説明

目標検出装置

【課題】 複数種類のセンサを組み合わせて双方の目標検出情報に基づいて目標検出の閾値を可変調整することにより、目標からの反射波あるいは物理的なエネルギー波の強度が低い目標の場合でも、目標の検出を可能にする。
【解決手段】 第1のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より目標を検出し、第1の目標検出情報を出力する第1の目標検出器と、第1の目標検出器とは異なる物理的性質をもつ第2のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より目標を検出し第2の目標検出情報を出力する第2の目標検出器と、第1の目標検出器及び第2の目標検出器からの目標検出情報を入力とし、最終的に目標が存在するか否かを判定し、判定結果を出力するとともに、判定結果に基づき、修正された目標検出のための閾値を第1の目標検出器並びに第2の目標検出器に対して出力する目標探知判定器を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサにより得られた信号から目標を検出する目標検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の目標検出装置として、例えば電波センサにより得られた信号を処理するレーダ信号処理器が知られている。電波センサは、アンテナから目標に対して電波を照射し、当該目標から反射される反射電波をアンテナにて受信し、受信電波を復調してレーダ信号処理器に入力する。レーダ信号処理器は、入力信号をA/D変換器にてデジタル信号に変換し、該デジタル信号をもとに信号処理を行い、目標信号とノイズを識別することにより目標を検出する。レーダ信号処理器においては、目標信号があらかじめ設定された目標検出の閾値(スレッショルド)を超えていない場合は目標検出不可とし、閾値を超えていた場合に目標の存在を検出する(例えば、特許文献1参照)。なお、目標を検出するセンサとしては、電波センサの他、目標が発する物理的なエネルギー波として例えば光を検出する光センサが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−194929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の目標検出装置において、以下の課題があった。
第1に、目標から反射される反射波、あるいは物理的なエネルギー波の強度が低い目標の場合には、センサの捉える目標信号が、センサの目標検出の閾値を超えずにノイズとして処理され、目標検出が困難となるという問題があった。
【0005】
第2に、センサの目標検出の閾値を低く設定した場合においても、ノイズを目標として検出してしまうために誤警報が増加し、目標検出が困難となるという問題があった。
【0006】
この発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、複数種類のセンサを組み合わせて双方の目標検出情報および誤警報情報に基づき、目標検出の閾値を可変調整することにより、目標からの反射波、あるいは物理的なエネルギー波の強度が低い目標の場合であっても、目標の検出を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による目標検出装置は、第1のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より強度が所定の閾値を超える信号を目標として検出し、第1の目標検出情報を出力する第1の目標検出器と、第1の目標検出器とは異なる物理的性質をもつ第2のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より強度が所定の閾値を超える信号を目標として検出し、第2の目標検出情報を出力する第2の目標検出器と、前記第1の目標検出器及び第2の目標検出器からそれぞれ出力される目標検出情報に基づいて目標の存在有無を判定し、判定の結果、少なくとも一方の目標検出情報から目標が検出されず他方の目標検出情報から目標が検出された場合、目標検出器に対して前記閾値を変更するための情報を出力する目標探知判定器と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、複数のセンサを用いて目標の信号強度を識別するための閾値を可変調整することで、遠距離にある目標または発する物理的なエネルギー波の強度が低い目標位置を、より高い確度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1による目標検出装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による第1の目標探知閾値設定器の構成を示す図である。
