説明

監視システム、監視装置、サービス実行環境の監視方法、及び監視装置用プログラム

【課題】装置使用者がサービス実行環境に関する膨大な知識や経験を有することなく監視ルールを適切に修正可能ならしめる監視システム等を提供する。
【解決手段】サービス実行環境30の状態が監視ルールの各監視条件を満たすか否かを判定する分析部11を備え各判定の違いを検出して当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能としたマネージャ装置10を備えた監視システムであって、前記マネージャ装置10が、前記各判定に使用された各監視条件に対応するサービス実行環境30の状態(各性能情報)を履歴として各々蓄積する分析履歴蓄積部19と、複数の各監視条件が異なる判定結果の場合に前記分析履歴蓄積部19の性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこれを前記監視不良の修正にかかる監視条件として生成する条件生成部18と、を備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス実行環境において所定のアプリケーションを実行する装置の運用条件を監視するシステムに関し、特に、実環境に合わせた監視設定を成し得る監視システム、監視装置、サービス実行環境の監視方法、及び監視装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種サーバ群などの監視対象を統合的に管理及び監視する汎用の監視システム(運用監視技術)にあっては、「監視」「分析」「対処」という自律のループをいかに正しく実行処理するかが大きな課題となっている。その中でも、分析結果の正しさを検証する手法は実現されておらず、運用を継続することによって分析結果が適正なものになっていくこと、即ち、監視設定が自動最適化されることが求められている。
【0003】
そのためには、監視設定が適切になされているか否かを監視システム自体が評価して管理者に変更を促す、又は監視設定を自動修正する必要がある。
【0004】
ここで、監視設定が適切になされているか否かを監視システム自体が評価するためには、本当の障害が発生しているのか、又は監視設定が適切ではない“監視不良状態”であるのかを監視システムが区別できなければならない。
【0005】
上記のような監視条件の妥当性を確認する監視システムの関連技術として、例えば以下に示す特許文献1、特許文献2などが挙げられる。
【0006】
この内、特許文献1には、互いに異なる複数組の処理ルール(条件)に基づいて複数組の情報集約を行うことにより、異常判定の信頼性を向上させて異常レベルの判定等を可能にした火災警報装置に関する技術が開示されている。
この特許文献1では、処理手段が、複数組の処理ルールに対応した複数組の関数値を求めると共に、複数組の関数値毎に情報集約した複数の火災情報を生成する。判定手段が、複数の火災情報に基づいて異常判定を行い、角度を変えた異なる処理ルールに基づく2回目の情報集約により、1回目の異常判定結果を確認すると共に、複数組の火災情報に基づいて最終的な異常判定結果とする。
このような特許文献1では、1回目の関数処理後に異常時の処理ルールを用いて2回目の関数処理を行い、1回目の処理の妥当性を評価するようにして、複数の条件で異常判定を行うことで判定精度を向上させる。
【0007】
又、特許文献2では、監視員が評価する評価結果と判定手段の判定結果とを比較することで、整合性を改善する(正答率が向上する)カメラ監視システムが開示されている。
具体的には、この特許文献2のカメラ監視システムでは、まず、評価入力手段から入力された評価結果と、検出手段の第1の検出動作パラメータを含む第1の判定条件により判定手段が弁別して判定した第1の判定結果とを、制御手段が比較照合すると共に、正検出でなかった場合には、更に第2の検出動作パラメータを含む第2の判定条件により前記判定手段が弁別して判定した第2の判定結果と前記入力された評価結果とを比較し、前記第2の判定結果が前記正検出に該当するものであれば、次回の判定条件として、前記第1の判定条件(第1車速データにかかる測定条件:第1測定区間距離と第1測定頻度)から前記第2の判定条件(第2車速データにかかる測定条件:第2測定区間距離と第2測定頻度)に変更する制御を行う構成となっている。
【0008】
例えば、監視員がイベントに対して「誤検出」または「未検出」と評価した場合、制御手段は、ログテーブル(第2のテーブル)を参照して「正検出」を行った判定条件(車速データにかかる測定条件:測定区間距離と測定頻度)を探し出し、その正検出の判定条件を次回からの判定条件にする。
【0009】
ここで、車両の走行速度は、測定区間距離、測定頻度の組合せからなる判定条件があるので、それに対応して幾つかの異なった測定結果を判定手段にかかるテーブル(第1テーブル)に有する。
例えば、特許文献2の段落番号〔0056〕に示すように、判定に用いるログテーブル(第2テーブル)は、テーブル(第1テーブル)から得られる第1測定区間距離と第1測定頻度とによる第1車速データ(車群速度)、第2測定区間距離と第2測定頻度とによる第2車速データ(車群速度)、第3測定区間距離と第3測定頻度とによる第3車速データ(車群速度)、………、等のように、測定頻度、測定区間距離などのパラメータ(測 定条件)の変化に応じた異なる車速データ群を有する。
【0010】
この内、第1車速データを用いる設定にした場合、判定手段は、この設定に従う第1車速データと予め別に設定されている「低速」「渋滞」などの判定基準の一つである「車群速度が一定値以下の時を渋滞とする」の一定値とを比較し、例えば「渋滞」の異常事象と判定する。
制御手段は、「渋滞」の異常事象の警報と、第1車速データにかかる測定条件(第1測定区間距離と第1測定頻度)を車速データの判定条件に設定したことと、上記各第1車速データ、第2車速データ、第3車速データ(車群速度)、………を取得する。
【0011】
制御手段は、これらの判定条件(測定条件)、車速データ及び警報、異常事象の判定条件の判定結果及び監視員の評価(監視員が監視モニタの映像から経験的感覚に基づいて「正検出」「誤検出」「未検出」で評価した結果)、テーブルにリストされている判定条件候補及び車速等画像処理データを受信し、時刻情報(タイムタグ)と共にログテーブルに記憶する。
そして、制御手段は、ログテーブルを参照して、次回以降の判定条件を選定する制御を行う。
【0012】
ここで、判定条件の選定は、事象判定条件のパラメータ(図4に示すテーブルの検出動作パラメータの事象判定条件)である「測定区間・距離」「測定頻度」「判定使用」、及び抽出動作パラメータの特徴抽出方法である「アルゴリズム」「スレショルド」「追跡ポイント」等の判定対象(例えば車速データ)の変更であり、「渋滞」の判定基準の一つである「車群速度が一定値以下の時を渋滞とする」を変更するものではない(特許文献2には「渋滞」の判定基準の開示はない)。
【0013】
更に、前記制御手段は、イベント毎の監視員の評価結果と、そのイベントに対応する時の各判定条件とその推定評価結果を統計処理し、「正検出」に対応する回数が多い判定条件をログテーブルから探し出し、次回以降の判定に、その判定条件を用いる。
【0014】
又、前記制御手段は、複数の判断条件から得られる判定結果(例えば「渋滞」)と監視員の判定結果(例えば「誤判定」の評価結果)とを集計して比較すると、複数の判定基準で「渋滞」の判定結果が多い結果が得られ、カメラ監視システムの判定結果が監視員のそれより妥当であると推定される場合、監視員の判定、評価を見直す勧告情報、を監視モニタで表示して通報する。
【0015】
更に、制御手段は、前記第1又は第2の検出動作パラメータとの組合せを代えることにより、複数の判定条件候補を設定しておき、その各判定条件候補による判定結果を集計して多数決を取り、その結果、例えば「渋滞」を選定し監視員に「渋滞」を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平06−318292号公報
