説明

監視装置

【課題】磁気テープドライブ装置371〜37nに不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定すること。
【解決手段】磁気テープライブラリ装置30のメモリ情報リード処理部41が、磁気テープドライブ装置371〜37nが磁気テープカートリッジ351〜35mに対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、磁気テープを内蔵した磁気テープカートリッジ351〜35mのメモリから読み取り、保守/交換判定部48が、読み取った情報に基づいて、磁気テープドライブ装置371〜37nの保守または交換に係る判定をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記憶装置の監視をおこなう監視装置に関し、特に、記憶装置に不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定することができる監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大容量のデータを読み書きする磁気テープライブラリ装置では、LTO(Linear Tape-Open)規格やAIT(Advanced Intelligent Tape)規格などに準拠した磁気テープカートリッジが利用されている。この磁気テープカートリッジは、さまざまな管理情報を記憶するCM(Cartridge)やMIC(Memory in Cassette)などのフラッシュメモリを内蔵している。
【0003】
図7は、従来の磁気テープライブラリ装置1の一例を示す図であり、図8は、フラッシュメモリが内蔵された従来の磁気テープカートリッジの一例を示す図である。図7に示すように、この磁気テープライブラリ装置1は、磁気テープカートリッジ2、磁気テープドライブ装置3およびロボットハンド4を有する。
【0004】
ここで、ロボットハンド4は、データを読み書き対象となる磁気テープカートリッジ2を、磁気テープカートリッジ2を格納するカートリッジセルから取り出して、データの読み書きをおこなう磁気テープドライブ装置3にセットする。
【0005】
また、ロボットハンド4は、データの読み書きが終了した磁気テープカートリッジ2を磁気テープドライブ装置3から取り出して、カートリッジセル内の所定の位置に格納する。
【0006】
また、図8に示すように、この磁気テープカートリッジ2には、フラッシュメモリ5が内蔵されている。このフラッシュメモリ5には、データの位置情報や磁気テープカートリッジ2の使用履歴、エラーログなどの管理情報が記録される。
【0007】
この管理情報は、磁気テープドライブ装置3により書き込みまたは読み出しがおこなわれる。そして、データの書き込みまたは読み出しに何らかの不具合が発生した場合には、磁気テープカートリッジ2を磁気テープライブラリ装置1から取り出して、他の磁気テープドライブ装置によりフラッシュメモリ5に記憶された管理情報を読み出すことにより不具合の解析がおこなわれる。
【0008】
ところが、この方法では、不具合が発生した後になってはじめて管理情報を調査することになるので、磁気テープに記憶されたデータが読み出せなくなるなどの問題が発生する可能性がある。
【0009】
そのため、磁気テープカートリッジのフラッシュメモリなどに記憶された磁気テープカートリッジに起因する障害の情報を解析し、その障害情報を読み込んで再度障害が発生する可能性について判定する装置(たとえば、特許文献1を参照。)や、磁気テープカートリッジのデータの読み込みまたは書き込みの動作状態の情報を磁気テープに記憶し、その情報を用いて磁気テープカートリッジの寿命を判定する装置(たとえば、特許文献2を参照。)が開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開2002−288906号公報
【特許文献2】国際公開第WO01/026112号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来技術では、磁気テープカートリッジに記憶された管理情報を読み込んで、磁気テープカートリッジに障害が発生する可能性や磁気テープカートリッジの寿命を判定するものの、磁気テープドライブ装置の不具合を判定することが難しいという問題があった。
【0012】
具体的には、データの読み書きエラーが発生するのは、磁気テープカートリッジに不具合が生じる場合以外に、磁気テープドライブ装置に不具合が生じる場合も考えられるが、それを効果的に判定することが難しかった。
【0013】
そのため、不具合が磁気テープドライブ装置にも発生する可能性があるような場合に、それを正確かつ効果的に判定することができる装置の開発が重要な問題となってきている。
【0014】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、記憶装置に不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定することができる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、記憶装置の監視をおこなう監視装置であって、記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、前記記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取る情報読取手段と、前記情報読取手段により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなう判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、記憶装置または記憶媒体のどちらに保守または交換の必要があるのかをさらに判定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記情報読取手段は、記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置に挿入する記憶媒体挿入装置または記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置から排出する記憶媒体排出装置に設けられることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、前記情報読取手段により