説明

監視カメラ

【構成】監視画像データは、撮像装置12によって繰り返し生成される。また、端末装置300および400のいずれかから送信された管理者音声データは、受信I/F30によって受信される。CPU32は、撮像装置12によって生成された監視画像データを端末装置300および400に向けて送信し、受信I/F30によって受信された管理者音声データを監視エリアに向けて出力する。CPU32はまた、受信I/F30によって受信された音声データを端末装置300および400のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する。
【効果】監視エリアに現れた不審者に対して警告を発するときに端末装置間で連携を確保することができ、監視性能の向上が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視カメラに関し、特に、監視エリアの画像および音声を管理者に向けて送信し、管理者の音声を監視エリアに向けて出力する、監視カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、監視カメラには、マイクとスピーカとが付設される。監視カメラによって捉えられた監視域の映像は、マイクによって捉えられた監視域の音声とともに、携帯端末機に向けて送信される。また、携帯端末機から受信した音声は、スピーカから出力される。これによって、携帯端末機の利用者は、監視域に現れた不審者に対して警告を発することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−323533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、1台の携帯端末機を用いて監視域を監視することしか想定していない。換言すれば、複数の携帯端末機を用いて複数の利用者が協働して監視域を監視する場合に、背景技術では利用者間の連携の確保に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、監視性能を向上させることができる、監視カメラシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う監視カメラ(100:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、監視エリアを表す画像データを繰り返し生成する撮像手段(14)、複数の端末装置(300, 400)のいずれか1つから送信された音声データを受信する受信手段(30)、撮像手段によって生成された画像データを複数の端末装置に向けて送信する画像送信手段(S5)、受信手段によって受信された音声データを監視エリアに向けて出力する出力手段(S25)、および受信手段によって受信された音声データを複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する第1音声送信手段(S27~S29, S9~S13)を備える。
【0007】
監視エリアを表す画像データは、撮像手段によって繰り返し生成される。複数の端末装置のいずれか1つから送信された音声データは、受信手段によって受信される。画像送信手段は、撮像手段によって生成された画像データを複数の端末装置に向けて送信する。出力手段は、受信手段によって受信された音声データを監視エリアに向けて出力する。第1音声送信手段は、受信手段によって受信された音声データを複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する。
【0008】
このように、監視エリアを表す画像データは、複数の端末装置に向けて送信される。複数の端末装置のいずれか1つから音声データを受信すると、受信された音声データは、監視エリアに向けて出力されるとともに、複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信される。これによって、監視エリアに現れた不審者に対して警告を発するときに端末装置間で連携を確保することができ、監視性能の向上が図られる。
【0009】
好ましくは、第1音声送信手段は画像送信手段の送信処理と並列して音声データを送信する。
【0010】
好ましくは、監視エリアの周辺の音声を表す音声データを取り込む取り込み手段(16, 18)、および取り込み手段によって取り込まれた音声データを複数の端末装置に向けて送信する第2音声送信手段(S7)がさらに備えられる。
【0011】
この発明に従う遠隔監視プログラムは、監視エリアを表す画像データを繰り返し生成する撮像手段(14)、および複数の端末装置(300, 400)のいずれか1つから送信された音声データを受信する受信手段(30)を備える監視カメラ(100)のプロセッサ(32)に、撮像手段によって生成された画像データを複数の端末装置に向けて送信する画像送信ステップ(S5)、受信手段によって受信された音声データを監視エリアに向けて出力する出力ステップ(S25)、および受信手段によって受信された音声データを複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する音声送信ステップ(S27~S29, S9~S13)を実行させるための、遠隔監視プログラムである。
【0012】
