説明

目地カバー装置

【課題】一方の建造物と他方の建造物とが目地を介して隣接され、一方の建造物から他方の建造物側に差し出されて目地を覆う遮蔽部材の、その直下に位置させて他方の建造物側に配設される目地カバー装置にあって、構造が簡単で部品点数が少なく、製作が容易で製造コストを低減し得る目地カバー装置を提供する。
【解決手段】端部相互が上下方向に回動可能に連結された複数の分割カバー板34a,34bからなるカバー体8と、カバー体8を下面から支持し、かつ目地幅の変化に伴って水平回動して、カバー体8を水平状の支持状態と下方に垂下する退避状態とに変化させる複数の回動支持部材7とによって構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する一方の建造物と他方の建造物間に位置する目地を覆う遮蔽部材の直下に配設される目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、図16(A)に示すように、緩衝機能を備えた免震装置bによって下部が支持された建造物aにあっては、地震時における水平方向の揺れが大きくなる傾向がある。このような免震構造の建造物aの周囲には、隣接する人工地盤等からなる建造物cとの間に比較的広幅の目地sが形成されている。前記建造物aの側壁面からは、他方の建造物cの上面より若干上方位置に遮蔽部材dが差し出されており、該遮蔽部材dによって前記目地sを覆うようにしている。
【0003】
ところで、前記目地sを覆う遮蔽部材dにあっては、地震時において、図16(B)に示すように、一方の建造物aが他方の建造物cから離れる方向に大きく変位すると、建造物aから差し出された遮蔽部材dと他方の建造物cとの間に開口部eが生じるため、該開口部eから歩行者hが目地s内に転落する虞があった。
【0004】
そこで、このような問題点の解決を試みた目地装置が提案されている(特許文献1参照)。かかる目地装置は、目地部を介して設けられた一方の躯体の上面よりも上部に位置する部位の他方の躯体の外壁面に形成された目地部を覆う突出躯体と、前記一方の躯体の目地部側の上部に先端部が下方へ回動可能に取付けられたステップ板と、このステップ板を常時ほぼ水平状態に保持でき、前記目地部が狭くなると該ステップ板の先端部を下方へ回動可能に支持するステップ板支持機構と、このステップ板支持機構のステップ板をほぼ水平状態に保持する状態をロックするとともに、前記目地部が狭くなると前記他方の目地部側の躯体とステップ板が当接する前に当接するセンサーレバーの作動により前記ロック状態を解除するロック機構とから構成されている。
【0005】
また、前記ステップ板支持機構は、ステップ板を常時ほぼ水平状態に保持でき、前記目地部が狭くなると該ステップ板の先端部を下方へ回動可能に支持するステップ板の下部位置の前記一方の躯体にほぼ水平に固定された支持レール、この支持レールに沿ってスライド移動するスライドレール、このスライドレールに継手を介して下端部が取付けられ、他端部が継手を介して前記ステップ板の先端部寄りの部位に取付けられた傾斜状態の複数個の支持アームおよび前記ステップ板がほぼ水平状態となるように前記スライドレールを付勢する付勢スプリングとにより構成されている。
【0006】
さらに前記ロック機構は、ステップ板をほぼ水平状態に保持する状態をロックするとともに、前記目地部が狭くなると前記他方の目地部側の躯体と当接することにより前記ロック状態を解除する前記ステップ板の先端部より先端部が突出し、他方の目地部側の躯体と当接すると下方へ回動するセンサーレバー、このセンサーレバーの後端部に取付けられた作動杆、この作動杆の先端部に取付けられた前記スライドレールよりも上部位置に固定されたガイド筒のガイドによって上下移動するロック片およびこのロック片と前記ステップ板がほぼ水平状態に保持されている状態で係止される、前記スライドレールに固定されたクサビ状の係止片とにより構成されている。
【特許文献1】特開2002−81142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した先行技術の構成にあっては、ステップ板支持機構及びロック機構の構造が極めて複雑で、部品点数が多く、製作に手間が掛かる上、製造コストも高いものとなっていた。