読み取られた情報を基にして算出されたエラーの発生度合に係る値が所定の閾値を越えた場合に保守または交換の必要性があると判定することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記エラーの発生度合に係る値は、データの書き込みまたはデータの読み出しに係るリトライ数とデータの書き込み量またはデータの読み出し量とにより算出される値であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、記憶装置の監視をおこなう監視方法であって、記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、前記記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取る情報読取工程と、前記情報読取工程により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなう判定工程と、を含んだことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、記憶装置の監視をおこなう監視プログラムであって、記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、前記記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取る情報読取手順と、前記情報読取手順により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなう判定手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取り、読み取った情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなうとしたので、記憶装置に不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定することができるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、記憶装置が記憶媒体に対してデータの読み込みまたはデータの書き込みをおこなった場合に発生した読み込みエラーまたは書き込みエラーに係る情報と、当該記憶装置および当該記憶媒体を識別する識別情報とを読み取り、読み取った情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなうこととしたので、カートリッジのメモリに記憶された情報を有効に活用して、記憶装置に不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定することができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、記憶装置または記憶媒体のどちらに保守または交換の必要があるのかをさらに判定することとしたので、記憶装置に不具合発生の可能性があるのか、記憶媒体に不具合発生の可能性があるのかを効果的に判定することができるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、カートリッジのメモリから情報を読み取る装置は、記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置に挿入する記憶媒体挿入装置または記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置から排出する記憶媒体排出装置に設けることとしたので、記憶媒体を保持した時点で不具合発生の可能性がある記憶媒体を判別することができ、不具合発生の可能性がある記憶媒体が利用されるのを効果的に防止することができるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明によれば、読み取られた情報を基にして算出されたエラーの発生度合に係る値が所定の閾値を越えた場合に保守または交換の必要性があると判定することとしたので、実際に不具合が発生する前にそれに対処することができるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明によれば、エラーの発生度合に係る値は、データの書き込みまたはデータの読み出しに係るリトライ数とデータの書き込み量またはデータの読み出し量とにより算出される値であることとしたので、不具合発生の可能性があるか否かの判定をリトライ数に基づいて効果的に実行することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る監視装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、ここでは、図7に示したような磁気テープライブラリ装置が、磁気テープカートリッジまたは磁気テープドライブ装置の保守または交換の必要性を判定する場合について説明する。
【0029】
ただし、本発明は、磁気テープライブラリ装置に適用される場合に限定されるものではなく、光ディスクライブラリ装置や光磁気ディスクライブラリ装置などにも同様に適用することができる。
【実施例】
【0030】
まず、本発明に係る監視処理の概念について説明する。図1は、本発明に係る監視処理の概念を説明する説明図である。この監視処理においては、磁気テープドライブ装置に磁気テープカートリッジが挿入される際、または、磁気テープドライブ装置から磁気テープカートリッジが排出される際に、磁気テープカートリッジを保持するロボットハンドに取り付けられたメモリ情報読取装置を用いて、磁気テープカートリッジのフラッシュメモリに記憶されたメモリ情報10a〜10cが読み出される。
【0031】
ここで、このメモリ情報10a〜10cには、磁気テープカートリッジS/N(Serial Number)、使用磁気テープドライブ装置S/N(Serial Number)、リード/ライト累積データ量、リード/ライト累積リトライ数などの情報が記憶されている。
【0032】
磁気テープカートリッジS/Nは、メモリ情報10a〜10cが読み出された磁気テープカートリッジのシリアル番号である。使用磁気テープドライブ装置S/Nは、磁気テープカートリッジがデータの読み出しまたは書き込みのために挿入された磁気テープドライブ装置のシリアル番号である。
【0033】