【図3】実施の形態1による目標検出装置の目標探知と閾値設定動作を説明するための図である。
【図4】実施の形態2による第1の目標探知閾値設定器の構成を示す図である。
【図5】実施の形態3による目標検出装置の構成を示す図である。
【図6】実施の形態3による目標検出装置の動作を示す図である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る実施の形態1による目標検出装置の構成を示す図である。図において、実施の形態1の目標検出装置は、第1の目標検出器1と、第2の目標検出器2と、目標探知判定器3を備えて構成される。
【0011】
第1の目標検出器1は目標検出器4を備えており、第1のセンサである電波センサ103からの受信信号が目標検出器4に入力される。目標検出器4は、第1のA/D変換器5と、第1の信号処理器6と、第1の目標探知閾値設定器7と、第1の目標探知器8から構成されている。電波センサ103はアンテナを備えており、目標に対して電波を照射し、目標から反射する反射電波を受信し、受信信号を復調する。電波センサ103は単一もしくは複数の電波センサから構成される。
【0012】
また、前記第2の目標検出器2は目標検出器9を備えており、第2のセンサである光センサ104からの受信信号が目標検出器9に入力される。また、目標検出器9は、第2のA/D変換器10と、第2の信号処理器11と、第2の目標探知閾値調整器12と、第2の目標探知器13から構成されている。光センサ104は、レンズ106と、検知素子107と、アンプ108を備えて構成される。光センサ104は単一もしくは複数の電波センサから構成される。
【0013】
図2は第1の目標探知閾値設定器7の構成を示す図である。図2において、第1の目標探知閾値設定器7は閾値設定器14から構成されている。なお、第2の目標探知閾値設定器12の構成については第1の目標探知閾値設定器7と同様であるので、閾値設定器の図示を略す。
【0014】
次に、実施の形態1による目標検出装置の動作について説明する。
まず、物理的性質が異なる複数種類のセンサにより、目標101からの反射波、あるいは目標101の発する物理的なエネルギー波を受信する。図1に示す例では、複数種類のセンサとして、第1のセンサを電波センサ103、第2のセンサを光センサ104により構成している。
【0015】
電波センサ103は、電波を送信することで目標101から反射された電波信号102を受信する、または目標101の発する電波信号102を受信する。電波センサ103は、受信した電波信号101を復調し、復調した受信信号を第1の目標検出器1に送出する。第1の目標検出器1は、電波センサ103から入力される受信信号から目標101を検出して、目標101の位置や速度等の目標情報を検出する。第1の目標検出器1は、検出した目標情報を第1の目標検出情報として、目標探知判定器3に出力する。
【0016】
第1の目標検出器1は、電波センサからの受信信号により目標を検出する目標検出器4から構成される。目標検出器4は、電波センサからの受信信号を入力し、該電波センサからの受信信号により目標を検出する。目標検出器4は、目標の検出結果並びに現在の目標検出のための閾値を、第1の目標検出情報として、目標探知判定器3に出力する。この目標検出のための閾値は、目標信号の強度が当該閾値を超えていない場合は目標検出不可とし、閾値を超えていた場合は目標の存在を検出するためのスレッショルドであり、当該閾値によって目標と目標以外(ノイズまたは偽目標)を区別することができる。
【0017】
また、光センサ104は、目標1の発する光エネルギー105をレンズ106で集光し、目標1から得た光エネルギーの強度を検知素子107にて電気信号に光電変換し、得られた電気信号をノイズの含まれた受信信号として出力し、アンプ108で増幅する。光センサ104は、第1の目標検出器1に入力される受信信号とは物理的な特性が異なる受信信号を、第2の目標検出器2に入力する。第2の目標検出器2は、第1の目標検出器1に入力される受信信号とは物理的な特性が異なる受信信号に基づき、目標101の位置を検出し、検出された位置を第2の目標検出情報として、目標探知判定器3に出力する。なお、光エネルギー105としては、可視光や赤外光や紫外光が利用される。
【0018】
第2の目標検出器2は、光センサ104からの受信信号により目標を検出する目標検出器9から構成される。目標検出器9は、光センサにより得られた受信信号が入力され、該光センサからの受信信号により目標を検出する。目標検出器9は、目標の検出結果並びに現在の目標検出のための閾値を、第2の目標検出情報として、目標探知判定器3に出力する。この目標検出のための閾値は、目標信号が当該閾値を超えていない場合は目標検出不可とし、閾値を超えていた場合は目標の存在を検出するためのスレッショルドであり、当該閾値によって目標以外(ノイズまたは偽目標)を区別することができる。