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点を解消し得る目地カバー装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一方の建造物と他方の建造物とが目地を介して隣接され、一方の建造物から他方の建造物側に差し出されて目地を覆う遮蔽部材の、その直下に位置させて他方の建造物側に配設されるものであって、上部に水平状の支承杆部を備え、かつ該支承杆部の下方で該支承杆部の先端より前方に突出して一方の建造物の側壁面に当接可能な被押圧端を備えてなり、他方の建造物の側壁面に水平回動可能に連結されて、常時は付勢手段の付勢力を介して他方の建造物の側壁面から斜め前方に突出する位置に保持される、夫々が同一高さ位置に配設された複数の回動支持部材と、目地に沿う方向に延在する複数の分割カバー板が目地幅方向に並列され、隣り合う分割カバー板の目地幅方向の各端部相互が上下方向に回動可能に連結されて略平板矩形状に形成されてなり、その基端部が他方の建造物側に連結された状態で下面が前記各回動支持部材の支承杆部によって水平状に支持されるカバー体とを備えてなることを特徴とする目地カバー装置である。
【0010】
かかる構成にあって、地震時に目地幅が狭くなるのに伴って一方の建造物の側壁面に被押圧端が押圧されることによって各回動支持部材が他方の建造物側に回動され、その回動に伴って各回動支持部材の支承杆部から外れて支持されなくなった各分割カバー板が先端側から順次下方に垂下するため、カバー体と一方の建造物の側壁面との衝突を回避することができる一方、目地幅が広くなるのに伴って各回動支持部材が付勢手段の付勢力を介して斜め前方に回動することにより、下方に垂下していた各分割カバー板が各支承杆部によって基端側から順次支持されるため、カバー体を水平状態に復帰させることができる。また、目地幅がさらに広くなって、一方の建造物から差し出された遮蔽部材と、他方の建造物との間に開口部が生じても、該開口部を水平状に支持されているカバー体で遮蔽することができるため、歩行者の転落を防止することができる。
【0011】
上述した目地カバー装置にあって、回動支持部材の被押圧端に、一方の建造物の側壁面に当接可能なガイドローラを水平回転可能に軸支する構成が提案される。
【0012】
また、前記付勢手段を、回動支持部材の被押圧端と他方の建造物の側壁面との間に張設された引張ばねとする構成が提案される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上述したように、上部に水平状の支承杆部を備え、かつ該支承杆部の下方で該支承杆部の先端より前方に突出して一方の建造物の側壁面に当接可能な被押圧端を備えてなり、他方の建造物の側壁面に水平回動可能に連結されて、常時は付勢手段の付勢力を介して他方の建造物の側壁面から斜め前方に突出する位置に保持される、夫々が同一高さ位置に配設された複数の回動支持部材と、目地に沿う方向に延在する複数の分割カバー板が目地幅方向に並列され、隣り合う分割カバー板の目地幅方向の各端部相互が上下方向に回動可能に連結されて略平板矩形状に形成されてなり、その基端部が他方の建造物側に連結された状態で下面が前記各回動支持部材の支承杆部によって水平状に支持されるカバー体とを備えた目地カバー装置であり、端部相互が上下方向に回動可能に連結された複数の分割カバー板からなるカバー体と、該カバー体を下面から支持して、水平回動によってカバー体を水平状の支持状態と下方に垂下する退避状態とに変化させる複数の回動支持部材とによって構成され得るため、従来構成に比して、構造が簡単化されて部品点数が減少し、製作が容易で製造コストを低減することができる。
【0014】
また、前記回動支持部材の被押圧端に、一方の建造物の側壁面に当接可能なガイドローラが水平回転可能に軸支されている構成にあっては、地震時に目地幅が狭くなるのに伴って一方の建造物の側壁面に当接するガイドローラが、該側壁面上を転動するため、その転動作用を介して回動支持部材をスムーズに回動させることができる。
【0015】
また、前記付勢手段が、回動支持部材の被押圧端と他方の建造物の側壁面との間に張設された引張ばねである構成にあっては、回動支持部材を他方の建造物の側壁面から斜め前方に突出する位置に回動させて保持する付勢作用を簡単に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にかかる目地カバー装置1の第一実施例を、図1〜図12に基づいて説明する。
図1において、2Aは緩衝機能を備えた免震装置3によって下部が支持された免震構造の建物からなる一方の建造物、2Bは該建造物2Aの周囲に形成された人工地盤からなる他方の建造物であって、目地sを介して隣接している。目地sは、建造物2Aの周囲に沿って所定幅で形成され、地震時における建造物2Aと周囲の建造物2Bとの水平方向の相対的な揺れを吸収し得るようになっている。建造物2Aの側壁面4からは、該側壁面4に一体形成された突出縁からなる遮蔽部材5Aが建造物2Bの上面より若干上方位置に差し出されており、常時は該遮蔽部材5Aによって前記目地sが覆われている。また、建造物2Bの側壁面6には、前記遮蔽部材5Aの直下に位置させて本発明にかかる目地カバー装置1が配設されている。この目地カバー装置1は、目地sに沿う方向に複数個が一列状に設けられる。
