説明

皮膚化粧料の製造方法

【課題】 清涼感がありながらも皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、さらに皮膚の凹凸を隠すことができ、離水がなく安定な皮膚化粧料の製造方法を提供する。
【解決手段】 粉体、粉体の粒子同士を粘結させる粘結剤(以下、粘結剤という)及び水を含有する皮膚化粧料の製造方法であって、水Aを粉体に吸水させた後、粘結剤を添加して混錬し、更に水Bを添加して混錬する皮膚化粧料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水した多孔質粉体を含有し、当該多孔質粉体の表面が、粘結剤で被覆されている皮膚化粧料であって、皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、しかも皮膚の凹凸を隠すことができる皮膚化粧料を、離水がなく安定に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に化粧料は、粉体及び油分を主成分として構成され、ファンデーション、アイシャドー、ほほ紅等の各種メイクアップ化粧料や、スキンケア化粧料として適用されている。このような化粧料は、従来、粉体と油分を混合して容器に圧縮成型する方法;油分を加熱溶解し、これに粉体を加えて混合分散した後、容器に流し込み充填し、冷却固化する方法;粉体と油分を低沸点溶剤に混合してスラリー状とし、これを容器に充填した後、溶剤を除去して固化させる方法のほか、水中油型(O/W型)又は油中水型(W/O型)などの乳化により液状化粧料として製造されている。
【0003】
また、油分及び水吸収多孔質粉体を含む非乳化系化粧料が知られている(特許文献1)。しかしながら、多孔質粉体にあらかじめ水を含浸させた後、油分を加える方法では、製造後に多孔質粉体から水が分離し、しいては化粧料から水が分離してしまう欠点があった。
【特許文献1】特開2002−205910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、しかも皮膚の凹凸を隠すことができ、離水のない安定な皮膚化粧料を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、化粧料用粉体、粉体の粒子同士を粘結させる粘結剤(以下、粘結剤という)及び水を含有する皮膚化粧料の製造方法であって、水Aを粉体に吸水させた後、粘結剤を添加して混錬し、更に水Bを添加して混錬すれば、皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、しかも皮膚の凹凸を隠すことができ、安定性にも優れた皮膚化粧料を製造できることを見出した。
【0006】
本発明は、粉体、粘結剤及び水を含有する皮膚化粧料の製造方法であって、水Aを粉体に吸水させた後、粘結剤を添加して混錬し、更に水Bを添加して混錬する製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、清涼感がありながらも皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、しかも皮膚の凹凸を隠すことができ、離水がなく安定性にも優れた皮膚化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(粉体)
本発明で用いる粉体としては、通常化粧料に用いられる粉体であれば特に制限されないが、多孔質粉体を用いるのが好ましい。多孔質粉体としては、ポリアミドやポリアクリレート、ポリメタクリレート、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、セルロース等の有機多孔質粉体;ケイ酸、カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム等のケイ酸金属塩;炭酸カルシウム、炭酸コバルト等の炭酸金属塩;タングステン酸カルシウム等のタングステン酸金属塩;酸化コバルト、α−酸化鉄等の金属酸化物;水和酸化鉄等の金属酸化物などのほか、シリカ(シリカゲルを含む)、ハイドロキシアパタイト、ラノリンパウダー等が挙げられる。
これらの多孔質粉体は、平均粒径3〜20μm、更には5〜15μm、特に10〜15μmであることが好ましい。多孔質粉体は、小さすぎると皮膚化粧料ののびが悪くなり、大きすぎるときしみ感を感じるようになる。また、多孔質粉体としては、1個の粉体粒子中に有している細孔の平均細孔径が50Å以上であるのが好ましい。
【0009】
