説明

皮膚用塗布剤

【課題】皮膚用塗布剤において、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができること。
【解決手段】皮膚用塗布剤において、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して1μmol〜100mmolの範囲内で含有させた実施例1乃至実施例6に係る皮膚用塗布剤を用いた場合には、大きな治療効果が見られ、かぶれ・床ずれ・アレルギー炎症に対して有意な治療効果があると判定される。したがって、確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得るためには、皮膚用塗布剤において、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して1μmol以上含有させる必要があることが明らかになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつかぶれや床ずれ、アトピー性皮膚炎等の皮膚症状を和らげることができる皮膚用塗布剤に関するものであり、特に、抗炎症効果を有する皮膚用塗布剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚疾患の治療、特にアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎等の難治性皮膚疾患の治療には、副腎皮質ホルモンを含有する皮膚用塗布剤が広く用いられており、その薬理効果が高いことが知られている。しかし、副腎皮質ホルモン剤は、その塗布部位に対して副作用を起こす恐れがある上に、経皮吸収された薬剤が全身性の副作用を起こす可能性があり、その使用量には細心の注意が必要とされている。このため、副腎皮質ホルモン剤に代わる、副作用が少なく、かつ、同等以上の皮膚疾患の治療効果を有する皮膚用塗布剤が要望されている。
【0003】
このような副腎皮質ホルモン剤に代わる皮膚用塗布剤として、特許文献1において、ゲル化炭化水素基剤、ビタミンE及びスクワランからなることを特徴とする皮膚外用軟膏の発明について開示がされている。
【0004】
一方、特許文献2には、果実のマンゴスチンの果皮から抽出されるα−マンゴスチン,β−マンゴスチン,γ−マンゴスチンを主体とするマンゴスチン抽出物は、抗炎症作用・抗アレルギー作用を始めとする有用な生理作用(薬効)を有していることが記載されており、かかるマンゴスチン抽出物を40%以下のエタノール水溶液に分散したマンゴスチン製剤の発明について開示がされている。
【特許文献1】特開平10−087487号公報
【特許文献2】特開2007−106674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術においては、α−マンゴスチン,β−マンゴスチン,γ−マンゴスチンを主体とするマンゴスチン抽出物を、どの程度の濃度でエタノール水溶液に分散させた場合に有用な生理作用が得られるかについては記載がなく、確実に抗炎症作用・抗アレルギー作用が得られるマンゴスチン製剤の具体的な製造方法及び組成が示されていない。したがって、マンゴスチン抽出物は非常に高価なものであり、また具体的な含有量を適切に定めないと副作用の恐れもあるため、実用的なマンゴスチン製剤を製造することができないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、低価格で確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができる皮膚用塗布剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る皮膚用塗布剤は、皮膚症状を和らげるために皮膚に塗布される皮膚用塗布剤であって、皮膚用塗布剤用基剤の1kgに対して、α−マンゴスチンまたはα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を、1μmol〜500mmolの範囲内、より好ましくは10μmol〜10mmolの範囲内で含有するものである。
【0008】
ここで、α−マンゴスチンはキサントン誘導体の1種であり、更にキサントン誘導体はポリフェノールの1種であって、抗酸化作用を始めとする有用な生理作用を有するものである。α−マンゴスチン,β−マンゴスチン,γ−マンゴスチンを主体とするマンゴスチン抽出物は、いずれもキサントン骨格を有するキサントン誘導体であり、本明細書・特許請求の範囲・要約書においては、「キサントン誘導体」という用語を「マンゴスチン類」という用語とほぼ同義に使用することとする。
【0009】
また、「皮膚症状」としては、かぶれ、かゆみ、湿疹、じんましん、肌荒れ、あせも、ただれ、しもやけ、おむつかぶれ、床ずれ、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬疹、乾癬、等を挙げることができる。更に、「皮膚用塗布剤用基剤」としては、疎水性(油脂性)基剤として、ワセリン(黄色ワセリン・白色ワセリン)・パラフィン・プラスチベース・蜜蝋等及びこれらにグリコール・グリセリン等の添加物を添加したもの、親水性基剤として、乳剤性基剤(クリーム)、水溶性基剤、懸濁性基剤(ゼリー・ジェル)、等を挙げることができる。
【0010】
請求項2の発明に係る皮膚用塗布剤は、請求項1の構成において、前記皮膚用塗布剤用基剤は、ワセリン60重量部〜100重量部、より好ましくは70重量部〜90重量部、及びグリコール(ジオール化合物)5重量部〜20重量部、より好ましくは10重量部〜15重量部を含有するものである。
【0011】
ここで、「ワセリン」としては黄色ワセリンと白色ワセリンが知られており、「グリコール(ジオール化合物)」としてはエチレングリコール(1,2−エタンジオール)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、ジエチレングリコール、等が知られている。
【0012】
請求項3の発明に係る皮膚用塗布剤は、請求項1または請求項2の構成において、前記皮膚用塗布剤用基剤は、グリセリン3重量部〜15重量部、より好ましくは5重量部〜10重量部を含有するものである。
【0013】