【0017】
図2,図3に示すように、個々の目地カバー装置1は、建造物2Bの側壁面6の同一高さ位置に所定間隔をおいて配設される複数の回動支持部材7と、各回動支持部材7によって下面が支持されるカバー体8とを備えている。尚、図示した例では、カバー体8の下部の左右両側に二つの回動支持部材7,7を対称状に配設しているが、このように対称状とすることは必ずしも必要ではなく、これに代えて夫々を同一の向きとしてもよい。また、回動支持部材7の数は三つ以上の複数としてもよい。
【0018】
各回動支持部材7は矩形枠状に形成されており、図4〜図7に示すように、その上部横杆が後述するカバー体8を支持する水平状の支承杆部9となっている。また、該支承杆部9と前部縦杆10は丸パイプ材をL形に曲成することにより一体形成されており、その角部に適宜の曲率の易摺動部9aが設けられている。回動支持部材7の後部縦杆11の上端には支軸12が上方突成されており、また、回動支持部材7の下部横杆13には、前記支軸12と上下で一致する位置に挿通孔14(図7参照)が形成されている。また、各回動支持部材7は、横断面コ字形の取付フレーム15と、その下部に連結される下部フレーム16とを備えている。取付フレーム15の上端には、一端が側方に延出する上部プレート17(図4参照)が固着されており、その延出部に前記支軸12を挿通可能な挿通孔18(図7参照)が形成されている。また、下部フレーム16は、図7に示すように、側断面がL形に形成されており、その水平板部19にボルトからなる支軸20が立設されている。そして、図6に示すように、上部プレート17の挿通孔18に後部縦杆11の支軸12を挿通し、かつ下部フレーム16の支軸20を下部横杆13の挿通孔14(図7参照)に挿通した状態で、取付フレーム15の下部に下部フレーム16がボルト21,ナット22(図4参照)の緊締を介して連結されている。これにより、回動支持部材7が支軸12及び支軸20を中心として回動可能となっている。
【0019】
前記取付フレーム15及び下部フレーム16には、建造物2Bの側壁面6と面接触する所定部位に複数の取付孔23が形成されており、各取付孔23に、建造物2Bの側壁面6に植設されたアンカーボルト24(図8参照)を挿通させてナット25で緊締固定することにより、取付フレーム15及び下部フレーム16を介して各回動支持部材7を建造物2Bの側壁面6に水平回動可能に連結するようにしている。
【0020】
また、各回動支持部材7の下部横杆13の先端部には、図5に示すように、前記支承杆部9の先端より前方に突出するアーム杆26が突設されており、該アーム杆26の先端が一方の建造物2Aの側壁面4(図1参照)によって押圧される被押圧端27となっている。この被押圧端27には、一方の建造物2Aの側壁面4に当接可能なガイドローラ28が水平回転可能に軸支されている。尚、該ガイドローラ28は必ずしも必要ではないが、このようなガイドローラ28を設けることにより、地震時に目地sの幅が狭くなるのに伴って一方の建造物2Aの側壁面4に当接するガイドローラ28が、該側壁面4上を転動するため、その転動作用を介して回動支持部材7をスムーズに回動させることができる。
【0021】
また、前記被押圧端27と、取付フレーム15の下部及び下部フレーム16との間には、図5に示すように、アーム杆26のばね受け縁26’と、取付フレーム15及び下部フレーム16とに夫々形成した係止孔30a,30bに両端を係止することによって引張ばね31が張設されており、該引張ばね31が、回動支持部材7を常時前方向に回動付勢する付勢手段となっている。また、下部フレーム16には、回動支持部材7の回動範囲を規定するボルトからなるストッパー杆32が上方突成されており、該ストッパー杆32に下部横杆13の前側面を当接させることによって、回動支持部材7が建造物2Bの側壁面6から斜め前方に突出する位置に保持されるようになっている。また、下部横杆13の後側面には、略く字形に屈曲された板ばね33の一端が固着されている。該板ばね33は、回動支持部材7が後方向に回動したときに建造物2Bの側壁面6に当接して弾発力を生じ、該弾発力によって回動支持部材7を前方向に回動させる補助的な付勢手段となっている。
【0022】