これらのうち、多孔質シリカで吸水能が50〜200mL/100gのものが好ましい。多孔質シリカは球状であっても板状であっても良い。特に、その両方を組み合わせて用いるのが好ましい。
ここで、吸水能は、機械法(JIS K6221-1982)の2枚羽根混合方式に従って測定した値で、吸油量測定器S−410(フロンテックス社製)を用いて測定される。測定方法は、粉体に水を4mL/minで滴下したときの混合トルクに応じたトーションバーのねじれ角からトルクを算出し、最大トルクの70%トルクの滴下量を吸水能とする。
【0010】
多孔質粉体(粉体は吸水前である)は、皮膚化粧料全組成中に5〜40質量%、特に10〜30質量%含有するのが、ざらつきもなく、使用感が良好なので好ましい。
【0011】
また、多孔質粉体以外の粉体としては、球状、板状、不定形のいずれであっても良い。これらは平均粒径が0.001〜30μmであることが好ましい。
【0012】
球状粉体の形状は、真球状、及び球に類似する形状である。球状粉体としては、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、無水珪酸等の無機粉体;結晶セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(メチル、エチルエステル)、ナイロンパウダー、ポリビニルピロリドン等の有機粉体;シロキサン結合が三次元的に伸びた網状構造をなし、ケイ素原子1個にメチル基が結合した無機と有機との中間的構造を有するポリメチルシルセスキオキサン粉末等が挙げられる。球状粉体は、平均粒径0.1〜30μm、特に1〜20μmであるのが好ましい。球状粉体は、1種以上を用いることができ、サラサラした感触が得られるので好ましい。
【0013】
板状粉体としては、タルク、雲母、カオリン、セリサイト、パール顔料等が挙げられる。板状粉体は、平均粒径0.1〜30μm、特に1〜20μmであるのが好ましい。板状粉体は、1種以上を用いることができ、化粧料の取り易さ、伸ばしやすさの点から好ましい。
【0014】
更に、不定形微粒子としては、不定形微粒子無水珪酸が好ましく、平均粒径0.001〜0.01μm、特に0.001〜0.02μmのものが、きしみが生じることのない良好な使用感と、油分が分離することのない良好な安定性が得られ、好ましい。この不定形微粒子無水珪酸の粒子径は透過型電子顕微鏡によって測定される。
不定形微粒子無水珪酸としては、例えば、通常の四塩化珪素を水素・酸素炎中で加水分解して得られた、前記範囲の粒子径を有する親水性の不定形微粒子無水珪酸、前記親水性の不定形微粒子無水珪酸の表面を疎水化処理した不定形微粒子無水珪酸が挙げられる。不定形微粒子無水珪酸は、親水性であっても疎水性であってもよいが、親水性であるのが好ましい。
【0015】
不定形微粒子無水珪酸としては、例えば、アエロジル200、アエロジル300、アエロジルR972、アエロジルR974、アエロジルR202、アエロジルRY200(以上、日本アエロジル社製)、タラノックス500(タルコ社製)等の市販品を用いることができる。
不定形微粒子無水珪酸は、皮膚化粧料全組成中に0.1〜5質量%、特に0.1〜1質量%含有するのが、特にきしみが生じることのない良好な使用感と、油分が分離することのない良好な安定性が得られ、良好な化粧持続効果が得られるので好ましい。
【0016】
本発明においては、これら粉体表面が親水性及び疎水性のいずれであってもよい。疎水化処理の方法としては、トリメチルシリルクロライド、ヘキサメチルジシラザン等によるトリメチルシロキシ化処理;ジメチルジクロロシランによるメチル化処理;メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理;ジメチルポリシロキサン、金属石鹸等によるコーティングなどが挙げられる。
なお、本発明に用いられる粉体の平均粒径は体積平均粒径(D4)(体積分率で計算した平均粒径)を示す。測定は、レーザー回折式の粒度分布計で容易に再現性良く測定することができる。
【0017】
多孔質粉体以外の粉体は1種以上用いることができ、皮膚化粧料全組成中に5〜40質量%、特に10〜25質量%含有するのが、使用感、凹凸ぼかし効果の点から好ましい。
多孔質粉体を含む全粉体の合計量(吸水前の質量)は、皮膚化粧料全組成中に30〜45質量%、特に35〜40質量%含有するのが、水を安定に保持できる点から好ましい。
また、多孔質粉体以外の粉体と多孔質粉体の含有割合(質量比、双方の粉体の質量は、吸水前の質量である)は、皮脂除去性と使用感の両立の観点から、2:5〜3:4であるのが好ましい。
【0018】
本発明においては、多孔質粉体を含む全粉体(全粉体は吸水前である)の吸水能が50〜150mL/100g、特に70〜130mL/100gであるのが、水分離を起こさず安定に製造できるので好ましい。吸水能は、前記と同様に測定される。
