説明

目地プレート

【課題】 本発明は目地プレート本体と、該目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートとの剥離を効率よく阻止して、騒音の発生を阻止し、美観が損なわれるのを防止でき、かつ目地プレート本体を比較的に薄い金属材を用いても、上部に設けた鉢巻きプレートで十分な強度が得られる薄肉で安価な金属材を使用でき、低コストで製造することができる目地プレートを得るにある。
【解決手段】 金属材で少なくとも2辺の下部が外方へ広がるように突出する突出部を有する四角浅皿形状の目地プレート本体と、この目地プレート本体の上部外周部に前記突出部の外側端部より外側端部が外方へ突出しないように固定された金属材製の鉢巻きプレートと、前記目地プレート本体の後部両側部に底面が開口するように設けられた支持ピン挿入筒と、前記目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートとで目地プレートを構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の床躯体間の目地部を車両の走行が可能に覆う目地プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目地プレートは金属材で四角浅皿形状の目地プレート本体と、この目地プレート本体の後端両側部に底面が開口するように設けられた支持ピン挿入筒と、前記目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートとで構成されていた。
このように構成された目地プレートは目地プレート本体と、この目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートとの剥離が生じ、見苦しくなったり、騒音の原因になったりするとともに、十分な強度を得るため、目地プレート本体を形成している金属材全体の肉厚を厚いものを使用しなければならず、コスト高になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−240374
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地プレート本体と、該目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートとの剥離を効率よく阻止して、騒音の発生を阻止し、美観が損なわれるのを防止でき、かつ目地プレート本体を比較的に薄い金属材を用いても、上部に設けた鉢巻きプレートで十分な強度が得られる薄肉で安価な金属材を使用でき、低コストで製造することができる目地プレートを提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0006】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は金属材で少なくとも2辺の下部が外方へ広がるように突出する突出部を有する四角浅皿形状の目地プレート本体と、この目地プレート本体の上部外周部に前記突出部の外側端部より外側端部が外方へ突出しないように固定された金属材製の鉢巻きプレートと、前記目地プレート本体の後部両側部に底面が開口するように設けられた支持ピン挿入筒と、前記目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートとで目地プレートを構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1によって、目地プレート本体の少なくとも2辺の下部が外方へ広がるように突出する突出部を形成しているので、目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートは突出部内に入り込んで固定するため、モルタルあるいはコンクリートと目地プレート本体とが剥離するのを確実に防止することができる。
したがって、従来のように目地プレート本体とモルタルあるいはコンクリートとが剥離して見苦しくなったり、騒音が発生するのを効率よく阻止することができる。
(2)前記(1)によって、目地プレート本体の上部外周部を鉢巻きプレートで補強することができる。
したがって、薄肉の金属材を用いて目地プレート本体を形成しても、十分な強度が得られ、安価に製造することができる。
(3)請求項2は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、目地プレート本体の各辺に形成された突出部や目地プレート本体の内底面に固定された複数本の補強バーで、より強固に目地プレート本体とモルタルあるいはコンクリートとの剥離を防止することができるとともに、目地プレート本体の補強を図ることができるとともに、目地プレート本体に鋭角状に外方へ広がるように突出する突出部にしているので、目地プレート本体の加工が容易にでき、加工コストが高くなるのを防止することが出来る。
(4)請求項3は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、目地プレート本体の上端部に鉢巻きプレートの上端部が位置しているため、目地プレート本体の強度が十分に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の側面図。
【図7】図4の7−7線に沿う断面図。
【図8】図4の8−8線に沿う断面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の使用状態の平面図。
【図10】図9の10−10線に沿う断面図。
【図11】図9の11−11線に沿う断面図。
【図12】本発明を実施するための第2の形態の説明図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の使用状態の平面図。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図。
【図15】本発明を実施するための第3の形態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた車両等の走行が可能な左右の床躯体3、3間の目地部2を覆う本発明の床用目地装置で、この床用目地装置1は前記左右の床躯体3、3の目地部側の一方の床躯体3に形成された目地プレート支持凹部4と、前記左右の床躯体3、3の目地部側の他方の床躯体3に反目地部側が傾斜面5に形成された目地プレートスライド凹部6と、前記目地プレート支持凹部4に後端部が支持され、先端部が前記目地プレートスライド凹部6にスライド移動可能に支持された本発明の目地プレート7と、この目地プレート7の後端両側部を、目地部2が狭くなるように揺れ動いた場合に、該目地プレート7の先端部が上方へ回動可能に支持する、前記目地プレート支持凹部4に固定された支持ピン8、8とで構成されている。
