説明

皮膚突起の大きさの自動的調整をもった皮膚治療のためのアプリケータ

RF,超音波および光皮膚治療のためのアプリケータが記載される。アプリケータは、突起が形成されて所望の時間の間維持されることを許容し、治療エネルギーの皮膚との良好なカップリングを可能とし、皮膚に悪い影響を与える負圧を避ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]この出願は、2008年7月16日に出願されシリアル番号61/081,110を付与された米国仮特許出願の優先権を主張する。この出願は、米国特許第6,889,090号と米国特許出願公開番号2007/0038156を引用により組み込む。
【0002】
方法と装置は、非侵襲な美容的治療手順に関し、特にボディシェ−ピング、皮膚治療およびその他の美容的治療に関する。
【背景技術】
【0003】
ボディシェ−ピング、皮膚の引き締めおよび若返り、コラーゲンファイバー収縮、しわの除去およびその他の美容的皮膚治療は、人気があり化粧および容姿向上手順の分野において広く使われている。治療は典型的には、皮膚のターゲットセクションへの電磁気的または音響的エネルギーの印加を通して提供される。それらの治療手順では、内部空洞または真空チェンバーを有するアプリケータが典型的には対象の皮膚に適用され、治療されるべき皮膚のセクションが真空チェンバー中に引き上げられるかまたは引き込まれて皮膚突起と呼ばれることになる皮膚の折り重なりを形成するようになる。電極間または超音波トランスデューサー間の皮膚/組織中で所望の皮膚/組織効果を行うために、無線周波数(RF)のような電磁気的エネルギーまたは超音波のような音響的エネルギーが、突起の1つ以上のサイドに印加される。治療後は、皮膚は再度真っ直ぐにされ、または突起は弛められて、例えば電磁気的または音響的エネルギーによるコラーゲンファイバーの収縮または脂肪組織の破壊のような所望の皮膚効果が実現される。
【0004】
皮膚突起の生成は複数の利点を含み、そのようなものの1つは、治療中に素早くアプリケータの形状に適合してアプリケータの望ましくない動きを防止することによって、それが皮膚の全てまたは部分が治療されることを許容することである。突起と空洞中の負圧の形成はまた、エネルギー放射する接触表面を安定化させて皮膚に一時的に取り付けるのに必要である。適切に取り付けられた電極は、RFまたは超音波のより大きな部分を結合して所望の治療効果を増加し、所望の効果に到達するのに要求される治療の回数を削減し、治療された対象の成功信用度を向上する。しかしながら、皮膚との適切な接触を確かなものとするためには、皮膚に印加される真空は、突起を形成して維持するのに十分なだけ強くあるべきである。しかしながら、所望の接触を提供するのに十分な真空力の印加は、皮膚上にいくつかの負の効果を持つ。それらの負の効果は、なかんずく、皮膚上に風土性のあざスポットを残すこと、手順中およびその後に治療された対象に痛みを引き起こすこと、長引かされた治療後回復期間を要求すること、を含むことができる。
【0005】
突起形成のために使われる真空チェンバーまたは空洞は、比較的大きなサイズを有するが、内部に引き込まれた皮膚は空洞の一セクションのみを占拠しても良い。チェンバー中に真空または負圧を配送するポンプは、空洞からの素早い空気排気と、突起形成および少なくとも治療の時間の間の突起の維持を可能とする比較的大きなポンプであるべきである。異なる対象の間で皮膚の性質に変動性があるので、それらの要求は残念ながら、異なる皮膚治療手順のために使われる設備のコストを増加する。加えて、このために、低レベル真空圧力または力が、いくつかの治療された対象について要求された突起の生成のためには十分である。しかしながら、他の対象は、真空力の実質的により高いレベルを要求し得る。皮膚の治療のために十分でありかつ痛みのある感覚を引き起こすことがない最適なレベルを見つけるまで真空レベルを手動で調節するかまたは変化させることは、治療奉仕者またはオペレータの一般的な慣行である。この最適な真空レベルは、1つの対象からその他について変動し、時々そのような最適レベルは無く、治療は痛みを伴うか不十分であるかのどちらかである。
【0006】
所望の時間の間、エネルギー放射する表面への良好なカップリングをもって、皮膚に悪い影響を与えるか治療された対象に痛みを引き起こすこと無しに、突起が形成されて維持されることを許容するであろうアプリケータを持つことが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