【特許文献2】特開2005−176077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記特許文献1では、2回目の関数処理によって1回目の処理の妥当性が低いと評価した場合に、1回目の処理に用いた処理ルールは修正対象とはなっておらず、1回目の処理に用いた処理ルールを修正することについて何の開示も無く、示唆さえされていない。
【0018】
即ち、この特許文献1では、実環境に合わせて監視設定を自動最適化することはできない内容となっている。このため、ある状態において1回目の処理と2回目の処理とで判断結果が一致しなかった場合、それ以降に同じ状態となったとしても、1回目の処理結果と2回目の処理結果は不一致となったままである。
【0019】
このように、特許文献1では、監視ルール全体が管理者による修正対象にならず、条件の変更が適正に行われないという不都合があった。
【0020】
又、特許文献2では、監視員の経験的感覚に基づき評価結果を入力することを前提とするものであり、判定には誤差が含まれ、判定評価は監視員の経験的感覚に依存せざるを得ないものとなっている。このため、人が下した評価に基づいて条件の変更を行うため、条件の変更が適切に行われないという不都合があった。
【0021】
更に、特許文献2では、判定条件の選定は、事象判定条件のパラメータ(テーブルの検出動作パラメータの事象判定条件及び抽出動作パラメータの特徴抽出方法等)の判定対象の変更であって、判定基準である「車群速度が一定値以下の時を渋滞とする」を変更するものではないため、判定基準の変更が適切に行われないという不都合があった。
【0022】
更に、判定条件と推定評価結果を統計処理したり、多数決の結果を採ったりしたとしても、人が下した評価が加味されるため、前述した不都合は解消されない。
【0023】
又、判定部による判定結果が監視員の評価結果よりも妥当であることが判明したとしても、監視員に再検討を依頼するのみであり、当該再検討により設定条件を修正するためには、どの設定条件の項目をどのような値に設定変更(修正)すれば適切に監視条件を修正できるかについては、装置使用者(システム管理者)がサービス実行環境に関する膨大な知識や経験が必要であった。
【0024】
本発明の目的は、上述の関連技術の課題を解決することにあり、監視設定が適切になされているか否かを装置自体が評価して管理者に変更を促すと共に、前記監視設定による監視不良の発生を有効に改善することを可能とした監視システム、監視装置、サービス実行環境の監視方法、及び監視装置用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するため、本発明の監視システムは、監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置と、前記サービス実行環境の監視ルールを管理するためのマネージャ装置とを有し、前記マネージャ装置が、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各条件を満たすか否かを判定する分析部を備えると共に、この複数の各監視条件での各判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能とした監視システムであって、前記マネージャ装置が、前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積部と、前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな条件として生成する条件生成部と、を備え
る、という構成を採っている。
【0026】
上記目的を達成するため、本発明の監視装置は、監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理する機能と、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定する機能と、この複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知する機能とを備えた監視装置であって、前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積部を備えると共に、前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として生成する条件生成部を備える、という構成を採っている。
【0027】
上記目的を達成するため、本発明のサービス実行環境の監視方法は、監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理し、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定し、この複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能としたサービス実行環境の監視方法であって、前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として分析履歴蓄積部が各々蓄積処理し、前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな条件として条件生成部が生成する、という構成を採っている。
【0028】
上記目的を達成するため、本発明の監視装置用プログラムは、監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理する機能と、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定する機能と、この複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知する機能とを備えた監視装置にあって、
前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積処理機能、および前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に前記分析履歴蓄積処理機能によって蓄積された前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出すると共にこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として生成する条件生成機能を、コンピュータに実行させるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、分析履歴蓄積部に蓄積されている性能情報に基づいて監視条件の適切なしきい値を条件生成部が提示する構成としたので、監視設定が適切でないことを示す監視不良の状態下にあって監視条件の修正に際しては、監視設定が適切になされているか否かを装置自体が評価し当該監視条件の適切なしきい値を提示して管理者に変更を促すと共に、前記監視設定による監視不良の発生を有効に改善することが可能となり、これがため、装置使用者がサービス実行環境に関する膨大な知識や経験がなくても、監視ルールの修正を行うための適切な運用監視を行うことができるという優れた監視システム、監視装置、サービス実行環境の監視方法、及び監視装置用プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態による監視システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の監視システムにおける監視ルールのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による監視システムにおける動作手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0032】
(監視システムの基本的構成)