リード/ライト累積データ量は、磁気テープカートリッジに対してデータの読み出しまたは書き込みがなされたデータの累積データ量である。リード/ライト累積リトライ数は、磁気テープカートリッジに対してデータの読み出しまたは書き込みがおこなわれる際、それが成功せずにリトライされた場合の累積リトライ数である。
【0034】
この監視処理においては、磁気テープカートリッジから読み取ったメモリ情報10a〜10cを磁気テープカートリッジ情報11a〜11cおよび磁気テープドライブ装置情報12a〜12として蓄積し、データベースに記憶する。
【0035】
具体的には、磁気テープカートリッジ情報11a〜11cとしては、エラーレートの情報や、使用磁気テープドライブ装置S/Nの情報などを記憶する。ここで、エラーレートとしては、リード/ライト累積リトライ数をリード/ライト累積データ量で割り算した値などを用いる。
【0036】
また、磁気テープドライブ装置情報12a〜12cとしては、上述したようなエラーレートや、データの読み出しまたは書き込みをおこなうために磁気テープドライブ装置に挿入された磁気テープカートリッジの磁気テープカートリッジS/Nなどが記憶される。
【0037】
これら磁気テープカートリッジ情報11a〜11cおよび磁気テープドライブ装置情報12a〜12は、磁気テープカートリッジまたは磁気テープドライブ装置の保守または交換の必要性を判定するために用いられる。
【0038】
具体的には、この監視処理では、磁気テープカートリッジ情報11a〜11cを参照し、ある磁気テープカートリッジに対して異なる複数の時点において算出されたエラーレートが所定の閾値よりも大きいか否かを調べる。
【0039】
そして、閾値よりも大きい場合には、それら複数の時点において同一の磁気テープドライブ装置が磁気テープカートリッジに対してデータの読み出しまたは書き込みをおこなっていたか否かを調べる。
【0040】
ここでもし、磁気テープカートリッジに対してデータの読み出しまたは書き込みをおこなった磁気テープドライブ装置が同一ではない場合には、磁気テープドライブ装置ではなく、磁気テープカートリッジに何らかの不具合が今後発生する可能性が高いと予測することができる。
【0041】
一方、磁気テープドライブ装置が同一である場合には、不具合が発生する可能性があるのが磁気テープカートリッジなのか、磁気テープドライブ装置なのかが不明であるため、磁気テープドライブ装置情報12a〜12cを参照し、その磁気テープドライブ装置が他の磁気テープカートリッジに対してデータの読み出しまたは書き込みをおこなった場合にも、エラーレートが閾値よりも高くなっているか否かを調べる。
【0042】
そして、他の磁気テープカートリッジに対して読み出しまたは書き込み処理をおこなった際も、エラーレートが閾値よりも高くなっている場合には、磁気テープカートリッジではなく、磁気テープドライブ装置に不具合が今後発生する可能性が高いと予測することができる。
【0043】
また、他の磁気テープカートリッジに対して読み出しまたは書き込み処理をおこなった際のエラーレートが閾値よりも高くなっていない場合は、磁気テープドライブ装置にではなく、磁気テープカートリッジに何らかの不具合が今後発生する可能性が高いと予測することができる。
【0044】
このように、この監視処理では、磁気テープカートリッジに不具合発生の可能性があるか否かを判定するだけでなく、磁気テープドライブ装置に不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定することができ、磁気テープカートリッジまたは磁気テープドライブ装置の保守または交換をユーザに指示することができる。
【0045】
つぎに、本実施例に係る磁気テープライブラリ装置の機能構成について説明する。図2は、本実施例に係る磁気テープライブラリ装置30の機能構成を示す図である。図2に示すように、この磁気テープライブラリ装置30は、ネットワーク50を介してホストコンピュータ20と接続されている。ホストコンピュータ20は、磁気テープライブラリ装置30にデータの記憶または読み出しを依頼するコンピュータである。
【0046】
磁気テープライブラリ装置30は、図7で説明したように、データを読み書き対象となる磁気テープカートリッジをカートリッジセルから取り出して磁気テープドライブ装置にセットし、データの読み書きをおこなう記憶装置である。
【0047】
この磁気テープライブラリ装置30は、単にデータの読み書きをおこなうだけでなく、磁気テープカートリッジおよび磁気テープドライブ装置における不具合発生の可能性を判定し、ユーザに通知する処理をおこなう。
【0048】
この磁気テープライブラリ装置30は、データ送受信部31、入力部32、表示部33、カートリッジセル34、磁気テープドライブ装置371〜37n、ロボットハンド40、記憶部42および制御部45を有する。
【0049】
データ送受信部31は、ネットワーク50を介してホストコンピュータ20との間でデータの授受をおこなうネットワークインターフェースである。入力部32は、タッチパネルやスイッチなどの入力デバイスである。表示部33は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。
【0050】
カートリッジセル34は、磁気テープカートリッジ351〜35mを格納する格納部である。このカートリッジセル34に格納される磁気テープカートリッジ351〜35mには、図1で説明したメモリ情報10a〜10cを記憶するメモリ361〜36mが備えられている。
【0051】
磁気テープドライブ装置371〜37nは、磁気テープカートリッジ351〜35mの磁気テープに対するデータの記憶または読み出しをおこなう装置である。この磁気テープドライブ装置371〜37nは、ユーザデータリード/ライト処理部381〜38nおよびメモリ情報リード/ライト処理部391〜39nを有する。
【0052】
ユーザデータリード/ライト処理部381〜38nは、ホストコンピュータ20から受け付けたデータの読み出しまたは書き込み要求に応じて、磁気テープカートリッジ351〜35mの磁気テープに対するデータの読み出しまたは記憶をおこなう。
【0053】
メモリ情報リード/ライト処理部391〜39nは、図1に示したようなメモリ情報10a〜10cを磁気テープカートリッジ351〜35mのメモリ361〜36mに記憶し、また、メモリ361〜36mからメモリ情報10a〜10cを読み出す処理をおこなう。
【0054】