RF,超音波および光皮膚治療のためのアプリケータが記載される。アプリケータは、突起として構成されるべき皮膚のセグメントをその中に受け取るように動作可能に構成された空洞と、バルブを含む。空洞は負圧源と通信する。突起は、バルブに圧力を印加して、空洞中でバルブをずらす。バルブのずらしは、空洞中の負圧を調整する。
【0008】
RFエネルギー、超音波または光エネルギーは、所望の治療効果を引き起こすように異なる重複しているか重複していない周期で皮膚突起に印加されても良い。
【0009】
アプリケータは、突起が形成されて所望の時間の間維持されることを許容し、治療エネルギーの皮膚との良好なカップリングを可能とし、皮膚に悪い影響を与える負圧を避ける。
【0010】
アプリケータとアプリケータの使用の方法が、明細書の結論部分において特定に指し示されて明瞭にクレームされる。但し、アプリケータと方法は、組織化と動作の方法の両方について、添付の図面と共に読まれたときに以下の詳細な記載を参照することによって最もよく理解され得て、そこでは同様の参照符号は異なる図を通して同じ部分を指す。図面は必ずしも実寸大ではなく、強調は代わりに方法の原理を描写することに置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本アプリケータの例示的実施形態の概略描写である。
【図2A】図2Aは、図2Bと集合的に図2と呼ばれ、本アプリケータの例示的実施形態の動作を示す概略描写である。
【図2B】図2Bは、図2Aと集合的に図2と呼ばれ、本アプリケータの例示的実施形態の動作を示す概略描写である。
【図3A】図3Aは、図3Bと集合的に図3と呼ばれ、本アプリケータの別の例示的実施形態の動作を示す概略描写である。
【図3B】図3Bは、図3Aと集合的に図3と呼ばれ、本アプリケータの別の例示的実施形態の動作を示す概略描写である。
【図4】図4は、RFエネルギーを突起として形成された皮膚のセクションに印加するように構成された本アプリケータの例示的実施形態の概略描写である。
【図5】図5は、異なる緩さをもった組織についての突起形成時間の概略描写である。
【図6A】図6Aは、図6Bと集合的に図6と呼ばれ、RFおよび超音波エネルギーを突起として形成された皮膚のセクションに印加するように構成された本アプリケータの例示的実施形態の概略描写である。
【図6B】図6Bは、図6Aと集合的に図6と呼ばれ、RFおよび超音波エネルギーを突起として形成された皮膚のセクションに印加するように構成された本アプリケータの例示的実施形態の概略描写である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な記載では、説明の目的のために、本アプリケータと、アプリケータ動作の原理と、アプリケータを使用する方法の十分な理解を提供するために数々の特定の詳細が説明される。ただし、本アプリケータおよび方法は、それらの特定の詳細無しでも実施され得ることは明らかであろう。この点では、「上」、「下」、「前」、「後」等の方向性の用語が、記載されている図面の向き付けを参照して使用される。本発明の実施形態のコンポーネンツは多数の異なる向き付けで配置されることができるので、方向性の用語は描写の目的のために使用され、いかなるやり方でも限定的なものではない。
【0013】
図1を参照すると、それは本アプリケータの例示的実施形態の概略描写である。アプリケータ100は、金属またはプラスチック材料で作られ、ハウジング104の内部に中空の空洞108が形成されたハウジング104を表わす。空洞108は、負圧源116と空洞108の内部中に位置して空洞と負圧源の間の通信を制御しているバルブ120と、第一の端112を通して通信する。柔軟なホース(図示せず)が、アプリケータ100の第一の端112と例えば真空ポンプ116のような負圧源の間を接続していても良い。
【0014】
リム124は、アプリケータ100の第二の端を終端する。リム124は、アプリケータ100のハウジング104の壁128と同様の厚さを有していても良く、ガスケットによって終端されているかまたは、壁128よりも実質的に大きな表面(図3)を有していても良い。バルブ120は、プレート140、ガイド144、O−リング型ガスケット148、ばね152およびストッパーディスク156のアッセンブリである。2つの対になった円錐形または球形の表面のようなその他のバルブ構造も可能である。バルブ120は、矢印160によって示されるように、軸方向での線形運動の自由度を有する。ガイド144とアプリケータハウジング104の間の間隙は、空洞108からの空気の容易な排気を可能とするように選択されるべきであり、典型的には約0.2cmであろう。
