説明

皮膚科学的状態を処置するための組成物および方法

本発明は、固化性の接着性処方物、薬物送達の方法、および細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、脱毛症、皮膚炎、乾癬、または光損傷皮膚のような種々の皮膚科学的状態を治療することができる薬物の皮膚送達用の固化層に向けられる。該処方物は薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。該溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができる。該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間の間の薬物の送達を促進し得る。該不揮発性溶媒系は固化剤のための可塑剤として作用することができる。該処方物は揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有することができる。皮膚へ適用した場合、該処方物は、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後に固化層を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、種々の皮膚科学的状態を治療するためのシステムおよび方法に関する。さらに詳しくは、本発明が、皮膚科学的状態に罹った皮膚表面への適用に適した粘度を有し、かつ持続薬物−送達の固化した接着性層を皮膚に形成する固化性の接着性処方物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
皮膚または皮膚科学的状態は世界中で何百万人の人々が罹っている。そのような疾患は真菌、細菌、およびウイルス源からの感染、脱毛症、光または日光損傷皮膚、皮膚炎、および乾癬を含む。治療は一般にはこれらの治療の各々について利用できるが、現在の治療はいくつかの顕著な欠点を有する。例えば、ウイルス感染の1つのタイプはヘルペス感染である。ヘルペス感染は、しばしば、唇で(例えば単純疱疹)、および性器で起こる。単純疱疹および陰部ヘルペスを治療するのに利用できる2つの通常の投与形態、すなわち局所および経口がある。双方の送達系はある種の欠点を有する。例えば、抗−ウイルス薬物であるアシクロビールの経口送達は胃のむかつき、食欲減退、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、目眩または脱力感のような望ましくない副作用を引き起こしかねない。Zovirax軟膏およびクリームのような軟膏およびクリームの形態である現行の局所抗−単純疱疹処方物の1つの欠点は、それらが、しばしば、対象が食べ、飲み、または彼/彼女の唇をなめる等の場合に、治療部位から不慮に拭い去られてしまうことである。これは、局所単純疱疹処方物が、しばしば、1日に何回も適用する必要がある理由であると考えられ、これは非常に不便であり、しばしば、貧弱な患者コンプライアンスをもたらす。局所抗−ヘルペス処方物を性器に適用する場合、薬物は、しばしば、下着および隣接する健康な皮膚/粘膜表面接触による不慮の除去にさらされる。加えて、いくつかの局所処方物は、通常、適用後まもなく蒸発する傾向がある水およびエタノールのような揮発性溶媒を含有する。そのような溶媒の完全な蒸発は皮膚薬物送達の有意な減少または停止さえ引き起こしかねず、それにより、時期尚早に処置を終わらせてしまう。加えて、半固体処方物はしばしば皮膚へ「擦り入れられ」、これは薬物処方物が現実に皮膚へ送達されたことを必ずしも意味しない。その代わり、この句は、しばしば、薬物処方物の非常に薄い層が皮膚の表面に適用されることを意味する。伝統的な局所半固体処方物のそのような薄い層は、長時間にわたって持続送達を達成するのに十分な量の活性薬物を含有できない。
【0003】
もう1つの例は光損傷皮膚である。イミキモドのような免疫アクチベーターの局所適用を用いて、微細な線、皺、荒れ、乾燥、緩み、および/または不規則な色素沈着によって特徴付けられる皮膚の光損傷および時期尚早な老化を治療することができると考えられる。例えば、数週間にわたるイミキモドでの光老化の目に見える兆候の治療は、光損傷肌の形態および外観を改善することができる。しかしながら、イミキモドの唯一の市販の投与形態である3MからのAldara Creamは、光損傷皮膚を治療するために設計され、または認可されておらず、すなわち、それは性器イボおよび基底細胞癌腫を治療するのに認可された。クリームを皮膚に適用し、皮膚「中へ」擦り入れられた後に、薬物のほとんどは現実には皮膚に入らない。代わりに、薬物のほとんどは皮膚の表面に長時間留まる、その間に、それは意図しない除去にさらされる。例えば、就寝前に対象の顔および額に適用されたクリームは夜の間に枕またはブランケットによって除去され得る。
【0004】
同様な欠点は、他の前記した皮膚科学的状態のための利用可能な治療の多くで見出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
皮膚科学的障害を治療するための現在の皮膚処方物の欠点に鑑みれば、i)長時間に渡ってより持続する薬物送達を提供し、ii)衣料との接触による意図しない除去を受けにくく、iii)特定の病気の治療において有益である物理的保護バリアーを提供し、および/またはiv)適用および使用後に容易に除去されるシステム、処方物、および/または方法を提供するのが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
薬物の持続放出を提供することができ、かつ意図しない除去の欠点を被らない、皮膚科学的状態を治療するための処方物および関連方法を提供するのが有利であろうと認識されてきた。これに従い、本発明は、一般に、皮膚科学的状態を治療するのに有効な薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含む、皮膚科学的状態を治療するための処方物に向けられる。該溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含み、ここに、該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間にわたっての薬物の送達を促進し得る。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。皮膚表面に適用された処方物は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に、柔軟で、凝集性の固化層を形成することができる。さらに、該薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に継続して送達され得る。治療可能な皮膚科学的状態は細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、脱毛症、皮膚炎、乾癬、光損傷皮膚、およびその組合せを含む。
【0007】
もう1つの実施形態において、皮膚科学的状態を治療する方法は、固化性の接着性処方物を感染した皮膚表面に適用することを含むことができる。該処方物は、従前の実施形態に記載された処方物であり得る。さらなる工程は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発によって処方物を固化させて、感染した皮膚表面に柔軟で凝集性の固化層を形成し、次いで、治療上有効な速度にて持続時間にわたって、感染した皮膚部位へ固化層からの薬物を皮膚送達することを含む。
【0008】
もう1つの実施形態において、皮膚科学的状態、感染を治療するための柔軟で、凝集性の固化層は、皮膚科学的状態を治療するのに有効な薬物;少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、ここに、該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間にわたっての薬物の送達を促進し;および固化剤を含むことができる。固化層は、好ましくは、該層が適用された皮膚表面からのクラッキング、破壊、および/または分離なくして1つの方向に5%(または10%さえ)伸長することができる。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点は、例として、本発明の特徴を説明する以下の詳細な記載および図面から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の特定の実施形態を開示し、記載する前に、本発明は本明細書に開示された特定のプロセスおよび材料に限定されず、それ自体はある程度変形し得ることが理解されなければならない。また、本明細書で用いられる技術用語は、特定の実施形態を記載する目的だけで用いられ、限定的であることを意図しないことも理解されるべきであり、これは、本発明の範囲が添付の請求の範囲およびその均等物によってのみ定義されるからである。
【0011】
本発明を記載し、特許請求するにおいて、以下の技術用語が用いられる。
【0012】
単数形「ある」、および「該」は、文脈が明瞭に他のことを指令するのでなければ複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「薬物」への言及は1以上のそのような組成物への言及を含む。
【0013】
「皮膚」は、ヒト皮膚(無傷、病気の、潰瘍性、破壊された)、指および足指爪表面、ならびに唇、性器および肛門粘膜、および鼻および口腔粘膜のような、通常は空気に少なくとも部分的に暴露される粘膜表面を含む。
【0014】
句「皮膚科学的状態」とは、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、脱毛症、乾癬、皮膚炎、または光損傷皮膚を含めた、いずれの皮膚疾患、または皮膚疾患の組合せもいう。
【0015】
「光損傷」された皮膚に言及する場合、急性光損傷および慢性光損傷が共にここに含まれる。急性光損傷は日焼けとして発現でき、慢性光損傷は、数ヶ月の期間、より典型的には数年に渡っての日光曝露の累積によって引き起こされた皮膚の少しずつの変化として観察できる。かくして、光損傷はいくつかのタイプの経験した光損傷を有するヒト皮膚を含み、これは、時期尚早な老化、微細な線、皺、荒れ、乾燥、緩み、不規則な色素沈着、前−癌性病巣および/または皮膚癌として発現され得る。同様に、「皮膚損傷」は、皮膚の光損傷、時期尚早老化、微細な線、皺、荒れ、乾燥、緩み、および/または不規則な色素沈着を含むと定義することができる。
【0016】
用語「薬物」とは、皮膚科学的状態を効果的に治療するのに用いることができいずれの生物活性剤もいう。例えば、皮膚科学的状態が真菌感染である場合、抗真菌薬物を用いることができる。本発明で用いることができる抗真菌薬物の例は、限定されるものではないが、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、カスポフンギン、ミカフンギン、アニドゥラフィンギン、アンフォテリシンB、AmB、ナイスタチン、ピマリシン、グリセオフルビン、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、およびウンデシレネート、またはその組合せを含む。
【0017】
皮膚科学的状態がウイルス感染である場合、限定されるものではないが、アシクロビール、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ベヘニルアルコール、トリフルリジン、イドキシウリジン、シドフォビール、ガンシクロビール、ポドフィロックス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビール、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンズ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビール、インジナビール、ネルフィナビール、リトナビール、サキナビール、アマンタジン、インタフェーロン、オセルタミビール、ビバビリン、リマンタジン、ザナミビール、またはその組合せを含めた抗−ウイルス薬物を用いることができる。
【0018】
該皮膚科学的状態が細菌感染である場合、抗菌薬物を用いることができ、これは限定されるものではないが、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ムピロシン、ポリミキシンB、シプロフラキシンのようなキノロン、またはその組合せを含むことができる。感染を治療するための本発明の処方物および方法における活性な薬物は、限定されるものではないが、イミキモドを含めた免疫変調剤も含むことができる。
【0019】
皮膚科学的状態が光損傷皮膚である場合、用いることができる薬物は、限定されるものではないが、免疫変調剤、あるいはヒト皮膚粘膜の免疫性を増加させることができる免疫アクチベーターを含む。そのような薬物の非限定的例はイミキモド、ロシキモドまたはその組合せを含む。
【0020】
皮膚科学的状態が脱毛症である場合、一般に、皮膚投与された場合に毛髪成長を刺激することができるいずれの薬物も用いることができる。これは、薬物として伝統的に同定されている組成物、同様に、古典的意味で「薬物」とは常に考えられない他の生物活性剤を含む。本発明で用いることができる薬物の例は、ベタメタゾン、ジプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾン二酢酸塩、トリアムシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、モメタゾンフロエート、ベタメタゾンバレレート、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、デゾニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピボレート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸塩、およびその組合せのようなコルチコステロイドを含む。他の薬物を用いることもできる。他の薬物もまた、用いることができる。他の例には、ミノキシジル、スピロノラクトン、フィナステリド、アントラリンのような毛髪成長を刺激するのに皮膚を刺激することができる薬物、ジニトロクロロベンゼン、スクワリン酸ジブチルエステル、ジフェニルシクロプロペノンのようなトレチノイン局所免疫治療剤、他の毛髪成長刺激剤、またはその組合せを含む。
【0021】
皮膚科学的状態が乾癬または皮膚炎である場合、用いることができる薬物は、限定されるものではないが、コルチコステロイド、免疫モジュレーター、ビタミンD3およびそのアナログ、レチノイン酸およびその医薬上活性な誘導体、またはその組合せの薬物クラスより選ばれる剤を含む。そのような薬物の具体的な非限定的な例はベタメタゾンジプロピオネート、クロベタゾールプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾン二酢酸塩、アムシノナイド、デスオキシメタゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、モメタゾンフルオエート、ベタメタゾンバレレート、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、デソニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピボレート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸塩、タクロリムス、ピクロリムス、タザロテン、イソトレチノイン、サイクロスポリン、アントラリン、ビタミンD3、コレカルシフェロール、カルシトリオール、カルシポトリオール、タカルシトール、カルシポトリエン、またはその組合せを含む。
【0022】
一般に「薬物」に言及する場合、与えられた薬物の種々の形態があり、それらの種々の形態は明示的に含まれると理解される。これに従うと、種々の薬物形態は多形、塩、水和物、溶媒和物、および共結晶を含む。これは、伝統的に薬物として同定される組成物、同様に、古典的意味では「薬物」の常には考えられないが、特定の疾患に対しては治療効果を提供することができる他の生物活性剤を含む。1つの実施形態において、単一剤が多数の皮膚科学的状態を治療するのに有効であり得る。もう1つの実施形態において、単一の皮膚科学的状態を治療するための複数の薬物を同時に存在させ、同一固化処方物から送達することができる。もう1つの実施形態において、別々の皮膚科学的状態を標的とする複数の薬物は同一固化処方物から送達することができる。
【0023】
用語「エモリエント」、「モイスチャライジング剤」、「モイスチャライザー」および「保湿剤」は相互交換的に用いることができ、その表面中に、または表面に水分を保持する皮膚の能力を柔軟にし、和らげ、または増強させることができる物質をいう。そのような化合物の非限定的例はグリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、蜂蜜、およびハニークワットのような蜂蜜誘導体、尿素、およびヒドロキシエチル尿素のような尿素誘導体、乳酸アンモニウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、ピログルタミン酸およびその塩、リンゴ酸ナトリウム、ポリデキストロース、トリアセチン、マンニトール、酸化されたポリエチレン、イソマルト、マルチトールおよびマルチトールシロップ、ラクチトール、キシリトール、エリトリトール、およびその組合せを含む。
【0024】
句「局所送達」または「薬物の局所送達」は、薬物の皮膚組織への送達、および続いての、起こり得る皮膚への吸収を意味すべきである。
【0025】
句「皮膚薬物送達」または「薬物の皮膚送達」は、経皮および局所薬物送達の双方を含み、皮膚への、皮膚を通って、皮膚中への薬物送達を含む。薬物の「経皮送達」は、皮膚直下の皮膚組織、皮膚下の領域的組織または器官、全身循環、および/または中枢神経系を標的とすることができる。
【0026】
各々、「皮膚フラックス」または「経皮フラックス」の関係のような用語「フラックス」とは、単位時間当たり単位面積当たり皮膚へ、または皮膚を横切って浸透した薬物の量をいう。フラックスの典型的な単位は時間当たりの平方センチメートル当たりのマイクログラムである。フラックスを測定する1つの方法は、ヒトボランティアの既知皮膚面積上へ処方物を置き、どれくらい多くの薬物がある時間拘束内に皮膚へ、または皮膚を横切って浸透することができるかを測定することである。種々の方法(イン・ビボ方法)は、同様に、測定で用いることができよう。実施例1に記載された方法、または他の同様な方法(イン・ビトロ方法)を用いて、フラックスを測定することもできる。イン・ビトロ方法は死体から得られたヒト表皮膜、またはヒトボランティアを用いて皮膚を横切っての薬物フラックスを測定するよりはむしろ無毛マウスからの新たに分離された皮膚組織を用いるが、適切に設計され、かつ実行されたイン・ビトロテストからの結果を用いて、合理的な信頼性でもってイン・ビボテストの結果を見積もり、または予測することができるのは一般に当業者によって認められる。従って、本特許出願中で言及する「フラックス」値は、イン・ビボまたはイン・ビトロ方法のいずれかによって測定されたものを意味することができる。
【0027】
不揮発性溶媒系(またはそれを含む固化層)との関係での用語「フラックス化可能(flux−enabling)」とは、特定の薬物について治療的に有効なフラックスを提供することができるように選択され、または特別に処方された(1以上の不揮発性溶媒を含めた)不揮発性溶媒系をいう。局所的に、または領域的に送達される薬物では、フラックス化可能な不揮発性溶媒系は、単独で、いずれかの他の成分の助けなくして、不揮発性溶媒系が薬物で飽和した場合に、対象の皮膚を横切って、皮膚上に、または皮膚中に薬物の治療的に十分なレベルを送達することができる不揮発性溶媒系と定義される。全身的に標的化された薬物では、フラックス化可能な不揮発性溶媒系は、不揮発性溶媒系が薬物で飽和され、それが500cm以下の接触面積にて対象の皮膚と十分に接触した場合に、24時間にわたって治療的に有効な日用量を提供することができる不揮発性溶媒系である。1つの実施形態において、不揮発性溶媒系についての接触面積が100cm以下である。この飽和した溶媒中薬物の状態を用いるテストを用いて、不揮発性溶媒系の最大フラックス−生成能力を測定することができる。フラックスを決定するためには、薬物溶媒混合物は臨床的に十分な量の時間の間、皮膚上に保たれる必要がある。現実には、ヒトボランティアの皮膚上に液体溶媒を延長された時間の間保つのは困難であろう。従って、溶媒系が「フラックス化可能」であるか否かを決定する別の方法は、実施例1に記載された装置および方法を用い、無毛マウスの皮膚またはヒト死体の皮膚を横切るイン・ビトロ薬物浸透を測定することである。この方法、および同様な方法は、処方物の浸透性および実行可能性を評価するのに当業者によって共通に用いられる。別法として、不揮発性溶媒系がフラックス化可能であるか否かは、飽和した薬物を含む不揮発性溶媒系を皮膚上に維持する手段を用いて、生きたヒト対象の皮膚上でテストすることができ、そのような手段は製品にとって、現実的ではないであろう。例えば、飽和した薬物を含まない不揮発性溶媒系を吸収性ファブリック材料に浸漬させることができ、次いで、これを皮膚に適用し、保護膜で被覆する。そのようなシステムは医薬製品として現実的ではないが、不揮発性溶媒系が十分な薬物フラックスを提供する固有の能力を有するか否か、またはそれがフラックス化可能であるか否かをテストするのに適している。
【0028】
また、一旦、処方物が固化層を形成したならば(水を含めた)揮発性溶媒が実質的に蒸発した後においてさえ、不揮発性溶媒のいくらかは固化層中に残りつつ、固化層は薬物について「フラックス化可能」でもあり得る。
【0029】
句「有効量」、「治療上有効量」、「治療上有効速度」などは、それは薬物に関するので、それに対して薬物が送達される疾患を治療するにおいていずれかの認識可能なレベルの治療結果を達成する薬物の十分な量または送達速度をいう。「治療結果の認識可能なレベル」は、製品の商業化を認可するためのいずれかの政府当局の効率標準に適合しても適合しなくても良いことは理解される。種々の生物学的因子は、その意図した仕事を実行する物質の能力に影響し得る。従って、「有効量」、「治療上有効量」、または「治療上有効速度」は、ある場合においては、そのような生物学的因子にある程度依存し得る。しかしながら、各薬物については、当業者の間では、ほとんどの対象において十分な用量またはフラックスの範囲について通常はコンセンサスがある。さらに、治療効果の達成は、該分野で公知の見積もりを用いて医師または他の資格を有する医療関係者によって測定され得るが、治療に対する個々の変形および応答は、治療効果の達成を主観的な判断とし得ることは認識される。治療上有効量または送達速度の決定は、医薬化学および医療の分野における通常の技量内のものである。
【0030】
「治療上有効なフラックス」は、臨床的に有益であるのに十分な量の薬物を皮膚中へ、または皮膚を横切って送達する選択された薬物の浸透フラックスと定義される。それは、対象集団のほとんどがある程度の利益を得ることができ、あるいは関連政府当局または医薬専門家によって「有効な」とみなされるのに十分利益が高いことを必ずしも意味しない。より具体的には、皮膚、または(皮膚表面から少なくとも部分的に5cm以内である関節、特定の筋肉、または組織/器官のような)皮膚表面に近い領域組織または器官を標的化する薬物では、「治療上有効なフラックス」とは、臨床的に合理的な量の時間内に、十分な量の薬物を標的組織中に送達することができる薬物フラックスをいう。全身循環を標的とする薬物では、「治療上有効なフラックス」とは、臨床的に合理的な皮膚接触面積を介して、十分な量の選択された薬物を送達して、臨床的に合理的な時間内に臨床的に有益な血漿中または血中薬物濃度を生じさせることができる薬物フラックスをいう。臨床的に合理的な皮膚接触面積は、ほとんどの対象が許容するであろう皮膚適用領域のサイズと定義される。典型的には、400cm以下の皮膚接触面積は合理的であると考えられる。従って、4000mcgの薬物を400cm皮膚接触面積を介して10時間にわたって全身循環に送達するためには、フラックスは少なくとも4000mcg/400cm/10時間である必要があり、これは1mcg/cm/時間に等しい。この定義によると、異なる薬物は異なる「治療上有効なフラックス」を有する。「治療上有効なフラックス」は同一対象において、および/または同一対象さえについて異なる時間で異なり得る。しかしながら、各薬物では、通常、ほとんどの時間にほとんどの対象において十分な用量またはフラックスの範囲について該分野においてコンセンサスがある。
【0031】
以下に、治療上有効な、または十分を超えるいくつかの薬物についてのフラックスの見積もりを示す。
【0032】
【化1−1】