一方、図8に示すように、各回動支持部材7によって下面が支持されるカバー体8は、目地sに沿う方向に延在する、分割カバー板34aと複数の分割カバー板34bを備えている。カバー体8は、各分割カバー板34a,34bが目地sの幅方向に並列した状態で、その全体形状が略平板矩形状に形成されている(図2参照)。ここで、基端部に配設される分割カバー板34aとこれ以外の複数の分割カバー板34bには、図9に示すように、目地sの幅方向の端部に断面円形の嵌合突条35と、該嵌合突条35を遊嵌可能な包持溝36が形成されており、該嵌合突条35を包持溝36内に側方から嵌挿させることにより、隣り合う分割カバー板34a及び複数の分割カバー板34bの各端部相互が上下方向に回動可能に連結されている。このカバー体8は、図8に示すように、基端部の分割カバー板34aを取付フレーム15の上部プレート17にボルト37,ナット38の緊締を介して固定することにより、建造物2B側に連結されている。
【0023】
かかる構成にあって、図10に示すように、地震時に目地sの幅が広くなって、一方の建造物2Aから差し出された遮蔽部材5Aが他方の建造物2Bから離れても、該建造物2B側に水平状に支持されている目地カバー装置1のカバー体8によって、歩行者の転落を防止することができる。
【0024】
また、図11に示すように、地震時に目地sの幅が狭くなり、一方の建造物2Aの側壁面4に被押圧端27のガイドローラ28が押圧されると、各回動支持部材7が引張ばね31の付勢に抗して他方の建造物2B側に回動され、その回動に伴って各回動支持部材7の支承杆部9から外れて支持されなくなった各分割カバー板34bが先端側から順次下方に垂下し、図12に示すように、さらに目地sの幅が狭くなって各回動支持部材7が他方の建造物2Bと略平行になるまで回動されると、全ての分割カバー板34bが支承杆部9から外れて下方に垂下する退避状態となるため、カバー体8と一方の建造物2Aの側壁面4との衝突を回避することができる。
【0025】
一方、上記のような各分割カバー板34bの退避状態にあって、目地幅が広くなると、各回動支持部材7が引張ばね31からなる付勢手段の付勢力を介して斜め前方に回動することにより、下方に垂下していた各分割カバー板34bの下面が各支承杆部9によって基端側から順次支持されるため、カバー体8を水平状態に復帰させることができる。また、この時、支承杆部9と前部縦杆10の角部に設けられている易摺動部9a(図8参照)によって、各分割カバー板34bの支承杆部9への乗り上げを円滑に行わせることができる。
【0026】
このように、本発明によれば、端部相互が上下方向に回動可能に連結された複数の分割カバー板34a,34bからなるカバー体8と、目地幅の変化に伴って水平回動し、カバー体8を水平状の支持状態と下方に垂下する退避状態とに変化させる複数の回動支持部材7とによって構成され得るため、従来構成に比して、構造が簡単化されて部品点数が減少し、製作が容易で製造コストを低減することができる。
【0027】
図13〜図15は第二実施例を示し、この第二実施例は、目地sを覆う遮蔽部材5Bが第一実施例のものとは異なる構成となっている。
ここで、他方の建造物2Bの側縁には、水平受縁40と、該水平受縁40の外端から上方傾斜する傾斜受縁41とを備えた摺動受枠体39が配設されている。
【0028】
遮蔽部材5Bは、前記水平受縁40の深さに一致する所定の厚みを備えた平板矩形状に形成されており、その一端が一方の建造物2Aの側縁に連結手段42を介して揺動可能に連結されている。該遮蔽部材5Bの他端側は自由端となっており、該自由端の外端には前記傾斜受縁41と同方向に傾斜する傾斜端縁43が設けられている。また、該傾斜端縁43の上部から遮蔽部材5Bの上面と面一となるようにして端部遮蔽板44が突設されている。
【0029】
前記遮蔽部材5Bは、一方の建造物2Aから他方の建造物2B側に差し出されて目地sを覆っており、自由端が摺動受枠体39の水平受縁40上に摺動可能に乗載されている。また、自由端の傾斜端縁43と摺動受枠体39の傾斜受縁41間に生じる作動空隙45の上方が端部遮蔽板44によって遮蔽されている。
【0030】
本発明にかかる目地カバー装置1は、カバー体8の上面を前記摺動受枠体39の水平受縁40の高さ位置に略一致させて建造物2Bの側壁面6に配設されている。尚、目地カバー装置1は、第一実施例のものと同一であり、共通する構成部分に第一実施例と同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0031】
かかる構成にあって、地震時に、建造物2Aが、隣接する建造物2Bに近接する方向に比較的小さく変位した場合には、遮蔽部材5Bの自由端が摺動受枠体39の水平受縁40上を作動空隙45の範囲内で水平に摺動してその変位に追従し、さらに大きく変位すると、図14に示すように、遮蔽部材5Bは、一端の連結手段42を支点として、自由端に形成された傾斜端縁43が摺動受枠体39の傾斜受縁41に沿ってずれ上がることにより、その変位から逃げることができる。この時、上述したように、目地sの幅が狭くなるのに伴って一方の建造物2Aの側壁面4に被押圧端27のガイドローラ28が押圧されることによって各回動支持部材7が他方の建造物2B側に回動され、その回動に伴って各回動支持部材7の支承杆部9から外れて支持されなくなった各分割カバー板34bが先端側から順次下方に垂下するため、カバー体8と一方の建造物2Aの側壁面4との衝突が回避される。