【0015】
集合的に図2と呼ばれる図2Aと2Bは、本アプリケータの例示的実施形態の動作を示した概略描写である。動作においては、アプリケータ100は、リム124が皮膚200に接触し、空洞108が皮膚200と、アプリケータ壁128と、バルブ120のプレート140の間に取り囲まれたようになるように、アプリケータ100が治療されるべき皮膚のセクション上に置かれる。(本開示で使われているように、「皮膚」と「組織」という用語は同じ意味を有する。)いくつかの実施形態では、ガスケットによって向上されるリム124と皮膚200の接触が使われても良い。負圧源116は、空洞108から空気を排気する。空洞108中の負圧は、空洞中に皮膚200を引き上げるかまたは引き込み、皮膚突起208(図2A)を形成する。
【0016】
ポンプ116は動作し続け、突起208は更に拡張して、空洞108のほぼ全容積を占拠する。突起208が拡張するにつれて、それはバルブ120のプレート140に接触し、ガスケット148がアプリケータハウジング104の内側表面216に接触するように、プレートとそれに関連付けられたバルブ120のコンポーネンツを矢印212(図2B)によって示された方向にずらすかまたは押す。突起208の大きさまたは容積の追加の増加は、プレート140とその上に載置されたO−リング型ガスケット148に印加される正圧を増加する。この圧力はプレート140を更にずらし、ガスケット148を空洞108の表面216に取り付ける。ガスケット148は一時的に空洞108を密封し、空洞108を充満する突起208の容積または大きさを確立する。美容的および非美容的な異なる皮膚治療が、突起208に施されても良い。
【0017】
時間が経つと、空気が徐々にアプリケータ100の空洞108中に漏れる。負圧の値が減少し、突起208はその大きさまたは容積を削減してへこむ。ばね152によって生成された力が、プレート140の突起208との恒久的接触を維持し、プレート140とプレート140に関連付けられたバルブ120のパーツを元の位置までかまたはストロークの一セクションまで戻す。ばね152は、プレート140を押し下げる比較的穏やかな力を発展させる。例えば、もしポンプ116が0.6Barの負圧を生成し、バルブの断面が0.2cmであれば、力は1.2Nであろう。突起の形成のために要求されるそのような穏やかな圧力は、比較的低く、皮膚中または上に悪い影響を生成しない。
【0018】
皮膚突起208とばね152の力によって発展された正圧によって動作させられるバルブ120は、ポンプ116との通信を可能または不能にするオン/オフスイッチのように働く。実際には、突起208は、ポンプ116によって発展された負圧のレベルを調整することによってその大きさを自動的に調整し、突起形状および容積を所望の治療のために最適なものに強制し、空洞壁の表面へのしっかりとした接触を可能とする。過剰な負圧値は自動的に避けられ、治療された皮膚セクションに損傷、苦痛またはその他の悪い影響を全く与えない。ばね152は、ポンプ116の活動が切断された時にバルブ120の戻り経路を確かなものとして、バルブ120を次の治療サイクルおよび/または新たな皮膚セクションへの移動のために好適な位置に位置させる。よって、バルブは、突起が望ましい値かまたは閾値に達した時に負圧をオフに切り替えることによって突起の大きさの検出器として動作し、それはスイッチを入れる位置までバルブを動かす。
【0019】
集合的に図3と呼ばれる図3Aと3Bは、皮膚治療のための本アプリケータの別の例示的実施形態の動作を示した概略描写である。なかんずく、アプリケータのサイズは、治療されるべき皮膚セグメントの所望のサイズと、適切な皮膚突起の大きさを生成して維持する能力とに依存する。従って、アプリケータは、バルブアッセンブリ中に含まれたより大きなプレート314かまたは多数のガイド322を有していても良い。図3Aは、プレート314と、平坦またはその他の好適なタイプのガスケット318と、ガイド322と、プッシャー324と、ばね326からなるバルブ310を有するアプリケータ300を描いている。代替的実施形態では、ガスケット318は、表面338上に載置されていても良い。チャネル300は、負圧源(図示せず)との通信を可能とする。2つ以上のガイド322が、プレート314が斜めになることを避けて、アプリケータ300またはチャネル330のハウジング320の表面338との素早く均一な接触を可能とするのに要求されても良い。アプリケータ300の動作は、アプリケータ100の動作と同様である。負圧源(図示せず)が動作可能である時、それはファントムライン334によって示された皮膚突起を空洞304中に形成する。突起334は、空洞中の真空のレベルと突起334の大きさを調整しているバルブ310のプレート314を押し上げる。
