説明

監視システム

【課題】本発明の目的は、監視システムの雲台カメラ装置に自己診断手段を設け、自己診断手段で得られた異常情報および異常の兆候情報を制御端末装置に伝送し、故障が起こる前に保守を行うことにある。
【解決手段】雲台カメラ装置と制御端末装置をネットワークで結合する監視システムにおいて、雲台カメラ装置に自己診断手段と、自己診断手段の診断情報を記録する記録手段と、診断情報をネットワークに配信する伝送手段を備え、制御端末装置にネットワークで配信された診断情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに係わり、特にカメラ装置の自己診断に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラに気象情報収集手段を設け、カメラで撮像した映像信号と気象情報を表示装置に伝送し、表示装置に映像信号と気象情報を表示していた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−275104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の従来技術には、カメラに気象情報収集手段はあるが、自己診断手段がないため、異常および異常の兆候を検出できなかった。
本発明の目的は、監視システムの雲台カメラ装置に自己診断手段を設け、自己診断手段で得られた異常情報(異常および異常の兆候)を制御端末装置に伝送し、故障が起こる前に保守を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、雲台カメラ装置と制御端末装置をネットワークで結合する監視システムにおいて、雲台カメラ装置に定期的に自己の状態を診断して出力する自己診断手段と、自己診断手段の診断情報を記録する記録手段と、診断情報をネットワークに配信する伝送手段を備え、制御端末装置にネットワークで配信された診断情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、監視システム、特にカメラ装置の状態や機構の稼動状態を定期的に把握することができるため、故障が起きる前に保守点検を行うことができる。更に、カメラ装置に故障が起きた場合は故障状態を制御端末装置に表示することができるため、カメラ装置の故障時間を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明による監視システムの一実施例について図1を用いて説明する。図1は本発明の一実施例の監視システム構成を示すブロック図である。
図1において、1は図示していない被写体を撮像する雲台カメラ装置であり、3は雲台カメラ装置1から伝送されてくる映像信号や自己診断情報等の表示および雲台カメラ装置1を制御する制御端末装置であり、2は雲台カメラ装置1から出力する映像信号等を制御端末装置3に伝送するためのインターネット等のネットワークである。雲台カメラ装置1において、101は図示しない被写体からの光を結像するレンズ部、102はレンズ部101で結像した光を光電変換する撮像部、103は撮像部102から出力される映像信号と自己診断情報をネットワーク2に配信するための送受信部、104は雲台カメラ装置1の制御と自己診断を行うCPU(Central Processing Unit)、105はレンズ部101を制御するためのレンズ制御部、106はレンズ部101を含む撮像部102を旋回させるための旋回駆動部、107はレンズ部101を含む撮像部102を仰角方向に動かす仰角駆動部、108は旋回駆動部106と仰角駆動部107を制御する雲台制御部、109は雲台カメラ装置1の各部に電源を供給する電源部、110は雲台カメラ装置1の内部温度を測定する温度センサ部、111は自己診断情報を記憶するメモリ部である。制御端末装置において、301は雲台カメラ装置1と映像信号や制御信号等を送受信するための送受信部、302は雲台カメラ装置1と制御端末装置3の各部を制御する制御部、303は雲台カメラ装置1から伝送されてくる映像信号や自己診断情報を表示する表示部、304は制御部302を操作する操作部、305は雲台カメラ装置1から伝送されてくる映像信号や自己診断情報を記憶するメモリ部である。
【0007】
雲台カメラ装置1は、フォーカスおよびズーム倍率が変更可能なレンズ部101と、水平方向の旋回角が変更可能な旋回駆動部106と、垂直方向の仰角が変更可能な仰角駆動部107で、撮像方向および視野を変えることができる。
【0008】
