盛土の法面用壁面材と、その取付方法。
【課題】テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられ、緑化が可能で、施工が容易な壁面材の取付方法を提供する。
【解決手段】一定幅の桟1を縦及び横方向に一定間隔で格子状に組付けて周りを同じ桟1で形成される枠2で囲んだ矩形の形態をなすFRP製の成形品で、盛土5の法面に植物の種子を包み込んだ植生シートを介して取付ける。そして盛土5の層間に装着される鋼製のストリップ6と連結金具7で連結する。
【解決手段】一定幅の桟1を縦及び横方向に一定間隔で格子状に組付けて周りを同じ桟1で形成される枠2で囲んだ矩形の形態をなすFRP製の成形品で、盛土5の法面に植物の種子を包み込んだ植生シートを介して取付ける。そして盛土5の層間に装着される鋼製のストリップ6と連結金具7で連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられ、緑化が可能な壁面材と、その取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テールアルメ工法による盛土構造は、盛土の層間に鋼製の帯材よりなるストリップを配置し、法面に沿わせた壁面材とストリップを連結してなるもので、土とストリップとの間に発生する摩擦で土の変形を拘束して盛土を安定化させるようになっており、壁面材には主としてプレキャストコンクリート版が用いられてきたが、従来の壁面材では緑化することができなかった。
【0003】
緑化を可能とした壁面材も提案され、その一つに構築された盛土の法面に取付けられるプレキャスト版よりなる壁面材に植栽孔を設け、該植栽孔の背面(裏)側にネットを取付けて土砂が植栽孔に流入しないようにし、表側よりサツキ、蔦等の根鉢を植栽孔に押し込んで背面土にネットを介して密着させ、背面土の養水分を根鉢に浸透させて植物を育成し、育成した植物の根をネットを通して背面土に伸長させるようになっており、表側には根鉢を固定するための止め具が設けられたものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
緑化が可能な壁面材としてはこのほか、鉄筋を格子状に組付けたメッシュパネルも知られる。このメッシュパネルは垂直壁には不適であるが、植生ネットを併用することにより傾斜した法面の緑化を行うことが可能である。
【特許文献1】特開2007−89594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される壁面材の施工は、法面に沿わせた壁面材をストリップに連結して取付けたのち、根鉢を取付けることによって行われるが、その際、根鉢の植栽孔への押込み、止め具による根鉢の固定等の作業が必要であり、止め具を設けることにより壁面材の構造も複雑となる。これに対し、メッシュパネルは構造が簡単で、緑化のための作業が必要でなく、また剛性が低く変形し易いために屈曲した法面に対しても変形させることで容易に対応させることができる利点があるが、反面、運搬時や取扱い時に不必要な変形をしがちで、取扱い難いこと、強度が低いこと、施工時にメッシュパネル同士を縦横に連結する際には、メッシュパネル同士を一部重ねて、重ね合わせ部を番線を用いて結束するが、その作業には多大な手間がかかること等の問題がある。
【0006】
本発明は、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられ、緑化が可能で、施工が容易な壁面材と、その取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の壁面材は、一定幅の桟を格子状又はハニカム状に組みつけて周りを枠で囲んだ形態をなし、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられることを特徴とし、
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の壁面材の取付方法に関するもので、壁面材は例えば繊維強化プラスチックFRP製の成形品で、桟が格子状又はハニカム状に組みつけられることによって画成される四角形又は六角形の各目孔は前記桟が抜き勾配を有することによって一側より他側に向かって拡開してなり、前記壁面材を目孔の拡開する側が表側となるように盛土の法面に当てがう工程と、壁面材の所要の目孔に目孔の拡開する側から連結金具付きの装填ピースを連結金具から挿入して押込む工程と、壁面材から突出する連結金具と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップとを止着手段によって連結する工程とからなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、同じく請求項1に係る発明の壁面材の別の取付方法に関するもので、H形鋼よりなる支杆を縦向きに、かつ溝が互いに向き合って横向きとなるように盛土の法面に沿わせて定間隔で並設する工程と、隣接する支杆の対向する溝に壁面材を上方から両側の