【0020】
図3Bは、突起224が所望の大きさに達している状態におけるアプリケータ300を描いている。ガスケット318が真空通路330を閉じている。空洞304中への空気漏れが、プレート314とそれに関連付けられたバルブ310のパーツを押し下げることをプレート314の突起334との恒久的接触を維持するばね326によって生成された力に可能とするまでの或る時間の間、突起334はその大きさを維持する。これは、空洞314の真空源(図示せず)との通信を可能とする。アプリケータ300は、アプリケータの皮膚/組織332の表面上での簡単なずらしと皮膚/組織とのしっかりした接触を可能とする、比較的大きなリム342を有している。
【0021】
美容的および医療的な皮膚治療は通常、治療された皮膚表面へのゲルの適用を伴っていることが知られている。ゲル適用の目的は、皮膚との電気的接触の向上のため、超音波から皮膚へのカップリングの向上のため、および皮膚上でのアプリケータの簡単な移動のためであっても良い。真空力の印加は、適用された皮膚ゲルを真空システム中に吸い込むことに結果としてなり得る。それはゲルを望ましくない場所およびアプリケータコンポーネンツ中に置き得るので、ゲルは適切な真空システム動作への障害物となり得る。ゲルは時間とともに硬化し、真空ポンプを損傷しさえし得る。アプリケータ300は、アプリケータ300の内側断面寸法にぴったりとフィットした寸法を持ったゲルガード342を備えている。一実施形態では、ゲルガード342は、ゲルがその上に蓄積されるにつれて時々洗浄されるべき再利用可能なパーツである。別の実施形態では、ゲルガード342は、容易に交換されることが可能な処分可能なパーツである。処分可能なゲルガード342は、ガイド322とストッパーディスク318をもったプッシャー324を含んでいても良く、ゲルガードの取替えを更に簡略化する。3つ以上のガイド、異なるバルブおよびガスケット位置および構造を含んだ、その他のアプリケータ構成も可能であることが明らかであるはずである。
【0022】
本アプリケータの一つの応用は、RF皮膚治療のためのものである。図4は、RFエネルギーを皮膚突起に印加するように構成された本アプリケータの例示的実施形態の概略描写である。アプリケータ400は、ハウジング412の壁408に内臓されているかまたはハウジング412の壁408の近くに位置している、1つ以上のRF電極404を含む。RFエネルギー生成器416が、RFエネルギーを電極404に提供する。RFエネルギーは、典型的には0.5−10MHzの周波数と0.5−50.0J/cmのエネルギーを有しており、それはパルスまたは連続モードで皮膚中に導入されても良い。
【0023】
対象の皮膚へのRFの印加の安全性は、全ての美容的および医療的なRFに基づく治療において最重要な要求である。電極404と突起334の間のしっかりとした接触は、良好なエネルギーの皮膚への移転と、電極上のホットスポットの形成およびその他の悪い影響を避けることを確かなものとする。そのような接触状態は、皮膚突起334が完全に空洞424を埋める時にのみ存在する。突起の大きさ(または状態)を感知することは、電極404にRFを供給しているRF生成器416を制御するコントローラ462にフィードバックを提供し得る。そのような「突起検出器(またはセンサー)」は、組織中への安全なエネルギー印加のために要求される通りに組織が空洞を埋めた時に制御システム462に信号を送る。図4に示される一実施形態では、突起センサーは、LED446と光検出器448の間の光学的経路に基づいており、プレート314が突起334によって押し上げられた時にピン444によって経路の連続性が中断されている。機械的、抵抗性、静電容量性、インダクタンス性センサー、または突起の大きさの直接的または補助的な検出のために好適なあらゆるその他のタイプのセンサーを使用することの可能性もある。光学的センサーは、空洞424と皮膚の緩さセンサーの内部に置かれていても良い。
【0024】