【0019】
(粘結剤)
本発明において、粉体の表面を被覆する粘結剤は、粉体表面を被覆したときに、粉体粒子間を粘結するものであればいかなるものでも良いが、具体的には25℃で液状の油剤成分を含むことが好ましい。
【0020】
油剤成分としては、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、エーテル油、フッ素油等が挙げられる。
【0021】
シリコーン油としては、例えば一般式(1)で表わされる低分子量の直鎖状ポリオルガノシロキサン、一般式(2)で表わされる低分子量の環状ポリシロキサン等が挙げられる。
【0022】
【化1】

【0023】
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を示し、全てのR1は同一であっても相違していても良い。mは0〜100000の数を示す)
【0024】
【化2】

【0025】
(式中、R1は、前記と同じ意味を示し、nは4〜6の数を示す)
【0026】
直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、炭素数が1〜5のアルキル基を有する直鎖状アルキルポリシロキサン、炭素数が1〜5のアルキル基及び炭素数が6〜10のアリール基を有する直鎖状アルキルアリールポリシロキサン等が挙げられ、具体的には、直鎖状ジメチルポリシロキサン、直鎖状メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。これら直鎖状オルガノポリシロキサンのうち、mが0〜100(粘度100mm2/s以下)のもの、特に、mが2〜50のものが、感触の点から好ましい。
環状ポリシロキサンとしては、炭素数が1〜5のアルキル基を置換基として有する4〜6員環の環状シロキサンが挙げられ、具体的には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0027】
炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリブテン等が挙げられる。
【0028】
また、エステル油としては、例えば、サフラワー油、大豆油、ブドウ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、アボガド油、オリブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油等の植物性油;ミンク油、タートル油、液状ラノリン等の動物性油;ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等の低級アルコールの脂肪酸エステル;イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル等の高級アルコールの脂肪酸エステル;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸セチル等の高級アルコールのオキシ酸エステル;トリカプリル酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の多価アルコールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0029】
エーテル油としては、セチルジメチルブチルエーテルなどが挙げられ、フッ素油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカーボン等が挙げられる。
【0030】
これらの油剤成分は、1種以上を用いることができ、皮膚化粧料全組成中に35〜60質量%、特に40〜55質量%含有するのが好ましい。本発明においては、架橋型オルガノポリシロキサンと揮発性シリコーン及び/又は不揮発性液状油を含有することにより、より優れた効果を得ることができる。
【0031】
本発明においては、油剤成分中に架橋型オルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。架橋型オルガノポリシロキサンとしては、例えば架橋型アルキルアリールポリシロキサン、架橋型アルキルポリシロキサンが挙げられる。架橋型アルキルアリールポリシロキサンとしては、例えば炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基を有する架橋型オルガノポリシロキサンが挙げられ、具体的には、例えば架橋型メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。架橋型アルキルポリシロキサンとしては、例えば炭素数1〜5のアルキル基を有する架橋型ジアルキルポリシロキサンが挙げられ、具体的には、例えば架橋型ジメチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
