説明

皮膚状態評価ツール

【課題】皮膚に拡大カメラを当てたままの状態で、その拡大画像を、その被測定者が直接見ることができ、しかも拡大カメラの取り扱い性にも優れた皮膚状態評価ツールを提供する。
【解決手段】皮膚に当てることにより所定の皮膚特性を測定することができるよう構成された測定具10と、同じく皮膚に当てることによりその部分を撮像して皮膚表面拡大画像として取り出すことができるよう構成された拡大カメラ11とを備え、上記測定具10には、少なくとも測定具10による測定結果を表示するための液晶画面14が設けられており、上記拡大カメラ11によって撮像された皮膚表面拡大画像の画像情報が、ケーブル12を介して上記測定具10に転送され、上記液晶画面14において、皮膚表面拡大画像が表示されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品販売員等が顧客の皮膚状態をカウンセリングする場合や、顧客が自分で自分の皮膚状態を調べる場合等に用いられる皮膚状態評価ツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の肌の状態は、その人の年齢、環境、手入れ方法等によって千差万別であり、その人その人の肌の状態に適した化粧品と手入れ方法を選択することが、美容上重要である。そこで、従来から、化粧品販売店の店頭や訪問販売先で、化粧品販売員やカウンセラー等が、各種測定具を用いて、顧客の皮膚状態(水分量、皮膚温度、皮脂量等)を測定し、その結果に応じて、肌の手入れ方法についてカウンセリングしたり、顧客に適した化粧品を推奨したりすることが多く行われている。
【0003】
また最近では、水分量や皮膚温度等の測定だけでなく、皮膚表面を直接拡大カメラで撮像して、肌のキメや色素沈着等を観察して評価することも行われている。このような皮膚状態評価装置としては、例えば、図8(a)に示すように、撮像用の拡大カメラ1と、パーソナルコンピュータからなる本体部2と、モニター画面3とを組み合わせたものが、数多く提案されている(特許文献1〜3等を参照)。
【特許文献1】特開平11−309132号公報
【特許文献2】特開2000−51153公報
【特許文献3】特開2004−73802公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の装置によれば、顧客の皮膚に拡大カメラ1を当てて撮像し、その画像を、モニター画面3で大きく見せることができ、顧客へのインパクトが強い。また、このモニター画面3を利用して、予め本体部2に記憶させておいた各種カウンセリング情報を提示することができ、便利である。
【0005】
しかしながら、上記装置には、ある程度広い設置場所が必要で、また導入にコストがかかるという問題がある。しかも本体部2とモニター画面3が設置場所に固定されるため、必然的に拡大カメラ1による撮像場所も限られ、その場所にわざわざ顧客を誘導しなければ撮像できず、顧客に負担感を与えてしまうという問題がある。また、無線LAN等によって拡大カメラ1をコードレスにして、撮像場所が限定されないようにすることも可能であるが、得られた画像を顧客に見せるには、やはりモニター画面3の前まで行かなければならず、不便である。
【0006】
ところで、上記特許文献2の装置には、拡大カメラ1とともに、図8(b)に示すようなコードレスの測定具4が設けられている。この測定具4は、その先端を顧客の皮膚に当てることにより、顧客の皮膚温度と皮膚表面水分量を測定することができるようになっており、その測定結果が、それ自身の液晶画面5に表示されるようになっている。したがって、この測定具4によれば、モニター画面3の設置場所までいかなくても、測定したその場で、その結果を顧客に提示することができ、店頭の顧客に、手軽に測定を促すことができる。
【0007】
そこで、拡大カメラ1にも同様の液晶画面を設けることが考えられる。しかし、拡大カメラ1を顧客の皮膚に当てた状態のまま、その拡大画像を、上記液晶画面から顧客に見せるのは無理であり、一旦取り込んだ画像を静止画像として保存し、その状態で、顧客の皮膚から拡大カメラ1を離して、液晶画面を顧客に向けて見せなければならない。このため、拡大画像を直接、リアルタイムで顧客に見せることができず、顧客に与えるインパクトが弱いものとなる。