次に図1の動作について説明する。雲台カメラ装置1のレンズ部101は図示していない被写体からの光を撮像部102に結像し、撮像部102は結像された光を映像信号に光電変換して送受信部103に出力する。送受信部103は入力された映像信号にCPU104から出力された情報データを重畳してネットワーク2に配信する。制御端末装置3の送受信部301は雲台カメラ装置1から配信された映像信号と情報データを受信して制御部302に出力する。制御部302は入力された映像信号と情報データをメモリ部305に記憶させると共に表示部303に表示する。制御端末装置3から雲台カメラ装置1の遠隔操作は、操作者が制御端末装置3の操作部304を操作して行う。操作者が操作部304を操作した指示信号は、制御部302で雲台カメラ装置1の制御信号として送受信部301を介してネットワーク2に配信する。雲台カメラ装置1の送受信部103は制御端末装置3から配信された制御信号を受信してCPU104に出力する。CPU104は入力された制御信号に従って、レンズ制御部105を介してレンズ部101のフォーカスおよびズームの制御、雲台制御部108を介して旋回駆動部106および仰角制御部107の制御を行う。また、CPU104は雲台カメラ装置1の各部の制御と、レンズ部101のフォーカスおよびズームの可動回数と、旋回駆動部106の可動回数と、仰角制御部107の可動回数を計数してメモリ部111に記憶する。
【0009】
次に本発明の自己診断の一実施例を図1乃至図4を用いて説明する。図2は本発明の一実施例の自己診断設定画面を示す図である。
始めに操作者は表示部303に表示した図2の自己診断設定画面を見ながら操作部304を操作して雲台カメラ装置1の自己診断の設定を遠隔操作で行う。本発明の一実施例の設定として、データの取得間隔を1分、メモリ部111への記録間隔を1分、制御端末装置3へのデータ送信間隔を12時間、レンズ部101のフォーカス可動回数の最大値を5万回、レンズ部101のズーム可動回数の最大値を5万回、旋回駆動部106の可動回数の最大値を5万回、仰角駆動部107の可動回数の最大値を5万回、内部温度許容値の最低温度を0℃、内部温度許容値の最高温度を+40℃に設定する。操作者は図2に示す自己診断設定情報データをメモリ部305に記憶すると共に雲台カメラ装置1のCPU104に伝送する。CPU104に伝送された自己診断設定情報データはCPU104経由でメモリ部111に記憶する。CPU104は自己診断設定情報に従って自己診断を開始する。図2に示す設定は雲台カメラ装置1側で行っても良い。
【0010】
次に本発明の一実施例の自己診断の動作について図3と図4を用いて説明する。図3は本発明の一実施例の自己診断項目と取得データを示す図であり、図4は本発明の一実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0011】
CPU104は図4の“開始”から自己診断を開始する。ステップS1の初期設定でメモリ部111に記憶してある自己診断設定情報データを読み出す。ステップS2で設定したデータ取得間隔の1分毎に図3に示す雲台カメラ装置1の稼動時間、レンズ部101のフォーカス可動回数とズーム可動回数、旋回駆動部106の可動回数、仰角駆動部107の可動回数、温度センサ部110で測定した温度、映像信号状態、電源部109の状態、送受信部103の通信状態のデータを取得する。ステップS3で取得した取得データが正常かを判別する。判別方法は図2の自己診断設定画面で設定した設定値と所得データを比較して最大値以下又は許容値範囲内であれば正常と判別してステップS4の処理に進み、比較結果が最大値超又は許容値範囲外であればステップS7の処理に進む。
【0012】
ステップS4で取得データと前回までに取得したデータの変動量の平均値とを比較し、例えば5倍以下の変動量があれば許容内と判断してステップS5の処理に進み、例えば5倍超の変動量であれば許容外としてステップS7に進む。ステップS4の許容値は予め設定しておき、また稼動時間により許容値を数段階に変更できる設定であっても良い。ステップS4の処理の変動量の平均値を図3のフォーカスの可動累積回数で説明すると、2005/09/30 00:00の取得データは0回、2005/09/30 12:00の取得データは12回、2005/10/01 00:00の取得データは24回であるため、変動量の平均値は12回となる。ステップS4の処理の変動量の許容値を例えば5とすると、2005/10/01 12:00の取得データが24(005/10/01 00:00の取得データ)+12(変動量の平均値)×5(許容値)=84の式から84回以下なら許容内となる。このステップS4は例えばフォーカス可動回数が最大値以下でも通常より極端に可動回数が増加した場合は故障等の異常の兆候であるため、この処理で故障等の異常の兆候を検出できる。