【0019】
次に、電波センサからの受信信号による目標検出器4と、光センサからの受信信号による目標検出器9の内容について説明する。
【0020】
第1のA/D変換器5は、目標101から反射もしくは発せられたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換する。図1の例では、電波センサ103から得られたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換している。第1の信号処理器6は、第1のA/D変換器5からデジタル受信信号が入力され、高速フーリエ変換やコヒーレント積分や記憶装置(レンジビン)へのデータの格納などの第1の信号処理を実施する。第1の信号処理器6は、得られた第1の信号処理結果を第1の目標探知閾値設定器7に出力する。第1の目標探知閾値調整器7は、第1の信号処理器6による第1の信号処理結果並びに後述する修正された閾値の情報を入力し、第1の信号処理結果より第1の目標探知器8が目標を抽出するための閾値を設定する。第1の目標探知閾値調整器7は、当該設定した閾値を第1の信号処理結果とともに第1の目標探知器8に出力する。第1の目標探知器8は、第1の目標探知閾値調整器7により設定された閾値を用いて、第1の信号処理結果から第1の目標検出情報を得て、得られた第1の目標検出情報を目標探知判定器3に出力する。
【0021】
第2のA/D変換器10は、目標101から反射もしくは発せられたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換する。図1の例では、光センサ104から得られたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換している。第2の信号処理器11は、第2のA/D変換器10からデジタル受信信号が入力され、高速フーリエ変換やコヒーレント積分や記憶装置(レンジビン)へのデータの格納などの第2の信号処理を実施する。第2の信号処理器6は、得られた第2の信号処理結果を第2の目標探知閾値設定器12に出力する。第2の目標探知閾値調整器12は、第2の信号処理器11による第2の信号処理結果並びに後述する修正された閾値の情報を入力し、第2の信号処理結果より第2の目標探知器13が目標を抽出するための閾値を設定する。第2の目標探知閾値調整器12は、当該設定した閾値を第2の信号処理結果とともに第2の目標探知器13に出力する。第2の目標探知器13は、第2の目標探知閾値調整器12により設定された閾値を用いて、第2の信号処理結果から第2の目標検出情報を得て、得られた第2の目標検出情報を目標探知判定器3に出力する。
【0022】
目標探知判定器3は、第1の目標探知器8から出力される第1の目標検出情報と、第2の目標探知器13から出力される第2の目標検出情報とが入力される。目標探知判定器3は、第1、第2の目標検出情報を用いて最終的に目標が存在するか否かを判定し、目標が存在すると判定した場合には、当該判定により得られた目標の情報を目標探知結果として出力する。また、目標探知判定器3は、当該判定結果に基づき、修正された閾値の情報を第1の目標検出器1並びに第2の目標検出器2にそれぞれ出力する。
【0023】
ここで、第1の目標探知閾値調整器7および第2の目標探知閾値調整器12による閾値の設定に際しては、複数のセンサ(電波センサ103、光センサ104)により同一方向を常に観測し、目標探知判定器3にて、同一方向のある位置において一方のセンサで目標の出現が認められた場合に目標閾値の調整を行い、互いのセンサに関して同一の観測位置に対する目標検出のための閾値を制御し、次に同一位置に目標が出現した場合に、該当位置ではその閾値を利用するものとする。
【0024】
図2に示す第1の目標探知閾値調整器7の閾値設定器14は、第1の信号処理結果並びに修正された閾値を入力し、前記修正された閾値もしくはあらかじめ設定された上限値から下限値の範囲内で、目標を抽出するための閾値を修正する。さらに、得られた閾値を前記第1の信号処理結果とともに第1の目標探知器8に出力する。なお、第2の目標探知閾値設定器12の有する閾値設定器についても、同様に動作するので説明を略す。
【0025】
図3は、図1、図2で示した目標検出装置の目標探知と閾値設定動作を説明するための図である。図3において、(1)は電波センサ103と光センサ104が同一領域の目標捜索を行っている状況を示し、(2)乃至(4)は閾値の修正例を示しており、(2)は目標検出の閾値の低減により目標が検出される例、(3)は目標検出の閾値の可変調整と検出情報の再通知を行う例、(4)は目標検出の閾値の再可変調整の例を示している。
【0026】
