるAMLはM0/1サブタイプに属するのに対し、MLL−AF10によるAMLはM4/5サブタイプに属する(Dreylng et al.,(1998)Blood 91:4662−7;Beverloo et al et al.,(1995)Cancer Res.55:4220−4)。造血および白血病誘発におけるMLL(mixed lineage leukemia)の役割は確立されているが、基礎にある分子機序は解明され始めたばかりである(Ayton et al.,(2001)Oncogene 20:5695−5707;Daser et al.,(2004)Genes Dev.18:965−74;Hess(2004)Crit.Rev.Eukaryot. Gene Expr.14:235−54)。MLLとは異なり、造血および白血病におけるCALM(clathrin assembly lymphoid myeloid leukemia)の機能は全くわかっていない。なぜなら、CALMタンパク質は転座がなければ細胞質に位置し、そこではクラスリンによる輸送に関与しているからである(Dreyling et al.,(1996)Proc Natl Acad Sci 93:4804−9;Tebar et al.,(1999)Mol Biol.Cell 10:2687−702)。実際、CALM−AF10の白血病性形質転換能は、実験的には証明されていない。
【0010】
したがって第1の態様として、本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
DOT1LポリペプチドがCALM−AF10融合タンパク質に結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、DOT1LポリペプチドをCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質の間の相互作用を検出するステップとを含み、該試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、該試験化合物存在下での、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質の間の相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0011】
さらに本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
試験化合物がCALM−AF10融合タンパク質に結合するのに十分な条件下で、CALM−AF10融合タンパク質を試験化合物と接触させるステップと、試験化合物とCALM−AF10融合タンパク質の間の結合を検出するステップとを含み、CALM−AF10融合タンパク質への試験化合物の結合は、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法も提供する。
【0012】
さらなる一態様として、本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質がHoxA5プロモーターに結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、HoxA5プロモーター領域を含む核酸をCALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質のHoxA5プロモーターとの相互作用を検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、試験化合物存在下での、CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質とHoxA5プロモーターの間の相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0013】
さらにもう一つの態様として、本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質が結合して複合体を形成し、前記複合体がHoxA5プロモーターに結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、HoxA5プロモーター領域を含む核酸をDOT1LポリペプチドおよびCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、DOT1L/CALM−AF10複合体のHoxA5プロモーターとの相互作用を検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、試験化合物存在下での、DOT1L/CALM−AF10複合体のHoxA5プロモーターとの相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0014】
さらにもう一つの態様として、本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、試験化合物がHoxA5プロモーター領域および/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分に結合するのに十分な条件下で、HoxA5プロモーター領域および/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分を含む核酸を試験化合物と接触させるステップと、試験化合物とHoxA5プロモーターおよび/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分の間の結合を検出するステップとを含み、試験化合物とHoxA5プロモーターおよび/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分の間の結合は、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0015】
もう一つの態様として、本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、HoxA5プロモーター活性にとって十分な条件下で、HoxA5プロモーター領域を含む核酸を試験化合物と接触させるステップと、HoxA5プロモーター活性を検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下でのHoxA5プロモーター活性のレベルと比較した、試験化合物存在下でのHoxA5プロモーター活性の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0016】
他の実施形態において、本発明は、T細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、試験化合物の存在下で、DOT1Lポリペプチドを、ヒストンH3を含むヒストンまたはヌクレオソーム基質と接触させるステップと、ヒストンH3リジン79(H3−K79)メチル化をもたらすのに十分な条件下で、基質のH3−K79メチル化を検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下でのH3−K79メチル化のレベルと比較した、試験化合物存在下での、H3−K79メチル化の減少は、前記試験化合物がT−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0017】
もう一つの態様として、本発明は、T−ALLまたはAML−M0/1の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、DOT1LポリペプチドがAF10に結合するのに十分な条件下で、DOT1LポリペプチドをAF10と接触させるステップと、DOT1LポリペプチドとAF10の間の相互作用を検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下での結合のレベルと比較した、試験化合物存在下での、DOT1LポリペプチドとAF10の間の相互作用の減少は、前記試験化合物がT−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0018】
本発明は診断方法も包含する。一態様として、本発明は、対象が白血病を有するかどうかもしくは白血病を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/または前記疾患の経過に関する予後を決定する方法であって、対象からヒストン(例えばヌクレオソーム)を含む生物学的試料を取得するステップと、HoxA5遺伝子と関連するヒストンH3リジン79(H3−K79)メチル化を検出するステップとを含み、非白血病生物学的試料中のHoxA5関連H3−K79メチル化のレベルと比較した、生物学的試料中のHoxA5関連H3−K79メチル化の増加は、前記対象が白血病を有することもしくは白血病を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/または前記対象における疾患の経過の予後指標となる方法を提供する。
【0019】
さらにもう一つの態様として、本発明は、対象が白血病を有するかどうかもしくは白血病を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/または前記疾患の経過に関する予後を決定する方法であって、対象におけるHoxA5プロモーター活性を決定するステップを含む方法を提供する。
【0020】
以下の発明の説明では、本発明のこれらの態様および他の態様を、さらに詳しく述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
クロマチン構造は遺伝子調節および後成的遺伝に重要である。ヒストンの翻訳後修飾は高次クロマチン構造の確立および維持に関与することが知られており、されにまた、一定のコアヒストンのテールが、アセチル化、メチル化、リン酸化、リボシル化およびユビキチン化によって修飾されることも報告されている。本発明は、一つには、(1)CALM−AF10融合は、インビトロおよびインビボで白血病誘発を媒介するのに、必要かつ十分であるらしいこと、(2)hDOT1Lおよび前記H3−K79メチルトランスフェラーゼ活性がCALM−AF10による白血病性形質転換に関係すること、(3)Hoxa5遺伝子がCALM−AF10による形質転換に関与することの、初めての証明に基づく。いかなる本発明の理論にも束縛されることは望まないが、本発明者らは、hDOT1Lがタンパク質−タンパク質相互作用によってCALM−AF10の核局在化を保つ実験モデルも提供する。hDOT1Lと会合したCALM−AF10は、次に、Hoxa5プロモーターに動員されてH3−K79メチル化を媒介し、それが結果として、Hoxa5のアップレギュレーションおよび白血病誘発につながる。
【0022】
以下に、本発明の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明を説明する。本発明は異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈してはならない。むしろこれらの実施形態は、この開示が十分かつ完全になり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達することになるように記載するものである。例えば、ある実施形態に関して例示する特徴は、他の実施形態に組み入れることができ、特定の実施形態に関して例示した特徴を、その実施形態から削除することもできる。さらにまた、本明細書に提案する実施形態に加えられる変形および付加であって、本発明から逸脱しないものは、本明細書に照らせば、当業者には明白になるだろう。
【0023】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は全て、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者が一般に理解している意味と同じ意味を持つ。本明細書において使用する専門用語は、特定の態様を説明することだけを目的としており、本発明を限定しようとするものではない。
【0024】
本発明の説明および本願特許請求の範囲において使用する単数形「a」「an」および「the」(「ある」「一つの」「その」)は、文脈上そうでないことが明白でない限り、複数形も包含するものとする。
【0025】
本明細書で使用する場合、「および/または」は、関連して列挙された事項の一つ以上の、ありとあらゆる、考えうる組み合わせを指し、それらを包含すると共に、もう一つの選択肢(「または」)で解釈する場合には、組み合わせの欠如も指し、包含する。
【0026】
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」はタンパク質とペプチドとの両方を包含する。
【0027】
特定の実施形態では、本発明の実施に使用するポリペプチドが「単離された」ポリペプチドである。本明細書にいう「単離された」ポリペプチドとは、自然に存在する生物またはウイルスの他の構成成分、例えば細胞構造構成成分もしくはウイルス構造構成成分またはそのポリペプチドに付随して一般的に見出される他のポリペプチドもしくは核酸などの少なくとも一部から分離されているか、それら他の構成成分の少なくとも一部を実質的に含まないポリペプチドである。特定の実施形態では、「単離された」ポリペプチドが、少なくとも約1%、5%、10%、25%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上の純度(w/w)を持つ。他の実施形態では、「単離された」ポリペプチドが、出発物質と比較して少なくとも約5倍、10倍、25倍、100倍、1000倍、10,000倍、またはそれ以上のタンパク質の濃縮(w/w)が達成されることを示す。
【0028】
特定の実施形態では、本発明で使用される核酸が「単離された」核酸である。本明細書にいう「単離された」核酸とは、自然に存在する生物の他の構成成分、例えば細胞構造構成成分またはその核酸に付随してよく見出される他のポリペプチドもしくは核酸などの少なくとも一部から分離されているか、それら他の構成成分の少なくとも一部を実質的に含まない核酸を意味する。特定の実施形態では、「単離された」核酸が、少なくとも約1%、5%、10%、25%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上の純度(w/w)である。他の実施形態では、「単離された」核酸が、出発物質と比較して少なくとも約5倍、10倍、25倍、100倍、1000倍、10,000倍、100,000倍またはそれ以上の核酸の濃縮(w/w)が達成されることを示す。
【0029】
核酸に関して本明細書で使用する用語「発現」(およびその文法上の等価表現)は、核酸の転写および場合によっては翻訳を指す。
【0030】
用語「調整する」(およびその文法上の等価表現)は増加または減少を指す。特定の実施形態では、用語「増加」または「強化」(およびその文法上の等価表現)が、少なくとも約25%、50%、75%、2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、20倍またはそれ以上の上昇を意味する。特定の実施形態では、用語「減少」または「低下」(およびその文法上の等価表現)が、少なくとも約25%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上の縮小を意味する。いくつかの実施形態では、表示した活性、物質または他のパラメータが検出可能でない。