ポンプ420は、空洞424中に、約―0.1barからー0.9barの負圧を生成する。負圧または真空は、皮膚または組織332を空洞424中に引き込んで、皮膚突起334を形成する。皮膚突起334が成長するにつれて、それは空洞424のより大きな容積を占めて、空洞の内部に均一なやり方で広がる。突起の広がりは、皮膚332の電極404とのしっかりとした接触を可能とする。突起334は、ガスケット318が真空通信チャネルの表面338と接触して、ポンプ420との真空通信を不能とするように、プレート314を押し上げる。例えば空気漏れにために、空洞424中の負圧が低下した時、突起334はへこむか減少する。ばね326はプレート314とガスケット318を表面338から離れるように押し下げて、真空ポンプ420が再度空洞424と通信してそこから空気を排気することを可能にする。
【0025】
皮膚突起334と電極404の間にしっかりとした接触が確立された時、コントローラ462はRF生成器416をオンに切り替え、RFエネルギーが皮膚332のターゲット容積452に供給される。ファントムライン456は、皮膚突起334中のRF誘導された電流フローを概略的に描いている。この電流はターゲット組織容積452を加熱して所望の治療効果を可能とし、それはボディシェ−ピング、皮膚の引き締めおよび若返り、コラーゲンファイバーの収縮、しわの除去およびその他の美容的皮膚治療効果であっても良い。電極404と皮膚突起334の間の適切な接触は、同じ譲渡人への米国特許第6,889,090号に開示されているように電極404の間の皮膚インピーダンスを監視することによって治療中に検出されても良い。治療の始まりにおいて皮膚インピーダンスが低ければ低いほど、電極404と突起334を形成している皮膚432の間の接触がより良好になる。
【0026】
RF誘導された電流によって皮膚温度を増加させることは、インピーダンスの変化に繋がる。皮膚インピーダンスを監視することは、皮膚中の温度分布が追従されることを許容するので、治療のパラメータが決定され得て、治療の最適化を可能とする。そのようなパラメータは、例えば、RFが皮膚に印加された時間、RFエネルギーのパルス持続時間、RFエネルギーの周波数、RFエネルギーのパワー、皮膚の冷却とRFエネルギーの印加の間の遅延時間、を含んでいても良い。
【0027】
その他の既知のインピーダンス監視方法が適用されても良い。アプリケータ400は、
特定の皮膚治療によって要求され得るような、温度監視や皮膚および電極冷却のための追加の装置、治療された皮膚セクションを照らすための照明装置、およびその他を含んでいても良い。RF生成器416、真空ポンプ420、および冷却流体ポンプ、インピーダンス測定回路、説明の簡潔化のために図示されていない配線および配管のようなその他の制御および補助ユニットが、共通のコントローラ462パッケージ中に置かれていても良い。
【0028】
突起センサーは、単に部分的突起への望ましくないエネルギー印加を防止する安全性特徴としてではなく、その他の目的のためのものであることができることに注意すべきである。例えば、以下に説明されるように、センサーは、真空の開始と突起がその所望の大きさに達した時との間の時間を測定することによって、組織の性質、特に組織の緩さを確立するのに使われることができる。(開示を通して時々使用される「組織柔軟性」と「組織の緩さ」という用語は同じ意味を有する。)
突起形成の時間は、治療された対象の組織の緩さと構造の関数であることが、実験的に発見されている。図5は、異なる緩さをもった組織についての突起形成時間の概略描写である。数字500は、特定の治療について望まれる突起の大きさを印している。全てのその他の等しい条件下で、ライン504と時間tが比較的高い緩さの組織についての突起形成を印している。ライン508と512は、ライン504の印しよりも堅い(より硬い)組織についての突起形成時間tとtを印しており、ライン512とtが最も堅い組織を印している。例えば、高い緩さの組織についての突起形成時間は約20ミリ秒から200ミリ秒である。堅い(硬い)組織についての突起形成時間は約1200ミリ秒から2000ミリ秒である。突起形成時間の知識は、各タイプについての適切な組織治療パラメータの選択を可能とする。治療パラメータは、突起形成時間に基づいて手動で設定されても良く、あるいはLED446とセンサー448(図4)からの時間を読み出すフィードバックループをコントローラ中に含めて、組織のタイプと組織治療パラメータを確立するのにフィードバックの少なくとも一部を使用することによって自動的に設定されても良い。
【0029】
組織の緩さは、組織前治療手順を行う必要の良い指標であり得る。そのような手順は、治療された組織を柔らかくしてそれを治療そのものにより好適なものにするためのマッサージまたは熱印加であっても良い。よって、開示された方法は、組織の堅さの決定のための診断ツールと、特定の組織のために最も好適な治療パラメータの指標を提供する。