また、拡大カメラ1自身に液晶画面を設けると、拡大カメラ1全体が重くなるとともに、把持部も太くなり、取り扱いにくくなるという問題もある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、皮膚に拡大カメラを当てたままの状態で、その拡大画像を、その被測定者が直接見ることができ、しかも拡大カメラの取り扱い性にも優れた皮膚状態評価ツールの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、皮膚状態を評価するために用いられるツールであって、一端側を把持して他端側を皮膚に当てることによりその部分の所定の皮膚特性を測定することができるよう構成された測定具と、同じく一端側を把持して他端側を皮膚に当てることによりその部分を撮像して皮膚表面拡大画像として取り出すことができるよう構成された拡大カメラとを備え、上記測定具には、少なくとも測定具による測定結果を表示するための画面表示部が設けられており、上記拡大カメラによって撮像された皮膚表面拡大画像の画像情報が、上記測定具に転送され、上記画面表示部において、上記皮膚表面拡大画像が表示されるようになっていることを特徴とする皮膚状態評価ツールを第1の要旨とする。
【0010】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記拡大カメラによって撮像された皮膚表面拡大画像の画像情報が、上記測定具および拡大カメラの間に設けられた、ケーブル、IRおよび無線LANのいずれかの情報伝達手段を介して測定具に転送されるようになっている皮膚状態評価ツールを第2の要旨とし、上記測定具の少なくとも一個所と上記拡大カメラの少なくとも一個所に、互いに着脱自在に係合しうる係合部が設けられており、未使用時には、両者を係合一体化した状態で保管することができるようになっている皮膚状態評価ツールを第3の要旨とする。
【0011】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記測定具が、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一方を測定することができるよう構成されたものであり、この測定具に、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一つを指標としてパターン化された皮膚状態のカウンセリング情報が記憶されており、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一つの測定後、上記測定具の画面表示部に、測定されたデータにもとづき、被測定者の皮膚状態に応じたカウンセリング情報が表示されるようになっている皮膚状態評価ツールを第4の要旨とする。
【0012】
そして、本発明は、それらのなかでも、特に、上記測定具の画面表示部の画面が、2以上の領域に分割可能になっており、各分割画面に、上記拡大カメラで条件を変えて撮像された2以上の皮膚表面拡大画像が静止画像としてそれぞれ表示されるか、少なくとも一の分割画面に被測定者の皮膚表面拡大画像が静止画像として表示され、他の少なくとも一の分割画面に、予め記憶された参考画像が静止画像として表示されるようになっている皮膚状態評価ツールを第5の要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の皮膚状態評価ツールによれば、所定の皮膚特性を測定することのできる測定具と、皮膚表面拡大画像を得ることのできる拡大カメラとの組み合わせにおいて、上記測定具に、測定具による測定結果を表示するための画面表示部が設けられており、上記拡大カメラによって撮像された皮膚表面拡大画像が、上記測定具の画面表示部において表示されるようになっている。したがって、上記測定具と拡大カメラを携帯し、店頭や訪問販売先で、顧客の皮膚に、随時測定具を当てて皮膚特性の測定を行ったり、拡大カメラによる皮膚表面の拡大画像を撮像して、その結果や画像を、測定具の画面表示部によって提示することにより、顧客に負担感を与えることなく、その場で簡単なカウンセリングを行うことができる。
【0014】
特に、拡大カメラによる画像は、従来は、必ず、固定された大型のモニター画面を用いて表示していたため、顧客を上記モニター画面の前まで誘導して、その画面の前でカウンセリングを行わなければならなかったのに対し、本発明によれば、上記拡大カメラを顧客の皮膚に当てた状態のまま、測定具の画面表示部を顧客に見せたり、店員が見たりすることができるため、顧客の皮膚状態を評価したり、その皮膚状態に応じた手入れ方法等をアドバイスするカウンセリングを、測定したその場で、迅速かつスムーズに行うことができる。
【0015】