先ず、監視システムの基本的構成について説明する。
本実施形態の監視システム1は、監視対象となるサービス実行環境30の状態を把握するためのエージェント装置20と、サービス実行環境30の監視ルールを管理するための監視装置としてのマネージャ装置10とを備えている。
【0033】
このマネージャ装置10は、前記サービス実行環境30の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定し、この複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知する機能を備えている。
【0034】
又、前記マネージャ装置10は、前記各判定に使用された各監視条件に対応する前記サービス実行環境30の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積部19を備えている。
【0035】
更に、このマネージャ装置10は、複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出し、このしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として生成する条件生成部18を備えている。
【0036】
この監視システム1における監視装置としてのマネージャ装置10は、監視対象となるサービス実行環境30の状態を把握するためのエージェント装置20を介してサービス実行環境30の監視ルールを管理し、当該サービス実行環境30の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定し、この複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能としている。
【0037】
このような監視システム1におけるマネージャ装置10の基本的構成によれば、分析履歴蓄積部19に蓄積されている性能情報を元に条件の適切なしきい値を提示する条件生成部18が構成されるため、監視設定が適切でないことを示す監視不良の状態において条件の修正を行うような場合に、条件の適切なしきい値を提示でき、装置使用者がサービス実行環境30に関する膨大な知識や経験がなくても、監視ルールの修正を行い監視システムの適切な運用監視を行うことができる。
【0038】
(監視システムの全体構成)
図1に、本発明における第1実施形態の監視システム1の全体構成の一例を示す。
【0039】
この図1に示すように、本実施の形態の監視システム1は、監視対象となるサービス実行環境30と、この監視対象となるサービス実行環境30の状態を把握するためのエージェント装置20と、前記サービス実行環境30の監視ルールを管理するための監視装置としてのマネージャ装置10とを備えている。
【0040】
サービス実行環境30は、監視対象となるアプリケーションなどの種々のサービス実行環境を含んでいる。
【0041】
エージェント装置20は、サービス実行環境30から性能情報を取り出すとともにこの性能情報を監視しこれをマネージャ装置10に対して送信する監視部21と、マネージャ装置10から送られてくる各種コマンド(例えば障害解消コマンド:障害解消命令など)を受信すると共にこの各種コマンドをサービス実行環境30に対して送信しこれによる動作を実行させるための処理動作を制御する制御部22とを備えている。
【0042】
この内、監視部21は、サービス実行環境30から性能情報を取出すと共に、この性能情報に関する情報をイベントとして生成しマネージャ装置10に通知する機能を備えている。
【0043】
制御部22は、マネージャ装置10から障害解消のためのアクションとしてのコマンドを受取ると共に、サービス実行環境30にそのコマンドを発行し障害を解消する機能を備えている。
【0044】
このマネージャ装置10は、サービス実行環境30の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定し、この複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知する機能を備えている。
【0045】
又、前記マネージャ装置10は、前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応するサービス実行環境30の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積部19と、前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部19の性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな条件として生成する条件生成部18と、を備えている。
【0046】
更に、マネージャ装置10は、エージェント装置20からサービス実行環境30の性能情報を示すイベントを取得してこれを分析する分析部11と、前記サービス実行環境30の状態にかかる監視ルールを蓄積する監視ルール蓄積部12と、監視ルールの監視設定が適切でない監視不良かどうかを検証する監視不良検証部13と、監視ルールに含まれる主条件が障害アリかどうかを示す障害判定結果情報を表示する障害表示部14とを備えている。
【0047】
このマネージャ装置10は、更に、監視設定が適切でないことを示す監視不良警告を表示する監視不良表示部15と、監視ルールを更新する監視ルール更新部16と、障害解消のためのコマンドを発行するコマンド発行部17と、監視ルールにかかる主条件及び副条件を最適な条件に修正すると共にこの修正後の副条件を生成する条件生成部18と、サービス実行環境30の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積部19とを備えている。
【0048】
この内、分析部11は、エージェント装置20からイベントを受取り、監視ルール蓄積部12に蓄積されている監視ルールの条件を満たすかどうかを判定する条件判定機能を備えている。
【0049】
又、分析部11は、前記監視条件を満たす場合(障害アリと判定された場合)、当該判定にかかる障害判定結果情報を監視不良検証部13に送信するとともに、これを障害表示部14にも送信し当該障害表示部14により障害がある旨の画面表示を行って管理者にそれを伝える機能を備えている。
【0050】
監視ルール蓄積部12は、障害の判定のための複数の条件を保持する監視ルールを格納し管理する。
【0051】
監視不良検証部13は、分析部11からの障害判定結果情報を受取り、複数存在する条件の判定結果が一致しない場合には、監視設定が適切でないことを示す監視不良警告を監視不良表示部15に表示するようにする機能を備えている。
【0052】
又、監視不良検証部13は、判定に使用した性能情報を分析履歴蓄積部19に格納する機能を備えている。
更に、監視不良検証部13は、監視不良警告が発生し監視ルールを変更する必要が生じた場合には、条件生成部18が分析履歴蓄積部19に蓄積されている性能情報の履歴を元に監視ルールの閾値を変更して監視ルール更新部16に表示するようにする機能を備えている。
【0053】
監視ルール更新部16は、この監視不良警告が発生し監視ルールを変更する必要が生じた場合に稼働し、監視ルール蓄積部12に蓄積されている監視ルールを変更することでこれを更新する機能を備えている。
【0054】
更に、監視ルール更新部16は、しきい値が変更された監視ルールを確認できるように管理者に対して提示する機能、しきい値の変更が必要となる場合に管理者の操作入力に基づいて当該監視ルールにかかるしきい値に変更を加えこの変更しきい値を監視ルール蓄積部12に蓄積するようにする機能を備えている。
【0055】
コマンド発行部17は、管理者の操作入力に基づく指令により、障害解消のためのアクションをコマンドとしてエージェント装置20に発行する機能を備えている。
【0056】
(条件生成部18の各種機能)