支杆の溝に嵌合させて装着する工程と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップと支杆、横杆及び壁面材のうち、いずれか少なくとも一つとを連結する工程とからなることを特徴とし、好ましい発明では、壁面材を装着するごとに、その上にH形鋼よりなる横杆が横向きに、溝を上下に向けて装着され、上下の各溝に壁面材の上側縁及び下側縁が嵌着される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によると、壁面材の表側から植物の種子を吹付け、或いは壁面材と盛土の法面との間に植物の種子を取付けた植生マットを介して取付けることにより壁面材を通した緑化が可能であること、緑化のために特別な施工を必要とせず、壁面材は従来の施工法で取付けるだけでよいこと、壁面材は盛土の法面に縦横に配置されて連結されるが、連結は壁面材の枠同士を溶接したり、ボルト等の止具で止着することにより、或いはまた枠同士を針金等で数か所縛り付けるだけで容易に行えること、壁面材は周りが枠で囲まれ、桟が突出していないため作業中桟に引っ掛かることがないため、安全で作業性もよいこと等の効果を奏する。
【0010】
請求項2に係る発明によると、壁面材を一体成形により簡易に生産できること、一体成形された壁面材は四角形又は六角形をなす各目孔を形成する桟が抜き勾配を有するが、この抜き勾配を利用して装填ピースを嵌め込み、その連結金具と盛土の層間に介装されるストリップを連結するだけで壁面材の固定を容易に行うことができること、少なくとも表側を着色した装填ピースを所要の目に装着することで、意匠効果をもたらすことができること等の効果を奏する。
【0011】
請求項3に係る発明によると、壁面材を対向する支杆の溝に嵌合して装着することで壁面材を容易かつ確実に取付けることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の壁面材について図面により説明する。
図1は、一定幅の桟1を縦及び横方向に一定間隔で格子状に組付けて周りを同じ桟1で形成される枠2で囲んだ矩形の形態をなすFRP製の成形品よりなる壁面材3について示すものであり、図2は、盛土5の層間に配置される鋼製のストリップ6と盛土5の法面に取付けた壁面材3を連結金具7で連結した構造を示すもので、盛土5の法面には図示していないが、壁面材3との間に植物の種子を包み込んだ植生マットが取付けられている。
【0013】
図3は、同一平面内で縦横に連設した壁面材3の背面(裏)側に盛土5の層間に配置されるストリップ6が連結されている。
【0014】
本実施形態の壁面材3によると、壁面材3が格子状をなしていることにより植生マットから生育した植物が壁面材3を通して繁茂し、緑化ができること、緑化のために従来工法で用いられる、壁面材を格子状の壁面材とし、新たに植生マットを取付けるだけでよく、従来工法と実質的に変わりなく緑化できること、壁面材3は周りが枠2で囲まれているために、枠2で囲われず、桟端が露出している場合、桟端に引っ掛かって作業に支障を来たしたり、安全性を損なうといった問題を生ずることがないこと、隣接する壁面材3の連結は、枠同士をボルトを通し、ナットで締付けることで容易に行えること、壁面材3はFRP製の成形品よりなるため、軽量で作業性、耐久性、耐候性、耐食性、更には生産性に優れ、着色した樹脂を用いることにより壁面材を着色させることができ、塗装も可能であること、等の効果を有する。
【0015】
上記実施形態では、壁面材3はFRP製となっているが、他の樹脂製であってもよいし、鋼、その他の金属製であってもよい。鋼製とする場合には、好ましくは亜鉛メッキされる。
【0016】
上記実施形態ではまた、法面に植生マットを取付けているが、植生マットは必須の要件ではなく、植生マットを省き、壁面材3の表面側から植物の種子を吹付けてもよい。
【0017】
図4及び図6〜図10は、連結金具7a〜7eと壁面材3の種々の連結態様を示すもので、壁面材3の桟1を格子状に組付けることによって画成される四角形の各目孔9は桟1が抜き勾配を有することにより表側が拡開するように形成されている。図4に示す壁面材3では、ストリップ6と連結するために所要の目孔9に、該目孔9と同じ断面形状をなすFRP製の装填ピース11が表側から装填ピース11にインサートされる連結金具7aを先頭にして押込まれ、連結金具7aとストリップ6とがボルト12とナット13よりなる止着手段によって連結されるようになっており、ストリップ6に矢印方向の張力がかかることで目孔9に嵌着される装填ピース11が楔効果でしっかりと固定されるようになっている。
【0018】
図5は、装填ピース11を装着した壁面材3の要部を表側から見た図で、目孔9に装填ピース11が嵌着され、装填ピース11に着色した装填ピースを用いることで、壁面材3の意匠効果を上げることができるようになっている。
【0019】
図6に示す装填ピース15は表側に一体形成されるフランジ15aを壁面材3に当てることで、より確実に抜け止めが行えるようになっている。
【0020】