【0031】
「治療する」「治療すること」もしくは「の治療」(またはその文法上の等価表現)とは、対象の状態の重症度が低下するか、少なくとも部分的に改善もしくは寛解すること、および/または少なくとも一つの臨床症状にいくらかの軽減、緩和もしくは減少が達成されること、および/またはその状態の進行の遅延および/または疾患もしくは障害の発生の予防もしくは遅延が起こることを意味する。「治療する」(treat、treats)「治療すること」(treating)または「の治療」(treatment of)などの用語は、(例えば感染またはがんの発生を予防するための)対象の予防的治療も包含する。本明細書で使用する用語「予防する」(prevent、prevents)または「予防」(およびその文法上の等価表現)は、疾患の完全な撤廃を意味するのではなく、その状態の発生率を低下させ、その状態の発生および/または進行を遅延させ、かつ/またはその状態に関連する症状を減少させるあらゆるタイプの予防的治療を包含する。したがって、文脈上別段の解釈を必要とする場合を除き、用語「治療する」「治療すること」もしくは「の治療」(またはその文法上の等価表現)は、予防レジメンおよび治療レジメンの両方を指す。
【0032】
本明細書にいう「治療有効量」とは、対象を(上に定義したように)治療するのに十分な量である。
【0033】
本明細書にいう「診断方法」とは、特定の障害を患っている対象および/または特定の障害の危険がある対象を識別するために行われるスクリーニング手法を指す。
【0034】
「予後判定方法」とは、疾患の経過(例えば活動性の多寡)を少なくとも部分的に予測するのを助けるために使用される方法を指す。言い方を変えると、予後判定方法は疾患の重症度を評価するために使用することができる。例えば、本明細書に開示するスクリーニング手法は、罹患個体を識別するためにも、疾患の重症度を評価するためにも、かつ/または疾患の今後の経過を予測するためにも行うことができる。そのような方法は、治療的処置の考えうる利益、実施すべき治療のタイプなどを評価するのに役立ちうる。また、以前に特定障害の診断を下された対象に対し、その特定対象について、その疾患がどのように進行するか、より深い洞察を得たい場合(例えば、特定の患者が特定の薬物治療に有利に応答する見込み、または特定の薬物治療に関して臨床試験を行う目的で患者を独特な異なる部分集団に分類または分別したい場合)に、予後判定方法を実行することもできる。
【0035】
本明細書で言及する刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべて、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0036】
別段の表示がある場合を除き、本発明による組換えおよび合成ポリペプチド、融合タンパク質、抗体またはその抗原結合性断片の製造、核酸配列の操作、形質転換細胞の作出などには、標準的方法を使用することができる。そのような技法は、当業者には知られている。例えばSAMBROOK et al,「MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL」2nd Ed.(Cold Spring Harbor、NY、1989);F.M.AUSUBEL et al,「CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY」(Green Publishing Associates,Inc. and John Wiley & Sons,Inc.,New York)を参照されたい。
【0037】
本発明者らは、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質の相互作用が、HoxA5のアップレギュレーションおよび白血病誘発に関係することを確認した。したがって本発明は、DOT1Lおよび/またはCALM−AF10および/またはHoxA5間の相互作用を創薬のターゲットとして使用する方法を提供する。
【0038】
本発明は、現在知られているまたは今後発見される任意のDOT1LポリペプチドまたはDOT1L核酸を使って実施することができる。DOT1L核酸およびDOT1Lポリペプチドについては以前に記述されている(例えば米国特許出願公開番号2005−0048634A1;Feng et al.,(2002)Curr.Biol.12:1052−1058;およびOkada et al.,(2005)Cell 121:167−78を参照されたい)。DOT1の酵母ホモログは、元々、テロメアサイレンシングの破壊因子として同定された(酵母DOT1のタンパク質配列および核酸配列はアクセッション番号NP_010728に見出すことができる)。hDOT1L(ヒトDOT1様タンパク質)と呼ばれるヒトホモログがクローニングされ、単離され、HMTaseであることが決定されている。hDOT1L核酸およびhDOT1Lタンパク質の配列はGenBankアクセッション番号AF509504として登録されている。hDOT1Lの約360個のN末端アミノ酸だけが、酵母DOT1と有意な配列類似度を持っている。さらに本発明者らは、C.エレガンス(C.elegans、GenBankアクセッション番号NP_510056およびCAA90610)、ショウジョウバエ(Drosophila、GenBankアクセッション番号CG10272およびAAF54122)、マウス(GenBankアクセッション番号XP_125730)、ガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae、GenBankアクセッション番号EAA03558)、およびアカパンカビ(Neurospora crassa、GenBankアクセッション番号EAA33634)由来のDOT1ホモログも、公共データベース中の配列から同定している。これらのホモログではSAM結合ドメインが保存されている(約30〜100%のアミノ酸配列一致度および50〜100%のアミノ酸配列類似度[すなわち同一アミノ酸または保存されたアミノ酸])。
【0039】
触媒ドメイン(アミノ酸1〜416)を含有するhDOT1Lタンパク質フラグメントの2.5Å解像度の構造が解明されている。hDOT1Lのアミノ酸1〜416について原子座標が決定され、RCSBデータベースにIDコード1NW3として登録されている(Min,et al.(2003)Cell 112:711−723も参照されたい)。
【0040】
本発明の特定の実施形態では、DOT1LポリペプチドがH3−K79特異的HMTase活性を持つ。H3−K79「特異的」HMTase活性とは(例えばヒストンまたはヌクレオソーム基質を使った場合に)全てのまたは基本的に全てのHMTase活性がH3−K79に向けられることを意味する。
【0041】
AF10ポリペプチドも当分野では知られている。例えばヒトAF10配列、GenBankアクセッション番号AY598745;マウスAF10配列、GenBankアクセッション番号054826を参照されたい。本発明は、現在知られているまたは今後決定される任意のAF10ポリペプチドを使って実施することができる。
【0042】
さらに本発明は、当分野で現在知られているまたは今後発見される任意のCALMポリペプチドを使って実施することができる。例えばGenBankアクセッション番号AAB07762(ヒトアミノ酸);U45976(ヒトmRNA);S36327;CAA48748およびS36326(ラットアミノ酸);X6877およびNM_031728(ラット核酸);M83985、AAA37587およびAAA37586(マウスアミノ酸);S27866(マウス核酸);ならびにXM_595075およびXP_595075(ウシアミノ酸);S39150およびXP_595075(ウシ核酸)を参照されたい。
【0043】
「DOT1Lポリペプチド」「AF10ポリペプチド」および「CALMポリペプチド」という用語は、完全長ポリペプチドの機能的フラグメント、または実質的に類似するもしくは実質的に同一なアミノ酸配列(少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上のアミノ酸配列類似度または一致度)を持つ上記のいずれかの機能的等価物であって、ネイティブポリペプチドの機能的性質の一つ以上を保持しているものを包含する。
【0044】
「機能的」とは、そのポリペプチド(または核酸)が、ネイティブポリペプチド(または核酸)の生物学的性質の一つ以上に関して、同じまたは実質的に類似する活性(例えばネイティブポリペプチド(または核酸)の活性の少なくとも約50%、75%、85%、90%、95%もしくは98%またはそれ以上)を持つことを意味する。
【0045】
例えば代表的な実施形態では、機能的DOT1Lポリペプチド(上で論じた機能的フラグメントおよび機能的等価物を含む)が、ネイティブDOT1Lポリペプチドと比較して同じまたは実質的に類似するH3−K79 HMTase活性、SAM結合活性、ヒストンおよび/またはヌクレオソーム結合活性、AF10結合活性、CALM−AF10融合タンパク質結合活性、白血病誘発活性および/または他の任意の興味ある生物学的活性を持つ。
【0046】
ヒストン、ヌクレオソーム、核酸またはポリペプチドへのDOT1L結合を評価する方法は、当業者には明白であろう標準的技法を使って行うことができる(典型的方法については実施例を参照されたい)。そのような方法として、酵母および哺乳類細胞ツーハイブリッドアッセイおよび共免疫沈降技法が挙げられる。
【0047】
DOT1Lに関連する他の生物学的活性、例えばH3−K79 HMTaseおよび白血病誘発活性も、例えば下記実施例で述べるような当分野で知られる標準的方法を使って評価することができる。
【0048】
本発明は、CALM、AF10、およびDOT1Lの機能的フラグメント、ならびにその機能的等価物を使って実施することもできる。特定の実施形態では、機能的DOT1Lフラグメントおよびその機能的等価物が、SAM結合ドメインを含む(場合によっては隣接する配列を含む)触媒ドメイン、およびそれをコードする核酸を含む。触媒ドメインを含む機能的DOT1Lフラグメントおよび機能的等価物は、場合によってはDOT1L正荷電領域を、さらに含むことができる。
【0049】
本発明の実施形態では、機能的DOT1Lフラグメントまたは機能的等価物が、AF10とのDOT1Lロイシンリッチ相互作用ドメインを含む。
【0050】
代表的実施形態では、機能的DOT1Lフラグメントまたは機能的等価物が、ロイシンジッパー領域および/またはコイルドコイル領域を含むことができる。
【0051】
さらなる実施形態では、機能的DOT1Lフラグメントまたは機能的等価物が、核外移行シグナルおよび/または核局在化シグナルを含む。
【0052】
さらにもう一つの実施形態では、機能的DOT1Lフラグメントまたは機能的等価物が、DOT1ポリペプチドのN末端部分、例えばN末端の約10、20、30、40、50、60、70、80、90または100アミノ酸を含む。別の実施形態では、機能的フラグメントがN末端で切断され、例えば約100、85、75、60、50、35、20、15、10または5個未満のアミノ酸がN末端から切断される。代表的実施形態では、機能的DOT1Lフラグメントまたは機能的等価物が、N末端の10〜100アミノ酸、N末端の10〜70アミノ酸、N末端の20〜50アミノ酸またはN末端の20〜40アミノ酸を含む。別の代表的実施形態では、N末端の5〜100、10〜75または15〜50アミノ酸が、N末端機能的DOT1Lフラグメントまたは機能的等価物から切断される。
【0053】
AF10に関して、代表的実施形態では、機能的AF10フラグメントまたは機能的等価物が、ネイティブAF10ポリペプチドと同じまたは実質的に類似するDOT1L結合活性、白血病誘発活性および/または他の任意の興味ある生物学的活性を持つ。さらにまた、機能的AF10フラグメントまたは機能的等価物は、OM−LZドメイン、例えばAF10のアミノ酸719〜800[ヒトAF10配列、アクセッション番号AY598745;マウスAF10配列、アクセッション番号054826]、PHD配列、AT配列、C末端グルタミンリッチ領域および/または核局在化シグナルを含むことができる。
【0054】
機能的CALMフラグメントまたは機能的等価物は、ネイティブCALMポリペプチドと比較して、同じまたは実質的に類似する白血病誘発活性、HoxA5遺伝子結合活性および/または他の任意の興味ある生物学的活性を持つ。特定の実施形態では、機能的CALMフラグメントまたは機能的等価物が、そのC末端にある推定CRM1依存的NES(核外移行シグナル)配列、ENTHドメイン、HoxA5遺伝子結合ドメインおよび/またはクラスリン結合ドメインを含む。
【0055】
機能的フラグメントおよび機能的等価物が上述した機能領域を二つ以上含みうることは、当業者には理解されるだろう。
【0056】
本明細書にいう「等価物」とは、一つ以上のアミノ酸が変化しているアミノ酸配列を指す。等価物は「保存的」変化を持ってもよく、この場合、置換アミノ酸は類似する構造または化学的性質を持つ。特に、そのような変化は、アミノ酸が基本的に同じ機能的性質を持つ別のアミノ酸で置換されるように、電荷密度、疎水性/親水性、サイズおよび配置などの物理的特徴に関するアミノ酸間の既知の類似度を指針にすることができる。例えば、AlaはValまたはSerで置き換えることができ;ValはAla、Leu、Met、またはIle、好ましくはAlaまたはLeuで置き換えることができ;LeuはAla、ValまたはIle、好ましくはValまたはIleで置き換えることができ;GlyはProまたはCys、好ましくはProで置き換えることができ;ProはGly、Cys、Ser、またはMet、好ましくはGly、Cys、またはSerで置き換えることができ;CysはGly、Pro、Ser、またはMet、好ましくはProまたはMetで置き換えることができ;MetはProまたはCys、好ましくはCysで置き換えることができ;HisはPheまたはGln、好ましくはPheで置き換えることができ;PheはHis、Tyr、またはTrp、好ましくはHisまたはTyrで置き換えることができ;TyrはHis、PheまたはTrp、好ましくはPheまたはTrpで置き換えることができ;TrpはPheまたはTyr、好ましくはTyrで置き換えることができ;AsnはGlnまたはSer、好ましくはGlnで置き換えることができ;GlnはHis、Lys、Glu、Asn、またはSer、好ましくはAsnまたはSerで置き換えることができ;SerはGln、Thr、Pro、CysまたはAlaで置き換えることができ;ThrはGlnまたはSer、好ましくはSerで置き換えることができ;LysはGlnまたはArgで置き換えることができ;ArgはLys、AspまたはGlu、好ましくはLysまたはAspで置き換えることができ;AspはLys、Arg、またはGlu、好ましくはArgまたはGluで置き換えることができ;そしてGluはArgまたはAsp、好ましくはAspで置き換えることができる。ひとたび変化を加えたら、その変化を常法でスクリーニングして、機能に対するそれらの効果を決定することができる。
【0057】