【0033】
【化1−2】

(ロピバカインを例外として)表A中の治療上有効量のフラックス値は、実施例1に記載されたイン・ビトロ系における無毛マウスまたはヒト表皮膜を通じての市販製品の定常状態フラックス値を表す。これらの値は、見積もりであり、処方物の開発および最適化のための比較の基礎を提供することのみを意図する。選択された薬物についての治療上有効なフラックスは、異なる病気が、異なる段階の病気、および異なる個々の対象について治療されるのが非常に困難であり得る。リストしたフラックスは治療的に有効なものを超え得ることに注意すべきである。
【0034】
表Bにリストした以下の例は、具体的に実験した薬物のいくつかについての不揮発性溶媒のフラックス化可能能力のスクリーニングを示す。実験は以下の実施例1に記載されたように行い、結果は引き続いての実施例2から9においてさらに議論する。
【0035】
【化2】

不揮発性溶媒からの表B中のイン・ビトロ定常状態フラックス値は、驚くべきフラックス化可能および非フラックス化可能溶媒を示す。この情報を用いて、処方物開発を導くことができる。
【0036】
フラックス化可能な不揮発性溶媒との関係で用語「可塑化」は、固化剤のための可塑剤として作用するフラックス化可能な不揮発性溶媒と定義される。「可塑剤」は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に処方物のパーセンテージ伸長を増加させることができる剤である。可塑剤は、それをより可撓性および/または弾性とすることによって、固化した処方物の脆性を低下させる能力も有する。例えば、プロピレングリコールは、選択された固化剤としてのポリビニルアルコールにて薬物ケトプロフェンのための「フラックス化可能可塑化不揮発性溶媒」である。しかしながら、固化剤としてのGantrez S−97またはAvalure UR405でのケトプロフェンの処方物におけるプロピレングリコールは、同一可塑化効果を供しない。プロピレングリコールおよびGantrez S−97またはAvalure UR405の組合せは適合性が低く、局所適用についてあまり望ましくない処方物をもたらす。従って、与えられた不揮発性溶媒が「可塑化」であるか否かはいずれの固化剤が選択されるかに依存する。
【0037】
異なる薬物は、しばしば、特に良好な結果を提供する異なるマッチングフラックス化可能な不揮発性溶媒を有する。そのような例は表C中に認められる。実験は以下の実施例1に記載したように行い、結果は引き続いての実施例2から9においてさらに議論する。
【0038】
【化3】