請求項4の発明に係る皮膚用塗布剤は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記キサントン誘導体混合物は、γ−マンゴスチンを5重量%〜30重量%の範囲内で含有するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係る皮膚用塗布剤は、皮膚用塗布剤用基剤の1kgに対して、α−マンゴスチンを単独で、またはα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を、1μmol〜500mmolの範囲内で含有する。
【0015】
ここで、α−マンゴスチンはキサントン誘導体の1種であり、更にキサントン誘導体はポリフェノールの1種であって、抗酸化作用を始めとする有用な生理作用を有するものであり、α−マンゴスチン,β−マンゴスチン,γ−マンゴスチンを主体とするマンゴスチン抽出物は、いずれもキサントン骨格を有するキサントン誘導体である。
【0016】
1kgに対して1μmol〜500mmolの範囲内で添加することによって、確実に、かつ、副作用もなく、しかも実用的な価格で、抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0017】
また、本発明者らは、マンゴスチン類を皮膚用塗布剤に添加した場合に得られる抗炎症効果・抗アレルギー効果は、主にα−マンゴスチンによるものであることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。したがって、α−マンゴスチンのみ、またはα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を、皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して1μmol〜500mmolの範囲内で含有させることによって、確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、α−マンゴスチンまたはα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物の添加量が皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して1μmol未満であると、キサントン誘導体の添加量が少な過ぎて確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができず、一方添加量が皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して500mmolを超えると、キサントン誘導体の添加量が多過ぎて非常に高価なキサントン誘導体を多量に添加することになり、製品のコストが高くなり過ぎて実用的でない。
【0019】
更に、α−マンゴスチンのみ、またはα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を、皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して10μmol〜10mmolの範囲内で含有させることによって、より確実に、かつより一層実用的な低価格で、抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができるため、より好ましい。
【0020】
このようにして、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、低価格で確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができる皮膚用塗布剤となる。
【0021】
請求項2の発明に係る皮膚用塗布剤においては、皮膚用塗布剤用基剤が、ワセリン60重量部〜100重量部、及びグリコール(ジオール化合物)5重量部〜20重量部を含有する。
【0022】
本発明者らは、マンゴスチン類を皮膚用塗布剤の皮膚用塗布剤に応用するに当たって、その適切な皮膚用塗布剤用基剤の組成について鋭意実験研究を重ねた結果、ワセリン60重量部〜100重量部、及びグリコール(ジオール化合物)5重量部〜20重量部を含有する皮膚用塗布剤用基剤を用いることによって、より顕著な抗炎症効果・抗アレルギー効果を確実に得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。ここで、皮膚用塗布剤用基剤が、ワセリン70重量部〜90重量部、及びグリコール10重量部〜15重量部を含有するものである場合には、より一層確実に顕著な抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができるため、より好ましい。
【0023】
このようにして、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、低価格でより顕著な抗炎症効果・抗アレルギー効果を確実に得ることができる皮膚用塗布剤となる。
【0024】
請求項3の発明に係る皮膚用塗布剤においては、皮膚用塗布剤用基剤が、グリセリン3重量部〜15重量部を含有する。
【0025】
本発明者らは、マンゴスチン類を皮膚用塗布剤の皮膚用塗布剤に応用するに当たって、その適切な皮膚用塗布剤用基剤の組成について鋭意実験研究を重ねた結果、グリセリン3重量部〜15重量部を含有する皮膚用塗布剤用基剤を用いることによって、より顕著な抗炎症効果・抗アレルギー効果を確実に得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。ここで、皮膚用塗布剤用基剤が、グリセリン5重量部〜10重量部を含有するものである場合には、より一層確実に顕著な抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができるため、より好ましい。
【0026】
このようにして、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、低価格で確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができる皮膚用塗布剤となる。
【0027】
請求項4の発明に係る皮膚用塗布剤においては、キサントン誘導体混合物が、γ−マンゴスチンを5重量%〜30重量%の範囲内で含有する。
【0028】