この発明に従う遠隔監視方法は、監視エリアを表す画像データを繰り返し生成する撮像手段(14)、および複数の端末装置(300, 400)のいずれか1つから送信された音声データを受信する受信手段(30)を備える監視カメラ(100)によって実行される遠隔監視方法であって、撮像手段によって生成された画像データを複数の端末装置に向けて送信する画像送信ステップ(S5)、受信手段によって受信された音声データを監視エリアに向けて出力する出力ステップ(S25)、および受信手段によって受信された音声データを複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する音声送信ステップ(S27~S29, S9~S13)を備える。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、監視エリアを表す画像データは、複数の端末装置に向けて送信される。複数の端末装置のいずれか1つから音声データを受信すると、受信された音声データは、監視エリアに向けて出力されるとともに、複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信される。これによって、監視エリアに現れた不審者に対して警告を発するときに端末装置間で連携を確保することができ、監視性能の向上が図られる。
【0014】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1実施例に適用される監視カメラの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1実施例に適用される端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図1実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図5】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図6】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、この実施例の遠隔監視システム10は、1台の監視カメラ100と2台の端末装置300および400を含む。監視カメラ100は、通信ネットワーク200を介して端末装置300および400の各々と接続される。
【0017】
監視カメラ100は、図2に示すように構成される。監視エリアの画像は撮像装置12によって捉えられ、監視エリアおよびその周辺の音声はマイクロフォン16によって捉えられる。撮像装置12から出力された監視画像データは、カメラ処理回路14による既定の処理を経た後、メモリ制御回路24によってSDRAM26の画像バッファエリア26aに書き込まれる。マイクロフォン16から出力された監視音声データは、音声入力回路18による既定の処理を経た後、メモリ制御回路24によってSDRAM26の送信音声バッファエリア26bに書き込まれる。
【0018】
送信I/F28は、指定周期(=たとえば1/30秒)が到来する毎に、画像バッファエリア26aに格納された監視画像データと送信音声バッファエリア26bに格納された監視音声データとをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された監視画像データおよび監視音声データを通信ネットワーク200に向けて送出する。監視画像データおよび監視音声データは、通信ネットワーク200を伝送されて端末装置300および400に与えられる。
【0019】
図3を参照して、受信I/F42は、通信ネットワーク200から与えられた監視画像データおよび監視音声データをメモリ制御回路46を通してSDRAM48に書き込む。LCDドライバ50は、SDRAM48に格納された監視画像データをメモリ制御回路46を通して読み出し、読み出された監視画像データに基づく画像をLCDモニタ52に表示する。音声出力回路54は、SDRAM48に格納された監視音声データをメモリ制御回路46を通して読み出し、読み出された監視音声データに既定の処理を施す。処理後の監視音声データに基づく音声は、スピーカ56から出力される。端末装置300または400の管理者は、LCDモニタ52に表示された画像とスピーカ56から出力された音声とによって監視エリアとその周辺の状況を認識することとなる。
【0020】
端末装置300または400の管理者が発した音声は、マイクロフォン60によって捉えられる。音声入力回路58は、マイクロフォン60から出力された管理者音声データに既定の処理を施し、処理後の管理者音声データをメモリ制御回路46を通してSDRAM48に書き込む。送信I/F44は、SDRAM48に格納された管理者音声データをメモリ制御回路46を通して周期的に読み出し、読み出された管理者音声データを通信ネットワーク200に送出する。管理者音声データは、通信ネットワーク200を伝送されて監視カメラ100に与えられる。
【0021】
図2に戻って、受信I/F30は、端末装置300または400から与えられた管理者音声データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26の受信音声バッファエリア26cに書き込む。音声出力回路22は、受信音声バッファエリア26cに格納された管理者音声データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された管理者音声データに既定の処理を施し、そして処理後の管理者音声データをスピーカ20に与える。この結果、端末装置300または400の管理者の発話音声が監視エリアとその周辺に向けて出力される。