もう一つの選択肢として、等価物は「非保存的」な変化(例えばトリプトファンによるグリシンの置き換え)を持ちうる。同様の軽微な変化として、アミノ酸欠失もしくはアミノ酸挿入またはその両方を挙げることもできる。生物学的活性を消失させずにどのアミノ酸残基を置換し、挿入しまたは欠失させうるかを決定する際の指針は、当分野で周知のコンピュータプログラム、例えばLASERGENE(商標)ソフトウェアなどを使って見出すことができる。
【0058】
当分野では知られているとおり、ある核酸またはポリペプチドが既知の配列に対して配列類似性または配列同一性を持つかどうかを識別するには、いくつかの異なるプログラムを使用することができる。配列類似度または配列一致度は、当分野で知られる標準的技法を使って、例えば、限定するわけではないが、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2,482 (1981)の局所配列一致度アルゴリズム(local sequence identity algorithm)によって、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48,443 (1970)の配列一致度アラインメントアルゴリズム(sequence identity alignment algorithm)によって、Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,2444 (1988)の類似性検索法(search for similarity method)によって、これらのアルゴリズムのコンピュータへの実装(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group(ウィスコンシン州マディソン・サイエンスドライブ575)のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、Devereux et al.,Nucl.Acid Res.12,387−395 (1984)に記載のBest Fit配列プログラムを、好ましくはデフォルト設定で使用することによって、または目視検査によって決定することができる。
【0059】
もう一つの適切なアルゴリズムは、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410,(1990) and Karlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,5873−5787 (1993)に記載されているBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al.,Methods in Enzymology,266,460−480 (1996);http://blast.wustl/edu/blast/README.htmlから入手したWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2ではいくつかの検索パラメータを使用し、それらは場合により、デフォルト値に設定される。これらのパラメータは動的値であり、特定配列の組成、および関心配列を検索する対象となる特定データベースの組成に応じて、プログラム自体によって確立されるが、感度を増加させるためにそれらの値を調節してもよい。
【0060】
さらにまた、もう一つの有用なアルゴリズムは、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25、3389−3402によって報告されたgapped BLASTである。
【0061】
ある実施形態では、同一残基だけに正のスコア(+1)を付け、ギャップを含むあらゆる形態の配列変異に「0」という値を割り当てることにより、配列類似度計算に関して後述する重み付き尺度またはパラメータの必要を回避する。配列一致率は、例えば、一致した同一残基の数を、整列した領域中の「短い方」の配列の総残基数で割り、100を掛けることによって算出することができる。「長い方」の配列は、整列した領域中に最も多くの実際の残基を持つものである。
【0062】
ポリペプチドフラグメントの長さは重要ではない。機能的フラグメントの具体例は、完全長ポリペプチドの少なくとも約80、100、200、300、400、500、600、700、800、1000、1200、1400またはそれ以上のアミノ酸(場合により、連続アミノ酸)、例えば完全長ポリペプチドの約80〜1400アミノ酸、約100〜1000アミノ酸、約100〜700アミノ酸、または約200〜600アミノ酸(場合により、連続アミノ酸)を含む。本発明は、機能的フラグメントをコードする核酸も提供する。機能的フラグメントをコードする典型的核酸は、完全長ポリペプチドをコードする核酸の少なくとも約250、300、400、500、600、700、800、1000、1500、2000、2500、3000、4000またはそれ以上のヌクレオチド塩基(場合により、連続塩基)、例えば約250〜4000、約300〜3000、約300〜2000、約400〜2000、または約600〜1500ヌクレオチド塩基(場合により、連続塩基)を含む。
【0063】
ポリペプチドは、任意の関心ある種(例えば、哺乳類(ヒト、サルなどの非ヒト霊長類、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌなどを含むが、これらに限るわけではない)、昆虫、酵母、鳥類、植物など)に由来することができ、対立遺伝子変異体、アイソフォーム、スプライス変異体などであることもできる。さらにアミノ酸配列は、全て合成物であるか、部分的に合成物であることもできる。
【0064】
「DOT1Lポリペプチド」「AF10ポリペプチド」および「CALMポリペプチド」という用語は、そのポリペプチド(機能的フラグメントを含む)を含む融合タンパク質(およびそれをコードする核酸配列)を包含する。特定の実施形態では、融合タンパク質が非天然融合タンパク質であり、前記の用語は天然融合タンパク質を包含しない。この文脈において、「天然融合タンパク質」という用語は、MLL−AF10またはCALM−AF10などの病理学的状態に関連するものを包含する。例えば、ポリペプチドは、市販の抗体によって認識されうる融合タンパク質(例えばFLAGモチーフ)として、または他の方法で(例えばポリHisテールの付加によって)より容易に精製することができる融合タンパク質として発現させることが有用でありうる。また、タンパク質の安定性を強化する融合タンパク質、例えばマルトース結合タンパク質(MBP)またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼを含む融合タンパク質を製造することもできる。もう一つの選択肢として、融合タンパク質は、レポーター分子を含むこともできる。典型的な実施形態では、当分野で知られているとおり、酵母ツーハイブリッド系で使用するための融合タンパク質(例えばGAL4−DOT1L融合物)を作製することができる。
【0065】
「CALM−AF10融合タンパク質」という用語は、AF10とCALMの間の天然および非天然融合タンパク質、ならびにCALM−AF10の生物学的活性、例えばDOT1L結合、HoxA5遺伝子結合、白血病誘発および/または他の任意の関心ある生物学的活性を、少なくとも一つは保っている、その機能的フラグメントおよび機能的等価物を包含する。融合タンパク質のAF10部分およびCALM部分は、AF10ポリペプチドおよびCALMポリペプチドについて本明細書に説明するとおりである。さらにまた、本発明の方法で使用するために、DOT1L/CALM−AF10の三元融合物(trfusion)を構築することもできる。
【0066】
本発明は、いくつかの研究用途、診断用途および/または治療用途に使用することができる。例えば、DOT1Lポリペプチド、CALMポリペプチド、AF10ポリペプチドおよびCALM−AF10融合タンパク質ならびにそれをコードする核酸は、以下の化合物を識別するために使用することができる。
・CALMに結合しかつ/またはCAMLの一つ以上の生物学的活性、例えば、限定するわけではないが、白血病誘発活性および/または他の任意の興味ある生物学的活性を調整する(例えば増加または減少させる)化合物、
・AF10に結合しかつ/またはAF10の一つ以上の生物学的活性、例えば、限定するわけではないが、白血病誘発活性および/または他の任意の興味ある生物学的活性を調整する(例えば増加または減少させる)化合物、
・CALM−AF10に結合しかつ/またはCALM−AF10の一つ以上の生物学的活性、例えば、限定するわけではないが、白血病誘発活性、HoxA5プロモーター活性のアップレギュレーション(例えば、ネイティブであるか異種であるかを問わず、HoxA5プロモーターと作動可能に関連する核酸の転写の増加)および/または他の任意の興味ある生物学的活性を調整する(例えば増加または減少させる)化合物、
・DOT1LのAF10またはCALM−AF10との相互作用を調整する(例えば増加または減少させる)化合物、
・CALM−AF10の核局在化を調整する(例えば増加または減少させる)化合物;
・DOT1LまたはDOT1L/CALM−AF10によるHoxA5遺伝子のH3−K79メチル化を調整する(例えば増加または減少させる)化合物、
・HoxA5遺伝子におけるDOT1L/CALM−AF10、CALM−AF10またはCALM結合を調整する(例えば増加または減少させる)化合物、および/または、
・DOT1L/CALM−AF10、CALM−AF10またはCALMによるHoxA5プロモーター活性(例えば、ネイティブであるか異種であるかを問わず、HoxA5プロモーターと作動可能に関連する核酸の転写)の調節を調整する(例えば増加または減少させる)化合物、
・HoxA5プロモーター活性に結合しかつ/またはHoxA5プロモーター活性をダウンレギュレートする(例えばHoxA5遺伝子発現またはレポーター遺伝子などの導入遺伝子と作動可能に関連するHoxA5プロモーターを含むキメラコンストラクトを減少させる)化合物。
【0067】
さらに本発明は、DOT1Lポリペプチド、CALMポリペプチド、AF10ポリペプチド、CALM−AF10融合ポリペプチド、DOT1L/CALM−AF10三元融合(trifusion)タンパク質に結合し、かつ/またはその生物学的活性を調整し、HoxA5プロモーター活性を調整し、かつ/またはDOT1L、CALM、AF10、CALM−AF10および/またはHoxA5の相互作用を調整する化合物を識別することによって、白血病の治療および/または予防用の化合物を識別する方法を包含する。特定の実施形態では、本発明は、T細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)の治療および/または予防用の化合物を識別する方法を提供する。
【0068】
代表的実施形態では、本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、DOT1LポリペプチドがCALM−AF10融合タンパク質に結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、DOT1LポリペプチドをCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質の間の相互作用のレベルを検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、試験化合物存在下での、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質の間の相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0069】
DOT1LポリペプチドのCALM−AF10融合タンパク質との相互作用のレベルは、任意の適切な方法によって、例えばDOT1LポリペプチドとCALM−AF10の間の結合を決定することによって、かつ/またはHoxA5遺伝子もしくはその一部(例えばプロモーター領域、エクソン1、エクソン2および/またはエクソン1とエクソン2の間のイントロンの全部または機能的部分)のヒストンH3−K79メチル化を決定することによって、かつ/または(例えばプロモーターがネイティブ配列、HoxA5コード配列を表すcDNAまたはレポーター遺伝子などの異種配列と作動可能に関連している場合に)HoxA5プロモーター活性を決定することなどによって、評価することができる。DOT1LポリペプチドのCALM−AF10融合タンパク質との相互作用のレベルは、CALM−AF10の核局在化を決定することによって評価することもできる。
【0070】
二つ以上の構成成分の間の結合は、直接的または間接的に(例えばそれら構成成分の結合がもたらす生物学的作用または帰結を検出することなどによって)決定することができる。
【0071】
本明細書にいうレポーター遺伝子は、細胞または生物に検出可能な変化をもたらすポリペプチドならびにRNAiおよびアンチセンスRNAなどの非翻訳RNAを含む、当分野で知られる任意の適切なレポーター分子をコードすることができる。代表的な実施形態では、レポーター分子は、酵素などのポリペプチド(例えば緑色蛍光タンパク質、β−グルクロニダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなど)である。
【0072】
本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、試験化合物がCALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質に結合するのに十分な条件下で、CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質を試験化合物と接触させるステップと、試験化合物とCALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質の間の結合のレベルを検出するステップとを含み、CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質への試験化合物の結合が、試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法も提供する。
【0073】
もう一つの態様として、本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、CALMポリペプチド、AF10ポリペプチド、DOT1LポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質がHoxA5遺伝子の全部または一部に結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、HoxA5遺伝子の全部または一部を含む(例えばプロモーター領域、エクソン1、エクソン2および/またはエクソン1とエクソン2の間のイントロンの全部または機能的部分を含む)核酸をCALMポリペプチド、AF10ポリペプチド、DOT1LポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、CALMポリペプチド、AF10ポリペプチド、DOT1LポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質とHoxA5遺伝子の全部または一部の相互作用のレベルを検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、試験化合物存在下での、CALMポリペプチド、AF10ポリペプチド、DOT1LポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質とHoxA5遺伝子の全部または一部の間の相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0074】