【0030】
集合的に図6と呼ばれる図6Aと6Bは、RFおよび超音波エネルギーを皮膚のセクションに印加するように構成された本アプリケータの例示的実施形態の概略描写である。アプリケータ600(図6A)はアプリケータ400と同様であり、追加で1つ以上の超音波トランスデューサー604を含む。トランスデューサー604は、従来型のものまたはフェーズドアレイトランスデューサーであっても良い。トランスデューサー604は、アプリケータ600の一方または両方のサイドに位置していても良く、典型的には、その全体がここに組み込まれる同じ譲渡人への米国特許出願公開番号2007/0038156に開示されているように、RF電極404の間に位置しておりUSエネルギーによって影響された同じターゲット治療容積452(図6B)中にエネルギーを放出するようにフォーカスされている。アプリケータ600は、LED446と皮膚突起検出器448を含み、特定の皮膚治療によって要求され得るような、温度監視や皮膚および電極冷却のための装置、治療された皮膚セクションを照らすための照明装置、およびその他を含んでいても良い。
【0031】
RF生成器420と超音波生成器628は、それぞれの電極およびトランスデューサーにエネルギーを提供する。真空ポンプ416は、皮膚突起334を形成する負圧を生成する。皮膚突起の大きさ(または状態)を感知することが、電極404にRFを供給しているRF生成器420とトランスデューサー604に超音波エネルギーを供給している超音波生成器628を制御するコントローラ632にフィードバックを提供しても良い。動作においては、そのような「突起検出器(またはセンサー)」は、組織中への安全なエネルギー印加のために要求される通りに組織が空洞を埋めた時に制御システム632に信号を送る。突起センサー信号は、RF生成器420と超音波生成器628をオンおよびオフに切り替えるのに使われても良い。それらと、冷却流体ポンプや説明の簡潔化のために図示されていない配線および配管のようなその他の制御および補助ユニットが、共通のコントローラパッケージ632中に置かれていても良い。
【0032】
図6Bは、RF電極404と、超音波トランスデューサー604と、トランスデューサー604によって生成された音場ライン620と、RF誘導された電流のライン624の位置を描いたアプリケータ600の断面である。円630が、超音波およびRFによって加熱されたターゲット容積を概略的に示す。
【0033】
RFおよび超音波エネルギーは、伝導または対流による超音波加熱された焦点組織容積からの熱の損失を低減するために、パルスまたはパルスのトレイン(またはいくつかのパルス)として、短い持続時間の間印加される。RFおよび超音波エネルギーは、同時に、または1つがもう1つに対して遅延されて、印加されても良い。
【0034】
RFおよび超音波エネルギー源によって焦点容積において生成された温度と、加熱の時間は、焦点容積の十分な加熱が得られる一方で周囲の組織の加熱が最小であるように、選択される。焦点容積の増加された温度は、同じ容積に印加された超音波の機械的アクションを容易にし、実質的な治療効果を達成することを助ける。
【0035】
数々の実施形態が記載された。それにも拘らず、方法の精神と範囲から逸脱することなしに様々な変形を行っても良いことが理解されるであろう。従って、その他の実施形態は以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚突起を形成するためのアプリケータであって、
突起として構成されるべき皮膚のセクションをその中に受け取る空洞を有するハウジングであって、空洞は負圧源と通信しているものと、
負圧源との通信を制御するように構成された、空洞の内部に位置する突起調整されたバルブと、
を含むアプリケータ。
【請求項2】
ハウジングは、負圧の印加下において空洞中に皮膚を引き込むように構成されている、請求項1によるアプリケータ。
【請求項3】
バルブは更に、
少なくとも1つのガイドと結合されたプレートであって、プレートは突起によって第一の方向にずらされるように構成されているものと、
突起がへこむ時に、ずらされたプレートのそのずらされていない位置に向けての戻りを助長するために、第一の方向とは反対方向に力を加えるように構成されたばねと、
を含む、請求項1によるアプリケータ。
【請求項4】
バルブが閉じた位置までずらされた時に、空洞を一時的に密封するように構成されたガスケットを更に含む、請求項3によるアプリケータ。
【請求項5】