なお、上記皮膚状態評価ツールにおいて、特に、上記拡大カメラによって撮像された皮膚表面拡大画像の画像情報が、上記測定具および拡大カメラの間に設けられたケーブルによって、測定具に転送されるようになっているものは、ケーブルの長ささえ充分に確保しておけば、測定者であっても被測定者であっても、拡大カメラで皮膚表面を撮像しながら、その拡大画像を直接見ることができ、皮膚状態をリアルに観察することができる。そして、測定具と拡大カメラがケーブルで連結されているため、測定具と拡大カメラを常に一組のセットとして取り扱うことができる。また、上記皮膚表面拡大画像の画像情報が、IR、無線LAN等によって、コードレスで転送されるようになっているものは、測定具と拡大カメラの動作に何ら制約がないため、両者を、より自由に取り扱うことができる。
【0016】
さらに、上記皮膚状態評価ツールにおいて、特に、上記測定具の少なくとも一個所と上記拡大カメラの少なくとも一個所に、互いに着脱自在に係合しうる係合部が設けられており、未使用時には、両者を係合一体化することができるようになっているものは、測定具と拡大カメラが、保管時や携帯時にばらばらにならず、好適である。
【0017】
また、上記皮膚状態評価ツールにおいて、特に、上記測定具が、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一方を測定することができるよう構成されたものであり、この測定具に、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一つを指標としてパターン化された皮膚状態のカウンセリング情報が記憶されており、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一つの測定後、上記測定具の画面表示部に、測定されたデータにもとづき、被測定者の皮膚状態に応じたカウンセリング情報が表示されるようになっているものは、単なる測定結果ではなく、それにもとづくカウンセリング情報を顧客に提供することができ、好適である。
【0018】
さらに、上記皮膚状態評価ツールにおいて、特に、上記測定具の画面表示部の画面が、2以上の領域に分割可能になっており、各分割画面に、上記拡大カメラで条件を変えて撮像された2以上の皮膚表面拡大画像が静止画像としてそれぞれ表示されるか、少なくとも一の分割画面に被測定者の皮膚表面拡大画像が静止画像として表示され、他の少なくとも一の分割画面に、予め記憶された参考画像が静止画像として表示されるようになっているものは、被測定者の皮膚拡大画像とともに、対比画像や参照画像を、上記測定具の画面表示部の分割画面上に表示することができるため、被測定者の皮膚の状態を、より客観的に把握することができ、好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態である皮膚状態評価ツールを示している。このツールは、化粧品販売店等の店頭に用意され、化粧品販売員や専門のカウンセラー等(以下、単に「店員」という)が顧客の皮膚状態を測定して評価する場合や、顧客が自分で自分の皮膚状態を調べる場合等に用いられるもので、皮膚温度と皮膚表面水分量と皮脂量とを測定するための測定具10と、皮膚表面を撮像して拡大画像として取り出すための拡大カメラ11とが、互いにケーブル12で接続された構造になっている。
【0021】
上記測定具10は、全体が略棒状で、一端側(図における下側)が相対的に細くなっており、この部分が把持部13になっている。また、相対的に太く設定された他端側(図における上側)の正面には、この測定具10の選択メニューや測定結果等を表示するための画面表示部として、液晶画面14が設けられている。また、液晶画面14の下には、この測定具10を操作するための十字キー15と決定キー16と「戻る」キー17とが設けられている。
【0022】
そして、上記測定具10の裏面には、その右側面である図2(a)およびその背面図である図2(b)に示すように、その上側に、略円錐台状に突出する第1センサ部18が設けられており、この先端面18aを皮膚に当てることによって、その皮膚温度と皮膚表面水分量とが測定されるようになっている。
【0023】
また、上記第1センサ部18の上面には、さらに斜め上に突出する第2センサ部19が設けられており、この先端面19aを皮膚に当てることによって、その皮脂量が測定されるようになっている。
【0024】
一方、上記測定具10と組み合わせて用いられる拡大カメラ11(図1に戻る)も、上記測定具10と同様、全体が略棒状で、一端側(図における下側)が相対的に細くなっており、この部分が把持部21になっている。また、相対的に太く設定された他端側(図における上側)の正面には、この拡大カメラ11による撮影時の条件((反射モードと無反射モード)を選択するためのボタン22、23が設けられている。
【0025】