【0013】
ステップS5でメモリ部111への設定の記録間隔の1分で取得データをメモリ部111に記録する。ステップS6で制御端末装置3に設定の送信間隔の12時間で最新情報データ又は未送信の情報データをメモリ部111から読み出して雲台カメラ装置番号の“0001”と共に送受信部103から送信する。ステップS7ではメモリ部111への設定の記録間隔とは無関係に取得データをメモリ部111に記録する。ステップS8では制御端末装置3に設定の送信間隔とは無関係に最新データ又は未送信の情報データをメモリ部111から読み出して雲台カメラ装置番号の“0001”と共に送受信部103から送信する。
【0014】
次に、図1と図3を用いて制御端末装置3の動作の一実施例について説明する。雲台カメラ装置1から送信された映像信号及び自己診断情報データは、ネットワーク2を介して制御端末装置3の送受信部301に伝送される。伝送された映像信号及び自己診断情報データは制御部302を介してメモリ部305に記録及び表示部303に表示される。表示部303に表示された自己診断情報データを図3に示す。図3は伝送されてきた雲台カメラ装置1の雲台カメラ装置番号“0001”と、図2の自己診断設定画面で設定したデータの送信間隔である12時間毎に送信された自己診断情報データを表示したものである。図3のデータ取得時間2005/10/10 08:28は映像信号の項目で異常となったため、設定した情報データの送信間隔以外の時間で自己診断情報データが伝送されたことを示している。また、図3のデータ取得時間2005/10/10 12:12は映像信号の項目が正常となったため、設定した情報データの送信間隔以外の時間で自己診断情報データが伝送されたことを示している。図3のデータ取得時間2005/10/10 08:28は映像信号の項目で“異常”の表示色は、他のデータ又は情報の表示色と変えても良いし、また、“異常”の表示は点滅させても良い。
【0015】
上記の一実施例では雲台カメラ装置1と制御端末装置3を各1台で説明したが、雲台カメラ装置1と制御端末装置3を各々複数台あっても良い。
本発明は、監視システム、特にカメラ装置1の状態や機構の稼動状態を定期的に制御端末装置3で把握することができるため、カメラ装置1に故障が起きる前に保守点検を行うことができる。更に、カメラ装置1に故障が起きた場合は故障状態を制御端末装置3の表示部303に表示することができるため、カメラ装置1の故障時間を低減することができる。
【0016】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された監視システムに限定されるものではなく、上記以外の監視システムに広く適用することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例の監視システム構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例の自己診断設定画面を示す図。
【図3】本発明の一実施例の自己診断項目と取得データを示す図。
【図4】本発明の一実施例の動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0018】
1:雲台カメラ装置、2:ネットワーク、3:制御端末装置、101:レンズ部、102:撮像部、103:送受信部、104:CPU、105:レンズ制御部、106:旋回駆動部、107:仰角駆動部、108:雲台制御部、109:電源部、110:温度センサ部、111:メモリ部、301:送受信部、302:制御部、303:表示部、304:操作部、305:メモリ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雲台カメラ装置と制御端末装置をネットワークで結合する監視システムにおいて、
前記雲台カメラ装置に自己診断手段と、該自己診断手段の診断情報を記録する記録手段と、前記診断情報を前記ネットワークに配信する伝送手段を備え、前記制御端末装置に前記ネットワークで配信された前記診断情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−124009(P2007−124009A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309706(P2005−309706)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】