具体的には、メモリ情報リード/ライト処理部391〜39nは、データの読み出しまたは書き込み処理が磁気テープドライブ装置371〜37nのユーザデータリード/ライト処理部381〜38nにより実行された場合に、その磁気テープドライブ装置371〜37nのシリアル番号をメモリ361〜36mに記憶する。
【0055】
また、メモリ情報リード/ライト処理部391〜39nは、磁気テープから読み出したデータまたは磁気テープに書き込んだデータの累積データ量をメモリ361〜36mに記憶する。
【0056】
さらに、メモリ情報リード/ライト処理部391〜39nは、データの読み出し処理または書き込み処理の実行時に、データの読み出しまたは書き込みに対するリトライ処理が実行された場合には、実行されたリトライ処理の累積回数をメモリ361〜36mに記憶する処理などをおこなう。
【0057】
ロボットハンド40は、磁気テープカートリッジ351〜35mをカートリッジセル34から取り出して、磁気テープドライブ装置371〜37nにセットし、また、磁気テープカートリッジ351〜35mを磁気テープドライブ装置371〜37nから取り出して、カートリッジセル34の所定の位置に格納する。
【0058】
このロボットハンド40は、メモリ情報リード処理部41を有する。メモリ情報リード処理部41は、磁気テープカートリッジ351〜35mに備えられたメモリ361〜36mからメモリ情報10a〜10cを読み取る処理をおこなう。
【0059】
記憶部42は、フラッシュメモリなどの記憶デバイスである。この記憶部42は、磁気テープカートリッジ情報43および磁気テープドライブ装置情報44を記憶している。磁気テープカートリッジ情報43および磁気テープドライブ装置情報44は、図1で説明した磁気テープカートリッジ情報11a〜11cおよび磁気テープドライブ装置情報12a〜12cに相当するものである。
【0060】
図3は、図2に示した磁気テープカートリッジ情報43の一例を示す図である。なお、ここでは、この磁気テープカートリッジ情報43は、1つ1つの磁気テープカートリッジ351〜35mごとに分けて記憶されている。図3には、シリアル番号が「CG11111」である磁気テープカートリッジ351〜35mの磁気テープカートリッジ情報43が示されている。
【0061】
図3に示すように、この磁気テープカートリッジ情報43は、日時、磁気テープドライブ装置S/N、エラーレート、累積使用時間および累積マウント回数の情報を記憶している。
【0062】
日時は、磁気テープカートリッジ情報43にデータが記憶された日時の情報である。磁気テープドライブ装置S/Nは、この磁気テープカートリッジ351〜35mに対してデータの読み込みまたは書き込み処理をおこなった磁気テープドライブ装置371〜37nのシリアル番号である。
【0063】
エラーレートは、磁気テープカートリッジ351〜35mに対するデータの読み込みまたは書き込み処理時に発生するエラーの発生度合を示す数値である。ここでは、エラーレートを、リード/ライト累積リトライ数をリード/ライト累積データ量で割り算した値とする。
【0064】
たとえば、1000メガバイトのデータの読み出しまたは書き込みをおこなった場合に、リトライ数の累積値が5回であった場合には、エラーレートは、
(エラーレート)=5/1000=5.0E−3
となる。
【0065】
なお、これ以外の方法で求めた値をエラーレートとして定義することとしてもよい。たとえば、データを読み出す場合のエラーレートとデータを書き込む場合のエラーレートを別々に算出して用いることとしてもよい。
【0066】
累積使用時間は、磁気テープカートリッジ351〜35mがデータの読み出しまたは書き込みに使用された累積時間の情報である。累積マウント回数は、磁気テープカートリッジ351〜35mが磁気テープドライブ装置371〜37nにマウントされた累積回数の情報である。
【0067】
また、図4は、図2に示した磁気テープドライブ装置情報44の一例を示す図である。なお、ここでは、この磁気テープドライブ装置情報44は、1つ1つの磁気テープドライブ装置371〜37nごとに分けて記憶されている。図4には、シリアル番号が「DV00005」である磁気テープドライブ装置371〜37nの磁気テープドライブ装置情報44が示されている。
【0068】
図4に示すように、この磁気テープドライブ装置情報44は、日時、磁気テープカートリッジS/N、エラーレート、累積使用時間および累積ロード回数の情報を記憶している。
【0069】
日時は、磁気テープドライブ装置情報44にデータが記憶された日時の情報である。磁気テープカートリッジS/Nは、磁気テープドライブ装置371〜37nがデータの読み込みまたは書き込み処理をおこなった磁気テープカートリッジ351〜35mのシリアル番号である。
【0070】
エラーレートは、図3で説明したエラーレートと同じものであり、エラーの発生度合を示す数値である。累積使用時間は、磁気テープドライブ装置371〜37nが磁気テープカートリッジ351〜35mをデータの読み出しまたは書き込みに使用した累積時間の情報である。累積ロード回数は、磁気テープカートリッジ351〜35mを磁気テープドライブ装置371〜37nにロードした累積回数の情報である。
【0071】
図2の説明に戻ると、制御部45は、磁気テープライブラリ装置30を全体制御する制御部である。この制御部45は、ロボットハンド制御部46、ユーザデータリード/ライト制御部47および保守/交換判定部48を有する。
【0072】
ロボットハンド制御部46は、ロボットハンド40を制御して、磁気テープカートリッジ351〜35mの磁気テープドライブ装置371〜37nへの挿入または磁気テープドライブ装置371〜37nからの磁気テープカートリッジ351〜35mの排出をおこなう。
【0073】
また、このロボットハンド制御部46は、磁気テープカートリッジ351〜35mの挿入または排出をおこなう場合に、磁気テープカートリッジ351〜35mに備えられたメモリ361〜36mからメモリ情報10a〜10cを読み出すようにロボットハンド40のメモリ情報リード処理部41を制御する。
【0074】
ユーザデータリード/ライト制御部47は、ホストコンピュータ20から受け付けたデータの読み出し要求またはデータの書き込む要求に応じて、ロボットハンド制御部46にデータの読み出しまたは書き込みをおこなう磁気テープカートリッジ351〜35mを磁気テープドライブ装置371〜37nにセットするよう要求する処理をおこなう。
【0075】
また、ユーザデータリード/ライト制御部47は、磁気テープドライブ装置371〜37nにホストコンピュータ20から読み出し要求を受け付けたデータを読み出すように要求し、また、ホストコンピュータ20から書き込み要求を受け付けたデータを書き込むように要求する処理をおこなう。