DOT1L/CALM−AF10と相互作用することができるHoxA5遺伝子の典型的領域を図5Aに示す。
【0075】
CALMポリペプチド、AF10ポリペプチド、DOT1LポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質とHoxA5遺伝子またはその一部の間の相互作用は、任意の適切な方法によって、例えば、限定するわけではないが、HoxA5遺伝子またはその一部へのCALMポリペプチド、AF10ポリペプチド、DOT1LポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質の結合を決定すること、および/またはHoxA5遺伝子またはその一部(例えばHoxA5プロモーターの全部または機能的部分)のH3−K79メチル化を決定すること、および/または(例えばプロモーターがネイティブ配列、HoxA5コード配列を表すcDNAまたはレポーター遺伝子などの異種配列と作動可能に関連している場合に)HoxA5プロモーター活性を決定することなどによって、評価することができる。
【0076】
代表的実施形態では、本方法は細胞に基づく系で行われ、この場合、細胞は、レポーター分子(例えば酵素などのポリペプチド)をコードする核酸と作動可能に関連するHoxA5プロモーターを含む組換え核酸を含む。細胞は、CALM−AF10融合タンパク質を含む白血病細胞であることができ、あるいは、CALM−AF10融合タンパク質を産生するように改変された細胞であることができる。その細胞に一つ以上の候補化合物を加え、HoxA5プロモーター活性のレベルによって示されるHoxA5へのCALM−AF10の結合を、レポーター分子の発現(例えば酵素活性)を決定することによって評価することができる。
【0077】
本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質が結合して複合体を形成し、その複合体がHoxA5プロモーターに結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、(上述した)HoxA5遺伝子の全部または一部を含む核酸をDOT1LポリペプチドおよびCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、DOT1L/CALM−AF10融合タンパク質複合体のHoxA5プロモーターとの相互作用のレベルを検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、試験化合物存在下での、DOT1L/CALM−AF10融合タンパク質複合体とHoxA5プロモーターの相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法も提供する。
【0078】
前記の方法では、DOT1LおよびCALM−AF10を、DOT1L−CALM−AF10三元融合タンパク質で置き換えることができる。
【0079】
DOT1L/CALM−AF10複合体とHoxA5遺伝子またはその一部の間の相互作用は、任意の適切な方法によって、例えば、限定するわけではないが、HoxA5遺伝子またはその一部への複合体の結合を決定すること、またはHoxA5遺伝子またはその一部(例えばHoxA5プロモーター)のH3−K79メチル化を決定すること、または(例えばプロモーターがネイティブ配列、HoxA5コード配列を表すcDNAまたはレポーター遺伝子などの異種配列と作動可能に関連している場合に)HoxA5プロモーター活性を決定することなどによって、評価することができる。
【0080】
HoxA5が一定の白血病において過剰発現されることは以前に観察されているが、がんでは多くの遺伝子が調節不全になるので、HoxA5アップレギュレーションの意義はわからなかった。本発明者らは、HoxA5アップレギュレーションが白血病誘発の原因因子であることを発見した。したがって本発明は、白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、HoxA5プロモーター活性に結合しかつ/またはHoxA5プロモーター活性を(例えばHoxA5遺伝子またはレポーター遺伝子などの導入遺伝子と作動可能に関連するHoxA5プロモーターを含むキメラコンストラクトの発現をダウンレギュレートすることによって)調整する化合物を識別することを含む方法も提供する。特定の実施形態において、本方法は、HoxA5プロモーター領域および/またはHoxA5遺伝子の他の任意の領域(例えばエクソン1、エクソン2、またはエクソン1とエクソン2の間のイントロン)の全部または一部を含む核酸を、試験化合物と、試験化合物が核酸中に存在するHoxA5プロモーター領域および/またはHoxA5遺伝子の他の任意の領域の全部または機能的部分に結合するのに十分な条件下で接触させるステップと、試験化合物と、核酸中に存在するHoxA5プロモーターおよび/またはHoxA5遺伝子の他の任意の領域の全部または機能的部分の間の結合のレベルを検出するステップとを含み、結合は、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す。
【0081】
白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する他の代表的方法は、HoxA5プロモーター領域の全部または機能的部分を含む核酸を、HoxA5プロモーター活性にとって十分な条件下で、試験化合物と接触させること、およびHoxA5プロモーター活性のレベルを検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下でのHoxA5プロモーター活性のレベルと比較した、試験化合物存在下でのHoxA5プロモーター活性の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す。代表的化合物では、試験化合物が、核酸中に存在するHoxA5プロモーターおよび/またはHoxA5遺伝子の他の任意の領域(例えばエクソン1、エクソン2および/またはエクソン1とエクソン2の間のイントロン)の全部または機能的部分に結合する。HoxA5プロモーター活性は本明細書で述べるように決定することができる。
【0082】
さらに本発明は、DOT1ポリペプチドに結合し、かつ/またはDOT1ポリペプチドの生物学的活性および/またはDOT1LとAF10の相互作用を調整する化合物を識別することによって、T−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の治療および/または予防用の化合物の識別する方法を提供する。
【0083】
代表的実施形態では、本発明は、T−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、DOT1Lポリペプチドを、試験化合物の存在下で、ヒストンH3を含むヒストンまたはヌクレオソーム基質と接触させるステップと、H3−K79メチル化をもたらすのに十分な条件下で、基質のH3−K79メチル化のレベルを検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下でのH3−K79メチル化のレベルと比較した、試験化合物存在下でのH3−K79メチル化の阻害は、前記試験化合物がT−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0084】
さらに本発明は、T−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、DOT1LポリペプチドをAF10と接触させるステップと、DOT1LポリペプチドとAF10の間の結合のレベルを、それらの間の結合にとって十分な条件下で検出するステップとを含み、試験化合物の非存在下での結合のレベルと比較した、試験化合物存在下でのDOT1LポリペプチドとAF10の間の結合の減少は、前記試験化合物がT−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法を提供する。
【0085】
ポリペプチドおよび核酸への結合を評価する方法は、当業者には明白であるだろう標準的技法を使って行うことができる(典型的方法については実施例を参照されたい)。そのような方法として、酵母および哺乳動物細胞ツーハイブリッドアッセイならびに共免疫沈降技法が挙げられる。
【0086】
H3−K79 HMTaseおよび白血病誘発活性などの他の活性も、当分野で知られる標準的方法を使って、例えば下記実施例で述べるように評価することができる。
【0087】
HoxA5プロモーター活性も、当分野で知られる任意の方法によって、例えばHoxA5プロモーターと作動可能に関連するレポーター遺伝子の発現または活性を検出することによって、HoxA5転写物を(例えばRT−PCRで)検出することによって、かつ/またはHoxA5タンパク質産物を検出することによって、評価することができる。
【0088】
本発明のスクリーニング方法は、細胞に基づく系または無細胞系で行うことができる。さらにもう一つの選択肢として、動物全体(トランスジェニック非ヒト動物を含む)でアッセイを行うこともできる。さらにまた、細胞に基づく系に関して、ポリペプチドは細胞に直接添加するか、細胞中の核酸から産生させることができる。核酸は、その細胞にとって内在性であるか、外来(例えば遺伝子改変細胞)であることができる。
【0089】
任意の興味ある化合物を本発明に従ってスクリーニングすることができる。適切な試験化合物として、小有機化合物(すなわち非オリゴマー)、オリゴマーまたはその組み合わせ、および無機分子が挙げられる。適切な有機分子として、ポリペプチド(酵素、抗体およびFab’フラグメントを含む)、糖質、脂質、補酵素、および核酸分子(DNA、RNAおよびキメラならびにその類似体を含む)ならびにヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。特定の実施形態では、化合物が、ターゲットポリペプチドの産生を阻害するアンチセンス核酸、siRNAまたはリボザイムである。
【0090】
小有機化合物(または「非オリゴマー」)には、多種多様な有機分子、例えばステロイド、抗生物質、酵素阻害剤、リガンド、ホルモン、薬物、アルカロイド、オピオイド、テルペン、ポルフィリン、毒素、触媒ならびにそれらの組み合わせを含む複素環式化合物、芳香族化合物、脂環式化合物、脂肪族化合物およびそれらの組み合わせなどが含まれる。
【0091】
オリゴマーとしては、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖、ポリ脂質、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエーテル、およびポリ(リン誘導体)、例えばホスフェート、ホスホネート、ホスホルアミド、ホスホンアミド、ホスファイト、ホスフィンアミドなど、ポリ(硫黄誘導体)、例えばスルホン、スルホネート、サルファイト、スルホンアミド、スルフェンアミドなどが挙げられ、リン誘導体および硫黄誘導体の場合、表示したヘテロ原子は、大部分が、C、H、N、OまたはSおよびそれらの組み合わせに結合されるだろう。そのようなオリゴマーは、既知の技法に従って、コンビナトリアルライブラリーから取得してもよい。
【0092】
さらにまた、例えばコンビナトリアルケミカル化合物ライブラリー(例えば米国特許第5,288,514号に記載のベンゾジアゼピンライブラリー;米国特許第5,420,328号に記載のホスホネートエステルライブラリー、米国特許第5,525,735号および同第5,525,734号に記載のピロリジンライブラリー、ならびに米国特許第5,817,751号に記載のジケトピペラジンおよびジケトモルホリンライブラリー)、ポリペプチドライブラリー、cDNAライブラリー、アンチセンス核酸ライブラリーなどの化合物ライブラリー、またはポリペプチドおよび核酸アレイなどのアレイ化された化合物の収集物をスクリーニングするために、本発明の方法を実施することができる。
【0093】
本発明は上述のスクリーニング方法によって識別される化合物も包含する。
【0094】
さらにまた本発明は、HoxA5、CALM、AF10、CALM−AF10および/またはDOT1Lに対する治療有効量の阻害核酸(例えばsiRNAなどのRNAi)または抗体(例えばモノクローナル抗体)を投与することによって、白血病(例えばT−ALLまたはAMLサブタイプM0/1)を患っている対象または白血病の危険がある対象を治療する方法を提供する。
【0095】
本発明の実施形態によれば、抗体は、抗体フラグメントを含むモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であることができる。抗体および抗体フラグメントは特定の形態に限定されず、二重特異性、ヒト化、またはキメラ化抗体または抗体フラグメントであることができ、さらにFabフラグメント、単鎖抗体などであることもできる。
【0096】
本発明の実施に適した対象として、鳥類および哺乳類対象が挙げられ、哺乳類対象にはヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、ヒツジ、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、ウマ、イヌ、ネコなどが含まれるが、これらに限るわけではない。
【0097】
さらにもう一つの態様として、本発明は、HoxA5のH3−K79ヒストンメチル化を評価することによる、対象が白血病を有するかどうかもしくは白血病の危険があるかどうかを評価するための診断方法、および/または対象における白血病の今後の経過を予測するための予後判定方法であって、正常(例えば非白血病)対象と比較した、HoxA5のH3−K79メチル化の増加は、白血病の診断指標となり、かつ/または疾患の経過の予後指標となる。場合により、HoxA5遺伝子のH3−K79メチル化のレベルと、場合によりH3−K4メチル化のレベルが決定され(例えばHoxA5プロモーター、エクソン1、エクソン2および/またはエクソン1とエクソン2の間のイントロン)、正常(例えば非白血病)対象と比較したH3−K79メチル化の増加、および場合により、H3−K4メチル化の減少は、白血病の診断指標となり、かつ/または疾患の経過の予後指標となる。
【0098】
さらに本発明は、対象が白血病を有するかどうかもしくは白血病を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/またはその疾患の経過に関する予後を決定する方法であって、対象におけるHoxA5プロモーター活性を決定するステップを含み、対照(例えば健常)対象におけるHoxA5プロモーター活性と比較した、HoxA5プロモーター活性のアップレギュレーション(すなわち増加した活性)は、その対象が白血病を有することまたは白血病を発症する危険があることを示す方法を提供する。HoxA5プロモーター活性は、当分野で知られる任意の方法によって決定することができる。例えば、本方法は、対象から生物学的試料を取得するステップと、および生物学的試料中のHoxA5プロモーター活性(例えば、ネイティブであるか異種であるかを問わず、HoxA5プロモーターと作動可能に関連する核酸の増加した発現)を決定するステップを、さらに含むことができる。
