説明

直接データ入力

データ入力用の入力フィールドを複数有するタッチスクリーン装置における直接データ入力をサポートするために、1つの入力フィールドがデータ表示用にアクティブ化されている場合に、物理コンタクトの位置と、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始されるまでの経過時間が検知される。次に、物理コンタクトの位置と、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始されるまでの経過時間との関係に基づいて、データ表示用の入力フィールドのアクティブ化を判定する。そして、アクティブ化された入力フィールドにおいてデータが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タッチスクリーン装置上でのデータ入力に関し、特に、より少ない入力回数で直接のデータ入力を行うことに関する。
【背景技術】
【0002】
キーボードやキーパッドを用いたデータ入力が次第に陳腐になるにつれて、PDA(personal digital assistance)やタブレットPC(tablet personal computer)などのタッチスクリーン装置における手書き認識が将来有望な技術となりつつある。ユーザは、この手書き認識技術により、例えばスタイラスなどを用いた直接操作を行って文書を入力することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、斯かるタッチスクリーン装置では、タッチスクリーンのサブ領域が手書き認識専用として固定的に割り当てられている場合が多い。
【0004】
このため、文字入力に用いられる従来策には、タッチスクリーン領域の大部分がデータ入力に利用可能ではない、また、ユーザはまずデータを表示する位置を入力フィールドで選択した後に入力装置をタッチスクリーンから前後左右移動させてから初めてタッチスクリーンにおけるデータ入力が可能になるというようにデータ入力に必要なステップが多すぎる、といった欠点がある。
【0005】
以上を鑑み、本発明の目的は、タッチスクリーン装置の直接データ入力を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記目的は、請求項1の特徴を有する、タッチスクリーン装置における直接データ入力の方法、ならびに、請求項14の特徴を有するタッチスクリーン装置により達成される。
【0007】
本発明によれば、タッチスクリーン装置の入力フィールドを、当該タッチスクリーンの何れのサブ領域上に定義してもよく、タッチスクリーン装置のユーザはデータ入力された文字を表示するべく、その入力フィールドを選択することが可能になる。次に、物理コンタクトの位置、例えば、ペン、スタイラス、指、またはタッチスクリーン上で位置を定めることが可能な他の要素の物理コンタクトの位置を検知することが必要となる。さらに、本発明によれば、物理コンタクトが検知されてから、次のデータ入力動作が検知されるまでの時間を測定することも提案されている。
【0008】
そして、物理コンタクトの位置と、物理コンタクトを検知してからデータ入力動作が始まるまでの経過時間との関係に基づいて、データ表示用入力フィールドのアクティブ化に関する判定を行うことが可能になる。アクティブ化された入力フィールドは、データを表示するのに用いられる。
【0009】
本発明の重要且つ有利な特徴として、物理コンタクトの位置とデータ入力動作が開始する適切なタイミングに応じて、データ表示用の異なる入力フィールドを選択可能な点がある。つまり、入力装置をタッチスクリーンから前後左右に継続的に移動させることなく、入力フィールドをアクティブ化した後にデータを入力することができる。これに対し、タッチスクリーンに1回接触した後所定の時間経過後にデータ入力動作が行われた場合、所望の入力フィールドがアクティブ化されるとともに、当該アクティブ化した入力フィールドにおいてデータが表示される。
【0010】
本発明の好適な態様によれば、表示ルールに従って、入力フィールドをアクティブ化させ、データを表示するかについての判定が行われる。
【0011】
ルールに従ったこのアプローチを直接データ入力に適用することは、種々の構成を有するタッチスクリーン装置の要件を考慮して満たすにあたって特に有益である。つまり、適切なルールを設定しておけば、入力フィールドの種類、タッチスクリーン装置の他のユーザインタフェース要素の構成にかかわらず、直接入力が可能になる。
【0012】
好適な態様によれば、斯かるルールのひとつとして、物理コンタクト検知前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドが当該物理コンタクトの位置に一致しており、且つ、データ入力動作が所定の制限時間内に検知された場合に、物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、当該入力フィールドにおいてデータを表示させる。
【0013】