なお、上記反射モードで撮影すると、皮膚表面に投射した光の反射光が、拡大カメラ11に内蔵される光学系に入り、反射画像が得られる。この画像は、皮膚表面の色等は見にくいが、皮膚の微妙な凹凸が鮮明に区別でき、肌のきめ細かさ等を観察するのに有効である。また、上記無反射モードで撮影すると、皮膚表面に投射した光の反射光が、偏光板によって遮断され、光学系に入らないようになっている。したがって、皮膚表面の凹凸による陰影が映らず、皮膚表面から若干内側に入った部、例えば毛細血管の分布状態や色素の沈着状態、毛根の状態等、皮膚内部の特性やしみ、そばかす等のトラブルを観察するのに有効である。
【0026】
そして、上記拡大カメラ11の裏面には、その右側面である図3(a)およびその背面図である図3(b)に示すように、その上側に、略円筒状に突出する撮像部24が設けられており、この先端面24aを皮膚に当てることによって、その部分が撮像され、その画像情報が、ケーブル12を介して、測定具10に内蔵された画像処理手段(図示せず)に転送されるようになっている。したがって、上記拡大カメラ11によって得られた皮膚表面拡大画像は、測定具10に設けられた液晶画面14に表示されるようになっている。
【0027】
上記のように構成された皮膚状態評価ツールを化粧品販売店の店頭に用意しておけば、来店した顧客に対し、このツールを用いてその場で簡単に、その顧客の皮膚状態を評価することができる。
【0028】
その動作の一例を簡単に説明すると、まず、上記測定具10と拡大カメラ11とを携帯した店員が、来店した顧客に声をかけ、測定具10の第1のセンサ部18(図2参照)を顧客の頬に当てて、顧客の皮膚状態のうち、皮膚温度と皮膚表面水分量とを測定する。測定結果は、上記測定具10の液晶画面14に表示されるため、これを顧客に提示して、その値が示す顧客の皮膚状態を顧客に説明する。
【0029】
また、上記測定具10の第2のセンサ部19(図2参照)を顧客の額に当てて、顧客の皮膚状態のうち、皮脂量を測定する。測定結果は、上記測定具の液晶画面14に表示されるため、これを顧客に提示して、その値が示す顧客の皮膚状態を、顧客に説明する。
【0030】
つぎに、拡大カメラ11の撮像部24(図3参照)を顧客の頬に当てて、顧客の頬の皮膚表面を撮像する。その画像情報は測定具10に転送され、液晶画面14においてその皮膚表面拡大画像が表示されるため、図4に示すように、顧客は、頬に拡大カメラ11を当てた状態のまま、その拡大画像を直接、測定具10の液晶画面14において見ることができる。
【0031】
このため、顧客は、いちいち別の場所に設置されたモニター画面の前まで誘導されなくても、その拡大画像をその場で見ることができ、店員に拘束されるという圧迫感を感じることがない。また、顧客を移動させる時間が必要ないため、測定と評価を短時間でスムーズに行うことができ、時間的余裕のあまりない顧客に対し、好印象を与えることができる。そして、拡大カメラ11には、撮像機能と画像情報処理機能と転送機能のみをもたせ、画像表示機能は測定具10側に設けているため、拡大カメラ11自体に画像表示機能をもたせたものに比べてコンパクトで軽量となり、体のいろいろな部分を手軽に撮像することができるという利点を有する。
【0032】
ただし、じっくりとカウンセリングを受けたい顧客や、測定結果を大きな画面で見たい顧客に対しては、例えば、図4に示すように、大型のモニター画面30を別途用意し、このモニター画面30に、測定具10から測定結果情報を転送したり、拡大カメラ11から画像情報を転送して、大画面で表示するようにしてもよい。
【0033】
なお、上記モニター画面30を設置する場合は、各種商品情報やカウンセリング情報等が予め記憶されたパーソナルコンピュータと、上記モニター画面30とを接続しておき、、充分に時間をかけてカウンセリングを行う場合や、店頭での商品の宣伝等に利用することができる。また、上記各種情報を、直接モニター画面30の本体部に記憶して、同様の機能をもたせることもできる。
【0034】
また、逆に、このようなパーソナルコンピュータやモニター画面30に予め記憶された各種商品情報やカウンセリング情報等を、上記測定具10側に転送し、測定具10の液晶画面14においてコンパクトに表示させるようにしてもよい。
【0035】
また、上記の例において、測定具10の液晶画面14には、初期画面として、例えば図5(a)に示すように、測定操作のメニューが表示されるようになっていることが好ましい。この図の画面では、「年齢」、「皮脂」、「水分/皮フ温」、「結果一覧」の各項目31〜34が選択できるようになっている。なお、上記「年齢」の項目31は、この測定具10において、予め顧客の年代を選択させることにより、皮脂量、水分量、皮膚温度の測定データの基準値を、年代によって補正する機能が設けられていることを示している。この機能は、特になくてもよいが、より適正な皮膚状態の評価を行うには、この機能を備えていることが好ましい。