【0032】
また、建造物2Aが建造物2Bから離間する方向に変位して目地sの幅が広がり、遮蔽部材5Bの自由端が摺動受枠体39の水平受縁40上から離れても、図15に示すように、該自由端を引き続き目地カバー装置1のカバー体8によって支承することができるとともに、該カバー体8によって、目地sへの歩行者の転落を防止することができる。
【0033】
このように、第二実施例における目地カバー装置1は、遮蔽部材5Bの自由端を支承する水平受縁40の目地幅方向の長さを余り長くできない場合や遮蔽部材5Bの長さを短くしたい施工態様に好適なものとなる。
【0034】
尚、上記各実施例において、建造物2Aを免震構造の建物、建造物2Bを人工地盤としたが、これに代えて、建造物2Aが人工地盤、建造物2Bが免震構造の建物であってもよい。また、本発明にかかる目地カバー装置1は、免震装置によって下部が支持された免震構造の建物以外の一般的な建造物にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第一実施例にかかる目地カバー装置1の施工状態を示す側断面図である。
【図2】目地カバー装置1の平面図である。
【図3】目地カバー装置1の正面図である。
【図4】目地カバー装置1を構成する回動支持部材7の正面図である。
【図5】同上の回動支持部材7の平面図である。
【図6】図5におけるD−D線断面図である。
【図7】図6における回動支持部材7,取付フレーム15,下部フレーム16を分解した状態を示す構成説明図である。
【図8】目地カバー装置1の施工状態を示す拡大側断面図である。
【図9】カバー体8の分解状態の拡大側面図である。
【図10】目地幅が広くなったときの目地カバー装置1の作用説明図である。
【図11】目地幅が半分程度狭くなったときの目地カバー装置1の作用説明図である。
【図12】目地幅が完全に狭くなったときの目地カバー装置1の作用説明図である。
【図13】第二実施例にかかる目地カバー装置1の施工状態を示す側断面図である。
【図14】目地幅が狭くなったときの第二実施例における目地カバー装置1及び遮蔽部材5Bの作用説明図である。
【図15】目地幅が広くなったときの第二実施例における目地カバー装置1及び遮蔽部材5Bの作用説明図である。
【図16】(A)は免震構造の建造物aの構成を示す側断面図、(B)は該建造物aが他方の建造物cから離間する方向に変位した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 目地カバー装置
2A,2B 建造物
5A,5B 遮蔽部材
6 側壁面
7 回動支持部材
8 カバー体
9 支承杆部
27 被押圧端
28 ガイドローラ
29 側壁面
31 引張ばね(付勢手段)
34a,34b 分割カバー板
s 目地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の建造物と他方の建造物とが目地を介して隣接され、一方の建造物から他方の建造物側に差し出されて目地を覆う遮蔽部材の、その直下に位置させて他方の建造物側に配設されるものであって、
上部に水平状の支承杆部を備え、かつ該支承杆部の下方で該支承杆部の先端より前方に突出して一方の建造物の側壁面に当接可能な被押圧端を備えてなり、他方の建造物の側壁面に水平回動可能に連結されて、常時は付勢手段の付勢力を介して他方の建造物の側壁面から斜め前方に突出する位置に保持される、夫々が同一高さ位置に配設された複数の回動支持部材と、
目地に沿う方向に延在する複数の分割カバー板が目地幅方向に並列され、隣り合う分割カバー板の目地幅方向の各端部相互が上下方向に回動可能に連結されて略平板矩形状に形成されてなり、その基端部が他方の建造物側に連結された状態で下面が前記各回動支持部材の支承杆部によって水平状に支持されるカバー体と
を備えてなることを特徴とする目地カバー装置。
【請求項2】
回動支持部材の被押圧端に、一方の建造物の側壁面に当接可能なガイドローラが水平回転可能に軸支されていることを特徴とする請求項1記載の目地カバー装置。
【請求項3】
付勢手段が、回動支持部材の被押圧端と他方の建造物の側壁面との間に張設された引張ばねであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の目地カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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