まず、目標探知を行う場合、第1、第2の目標探知閾値設定器7、12および目標探知判定器3は、図3(2)に示されるように、目標が検出されるかあるいはあらかじめ設定された下限値まで閾値を段階的に下げるように動作する。
【0027】
ここで、第1の目標探知器8または第2の目標探知器13にて目標が検出された場合には、検出された時の閾値並びに得られた目標を、それぞれ第1、第2の目標検出情報とする。
一方、第1の目標探知器8または第2の目標探知器13にて目標が検出されない場合には、検出無並びにその際の閾値を、それぞれ第1、第2の目標検出情報とし、第1、第2の信号処理結果とともに目標探知判定器3に対して出力する。
目標探知判定器3は、第1、第2の目標検出情報に基づいて修正された閾値を設定し、第1、第2の目標探知閾値設定器7、12に対して修正された閾値を出力する。
【0028】
例えば、図3(2)において、(A)で示した箇所では電波センサ103により第1の目標探知器8にて目標が検出され、(D)で示した箇所では光センサ104により第2の目標探知器13にて目標が検出されているものとする。(A)で示した箇所においては、光センサ104では(C)に該当し、目標が検出されていない。この場合、目標探知判定器3は、第1の目標探知器8にて検出される目標が第2の目標探知器13にて検出されていないと判定し、修正された閾値の情報を第2の目標探知閾値設定器12に出力して、第2の目標探知閾値設定器12はあらかじめ定められた下限値まで、目標探知判定器3から入力される修正された閾値の情報に従い、徐々に閾値を下げていく。例えばαまで閾値を下げると、(C)におけるエネルギー強度はα以上となる。従って、第2の目標探知器13は検出された受信信号を目標と判定することが可能となる。目標探知判定器3は、閾値を下げることによって第2の目標探知器13が目標を検出したと判定すると、第2の目標探知器13が(C)の箇所で目標を検出可能なように、第2の目標探知閾値設定器12における該当箇所の検出閾値をαに再設定する。これによって、例えば図3(3)に示すように閾値設定されることとなる。
【0029】
また、図3(3)において、光センサ104により第2の目標探知器13にて目標が検出される(D)で示した箇所においては、電波センサ103では(B)に相当するが、閾値をαまで下げても電波エネルギーが閾値を上回らず、第1の目標探知器8にて目標が検出されない。ここで、目標探知判定器3は、徐々に閾値を下げることでαが閾値の下限値に達したことを検出すると、光センサ104による第2の目標探知器13で検出された受信信号を誤警報と判定する。この判定結果に基づき、目標探知判定器3は修正された閾値の情報を第2の目標探知閾値設定器12に出力して、(D)で示す箇所にて目標検出がなされないように第2の目標探知閾値設定器12の閾値を再設定する。これによって、例えば図3(4)に示すように目標と誤認識されない閾値に変更される、閾値の可変調整が行われる。
【0030】
このように、目標探知判定器3は、修正された閾値の情報を第1の目標検出器1並びに第2の目標検出器2に出力し、第1の目標検出器1並びに前記第2の目標検出器2は、この修正された閾値の情報に基づき、目標を抽出するための閾値を設定する。以下、同様の動作を繰り返すことにより、目標検出のための最適な閾値の設定が行われる。
【0031】
以上のように、実施の形態1の目標検出装置は、第1のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より強度が所定の閾値を超える信号を目標として検出し、第1の目標検出情報を出力する第1の目標検出器1と、第1の目標検出器1とは異なる物理的性質をもつ第2のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より強度が所定の閾値を超える信号を目標として検出し、第2の目標検出情報を出力する第2の目標検出器2と、前記第1の目標検出器1及び第2の目標検出器2からそれぞれ出力される第1、第2の目標検出情報に基づいて目標の存在有無を判定し、判定の結果、少なくとも一方の目標検出情報から目標が検出されず他方の目標検出情報から目標が検出された場合、第1の目標検出器1または第2の目標検出器2に対して前記閾値を変更するための情報を出力する目標探知判定器3と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
また、目標探知判定器3は、少なくとも一方の目標検出情報から目標が検出されず他方の目標検出情報から目標が検出された場合、目標が検出されない方の目標検出器の前記閾値を、目標が検出されるまで下げるように変更する。
【0033】
また、目標探知判定器3は、判定の結果、少なくとも一方の目標検出情報から目標が検出されず他方の目標検出情報から目標が検出されるとともに、目標が検出されない方の目標検出器の閾値を下限値まで下げても目標が検出されない場合、目標が検出されなくなるまで目標が検出された方の目標検出器の閾値を上げるように変更する。