【0076】
保守/交換判定部48は、ロボットハンド40のメモリ情報リード処理部41により読み出されたメモリ情報10a〜10cを基にしてエラーレートを算出し、エラーレートの情報を、日時、磁気テープカートリッジS/N、磁気テープドライブ装置S/Nの情報とともに磁気テープカートリッジ情報43および磁気テープドライブ装置情報44に記憶する処理をおこなう。
【0077】
また、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ351〜35mおよび磁気テープドライブ装置371〜37nの累積使用時間を計測するとともに、累積マウント回数、累積ロード回数をカウントして、それらの情報を磁気テープカートリッジ情報43および磁気テープドライブ装置情報44に記憶する。
【0078】
さらに、保守/交換判定部48は、ロボットハンド40が磁気テープカートリッジ351〜35mの磁気テープドライブ装置371〜37nへの挿入または磁気テープドライブ装置371〜37nからの磁気テープカートリッジ351〜35mの排出をおこなう場合に、磁気テープカートリッジ351〜35m、または、磁気テープドライブ装置371〜37nに保守または交換の必要性があるか否かを判定する処理をおこなう。
【0079】
具体的には、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ情報43を参照し、異なる複数の時点において算出されたエラーレートが所定の閾値以上の磁気テープカートリッジ351〜35mがあるか否かを調べる。この閾値は、磁気テープカートリッジ351〜35mまたは磁気テープドライブ装置371〜37nに致命的なエラーが発生するレベル以下の値に設定される。
【0080】
たとえば、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ情報43に2回連続してエラーレートが所定の閾値以上となっている磁気テープカートリッジ351〜35mがあるか否かを調べる。
【0081】
図3に示した磁気テープカートリッジ情報43の例では、閾値が「1.0E−3」に設定された場合、日時「04/08/22 12:11:04」および「04/08/05 03:26:51」に対応する2つのエラーレートが2回連続して閾値以上となる。
【0082】
異なる複数の時点において算出されたエラーレートが所定の閾値以上の磁気テープカートリッジ351〜35mがある場合には、保守/交換判定部48は、同一の磁気テープドライブ装置371〜37nによりデータの読み出しまたは書き込み処理がなされているか否かを調べる。
【0083】
ここでもし、磁気テープドライブ装置371〜37nが同一ではない場合には、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ351〜35mに何らかの不具合が発生する可能性が高いと予測する。
【0084】
図3に示した磁気テープカートリッジ情報43の例では、日時「04/08/22 12:11:04」および「04/08/05 03:26:51」に対応する磁気テープドライブ装置S/Nが「DV00005」で同一であるため、上記の場合には該当せず、不具合が発生する可能性があるのが磁気テープカートリッジ351〜35mなのか、磁気テープドライブ装置371〜37nなのかが不明となる。
【0085】
このような場合には、保守/交換判定部48は、図4に示した磁気テープドライブ装置情報44を参照し、その磁気テープドライブ装置371〜37nが他の磁気テープカートリッジ351〜35mに対してデータの読み出し処理または書き込み処理をおこなう場合にも、エラーレートが閾値以上であるか否かを調べる。
【0086】
そして、保守/交換判定部48は、他の磁気テープカートリッジ351〜35mに対して処理をおこなう際にも、エラーレートが閾値以上である場合には、磁気テープドライブ装置371〜37nに不具合が発生する可能性が高いと予測する。
【0087】
また、保守/交換判定部48は、他の磁気テープカートリッジ351〜35mに対して処理をおこなう際のエラーレートが閾値以上でない場合は、磁気テープカートリッジ351〜35mに何らかの不具合が発生する可能性が高いと予測する。
【0088】
図4に示した磁気テープドライブ装置情報44の例では、磁気テープカートリッジS/Nが「CG11111」以外のシリアル番号が「CG33333」である磁気テープカートリッジ351〜35mでもエラーレートが閾値以上であるため、保守/交換判定部48は、磁気テープドライブ装置371〜37nに不具合が発生する可能性が高いと予測する。
【0089】
そして、保守/交換判定部48は、このようにして判定した結果を表示部33に出力し、磁気テープカートリッジ351〜35mまたは磁気テープドライブ装置371〜37nの保守や交換をおこなうようにユーザに通知する処理をおこなう。
【0090】
つぎに、本実施例に係る監視処理の処理手順について説明する。図5は、本実施例に係る監視処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0091】
図5に示すように、この監視処理では、磁気テープライブラリ装置30の保守/交換判定部48は、記憶部42から磁気テープカートリッジ情報43を読み出す(ステップS101)。
【0092】
そして、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ情報43に記憶されたデータを参照して、2回連続してエラーレートが所定の閾値以上である磁気テープカートリッジ351〜35mがあるか否かを調べる(ステップS102)。
【0093】
2回連続してエラーレートが所定の閾値以上である磁気テープカートリッジ351〜35mがない場合には(ステップS102,No)、そのままこの監視処理を終了する。
【0094】
2回連続してエラーレートが所定の閾値以上である磁気テープカートリッジ351〜35mがある場合には(ステップS102,Yes)、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ情報43に記憶されたデータを参照し、その2回ともデータの記憶処理または読み出し処理をおこなった磁気テープドライブ装置が同じであるか否かを調べる処理をおこなう(ステップS103)。
【0095】