本発明者らは、マンゴスチン類を皮膚用塗布剤の皮膚用塗布剤に応用するに当たって、キサントン誘導体混合物におけるα−マンゴスチンに伴うγ−マンゴスチンの適切な含有量について鋭意実験研究を重ねた結果、キサントン誘導体混合物がγ−マンゴスチンを5重量%〜30重量%の範囲内で含有する場合に、より確実に、かつ低コストで、抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0029】
このようにして、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、低価格で確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができる皮膚用塗布剤となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の実施の形態に係る皮膚用塗布剤の製造方法について、図1を参照して説明する。図1は、α−マンゴスチンを始めとするキサントン誘導体の構造式を示す図である。
【0031】
本実施の形態に係る皮膚用塗布剤においては、皮膚用塗布剤用基剤として白色ワセリン、添加剤としてプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)及びグリセリンを用いて、まずプロピレングリコールとグリセリンの混合物にα−マンゴスチンを溶かし、これを白色ワセリンと混合することによって、皮膚用塗布剤を製造している。ここで、図1に示されるように、α−マンゴスチンを始めとするキサントン誘導体は、キサントン骨格を有するポリフェノールの1種である。
【0032】
なお、本実施の形態に係る皮膚用塗布剤においては、その他の添加物を一切用いていないが、必要に応じて湿潤剤・防腐剤・殺菌剤・抗菌剤等を添加することもできる。湿潤剤・防腐剤・殺菌剤・抗菌剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、サンゾール、エデト酸を始めとして、その他の湿潤剤・防腐剤・殺菌剤・抗菌剤を添加することもできる。
【0033】
次に、本実施の形態に係る皮膚用塗布剤の抗炎症効果・抗アレルギー効果の評価方法について説明する。
【0034】
まず、比較例1として、α−マンゴスチン及びα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を全く含有しない点以外は、本実施の形態に係る皮膚用塗布剤と同一の組成を有する皮膚用塗布剤を調製した。これに、実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,実施例5,実施例6として、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物をそれぞれ1μmol,10μmol,100μmol,1mmol,10mmol,100mmol含有させた皮膚用塗布剤を調製した。
【0035】
更に、比較例2として、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を0.5μmolだけ含有させた皮膚用塗布剤を調製した。これらの実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,実施例5,実施例6,比較例1,比較例2に係る皮膚用塗布剤の組成を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1に示されるように、実施例1〜実施例6及び比較例1,2に係る皮膚用塗布剤の組成は、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物の添加量を除いて、皮膚用塗布剤用基剤としての白色ワセリン、添加剤としてのプロピレングリコール及びグリセリンの含有量については、それぞれ80重量部,12重量部,8重量部で全く同じである。
【0038】
ここで、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物としては、三晃メディカル(株)製の商品名パナキサントン(登録商標)を用いた。このパナキサントンは、α−マンゴスチンを80重量%、γ−マンゴスチンを12重量%、その他のキサントン誘導体を8重量%含有するキサントン誘導体混合物であった。
【0039】
そして、このようにして製造した実施例1〜実施例6に係る皮膚用塗布剤及び比較例1,2に係る皮膚用塗布剤を、紙おむつをしている老人を10人ずつの8組のグループに分けて、腰部及び臀部にこれらの皮膚用塗布剤を1週間塗布してもらい、おむつかぶれや床ずれに対する効果を評価した。評価方法としては、それぞれのグループについては、肌の状態について均等なグループ分けを行い、下記の判定基準で判定して点数化した。
【0040】
これによって、合計点数の減少量が大きい方が好ましい結果として評価した。
赤みがなく全くきれいである。‥‥0点
赤みや発疹が少しあるが、通常状態。‥‥1点
赤みや発疹が多少あるが、病的とは言えない。‥‥2点
赤みや発疹があり、少し病的。‥‥3点
赤みや発疹がひどく、治療が必要。‥‥4点
評価結果について、表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2に示されるように、比較例1に係る皮膚用塗布剤を用いたグループについては、試験前と比較して合計点数に有意な変化はなく、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を全く含有しない皮膚用塗布剤には、治療効果は見られないことが分かる。また、表2に示されるように、比較例2に係る皮膚用塗布剤を用いた場合には、僅か3点の減少であり、有意な治療効果があるとまでは言えない。
【0043】
これに対して、実施例1乃至実施例6に係る皮膚用塗布剤を用いた場合には、7点〜18点と大きく減少しており、かぶれ・床ずれ・アレルギー炎症に対して有意な治療効果があると判定される。したがって、確実に抗炎症効果・抗アレルギー効果を得るためには、皮膚用塗布剤に含浸させる皮膚用塗布剤において、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して1μmol以上含有させる必要があることが明らかになった。
【0044】