図7〜図9は、装填ピース17にインサートされる連結金具7b〜7dの種々の形態を示すもので、図7は、連結金具7bのインサート部分が二又に分岐されたもの、図8は連結金具7cのインサート部分を鉤状に形成したもの、図9は連結金具7dのインサート部分の先端に装填ピース18に被さるプレート20を固着したものである。また図10は連結金具7eをL形に形成して屈曲部と装填ピース19にボルト21を通し、ナット22で締め込んで連結したもので、いずれのものにおいても連結金具7b〜7eは装填ピース17、18、19から抜け止めされるか、一体に連結されるようになっている。
【0021】
図11は、H型鋼よりなる支杆25を縦向き、かつ溝26が互いに向き合って横向きとなり、盛土の法面に沿うようにして一定間隔で並設し、支杆25間に図1に示す壁面材3を上方から両側の支杆25の対向する溝26に嵌合させて装着し、その上に同じH形鋼よりなる横杆27を溝28に壁面材3の上端を嵌合させて装着したもので、ストリップ6が支杆25に溶接その他任意の取付け手段によって連結されている。この横杆27は上下の壁面材3の隙間を塞ぐが、必須ではなく省いてもよい。
【0022】
図示する例では、ストリップ6は支杆25に連結されているが、横杆27に連結してもよいし、壁面材3に連結してもよく、また多数のストリップ6のうち、一部のストリップ6を支杆25に、別のストリップ6を横杆27に、他のストリップ6を壁面材3に連結するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態によると、壁面材3を支杆間に嵌め込むことにより壁面材3を容易かつ確実に固定することができる。
【0024】
前記各実施形態の壁面材3は、桟1を縦横に配置した格子状をなしているが、ハニカム状に形成したものであってもよい。さらに、図4及び5に示される実施形態では、横方向に配設される桟1はほぼ水平となっているが、図12に示すように横方向の桟31を若干傾斜させてもよい。この場合、装填ピースとしては図示するように、桟31によって形成される目孔32と同一断面をなす断面菱形の装填ピース33が用いられる。図中、34は連結金具である。桟31が図示するように表側に向かって上向きに傾斜することにより背面側の土砂等の流出防止を図ることができる。横方向に配設される桟はまた、図13に示すようにL字状の断面をなす桟36として形成し、これにより背面側の土砂等流失防止を図ることもできる。図中、37は図6に示すフランジ15aを形成した装填ピース15と同様の断面構造をなす装填ピースであり、38は連結金具である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る壁面材の斜視図。
【図2】盛土構造の断面図。
【図3】盛土の法面に取付けられる壁面材にストリップを取付けた斜視図。
【図4】壁面材と連結金具の連結態様を示す断面図。
【図5】装填ピースを装着した壁面材の要部の平面図。
【図6】壁面材と連結金具の別の連結態様を示す断面図。
【図7】装填ピースの別の態様を示す断面図。
【図8】装填ピースの更に別の態様を示す断面図。
【図9】装填ピースの更に別の態様を示す断面図。
【図10】装填ピースの他の態様を示す断面図。
【図11】壁面材の別の取付態様を示す斜視図。
【図12】壁面材の別の構造態様を示す一部の断面図。
【図13】壁面材の別の構造態様を示す一部の断面図。
【符号の説明】
【0026】
1、31、36・・桟
2・・枠
3・・壁面材
5・・盛土
6・・ストリップ
7、7a、7b、7c、7d、7e、34、38・・連結金具
9、32・・目孔
11、15、17、18、19、33、37・・装填ピース
12、21・・ボルト
13、22・・ナット
25・・支杆
26、28・・溝
27・・横杆
【技術分野】
【0001】
本発明は、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられ、緑化が可能な壁面材と、その取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テールアルメ工法による盛土構造は、盛土の層間に鋼製の帯材よりなるストリップを配置し、法面に沿わせた壁面材とストリップを連結してなるもので、土とストリップとの間に発生する摩擦で土の変形を拘束して盛土を安定化させるようになっており、壁面材には主としてプレキャストコンクリート版が用いられてきたが、従来の壁面材では緑化することができなかった。
【0003】
緑化を可能とした壁面材も提案され、その一つに構築された盛土の法面に取付けられるプレキャスト版よりなる壁面材に植栽孔を設け、該植栽孔の背面(裏)側にネットを取付けて土砂が植栽孔に流入しないようにし、表側よりサツキ、蔦等の根鉢を植栽孔に押し込んで背面土にネットを介して密着させ、背面土の養水分を根鉢に浸透させて植物を育成し、育成した植物の根をネットを通して背面土に伸長させるようになっており、表側には根鉢を固定するための止め具が設けられたものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