【0012】
前記目地プレート7は図4ないし図8に示すように金属材で少なくとも2辺、本発明の実施の形態では加工が容易にできるように、前部と後部の下部に鋭角状に外方へ広がるように突出する突出部9、9を有する四角浅皿形状の目地プレート本体10と、この目地プレート本体10の上部外周部に前記突出部9、9の外側端部より外側端部が外方に突出することなく、上部が上方に位置するように複数本の皿ビス11によって固定された金属材製の鉢巻きプレート12と、前記目地プレート本体10の後部両側部に底面開口13、13するように溶接等で固定された上部が閉塞板14、14で閉塞された支持ピン挿入筒15、15と、前記目地プレート本体10内に所定間隔で前後方向に固定された、該目地プレート本体10の高さ寸法の半分以下の寸法の複数本の補強バー16、16、16、16と、前記目地プレート本体10内に充填されたモルタルあるいはコンクリート17と、前記鉢巻きプレート12の先端部の上部にヒンジ部材18を介して、先端部が上下方向に回動可能に取付けられたカバープレート19とで構成されている。
【0013】
上記構成の目地プレート7は、目地プレート本体10内に充填されたモルタルあるいはコンクリート17は突出部19、19内に入り込んで固定されるため、目地プレート本体10内で固定されたモルタルあるいはコンクリート17の塊は突出部9、9内へ入り込んだ突出状態となり、剥離できない形状となっている。
【0014】
また、鉢巻きプレート12や複数本の補強バー16、16、16、16によって十分な強度が得られるので、目地プレート本体10を薄い金属材を用いてもよい。
【0015】
さらに、目地プレート本体10の先端部の下部に突出部9が形成されているので、目地部2が狭くなるように地震で揺れ動いた場合、目地プレートスライド凹部6の傾斜面5をスムーズに移動させることができる。
【0016】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9ないし図15に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0017】
図9ないし図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、4辺の下部に鋭角状に外方へ広がるように突出する突出部9、9、9、9を有する目地プレート本体10Aを用いて目地プレート7Aを構成した点で、このように構成された目地プレート7Aを用いても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる床用目地装置1Aにできるとともに、目地プレート本体10Aとモルタルあるいはコンクリート17との剥離をより効率よく阻止することができる。
【0018】
図13ないし図15に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、目地プレート本体10の上端部と鉢巻きプレート12とを溶接20により固定するとともに、モルタルあるいはコンクリート17の上部にレンガやタイル等の床化粧板21を敷設した点で、このように構成された目地プレート7Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0019】
なお、前記本発明を実施するための各形態では目地プレート本体の2辺あるいは4辺の下部を鋭角状に外方へ広がるように突出する突出部を形成したものについて説明したが、本発明はこれに限らず目地プレート本体の2辺あるいは4辺の下部が該目地プレート本体の上部の内径よりも大きくなるような突出部であれば、目地プレート本体の内部に充填したモルタルあるいはコンクリートは突出部内へ入り込んだ突出状態の固定状態となるため、目地プレート本体とモルタルあるいはコンクリートは剥離できない状態となるため、どんな形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は目地部を介して設けられた左右の床躯体間の目地部を車両の走行が可能に覆う床用目地装置の目地プレートを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0021】
1、1A、1B:床用目地装置、2:目地部、
3:床躯体、 4:目地プレート支持凹部、
5:傾斜面、 6:目地プレートスライド凹部、
7、7A、7B:目地プレート、8:支持ピン、
9:突出部、 10、10A:目地プレート本体、
11:皿ビス、 12:鉢巻きプレート、
13:開口、 14:閉塞板、
15:支持ピン挿入筒、 16:補強バー、
17:モルタルあるいはコンクリート、
18:ヒンジ部材、 19:カバープレート、
20:溶接、 21:床化粧板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材で少なくとも2辺の下部が外方へ広がるように突出する突出部を有する四角浅皿形状の目地プレート本体と、この目地プレート本体の上部外周部に前記突出部の外側端部より外側端部が外方へ突出しないように固定された金属材製の鉢巻きプレートと、前記目地プレート本体の後部両側部に底面が開口するように設けられた支持ピン挿入筒と、前記目地プレート本体内に充填されたモルタルあるいはコンクリートとからなることを特徴とする目地プレート。
【請求項2】
目地プレート本体は各辺の下部に外方へ鋭角状に広がるように突出する突出部が形成されるとともに、内底面には複数本の補強バーが固定されていることを特徴とする請求項1記載の目地プレート。
【請求項3】
鉢巻きプレートは目地プレート本体の上端部よりも上部が上方に位置するように複数本の皿ビスあるいは溶接等によって固定されていることを特徴とする請求項1記載の目地プレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−157722(P2011−157722A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20165(P2010−20165)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】