【0036】
さらに、上記の例において、測定具10の液晶画面14には、測定結果が、数値として示されるだけでなく、測定結果から得られる客観的な評価が、図表等を用いてよりわかりやすく示されるようになっていることが好ましい。例えば図5(b)に示すように、顧客の肌タイプが一目でわかるようなグラフ図35として示される機能等を備えていることが好適である。
【0037】
ちなみに、このグラフ図35は、皮脂量を縦軸にとり、水分量を横軸にとって、予め収集したデータに基づき、皮脂量の基準値を適正範囲の最大値とし、水分量の基準値を適正範囲の最小値として、皮膚状態を4つの典型例に区分して示したものがベースとなっており、皮脂量も水分量も基準値より少ない領域が乾燥肌(象徴記号「D」)、皮脂量も水分量も基準値より多い領域が脂性肌(象徴記号「O」)、皮脂量が多く水分量が少ない領域が脂性乾燥肌(象徴記号「OD」)、水分量が多い領域が普通肌(象徴記号「N」)として示されている。36,37は各基準値を示すラインである。そして、顧客の測定値の交点に所定のマーク38が付されており、顧客の肌タイプが一目でわかるようになっている。
【0038】
また、拡大カメラ11から転送される画像情報にもとづく皮膚表面拡大画像は、測定具10の液晶画面14において、通常、図6(a)に示すように表示されるが、上記液晶画面14を、例えば図6(b)に示すように、2以上の領域に分割できるように設定し(図では2分割)、各分割画面に、上記拡大カメラで条件を変えて撮像された2以上の皮膚表面拡大画像が静止画像としてそれぞれ表示したり、少なくとも一の分割画面に顧客の皮膚表面拡大画像が静止画像として表示し、他の少なくとも一の分割画面に、予め記憶された参考画像を静止画像として表示する等の表示形態にすることができる。この形態によれば、顧客の皮膚状態を、より客観的に評価することができ、好適である。なお、上記図6(a)、(b)に記載された画像は、実際の画像ではなく模式的なものである。
【0039】
そして、上記の例では、測定具10と拡大カメラ11とをケーブル12で連結し、このケーブル12を介して、拡大カメラ11側で得られた画像情報を、測定具10側に転送しているが、上記転送のための情報伝達手段としては、ケーブル12に限らず、例えば、IR、無線LAN等のコードレス方式の伝達手段を用いることができる。
【0040】
上記の例のように、測定具10と拡大カメラ11とをケーブル12で連結したものは、ケーブルの長ささえ充分に確保しておけば、測定者であっても被測定者であっても、拡大カメラ11で皮膚表面を撮像しながら、その拡大画像を、測定具10側の液晶画面14で見ることができ、問題はないが、IR、無線LAN等のコードレス方式によれば、両者の間に何ら制約がないため、より自由に測定および観察を行うことができる。
【0041】
なお、測定具10と拡大カメラ11は、必ず両者を一セットで保管し、使用時にも両者を組み合わせて携帯するため、例えば図7(a)に示すように、測定具10の少なくとも一個所と拡大カメラ11の少なくとも一個所に、互いに着脱自在に係合しうる係合部を設けておき、未使用時には、両者を係合一体化した状態で保管し、あるいは携帯することができるようにしてもよい。このとき、両者がケーブル12で連結されていても、コードレス方式のものであってもよいが、コードレスの場合、測定具10と拡大カメラ11の片方だけが紛失するおそれがあるため、このような形態で保管・携帯することが好適である。
【0042】
また、図7(b)に示すように、測定具10と拡大カメラ11とを、未使用時には、互いに並べて載置できるような専用台40を用意しておくこともできる。
【0043】
なお、本発明において、測定具10は、上記の例に限らず、皮膚温度等に限らず、どのような皮膚特性を測定するものであっても差し支えない。そして、一端側を把持し他端側を皮膚に当てて皮膚特性を測定できるようになっており、かつその測定結果を表示する画面表示部を備えたものであれば、それ以外の構成はどのようなものであってもよい。また、上記測定具10の画面表示部も、上記の例のような液晶画面14に限るものではない。
【0044】
また、本発明において、拡大カメラ11も、上記の例に限らず、一端側を把持し、他端側で皮膚表面を撮像できるようになっており、かつ得られた画像情報を測定具10側に転送できるようになってるものであれば、それ以外の構成はどのようなものであっても差し支えない。
【0045】