緑化が可能な壁面材としてはこのほか、鉄筋を格子状に組付けたメッシュパネルも知られる。このメッシュパネルは垂直壁には不適であるが、植生ネットを併用することにより傾斜した法面の緑化を行うことが可能である。
【特許文献1】特開2007−89594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される壁面材の施工は、法面に沿わせた壁面材をストリップに連結して取付けたのち、根鉢を取付けることによって行われるが、その際、根鉢の植栽孔への押込み、止め具による根鉢の固定等の作業が必要であり、止め具を設けることにより壁面材の構造も複雑となる。これに対し、メッシュパネルは構造が簡単で、緑化のための作業が必要でなく、また剛性が低く変形し易いために屈曲した法面に対しても変形させることで容易に対応させることができる利点があるが、反面、運搬時や取扱い時に不必要な変形をしがちで、取扱い難いこと、強度が低いこと、施工時にメッシュパネル同士を縦横に連結する際には、メッシュパネル同士を一部重ねて、重ね合わせ部を番線を用いて結束するが、その作業には多大な手間がかかること等の問題がある。
【0006】
本発明は、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられ、緑化が可能で、施工が容易な壁面材と、その取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の壁面材は、一定幅の桟を格子状又はハニカム状に組みつけて周りを枠で囲んだ形態をなし、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられることを特徴とし、
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の壁面材の取付方法に関するもので、壁面材は例えば繊維強化プラスチックFRP製の成形品で、桟が格子状又はハニカム状に組みつけられることによって画成される四角形又は六角形の各目孔は前記桟が抜き勾配を有することによって一側より他側に向かって拡開してなり、前記壁面材を目孔の拡開する側が表側となるように盛土の法面に当てがう工程と、壁面材の所要の目孔に目孔の拡開する側から連結金具付きの装填ピースを連結金具から挿入して押込む工程と、壁面材から突出する連結金具と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップとを止着手段によって連結する工程とからなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、同じく請求項1に係る発明の壁面材の別の取付方法に関するもので、H形鋼よりなる支杆を縦向きに、かつ溝が互いに向き合って横向きとなるように盛土の法面に沿わせて定間隔で並設する工程と、隣接する支杆の対向する溝に壁面材を上方から両側の支杆の溝に嵌合させて装着する工程と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップと支杆、横杆及び壁面材のうち、いずれか少なくとも一つとを連結する工程とからなることを特徴とし、好ましい発明では、壁面材を装着するごとに、その上にH形鋼よりなる横杆が横向きに、溝を上下に向けて装着され、上下の各溝に壁面材の上側縁及び下側縁が嵌着される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によると、壁面材の表側から植物の種子を吹付け、或いは壁面材と盛土の法面との間に植物の種子を取付けた植生マットを介して取付けることにより壁面材を通した緑化が可能であること、緑化のために特別な施工を必要とせず、壁面材は従来の施工法で取付けるだけでよいこと、壁面材は盛土の法面に縦横に配置されて連結されるが、連結は壁面材の枠同士を溶接したり、ボルト等の止具で止着することにより、或いはまた枠同士を針金等で数か所縛り付けるだけで容易に行えること、壁面材は周りが枠で囲まれ、桟が突出していないため作業中桟に引っ掛かることがないため、安全で作業性もよいこと等の効果を奏する。
【0010】
請求項2に係る発明によると、壁面材を一体成形により簡易に生産できること、一体成形された壁面材は四角形又は六角形をなす各目孔を形成する桟が抜き勾配を有するが、この抜き勾配を利用して装填ピースを嵌め込み、その連結金具と盛土の層間に介装されるストリップを連結するだけで壁面材の固定を容易に行うことができること、少なくとも表側を着色した装填ピースを所要の目に装着することで、意匠効果をもたらすことができること等の効果を奏する。
【0011】
請求項3に係る発明によると、壁面材を対向する支杆の溝に嵌合して装着することで壁面材を容易かつ確実に取付けることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の壁面材について図面により説明する。