【0022】
受信音声バッファエリア26bに格納された管理者音声データはまた、メモリ制御回路24によって送信音声バッファエリア26cに複製される。送信I/F28は、複製された管理者音声データをメモリ制御回路24を通して送信音声バッファエリア26cから読み出し、読み出された管理者音声データを通信ネットワーク200に向けて送出する。管理者音声データは、通信ネットワーク200を伝送されて端末装置300および400に与えられる。
【0023】
図3を参照して、受信I/F42は、監視カメラ100から与えられた管理者音声データをメモリ制御回路46を通してSDRAM48に書き込む。音声出力回路54は、SDRAM48に格納された管理者音声データをメモリ制御回路46を通して読み出し、読み出された管理者音声データに既定の処理を施す。処理後の管理者音声データに基づく音声は、スピーカ56から出力される。この結果、端末装置300および400の一方の管理者の口から発せられた音声は、端末装置300および400の他方の管理者の耳にも届けられる。
【0024】
図4を参照して、監視音声および管理者音声のやり取りは、次の要領で実行される。監視カメラ100のマイクロフォン16によって捉えられた監視音声は、送信音声バッファエリア26bを介して送信I/F28に与えられ、送信I/F28によって通信ネットワーク200に送出される。監視音声はその後、端末装置300および400の受信I/F42によって受信され、スピーカ56から出力される。
【0025】
一方、管理者音声は、端末装置300または400のマイクロフォン60によって捉えられ、送信I/F44を経て通信ネットワーク200に送出される。通信ネットワーク200を伝送された管理者音声は、監視カメラ100の受信I/F30によって受信され、受信音声バッファエリア26cに格納される。管理者音声はその後、スピーカ20から出力されるとともに、送信音声バッファエリア26bに複製される。
【0026】
複製された管理者音声はその後、送信I/F28によって通信ネットワーク200に送出され、端末装置300および400のI/F42によって受信される。受信された管理者音声は、スピーカ56から出力される。
【0027】
これによって、監視エリアに現れた不審者に対して警告を発するときに端末装置300および400間で連携を確保することができ、監視性能の向上が図られる。また、監視音声および管理者音声のやり取りは、監視カメラ100を設置するときの作業の効率化にも貢献する。
【0028】
CPU32は、図5に示す送信制御タスクおよび図6に示す受信制御タスクを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ34に記憶される。
【0029】
図5を参照して、ステップS1ではフラグFLGを“0”に設定し、ステップS3では指定周期が到来したか否かを判別する。判別結果がNOであればそのままステップS11に進み、判別結果がYESであればステップS5〜S7を経てステップS11に進む。
【0030】
ステップS5では監視画像データの送信を送信I/F28に要求し、ステップS7では監視音声データの送信を送信I/F28に要求する。ステップS5およびS7の要求を受けた送信I/F28は、画像バッファエリア26aおよび送信音声バッファエリア26bにそれぞれ格納された監視画像データおよび監視音声データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された監視画像データおよび監視音声データを端末装置300および400の各々に向けて送出する。
【0031】
ステップS11ではフラグFLGが“1”を示すか否かを判別し、NOであればそのままステップS3に戻る一方、YESであればステップS13〜S15を経てステップS3に戻る。ステップS13では管理者音声データの送信を送信I/F28に要求し、ステップS15ではフラグFLGを“0”に戻す。ステップS13の要求を受けた送信I/F28は、送信音声バッファエリア26bに複製された管理者音声データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された管理者音声データを端末装置300および400の各々に向けて送出する。
【0032】
図6を参照して、ステップS21では指定周期が到来したか否かを判別し、ステップS23では管理者音声データが受信I/F30によって受信されたか否かを判別する。したがって、管理者音声データの受信の有無は指定周期毎に判別され、ステップS21およびS23のいずれの判別結果もYESであるときにステップS25に進む。
【0033】
ステップS25では管理者音声データの再生を音声出力回路22に要求し、ステップS27では管理者音声データの複製をメモリ制御回路24に要求する。ステップS27の要求を受けた音声出力回路22は、受信音声バッファエリア26cに格納された管理者音声データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された管理者音声データに基づく音声をスピーカ20から出力する。ステップS27の要求を受けたメモリ制御回路24は、受信音声バッファエリア26cに格納された管理者音声データを送信音声バッファエリア26bに複製する。ステップS27の処理が完了すると、ステップS29でフラグFLGを“1”に更新し、その後にステップS21に戻る。
【0034】