【0032】
また、架橋型オルガノポリシロキサンとして、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンと架橋型オルガノポリシロキサンとの混合物であるペースト状のKSG15、低粘度ジメチルポリシロキサンと架橋型オルガノポリシロキサンとの混合物であるペースト状のKSG16、メチルフェニルポリシロキサンと架橋型メチルフェニルポリシロキサンとの混合物であるペースト状のKSG18(以上、信越化学工業社製)等の市販品を使用することもできる。
【0033】
架橋型オルガノポリシロキサンは、油をゲル化する能力に優れ、皮膚を乾燥させることなく、好ましい化粧品特性を付与することができる。この架橋型オルガノポリシロキサンによって得られる組成物は、用いて心地よく、ソフトであり、触ってもべたつかない。ソフトなのは、一つは架橋型オルガノポリシロキサンの組織構造によるものであり、もう一つは、オイルを閉じこめるマイクロスポンジに匹敵する特性によるものである。
【0034】
架橋型オルガノポリシロキサンは、皮膚化粧料全組成中に0.6〜9質量%、特に0.9〜6.3質量%含有するのがべたつきのない使用感の点から好ましい。
【0035】
また、多孔質粉体を含む全粉体(全粉体は吸水前の質量である)と、全粘結剤の含有割合(質量比)は、使用感の観点から、1:1〜3:5であるのが好ましい。
【0036】
本発明においては、前記成分のほか、使用目的等により、半固形状の炭化水素類、エステル類、動植物油脂、高級脂肪酸類、高級アルコール類、各種高分子樹脂類、多価アルコール、保湿剤、紫外線吸収剤、色素、パール剤、体質顔料、増粘剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤、細胞間脂質、ビタミン類、抗炎症剤、香料、その他の薬剤等を用いることができる。
【0037】
本発明の皮膚化粧料は、皮膚に塗布したときの感触及び多孔質粉体の吸水能の点から、皮膚化粧料中水を10〜20質量%、特に12〜18質量%含有するのが好ましい。水を加えることにより、さっぱり感及び清涼感を得ることができる。
【0038】
(皮膚化粧料の製造方法)
本発明においては、水Aを粉体に予め吸水させた後、粘結剤を添加して混錬し、更に水Bを1又は2回以上に分けて添加混錬することにより、皮膚化粧料を製造する。
【0039】
水Aの量は、皮膚化粧料に含有される全水分の2/3〜3/4(質量比)であるのが好ましい。
また、水Aは、皮膚化粧料に含有される全粉体の90〜100質量%の粉体と混合し、粉体中に吸水させるのが好ましい。吸水させる方法は特に制限されず、例えば、ヘンシェルミキサーに粉体を入れて混合した後、水相を噴霧する方法;ロッキングミキサーに全粉体を入れて混合した後、水相を噴霧する方法;ダブルプラネタリーミキサーに粉体を入れて混合した後、水相を噴霧する方法等が挙げられる。水A中には水溶性成分を予め混合、溶解しておくことができる。
また、粉体は、水Aを全て吸水することが好ましい。水Aが全て吸水されたことは、例えば、テスターで通電しないことにより確認することができる。
【0040】
次に、粘結剤を徐々に添加して混練する。混練方法は特に制限されず、例えば、ヘンシェルミキサーやダブルプラネタリーミキサーによる混練方法が挙げられる。粘結剤には、架橋型オルガノポリシロキサン等を予め混合、溶解させておくことができる。
【0041】
粘結剤を混合後、水Bを添加して混練する。混練方法は特に制限されず、例えば、ヘンシェルミキサーやダブルプラネタリーミキサーによる混練方法が挙げられる。水B中には水溶性の成分を予め混合、溶解しておくことができる。また、水B中には、粉体の一部、特に多孔質粉体の一部(皮膚化粧料に含有される全粉体の10質量%以下、好ましくは1〜10質量%)を予め混合分散させることもできる。多孔質粉体を水Bに添加して含有させることで、混合後の離水をより抑制することができ、かつ含水した多孔質粉体により清涼感も向上する。粘着剤中には、水が含まれないことが好ましく、テスターで確認したときに通電しないことが好ましい。
【0042】
粉体全量に化粧料中の水全量を1度に混合することも可能であるが、油剤との混合時に水がにじみ出てしまう場合がある。これに対し、本発明のように水を複数回に分けて混合することにより、離水がなく、安定性に優れた皮膚化粧料を得ることができる。また、このような安定性の観点から、皮膚化粧料に含有される全水分量は、皮膚化粧料に含有される全粉体の吸水能の30〜70質量%にすることが好ましい。