上記した条件生成部18は、複数の監視条件が主条件と1以上の副条件とを含む場合であって、前記主条件の判定結果と1つの前記副条件の判定結果とが異なる場合に、前記分析履歴蓄積部19の性能情報の履歴に基づいて前記主条件の判定結果と前記1つの副条件の判定結果とが同一となるような1つの副条件にかかる性能情報をしきい値として算出し、このしきい値を新たな1つの副条件として生成する機能を備えている。
【0057】
この条件生成部18は、監視不良の場合には、前記1つの副条件の設定変更が必要であることを示す要設定変更情報(例えば図2に示すAUTO)を、前記1つの副条件に対応づけて前記分析履歴蓄積部19の対応箇所に書き込む機能を備えている。
【0058】
又、この条件生成部18は、サービス実行環境30の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えている。
【0059】
更に、条件生成部18は、サービス実行環境30の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、分析履歴蓄積部19の性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている副条件を取り出して比較し、サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えている。
【0060】
又、条件生成部18は、サービス実行環境30の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えている。
【0061】
この条件生成部18は、サービス実行環境30の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている副条件を取り出し、前記サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えている。
【0062】
監視ルール更新部16は、前記新たな副条件を分析履歴蓄積部19の対応箇所に書き込んで情報更新を行うとともに、この新たな副条件を外部に告知する機能を備えている。
【0063】
(分析履歴蓄積部19のデータ構造)
ここで、図2に示すように、監視ルール12aは、「番号」「ルール名称」「主条件」3つの副条件、アクションから成る。ここでは、副条件は3つとしているが、それに限定されることはなく任意の個数を取りうる。
図2に示す監視ルール12aのうち、最初の行の監視ルールは、3層構成のシステムのうちWebサーバのレスポンスを監視するルールの例であり、最初の行の監視ルールは、「アプリケーションのレスポンスが5000〔ms〕より大きい」とき障害と判定する主条件を備えている。
【0064】
更に、最初の行の監視ルールは、「Webサーバの負荷が80〔%〕より大きいとき」又は「Webサーバのセッション数が100より大きいとき」障害と判定する副条件1(第1の副条件)と、「APサーバの負荷が70〔%〕より大きいとき」又は「APサーバのセッション数が150より大きいとき」障害と判定する副条件2(第2の副条件)と、「 DBサーバの負荷が60〔%〕より大きいとき」 障害と判定する副条件3(第3の副条件)との3つの副条件を備えている。
【0065】
このように監視ルール12aは、障害状態を示す主条件と、主条件の状態を別の角度から表す複数の副条件とを備えている。
ここで、副条件には、閾値が数字のものとAUTO(数字)のものがあるが、前者は通常の閾値を示し、後者は数字がその時の閾値を示し、監視不良警告の状態の時、条件生成部18が分析履歴蓄積部19の蓄積情報から適切な閾値を自動的に生成し閾値である数字を変更することを示す。
また、本実施形態では副条件は単純な条件か、複数の単純な条件が論理和で結合されたものとする。
【0066】
(全体的な動作説明)
次に、上述した監視システム1の全体的な動作について、図1乃至図3を参照して説明する。ここで、図3は、図1の監視システム1における動作手順の一例を示すフローチャートである。
【0067】
本実施の形態に係る監視システム1にあっては、全体的な監視動作は、監視対象となるサービス実行環境30の状態を把握するため、エージェント装置20を介して前記サービス実行環境30の監視ルールをマネージャ装置10が管理する。このマネージャ装置10は、サービス実行環境30の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定し、この複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで、当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を外部に向けて告知する機能を備えている。
【0068】
このサービス実行環境30に係る監視における全体の動作手順は、基本的手順として、先ず、前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応する前記サービス実行環境30の状態である各性能情報を履歴として分析履歴蓄積部19が各々蓄積処理する(図3に示すステップA23:分析履歴蓄積処理ステップ,分析履歴蓄積処理機能)。
【0069】
続いて、前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として条件生成部18が生成する(図3に示すステップA41〜ステップA43:条件生成ステップ,条件生成機能)。
【0070】
更に、このサービス実行環境30に係る監視動作手順では、監視条件を生成するに際しては、前記複数の監視条件が主条件と1以上の副条件とを含む場合であって前記主条件の判定結果と1つの前記副条件の判定結果とが異なる場合に、前記分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件の判定結果と前記1つの副条件の判定結果とが同一となるような前記1つの副条件にかかる前記性能情報をしきい値として算出しこのしきい値を新たな1つの副条件として条件生成部18がこれを生成する。
【0071】
又、このサービス実行環境30に係る監視動作手順では、監視条件を生成するに際しては、前記監視不良の場合に前記1つの副条件の設定変更が必要であることを示す要設定変更情報(例えば、図2に示すAUTO)を前記1つの副条件に対応づけて前記分析履歴蓄積部19の対応箇所に書き込む。
【0072】
更に、このサービス実行環境30に係る監視動作手順では、監視条件を生成するに際しては、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている副条件を取り出し、前記サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として条件生成部18がこれを生成する。
【0073】
また、このサービス実行環境30に係る監視動作手順では、監視条件を生成するに際しては、前記サービス実行環境30の状態が主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部19の性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている副条件を取り出し、サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として条件生成部18がこれを生成する。
【0074】
更に、このサービス実行環境30に係る監視動作手順では、監視条件を生成するに際しては、サービス実行環境30の状態が主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部19の性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている副条件を取り出し、サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として条件生成部18がこれを生成する。
【0075】