「フラックス化可能な不揮発性溶媒」、「フラックス化可能可塑化不揮発性溶媒」または「高フラックス化可能な不揮発性溶媒」は、単一の化学物質、または2以上の化学物質の混合物であり得る。例えば、表C中のクロベタゾールプロピオネートについての定常状態フラックス値は、プロピレングリコールまたはISA単独よりもかなり高いクロベタゾールフラックスを生じたプロピレングリコール:イソステアリン酸混合物について9:1である(表B参照)。従って、9:1プロピレングリコール:イソステアリン酸混合物は「高フラックス化可能な不揮発性溶媒」であるが、プロピレングリコールまたはイソステアリン酸単独はそうではない。
【0039】
固化層に言及する場合、用語「接着」および「接着性」とは、本明細書中においては、該層がほとんどの対象において意図した使用の間に皮膚から落ちないように、固化層および皮膚の間の十分な接着をいう。かくして、「接着性」などは、固化層を記載するのに用いる場合、(揮発性溶媒の蒸発前に)初期処方物層が元来適用された身体表面に対して固化層が接着性であることも意味することができる。1つの実施形態において、それは固化層が反対側で接着性であることを意味しない。加えて、固化層が所望の延長された時間の間、皮膚表面に接着できるか否かは、身体表面の状態に部分的に依存することに注意すべきである。例えば、過剰な発汗または脂性の皮膚、または皮膚表面の油性物質は固化層の皮膚に対する接着性を低くし得る。従って、本発明の接着性固化層は、身体表面との完全な接着を維持し、身体表面のいずれかの条件下で各対象について持続時間の間にわたって薬物を送達できないかも知れない。標準は、それが、身体表面および外部環境の通常の条件下でほとんどの対象について特定の時間の間にわたって身体表面のほとんど、例えば、合計面積の70%との良好な接触を維持することである。
【0040】
用語「可撓性」、「弾性の」、「弾性」等は、本明細書中で用いるように、固化層が約5%まで、しばしば約10%まで、またはそれ以上まで、少なくとも1つの方向に伸ばされた場合、それが破壊しないように、固化層の十分な弾性をいう。例えば、皮膚に対して許容される弾性および接着を呈する固化層は、可撓性な皮膚ロケーション、例えば、肘、指、手首、首、下部背中、唇、膝等上のヒト皮膚に接着することができ、皮膚の伸びに際して皮膚上で実質的に無傷のままであろう。本発明の固化層は、いくつかの実施形態において、いずれの弾性も必ずしも有する必要がないことに注意されたい。
【0041】
用語「剥離可能」は、固化層を記載するのに用いる場合、多くの小さな破片または小片とは反対に、固化層が1つの大きな破片またはいくつかの大きな破片に皮膚表面からリフトできることを意味する。
【0042】
用語「持続された」とは、少なくとも30分の連続時間の間の皮膚薬物送達の治療上有効な速度に関し、いくつかの実施形態においては、少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間以上の時間に関する。
【0043】
「揮発性溶媒系」は、水、および水よりも揮発性である溶媒を含めた、単一の溶媒、または揮発性である溶媒の混合物であり得る。本発明で用いることができる揮発性溶媒の非限定的例は酢酸イソアミル、変性アルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、プロパノール、C4−C6炭化水素、ブタン、イソブテン、ペンタン、ヘキサン、アセトン、クロロブタノール、酢酸エチル、フルロ−クロロ−炭化水素、テレビン、メチルエチルケトン、メチルエーテル、ヒドロフルオロカーボン、エチルエーテル、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、またはその組合せを含む。
【0044】
「不揮発性溶媒系」は、水よりも揮発性が低い単一溶媒、またはそのような溶媒の混合物であり得る。それは、pHまたはイオン−対合剤のような、室温にて固体または液体である物質も含むことができる。揮発性溶媒系の蒸発の後、不揮発性溶媒系のほとんどは、与えられた薬物の一定時間における十分なフラックスでの対象の皮膚への、皮膚中への、または皮膚を通っての皮膚送達を行って、治療効果を提供するのに十分な量の時間の間、固化層に存在すべきである。いくつかの実施形態において、活性薬物に対する所望の浸透性、および/または固化剤、または処方物の他の成分との適合性を得るためには、2以上の不揮発性溶媒の混合物を用いて、不揮発性溶媒系を形成することができる。1つの実施形態において、溶媒系を形成するための2つ以上の不揮発性溶媒の組合せは、個々に、不揮発性溶媒の各々によって薬物について供されるフラックスよりも薬物についてより高い経皮フラックスを提供する。不揮発性溶媒系は、固化層が弾性であって、可撓性であるように、固化層の可塑剤として働くこともできる。
【0045】
用語「溶媒賦形剤」は、揮発性溶媒系および不揮発性溶媒系を共に含む組成物を記載する。揮発性溶媒系は迅速に接着性処方物から蒸発して、固化層を形成するように選択され、不揮発性溶媒系は、薬物の継続した送達を提供するように、揮発性溶媒系の蒸発後に固化層の一部が実質的に残るように処方され、または選択される。典型的には、薬物は全体として溶媒賦形剤または処方物に部分的にまたは完全に溶解させることができる。同様に、一旦、揮発性溶媒系が蒸発すれば、薬物は不揮発性溶媒系に部分的にまたは完全に可溶化させることもできる。揮発性溶媒系の蒸発後に薬物が不揮発性溶媒系に部分的にしか溶解しない処方物は、持続送達の継続をより長く維持する能力がある。というのは、溶介していない薬物は不揮発性溶媒系に溶解できるからであり、これは溶解した薬物が薬物送達の間に固化層から枯渇するからである。
【0046】
「接着性固化処方物」または「固化処方物」とは、揮発性溶媒の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有し、かつ揮発性溶媒の少なくとも一部の蒸発後に固化層となることができる組成物をいう。固化層は、一旦形成されれば、非常に持続可能である。1つの実施形態において、一旦皮膚表面に固化すれば、処方物はピールを形成することができる。該ピールは、適用された処方物のサイズに対して皮膚から大きな破片を剥離することによって除去することができる柔軟な凝集性固体であり得、しばしば、単一の破片として皮膚から剥離することができる。適用粘度は、典型的には、水−様液体よりも粘性であるが、柔軟な固体よりは粘性は低い。好ましい粘度の例は、ペースト、ゲル、軟膏等と同様なコンシステンシーを有する材料、例えば、流動するが、こぼれやすくない粘性液体を含む。かくして、組成物が皮膚表面への「適用に適した」粘度を有するという場合、これは、組成物が、皮膚に適用した後に組成物が皮膚から実質的に落ちないのに十分高い粘度を有するが、それが容易に皮膚上に伸ばすことができるような十分低い粘度も有する。この定義を満たす粘度範囲は約100cPから約3,000,000cP(センチポイズ)、より好ましくは約1,000cPから約1,000,000cPであり得る。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、さらなる剤または物質を処方物に加えて、増強されたまたは増加した接着剤特徴を提供するのが望ましいであろう。さらなる接着剤または物質は、さらなる不揮発性溶媒またはさらなる固化剤であり得る。さらなる接着増強剤として用いることができる物質の非限定的例は、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸(Gantrezポリマー)、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、低分子量ポリイソブチレンゴム、アクリルサンアルキル/オクチルアクリルアミド(Dermacryl 79)、および種々の脂肪族樹脂のコポリマーおよび芳香族樹脂であり得る。
【0048】
用語「洗浄可能」、「洗浄する」または「洗浄より除去される」とは、本発明の接着性処方物に関して用いる場合、通常のまたは中程度の量の洗浄力を用いて洗浄溶媒の適用によって除去される接着性処方物の能力をいう。洗浄によって処方物を除去する必要な力は有意な皮膚刺激または磨耗を引き起こすべきでない。一般に、適当な洗浄溶媒の適用によって伴われる温和な洗浄力は、本明細書中に開示される接着性処方物を除去するのに十分である。本発明の処方物を洗浄することによって除去するのに用いることができる溶媒は多いが、好ましくは、本明細書中にリストした揮発性溶媒を含めた通常に認められた溶媒から選択される。好ましい溶媒はヒト皮膚を有意に刺激せず、一般には、平均的な対象に利用できる。洗浄溶媒の例は、限定されるものではないが、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、プロパノール、またはその組合せを含む。本発明の態様において、洗浄溶媒は水、エタノール、イソプロピルアルコールまたはその組合せよりなる群から選択される。界面活性剤もいくつかの実施形態において用いることができる。
【0049】
「乾燥時間」のための許容される長さの時間とは、適用後に処方物が標準的な皮膚および周囲条件下で、および標準テスト手法にて、汚くない固化表面を形成するのに必要な時間をいう。本明細書中においては、用語「乾燥時間」は、揮発性溶媒を完全に蒸発除去するのに必要な時間を意味しない。その代わり、前記したように汚くない固化表面を形成するのに必要な時間を意味する。
【0050】
「標準的な皮膚」は、約30℃から約36℃の間の表面温度で乾燥した健康なヒト皮膚と定義される。標準的周囲条件は、20℃から25℃の温度範囲、および20%から80%の相対湿度範囲によって定義される。用語「標準的な皮膚」は、断じて、本発明の処方物を用いることができる皮膚のタイプまたは皮膚条件を限定しない。本発明の処方物を用いて、損傷していない(標準的な皮膚)、病気の皮膚、または損傷した皮膚を含めた全てのタイプの「皮膚」を治療することができる。異なる特徴を有する皮膚疾患を本発明の処方物を用いて治療することができるが、用語「標準的な皮膚」は、本発明の種々の実施形態の組成物をテストするための標準としてのみ用いられる。現実的には、標準的な皮膚でよく実行される(例えば、固化し、治療上有効なフラックスを提供する)処方物もまた、病気の、または損傷した皮膚に対してよく実行できる。
【0051】
「標準テスト手法」または「標準テスト条件」は以下の通りである:標準周囲条件における標準的な皮膚に対して、ほぼ0.1mm層の接着性固化処方物を適用し、乾燥時間を測定する。乾燥時間は、処方物が、約5および約10g/cmの間の圧力にて処方物表面へ5秒間プレスされた100%綿布の破片への接着によって質量を喪失しないように、汚くない表面を処方物が形成するのに必要な時間と定義される。
【0052】
「固化層」は、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発された後の、接着性固化処方物の固化した、または乾燥した層を記載する。固化層は皮膚に接着されたままであり、好ましくは、標準的な皮膚および周囲条件下で適用の実質的に全持続の間対象の皮膚との良好な接触を維持することができる。固化層は、好ましくは、(皮膚から除去された場合に多くの小さな破片または小片に破壊される弱い張力を持つ層とは反対に)1つの破片またはいくつかの大きな破片に適用の最後に皮膚からそれが剥離できるような、十分な張力を呈する。
【0053】
用語「実質的に」の使用は、揮発性溶媒の蒸発に言及する場合、初期処方物に含まれた揮発性溶媒の大部分が蒸発してしまったことを意味する。同様に、固化層が水を含めた揮発性溶媒を「実質的に欠く」という場合、固化層は、全体として、10wt%未満、好ましくは5wt%未満の揮発性溶媒を固化層中に有する。
【0054】
濃度、量、および他の多数のデータは、本明細書中においては、範囲フォーマットで表現し、または示すことができる。そのような範囲フォーマットは便宜および簡潔性のためだけに用いられ、かくして、範囲の限定として明示的に引用された多数の値のみならず、あたかも各数字値およびサブ−範囲が明示的に引用されたごとく、その範囲内に含まれるすべての個々の数値またはサブ−範囲も含むものと理解されるべきである。説明として、「約0.01から2.0mm」の数字範囲は、約0.01mmから約2.0mmの明示的に引用された値を含むのみならず、示された範囲内の個々の値およびサブ−範囲も含む。かくして、この数字範囲には、0.5、0.7、および1.5のような示された値、および0.5から1.7、0.7から1.5、および1.0から1.5などのようなサブ−範囲が含まれる。この同一原理は、1つの数字範囲のみを引用する範囲に適用される。さらに、そのような解釈は、範囲の広さ、または記載される特徴に関わらず適用されるべきである。
【0055】
本明細書中で用いるように、複数の薬物、化合物、および/または溶媒を便宜のために共通リストに掲げることができる。しかしながら、これらのリストは、あたかもリストの各メンバーを別々のおよびユニークなメンバーとして個々に同定されるように解釈されるべきである。かくして、そのようなリストの個々のメンバーは、反対のことが示されなければ、通常の群においてのその表示にのみ基づいた同一リストのいずれかの他のメンバーの事実上の均等物と解釈されるべきである。
【0056】
これらの定義を銘記し、本発明は一般に、感染を治療するのに有効な薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含む感染を治療するための処方物に向けられる。該溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができ、ここに、該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間にわたって薬物の送達を促進し得る。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。皮膚表面に適用された処方物は、揮発性溶媒の少なくとも部分的な蒸発の後に固化層を形成することができる。さらに、薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に継続的に送達され得る。
【0057】
もう1つの実施形態において、皮膚感染を治療する方法は、感染した皮膚表面へ固化性の接着性処方物を適用することを含むことができる。該固化性の接着性処方物は、皮膚感染を治療するのに有効な薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。溶媒系は、少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができる。該不揮発性溶媒系は、治療上有効な速度にて持続時間に渡って薬物の送達を促進し得る。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。さらなる工程は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的に蒸発によって該処方物を固化して、感染した皮膚表面に固化層を形成し、次いで、固化層からの薬物を、治療上有効な速度にて持続時間に渡って感染した皮膚部位に皮膚送達することを含む。
【0058】
もう1つの実施形態において、感染を治療するための固化層は、皮膚感染を治療するのに有効な薬物;少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、ここに、該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間に渡って薬物の送達を促進し;および固化剤を含むことができる。該固化層は、該層が適用された皮膚表面からのクラッキング、破壊、および/または分離なくして1つの方向に5%(または10%さえ)伸長することができる。
【0059】
なおもう1つの実施形態において、感染を治療するための処方物はアシクロビール、バラシクロビール、ペンシクロビール、またはその組合せよりなる群から選択される薬物;少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含む溶媒賦形剤;および固化剤を含むことができる。該不揮発性溶媒は、オレイン酸、イソステアリン酸、オリーブ油またはその組合せよりなる群から選択することができる。固化剤はアクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物コポリマー、メタクリル酸ブチルおよびメチルコポリマー、エチルセルロース、およびその混合物およびコポリマーよりなる群から選択することができる。該処方物は揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有することができ、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に固化し、凝集性で、可撓性であって連続的な層を形成することができ、薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に全て蒸発した後に、治療上有効な速度にて継続的に送達され得る。
【0060】
もう1つの実施形態において、感染を治療するための処方物はエコナゾール、テルビナフィン、またはその組合せよりなる群から選択される薬物;少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含む溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。該不揮発性溶媒はテトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、オレイン酸、イソステアリン酸、オリーブ油、またはその組合せよりなる群から選択することができる。固化剤はアクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物コポリマー、メタクリル酸ブチルおよびメチルコポリマー、エチルセルロース、およびその混合物およびコポリマーよりなる群から選択することができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有することができ、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発の後に固化した、凝集性で、可撓性であって、連続的な層を形成することができ、該薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に全て蒸発した後に治療上有効な速度にて継続的に送達され得る。
【0061】
もう1つの実施形態において、爪感染を治療するための接着性の固化性処方物は爪感染を治療するのに有効な薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。該溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができ;ここに、該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間に渡って薬物の送達を促進し得る。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての爪表面への適用および接着に適した粘度を有し、爪表面に適用した場合、それは、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発の後に固化層を形成する。さらに、薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に爪へ継続的に送達される。
【0062】
もう1つの実施形態において、爪真菌感染を治療する方法は、真菌感染を持つ爪表面および所望により、周囲の皮膚へ、接着性の固化性処方物の層を適用することを含むことができる。該処方物は抗−真菌薬物、少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含む溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間に渡って抗−真菌薬物の送達を促進し得、かつ揮発性溶媒系の蒸発に先立っての爪表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。さらに、爪表面に適用された処方物は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に固化層を形成することができ、薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発された後に爪へ固化層から継続的に送達され得る。さらなる工程は、固化層を少なくとも4時間の治療時間、該爪表面に保ち、次いで、治療時間の後に固化層を除去することを含むことができる。
【0063】
もう1つの実施形態において、(手皮膚炎のような)皮膚炎または乾癬を治療する処方物は薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。該薬物はクロベタゾールプロピオネート、グロベタゾール、その誘導体、またはその組合せよりなる群から選択された少なくとも1つのメンバーを含むことができる。揮発性溶媒系は少なくとも1つの揮発性溶媒を含み、不揮発性溶媒系はプロピレングリコールおよび/またはグリセロールを含み、およびもう1つの不揮発性溶媒はイソステアリン酸および/またはオレイン酸を含む。固化剤はポリビニルアルコール、魚ゼラチン、ゼイン、またはその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むことができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。皮膚表面に適用された処方物は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発の後に固化した、凝集性で、可撓性であって連続的層を形成することができる。加えて、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に全て蒸発した後に、薬物は治療上有効な速度にて継続的に送達され得る。
【0064】
本発明の処方物、方法、および固化層を用いて、ヒト身体上のいずれの皮膚領域の皮膚炎(湿疹)または乾癬をも治療することができるが、本発明の処方物および方法の特別な特徴は、手の皮膚炎および乾癬を治療するのに特に有益であると予測される。
【0065】
なおもう1つの実施形態において、脱毛症を治療するための固化層は、脱毛症を治療するための薬物、不揮発性溶媒系、および固化剤を含むことができる。不揮発性溶媒系はフラックス化可能であり得る。固化層自体もまたフラックス化可能であり得る(これは、該薬物が治療上有効な速度にて固化層から皮膚へ局所送達され得ることを意味する)。さらに、固化層は、それが、適用の意図した持続の少なくともほとんどの間、元来適用された皮膚表面との良好な接触を維持することができるように、十分なフレキシビリティ、および皮膚表面への接着を有することができる。
【0066】
別の実施形態において、脱毛症を治療する方法は、接着性処方物の層を、脱毛症に罹った皮膚表面へ適用することを含むことができる(毛髪喪失)。該処方物は、脱毛症に罹った対象の毛包に送達した場合に毛髪成長を刺激することができる薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。該溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができ、ここに、不該揮発性溶媒系は、好ましくは、治療上有効な速度にて持続時間に渡って薬物の局所送達を容易とすることができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。他の工程は、該処方物を揮発性溶媒系の少なくとも部分的に蒸発によって固化して、皮膚表面に固化層を形成し;次いで、治療上有効な速度にて持続時間に渡って固化層からの薬物を皮膚へ局所送達することを含む。
【0067】
もう1つの実施形態において、脱毛症を治療するための薬物を送達するための固化層は、脱毛症に罹った対象の毛包に送達した場合に毛髪成長を刺激することができる薬物、少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、ここに、該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間に渡って薬物の送達を促進し得、および固化剤を含むことができる。固化層は、それが、適用の意図した持続の少なくともほとんどの間はそれが元来適用された皮膚表面との良好な接触を維持できるように、十分なフレキシビリティおよび皮膚表面への接着を有することができる。
【0068】
もう1つの実施形態において、脱毛症に罹った対象を治療するための処方物は薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。該薬物はクロベタゾールプロピオネート、クロベタゾール、その誘導体、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含むことができる。該溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、およびプロピレングリコール、グリセロール、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む不揮発性溶媒系、およびイソステアリン酸、オレイン酸、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含むことができる。固化剤はポリビニルアルコール、魚ゼラチン、グルテン、カゼイン、ゼイン、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含むことができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができ、層として皮膚表面に適用された後に、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に固化された、凝集性で、可撓性であって連続的な層を形成することができる。それは、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に全て蒸発された後に、治療上有効な速度にて継続的に局所送達される。
【0069】
もう1つの実施形態において、脱毛症を治療するための方法は、脱毛症に罹った対象の皮膚領域へ、0.01mmから2mmの厚さ層の接着性の固化性処方物を適用することを含むことができる。該処方物はクロベタゾールプロピオネート、クロベタゾール、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む薬物、少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系を含むことができる。他の成分はプロピレングリコール、グリセロール、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む不揮発性溶媒系、およびイソステアリン酸、オレイン酸およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含むことができる。固化剤も存在させることができ、これは、ポリビニルアルコール、魚ゼラチン、グルテン、カゼイン、ゼイン、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むことができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての手のひら皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができ、かつ揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に固化した、凝集性であって可撓性な層を形成することができる。薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に全て蒸発した後に、治療上有効な速度にて継続的に局所送達され得る。他の工程は、処方物を少なくとも2時間の意図した適用時間の間、皮膚表面に残し、次いで、意図した適用時間の後に皮膚表面から該固化した凝集性であって可撓性な層を除去することを含む。
【0070】
もう1つの実施形態において、光損傷ヒト皮膚を治療するための接着性の固化性処方物は免疫変調剤、およびイソステアリン酸、トリアセチン、ソルビタンモノラウレートおよびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むことができる。
【0071】
もう1つの実施形態において、光損傷ヒト皮膚を治療するための固化層は、免疫変調剤、不揮発性溶媒系、および固化剤を含むことができる。該不揮発性溶媒系は少なくとも1つの不揮発性溶媒を含むことができ、該系は、治療上有効な速度での持続時間に渡っての免疫変調剤の送達を容易とすることができる。固化層は、少なくとも2時間の間、ヒト皮膚表面に接着することができる。
【0072】