磁気テープドライブ装置が同じでない場合には(ステップS103,No)、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ351〜35mに不具合が発生する可能性があると予測して、磁気テープカートリッジ351〜35mの交換を指示するメッセージを表示部33に出力し(ステップS107)、この監視処理を終了する。
【0096】
一方、磁気テープドライブ装置が同じである場合には(ステップS103,Yes)、保守/交換判定部48は、記憶部42から磁気テープドライブ装置情報44を読み出す(ステップS104)。
【0097】
続いて、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ351〜35mに対してデータの記憶処理または読み出し処理をおこなった磁気テープドライブ装置が、別の磁気テープカートリッジ351〜35mに対してデータの記憶処理または読み出し処理をおこなった際のエラーレートの情報を取得し、そのエラーレートが閾値以上であるか否かを調べる処理をおこなう(ステップS105)。
【0098】
そして、エラーレートが閾値以上でない場合には(ステップS105,No)、ステップS107に移行して、保守/交換判定部48は、磁気テープカートリッジ351〜35mに不具合が発生する可能性があると予測して、磁気テープカートリッジ351〜35mの交換を指示するメッセージを表示部33に出力し、この監視処理を終了する。
【0099】
エラーレートが閾値以上である場合には(ステップS105,Yes)、保守/交換判定部48は、磁気テープドライブ装置371〜37nに不具合が発生する可能性があると予測して、磁気テープドライブ装置371〜37nの交換を指示するメッセージを表示部33に出力し(ステップS106)、この監視処理を終了する。
【0100】
なお、上記処理では、保守/交換判定部48が、磁気テープドライブ装置371〜37nまたは磁気テープカートリッジ351〜35mに不具合が発生する可能性がある場合に、磁気テープドライブ装置371〜37nまたは磁気テープカートリッジ351〜35mの交換を指示するメッセージを出力することとしたが、図3に示した磁気テープカートリッジ情報43または磁気テープドライブ装置情報44を参照し、磁気テープドライブ装置371〜37nまたは磁気テープカートリッジ351〜35mについての交換または保守に係るさまざまな判定をおこない、交換または保守に係るメッセージを出力することとしてもよい。
【0101】
たとえば、保守/交換判定部48が、磁気テープドライブ装置情報44の累積使用時間のデータを参照し、磁気テープドライブ装置371〜37nの累積使用時間の和が所定の時間を越えた場合や、累積ロード回数の和が所定の回数を越えた場合に、磁気テープドライブ装置371〜37nの磁気ヘッドのクリーニング要求や交換要求を出力することとしてもよい。
【0102】
また、保守/交換判定部48が、磁気テープカートリッジ情報43を参照し、磁気テープカートリッジ351〜35mの累積マウント回数の和が所定の回数を越えた場合に、新しい磁気テープカートリッジ351〜35mへの交換要求を出力することとしてもよい。
【0103】
さらには、磁気テープカートリッジ351〜35mに対して読み出し処理または書き込み処理がなされたデータの累積データ量の情報をさらに磁気テープドライブ装置情報44に記憶し、保守/交換判定部48が、その情報と累積使用時間の情報とを参照して、一定量(たとえば、36GB)のデータの読み出しまたは書き込みをおこなうのに、累積使用時間が所定の値(たとえば、1時間)を超えるようであれば、磁気テープドライブ装置371〜37nの磁気ヘッドのクリーニングが必要と判定し、磁気ヘッドのクリーニング要求を出力することとしてもよい。
【0104】
ここで、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、図6を用いて、上記各種処理を実現するプログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
【0105】
図6は、図2に示した磁気テープライブラリ装置30となるコンピュータのハードウェア構成を示す図である。このコンピュータは、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置100、ディスプレイ101、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受をおこなうネットワークインターフェース102、RAM(Random Access Memory)103、フラッシュメモリ104、磁気テープドライブ装置1051〜105n、ロボットハンド106、各種プログラムを記録した記録媒体からプログラムを読み取る媒体読取装置107、CPU(Central Processing Unit)108およびROM(Read Only Memory)109をバス110で接続して構成される。
【0106】
そして、ROM109には、磁気テープライブラリ装置30の機能と同様の機能を発揮するプログラム、つまり、図6に示すロボットハンド制御プログラム109a、ユーザデータリード/ライト制御プログラム109bおよび保守/交換判定プログラム109cが記憶されている。
【0107】
なお、ロボットハンド制御プログラム109a、ユーザデータリード/ライト制御プログラム109bおよび保守/交換判定プログラム109cについては、適宜統合または分散して記憶することとしてもよい。
【0108】
そして、CPU108が、ロボットハンド制御プログラム109a、ユーザデータリード/ライト制御プログラム109bおよび保守/交換判定プログラム109cをROM109から読み出して実行することにより、ロボットハンド制御プロセス108a、ユーザデータリード/ライト制御プロセス108bおよび保守/交換判定プロセス108cとして機能するようになる。
【0109】
このロボットハンド制御プロセス108aは、図2に示したロボットハンド制御部46に対応する。また、ユーザデータリード/ライト制御プロセス108bは、図2に示したユーザデータリード/ライト制御部47に対応する。また、保守/交換判定プロセス108cは、図2に示した保守/交換判定部48に対応する。
【0110】
また、フラッシュメモリ104には、磁気テープカートリッジ情報104aおよび磁気テープドライブ装置情報104bが記憶される。なお、この磁気テープカートリッジ情報104aおよび磁気テープドライブ装置情報104bは、図2に示した記憶部42に記憶される磁気テープカートリッジ情報43および磁気テープドライブ装置情報44に対応する。