図1は、一定幅の桟1を縦及び横方向に一定間隔で格子状に組付けて周りを同じ桟1で形成される枠2で囲んだ矩形の形態をなすFRP製の成形品よりなる壁面材3について示すものであり、図2は、盛土5の層間に配置される鋼製のストリップ6と盛土5の法面に取付けた壁面材3を連結金具7で連結した構造を示すもので、盛土5の法面には図示していないが、壁面材3との間に植物の種子を包み込んだ植生マットが取付けられている。
【0013】
図3は、同一平面内で縦横に連設した壁面材3の背面(裏)側に盛土5の層間に配置されるストリップ6が連結されている。
【0014】
本実施形態の壁面材3によると、壁面材3が格子状をなしていることにより植生マットから生育した植物が壁面材3を通して繁茂し、緑化ができること、緑化のために従来工法で用いられる、壁面材を格子状の壁面材とし、新たに植生マットを取付けるだけでよく、従来工法と実質的に変わりなく緑化できること、壁面材3は周りが枠2で囲まれているために、枠2で囲われず、桟端が露出している場合、桟端に引っ掛かって作業に支障を来たしたり、安全性を損なうといった問題を生ずることがないこと、隣接する壁面材3の連結は、枠同士をボルトを通し、ナットで締付けることで容易に行えること、壁面材3はFRP製の成形品よりなるため、軽量で作業性、耐久性、耐候性、耐食性、更には生産性に優れ、着色した樹脂を用いることにより壁面材を着色させることができ、塗装も可能であること、等の効果を有する。
【0015】
上記実施形態では、壁面材3はFRP製となっているが、他の樹脂製であってもよいし、鋼、その他の金属製であってもよい。鋼製とする場合には、好ましくは亜鉛メッキされる。
【0016】
上記実施形態ではまた、法面に植生マットを取付けているが、植生マットは必須の要件ではなく、植生マットを省き、壁面材3の表面側から植物の種子を吹付けてもよい。
【0017】
図4及び図6〜図10は、連結金具7a〜7eと壁面材3の種々の連結態様を示すもので、壁面材3の桟1を格子状に組付けることによって画成される四角形の各目孔9は桟1が抜き勾配を有することにより表側が拡開するように形成されている。図4に示す壁面材3では、ストリップ6と連結するために所要の目孔9に、該目孔9と同じ断面形状をなすFRP製の装填ピース11が表側から装填ピース11にインサートされる連結金具7aを先頭にして押込まれ、連結金具7aとストリップ6とがボルト12とナット13よりなる止着手段によって連結されるようになっており、ストリップ6に矢印方向の張力がかかることで目孔9に嵌着される装填ピース11が楔効果でしっかりと固定されるようになっている。
【0018】
図5は、装填ピース11を装着した壁面材3の要部を表側から見た図で、目孔9に装填ピース11が嵌着され、装填ピース11に着色した装填ピースを用いることで、壁面材3の意匠効果を上げることができるようになっている。
【0019】
図6に示す装填ピース15は表側に一体形成されるフランジ15aを壁面材3に当てることで、より確実に抜け止めが行えるようになっている。
【0020】
図7〜図9は、装填ピース17にインサートされる連結金具7b〜7dの種々の形態を示すもので、図7は、連結金具7bのインサート部分が二又に分岐されたもの、図8は連結金具7cのインサート部分を鉤状に形成したもの、図9は連結金具7dのインサート部分の先端に装填ピース18に被さるプレート20を固着したものである。また図10は連結金具7eをL形に形成して屈曲部と装填ピース19にボルト21を通し、ナット22で締め込んで連結したもので、いずれのものにおいても連結金具7b〜7eは装填ピース17、18、19から抜け止めされるか、一体に連結されるようになっている。
【0021】
図11は、H型鋼よりなる支杆25を縦向き、かつ溝26が互いに向き合って横向きとなり、盛土の法面に沿うようにして一定間隔で並設し、支杆25間に図1に示す壁面材3を上方から両側の支杆25の対向する溝26に嵌合させて装着し、その上に同じH形鋼よりなる横杆27を溝28に壁面材3の上端を嵌合させて装着したもので、ストリップ6が支杆25に溶接その他任意の取付け手段によって連結されている。この横杆27は上下の壁面材3の隙間を塞ぐが、必須ではなく省いてもよい。
【0022】
図示する例では、ストリップ6は支杆25に連結されているが、横杆27に連結してもよいし、壁面材3に連結してもよく、また多数のストリップ6のうち、一部のストリップ6を支杆25に、別のストリップ6を横杆27に、他のストリップ6を壁面材3に連結するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態によると、壁面材3を支杆間に嵌め込むことにより壁面材3を容易かつ確実に固定することができる。
【0024】
前記各実施形態の壁面材3は、桟1を縦横に配置した格子状をなしているが、ハニカム状に形成したものであってもよい。さらに、図4及び5に示される実施形態では、横方向に配設される桟1はほぼ水平となっているが、図12に示すように横方向の桟31を若干傾斜させてもよい。この場合、装填ピースとしては図示するように、桟31によって形成される目孔32と同一断面をなす断面菱形の装填ピース33が用いられる。図中、34は連結金具である。桟31が図示するように表側に向かって上向きに傾斜することにより背面側の土砂等の流出防止を図ることができる。横方向に配設される桟はまた、図13に示すようにL字状の断面をなす桟36として形成し、これにより背面側の土砂等流失防止を図ることもできる。図中、37は図6に示すフランジ15aを形成した装填ピース15と同様の断面構造をなす装填ピースであり、38は連結金具である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る壁面材の斜視図。