【0099】
対象が白血病を有するかどうかもしくは白血病を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/またはその疾患の経過に関する予後を決定する方法の一例は、対象からHoxA5遺伝子を含む生物学的試料を取得するステップと、生物学的試料中のHoxA5遺伝子のH3−K79メチル化のレベルを検出するステップとを含み、非白血病生物学的試料におけるH3−K79メチル化のレベルと比較した、生物学的試料におけるHoxA5遺伝子のH3−K79メチル化の上昇は、その対象が白血病を有することもしくは白血病を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/またはその対象における疾患の経過の予後指標となる。本方法は、場合により、HoxA5遺伝子のH3−K4メチル化のレベルを決定するステップをさらに含むことができ、非白血病試料と比較した、生物学的試料におけるHoxA5遺伝子のH3−K4メチル化の減少は、その対象が白血病を有することもしくは白血病を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/またはその対象における疾患の経過の予後指標となる。
【0100】
代表的実施形態では、本発明の前記診断方法が、T−ALLもしくはAMLサブタイプM0/1に関する診断および/または予後判定方法として実施される。
【0101】
対象がT−ALLもしくはAML−M0/1を持つかどうかまたはT−ALLもしくはAML−M0/1を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/またはその疾患の経過に関する予後を決定する方法の一例は、対象からヒストン(例えばヌクレオソーム)を含む生物学的試料を取得するステップと、生物学的試料におけるH3−K79メチル化のレベルを検出するステップとを含み、非白血病生物学的試料におけるH3−K79メチル化のレベルと比較した、生物学的試料におけるH3−K79メチル化の増加は、その対象がT−ALLもしくはAML−M0/1を持つことまたはT−ALLもしくはAML−M0/1を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/またはその対象における疾患の経過の予後指標となる。本方法は、場合により、生物学的試料におけるH3−K4メチル化のレベルを決定するステップをさらに含むことができ、非白血病試料と比較した、生物学的試料におけるH3−K4メチル化の減少は、その対象がT−ALLもしくはAML−M0/1を持つことまたはT−ALLもしくはAML−M0/1を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/またはその対象における疾患の経過の予後指標となる。
【0102】
もう一つの代表的実施形態によれば、本発明は、対象がT−ALLもしくはAML−M0/1を持つかどうかまたはT−ALLもしくはAML−M0/1を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/またはその疾患の経過に関する予後を決定する方法であって、対象からヒストン(例えばヌクレオソーム)を含む生物学的試料を取得するステップと、生物学的試料におけるH3−K79メチル化のレベルを検出するステップとを含み、非白血病生物学的試料におけるレベルと比較した、生物学的試料におけるHoxA遺伝子関連H3−K79メチル化(例えばHoxA9遺伝子と関連するもの)の増加は、その対象がT−ALLもしくはAML−M0/1を持つことまたはT−ALLもしくはAML−M0/1を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/またはその対象における疾患の経過の予後指標となる。本方法は、場合により、一つ以上のHoxA遺伝子(例えばHoxA9遺伝子)に関連するH3−K4メチル化のレベルを決定するステップをさらに含むことができ、非白血病試料と比較した、生物学的試料におけるHoxA遺伝子関連H3−K4メチル化の減少は、その対象がT−ALLもしくはAML−M0/1を持つことまたはT−ALLもしくはAML−M0/1を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/またはその対象における疾患の経過の予後指標となる。
【0103】
本発明の診断および予後判定方法は、例えばヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウマ、ラット、マウス、ウサギまたはモルモット対象を含む(ただしこれらに限るわけではない)任意の哺乳動物対象で実施することができる。特定の実施形態では、対象が白血病を有するか、白血病を発症する危険があると考えられる。別の実施形態では、対象が白血病の動物モデルである。
【0104】
本発明の診断および予後判定方法は、確証的ではなく、最終的な診断または予後判定を下すには、他の診断および/または予後判定方法で補足する必要がありうることは、当業者には理解されるだろう。
【0105】
細胞または組織試料、臍帯試料、血液、血漿または血清試料、尿または糞便試料、粘液または喀痰試料など、任意の適切な生物学的試料を使用することができる。特定の実施形態では、生物学的試料がB細胞または骨髄試料である。他の代表的実施形態では、生物学的試料が、ヒストンH3を含むヒストンまたはヌクレオソーム調製物(例えばB細胞または骨髄細胞から得られるもの)である。代表的実施形態では、細胞または組織が対象から取り出され、培養され、その培養細胞または培養組織からヒストンまたはヌクレオソームが調製される。
【0106】
「非白血病生物学的試料」とは、正常な対象(すなわち白血病を持たず白血病を発症する危険もない対象)を示す適切な対照試料を意味する。例えばこの試料は、正常な対象から単離することができ、いくつかの例(例えばヌクレオソーム調製物)では、培養細胞から単離することができる。
【0107】
本発明を記述したので、以下の実施例では、これをさらに詳しく説明する。以下の実施例は、例示のみを目的として本明細書に記載するものであり、本発明を限定しようとするものではない。
【実施例1】
【0108】
実験手法
U937細胞におけるCALM−AF10ノックダウンおよび移植.CALMとAF10の接合部をターゲットとする21bp−shRNA(5’−ATC AGG AGC ACA GAG CTG TGA−3’;配列番号3)をコードするDNAを、H1 RNAプロモーターと共に、pMSCV−puroにサブクローニングした。形質導入細胞をピューロマイシン(0.5μg/ml)によって選択し、限界希釈法によってクローニングした。ノックダウン効率をRT−PCRによって評価した。5〜10週齢のNOD/SCIDマウスに照射(300rad)した。6時間後に、CALM−AF10ノックダウン(KD)U937細胞およびベクター形質導入(V)U937細胞を、眼窩内注射した(1×10細胞/マウス、各群n=6)。マウスを監視し、組織学的検査およびFACS解析のために、末期に屠殺した。KD群のマウス数匹については、対照実験用に、末期に至る前に屠殺した。
【0109】
マウス骨髄細胞の単離および形質導入.4〜10週齢のC57BL/6マウスを使って骨髄細胞を収集した。Hoxa5欠損骨髄細胞を8〜10週齢のMF1マウスから得た(Jeannotte et al.,(1993)Genes Dev 7,2085−96)。マウスを150mg/kgの5−フルオロウラシル(5FU)で5日間処理してから、骨髄細胞を収集した。EasySep(登録商標)マウス造血前駆細胞濃縮キット(Stem cell technology)を使ってLin細胞を濃縮し、レトロウイルス形質導入に使用した。CALM−AF10のcDNAをRT−PCRによってU937細胞からクローニングした。野生型およびOM−LZ欠失突然変異型のCALM−AF10を、pMSCV−neoのFlagタグの下流にサブクローニングした。レトロウイルス調製、形質導入、およびコロニーアッセイは、以前記述したように行った(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。図3bに記載する実験では、非形質導入細胞の成長を防ぐために、第3ラウンドまで、メチルセルロースにG418(1mg/ml)を加えた。メチルセルロース上のコロニーを拾い上げ、5ng/mlのmIL−3(Peprotech)を含むmFTOC(RPMI 1640中の10%FBS、1mM MEMピルビン酸ナトリウム、1%MEM非必須アミノ酸、10mM HEPES、pH.7.3、5×10M 2−メルカプトエタノール)中でさらに培養した。ブラストサイジン耐性レトロウイルスによるDOT1Lの形質導入については以前記述した(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。
【0110】
細胞培養、トランスフェクション、免疫染色、および免疫沈降.U937細胞は、10%ウシ胎仔血清を補足したRPMI 1640で維持した。293T細胞またはU2OS細胞は、10%ウシ胎仔血清を補足したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で維持した。トランスフェクションはFugene6(Roche)を使って行った。トランスフェクションの24時間後に、U2OS細胞を3%パラホルムアルデヒドで固定し、0.1%Triton X−100で5分間透過処理した。Flag M2抗体(Sigma)およびhDOT1L抗体(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)を一次抗体として免疫染色に使用した。DAPIを核染色に使用した。
【0111】
免疫沈降のために、トランスフェクションの36時間後に293T細胞を収集し、氷冷リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄してから、溶解緩衝液(50mM Hepes−KOH[pH7.9]、420mM KCl、0.1mM EDTA[pH8.0]、5mM MgCl2、20%グリセロール、1mM DTT、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、1μg/mlのアプロチニン、0.5μg/mlのロイペプチン、0.7μg/mlのペプスタチン)で溶解した。4℃で1時間インキュベートした後、細胞を穏やかに超音波処理し、14,000rpmで30分間の遠心分離により、細胞片を除去した。抗Flag M2アガロースビーズ(Sigma)を0.5mgタンパク質抽出物に加え、4℃で3時間インキュベートした。500mM KClを含有する溶解緩衝液で5回洗浄した後、免疫沈降物をウェスタンブロット法で解析した。
【0112】
FACS解析.NOD/SCIDマウスから収集した細胞、およびCALM−AF10で形質導入したマウス骨髄細胞を、CD16/CD32 Fc block(BD Pharmingen)と共に氷上で20分間インキュベートしてから、フィコエリトリン接合アイソタイプ対照、フルオレセインイソチオシアネート接合アイソタイプ対照、およびアロフィコシアニン接合アイソタイプ対照、ならびにヒトCD45、マウスCD11b、Gr−1、c−kit、B220、CD3、およびTer119に対するモノクローナル抗体(BD Pharmingen)により、氷上で30分間染色した。次に細胞を2%FBS含有PBSで洗浄し、FACSCalibur(BD Pharmingen)を使って解析した。収集したデータをSummit V3.1(Cytomation Inc. Fort Collins)で解析した。
【0113】
Hox遺伝子、Bmi−1およびCALM−AF10のRT−PCR解析.全RNAを、ベクター形質導入U937細胞もしくはCALM−AF10ノックダウンU937細胞、または野生型もしくは突然変異型CALM−AF10形質導入細胞の第2および第3ラウンドに由来するマウス骨髄細胞のコロニーから、RNeasy(Qiagen)を使って単離した。最大1μgの全RNAをRNaseフリーDNase Iで処理し、製造者のプロトコールに従って、ImProm−II(Promega)を用いる逆転写にかけた。20μlのRT反応液のうち0.5μlのcDNAを、Platinum Taqポリメラーゼ(Invitrogen)を用いる33〜35サイクルのPCR増幅に、テンプレートとして使用した。そのcDNAの10分の1をβ−アクチンおよびGAPDH増幅に使用した。HoxaおよびBmi−1用のプライマー配列は請求すれば入手できる。CALM−AF10遺伝子を検出するためのプライマー配列は以下のとおりとした:CALM−AF10−F:5’−TATACAGCCAGCCTGTCATG−3’(配列番号4)、CALM−AF10−R:5’−AGTGGCTGCTTTGCTTTCTC−3’(配列番号5)。
【0114】
ChIPアッセイ.細胞調製、免疫沈降、およびPCRについては以前に記述した(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。抗体は以下のとおり入手した:抗3mK4(Abcam)、抗2mK9(Upstate)、および抗2mK79(Feng et al.,(2002)Curr.Biol.12:1052−1058)。プライマー配列および詳細なPCR条件は請求すれば入手できる。
【実施例2】
【0115】
結果
CALM−AF10融合タンパク質は、白血病性形質転換を媒介するのに必要である。本発明者らは最近、ヒストンH3−K79メチルトランスフェラーゼであるhDOT1L(Feng et al.,(2002)Curr.Biol.12:1052−1058)がMLL−AF10による白血病誘発に重要な役割を果たすことを証明した(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。本発明者らは、MLL−AF10によるHoxa9遺伝子へのhDOT1LのミスターゲティングがH3−K79メチル化およびHoxa9アップレギュレーションをもたらし、それが白血病性形質転換の一因になることを示した(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。さらに本発明者らは、MLL−AF10による白血病性形質転換に必要なAF10のOM−LZモチーフが、hDOT1LとMLL−AF10の相互作用に関与することも証明した(DiMartino et al.,(2002)Blood 99,3780−5)。OM−LZ領域がCALM−AF10融合タンパク質に保たれているという事実から、hDOT1LはCALM−AF10による白血病にも重要な役割を果たしうる可能性が考えられる。CALM−AF10による白血病におけるhDOT1Lの潜在的役割を検討するために、本発明者らは、まず、CALM−AF10融合タンパク質と白血病の間の因果関係を確証しようと試みた。
【0116】