【0111】
そして、CPU108は、磁気テープカートリッジ情報104aおよび磁気テープドライブ装置情報104bをフラッシュメモリ104に記憶するとともに、磁気テープカートリッジ情報104aおよび磁気テープドライブ装置情報104bをフラッシュメモリ104から読み出してRAM103に格納し、RAM103に格納された磁気テープカートリッジ情報103aおよび磁気テープドライブ装置情報103bに基づいて各種データ処理を実行する。
【0112】
ところで、ロボットハンド制御プログラム109a、ユーザデータリード/ライト制御プログラム109bおよび保守/交換判定プログラム109cについては、必ずしもROM109に記憶させておく必要はない。
【0113】
たとえば、コンピュータに挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータに接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶しておき、コンピュータがこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0114】
上述してきたように、本実施例では、磁気テープライブラリ装置30のメモリ情報リード処理部41が、磁気テープドライブ装置371〜37nが磁気テープに対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、磁気テープを内蔵した磁気テープカートリッジ351〜35mのメモリから読み取り、保守/交換判定部48が、読み取った情報に基づいて、磁気テープドライブ装置371〜37nの保守または交換に係る判定をおこなうとしたので、磁気テープドライブ装置371〜37nに不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定することができる。
【0115】
また、本実施例では、ロボットハンド40のメモリ情報リード処理部41が、磁気テープドライブ装置371〜37nが磁気テープカートリッジ351〜35mに対してデータの読み込みまたはデータの書き込みをおこなった場合に発生した読み込みエラーまたは書き込みエラーに係る情報と、当該磁気テープドライブ装置371〜37nおよび当該磁気テープカートリッジ351〜35mを識別する識別情報とを読み取り、保守/交換判定部48が、読み取った情報に基づいて、磁気テープドライブ装置371〜37nの保守または交換に係る判定をおこなうこととしたので、磁気テープカートリッジ351〜35mのメモリに記憶された情報を有効に活用して、記憶装置に不具合発生の可能性があるか否かを正確かつ効果的に判定することができる。
【0116】
また、本実施例では、保守/交換判定部48が、磁気テープドライブ装置371〜37nまたは磁気テープカートリッジ351〜35mのどちらに保守または交換の必要があるのかを判定することとしたので、磁気テープドライブ装置371〜37nに不具合発生の可能性があるのか、磁気テープカートリッジ351〜35mに不具合発生の可能性があるのかを効果的に判定することができる。
【0117】
また、本実施例では、磁気テープカートリッジ351〜35mのメモリ361〜36mから情報を読み取るメモリ情報リード処理部41は、磁気テープカートリッジ351〜35mを保持して当該磁気テープカートリッジ351〜35mを磁気テープドライブ装置371〜37nに挿入し、また、磁気テープカートリッジ351〜35mを保持して当該磁気テープカートリッジ351〜35mを磁気テープドライブ装置371〜37nから排出するロボットハンド40に設けることとしたので、磁気テープカートリッジ351〜35mを保持した時点で不具合発生の可能性がある磁気テープカートリッジ351〜35mを判別することができ、不具合発生の可能性がある磁気テープカートリッジ351〜35mが利用されるのを効果的に防止することができる。
【0118】
また、本実施例では、保守/交換判定部48が、エラーレートが所定の閾値を越えた場合に保守または交換の必要性があると判定することとしたので、実際に不具合が発生する前にそれに対処することができる。
【0119】
また、本実施例では、エラーレートは、データの書き込みまたはデータの読み出しに係るリトライ数およびデータの書き込み量またはデータの読み出し量により算出される値であることとしたので、不具合発生の可能性があるか否かの判定を効果的に実行することができる。
【0120】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
【0121】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。
【0122】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0123】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0124】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0125】
(付記1)記憶装置の監視をおこなう監視装置であって、
記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、前記記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなう判定手段と、
を備えたことを特徴とする監視装置。
【0126】
(付記2)前記情報読取手段は、記憶装置が記憶媒体に対してデータの読み込みまたはデータの書き込みをおこなった場合に発生した読み込みエラーまたは書き込みエラーに係る情報と、当該記憶装置および当該記憶媒体を識別する識別情報とを読み取り、前記判定手段は、前記情報読取手段により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなうことを特徴とする付記1に記載の監視装置。
【0127】
(付記3)前記判定手段は、記憶装置または記憶媒体のどちらに保守または交換の必要があるのかをさらに判定することを特徴とする付記1または2に記載の監視装置。
【0128】
(付記4)前記情報読取手段は、記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置に挿入する記憶媒体挿入装置または記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置から排出する記憶媒体排出装置に設けられることを特徴とする付記1、2または3に記載の監視装置。