以上の説明から分かるように、監視画像データは、撮像装置12によって繰り返し生成される。また、端末装置300および400のいずれかから送信された管理者音声データは、受信I/F30によって受信される。CPU32は、撮像装置12によって生成された監視画像データを端末装置300および400に向けて送信し(S5)、受信I/F30によって受信された管理者音声データを監視エリアに向けて出力する(S25)。CPU32はまた、受信I/F30によって受信された音声データを端末装置300および400のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する(S27~S29, S9~S13)。
【0035】
このように、監視画像データは、端末装置300および400に向けて送信される。端末装置300および400のいずれかから管理者音声データを受信すると、受信された管理者音声データは、監視エリアに向けて出力されるとともに、端末装置300および400のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信される。
【0036】
これによって、監視エリアに現れた不審者に対して警告を発するときに端末装置300および400間で連携を確保することができ、監視性能の向上が図られる。また、監視音声および管理者音声のやり取りは、監視カメラ100を設置するときの作業の効率化にも貢献する。
【0037】
なお、この実施例では、2台の端末装置300および400を準備するようにしているが、3台以上の端末装置を準備するようにしてもよい。
【0038】
また、この実施例では、監視カメラ100によって複製された管理者音声データを端末装置300および400の両方に送信するようにしている。しかし、複製された管理者音声データは、端末装置300および400のうち管理者音声データの送信元以外の端末装置にのみ送信するようにしてもよい。
【0039】
さらに、この実施例の監視カメラ100では、音声入力回路18および音声出力回路22を個別に設け、音声入力処理および音声出力処理を同時に実行するようしている。しかし、音声入力回路18および音声出力回路22を一体化し、音声入力処理および音声出力処理を択一的に実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 …遠隔監視システム
12 …撮像装置
16,60 …マイクロフォン
20,56 …スピーカ
26 …SDRAM
28,44 …送信I/F
30,42 …受信I/F
32 …CPU
100 …監視カメラ
200 …通信ネットワーク
300,400 …端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアを表す画像データを繰り返し生成する撮像手段、
複数の端末装置のいずれか1つから送信された音声データを受信する受信手段、
前記撮像手段によって生成された画像データを前記複数の端末装置に向けて送信する画像送信手段、
前記受信手段によって受信された音声データを前記監視エリアに向けて出力する出力手段、および
前記受信手段によって受信された音声データを前記複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する第1音声送信手段を備える、監視カメラ。
【請求項2】
前記第1音声送信手段は前記画像送信手段の送信処理と並列して前記音声データを送信する、請求項1記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記監視エリアの周辺の音声を表す音声データを取り込む取り込み手段、および
前記取り込み手段によって取り込まれた音声データを前記複数の端末装置に向けて送信する第2音声送信手段をさらに備える、請求項1記載の監視カメラ。
【請求項4】
監視エリアを表す画像データを繰り返し生成する撮像手段、および複数の端末装置のいずれか1つから送信された音声データを受信する受信手段を備える監視カメラのプロセッサに、
前記撮像手段によって生成された画像データを前記複数の端末装置に向けて送信する画像送信ステップ、
前記受信手段によって受信された音声データを前記監視エリアに向けて出力する出力ステップ、および
前記受信手段によって受信された音声データを前記複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する音声送信ステップを実行させるための、遠隔監視プログラム。
【請求項5】
監視エリアを表す画像データを繰り返し生成する撮像手段、および複数の端末装置のいずれか1つから送信された音声データを受信する受信手段を備える監視カメラによって実行される遠隔監視方法であって、
前記撮像手段によって生成された画像データを前記複数の端末装置に向けて送信する画像送信ステップ、
前記受信手段によって受信された音声データを前記監視エリアに向けて出力する出力ステップ、および
前記受信手段によって受信された音声データを前記複数の端末装置のうち少なくともデータ送信元と異なる端末装置に向けて送信する音声送信ステップを備える、遠隔監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−178118(P2010−178118A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19253(P2009−19253)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】