そして、上記の例では、本発明の皮膚状態評価ツールを、店頭で、店員が顧客に声をかけて、顧客の皮膚状態の測定・評価を行う使用形態について説明したが、本発明の皮膚状態評価ツールは、セルフ方式の化粧品販売店やドラッグストア等において、顧客自身が、自分の皮膚状態の測定・評価を行う場合にも用いることができる。もちろん、化粧品の訪問販売先や、街頭でのキャンペーン等において、適宜携帯して用いることもできる。
【0046】
さらに、本発明の皮膚状態評価ツールを用いる場合、測定具10による皮膚状態の測定と拡大カメラ11による皮膚表面の撮像とを、必ず組み合わせて行う必要はなく、片方だけを行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】(a)は測定具の右側面図、(b)は同じくその背面図である。
【図3】(a)は拡大カメラの右側面図、(b)は同じくその背面図である。
【図4】上記実施例の使用形態の説明図である。
【図5】(a)、(b)は、ともに上記一実施例における液晶画面の表示例を示す説明図である。
【図6】(a)、(b)は、ともに上記一実施例における液晶画面の他の表示例を示す説明図である。
【図7】(a)は上記実施例の変形例を示す説明図、(b)は上記実施例と載置台とを組み合わせた例の説明図である。
【図8】従来の皮膚状態評価装置の一例を示す説明図、(b)は従来の測定具の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
10 測定具
11 拡大カメラ
12 ケーブル
14 液晶画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚状態を評価するために用いられるツールであって、一端側を把持して他端側を皮膚に当てることによりその部分の所定の皮膚特性を測定することができるよう構成された測定具と、同じく一端側を把持して他端側を皮膚に当てることによりその部分を撮像して皮膚表面拡大画像として取り出すことができるよう構成された拡大カメラとを備え、上記測定具には、少なくとも測定具による測定結果を表示するための画面表示部が設けられており、上記拡大カメラによって撮像された皮膚表面拡大画像の画像情報が、上記測定具に転送され、上記画面表示部において、上記皮膚表面拡大画像が表示されるようになっていることを特徴とする皮膚状態評価ツール。
【請求項2】
上記拡大カメラによって撮像された皮膚表面拡大画像の画像情報が、上記測定具および拡大カメラの間に設けられた、ケーブル、IRおよび無線LANのいずれかの情報伝達手段を介して測定具に転送されるようになっている請求項1記載の皮膚状態評価ツール。
【請求項3】
上記測定具の少なくとも一個所と上記拡大カメラの少なくとも一個所に、互いに着脱自在に係合しうる係合部が設けられており、未使用時には、両者を係合一体化した状態で保管することができるようになっている請求項1または2記載の皮膚状態評価ツール。
【請求項4】
上記測定具が、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一方を測定することができるよう構成されたものであり、この測定具に、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一つを指標としてパターン化された皮膚状態のカウンセリング情報が記憶されており、皮膚温度および皮膚表面水分量の少なくとも一つの測定後、上記測定具の画面表示部に、測定されたデータにもとづき、被測定者の皮膚状態に応じたカウンセリング情報が表示されるようになっている請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚状態評価ツール。
【請求項5】
上記測定具の画面表示部の画面が、2以上の領域に分割可能になっており、各分割画面に、上記拡大カメラで条件を変えて撮像された2以上の皮膚表面拡大画像が静止画像としてそれぞれ表示されるか、少なくとも一の分割画面に被測定者の皮膚表面拡大画像が静止画像として表示され、他の少なくとも一の分割画面に、予め記憶された参考画像が静止画像として表示されるようになっている請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚状態評価ツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−119493(P2010−119493A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294502(P2008−294502)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】