【0034】
また、第1の目標検出器1は、目標から発せられたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換する第1のA/D変換器5と、該デジタル受信信号を入力し、信号処理を行い、該結果を第1の信号処理結果として出力する第1の信号処理器6と、該信号処理結果並びに修正された閾値を入力し、目標を抽出するための閾値を設定し該信号処理結果とともに第1の目標検出情報として出力する第1の目標探知閾値設定器7を備え、第2の目標検出器2は、目標から発せられたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換する第2のA/D変換器10と、該デジタル受信信号を入力し、信号処理を行い、該結果を第2の信号処理結果として出力する第2の信号処理器11と、該信号処理結果並びに修正された閾値を入力し、目標を抽出するための閾値を設定し該信号処理結果とともに第2の目標検出情報として出力する第2の目標探知閾値設定器12を備える。
【0035】
また、第1のセンサは電波センサであり、第2のセンサは光センサとしても良い。
【0036】
これによって、電波センサ、光センサ等の複数のセンサを用いて目標と目標以外(ノイズ)を区別する閾値を可変調整することで、遠距離にある目標または発する物理的なエネルギー波の強度が低い目標位置を、単数のセンサを用いる場合に比べてより適切に、高い精度で確実に探知することができる。
【0037】
また、目標検出のための閾値の設定を、単数のセンサを用いる場合に比べて、より迅速に行うことができる。
【0038】
実施の形態2.
図4は、この発明に係る実施の形態2による第1の目標探知閾値設定器7の構成例を示す図である。第1の目標探知閾値設定器7は、閾値設定器15から構成されている。なお、第2の目標探知閾値設定器12についても、第1の目標探知閾値設定器7と同様に構成される。
【0039】
次に閾値設定器15の動作について説明する。閾値設定器15は、第1の信号処理結果並びに修正された閾値を入力する。閾値設定器15は、第1の信号処理結果並びに修正された閾値をユーザに提示し、ユーザは、この入力された修正された閾値並びに第1の信号処理結果を元にして、目標を抽出するための閾値の設定を適宜行う。閾値設定器15にて設定された閾値は、前記第1の信号処理結果とともに目標検出情報として第1の目標探知器8に出力される。
【0040】
以上のように実施の形態2では、ユーザにより検出のための閾値の微調整が可能となり、高精度に目標検出を行うことができる。
【0041】
実施の形態3.
図5は、この発明に係る実施の形態3による目標検出装置の構成例を示す図である。実施の形態3による目標検出装置は、第1の目標検出器1に第1の目標位置予測器16を備え、第2の目標検出器2に第2の目標位置予測器17を備えたことを特徴としている。また、第1の目標探知閾値設定器7Aは第1の目標位置予測器16の出力を入力とし、第2の探知閾値設定器12Aは第1の目標位置予測器17の出力を入力としている。その他の構成については、図1で説明した実施の形態の目標検出装置と同様である。
【0042】
次に動作について説明する。第1の目標位置予測器16は、目標探知判定器3から得られる目標検出情報を蓄積しておき、該蓄積した目標検出情報に基づき目標の位置を予測する。図6は第1の目標位置予測器16の予測例を示す図である。
【0043】
図6において、電波センサ103の視野を18、光センサ104の視野を19とし、視野内の目標の検出、探知を行っているものとする。この時、光センサ104において、目標が時系列的にP1、P2の順番で検出され、一方、電波センサ103においては検出がされなかったと仮定する。
【0044】
このとき、P1、P2の検出情報から目標が同一であると仮定し、P1並びにP2により目標の仮航跡を求める。求めた仮航跡を図6におけるTで示す。さらに求めた目標の仮航跡と電波センサのビームを照射する時刻から、次の出現位置を予測する。予測は仮航跡Tの外挿により行う。計算された予測位置並びに時刻は目標出現予測結果として目標探知閾値設定器7Aに対して出力する。
【0045】
目標探知閾値設定器7Aは、第1の信号処理結果と、第1の目標位置予測器16から得られた目標出現予測結果と、目標探知判定器3から得られた目標検出結果並びに予測位置に対応した修正された閾値の情報に基づき、目標の出現が予測される位置に関する目標探知の閾値の設定を実施する。
【0046】
実施の形態1では、検出された目標位置に関する閾値の設定が行われており、次に同一位置に目標が出現した際に該閾値を利用するものであった。これに対し、実施の形態3では、予測した目標の位置に関する閾値の設定となる点が異なっている。図6において、例えば出現予測位置をP3とすると、P3における目標探知の閾値の設定を実施する。なお、実施の形態3では第1の目標予測器16について説明したが、第2の目標予測器17も前記第1の目標予測器16の動作と同様である。