さらに詳細には、本発明は、免疫アクチベーター、(水、または水よりも揮発性の溶媒と定義される)少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、(水よりも揮発性でないと定義される)1以上の不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、および固化剤を含む処方物に関する。皮膚への適用前に、処方物はクリーム、ゲル、ペーストまたは軟膏のようなその初期の固体未満の形態である。そのような処方物の層を治療すべき皮膚領域に適用した後、揮発性溶媒の蒸発は、固化剤からの助けを借りて、処方物層を、所望により剥離可能である柔軟で、可撓性で、凝集性の固体層に変換することができる。処方物における不揮発性溶媒系は、適用の実質的全持続の間に処方物中に留まる、薬物を皮膚へ送達するための賦形剤溶媒として働く(不揮発性溶媒の一部は適用の間に皮膚によって吸収され得る)。柔軟で可撓性な凝集性の固体層は、実質的持続の間、好ましくは2時間よりも長い間、皮膚に接着するように設計される。所望により、エモリエントおよび/またはモイスチャライジング物質を、有益なモイスチャライジング効果を供し、並びに、皮膚を和らげ、免疫アクチベーターによって引き起こされる可能な刺激を最小化するための処方物に含めることができる。
【0073】
本発明の処方物は、Aldaraクリームよりもいくつかの利点を提供する。まず、本発明の処方物における免疫活性化剤は治療すべき皮膚表面に「繋留」されており、かくして、意図しない除去に感受性ではない。任意のエモリエントおよび/またはモイスチャライジング剤は皮膚をみずみずしくし、皮膚を和らげて、さらなる治療利益を提供することができる。任意のエモリエントおよび/またはモイスチャライジング剤は、免疫活性化剤によって引き起こされた可能な刺激を相殺することもできる。さらに、固化剤によって提供される物理的バリヤー、およびモイスチャライジング剤の水保持特性は、水分を皮膚の表面中および/または上に維持するのを助けることができる。これは価値あることと考えられる。何故ならば、皮膚の水和は皮膚の浸透性を増大させ、これは、今度は、免疫活性化剤の吸収を浄化させることができるからである。従って、免疫アクチベーターおよびモイスチャライジング剤を共に含有する処方物は相乗的であり得る。
【0074】
かくして、本発明は、典型的には(クリーム、ゲル、ペースト、軟膏および他の粘性液体を含めた)半固体の初期形態である処方物に関し、これは、薬物の送達のために、層として皮膚に容易に適用することができ、揮発性溶媒の少なくともいくらかの蒸発の後、迅速に(前記した標準的な皮膚および周囲条件下で15秒から約5分)、ないし中程度迅速に(標準的な皮膚および周囲条件下で約4から約15分)、薬物を送達する(所望により剥離可能でもある)固化層、例えば、凝集性であって柔軟な固体層へ変化することができる。このように形成された固化層は、薬物吸収のほとんどが、固化層が形成された後に起こるように、持続時間に渡って、例えば、数時間から数十時間に渡って薬物を送達することができる。
【0075】
加えて、固化層は、典型的には、皮膚に接着するが、適用後比較的すぐに形成され、かつ対象が着用し、または固化層が不慮に接触し得る衣料または他の物体まで実質的に移動せず、またはそうでなければそれを汚さない、固化し、最小限に接着性の外側表面を有する。固化層は、それが高度に可撓性であって伸長可能であり、かくして、たとえ皮膚が通常の日活動の間に伸びても、皮膚表面との良好な接触を維持することができるように処方することもできる。
【0076】
本発明の処方物を、種々のタイプヒト身体または皮膚表面に適用し、そこで用いることができる。1つの実施形態において、治療すべき皮膚表面は、伝統的に「皮膚」といわれるものであり得る。皮膚表面は皮膚の表皮層であり得る。もう1つの実施形態において、治療することができる皮膚表面は唇、口腔粘膜、性器粘膜、鼻粘膜、または肛門粘膜のような粘膜表面である。もう1つの実施形態において、治療すべき皮膚表面は、指またはつま先の爪表面であり得る。なおもう1つの実施形態において、治療すべき皮膚表面は創傷皮膚表面である。なおもう1つの実施形態において、皮膚表面は、床ずれ、または1つ以上の病巣または皮膚潰瘍を持つ皮膚表面である。
【0077】
用いることができる種々の成分、例えば、薬物、揮発性溶媒系および不揮発性溶媒系の溶媒賦形剤、固化剤などを選択するにおいて、種々の変形を考慮することができる。例えば、揮発性溶媒系は1つ以上の揮発性溶媒(水を含めた、少なくとも水と同程度揮発性)であってよい。本発明の1つの実施形態において、揮発性溶媒系はエタノール、イソプロピルアルコール、水、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ブタン、プロパン、イソブテン、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、酢酸エチル、アセトン、またはその組合せのメンバーを含むことができる。本発明のもう1つの実施形態において、揮発性溶媒系は酢酸イソ−アミル、変性アルコール、メタノール、プロパノール、イソブテン、ペンタン、ヘキサン、クロロブタノール、テレビン、シクロペンタシロキサン、シクロメチコン、メチルエチルケトン、またはその組合せを含むことができる。揮発性溶媒系は前記実施形態に記載された揮発性溶媒のいずれかの混合物または組合せを含むことができる。これらの揮発性溶媒は処方物の残りと適合するように選択すべきである。揮発性溶媒の適当な重量パーセントを処方物で用いるのが望ましいであろう。あまりにも多くの揮発性溶媒系は乾燥時間を延長する。あまりにも少ない揮発性溶媒系は、処方物が皮膚上で伸ばすのが困難とし得る。ほとんどの処方物では、揮発性溶媒の重量パーセンテージは約10wt%から約85wt%、より好ましくは約20wt%から約50wt%であり得る。
【0078】
不揮発性溶媒系は固化剤、薬物、揮発性溶媒、および存在し得るいずれの他の成分に適合するように選択し、または処方することもできる。例えば、固化剤は、それが不揮発性溶媒系に分散可能、または溶解性となるように選択することができる。ほとんどの不揮発性溶媒系および溶媒賦形剤は、全体として、実験後に適切に処方されるであろう。例えば、ある種の薬物は分子量400を有するポリエチレングリコール(PEG)(PEG 400、不揮発性溶媒)を有するが、グリセロール(不揮発性溶媒)および水(揮発性溶媒)に対して貧弱な溶解性を有する。しかしながら、PEG 400はポリビニルアルコール(PVA)を効果的に溶解させることができず、かくして、唯一の固化剤としてのPVAと単独では非常に適合性ではない。十分な量の活性薬物を溶解させ、同時にPVAを固化剤として用いるためには、PEG 400および(PVAに適合する)グリセロールを適当な比率で含む不揮発性溶媒系を処方し、適合性の妥協を達成することができる。適合性のさらなる例として、Span 20をPVAを含有する処方物に処方した場合に、不揮発性溶媒/固化剤の非適合性が観察される。この組合せでは、Span 20は処方物から分離しかねず、かつ固化層の表面に油性層を形成しかねない。かくして、適当な固化剤/不揮発性溶媒の選択は、活力のある処方物および適合する組合せを開発するにおいて望ましい。
【0079】
単独で、あるいは組合せて用いて、不揮発性溶媒系を形成することができる不揮発性溶媒は種々の医薬上許容される液体から選択することができる。本発明の1つの実施形態において、不揮発性溶媒系はグリセロール、プロピレングリコール、イソステアリン酸、オレイン酸、プロピレングリコール、トロラミン、トロメタミン、トリアセチン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ブタノール、またはその組合せを含むことができる。もう1つの実施形態において、不揮発性溶媒系は安息香酸、ブチルアルコール、セバチン酸ジブチル、ジグリセリド、ジプロピレングリコール、オイゲノール、ココヤシ油、魚油、ヤシ油、ブドウ種子油のような脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オレイルアルコール、ビタミンE、トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸界面活性剤、クエン酸トリエチル、またはその組合せを含むことができる。さらなる実施形態において、不揮発性溶媒系は1,2,6−ヘキサントリオール、アルキルトリオール、アルキルジオール、アセチルモノグリセリド、トコフェロール、アルキルジオキソラン、p−プロペニルアニソール、アニス油、アプリコット油、ジメチルイソソルビド、アルキルグルコシド、ベンジルアルコール、蜜蝋、安息香酸ベンジル、ブチレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カラメル、桂皮油、ヒマシ油、シンナムアルデヒド、シンナモン油、チョウジ油、ココヤシ油、カカオバター、ココグリセリド、コリアンダー油、トウモロコシ油、コリアンダー油、トウモロコシシロップ、綿実油、クレゾール、シクロメチコン、ジアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリセリド、エチレングリコール、ユーカリ油、脂肪、脂肪アルコール、矯味矯臭薬、液体糖ジンジャーエキス、グリセリン、高フルクトーストウモロコシシロップ、水素化ヒマシ油、IPパルミテート、レモン油、ライム油、リモネン、ミルク、モノアセチン、モノグリセリド、ナツメグ油、オクチルドデカノール、オリーブアルコール、オレンジ油、ヤシ油、落花生油、PEG植物油、ペパーミント油、ペテロラタム、フェノール、松葉油、ポリプロピレングリコール、ゴマ油、スペアミント油、大豆油、植物油、植物ショートニング、酢酸ビニル、ワックス、2−(2−(オクタデシルオキシ)エトキシ)エタノール、安息香酸ベンジル、ブチル化ヒドロキシアニソール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、セテアレス−20、セチルアルコール、ポリグリセリル、ジポリヒドロキシステアレート、PEG−7水素化ヒマシ油、フタル酸ジエチル、セバチン酸ジエチル、ジメチコン、フタル酸ジメチル、PEGステアレート、PEG−オレエート、PEG−ラウレートのようなPEG脂肪酸エステル、PEG−ジオレエート、PEG―ジステアレートのようなPEG−脂肪酸ジエステル、PEG−ヒマシ油、ベヘン酸グリセリル、PEG−グリセリルラウレート、PEGグリセリルステアレート、PEGグリセリルオレエートのようなPEGグリセロール脂肪酸エステル、ヘキシレングリセロール、ラノリン、ラウリン酸ジエタノールアミド、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、メドロン酸、メタクリル酸、マルチステロール抽出物、ミリスチルアルコール、中性油、PEG−オクチルフェニルエーテル、PEG−セチルエーテル、PEG−ステアリルエーテルのようなPEG−アルキルエーテル、PEG−ソルビタンジイソステアレート、PEG−ソルビタンモノステアレートのようなPEG−ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコール、カプリレート/カプレートのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、スクワレン、ステア−o−ウェット(stear−o−wet)、トリグリセリド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、ソルビタン−エーテルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、N−メチルピロリドン、蜂蜜、ポリオキシエチル化グリセリド、ジメチルスルホキシド、アゾンおよび関連化合物、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、アルキル−アミド(N,N−ジメチルアルキルアミド)、N−メチルピロリドン関連化合物、オレイン酸エチル、ポリグリセリン化脂肪酸、グリセロールモノオレエート、グリセリルモノミリステート、脂肪酸のグリセロールエステル、絹アミノ酸、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、Di−PPG2ミレス10−アジペート、ハニークワット、ピログルタミン酸ナトリウム、アビシニカ油、ジメチコン、マカダミアナッツ油、limnanthes alba種子油、セテアリルアルコール、PEG−50シェアバター、シェアバター、アロエベラジュース、フェニルトリメチコン、加水分解した小麦蛋白質、またはその組合せを含むことができる。なおさらなる実施形態において、不揮発性溶媒系は前記議論の実施形態のいずれかに記載された不揮発性溶媒の組合せまたは混合物を含むことができる。
【0080】
皮膚に対して刺激性である特定の揮発性および/または不揮発性溶媒は、薬物の所望の溶解性および/または浸透性を達成するのに用いるのが望ましいであろう。また、共に皮膚刺激を妨げ、または低下させることができ、かつ処方物と適合性である化合物を加えるのも望ましい。例えば、溶媒(不揮発性または揮発性いずれか)が皮膚を刺激することができる処方物において、皮膚刺激を低下させることができる不揮発性溶媒を用いるのが助けるになるであろう。皮膚刺激を妨げ、または低下させることができることが公知の溶媒の例は、限定されるものではないが、グリセリン、蜂蜜、およびプロピレングリコールを含むが、他の刺激低下溶媒を用いてもよい。
【0081】
本発明の処方物は、独立して、薬物についての適切な不揮発性溶媒ではないが、一緒に処方した場合に適切な不揮発性溶媒となる2つ以上の不揮発性溶媒を含有することもできる。これらの最初は適切でない不揮発性溶媒が一緒に処方した場合に適切な不揮発性溶媒となる1つの可能な理由は、より高いフラックスを有する物理的形態へ薬物のイオン化状態を最適化することによるのであり、あるいは不揮発性溶媒はいくつかの他の相乗的様式で作用する。不揮発性溶媒の混合の1つのさらなる利点は、それが、処方物、または処方物下の皮膚組織のpHを最適化して、刺激を最小化することができることである。適当な不揮発性溶媒系をもたらす不揮発性溶媒の適当な組合せの例は、限定されるものではないが、イソステアリン酸/トロラミン、イソステアリン酸/ジイソプロピルアミン、オレイン酸/トロラミンおよびプロピレングリコール/イソステアリン酸を含む。
【0082】
固化剤の選択が、固化性の接着性処方物に存在する他の成分を考慮して行うこともできる。適当な固化剤は、処方物が、揮発性溶媒の蒸発の前に液体または半固体状態、例えば、クリーム、ペースト、ゲル、軟膏などであり、揮発性溶媒の少なくともいくらかの蒸発の後に柔軟で、凝集性の固体となるように、処方物に対して適合性である。固化剤は薬物および(揮発性溶媒および不揮発性溶媒系を含めた)溶媒賦形剤と適合し、ならびに一旦それが形成されたならば固化層へ所望の物理的特性を提供するように選択し、または処方することができる。薬物、溶媒賦形剤、および/または存在させることができる他の成分に依存して、固化剤は種々の剤から選択することができる。1つの実施形態において、固化剤は20,000から70,000のMW範囲を持つポリビニルアルコール(Amresco)、80,000から160,000のMW範囲を持つポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステルISP Gantrez ES−425およびGantrez ES−225)、120,000から180,000のMW範囲を持つメタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー(Degussa Plastoid B)、100,000から200,000のMW範囲を持つメタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルのコポリマー(Degussa Eudragit E100)、5,000を超えるMW、またはEudragit RLPOと同様なMWを持つアクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物コポリマー(Degussa)、5,000を超えるMWを持つZein(プロラミン)(ゼイン,35,000程度のMW,Freeman Industries)、Instant Pure−Cote B793と同様なMWを有するα化デンプン(Grain Processing Corporation)、5,000よりも大きなMW、またはAqualon EC N7、N10、N14、N22、N50またはN100と同様なMWを持つエチルセルロース(Hercules)、20,000から250,000のMW範囲を有する魚ゼラチン(Norland Products)、ゼラチン、5,000を超えるMW範囲を持つ他の動物起源、5,000を超えるMW範囲、またはNational StarchおよびChemical Dermacryl 79と同様なMWを持つアクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマーを含むことができる。
【0083】
もう1つの実施形態において、固化剤はエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエーテルアミド、トウモロコシデンプン、α化トウモロコシデンプン、ポリエーテルアミド、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレンゴム、ポリ酢酸フタル酸ビニルまたはその組合せを含むことができる。さらなる実施形態において、固化剤はメタクリル酸アンモニア、カラギーナン、EastmanからのCAPNFのような水性酢酸フタル酸セルロース、カルボキシポリメチレン、酢酸セルロース(微結晶性)、セルロースポリマー、ジビニルベンゼンスチレン、エチレン酢酸ビニル、シリコーン、グアガム、グアロジン、グルテン、カゼイン、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸アンモニウム、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カリウム、アクリル酸メチル、マイクロクリスタリンワックス、ポリ酢酸ビニル、PVPエチルセルロース、アクリレート、PEG/PVP、キサンタンガム、トリメチルシロキシシリケート、マレイン酸/無水物コポリマー、ポラクリリン、ポロキサマー、ポリエチレンオキサイド、ポリガラクチン酸/ポリ−l−乳酸、ツルペン樹脂、ローカストビーンガム、アクリコポリマー、ポリウレタン分散液、デキストリン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、BASF’ Kollicoatポリマーのようなメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸、およびポリ(メタクリル酸)のようなメタクリレート系ポリマー、またはその組合せを含むことができる。なおさらなる実施形態において、固化剤は、先に議論した実施形態のいずれかに記載された固化剤の組合せを含むことができる。他のポリマーは、溶媒賦形剤成分、薬物、および与えられた処方物の具体的な機能的要件に依存して、固化剤としてやはり適当であろう。
【0084】
本発明の1つの実施形態において、固化剤は、メタクリル酸ポリマー、あるいはメタクリル酸−アクリル酸エチルのコポリマー、メタクリル酸ブチルおよびメチルのコポリマー、メタクリル酸アミノアルキルのコポリマー、および/またはメタクリル酸アンモニオアルキルのコポリマーのようなコポリマーを含む。もう1つの実施形態において、固化剤はポリビニルアルコール、あるいはポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールのコポリマーのようなポリビニルアルコールのコポリマーを含む。
【0085】
不揮発性溶媒系および固化剤は好ましくは相互に対して適合性である。適合性は、i)固化剤は不揮発性溶媒系の機能に実質的に否定的には影響せず;ii)固化剤は、実質的にまったく不揮発性溶媒が該層から逃げないように、固化剤は不揮発性溶媒系を固化層に保持することができ、およびiii)選択された不揮発性溶媒系および固化剤で形成された固化層は許容できるフレキシビリティ、剛性、引張張力、弾性、および接着性を有する;と定義することができる。固化剤に対する不揮発性溶媒系の重量比率は約0.1:1から約10:1、より好ましくは約0.5:1から約2:1とすることができる。いくつかの実施形態において、不揮発性溶媒系は処方物の全重量の約20から60%を占める。
【0086】
皮膚に適用された処方物層の厚みは、与えられた処方物および所望の薬物送達の考慮でやはり適切なものとすべきである。もし該層があまりにも薄ければ、薬物の量は所望の長さの時間にわたって持続送達を支持するのに十分ではないであろう。もし該層があまりにも厚いと、固化層の汚くない外側表面を形成するのにあまりにも長時間を要するであろう。もし該薬物が非常に優れていて、固化層が非常に高い引張張力を有すれば、0.01mmと同程度に薄い層は十分であろう。もし該薬物がむしろ低い能力を有し、固化層が低い引張張力を有するならば、2から3mmと同定度の厚みと層が望ましいであろう。かくして、ほとんどの薬物および処方物については、適当な厚みは約0.01mmから約3mm、0.01mmから約2mmまたは約0.2mmから約0.4mmとすることができる。1つの実施形態において、本発明の処方物は、該処方物を圧縮容器に含有させて、スプレイイングによって皮膚へ適用できるように、十分なガス揮発性溶媒を有することができる。もう1つの実施形態において、処方物は、脱毛症を経験している対象の皮膚表面に噴霧することができる。
【0087】
本発明の処方物は、脱毛症に罹った対象の種々の皮膚表面に適用することができる。一般に、皮膚表面はいずれのサイズであってもよく;しかしながら、1つの実施形態においては、特に活性薬物はコルチコステロイドであれば、該領域を100cm以下、しばしば、20cm以下に制限するのは望ましいであろう。皮膚領域を制限する望ましさは、コルチコステロイドは局所適用されるが、送達された薬物の良好な部分は全身循環に入ることができ、これは、もし十分に多い量においては、望ましくない副作用を引き起こしかねないという事実に基づく。従って、良好な局所的効果および最小の全身薬物吸収のバランスを達成するのが望ましいであろう。コルチコステロイドの作用部位は、皮膚表面下にいくぶん深く存在する毛包であるので、薬物は皮膚を通って比較的長い経路に沿って移動する必要がある。かくして、対象はいくらか全身接種を経験することができる。これを述べると、かなりの数の脱毛症対象は比較的小さな皮膚領域を有するに過ぎず、そこで、彼らは脱毛症を経験している。従って、皮膚治療領域に対する制限は、全身副作用を最小化しつつ、それらの対象の治療必要性を段階化することができる。脱毛症皮膚領域がより大きな対象についてさえ、治療皮膚領域に対する制限は依然として重要であろう。というのは、それは脱毛症皮膚領域が全身副作用の最小化された可能性でもって少しずつ治療されるのを可能とするからである。少しずつの大きな脱毛症皮膚領域の治療が可能である。なぜならば、各部分の治療は連続的な代わりに周期的であると予測されるからである。
【0088】
所望によりピールの形態である固化層のフレキシビリティおよび伸長性はいくつかの適用において望ましいであろう。高いフラックスおよび伸びは、治療すべき領域が唇または口角のように、頻繁な伸びまたは運動に関与する場合に特に有利である。伝統的な軟膏、クリーム、ゲル、ペーストなどは、しばしば、これらの領域の治療に適さない。なぜならば、それらは唇をなめることによって、または食べる間の食物との接触を介して容易に除去されるからである。対照的に、本発明の固化性組成物は、容易になめ、擦り、または掻き取られることなく、適当なフレキシビリティおよび伸長を提供するように処方することができる。また、本発明の固化層は常に伸長性である必要はないが、いくらかの弾性は好ましいことは述べておく価値がある。
【0089】
処方物のさらなる特徴は乾燥時間である。もし処方物があまりにも迅速に乾燥されれば、ユーザーは、処方物が固化される前に皮膚表面に処方物を薄い層に広げるのに十分な時間を有することができず、貧弱な皮膚の接触を招く。もし処方物があまりにもゆっくりと乾燥すれば、対象は、固化していない処方物を除去し得る通常の活動(例えば着用、食事、会話などという)を再開するまでに長時間待たなければならないであろう。かくして、乾燥時間が約15秒を超えるが、15分よりも短く、好ましくは、約0.5分から約5分であるのが望ましい。
【0090】
本発明の処方物を便宜に用いるための1つの方法は、睡眠の1時間以内に治療すべき皮膚へ処方物を適用し、目覚めてから1時間内に固化層を除去することである。
【0091】
もう1つの方法は、処方物を目覚めてから1時間内に処方物を適用し、睡眠の1時間以内に固化層を除去することである。
【0092】
本発明の処方物を用いて、光損傷皮膚の皮膚科学的状態を治療する場合、処方物を適用して、損傷した皮膚領域をわずかに超えて皮膚領域を被覆するのが有利であり得る。従って、本発明の1つの実施形態は、処方物を損傷した皮膚領域を少なくとも1から2mm超えて適用することである。
【0093】
本発明の固化層の他の利点は、材料自体によって形成することができる物理的バリヤーの存在を含む。物理的バリヤーは、感染した領域が、刺激、疼痛、またはさらなる感染を引き起こす物体または源に接触することから保護することができる。例えば、固化層はおむつとの摩擦に対してバリヤーとして、または尿/便に対して保護バリヤーとして作用することができる。加えて、揮発性溶媒系の蒸発に際して、投与形態は比較的厚く、伝統的なクリーム、ゲル、ローション、軟膏、ペーストなどの典型的な層よりも多くの活性な薬物を含有するがことでき、さらに意図しない除去にさらされない。
【0094】
これらの利点、および他の利点は以下の非限定的適用実施形態によってまとめることができる。本発明の固化層は、半固体投与形態として適用するのが容易である初期形態で調製することができる。加えて、揮発性溶媒の蒸発に際して、皮膚に適用された処方物層は比較的厚く、伝統的なクリーム、ゲル、ローション、軟膏、ペーストなどの典型的な層よりも多くの活性な薬物を含有することができ、さらに、意図しない除去に対して抵抗性である。揮発性溶媒の蒸発、および固化層の形成の後に、固化層中の薬物は治療上有効な速度にて持続時間にわたって送達することができる。さらに、固化層は皮膚に接着したままであるので、固化層の容易な除去が、通常、溶媒または界面活性剤の助けを借りなくても起こり得る。いくつかの実施形態において、皮膚への接着および、材料の弾性は、固化層が、関節および筋肉上のような、かなり伸長性の皮膚領域において皮膚伸長に際して皮膚から分離しないようなものである。例えば、1つの実施形態において、固化層は、該層が適用された皮膚表面からのクラッキング、破壊、および/または分離なくして少なくとも1つの方向に5%または10%以上さえ伸長させることができる。
【0095】
さらなる注記として、本発明の固化層が不揮発性溶媒系の実質的量を維持できるのは該固化層のユニークな特徴であり、これは薬物を身体表面に送達するのに最適化される。この特徴は現存の製品よりもユニークな利点を提供することができる。例えば、Penlacは、爪真菌感染に広く用いられている製品である。これは、薬物シクロピロックス、揮発性溶媒(酢酸エチルおよびイソプロピル)、および重合物質を含む。爪表面に適用された後で、揮発性溶媒は迅速に蒸発し、処方物層が硬いラッカーに固化する。薬物分子は硬いラッカー層に固定化され、爪への送達では実質的に利用できない。その結果、薬物の送達は長時間に渡って持続できないと考えられる。その結果、いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、これは、広く用いられているPenlacが唯約10%の有効率を有する理由の少なくとも1つであると考えられる。逆に、本発明の固化層において、薬物分子は、皮膚表面、例えば、皮膚、爪、粘膜など、表面と接触している不揮発性溶媒中でかなり動くことができ、かくして、維持された送達を確実とする。
【実施例】
【0096】
以下の実施例は、現在最良に知られた本発明の実施形態を説明する。しかしながら、以下のものは本発明の原理の適用の例にすぎず、またはそれを説明するものであることは理解されるべきである。多数の改良および代替組成物、方法およびシステムは、本発明の精神および範囲を逸脱することなく当業者によって考案され得る。添付の請求の範囲は、そのような改良および配置を網羅することを意図する。従って、本発明を特別なものを用いて記載してきたが、以下の実施例は、現在本発明の最も現実的かつ好ましい実施形態とみなされるものに関連したさらに詳細を提供する。
【0097】
実施例1
無毛マウス皮膚(HMS)またはヒト表皮膜(HEM)を、本明細書中に記載されたイン・ビトロフラックス実験のために注記したモデル膜として用いる。無毛マウス皮膚(HMS)は、本明細書中に記載されたイン・ビトロフラックス実験用のモデル膜として用いる。無毛マウスの腹部から取り出した新たに分離された表皮を、Franz拡散セルのドナーおよびレシーバーチャンバーの間に注意深く設置する。レシーバーチャンバーにはpH7.4リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を満たす。実験は、皮膚試料の角質層(SC)上に(実施例2から5の)テスト処方物を置くことによって開始する。Franzセルは37℃に維持した加熱ブロックに入れ、HMS温度は35℃に維持する。所定の時間間隔にて、800μLアリコットを捨て、新鮮なPBS溶液で置き換える。皮膚フラックス(μg/cm/h)は、浸透−vs−時間の累積量のプロットの定常状態勾配から決定される。ヒト死体皮膚は同様にイン・ビトロフラックス実験用のモデル膜として用いることができることに注意すべきである。皮膚の設置およびサンプリング技術は、HMS実験について前記したのと同一なものを用いた。
【0098】
実施例2
種々の不揮発性溶媒系におけるアシクロビールの処方物を評価する。過剰のアシクロビールが存在する。HMSを通じてのテスト処方物からのアシクロビールの経皮フラックスを以下の表1に示す。
【0099】
【表1】