【0043】
本発明の皮膚化粧料は、粉体粒子同士が粘結剤で粘結され、適度な粘度を有し、更には、一定の形状を保つことができるものである。
【0044】
本発明の皮膚化粧料は、25℃において、B8R型粘度計で5rpmにて測定したときの粘度が100〜4000Pa・s、特に300〜3000Pa・s、更に500〜2000Pa・sであるのが好ましい。
【0045】
本発明の皮膚化粧料は、皮脂除去効果及び凹凸隠し効果に優れるので、皮脂除去用、凹凸隠し用として好適である。
【実施例】
【0046】
実施例1
表1に示す組成のうち、球状多孔質シリカ1質量%を除いた以外の粉体をヘンシェルミキサーに入れ、攪拌しながら全水相成分の79質量%を噴霧し、粉体に吸水させる。テスターで通電しないことを確認した後、ダブルプラネタリーミキサーに混合粉体を入れ、粘結剤成分全量を添加しながら混練する。混練終了後、残りの水相成分21質量%に球状多孔質シリカ1質量%を分散させた混合液を添加して混練し、皮膚化粧料を得た。なお、得られた皮膚化粧料もテスターで通電しないことを確認した。
得られた皮膚化粧料の25℃における粘度は、750Pa・sであった。離水がなく安定なものであり、皮脂除去効果及び凹凸隠し効果、さらに清涼感に優れたものであった。
【0047】
実施例2
表1に示す組成のうち、全粉体をヘンシェルミキサーに入れ、攪拌しながら水相成分の75質量%を噴霧し、粉体に吸水させる。テスターで通電しないことを確認した後、ダブルプラネタリーミキサーに混合粉体を入れ、粘結剤成分全量を添加しながら混練し、混練終了後、残りの水相成分25質量%を添加して混練し、皮膚化粧料を得た。得られた皮膚化粧料もテスターで通電しないことを確認した。
得られた皮膚化粧料の25℃における粘度は、650Pa・sであった。離水がなく安定なものであり、皮脂除去効果及び凹凸隠し効果に優れたものであった。
【0048】
比較例1
表1に示す組成の全粉体、全油相及び全水相を一度にダブルプラネタリーミキサーに入れて混練した。得られた化粧料は油相と水相の2相に分離したものであった。
【0049】
比較例2
表1に示す組成の全粉体をダブルプラネタリーミキサーに入れ、攪拌しながら全油相を噴霧する。その後水相全量を添加しながら混練し、皮膚化粧料を得た。
得られた化粧料は、混練物の端に水分離しているのが認められた。
【0050】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体、粉体の粒子同士を粘結させる粘結剤(以下、粘結剤という)及び水を含有する皮膚化粧料の製造方法であって、水Aを粉体に吸水させた後、粘結剤を添加して混錬し、更に水Bを添加して混錬する皮膚化粧料の製造方法。
【請求項2】
粉体が、多孔質粉体を含むものである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
粉体と粘結剤の質量比が、1:1〜3:5である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
水Aの量が、皮膚化粧料に含有される全水分の2/3〜3/4(質量比)である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
皮膚化粧料に含有される全水分量が、皮膚化粧料に含有される全粉体の吸水能の30〜70質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
水Bの添加方法が、水Bと粉体の混合物を添加する方法である請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
粉体が多孔質粉体である請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
皮膚化粧料に含有される粉体の10質量%以下の粉体を水Bに混合分散させて混練する請求項6又は7記載の製造方法。
【請求項9】
皮膚化粧料の粘度が100〜4000Pa・sである請求項1〜8の製造方法。
【請求項10】
得られる皮膚化粧料が、皮脂除去又は凹凸隠し用である請求項1〜9いずれか1項記載の製造方法。

【公開番号】特開2006−219428(P2006−219428A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34601(P2005−34601)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】