又、このサービス実行環境30に係る監視動作手順では、監視条件を生成するに際しては、前記サービス実行環境30の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部19の前記性能情報の履歴に基づいて主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている副条件を取り出し、サービス実行環境30の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として条件生成部18がこれを生成する。
【0076】
更に又、このサービス実行環境30に係る監視動作手順では、前記監視条件を生成した後に、新たな副条件を分析履歴蓄積部19の対応箇所に書き込んで情報更新を行うとともに、この新たな副条件を監視ルール更新部が外部に告知する(図3に示すステップA51:監視ルール更新ステップ,監視ルール更新機能)。
【0077】
(詳細動作)
以下、これを具体的に詳述する。
まず、図3に示すように、エージェント装置20の監視部21は、サービス実行環境30より性能情報を収集する(ステップA01:性能情報収集ステップ,性能情報収集機能)。
【0078】
次に、監視部21は、性能情報からイベントを生成し、これをマネージャ装置10に送る(ステップA02:イベント情報生成ステップ,イベント情報生成機能)。
【0079】
マネージャ装置10の分析部11では、エージェント装置20からイベントが送られてくるのを待合わせる(ステップA11:イベント情報受信ステップ,イベント情報受信機能))。
【0080】
次に、分析部11では、監視ルール蓄積部12から監視ルールを一つ取出す(ステップA12:監視ルール取得ステップ,監視ルール取得機能)。
分析部11は、取出す監視ルールがなくなった場合にはステップA11に戻り次のイベントを待合わせ、監視ルールが取出せた場合にはステップA14に進む(ステップA13)。
【0081】
分析部11は、監視ルールが取出せた場合には、監視ルールの主条件が満たされているかを判定する(ステップA14:主条件真偽判定ステップ,主条件真偽判定機能)。
【0082】
又、この分析部11は、主条件を満たしている場合にはステップA16に進み、満たさない場合にはステップA21に進む(ステップA15)。分析部11は、主条件を満たしていた場合には、障害表示部14で障害状態にあることを表示するように制御する(ステップA16:主条件障害表示制御ステップ,主条件障害表示制御機能)。
【0083】
監視不良検証部13では、主条件の判定結果と、副条件の判定結果が異なる場合に監視設定が適切でない監視不良状態にあると判断するが、副条件が複数あるため、監視ルールから副条件を一つ取出しそれを副条件i とする(ステップA21)。
この監視不良検証部13は、監視ルールから全ての副条件を取り出した場合にはステップA12に戻って次の監視ルールを処理し、副条件を取出せた場合にはステップA23に進む(ステップA22)。
【0084】
次に、監視不良検証部13は、分析履歴蓄積部19に主条件、副条件の性能情報を格納する(ステップA 23:分析履歴蓄積処理ステップ,分析履歴蓄積処理機能)。
これにより、分析履歴蓄積部19は主条件、副条件の性能情報を蓄積処理する。
ここで、ステップA21で副条件i が取りだせた場合には、監視不良検証部13又は条件生成部18は、主条件の判定結果と副条件i の判定結果が異なるか否かを判定する(ステップA24:主副条件異同判定ステップ,主副条件異同判定機能)。
【0085】
前述した監視不良検証部13は、主条件の判定結果と副条件i の判定結果が一致する場合にはステップA21に戻って次の副条件を処理し、一致しない場合にはステップA31に進み監視設定が適切でない監視不良状態の処理を行う(ステップA25)。
【0086】
監視設定が適切でない監視不良状態である場合には、監視不良表示部15が、監視不良警告として主条件と主条件の判定結果と副条件i と副条件i の判定結果を表示し、管理者に警告する(ステップA31:監視不良警告表示制御ステップ、及び主副条件と主副条件判定結果表示制御ステップ,監視不良警告表示制御機能および主副条件と主副条件判定結果表示制御機能)。
【0087】
次に、条件生成部18では主条件を満たすか否かを判定し、満たす場合にはステップA42に進み、満たさない場合はステップA43に進む(ステップA41:主条件真偽判定ステップ,主条件真偽判定機能)。
【0088】
主条件を満たす場合(主条件で障害ありの場合)には、条件生成部18が分析履歴蓄積部19から主条件が真のものを全て取り出し、副条件のしきい値にAUTOが指定されているものすべてに対し、条件が<(性能情報<副条件の既設定しきい値:性能情報が副条件の既設定しきい値より小さい)なら性能情報の最大値を新たな閾値とした副条件i を生成し(第1の条件修正ステップ,第1の条件修正機能)、条件が>(性能情報>副条件の既設定しきい値:性能情報が副条件の既設定しきい値より大きい)なら、性能情報の最小値を新たなしきい値とした副条件i を生成し(第2の条件修正ステップ,第2の条件修正機能)、ステップB51に進む(ステップA42)。
【0089】
この場合、条件生成部18が前記主条件の判定結果(主条件で障害あり)と1つの前記副条件の判定結果(1つの前記副条件で障害あり)とが同一となるように、修正する(全条件真修正ステップ,全条件真修正機能)。
【0090】
主条件を満たさない場合(主条件で障害なしの場合)には、条件生成部18が分析履歴蓄積部19から主条件が偽のものを全て取り出し、副条件のしきい値にAUTOが指定されているものすべてに対し、条件が<(性能情報<副条件の既設定しきい値:性能情報が副条件の既設定しきい値より小さい)なら、性能情報の最小値を新たな閾値とした副条件i を生成し(第3の条件修正ステップ,第3の条件修正機能)、条件が>(性能情報>副条件の既設定しきい値:性能情報が副条件の既設定しきい値より大きい)なら、性能情報の 最大値を新たなしきい値とした副条件i を生成し(第4の条件修正ステップ,第4の条件 修正機能)、ステップB51に進む(ステップA43)。
【0091】
この場合、条件生成部18が前記主条件の判定結果(主条件で障害なし)と1つの前記副条件の判定結果(1つの前記副条件で障害なし)とが同一となるように、修正する(全条件偽修正ステップ,全条件偽修正機能)。
【0092】
監視ルール更新部16は、条件生成部18で新たに生成された副条件i を管理者に提示し、管理者は必要であれば条件の修正を実施し、監視ルール蓄積部12に更新された監視ルールを更新し、ステップA21に戻る(ステップA51:監視ルール更新ステップ,監視ルール更新機能))。
【0093】
このように、この監視システム1におけるマネージャ装置10は、監視ルール蓄積部12の監視ルールに、異なる方法で同一状態を判定する複数の条件を保持し、監視不良検証部13が、この複数条件の判定の違いを検出して管理者に監視設定が適切でない監視不良として警告し、管理者に条件を修正させることで、監視設定を実環境に合ったものに変更できるが、更に、性能情報の履歴を蓄積する分析履歴蓄積部19を有し、複数の条件が異なる判定結果になった場合に、この分析履歴蓄積部19の性能情報の履歴から複数の条件が同じ判定結果となるしきい値を算出して監視条件のしきい値として管理者に提示することにより、管理者が監視条件を修正する際の補助を行うことが可能となっている。
【0094】
更に、監視ルール蓄積部12には、監視ルールにしきい値の自動変更が指示できる複数の監視条件を保持しており、監視不良検証部13で複数の監視条件の判定結果の差分を検出し、差があった場合に監視不良とし管理者に警告し、分析履歴蓄積部19に蓄積されている性能情報を元に副条件の適切なしきい値を提示した条件を管理者に提示し監視設定の修正を促すことが可能となっている。
【0095】