示したように、アシクロビール皮膚フラックスの有意な増強が、トロラミンと混合したイソステアリン酸またはオレイン酸で達成される。比較的有意なフラックス増強(例えば、10倍)が、トロラミンをオリーブ油、オレイン酸、およびイソステアリン酸に加えた場合に観察され、トロラミンをオレイン酸エチルに加えた場合には、認識可能なフラックス増強は観察されない。この驚くべき結果は、かなり高いアシクロビールフラックス値をもたらすトロラミン/脂肪酸組合せの相加または相乗増強効果結果でさえある。
【0100】
実施例3から6
プロトタイプの接着性の固化性処方物を以下のように調製する。いくつかのアシクロビール固化性処方物は、以下のように、表2に従って、本発明の実施形態により調製する。
【0101】
【表2】

実施例3から6において、表2中の組成物を以下のように調製する。Eudragit RL−POおよびエタノールをガラスジャー中で合わせ、RL−POが溶解するまで撹拌しつつ加熱する。イソステアリン酸およびトロラミンをRL−PO/エタノール混合物に加え、混合物を激しく撹拌する。一旦均一な混合物が得られれば、アシクロビールを混合物に加え、処方物を激しく混合する。
【0102】
実施例7から8
2つのアシクロビール接着性固化性処方物は、以下のように、表3に従って本発明の実施形態により調製する。
【0103】
【表3】