突起の大きさセンサーを更に含み、センサーは、光学的センサー、機械的センサー、抵抗性センサー、静電容量性センサーまたはインダクタンス性センサーからなるグループの少なくとも1つである、請求項1によるアプリケータ。
【請求項6】
突起の大きさセンサーは皮膚の緩さセンサーである、請求項5によるアプリケータ。
【請求項7】
突起の大きさセンサーはスイッチである、請求項5によるアプリケータ。
【請求項8】
処分可能なゲルガードまたは再使用可能なゲルガードからなるグループの1つを更に含む、請求項1によるアプリケータ。
【請求項9】
皮膚突起を形成する方法であって、
アプリケータを皮膚のセグメントに適用することであって、アプリケータは負圧源と通信している空洞を有することと、
負圧の結果として皮膚のセグメントの一部を空洞中に引き込むことによって、皮膚突起を形成することと、
突起を形成している負圧のレベルを制御しているバルブによって、突起の大きさを調整することと、
を含む方法。
【請求項10】
負圧源との通信は、それが開いた位置と閉じた位置の間を動くにつれて負圧通信を制御するように構成されたバルブを通してである、請求項9による方法。
【請求項11】
突起によってバルブに印加された正圧は、バルブを閉じた位置に向けて動かすように働くことができ、それにより負圧源との通信を減らす、請求項10による方法。
【請求項12】
バルブが閉じた位置に向けて動くにつれて、ばねが圧縮されて、それにより負圧源との通信を増加するためにバルブを開いた位置に向けて動かすよう圧力をかけるエネルギーを蓄積するように、ばねがバルブと関連付けられている、請求項10による方法。
【請求項13】
負圧の大きさは、皮膚上での悪い影響の生成に結果としてならないような値に制限されている、請求項9による方法。
【請求項14】
皮膚の治療されたセクションにゲルを施すことと、
処分可能なゲルガードをアプリケータに取り付けることによってゲルが空洞中に浸透することを防ぐことと、
を更に含む、請求項9による方法。
【請求項15】
皮膚治療のためのアプリケータであって、
突起として構成されるべき皮膚のセクションをその中に受け取る空洞であって、空洞は空洞内に負圧を提供するための真空源と通信しているものと、負圧源との通信を制御するように構成されている空洞の内部に位置するバルブと、を規定しているハウジングと、
RFエネルギー生成器と通信している1つ以上のRF電極と、
を含むアプリケータ。
【請求項16】
空洞内の負圧は、空洞中に皮膚を引き込み、それにより突起を作り出すように働く、請求項15によるアプリケータ。
【請求項17】
バルブは更に、
少なくとも1つのガイドと結合されたプレートであって、プレートは皮膚の突起によってずらされるように構成されているもの
皮膚の突起が空洞からへこむ時に、ずらされたプレートをそのずらされていない位置に向けて戻すように構成されたばねと、
を含む、請求項15によるアプリケータ。
【請求項18】
少なくとも1つの超音波トランスデューサーを更に含む、請求項15によるアプリケータ。
【請求項19】
超音波トランスデューサーは、トランスデューサーに超音波エネルギーを提供する超音波エネルギー生成器と通信する、請求項18によるアプリケータ。
【請求項20】
超音波トランスデューサーは、従来のまたはフェーズドアレイトランスデューサーからなるグループの少なくとも1つである、請求項18によるアプリケータ。
【請求項21】
少なくとも1つの照明源を更に含む、請求項15によるアプリケータ。
【請求項22】
処分可能なゲルガードを更に含む、請求項15によるアプリケータ。
【請求項23】
皮膚治療の方法であって、
アプリケータを皮膚のセクション上に置くことであって、アプリケータは、皮膚のセクションの少なくとも一部を受け取るように構成されている空洞と、負圧源との通信を制御するように構成された空洞の内部に位置するバルブと、RFエネルギー生成器と通信している少なくとも1つのRF電極と、を規定していることと、
負圧の印加によって皮膚のセクションの少なくとも一部を空洞中に引き込むことによって、皮膚突起を形成することであって、突起の大きさが突起を形成している負圧の値を調整することと、
RFエネルギーを皮膚突起に印加することと、
を含む方法。
【請求項24】
皮膚突起によってバルブに印加された正圧は、負圧源との通信を不能にする、請求項23による方法。
【請求項25】
RFエネルギーは、パルスまたは連続モードで皮膚に印加される、請求項23による方法。
【請求項26】
皮膚に印加されたRFエネルギーは、所望の治療効果を引き起こすのに十分なパワーと周波数を有する、請求項23による方法。