ここで、分析履歴蓄積部19に判定の履歴が蓄積されればされるほど、学習が進み提示する閾値の精度が向上する。又、本当に障害が発生しているのか監視設定が適切でない監視不良なのかを区別し、管理者が監視設定を改善することができる手段と、管理者に監視設定の変更を提示することで、監視設定が適切になされているか否かを装置自体が評価して管理者に変更を促すことが可能となっている。
【0096】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態では、監視時に主条件と副条件の判定結果に差がある場合、監視設定が適切でないことを示す監視不良の状態として条件の修正を行うよう構成されているが、分析履歴蓄積部19に蓄積されている性能情報を元に副条件の適切な閾値を管理者に提示するように構成されているため、運用を続けて分析履歴蓄積部19の情報が増えるにつれ、学習が進み提示する閾値の精度が向上する。
【0097】
また、監視設定が適切でないことを示す監視不良の状態として条件の修正を行うよう構成されているが、分析履歴蓄積部19に蓄積されている性能情報を元に副条件の適切な閾値を提示できることにある。その理由は、分析履歴蓄積部19に蓄積されている性能情報を元に、副条件の適切な閾値を提示する条件生成部18を備えているからである。
【0098】
更に、監視設定を実環境に合わせ改善することができることにある。その理由は、分析履歴蓄積部19に蓄積されている性能情報が増加するに従って学習が進み、条件生成部18が生成する閾値の精度が上がり、運用を続けるうちに監視設定を改善することができるからである。
【0099】
以上、図1に示すブロック図における構成要素たる各手段及び各部が、電子回路ブロックなどからなるハードウエアであることを前提として述べたが、当該構成要素の一部又は全てが、監視装置としてのマネージャ装置10が備えたコンピュータ、及びエージェント装置20が備えたコンピュータ、により実行可能なプログラムにより機能化された状態を示すソフトウエアモジュール構成であってもよい。
【0100】
この場合におけるハードウエア構成にかかるマネージャ装置10が備えたコンピュータは、制御部としてのプロセッサと、記憶部としてのメモリとを備えている。このプロセッサには、分析部11と監視不良検証部13と監視ルール更新部16とコマンド発行部17と条件生成部18とを備えている。又、メモリには分析履歴蓄積部19と監視ルール蓄積部12とを備えている。
【0101】
即ち、物理的構成は、例えば一又は複数のプロセッサと一又は複数のメモリ等であるが、各構成要素によるソフトウエア構成は、プログラムの制御によってプロセッサが発揮する複数の機能を、それぞれ複数の構成要素として表現したものとなる。
【0102】
プロセッサがプログラムによって実行されている動的状態(プログラムを構成する各手順を実行している状態)を機能表現した場合、プロセッサ内に実行部分にかかる各構成要素が構成されることになる。プログラムが実行されていない静的状態にあっては、各手段の構成を実現するプログラム全体(或いは各手段の構成に含まれるプログラム各部)は、メモリなどの記憶領域に記憶されている。
【0103】
以上に示した各部(手段)は、プログラムにより機能化されたコンピュータをプログラムの機能と共に実現し得るように構成しても、また、固有のハードウエアにより恒久的に機能化された複数の電子回路ブロックからなる装置で構成してもよい。
【0104】
また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム(ソフトウエアプログラム)化し、コンピュータに実行させてもよい。そして、以上説明した方法は、コンピュータがプログラムを記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することが出来る。即ち、上述のプログラムを、情報記録媒体に記録した構成であってもよい。
【0105】
上述した実施形態については、その新規な技術内容の要点をまとめると、以下のようになる。
尚、上記実施形態の一部又全部は、新規な技術としていかのようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0106】
〔付記1〕
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置と、前記サービス実行環境の監視ルールを管理するためのマネージャ装置とを有し、前記マネージャ装置が、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定する分析部を備えると共に、この複数の各監視条件での各判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能とした監視システムであって、
前記マネージャ装置が、
前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積する分析履歴蓄積部と、
前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として生成する条件生成部と、を備えていることを特徴とする監視システム。
【0107】
〔付記2〕
付記1に記載の監視システムにおいて、
前記複数の各監視条件は、主条件と1以上の副条件とを含み、
前記条件生成部が、前記主条件の判定結果と1つの前記副条件の判定結果とが異なる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件の判定結果と前記1つの副条件の判定結果とが同一となるような前記1つの副条件にかかる前記性能情報をしきい値として算出すると共に、このしきい値を新たな1つの副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【0108】
〔付記3〕
付記2に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記監視不良の場合に前記1つの副条件の設定変更が必要であることを示す要設定変更情報を、前記1つの副条件に対応づけて前記分析履歴蓄積部の対応箇所に書き込む機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【0109】
〔付記4〕
付記3に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【0110】
〔付記5〕
付記4に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【0111】
〔付記6〕
付記5に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【0112】
〔付記7〕
付記6に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【0113】
〔付記8〕
付記7に記載の監視システムにおいて、
前記新たな副条件を前記分析履歴蓄積部の対応箇所に書き込んで情報更新を行うとともに、この新たな副条件を外部に告知する監視ルール更新部を更に備えていることを特徴とする監視システム。
【0114】
〔付記9〕
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理する機能と、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定する機能と、前記複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知する機能とを備えた監視装置であって、
前記各判定に使用された前記各条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積する分析履歴蓄積部を備えると共に、
前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として生成する条件生成部を備えたことを特徴とする監視装置。
【0115】
〔付記10〕