表3に示された実施例7および8の組成物は以下の通りに調製する。Eudragit RL−POおよびエタノールをガラスジャー中で合わせ、RL−POが溶解するまで撹拌しつつ加熱する。イソステアリン酸およびジイソプロパノールアミンまたはNeutrol TE Polyol(BASF)をRL−PO/エタノール混合物に加え、混合物を激しく撹拌する。一旦均一な混合物が得られれば、アシクロビールを混合物に加え、処方物を激しく混合する。
【0104】
実施例9から10
2つのアシクロビール固化性処方物を、以下のように、表4に従って本発明の実施形態により調製する。
【0105】
【表4】

実施例9から10においては、表4中の組成物は以下のように調製する。EC7またはEC100およびエタノールをガラスジャー中で合わせ、固体セルロースが溶解するまで撹拌しつつ加熱する。イソステアリン酸およびトロラミンをセルロース/エタノール混合物に加え、混合物を激しく撹拌する。一旦均一な混合物が得られれば、アシクロビールを混合物に加え、処方物を激しく混合する。
【0106】
実施例11
実施例3から10の処方物を、実施例1に記載された無毛マウス皮膚(HMS)イン・ビトロモデルでテストする。表5は、先に概説した実験プロセスを用いて得られたデータを示す。
【0107】
【表5】

先に示した本発明の処方物は、一般に、有効成分の有意な浸透を供し、さらに、実施例3から5および10の処方物は、市販されている製品Zovirax Cream(対照)よりも浸透性がかなり大きいことが見出される。実施例3、4についての経時的にHMS角化層を横切って浸透するアシクロビール、およびZovirax Creamの量を図1に示す。各値は少なくとも3つの実験の平均±SDを示す。
【0108】
実施例3から6は、アシクロビールフラックス増強に対するイソステアリン酸(ISA)に対するトロラミンの比率のインパクトを示す。最適なISA:トロラミン比率は1:1から2:1であり、4:1よりも大きな比率はアシクロビール皮膚フラックスの有意な減少を示す。処方物におけるトロラミンの代わりのジイソプロパノールアミンおよびNeutrolの添加(実施例7および8)は、アシクロビールフラックス値の有意な減少を示す。これは、より高い皮膚フラックスを促進する処方物内の環境を作り出す、トロラミンおよびISAの間の特異的化学相互作用によるものであろう。実施例9および10は、異なる固化剤を利用して、アシクロビールフラックスに対する固化剤のインパクトを見積もる。驚くべきことに、実施例9はアシクロビール皮膚フラックスの有意な減少を示すが、固化剤の分子量だけ実施例9と異なる実施例10は、実施例3における同様なISA:トロラミン比率と比較してアシクロビール皮膚フラックスに対してインパクトを示さない。
【0109】
図1から分かるように、実施例3および4は8時間までのアシクロビールの持続送達を示し、対象が皮膚に付着された固化処方物を取り去りたい限り、アシクロビールの送達は報告されたフラックス値において継続するであろうことは、薬物負荷および不揮発性溶媒の継続した存在に基づいて推定するのが合理的であろう。
【0110】
実施例12
(アシクロビールを含まない)実施例4と同様な処方物をヒト皮膚表面に適用し、その結果、薄く、透明で、可撓性な伸長性フイルムが得られる。揮発性溶媒(エタノール)の蒸発から数分後に、剥離可能な固化接着性層が形成される。伸長可能なフイルムは皮膚に対して良好な接着を有し、皮膚から分離せず、皮膚から容易に剥離することができた。アシクロビールの不存在は、凝集性固体の物理的および疲労特性に対して最小のインパクトを有し、ないしインパクトを有さないと予測される。なぜならば、存在する場合、それはそのように低い濃度で存在するからである。
【0111】
実施例13から14
抗−真菌処方物を調製し、ピールのフレキシビリティおよび粘度の定量的評価を行う。処方物の成分は以下の表6に示す。
【0112】
【表6】

実施例13における処方物は、爪または皮膚表面への適用で望ましいであろうよりも低い粘度を有する。この処方物で固化ピールを形成するための時間は望まれる乾燥時間よりも長い。実施例14における処方物は固化剤(Eudgragit RL−PO)の量の増加、およびエタノールの量の減少を有し、これは、粘度および乾燥時間を改良する。実施例14は、適用に適した粘度、および改良された乾燥時間を有する。
【0113】
実施例15
種々の不揮発性溶媒系におけるベタメタゾンジプロピオネ−ト(BDP)の処方物を、実施例1に記載された手法に従って評価する。過剰のBDPが存在する。HEMを通ってのテスト処方物からのBDPの浸透を以下の表7に示す。
【0114】
【表7】

皮膚中の活性な酵素はBDPをベタメタゾンに変換する。表7に報告された定常状態フラックス値は、外部ベタメタゾン標準を用いて定量し、単位面積および時間当たりに浸透するベタメタゾンの量として報告する。結果から分かるように、トリアセチン、ラブラゾール、オレイン酸および軽質鉱油は10 ng/cm/時間に近いフラックス値を有する。固化剤および他の成分の添加は、おそらくは、フラックスを減少させ、従って、前記した溶媒は理想的な不揮発性溶媒ではないであろう。しかしながら、ソルビタンモノラウレートおよびプロピレングリコールは、各々、30 ng/cm/時間および195 ng/cm/時間の平均フラックスを有し、従って、不揮発性溶媒に対する良好な候補である。
【0115】
実施例16
種々の不揮発性溶媒系におけるクロベタゾールプロピオネートの処方物を評価する。全ての溶媒は0.1%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを有する。HEMを通じてのテスト処方物からのクロベタゾールの浸透を以下の表8に掲げる。
【0116】
【表8】

実験した全ての純粋な不揮発性溶媒は、30時間の時間にわたっての40 ng/cm/hr未満の平均フラックスを有する。プロピレングリコールおよびグリセロールはクロベタゾールプロピオネートについての最低浸透を有する。プロピレングリコールおよびイソステアリン酸の9:1の重量比率の混合物は、溶媒単独、またはテストした他の溶媒のいずれよりも有意に高いフラックスを有する。平均フラックスは、最良の混合していない溶媒である軽質鉱油のそれよりも20倍高い。よって、クロベタゾールプロピオネートについては、プロピレングリコール/イソステアリン酸の組合せは理想的な不揮発性溶媒である。
【0117】
実施例17−22
不揮発性溶媒および種々の固化剤としてのプロピレングリコールおよびイソステアリン酸と共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性処方物を調製する。処方物は表9に示した成分から調製する。
【0118】
【表9】

先に示した組成物の各々を、以下のように、表10に示したようにクロベタゾールプロピオネートのフラックスについて実験する。
【0119】
【表10−1】

【0120】
【表10−2】

表10から分かるように、固化剤としてポリビニルアルコールを含有する実施例17に記載された処方物はクロベタゾールプロピオネートの高いフラックスを有する。ポリビニルアルコールは(もし適当な可塑剤で処方したならば)伸長性フイルムを形成することが知られており、この処方物は許容できる疲労特性を有するようである。得られたフイルムの靭性は、もし必要ならば、適当な可塑剤を加えることによって修飾することができる。また、適当な量の粘着剤を加えることによって、あるいは適当な量のDermacryl 79のようなもう1つの固化剤を加えることによって、粘着性を修飾することもできる。
【0121】
実施例22に記載された処方物については、より高いパーセンテージのエタノールが、ポリマーを溶解するのに必要である。しかしながら、実施例22で用いるポリマーは、実験した固化剤の中では、クロベタゾールプロピオネートの最高のフラックスを提供する。この処方物の疲労特性は、限定されるものではないが、可塑剤、粘着剤、不揮発性溶媒および/または固化剤を含めた、適当なレベルの他の成分を加えることによって修飾することができる。
【0122】
実施例23から25
粘着剤としてGantrez ES 425を含有するプラセボ処方物を、ボランティアによる疲労実験のために調製した。処方物は表11中の例として示す。全ての処方物は固化剤としてポリビニルアルコールを有する。処方物中のプロピレングリコールの量は19.6%(w/w)から8.7%(w/w)へ減少し、グリセロールの量は、全不揮発性比率を一定に保つのと同一量によって増加された。不揮発性比率を一定に保つのは重要である。というのは、それは乾燥時間および送達の持続を決定するからである。プラセボ処方物を手のひらに付着させ、揮発性溶媒の蒸発のちに形成されたフイルムのパーセンテージ接着を5から6時間後に観察した。
【0123】
【表11】

3人のボランティアについての疲労実験結果は、実施例23に記載された固化層の70から80%が5から6時間の持続の後に手のひらに留まっていたことを示す。しかしながら、実施例25に示した、90%を超える固化層がボランティアの手のひらに留まった。これらの実施例は、グリセロールが、ポリビニルアルコールポリマーについてプロピレングリコールよりも良好な可塑剤であることを示す。それは、不揮発性溶媒の比率が、手の皮膚炎の治療用の処方物を選択するのに非常に重要であることも示す。
【0124】
実施例26
以下の組成:10.4%ポリビニルアルコール、10.4%ポリエチレングリコール400、10.4%ポリビニルピロリドンK−90、10.4%グリセロール、27.1%水、および31.3%エタノールを有する処方物を肘関節および指関節においてヒト皮膚表面に適用し、その結果、薄く、透明で、可撓性であって伸長可能なフイルムが得られた。揮発性溶媒(エタノールおよび水)の数分間の蒸発の後に剥離可能な固化剥離性層が形成された。伸長可能なフイルムは皮膚に対して良好な接着を有し、曲げた場合に、関節上の皮膚から分離せず、皮膚から容易に剥離できた。
【0125】
実施例27から28
固化性ポリマーとしてのポリビニルアルコールと共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートおよび0.15%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性の剥離可能な処方物をイン・ビトロフラックス評価のために調製する。プロピレングリコールおよびオレイン酸は、クロベタゾールプロピオネート送達の促進のために選択された不揮発性溶媒である。実施例12に示すように、グリセロールはその可塑特性のために不揮発性溶媒として加える。2つの処方物で用いた成分の比率を表12に示す。
【0126】
【表12】

前記で示した組成物の双方を、3人のドナーからの死体皮膚上でのクロベタゾールプロピオネートのフラックスについて調べた。浸透性結果は表13に示す通りである。市販のクロベタゾール軟膏(0.05% w/w)を対照処方物として用いた。
【0127】
【表13】

表13から分かるように、固化剤としてのポリビニルアルコール、および0.05%クロベタゾールプロピオネートを含有する実施例27に記載した処方物は、対照処方物と比較した場合に、クロベタゾールプロピオネートの46%フラックスを有した。クロベタゾールプロピオネート濃度薬物濃度を0.15%(w/w)まで増加させると、定常状態フラックスを増加させ、フラックス値は対照処方物の94%であった。ピール処方物での適用のより長い持続は、累積送達をイン・ビボで増加させ皮膚炎の効果的な治療をもたらす。
【0128】
実施例29
固化剤としての魚ゼラチンと共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性の固化性処方物を、イン・ビトロフラックス評価のために調製する。プロピレングリコール、イソステアリン酸、およびオレイン酸を不揮発性溶媒として用いて、クロベタゾールの送達を容易とする。タルクを充填剤として加えて、処方物の乾燥時間を低下させる。処方物で用いた成分の比率を表14に示す。
【0129】
【表14】