【図2】盛土構造の断面図。
【図3】盛土の法面に取付けられる壁面材にストリップを取付けた斜視図。
【図4】壁面材と連結金具の連結態様を示す断面図。
【図5】装填ピースを装着した壁面材の要部の平面図。
【図6】壁面材と連結金具の別の連結態様を示す断面図。
【図7】装填ピースの別の態様を示す断面図。
【図8】装填ピースの更に別の態様を示す断面図。
【図9】装填ピースの更に別の態様を示す断面図。
【図10】装填ピースの他の態様を示す断面図。
【図11】壁面材の別の取付態様を示す斜視図。
【図12】壁面材の別の構造態様を示す一部の断面図。
【図13】壁面材の別の構造態様を示す一部の断面図。
【符号の説明】
【0026】
1、31、36・・桟
2・・枠
3・・壁面材
5・・盛土
6・・ストリップ
7、7a、7b、7c、7d、7e、34、38・・連結金具
9、32・・目孔
11、15、17、18、19、33、37・・装填ピース
12、21・・ボルト
13、22・・ナット
25・・支杆
26、28・・溝
27・・横杆
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定幅の桟を格子状又はハニカム状に組みつけて周りを枠で囲んだ形態をなし、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられることを特徴とする盛土の法面用壁面材。
【請求項2】
請求項1記載の壁面材を盛土の法面に取付ける取付方法であって、壁面材が成形品で、桟が格子状又はハニカム状に組みつけられることによって画成される四角形又は六角形の各目孔は前記桟が抜き勾配を有することによって一側より他側に向かって拡開してなり、前記壁面材を目孔の拡開する側が表側となるように盛土の法面に当てがう工程と、壁面材の所要の目孔に目孔の拡開する側から連結金具付きの装填ピースを連結金具から挿入して押込む工程と、壁面材から突出する連結金具と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップとを止着手段によって連結する工程とからなることを特徴とする壁面材の取付方法。
【請求項3】
H形鋼よりなる支杆を縦向きに、かつ溝が互いに向き合って横向きとなるように盛土の法面に沿わせて定間隔で並設する工程と、隣接する支杆の対向する溝に壁面材を上方から両側の支杆の溝に嵌合させて装着する工程と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップと支杆、横杆及び壁面材のうち、いずれか少なくとも一つとを連結する工程とからなることを特徴とする壁面材の取付方法。
【請求項1】
一定幅の桟を格子状又はハニカム状に組みつけて周りを枠で囲んだ形態をなし、テールアルメ工法によって構築された盛土の法面に取付けられることを特徴とする盛土の法面用壁面材。
【請求項2】
請求項1記載の壁面材を盛土の法面に取付ける取付方法であって、壁面材が成形品で、桟が格子状又はハニカム状に組みつけられることによって画成される四角形又は六角形の各目孔は前記桟が抜き勾配を有することによって一側より他側に向かって拡開してなり、前記壁面材を目孔の拡開する側が表側となるように盛土の法面に当てがう工程と、壁面材の所要の目孔に目孔の拡開する側から連結金具付きの装填ピースを連結金具から挿入して押込む工程と、壁面材から突出する連結金具と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップとを止着手段によって連結する工程とからなることを特徴とする壁面材の取付方法。
【請求項3】
H形鋼よりなる支杆を縦向きに、かつ溝が互いに向き合って横向きとなるように盛土の法面に沿わせて定間隔で並設する工程と、隣接する支杆の対向する溝に壁面材を上方から両側の支杆の溝に嵌合させて装着する工程と、一定量盛土するごとに盛土上に配置されるストリップと支杆、横杆及び壁面材のうち、いずれか少なくとも一つとを連結する工程とからなることを特徴とする壁面材の取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−68282(P2009−68282A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239175(P2007−239175)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】
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