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理し、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の監視条件を満たすか否かを判定し、この複数の監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知するサービス実行環境の監視方法であって、
前記各判定に使用された前記各監視条件に対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として分析履歴蓄積部が各々蓄積し、
前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として条件生成部が生成する、ことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0116】
〔付記11〕
付記10に記載のサービス実行環境の監視方法において、
前記監視条件の生成に際しては、前記複数の監視条件が主条件と1以上の副条件とを含む場合であって前記主条件の判定結果と1つの前記副条件の判定結果とが異なる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件の判定結果と前記1つの副条件の判定結果とが同一となるような前記1つの副条件にかかる前記性能情報を、しきい値として算出し、このしきい値を新たな1つの副条件として生成する、
ことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0117】
〔付記12〕
付記11に記載のサービス実行環境の監視方法において、
前記監視条件の生成に際しては、前記監視不良の場合に前記1つの副条件の設定変更が必要であることを示す要設定変更情報を前記1つの副条件に対応づけて前記分析履歴蓄積部の対応箇所に書き込むことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0118】
〔付記13〕
付記12に記載のサービス実行環境の監視方法において、
前記監視条件の生成に際しては、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さい場合に、当該性能情報の最大値をしきい値として算出し、このしきい値を新たな副条件として生成することを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0119】
〔付記14〕
付記13に記載のサービス実行環境の監視方法において、
前記監視条件の生成に際しては、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きい場合には当該性能情報の最小値をしきい値として算出し、このしきい値を新たな副条件として生成する、ことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0120】
〔付記15〕
付記14に記載のサービス実行環境の監視方法において、
前記監視条件の生成に際しては、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する、ことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0121】
〔付記16〕
付記15に記載のサービス実行環境の監視方法において、
前記監視条件を生成するに際しては、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する、
ことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0122】
〔付記17〕
付記16に記載のサービス実行環境の監視方法において、
前記監視条件を生成した後に、前記新たな副条件を前記分析履歴蓄積部の対応箇所に書き込んで情報更新を行うと共に、この新たな副条件を監視ルール更新部が外部に告知する、ことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【0123】
〔付記18〕
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理し、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各条件を満たすか否かを判定し、この複数の各条件での各々の判定の違いを検出することで当該各条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能とした監視装置が備えたコンピュータに、
前記各判定に使用された前記各条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積処理機能と、
前記複数の各条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積処理機能の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな条件として生成する条件生成機能と、
を実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【0124】
〔付記19〕
付記18に記載の監視装置用プログラムにおいて、
前記複数の条件は、主条件と1以上の副条件とを含み、
前記条件生成機能では、前記主条件の判定結果と1つの前記副条件の判定結果とが異なる場合に、前記分析履歴蓄積処理機能の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件の判定結果と前記1つの副条件の判定結果とが同一となるような前記1つの副条件にかかる前記性能情報をしきい値として算出しこのしきい値を新たな1つの副条件として生成する機能をその内容とし、これを前記コンピュータに実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【0125】
〔付記20〕
付記19に記載の監視装置用プログラムにおいて、
前記条件生成機能では、前記監視不良の場合に前記1つの副条件の設定変更が必要であることを示す要設定変更情報を前記1つの副条件に対応づけて前記分析履歴蓄積処理機能の対応箇所に書き込む機能をその内容とし、これを前記コンピュータに実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【0126】
〔付記21〕
付記20に記載の監視装置用プログラムにおいて、
前記条件生成機能では、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積処理機能の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能をその内容とし、これを前記コンピュータに実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【0127】
〔付記22〕
付記21に記載の監視装置用プログラムにおいて、
前記条件生成機能では、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積処理機能の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能をその内容とし、これを前記コンピュータに実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【0128】
〔付記23〕
付記22に記載の監視装置用プログラムにおいて、
前記条件生成機能では、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積処理機能の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能をその内容とし、これを前記コンピュータに実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【0129】