更に、表2に示されるように、実施例2,実施例3,実施例4,実施例5及び実施例6に係る皮膚用塗布剤を用いた場合には10点,14点,16点,18点及び18点と大きく減少しているとともに、実施例3〜実施例6については床ずれが完全に治癒しており、かぶれ・床ずれ・アレルギー炎症に対してより顕著な治療効果があると判定される。また、実施例5に対して実施例6においては、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物の含有量を10倍に増やしているにも関わらず、治療効果の有意な向上が見られない。
【0045】
したがって、より低コストで、より顕著な抗炎症効果・抗アレルギー効果を確実に得るためには、皮膚用塗布剤において、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を、皮膚用塗布剤用基剤1kgに対して10μmol〜10mmolの範囲内で含有させることが、より好ましいことが明らかになった。
【0046】
このようにして、本実施の形態の実施例1乃至実施例6に係る皮膚用塗布剤においては、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、低価格で、かつ、確実に、抗炎症効果・抗アレルギー効果を得ることができる。
【0047】
更に、本実施の形態の実施例2乃至実施例5に係る皮膚用塗布剤においては、有用な生理作用を有するマンゴスチン類を用いて、その適切な添加量を明らかにすることによって、より低価格で、より顕著な抗炎症効果・抗アレルギー効果を確実に得ることができる。
【0048】
本実施の形態においては、マンゴスチン類としてα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を用いた場合のみについて説明したが、マンゴスチン類を皮膚用塗布剤の皮膚用塗布剤に添加した場合に得られる抗炎症効果・抗アレルギー効果は、主にα−マンゴスチンによるものであるため、α−マンゴスチンを単体で用いた場合にも、同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
また、本実施の形態においては、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物として、α−マンゴスチンを80重量%、γ−マンゴスチンを12重量%、その他のキサントン誘導体を8重量%含有するキサントン誘導体混合物を用いた場合について説明したが、α−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物であれば、その他の成分及び重量%については、これに限定されるものではない。
【0050】
更に、本実施の形態においては、皮膚用塗布剤用基剤の組成を、白色ワセリン80重量部、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)12重量部及びグリセリン8重量部としたが、皮膚用塗布剤用基剤の組成は、これらの成分及び重量部に限られるものではない。なお、皮膚用塗布剤用基剤の組成としては、白色ワセリン60重量部〜100重量部、プロピレングリコール5重量部〜20重量部及びグリセリン3重量部〜15重量部とすることが好ましく、白色ワセリン70重量部〜90重量部、プロピレングリコール10重量部〜15重量部及びグリセリン5重量部〜10重量部とすることが、より好ましい。
【0051】
また、本実施の形態においては、グリコール(ジオール化合物)としてプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)を用いた場合について説明したが、グリコール(ジオール化合物)としてはこれに限られるものではなく、エチレングリコール(1,2−エタンジオール)、ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、ジエチレングリコール、等の他のグリコール類を用いても良い。なお、グリコール(ジオール化合物)としてプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)及び/またはブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)を用いることが、これらの経皮毒性が極めて低いことから、安全性の点から見て、より好ましい。
【0052】
本発明を実施するに際しては、皮膚用塗布剤のその他の部分の構成、組成、配合、成分、形状、数量、材質、大きさ、製造方法等についても、本実施の形態及び各実施例に限定されるものではない。
【0053】
なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、α−マンゴスチンを始めとするキサントン誘導体の構造式を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚症状を和らげるために皮膚に塗布される皮膚用塗布剤であって、
皮膚用塗布剤用基剤の1kgに対して、α−マンゴスチンまたはα−マンゴスチンを含むキサントン誘導体混合物を、1μmol〜500mmolの範囲内で含有することを特徴とする皮膚用塗布剤。
【請求項2】
前記皮膚用塗布剤用基剤は、ワセリン60重量部〜100重量部、及びグリコール(ジオール化合物)5重量部〜20重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚用塗布剤。
【請求項3】
前記皮膚用塗布剤用基剤は、グリセリン3重量部〜15重量部を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の皮膚用塗布剤。
【請求項4】
前記キサントン誘導体混合物は、γ−マンゴスチンを5重量%〜30重量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の皮膚用塗布剤。

【図1】
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【公開番号】特開2010−18550(P2010−18550A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180570(P2008−180570)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508047738)新和産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】