【請求項27】
超音波エネルギーを皮膚突起に印加するステップを更に含む、請求項23による方法。
【請求項28】
超音波エネルギーを印加するステップは更に、RFエネルギーの前またはそれと同時に超音波エネルギーを皮膚突起に印加することを含む、請求項27による方法。
【請求項29】
皮膚突起の大きさを感知し、感知された大きさに基づいてRFまたは超音波の少なくとも1つの印加をオンまたはオフに切り替えるための信号を印加するステップを更に含む、請求項27による方法。
【請求項30】
皮膚突起を形成するステップは更に、皮膚上での悪い影響の生成を低減するようなやり方で負圧の値を制御すべくバルブを駆動することを含む、請求項23による方法。
【請求項31】
皮膚の治療されたセクションにゲルを施すことと、
処分可能なゲルガードをアプリケータに取り付けることによってゲルの真空システム中への浸透を防ぐことと、
を更に含む、請求項23による方法。
【請求項32】
RFと超音波の組み合わせ皮膚治療の方法であって、
アプリケータによって規定された空洞中に皮膚の一部を引き込むための負圧を印加することによって皮膚突起を形成することであって、アプリケータは少なくとも1つのバルブと、少なくとも1つのRF電極と、少なくとも1つの超音波トランスデューサーを有することと、
皮膚突起がバルブに対して圧力を加えるにつれて負圧を制御することによって皮膚突起の大きさを調整することと、
焦点容積を第一の温度まで加熱するように、超音波エネルギーを皮膚突起に印加することと、
を含む方法。
【請求項33】
焦点容積を所望の治療効果を引き起こすのに十分な第二の温度まで加熱するようにRFエネルギーを導入することを更に含む、請求項32による方法。
【請求項34】
突起を形成するのに要求される時間を決定し、その時間から所望の皮膚治療パラメータを導出することを更に含む、請求項32による方法。
【請求項35】
突起の大きさを感知し、RFまたは超音波の少なくとも1つの印加をオンまたはオフに切り替えるための大きさに基づいた信号を印加することを更に含む、請求項32による方法。
【請求項36】
皮膚治療のシステムであって、
皮膚突起を形成するためのアプリケータであって、アプリケータは突起の大きさを自動的に調整するものであり、アプリケータは、
i)1つ以上のRF電極と、
ii)1つ以上の超音波トランスデューサーと、
iii)突起の大きさセンサーと、
を更に含むものと、
少なくとも真空ポンプと、RF生成器と、超音波生成器を含んだコントローラと、
を含むシステム。
【請求項37】
コントローラは更に、皮膚と、RF電極と、超音波トランスデューサーを冷却するように適応された冷却ユニットを含む、請求項36によるシステム。
【請求項38】
ゲル浸透からのアプリケータとそれに関連付けられた真空ポンプの保護の方法であって、
処分可能なゲルガードをアプリケータ中に挿入することと、
ガード上の余分なゲルを収集することと、
処分可能なゲルガードを定期的に交換することと、
を含む方法。
【請求項39】
皮膚の緩さの決定の方法であって、
皮膚のセクションにアプリケータを適用して、皮膚突起を生成することと、
皮膚がアプリケータによって規定された空洞を充満するのに要求される時間を決定することと、を含み、
皮膚が空洞を充満するのに要求される時間が皮膚の緩さを決定する、方法。
【請求項40】
皮膚の緩さの決定の方法であって、
皮膚のセクションにアプリケータを適用して、皮膚突起を生成することと、
皮膚が突起を形成するのに要求される時間と突起の大きさを関係付ける関数を決定することと、を含み、
皮膚が突起を形成するのに要求される時間と突起の大きさを関係付ける関数の傾きが皮膚の緩さを決定する、方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate


【公表番号】特表2011−528250(P2011−528250A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518056(P2011−518056)
【出願日】平成21年7月12日(2009.7.12)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000693
【国際公開番号】WO2010/007619
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(504359488)シネロン メディカル リミテッド (25)
【Fターム(参考)】