以前の研究により、ヒト単球性白血病細胞株U937はCALM−AF10融合タンパク質を発現させることが確証されている(Dreyling et al.,(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:4804−9;Kobayashi et al.,(1995)Genes Chromosomes Cancer 13:217−8)。CALM−AF10が細胞の増殖および形質転換に関連するかどうかを決定するために、本発明者らは、ベクターに基づくRNAiアプローチを使って、U937細胞におけるCALM−AF10ノックダウンを行った(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。図1aに示す結果は、本発明者らが、有意なCALM−AF10ノックダウンを持つ安定なU937派生細胞株を作製できることを示している(レーン1とレーン2を比較)。ベクター形質導入対照(V)と比較して、ノックダウン(KD)細胞は、液体RPMI培地中でゆっくり増殖するだけでなく(図1b)、メチルセルロースで培養した場合に生じるコロニーは少なくかつ小さかった(図1c)。このデータは、CALM−AF10のノックダウンがインビトロで細胞の増殖と形質転換の両方に影響を及ぼすことを示唆している。
【0117】
インビボにおけるCALM−AF10の役割を評価するために、本発明者らは、1×10個のノックダウン細胞および対照細胞を、NOD/SCIDマウスに移植した。図1dに示す結果は、CALM−AF10ノックダウンが移植マウスの生存時間を延ばしたことを証明している。ベクター形質導入対照細胞を移植したマウスの組織学的解析では、末期に複数の臓器で白血病細胞の浸潤が明らかになった(図1e、上図)。これに対し、移植後の同じ日に解析したところ、CALM−AF10ノックダウン細胞を移植したマウスの臓器では、白血病細胞をほとんど検出することができなかった(図1e、下図)。骨髄および脾臓から単離した細胞のFACS解析では、CALM−AF10ノックダウン細胞の移植が、たとえ同じ数の細胞を移植したとしても、対照と比較して、ヒト細胞のパーセンテージを有意に低下させることが明らかになった(骨髄では0.05%対11.14%、脾臓では0.10%対6.49%)(図1f)。総合すると上記の結果は、CALM−AF10融合タンパク質が、インビトロおよびインビボにおける白血病細胞の細胞増殖および形質転換の一因になることを裏付けている。
【0118】
CALM−AF10による白血病性形質転換は機能的hDOT1Lに依存する。本発明者らは、次に、CALM−AF10の発現が、骨髄細胞形質転換を引き起こすのに十分であるかどうかを解析した。この目的にはメチルセルロースコロニー連続プレーティングアッセイを使用した(図2a)。CALM−AF10による骨髄形質転換におけるhDOT1Lの役割を検討するために、本発明者らは、まず、hDOT1LはCALM−AF10と相互作用することができ、その相互作用がAF10のOM−LZ領域に依存することを確証した(図6)。次に本発明者らは、野生型またはhDOT1L相互作用領域OM−LZを欠く欠失CALM−AF10突然変異体を用いるマウス骨髄細胞の形質導入により、コロニー連続プレーティングアッセイを行った。RT−PCR解析により、第2ラウンドのコロニーに由来する細胞において、両融合タンパク質の発現が確認された(図2a、レーン1および2)。CALM−AF10を発現させる骨髄細胞において、第3ラウンドのプレーティングで第2ラウンドと比較してコロニー数が増加することはなかったが(図2c、中央のカラム)、それらの細胞は、mIL−3を補足したmFTOC(マウス胎仔胸腺臓器培養)培地で6ヶ月以上にわたって持続的に増殖することができた(図2dおよび非開示データ)。対照的に、CALM−AF10のOM−LZ欠失突然変異体を発現させる細胞は、メチルセルロースアッセイにおいて有意な数の第3ラウンドコロニーを生成させず、6週間の培養後にmFTOC培地で増殖し続けることもなかった(図2cおよび2d)。CALM−AF10で形質転換された細胞のFACS解析は、これらの細胞がc−Kitを発現させるが、他の系列特異的マーカー、例えばGr−1、CD11b、B−220、CD3、およびTER−119をいずれも発現させないことを示しており(図2e)、これは、これらの細胞がどの造血細胞系列にも分化拘束されていない初期前駆骨髄細胞であるらしいことを示す。これらの結果に基づいて、本発明者らは、CALM−AF10融合タンパク質の発現が、前駆骨髄細胞を形質転換するのに十分であり、hDOT1L相互作用領域がCALM−AF10の形質転換能には必要であると結論する。AF10のhDOT1L相互作用領域がCALM−AF10の形質転換能にとって必要であるという事実は、hDOT1LがCALM−AF10による白血病誘発に重要な役割を果たすことを、強く示唆している。hDOT1LによるH3−K79メチル化がCALM−AF10による増殖および白血病性形質転換に果たす役割をさらに証明するために、本発明者らは、野生型hDOT1LおよびそのH3−K79メチルトランスフェラーゼ活性が欠損した突然変異型hDOT1Lを、CALM−AF10形質転換骨髄細胞で発現させた。次に本発明者らは、それらがメチルセルロースでのコロニー形成に及ぼす影響を解析した。図2fに示す結果は、野生型hDOT1Lの発現がコロニー形成を強化したのに対して、突然変異型hDOT1Lの発現はCALM−AF10発現細胞のコロニー形成能を強く抑制したことを示している(図2f)。したがって、hDOT1Lおよびその関連H3−K79メチルトランスフェラーゼ活性は、CALM−AF10による白血病性形質転換に重要な役割を果たすと、本発明者らは結論づける。
【0119】
CALM−AF10による白血病性形質転換はHoxa5アップレギュレーションを伴う。CALM−AF10による白血病性形質転換におけるhDOT1Lの役割を確証したので、本発明者らは、関連するターゲット遺伝子を識別しようと試みた。cDNAマイクロアレイ研究により、後期Hoxa遺伝子およびBmi−1の過剰発現は、CALM−AF10およびいくつかのMLL融合タンパク質が関与する白血病の特徴であることが明らかになっている(Dik et al.,(2005)Leukemia 19:1948−57;Drabkin et al.,(2002)Leukemia 16:186−95;Souler et al.,(2005)Blood 106:274−86)。特に、Hoxa9の過剰発現は、MLL−ENLおよびMLL−AF10融合タンパク質が関与する白血病にとって極めて重要であることが証明されている(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)(Ayton et al.,(2004)Genes Dev 17:2298−307.24:617−28;Zeisig et al.,(2004)Mol.Cell.Biol.24:617−28)。hDOT1LおよびH3−K79メチル化がCALM−AF10による白血病誘発の一因となる分子機序を理解するために、本発明者らは後期Hoxa遺伝子およびBmi−1発現をRT−PCRによって解析した。図3aに示す結果(レーン1とレーン2を比較)は、U937細胞におけるノックダウンCALM−AF10が、結果として、後期Hoxa遺伝子およびBmi−1の発現を減少させたことを示している(図3a、左図)。この結果と合致して、マウス骨髄細胞におけるCALM−AF10の過剰発現は、これらの遺伝子の活性化をもたらした(図3a、右図)。hDOT1L相互作用領域は、Bmi−1アップレギュレーションには関与しないようだったが、後期Hoxa遺伝子の発現には影響を及ぼした(図3a、レーン5とレーン6を比較)。興味深いことに、Hoxa5は、CALM−AF10で形質導入されたマウス骨髄細胞において、OM−LZ欠失突然変異体で形質導入された細胞と比較して、著しくアップレギュレートされた(図3a、レーン5とレーン6を比較)ことから、hDOT1LはHoxa5アップレギュレーションに関与することが示唆される。Hoxa9の発現レベルがCALM−AF10形質転換細胞では検出不能だったことを考えると、この形質転換過程には、Hoxa5アップレギュレーションが、重要な役割を果たすのかもしれない。CALM−AF10による白血病性形質転換にとってHoxa5が必要であるかどうかを決定するために、本発明者らは、Hoxa5ノックアウトマウスから単離された骨髄細胞を使って、コロニー再プレーティングアッセイを行った。並行して、本発明者らは、Hoxa5ノックアウトがMLL−AF10の形質転換能に及ぼす効果も解析した。図3bに示す結果は、第3ラウンドのプレーティングにおけるコロニー数の増加が証明するように、CALM−AF10は野生型マウスに由来する骨髄細胞を形質転換することはできるが、Hoxa5が欠損した骨髄細胞を形質転換することはできないことを示している。対照的に、Hoxa5ノックアウトは、MLL−AF10の形質転換能に影響を及ぼさない。これらの結果に基づいて、Hoxa5アップレギュレーションはCALM−AF10による白血病性形質転換にとって極めて重要であると、本発明者らは結論づける。
【0120】
CALM−AF10の核局在化はそのhDOT1Lとの相互作用能力に依存する。CALMは、クラスリン集合において機能することが知られている細胞質タンパク質である(Tebar et al.,(1999)Mol.Biol.Cell.10:2687−702;Meyrholz et al.,(2005)Traffic 6:1225−34)。これは、推定CRM1依存性NES(核外移行シグナル)配列をそのC末端に含有し、それはCALM−AF10融合タンパク質にも保たれる(Vecchi et al.,(2001)J.Cell.Biol.153:1511−7)(図7)。一方、AF10は、CALM−AF10融合タンパク質でも保たれるNLS(核局在化シグナル)を持つ核タンパク質である(図7)。細胞内局在に応じて、CALM−AF10は、直接的または間接的に、Hoxa5アップレギュレーションの一因となりうる。CALM−AF10の細胞内局在を決定するために、本発明者らは、Flagタグ付きCALM−AF10をコードするプラスミドDNAを、U2OS細胞にトランスフェクトした。並行して、本発明者らは、OM−LZ領域に欠失を持つCALM−AF10およびFlagタグ付きCALMをコードする二つのコンストラクトもトラスフェクトした。過剰発現させたCALM−AF10タンパク質の大半は細胞質分布を示すことが、免疫蛍光染色によって明らかになった(図4a)。しかし野生型CALM−AF10トランスフェクト細胞では核分布も目についた(ただし突然変異型CALM−AF10トランスフェクト細胞では核分布が目につくことはなかった)(図4a、b)。対照的に、CALMは、クラスリン関連タンパク質に特有な網目様の細胞質分布を示した(図4a)(Tebar et al.,(1999)Mol Biol.Cell 10:2687−702)。興味深いことに、CALM−AF10をhDOT1Lと同時発現させると、CALM−AF10は核に局在化するようになる(図4c、4d、左カラム)。タンパク質の高解像度解析は、それらが核内に共局在することを示している(図4e)。重要なことに、CALM−AF10局在化のこの変化は、hDOT1Lと相互作用するその能力に依存する。というのも、hDOT1Lと、OM−LZ領域を欠くCALM−AF10突然変異体との同時発現は、融合タンパク質の局在化に何も影響しないからである(図4c、4d、中央のカラム)。さらにまた、hDOT1LはCALM局在化に影響を及ぼさなかった(図4c、4d、右図)。これらの結果は、hDOT1Lが核内でCALM−AF10と相互作用し、CALM−AF10を核内に保つことを、強く示唆している。これらの結果は、図4aおよび4bで観察される核CALM−AF10が、内在性hDOT1Lとの相互作用によるものであると思われることも示唆している。
【0121】
Hoxa5のアップレギュレーションはCALM−AF10結合およびH3−K79メチル化に付随して起こる。CALM−AF10が核に局在化することができ、hDOT1Lと相互作用することができるという事実から、Hoxa5はCALM−AF10の直接的ターゲットであるかもしれないという可能性が生じる。この可能性を検討するために、本発明者らは、図2に記載のCALM−AF10形質転換細胞を使って、ChIPにより、CALM−AF10の結合をHoxa5遺伝子の全体にわたって解析した。図5bに示す結果は、融合タンパク質がアンプリコンe〜gによってカバーされる領域に結合することを証明している(図5b、レーン5〜7)。空のベクターで形質導入した細胞を用いる並行ChIP実験ではシグナルが観察されないので、観察された結合は特異的である。CALM−AF10がH3−K79メチルトランスフェラーゼhDOT1Lと相互作用することから、CALM−AF10形質転換細胞では、CALM−AF10結合部位にH3−K79メチル化が濃縮されると、本発明者らは予想する。図5cに記載するChIP結果は、H3−K79メチル化が形質転換細胞におけるCALM−AF10の存在と相関し、対照細胞ではそのような相関がないことを証明している(レーン5とレーン10を比較)。H3−K4メチル化が遺伝子活性化と相関するのに対して、H3−K9メチル化は遺伝子抑制と相関するという認識と合致して、非形質転換骨髄細胞においてHoxa5遺伝子がサイレンシングを受ける場合には、H3−K9メチル化がHoxa5遺伝子プロモーターに観察され(図5c、レーン4)、CALM−AF10形質転換細胞でこの遺伝子が活性化される場合には、H3−K4メチル化が観察された(図5c、レーン8)。全てのChIPシグナルは特異的である。というのも、それらはアンプリコンkによってカバーされる対照領域には存在しないからである。これらの結果は、hDOT1Lと会合したCALM−AF10がHoxa5遺伝子にターゲティングされるというモデルと合致する。このターゲティングはHoxa5遺伝子のアップレギュレーションをもたらし、次にそれが、白血病性形質転換の一因になる。
【0122】
一定の白血病患者においてCALM−AF10融合を生じさせる染色体転座が識別されたことにより、CALM−AF10が発がん能を持つかもしれないことを示す情況証拠が得られている。本発明者らは、この研究において、CALM−AF10融合が白血病誘発にとって必要でありかつ十分であることを、骨髄形質転換および移植アッセイを使って証明する(図1および2)。さらにまた、本発明者らは、CALM−AF10による白血病性形質転換におけるhDOT1Lの役割を裏付ける証拠を二つ提示する。第1に、hDOT1L相互作用ドメインを欠くCALM−AF10は、その形質転換能を失う(図2c)。第2に、酵素的に不活性な形態のhDOT1Lの過剰発現は、CALM−AF10形質転換細胞の増殖を抑制した(図2f)。さらにまた本発明者らは、hDOT1Lが、CALM−AF10の核外移行を防止することによって、およびHoxa5遺伝子におけるH3−K79のメチル化(これはその活性化の一因になる)によって、CALM−AF10による白血病性形質転換の一因となることを証明した。最後に本発明者らは、Hoxa5が、CALM−AF10による白血病性形質転換に特異的に要求されることを示した。なぜなら、Hoxa5ヌルマウス由来の骨髄細胞は、MLL−AF10による形質転換には影響しないが、CALM−AF10による形質転換は受けることができないからである(図3b)。このように、本発明者らの研究は、CALM−AF10が白血病性形質転換の原因であることを確証するだけでなく、Hoxa5およびhDOT1LがCALM−AF10融合が関与する白血病誘発過程において重要な役割を果たすことも明らかにしている。