【0129】
(付記5)前記判定手段は、前記情報読取手段により読み取られた情報を基にして算出されたエラーの発生度合に係る値が所定の閾値を越えた場合に保守または交換の必要性があると判定することを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の監視装置。
【0130】
(付記6)前記エラーの発生度合に係る値は、データの書き込みまたはデータの読み出しに係るリトライ数とデータの書き込み量またはデータの読み出し量とにより算出される値であることを特徴とする付記5に記載の監視装置。
【0131】
(付記7)記憶装置の監視をおこなう監視方法であって、
記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、前記記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取る情報読取工程と、
前記情報読取工程により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなう判定工程と、
を含んだことを特徴とする判定方法。
【0132】
(付記8)記憶装置の監視をおこなう監視プログラムであって、
記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、前記記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取る情報読取手順と、
前記情報読取手順により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなう判定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする判定プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0133】
以上のように、本発明にかかる監視装置は、記憶装置に不具合発生の可能性があるのかを効果的に判定することが必要な監視システムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明に係る監視処理の概念を説明する説明図である。
【図2】本実施例に係る磁気テープライブラリ装置30の機能構成を示す図である。
【図3】図2に示した磁気テープカートリッジ情報43の一例を示す図である。
【図4】図2に示した磁気テープドライブ装置情報44の一例を示す図である。
【図5】本実施例に係る監視処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図2に示した磁気テープライブラリ装置30となるコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【図7】従来の磁気テープライブラリ装置1の一例を示す図である。
【図8】フラッシュメモリ5が内蔵された従来の磁気テープカートリッジ2の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 磁気テープライブラリ装置
2 磁気テープカートリッジ
3 磁気テープドライブ装置
4 ロボットハンド
5 フラッシュメモリ
10a〜10c メモリ情報
11a〜11c 磁気テープカートリッジ情報
12a〜12c 磁気テープドライブ情報
20 ホストコンピュータ
30 磁気テープライブラリ装置
31 データ送受信部
32 入力部
33 表示部
34 カートリッジセル
351〜35m 磁気テープカートリッジ
361〜36m メモリ
371〜37n 磁気テープドライブ装置
381〜38n ユーザデータリード/ライト処理部
391〜39n メモリ情報リード/ライト処理部
40 ロボットハンド
41 メモリ情報リード処理部
42 記憶部
43 磁気テープカートリッジ情報
44 磁気テープドライブ装置情報
45 制御部
46 ロボットハンド制御部
47 ユーザデータリード/ライト制御部
48 保守/交換判定部
50 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置の監視をおこなう監視装置であって、
記憶装置が記憶媒体に対しておこなったデータの読み込みまたはデータの書き込みに係る情報を、前記記憶媒体を内蔵したカートリッジのメモリから読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなう判定手段と、
を備えたことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記情報読取手段は、記憶装置が記憶媒体に対してデータの読み込みまたはデータの書き込みをおこなった場合に発生した読み込みエラーまたは書き込みエラーに係る情報と、当該記憶装置および当該記憶媒体を識別する識別情報とを読み取り、前記判定手段は、前記情報読取手段により読み取られた情報に基づいて、記憶装置の保守または交換に係る判定をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記判定手段は、記憶装置または記憶媒体のどちらに保守または交換の必要があるのかをさらに判定することを特徴とする請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記情報読取手段は、記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置に挿入する記憶媒体挿入装置または記憶媒体を保持して当該記憶媒体を記憶装置から排出する記憶媒体排出装置に設けられることを特徴とする請求項1、2または3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記情報読取手段により読み取られた情報を基にして算出されたエラーの発生度合に係る値が所定の閾値を越えた場合に保守または交換の必要性があると判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−164445(P2006−164445A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356710(P2004−356710)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】