先の実施例に示したポリビニル系処方物とは異なり、実施例29に示された魚ゼラチン系処方物は水で洗浄可能な処方物であり、手の皮膚炎に罹った対象によって容易に除去され得る。実施例29に記載した処方物での3人のドナーからのヒト死体皮膚を通っての定常状態フラックスを市販のクロベタゾール軟膏と比較する。浸透性結果を表15に示す。
【0130】
【表15−1】

【0131】
【表15−2】

表15から分かるように、実施例29に記載された処方物は、市販の軟膏と比較した場合に62%高い定常状態フラックスを有する。より高い定常状態フラックスは、治療が困難な皮膚炎および乾癬症例の炎症を低下させると予測される。
【0132】
実施例30
固化性ポリマーとしての魚ゼラチンと共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性の固化性処方物を、イン・ビトロフラックス評価のために調製する。プロピレングリコール、およびイソステアリン酸を不揮発性溶媒として用いて、クロベタゾールの送達を容易とする。ヒュームド・シリカを充填剤として加えて、処方物の乾燥時間を低下させる。処方物で用いる成分の比率を表16に示す。
【0133】
【表16】

実施例30に示された魚ゼラチン系処方物は水で洗浄可能な処方物であり、手の皮膚炎を罹った対象によって容易に除去され得る。実施例30に記載された処方物での4人のドナーからのヒト死体皮膚を横切っての定常状態フラックスを市販のクロベタゾール軟膏と比較する。浸透性結果を表17に示す。
【0134】
【表17】

表17から分かるように、平均して、実施例30に記載された処方物は、市販の軟膏での定常状態フラックスと比較した場合、少なくとも同様な、または良好な定常状態フラックスを有する。実施例29で用いたタルクとは異なり、ヒュームド・シリカは低い密度を有し、処方物から分離する低い能力を有すると予測される。
【0135】
実施例31
実施例29および30は、蛋白質系固化剤(ポリマー)である魚ゼラチンベースの処方物が、コルチコステロイド薬物の送達のために選択した好ましいポリマーであることを示す。しかしながら、魚ゼラチンベースの処方物は乾燥により長い時間を要する。固化ポリマーとして、トウモロコシベースの蛋白質であるゼインと共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する別の接着性処方物を、イン・ビトロフラックス評価のために調製する。プロピレングリコール、およびイソステアリン酸を不揮発性溶媒として用いて、クロベタゾールの送達を容易とする。エタノールに対する貧弱な溶解性を有する魚ゼラチンとは異なり、ゼインはエタノールに溶解性である。よって、ゼインベースの処方物はより短い乾燥時間を有する。該処方物で用いた成分の比率を表18に示す。
【0136】
【表18−1】

【0137】
【表18−2】

実施例31に記載された処方物でのヒト死体皮膚を横切っての定常状態フラックスを、市販のクロベタゾール軟膏での皮膚フラックスと比較する。浸透性の結果を表19に示す。
【0138】
【表19】

表19から分かるように、実施例31に記載された処方物は市販の軟膏に対して匹敵する定常状態フラックスを有する(比率86%)。この比率は、46%の比率を有する、ポリビニルアルコールベースの処方物である実施例27における処方物の比率よりも有意に高い。本実施例は、蛋白質ベースの固化剤がポリビニルベースの処方物よりも良好なコルチコステロイドのフラックスを維持することを示す。実施例31における処方物の疲労特性は、可塑剤および充填剤の添加によって改良することができる。
【0139】
実施例32
経表皮水喪失(TEWL)を低下させる固化された固化性処方物の能力を証明するために以下の実験を行った。
【0140】
実施例28に記載された処方物と同様なプラセボPVA処方物を手の頂部に適用し、固化層にすぐに隣接する部位にて、および固化したピールの頂部にてTEWLを測定した。固化層によって被覆された部位のTEWL測定は、未処理皮膚部位よりも33%低かった。
【0141】
実施例20に記載された処方物と同様なプラセボPlastoid B処方物を手の頂部に適用し、固化層に直ぐに隣接した部位にて、および固化したピールの頂部にて、TEWLを測定した。固化層によって被覆された部位でのTEWL測定は、未処理皮膚部位よりも30%低かった。
【0142】
実施例33から36
以下の成分を含有する接着性の固化性処方物を作成する:
【0143】
【表20】

これらの処方物は実施例1に記載したようにHMS皮膚に適用し、イミキモドフラックスを測定する。実施例33から36における処方物で行ったイン・ビトロフラックス実験からの結果のまとめを表21にリストする。
【0144】
【表21−1】