【0123】
本発明者らは、hDOT1LがMLL−AF10による白血病誘発の一因であることも、以前に証明した(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。MLL−AF10による白血病誘発とCALM−AF10による白血病誘発には、どちらもhDOT1LおよびHox遺伝子活性化が関与するが、基礎にある機序は同じではない。CALM−AF10とは異なり、MLL−AF10による白血病性形質転換には、Hoxa5は重要な役割を果たさないようである(図3b)。その代りに、hDOT1LによるH3−K79メチル化を介したHoxa9アップレギュレーションが、MLL−AF10による白血病性形質転換における重要なイベントであると思われる(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。いくつかの白血病ではHoxa9過剰発現が観察されているが、その過剰発現は白血病性形質転換にとって必ずしも必要でないことは、注目に値する(So et al.,(2004)Blood 103:3192−9)。これは、白血病性形質転換に必要な過剰発現Hoxa遺伝子を、形質転換にとって不可欠でないものと区別することの重要性を強調している。もう一つの相違は、それらの明確に異なる免疫表現型にある。CALM−AF10形質転換骨髄細胞が主に系列拘束されていない前駆細胞である(c−Kitについてのみ陽性)のに対し、MLL−AF10によって形質転換された細胞は、系列マーカーの発現を伴って骨髄系列に分化する傾向を持つ(図2e、図8)(Okada et al.,(2005)Cell 121:167−78)。この観察結果は、CALM−AF10を持つ白血病患者がしばしば多系列の血液悪性疾患を発症するという事実(これは、その白血病細胞が造血発生の極めて初期段階に由来していることを示している)と合致する(Kobayashi et al.,(1997)Genes Chromosomes Cancer 20:253−9)。異なるHoxa遺伝子のアップレギュレーションはこれらの表現型の相違に結びつけられるかもしれない。例えば、ヒトCD34細胞におけるHoxa5の構成的発現は、赤血球への分化を妨げ、骨髄造血を増加させる(Crooks et al.,(1999)Blood 94:519−28)。造血幹細胞におけるHoxa5の過剰発現が、白血病性形質転換を直接引き起こすことができるという報告は今のところないが、MLL融合物を含まない多くの細胞株が、Hoxa5の過剰発現に関して、Hoxa9の過剰発現よりも高い発生率を持ち(Quentmeier et al.,(2004)Leuk Lymphoma 45:567−74)、このことは、Hoxa5のアップレギュレーションがCALM−AF10による白血病に限定されないかもしれないことを示している。
【0124】
上記は、本発明を例証するものであり、本発明を限定するものであると解釈してはならない。本発明は本願の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の等価物はそこに包含される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1A〜F。U937細胞におけるCALM−AF10のノックダウンは、インビトロおよびインビボにおけるそれらの増殖および白血病誘発を損なう。a中、上図は、この融合タンパク質およびノックダウンのためのターゲット領域を表す。二つの矢印はRT−PCRに使用したプライマー位置を示す。下図はノックダウン効率を評価するRT−PCR結果である。β−アクチンを対照とする。Vはベクター対照、KDはノックダウン。b、cは、CALM−AF10ノックダウンがRPMI培地(b)およびメチルセルロース(c)における細胞増殖に及ぼす効果である。50個以上の細胞を持つコロニーだけを数えた。cにおける図の下の数字は、コロニー数および標準偏差を表す。d〜fは、インビボにおけるCALM−AF10ノックダウンの効果を示す。dは、ノックダウンCALM−AF10は、親U937細胞の移植を受けたマウスと比較して、移植マウスの生存時間を延ばすことを示す。eは、CALM−AF10ノックダウン細胞を移植したマウス(下図)は、対照U937細胞を移植したマウス(上図)と比較して、脾臓、腎臓および膵臓における白血病細胞の浸潤が少ないことを示すHE染色である。矢印は移植されたU937細胞の浸潤を示す。原倍率は、脾臓は×40、その他は×20。fは、移植されたU937 hCD45陽性細胞の骨髄および脾臓における増殖のFACS解析である。CALM−AF10ノックダウンは、骨髄と脾臓の両方で、U937細胞増殖に影響を及ぼす。
【図2】図2A〜F。CALM−AF10の発現はマウス骨髄細胞形質転換を引き起こすのに十分であり、hDOT1Lはこの過程に重要な役割を果たす。aは、レトロウイルス形質導入手法の概略図を示す。bは、RT−PCRによる、形質導入された遺伝子の発現の確認を示す。U937細胞を陽性対照とする。GAPDHを、RT−PCRへのRNA投入量の等しさに関する対照とする。cは、ベクター対照と、野生型および突然変異型CALM−AF10によって形質導入された骨髄細胞の連続コロニープレーティングを示す。3回の独立した実験の平均コロニー数および標準偏差を記載する。野生型とOM−LZ欠失突然変異体の間の第3ラウンドコロニー数のp値を記載する。dは、mFTOC培養における形質導入細胞の成長曲線を示す。eは、CALM−AF10形質転換細胞のFACSによるイムノフェノタイピングを示す。解析に使用した細胞表面マーカーを示す。fは、第2の形質導入手法の図解(左図)ならびに野生型および触媒作用欠損hDOT1LがCALM−AF10形質転換細胞のコロニー形成に及ぼす効果(右図)である。
【図3】図3A〜B。Hoxa5はCALM−AF10による白血病性形質転換に関与する。a中、左図は、野生型U937細胞およびCALM−AF10ノックダウンU937細胞における後期Hoxa遺伝子およびBmi−1の発現のRT−PCR解析。右図は、野生型およびOM−LZ欠失CALM−AF10突然変異体によって形質導入された第2ラウンドコロニー由来のマウス骨髄細胞における後期Hoxa遺伝子およびBmi−1の発現のRT−PCR解析である。MLL−ENL形質導入細胞におけるHoxa9発現が同じプライマーで検出されたので(レーン9)、Hoxa9に関して検出可能なシグナルを欠くのは、プライマーの不全によるものではない。bは、Hoxa5ノックアウトはCALM−AF10の形質転換能を弱めるが、MLL−AF10の形質転換能には影響しないことを示す。連続コロニープレーティングアッセイを図2aの場合と同じように行った。3回の独立した実験の平均コロニー数および標準偏差を記載する。C57B6系統ではHoxa5ノックアウトが胚致死性を示すので、このアッセイで使用した骨髄細胞はMF1系統のHoxa5ノックアウトおよび野生型同腹仔から得た(Jeannotte et al.,(1993)Genes Dev 7,2085−96)。
【図4】図4A〜E。hDOT1LはCALM−AF10を核内に保つ。aは、U2OS細胞における野生型およびOM−LZ欠失突然変異型Flag−CALM−AF10ならびにCALMの細胞内分布である。トランスフェクト細胞(赤色、上図)を矢印で示す。核をDAPIで染色する(下図)。bは、共焦点顕微鏡法を使ったFlag抗体による核染色の解析。バー=10mm。cは、hDOT1L(緑色、上図)およびFlag−CALM−AF10(赤色、中図)を同時トランスフェクトしたU2OS細胞の免疫蛍光染色である。トランスフェクト細胞を矢印で示す。核をDAPIで染色する(下図)。dは、(c)に呈示された細胞の定量。N:核内に発現させた細胞である。C:細胞質内に発現させた細胞。eは、同時発現させた場合のhDOT1LおよびCALM−AF10の核局在化の共焦点顕微鏡解析である。観察された二つの染色パターンを記載する。より多くのドットを伴う下図に示すパターンが優勢である(約80%)。バーは、10mmを示す。
【図5】図5A〜C。hDOT1Lと会合したCALM−AF10は、プロモーターでも下流でもHoxa5に結合して、局所H3−K79メチル化を媒介する。aは、Hoxa5遺伝子座およびChIPアッセイに使用したアンプリコンの図解である。bは、CALM−AF10形質導入骨髄細胞および対照骨髄細胞におけるHoxa5座の全体にわたるCALM−AF10の位置のChIP解析である。インプット=0.5%。cは、Hoxa5遺伝子の選択した領域におけるヒストン修飾のChIP解析である。アッセイに使用した細胞および抗体を示す。インプット=2%。
【図6】図6A〜B。CALM−AF10とhDOT1Lの相互作用は、AF10のOM−LZ領域によって媒介される。aは、トランスフェクションに使用したコンストラクトの図解である。293T細胞中のCALM−AF10とhDOT1Lの共免疫沈降。トランスフェクションの36時間後にトランスフェクト細胞を収集した。420mM KClを含有する溶解緩衝液を使って全細胞抽出物を調製した。免疫沈降にはM2アガロースビーズを使用し、500mM KClを含有する溶解緩衝液でビーズを洗浄した。hDOT1L抗体(上図)およびFlag抗体(下図)を用いるウェスタンブロット法で結果を解析した。In:インプット、S:上清、IP:免疫沈降物。
【図7】図7A〜B。aは、CALMタンパク質およびAF10タンパク質の概略図である。NESおよびNLSを含む潜在的機能モチーフを示す。赤い矢印は、U937細胞中に存在するCALM−AF10融合物に関する主要切断点を示す。緑色の矢印は、MLL−AF10融合におけるAF10の切断点を示す。数字はアミノ酸位置を表す。bは、CALM中の推定NES配列のアライメントである。この配列は、CALMに似たエンドサイトーシスアクセサリータンパク質AP180に保存されている。
【図8】CALM−AF10形質導入骨髄細胞とMLL−AF10形質導入骨髄細胞の間の免疫表現型の相違を示すFACS解析。野生型Hoxa5骨髄細胞の第2ラウンドコロニー由来の細胞を、c−Kit、Gr1、およびCD11b抗体で染色してから、FACS解析を行った。
【図1A−1D】

【図1E.1F】

【図2A.2B】

【図2C.2D】

【図2E】

【図2F】

【図3A】

【図3B】

【図4A.4B】

【図4C.4D】

【図4E】

【図5A】

【図5B.5C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
DOT1LポリペプチドがCALM−AF10融合タンパク質に結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、DOT1LポリペプチドをCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、
DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質の間の相互作用を検出するステップと
を含み、
前記試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、前記試験化合物存在下での、DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質の間の相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す、方法。
【請求項2】
DOT1LポリペプチドのCALM−AF10融合タンパク質との相互作用がDOT1LポリペプチドとCALM−AF10の間の結合を決定することによって評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
DOT1LポリペプチドのCALM−AF10融合タンパク質との相互作用が、CALM−AF10の核局在化を決定することによって評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
DOT1LポリペプチドのCALM−AF10融合タンパク質との相互作用が、HoxA5のヒストンH3リジン79(H3−K79)メチル化を決定することによって評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
HoxA5プロモーターのH3−K79メチル化が決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
DOT1LポリペプチドのCALM−AF10融合タンパク質との相互作用が、HoxA5プロモーター活性を決定することによって評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
HoxA5プロモーターがレポーター分子をコードする異種核酸と作動可能に関連し、前記レポーター分子が検出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記レポーター分子がポリペプチドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリペプチドが酵素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
無細胞アッセイとして行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
細胞に基づくアッセイとして行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記DOT1Lポリペプチドおよび/またはCALM−AF10融合タンパク質が核酸から発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記白血病がT細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
試験化合物がCALM−AF10融合タンパク質に結合するのに十分な条件下で、CALM−AF10融合タンパク質を前記試験化合物と接触させるステップと、
前記試験化合物とCALM−AF10融合タンパク質の間の結合を検出するステップと
を含み、
CALM−AF10融合タンパク質への前記試験化合物の結合が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法。
【請求項15】
無細胞アッセイとして行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
細胞に基づくアッセイとして行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記CALM−AF10融合タンパク質が核酸から発現される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記白血病がT細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質がHoxA5プロモーターに結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、HoxA5プロモーター領域を含む核酸をCALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、
前記CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質の前記HoxA5プロモーターとの相互作用を検出するステップと