〔付記24〕
付記23に記載の監視装置用プログラムにおいて、
前記条件生成機能では、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積処理機能の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能をその内容とし、これを前記コンピュータに実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【0130】
〔付記25〕
付記24に記載の監視装置用プログラムにおいて、
前記新たな副条件を前記分析履歴蓄積処理機能の対応箇所に書き込んで情報更新を行うとともに、この新たな副条件を外部に告知する監視ルール更新機能を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、監視システム全般に利用できる。
【符号の説明】
【0132】
1 監視システム
10 マネージャ装置(監視装置)
11 分析部
12 監視ルール蓄積部
13 監視不良検証部
14 障害表示部
15 監視不良表示部
16 監視ルール更新部
17 コマンド発行部
18 条件生成部
19 分析履歴蓄積部
20 エージェント装置
21 監視部
22 制御部
30 サービス実行環境

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置と、前記サービス実行環境の監視ルールを管理するためのマネージャ装置とを有し、前記マネージャ装置が、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定する分析部を備えると共に、この複数の各監視条件での各判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能とした監視システムであって、
前記マネージャ装置が、
前記各判定に使用された前記各監視条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積する分析履歴蓄積部と、
前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として生成する条件生成部と、を備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記複数の各監視条件は、主条件と1以上の副条件とを含み、
前記条件生成部が、前記主条件の判定結果と1つの前記副条件の判定結果とが異なる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件の判定結果と前記1つの副条件の判定結果とが同一となるような前記1つの副条件にかかる前記性能情報をしきい値として算出すると共に、このしきい値を新たな1つの副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記監視不良の場合に前記1つの副条件の設定変更が必要であることを示す要設定変更情報を、前記1つの副条件に対応づけて前記分析履歴蓄積部の対応箇所に書き込む機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項3に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項4に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たす真となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が真となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項5に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも小さいならば、当該性能情報の最小値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の監視システムにおいて、
前記条件生成部が、前記サービス実行環境の状態が前記主条件を満たさない偽となる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記主条件が偽となるものであって前記要設定変更情報が付されている前記副条件を取り出し、前記サービス実行環境の状態を示す性能情報がこの副条件よりも大きいならば、当該性能情報の最大値をしきい値として算出しこのしきい値を新たな副条件として生成する機能を備えていることを特徴とする監視システム。
【請求項8】
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理する機能と、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各監視条件を満たすか否かを判定する機能と、前記複数の各監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知する機能とを備えた監視装置であって、
前記各判定に使用された前記各条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積する分析履歴蓄積部を備えると共に、
前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として生成する条件生成部を備えたことを特徴とする監視装置。
【請求項9】
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理し、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の監視条件を満たすか否かを判定し、この複数の監視条件での各々の判定の違いを検出することで当該各監視条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知するサービス実行環境の監視方法であって、
前記各判定に使用された前記各監視条件に対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として分析履歴蓄積部が各々蓄積し、
前記複数の各監視条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積部の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各監視条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな監視条件として条件生成部が生成する、ことを特徴とするサービス実行環境の監視方法。
【請求項10】
監視対象となるサービス実行環境の状態を把握するためのエージェント装置を介して前記サービス実行環境の監視ルールを管理し、前記サービス実行環境の状態が前記監視ルールに定義された複数の各条件を満たすか否かを判定し、この複数の各条件での各々の判定の違いを検出することで当該各条件にかかる監視設定が不適切であることを示す監視不良を告知可能とした監視装置が備えたコンピュータに、
前記各判定に使用された前記各条件に各々対応する前記サービス実行環境の状態である各性能情報を履歴として各々蓄積処理する分析履歴蓄積処理機能と、
前記複数の各条件が異なる判定結果となる場合に、前記分析履歴蓄積処理機能の前記性能情報の履歴に基づいて前記複数の各条件が同一の判定結果となるしきい値を算出しこのしきい値を前記監視不良の修正にかかる新たな条件として生成する条件生成機能と、
を実行させることを特徴とする監視装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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