【0145】
【表21−2】

実施例33から36のイン・ビトロフラックスは、Aldara対象のそれよりも実質的に高い。
【0146】
本発明をある好ましい実施形態を参照して記載してきたが、当業者であれば、本発明の精神を逸脱することなく種々の改良、変形、省略、および置換をなすことができるのを認識するであろう。従って、本発明は特許請求の範囲のみによって限定されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】図1は、市販の製品であるZoviraxクリームと比較した、本発明の実施形態による2つの別々の処方物から経時的に経皮送達されたアシクロビールの累積量のグラフ表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚科学的状態を治療するための接着性の固化性処方物であって、
a)皮膚科学的状態を治療するための薬物;
b)
i)少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および
ii)少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系;
を含む溶媒賦形剤であって、
該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間にわたって該薬物の送達を促進し得る、溶媒賦形剤;ならびに
c)固化剤;
を含み
該処方物は該揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有し、該皮膚表面に適用された該処方物は、該揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に固化層を形成し、該揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に、該薬物は継続的に皮膚送達される;
固化性処方物。
【請求項2】
前記不揮発性溶媒系が前記固化剤のための可塑剤として作用する請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記不揮発性溶媒系が前記薬物についてフラックス化可能である請求項1に記載の処方物。
【請求項4】
前記処方物がさらに、身体表面に適用された場合に該処方物の接着性を増加させるために加えられるさらなる剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項5】
前記さらなる剤がメチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマー、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、低分子量ポリイソブチレンゴム、アクリルサンアルキル/オクチルアクリルアミドのコポリマー、脂肪族樹脂、芳香族樹脂およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項4に記載の処方物。
【請求項6】
前記揮発性溶媒系が水を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項7】
前記溶媒賦形剤が実質的に水を含まない請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
前記揮発性溶媒系がエタノール、イソプロピルアルコール、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項9】
前記揮発性溶媒系が水よりも揮発性の少なくとも1つの溶媒を含み、且つ、エタノール、イソプロピルアルコール、水、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ブタン、プロパン、イソブテン、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、酢酸エチル、アセトン、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項10】
前記揮発性溶媒系が水よりも揮発性の少なくとも1つの溶媒を含み、且つ、酢酸イソ−アミル、変性アルコール、メタノール、プロパノール、イソブテン、ペンタン、へキサン、クロロブタノール、テレビン、サイトペンタシロキサン、シクロメチコン、メチルエチルケトンおよびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
前記揮発性溶媒系が、その沸点が20℃未満である揮発性溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項12】
20℃未満の沸点を持つ前記揮発性溶媒が前記処方物に完全に溶解している請求項11に記載の処方物。
【請求項13】
20℃未満の沸点を持つ前記揮発性溶媒が、加圧スプレイ−オン適用のための噴射剤として前記処方物に含まれる請求項11に記載の処方物。
【請求項14】
20℃未満の沸点を持つ前記揮発性溶媒がヒドロフルオロカーボンである請求項11に記載の処方物。
【請求項15】
その沸点が20℃未満である前記少なくとも1つの溶媒がジメチルエーテル、ブタン、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパンまたはその混合物よりなる群から選択される請求項11に記載の処方物。
【請求項16】
前記不揮発性溶媒系が複数の不揮発性溶媒を一緒に混合して含む請求項1に記載の処方物。
【請求項17】
前記不揮発性溶媒系がイソステアリン酸、オレイン酸、オリーブ油、トロラミン、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項18】
前記不揮発性溶媒系がソルビタンモノラウレート、イソステアリン酸、トリアセチン、安息香酸、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項19】
前記不揮発性溶媒系がグリセロール、プロピレングリコール、イソステアリン酸、オレイン酸、プロピレングリコール、トロラミン、トロメタミン、トリアセチン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ブタノール、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項20】
前記不揮発性溶媒系が安息香酸、ブチルアルコール、セバチン酸ジブチル、ジグリセリド、ジプロピレングリコール、オイゲノール、脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オレイルアルコール、ビタミンE、トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸界面活性剤、クエン酸トリエチル、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項21】
前記不揮発性溶媒系が1,2,6−ヘキサントリオール、アルキルトリオール、アルキルジオール、アセチルモノグリセリド、トコフェロール、アルキルジオキソラン、p−プロペニルアニソール、アニス油、アプリコット油、ジメチルイソソルビド、アルキルグルコシド、ベンジルアルコール、蜜蝋、安息香酸ベンジル、ブチレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カラメル、桂皮油、ヒマシ油、シンナムアルデヒド、シンナモン油、チョウジ油、ココヤシ油、カカオバター、ココグリセリド、コリアンダー油、トウモロコシ油、コリアンダー油、トウモロコシシロップ、綿実油、クレゾール、シクロメチコン、ジアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリセリド、エチレングリコール、ユーカリ油、脂肪、脂肪アルコール、矯味矯臭薬、液体糖、ジンジャーエキス、グリセリン、高フルクトーストウモロコシシロップ、水素化ヒマシ油、IPパルミテート、レモン油、ライム油、リモネン、ミルク、モノアセチン、モノグリセリド、ナツメグ油、オクチルドデカノール、オリーブアルコール、オレンジ油、ヤシ油、落花生油、PEG植物油、ペパーミント油、ペテロラタム、フェノール、松葉油、ポリプロピレングリコール、ゴマ油、スペアミント油、大豆油、植物油、植物ショートニング、酢酸ビニル、ワックス、2−(2−(オクタデシルオキシ)エトキシ)エタノール、安息香酸ベンジル、ブチル化ヒドロキシアニソール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、セテアレス−20、セチルアルコール、ポリグリセリル、ジポリヒドロキシステアレート、PEG−7水素化ヒマシ油、フタル酸ジエチル、セバチン酸ジエチル、ジメチコン、フタル酸ジメチル、PEG脂肪酸エステル、PEGステアレート、PEG−オレエート、PEG−ラウレート、PEG−脂肪酸ジエステル、PEG−ジオレエート、PEG―ジステアレート、PEG−ヒマシ油、ベヘン酸グリセリル、PEGグリセロール脂肪酸エステル、PEG−グリセリルラウレート、PEGグリセリルステアレート、PEGグリセリルオレエート、ヘキシレングリセロール、ラノリン、ラウリン酸ジエタノールアミド、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、メドロン酸、メタクリル酸、マルチステロール抽出物、ミリスチルアルコール、中性油、PEG−オクチルフェニルエーテル、PEG−アルキルエーテル、PEG−セチルエーテル、PEG−ステアリルエーテル、PEG−ソルビタン脂肪酸エステル、PEG−ソルビタンジイソステアレート、PEG−ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコール、カプリレート/カプレート、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、スクワレン、ステア−o−ウェット(stear−o−wet)、トリグリセリド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、ソルビタン−エーテルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、N−メチルピロリドン、蜂蜜、ポリオキシエチル化グリセリド、ジメチルスルホキシド、アゾンおよび関連化合物、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、アルキル−アミド(N,N−ジメチルアルキルアミド)、N−メチルピロリドン関連化合物、オレイン酸エチル、ポリグリセリン化脂肪酸、グリセロールモノオレエート、グリセリルモノミリステート、脂肪酸のグリセロールエステル、絹アミノ酸、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、Di−PPG2ミレス10−アジペート、ハニークワット、ピログルタミン酸ナトリウム、アビシニカ(abyssinica)油、ジメチコン、マカダミアナッツ油、limnanthes alba種子油、セテアリルアルコール、PEG−50シェアバター(shea butter)、シェアバター、アロエベラジュース、フェニルトリメチコン、加水分解した小麦蛋白質、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項22】
前記固化剤がポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー、メタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルのコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物コポリマー、プロラミン(ゼイン)、α化デンプン、エチルセルロース、魚ゼラチン、ゼラチン、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項23】
前記固化剤がエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエーテルアミド、トウモロコシデンプン、α化トウモロコシデンプン、ポリエーテルアミド、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレンゴム、ポリ酢酸フタル酸ビニルおよびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項24】
前記固化剤がメタクリル酸アンモニア、カラギーナン、水性酢酸フタル酸セルロース、カルボキシポリメチレン、酢酸セルロース(微結晶性)、セルロースポリマー、ジビニルベンゼンスチレン、エチレン酢酸ビニル、シリコーン、グアガム、グアロジン、グルテン、カゼイン、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸アンモニウム、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カリウム、アクリル酸メチル、マイクロクリスタリンワックス、ポリ酢酸ビニル、PVPエチルセルロース、アクリレート、PEG/PVP、キサンタンガム、トリメチルシロキシシリケート、マレイン酸/無水物コポリマー、ポラクリリン、ポロキサマー、ポリエチレンオキサイド、ポリガラクチン酸/ポリ−l−乳酸、ツルペン(turpene)樹脂、ローカストビーンガム、アクリルコポリマー、ポリウレタン分散液、デキストリン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸、およびポリ(メタクリル酸)のようなメタクリレート系ポリマー、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項25】
前記固化剤がメタクリル酸ポリマーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項26】
前記固化剤がメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項27】
前記固化剤がポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項28】
前記固化剤がポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項29】
前記固化剤がメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸アンモニオアルキルコポリマー、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項30】
前記薬物が複数の医薬上活性な剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項31】
前記皮膚科学的状態がウイルス感染であって、前記薬物が抗−ウイルス剤である請求項1に記載の処方物。
【請求項32】
前記抗−ウイルス剤がアシクロビール、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ベヘニルアルコール、トリフルリジン、イドキシウリジン、シドフォビール、ガンシクロビール、ポドフィロックス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビール、デラビルジン、ジダノシン、エファビレンズ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アンプレナビール、インジナビール、ネルフィナビール、リトナビール、サキナビール、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビール、リバビリン、リマンタジン、ザナミビール、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項31に記載の処方物。
【請求項33】
前記ウイルス感染がヘルペス感染であって、前記薬物が該ヘルペス感染を治療するためのステロイドである請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記ヘルペス感染が単純疱疹であって、前記薬物が該単純疱疹を治療するためのものである請求項33に記載の処方物。
【請求項35】
前記ヘルペス感染が陰部ヘルペスであって、前記薬物が該陰部ヘルペス感染を治療するためのものである請求項33に記載の処方物。
【請求項36】
前記皮膚科学的状態が爪感染であって、前記薬物が爪感染を治療するためのものである請求項1に記載の処方物。
【請求項37】
前記皮膚科学的状態が真菌感染であって、前記薬物が抗真菌剤である請求項1に記載の処方物。
【請求項38】
前記抗真菌剤がアモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、カスポフンギン、ミカフンギン、アニドュラフィンギン、アンフォテリシンB、AmB、ナイスタチン、ピマリシン、グリセオフルビン、シクロピロックスオラミン、ハロプロギン、トルナフテート、およびウンデシレネート、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項37に記載の処方物。
【請求項39】
前記皮膚科学的状態が光損傷皮膚であって、前記薬物が免疫変調剤である請求項1に記載の処方物。
【請求項40】
前記免疫変調剤が複数の免疫変調剤を含む請求項39に記載の処方物。
【請求項41】
前記免疫変調剤がイミキモドを含む請求項39に記載の処方物。
【請求項42】
前記免疫変調剤がロシキモドを含む請求項39に記載の処方物。
【請求項43】
前記処方物が、さらに、アラントイン、カラミン、タラ肝油、ジメチコン、カオリン、ラノリン、鉱油、ペテロラタム、タルク、局所デンプン、白色鉱油、酸化亜鉛、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む保護剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項44】
加湿剤(moisturizing agent)を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項45】
前記加湿剤がグリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、蜂蜜、およびハニークワットのような蜂蜜誘導体、尿素、およびヒドロキシエチル尿素のような尿素誘導体、乳酸アンモニウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、ピログルタミン酸およびその塩、リンゴ酸ナトリウム、ポリデキストロース、トリアセチン、マンニトール、酸化されたポリエチレン、イソマルト、マルチトールおよびマルチトールシロップ、ラクチトール、キシリトール、エリトリトールおよびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項45に記載の処方物。
【請求項46】
前記固化層が刺激の外部供給源に対して機械的バリヤーを提供する請求項1に記載の処方物。
【請求項47】
前記固化層が尿または糞に対するバリヤーを提供する請求項1に記載の処方物。
【請求項48】
前記固化層がオムツとの摩擦に対するバリヤーを提供する請求項1に記載の処方物。
【請求項49】
前記皮膚科学的状態が細菌感染であって、前記薬物が抗菌剤である請求項1に記載の処方物。
【請求項50】
前記抗菌剤がエリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ムピロシン、ポリミキシンB、シプロフラキシンのようなキノロン、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項49に記載の処方物。
【請求項51】
前記皮膚科学的状態が皮膚感染である請求項1に記載の処方物。
【請求項52】
前記皮膚科学的状態が脱毛症であって、前記薬物がコルチコステロイドを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項53】
前記薬物がベタメタゾンジプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾン二酢酸塩、トリアムシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、モメタゾンフロエート、ベタメタゾンバレレート、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フロランドレノリド、デソニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピボレート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸塩、およびその組合せを含めたステロイドよりなる群から選択されるメンバーを含むコルチコステロイドである請求項52に記載の処方物。
【請求項54】
前記皮膚科学的状態が脱毛症であって前記薬物が毛髪成長刺激剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項55】
前記皮膚科学的状態が脱毛症であって、前記薬物が前記皮膚を刺激して毛髪成長を刺激する物質であって、ミノキシジル、スピロノラクトン、フィナステライド、アントラリン、ジニトロクロロベンゼンのようなトレチノイン局所免疫治療剤、スクワリン酸(squaric acid)ジブチルエステル、ジフェニルシクロプロペノン、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項56】
前記皮膚科学的状態が脱毛症であって、前記薬物がクロベタゾールまたはクロベタゾール誘導体を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項57】
前記クロベタゾール誘導体がクロベタゾールプロピオネートである請求項56に記載の処方物。
【請求項58】
クロベタゾールまたはクロベタゾール誘導体の濃度が約0.03%よりも大きい請求項56に記載の処方物。
【請求項59】
クロベタゾールまたはクロベタゾール誘導体の濃度が約0.14%よりも大きい請求項56に記載の処方物。
【請求項60】
クロベタゾールまたはクロベタゾール誘導体の濃度が約0.29%よりも大きい請求項56に記載の処方物。
【請求項61】
前記薬物がクロベタゾール、またはクロベタゾール誘導体であって、前記固化剤がゼラチン、ゼイン、グルテン、ポリビニルアルコール、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項56に記載の処方物。
【請求項62】
前記皮膚科学的状態が皮膚炎または乾癬であって、前記薬物がコルチコステロイド、免疫モジュレーター、ビタミンD3のアナログ、レチノイン酸、その医薬上活性な誘導体、およびその組合せよりなる群から選択される薬物のクラスの少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項63】
前記皮膚科学的状態が皮膚炎または乾癬であって、前記薬物がベタメタゾンジプロピオネート、クロベタゾールプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾン二酢酸塩、アムシノニド、デスオキシメタゾン、フルオシノニド、ハロシノニド、モメタゾンフロエート、ベタメタゾンバレレート、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、デソニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピボレート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸塩、タクロリムス、ピクロリムス、タザロテン、イソトレチノイン、サイクロスポリン、アントラリン、ビタミンD3、コレカルシフェロール、カルシトリオール、カルシポトリオール、タカルシトール、カルシポトリエン、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項64】
前記皮膚科学的状態が皮膚炎または乾癬であって、前記固化層がヒトの手の平の皮膚に接着することができる請求項1に記載の処方物。
【請求項65】
前記皮膚科学的状態が脱毛症であって、前記不揮発性溶媒系が19:1から4:1の重量比率のプロピレングリコールおよびイソステアリン酸を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項66】
前記固化層が、伸長可能な皮膚表面において前記皮膚に適用された場合、該固化層が該皮膚の伸長に際して該皮膚上に実質的に無傷で留まるように十分に可撓性であって、該皮膚に接着性である請求項1に記載の処方物。
【請求項67】
前記処方物が、前記固化層の形成後少なくとも約2時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項68】
前記処方物が、前記固化層の形成後少なくとも約4時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項69】
前記処方物が、前記固化層の形成後少なくとも約8時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項70】
前記処方物が、前記固化層の形成後少なくとも約12時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項71】
前記処方物が、前記固化層の形成後少なくとも約24時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項72】
前記固化剤が前記溶媒賦形剤に分散された請求項1に記載の処方物。
【請求項73】
前記固化剤が前記溶媒賦形剤に溶媒和された請求項1に記載の処方物。
【請求項74】
前記固化剤に対する前記不揮発性溶媒系の重量比率が約0.1:1から約10:1である請求項1に記載の処方物。
【請求項75】
前記固化剤に対する前記不揮発性溶媒系の重量比率が約0.5:1から約2:1である請求項1に記載の処方物。
【請求項76】
前記不揮発性溶媒系がヒト皮膚刺激を引き起こすことができ、該不揮発性溶媒系の少なくとも1つの不揮発性溶媒が該皮膚刺激を低下させることができる、請求項1に記載の処方物。
【請求項77】
前記皮膚刺激を低下させることができる前記不揮発性溶媒がグリセリン、プロピレングリコール、および蜂蜜、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項76に記載の処方物。
【請求項78】
前記固化層が、標準的な皮膚および周囲条件下で前記皮膚表面への適用から約15分以内に形成される請求項1に記載の処方物。
【請求項79】
前記固化層が、標準的な皮膚および周囲条件下で前記皮膚表面への適用から約5分以内に形成される請求項1に記載の処方物。
【請求項80】
前記固化層が、洗浄によって皮膚表面から除去可能である、請求項1に記載の処方物。
【請求項81】
前記処方物が、約100から約3,000,000センチポイズの皮膚適用に先立っての初期粘度を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項82】
前記処方物が約1,000から約1,000,000センチポイズの皮膚適用に先立っての初期粘度を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項83】
前記揮発性溶媒系の重量パーセンテージが約10wt%から約85wt%である請求項1に記載の処方物。
【請求項84】
前記揮発性溶媒系の重量パーセンテージが約20wt%から約50wt%である請求項1に記載の処方物。
【請求項85】
前記不揮発性溶媒系が複数の不揮発性溶媒を含み、および該不揮発性溶媒の少なくとも1つが該不揮発性溶媒系と前記固化剤との適合性を改良する請求項1に記載の処方物。
【請求項86】
前記固化層が凝集性で、可撓性であって連続的である請求項1に記載の処方物。
【請求項87】
前記固化層が、形成に際して、適用サイズに対して単一の破片として、またはただ数個の大きな破片として、皮膚表面から剥離可能である柔軟な凝集性の固体である、請求項1に記載の処方物。
【請求項88】
前記固化層が、形成に際して、温和な洗浄によって除去可能な柔軟な凝集性固体である請求項1に記載の処方物。
【請求項89】
前記固化層が前記薬物を経皮送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項90】
前記皮膚科学的状態が細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、脱毛症、皮膚炎、乾癬、または光損傷皮膚である請求項1に記載の処方物。
【請求項91】
皮膚科学的状態を治療する方法であって、
a)請求項1から90いずれか1項に記載の接着性の固化性処方物を該皮膚科学的状態に罹った皮膚表面に適用する工程;
b)揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発によって該処方物を固化させて、該皮膚表面に柔軟で、凝集性の固化層を形成する工程;ならびに
c)治療上有効な速度にて持続期間にわたって感染した皮膚部位へ該固化層からの薬物を皮膚送達する工程;
を含む、方法。
【請求項92】
前記皮膚部位が表皮皮膚である請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記皮膚部位が粘膜部位である請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記皮膚部位が真菌感染を持つ爪である請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記皮膚部位が創傷皮膚である請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記皮膚部位が床ずれ、皮膚病巣、または皮膚潰瘍(open sore)である請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記適用する工程が、約0.01mmから約3mmの厚みにて前記処方物を適用することを含む請求項91に記載の方法。
【請求項98】
前記皮膚に適用された前記処方物の厚みが約0.05mmから約3mmの間である請求項91に記載の方法。
【請求項99】
前記適用する工程が、約0.05mmから約1mmの厚みにて前記処方物を適用することを含む請求項91に記載の方法。
【請求項100】
前記処方物が睡眠の一時間以内に対象の前記皮膚に適用され、目覚めから1時間以内に除去される請求項91に記載の方法。
【請求項101】
前記処方物が、目覚め後に対象の前記皮膚に適用され、睡眠前に除去される請求項91に記載の方法。
【請求項102】
前記固化層が、該固化層の形成後少なくとも2時間、前記皮膚表面に残される請求項91に記載の方法。
【請求項103】
前記固化層が、該固化層の形成後少なくとも12時間、前記皮膚表面に残される請求項91に記載の方法。
【請求項104】
前記処方物が、別々に適用されるか、あるいは該処方物に含ませるかのいずれかにて、日焼け止めと組み合わされて適用される請求項91に記載の方法。
【請求項105】
前記皮膚科学的状態が脱毛症であって、前記処方物によって被覆されるヒト皮膚が100cm以下の面積を有する請求項91に記載の方法。
【請求項106】
前記皮膚科学的状態が脱毛症であって、前記処方物によって被覆されるヒト皮膚が20cm以下の面積を有する請求項91に記載の方法。
【請求項107】
前記処方物の適用が、該処方物を前記皮膚に噴霧することを含む請求項91に記載の方法。
【請求項108】
前記皮膚科学的状態が皮膚病または乾癬であって、前記皮膚表面が手のひらの皮膚である請求項91に記載の方法。
【請求項109】
前記皮膚科学的状態が細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、脱毛症、皮膚炎、乾癬、光損傷皮膚、およびその組合せである請求項91に記載の方法。
【請求項110】
皮膚科学的状態を治療するための柔軟な凝集性の固化層であって、
a)皮膚科学的状態を治療するための薬物;
b)少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系であって、該不揮発性溶媒系は治療上有効な速度にて持続時間にわたって該薬物の送達を促進する、不揮発性溶媒系;および
c)固化剤;
を含み、
該固化層は、該層が適用された皮膚表面に接着することができる;
固化層。
【請求項111】
前記不揮発性溶媒系が前記固化剤のための可塑剤として作用する請求項110に記載の固化層。
【請求項112】
前記不揮発性溶媒系が前記薬物についてフラックス化可能である請求項110に記載の固化層。
【請求項113】
前記固化層が、少なくとも約2時間の標準テスト条件下で標準的な皮膚表面に実質的に無傷で留まるのに十分に接着性かつ可撓性である、請求項110に記載の固化層。
【請求項114】
前記固化層は、皮膚表面からの破壊または分離なくして5%だけ少なくとも1方向に伸びることができる請求項110に記載の固化層。
【請求項115】
前記固化剤に対する前記不揮発性溶媒系の重量比率が約0.5:1から約2:1である請求項110に記載の固化層。
【請求項116】
前記固化層は、水、界面活性剤、アルコール溶媒、またはその組合せでの洗浄によって除去可能である請求項110に記載の固化層。
【請求項117】
前記固化層がピールであって、適用サイズに対して単一の破片として、またはただ数個の大きな破片として、皮膚表面からの剥離によって除去できる請求項110に記載の固化層。
【請求項118】
前記固化層が前記薬物についてフラックス化可能である請求項110に記載の固化層。
【請求項119】
前記固化層が、1つの表面において皮膚表面に接着性であり、反対の表面において非−接着性である、請求項110に記載の固化層。
【請求項120】
前記固化層が、水および水よりも揮発性のあらゆる溶媒を実質的に欠きつつ、該固化層が、それから皮膚送達可能な前記薬物の大部分を送達するように処方される、請求項110に記載の固化層。
【請求項121】
前記皮膚科学的状態が細菌感染、ウイルス感染、真菌感染、脱毛症、皮膚炎、乾癬、または光損傷皮膚である請求項110に記載の固化層。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−519940(P2009−519940A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545816(P2008−545816)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/047747
【国際公開番号】WO2007/070643
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508178157)ザーズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】