を含み、
前記試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、前記試験化合物存在下での、CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質とHoxA5プロモーターの間の相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法。
【請求項20】
前記核酸が前記HoxA5遺伝子のエクソン1をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記核酸が前記HoxA5遺伝子のエクソン1とエクソン2の間のイントロンをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記核酸が前記HoxA5遺伝子のエクソン2をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質の前記HoxA5プロモーターとの相互作用が、HoxA5プロモーターへのCALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質の結合を決定することによって評価される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
CALMまたはCALM−AF10の前記HoxA5プロモーターとの相互作用が、HoxA5のヒストンH3リジン79(H3−K79)メチル化を決定することによって評価される、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
CALMまたはCALM−AF10のHoxA5プロモーターとの相互作用が、HoxA5プロモーター活性を決定することによって評価される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記HoxA5プロモーターが、レポーター分子をコードするヌクレオチド配列と作動可能に関連し、HoxA5プロモーター活性が、前記レポーター分子を検出することによって決定される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レポーター分子がポリペプチドである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリペプチドが酵素である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
無細胞アッセイとして行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
細胞に基づくアッセイとして行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記CALMポリペプチドまたはCALM−AF10融合タンパク質が核酸から発現される、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記白血病がT細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)である、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
DOT1LポリペプチドとCALM−AF10融合タンパク質が結合して複合体を形成し、前記複合体がHoxA5プロモーターに結合するのに十分な条件下で、試験化合物の存在下で、HoxA5プロモーター領域を含む核酸をDOT1LポリペプチドおよびCALM−AF10融合タンパク質と接触させるステップと、
前記DOT1L/CALM−AF10複合体の前記HoxA5プロモーターとの相互作用を検出するステップと
を含み、
前記試験化合物の非存在下での相互作用のレベルと比較した、前記試験化合物存在下での、前記DOT1L/CALM−AF10複合体の前記HoxA5プロモーターとの相互作用の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法。
【請求項34】
前記核酸が前記HoxA5遺伝子のエクソン1をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記核酸が前記HoxA5遺伝子のエクソン1とエクソン2の間のイントロンをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記核酸が前記HoxA5遺伝子のエクソン2をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記DOT1L/CALM−AF10複合体の前記HoxA5プロモーターとの相互作用が、前記HoxA5プロモーターへの前記DOT1L/CALM−AF10複合体の結合を決定することによって評価される、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
DOT1L/CALM−AF10複合体の前記HoxA5プロモーターとの相互作用が、前記HoxA5プロモーターのヒストンH3リジン79(H3−K79)メチル化を決定することによって評価される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記DOT1L/CALM−AF10複合体の前記HoxA5プロモーターとの相互作用が、前記HoxA5プロモーター活性を決定することによって評価される、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記HoxA5プロモーターがレポーター分子をコードするヌクレオチド配列と作動可能に関連し、HoxA5プロモーター活性が前記レポーター分子を検出することによって決定される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記レポーター分子がポリペプチドである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリペプチドが酵素である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
無細胞アッセイとして行われる、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
細胞に基づくアッセイとして行われる、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記DOT1Lポリペプチドおよび/またはCALM−AF10融合タンパク質が核酸から発現される、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記白血病がT細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)である、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
試験化合物がHoxA5プロモーター領域および/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分に結合するのに十分な条件下で、前記HoxA5プロモーター領域および/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分を含む核酸を前記試験化合物と接触させるステップと、
前記試験化合物と前記HoxA5プロモーターおよび/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分の間の結合を検出するステップと
を含み、
前記試験化合物と前記HoxA5プロモーターおよび/またはHoxA5遺伝子の他の任意の部分の間の結合が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法。
【請求項48】
無細胞アッセイとして行われる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
細胞に基づくアッセイとして行われる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記白血病がT細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)である、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
白血病の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
HoxA5プロモーター活性にとって十分な条件下で、HoxA5プロモーター領域を含む核酸を試験化合物と接触させるステップと、
HoxA5プロモーター活性を検出するステップと
を含み、
前記試験化合物の非存在下での前記HoxA5プロモーター活性のレベルと比較した、前記試験化合物存在下での前記HoxA5プロモーター活性の減少が、前記試験化合物が白血病の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法。
【請求項52】
前記核酸がHoxA5エクソン1および/またはHoxA5エクソン2をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記核酸がエクソン1とエクソン2の間のHoxA5イントロンをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記HoxA5プロモーター領域がレポーター分子をコードするヌクレオチド配列と作動可能に関連し、HoxA5プロモーター活性が前記レポーター分子を検出することによって決定される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記レポーター分子がポリペプチドである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリペプチドが酵素である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
無細胞アッセイとして行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
細胞に基づくアッセイとして行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記白血病がT細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)である、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
T細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
前記試験化合物の存在下で、DOT1Lポリペプチドを、ヒストンH3を含むヒストンまたはヌクレオソーム基質と接触させるステップと、
ヒストンH3リジン79(H3−K79)メチル化をもたらすのに十分な条件下で、基質のH3−K79メチル化を検出するステップと、
を含み、
前記試験化合物の非存在下でのH3−K79メチル化のレベルと比較した、前記試験化合物存在下での、H3−K79メチル化の減少が、前記試験化合物がT−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法。
【請求項61】
T細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)の予防および/または治療のための候補化合物を識別する方法であって、
DOT1LポリペプチドがAF10に結合するのに十分な条件下で、DOT1LポリペプチドをAF10と接触させるステップと、
前記DOT1LポリペプチドとAF10の間の相互作用を検出するステップと
を含み、
前記試験化合物の非存在下での結合のレベルと比較した、前記試験化合物存在下での、DOT1LポリペプチドとAF10との間の相互作用の減少は、前記試験化合物がT−ALLまたはAMLサブタイプM0/1の予防および/または治療のための候補化合物であることを示す方法。
【請求項62】
対象が白血病を有するかどうかもしくは白血病を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/または前記疾患の経過に関する予後を決定する方法であって、
前記対象からヌクレオソームを含む生物学的試料を取得するステップと、
HoxA5遺伝子と関連するヒストンH3リジン79(H3−K79)メチル化を検出するステップと
を含み、
非白血病生物学的試料中のHoxA5関連H3−K79メチル化のレベルと比較した、生物学的試料中のHoxA5関連H3−K79メチル化の増加が、前記対象が白血病を有することもしくは白血病を発症する危険があることの診断指標となり、かつ/または前記対象における疾患の経過の予後指標となる、方法。
【請求項63】
前記生物学的試料が細胞試料または組織試料である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記生物学的試料がB細胞試料または骨髄試料である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記生物学的試料がヌクレオソーム調製物である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記HoxA5遺伝子と関連するヒストンH3リジン4メチル化を検出することをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記HoxA5プロモーターのH3−K79メチル化が決定される、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記白血病がT細胞急性リンパ性白血病(T−ALL)または急性骨髄性白血病サブタイプM0/1(AML−M0/1)である、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が白血病を有するかどうかもしくは白血病を発症する危険があるかどうかを診断し、かつ/または前記疾患の経過に関する予後を決定する方法であって、対象におけるHoxA5プロモーター活性を決定するステップを含む方法。
【請求項70】
前記対象から生物学的試料を取得するステップと、前記生物学的試料中の前記HoxA5プロモーター活性を決定するステップとをさらに含む、請求項69に記載の方法。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−524051(P2009−524051A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551261(P2008−551261)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/046612
【国際公開番号】WO2007/087015
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500093834)ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル (14)
【Fターム(参考)】