【0047】
このように実施の形態3では、目標探知判定器3が、第1、第2の目標検出器1、2からそれぞれ出力される第1、第2の目標検出情報に基づいて目標位置を予測し、当該予測された目標位置に発生する目標について、当該目標を検出するための前記閾値を変更することを特徴とする。このように、目標出現位置を考慮して複数のセンサを用いた目標検出のための閾値設定を行うことで、より確実な目標の探知を行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 第1の目標検出器、2 第2の目標検出器、3 目標探知判定器、4 目標検出器、5 第1のA/D変換器、6 第1の信号処理器、7 第1の目標探知閾値設定器、7A 第1の目標探知閾値設定器、8 第1の目標検出器、9 目標検出器、10 第2のA/D変換器、11 第2の信号処理器、12 第2の目標探知閾値設定器、12A 第2の目標探知閾値設定器、13 第2の目標検出器、14 閾値設定器、15 閾値設定器、16 第1の目標予測器、17 第2の目標予測器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より強度が所定の閾値を超える信号を目標として検出し、第1の目標検出情報を出力する第1の目標検出器と、
第1の目標検出器とは異なる物理的性質をもつ第2のセンサからの受信信号を入力し、該受信信号より強度が所定の閾値を超える信号を目標として検出し、第2の目標検出情報を出力する第2の目標検出器と、
前記第1の目標検出器及び第2の目標検出器からそれぞれ出力される目標検出情報に基づいて目標の存在有無を判定し、判定の結果、少なくとも一方の目標検出情報から目標が検出されず他方の目標検出情報から目標が検出された場合、目標検出器に対して前記閾値を変更するための情報を出力する目標探知判定器と、
を備えた目標検出装置。
【請求項2】
目標探知判定器は、少なくとも一方の目標検出情報から目標が検出されず他方の目標検出情報から目標が検出された場合、目標が検出されない方の目標検出器の前記閾値を、目標が検出されるまで下げるように変更することを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
【請求項3】
目標探知判定器は、判定の結果、少なくとも一方の目標検出情報から目標が検出されず他方の目標検出情報から目標が検出されるとともに、目標が検出されない方の目標検出器の閾値を下限値まで下げても目標が検出されない場合、目標が検出されなくなるまで目標が検出された方の目標検出器の閾値を上げるように変更することを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
【請求項4】
第1のセンサは電波センサであり、第2のセンサは光センサである請求項1から請求項3の何れか1項記載の目標探知判定器。
【請求項5】
第1の目標検出器は、目標から発せられたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換する第1のA/D変換器と、該デジタル受信信号を入力し、信号処理を行い、該結果を第1の信号処理結果として出力する第1の信号処理器と、該信号処理結果並びに修正された閾値を入力し、目標を抽出するための閾値を設定し該信号処理結果とともに第1の目標検出情報として出力する第1の目標探知閾値設定器を備え、
第2の目標検出器は、目標から発せられたアナログ受信信号をデジタル受信信号に変換する第2のA/D変換器と、該デジタル受信信号を入力し、信号処理を行い、該結果を第2の信号処理結果として出力する第2の信号処理器と、該信号処理結果並びに修正された閾値を入力し、目標を抽出するための閾値を設定し該信号処理結果とともに第2の目標検出情報として出力する第2の目標探知閾値設定器を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項記載の目標検出装置。
【請求項6】
目標探知判定器は、前記第1、第2の目標検出器からそれぞれ出力される目標検出情報に基づいて目標位置を予測し、当該予測された目標位置に発生する目標について、当該目標を検出するための前記閾値を変更することを特徴とする請求項2または請求項3記載の目標検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−194083(P2012−194083A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58701(P2011−58701)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】