なお、タッチスクリーン装置のユーザは、適切なタイミングで、つまり、接触後にすぐさまデータ入力動作を開始することにより、すでにアクティブ化されていた入力フィールドにおけるデータの表示をトリガすることが可能になる。
【0014】
本発明の別の好適な態様によれば、物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドが当該物理コンタクトの位置に一致しており、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知されない場合には、当該入力フィールドのアクティブ化状態を維持するようにすればよい。
【0015】
本発明の別の好適な態様によれば、物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていなかった入力フィールドが物理コンタクト位置に一致しており、かつ、データ入力動作が所定の制限時間内に検知された場合に、当該物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、物理的コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示させる。
【0016】
本願発明によれば、最初にアクティブ化されていた入力フィールドとは別の入力フィールドが物理コンタクトの位置に一致している場合に、タッチスクリーン装置のユーザが所定の制限時間内にデータ入力を実行するという条件を満たせば、最初にアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態を維持する。
【0017】
本願発明のこの好適な態様の意味するところは、適切なタイミングを考慮すれば、ユーザはタッチスクリーンのより広範囲に亙ってデータ入力を行うことが可能になる点である。
【0018】
つまり、最初はデータ入力用としてアクティブ化されていない入力フィールドにデータを入力した場合でも、やはり、最初の入力フィールドにおいてデータが表示されることになる。したがって、ユーザは、最初にアクティブ化された特定の入力フィールドに限られることなく、タッチスクリーンの何れの場所においてもデータ入力を行うことが可能になる。
【0019】
本発明の別の好適な態様によれば、物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドを非アクティブ化し、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知されない場合には物理コンタクトの位置に一致する入力フィールドを新規にアクティブ化し、データが入力されて物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、新規にアクティブ化された入力フィールドにおいてデータを表示するのが好ましい。
【0020】
したがって、本発明のこの好適な態様によれば、タッチスクリーン装置のユーザは、入力装置をタッチスクリーンから前後左右に動かすといった往復運動をすることなく、コンタクトが検知された後、事前に指定された時間待った上でデータ入力を開始するだけでよい。したがって、タッチスクリーン装置のユーザは、このひとつの操作を適切なタイミングにおいて行うのみで、データ入力を開始することが可能になるのみならず、データ表示の入力フィールドを変更することも可能になる。
【0021】
本発明のさらに別の好適な態様によれば、動作可能なユーザインタフェース要素が物理コンタクトの位置に一致し、且つ、データ入力動作が所定の制限時間内に検知された場合に、当該物理コンタクトが検知される前に最初にアクティブ化されていた入力フィールドにおいて当該物理コンタクトが解放されたことが検知された後に、データが表示される。
【0022】
本発明によれば、動作可能なユーザインタフェース要素とは、入力フィールド以外の制御機構を指してもよく、例えば、プッシュ・ボタンや無線ボタン、コンボ・ボックス、ベベル・ボタン、スライド制御、タップ制御など、要は、ユーザが操作すると瞬時のアクションや目に見える結果を引き起こすグラフィック・オブジェクトであればよい。
【0023】
この好ましい態様によれば、物理コンタクトの検知と入力タイミングを併せて考慮するので、入力フィールドに加えて、ユーザインタフェース要素を直接データ入力処理に組み込むことが可能になる。
【0024】
本発明のさらに別の好適な態様によれば、動作可能なユーザインタフェース要素が物理コンタクトの位置に一致しており、且つ、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知されなかった場合に、最初にアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態が維持される。
【0025】
この場合もやはり、本発明のこの好適な態様によっても、物理コンタクトが検知された後にデータ入力動作が開始されない場合でも、直接データ入力処理がユーザインタフェース要素にまで拡張される。
【0026】
本発明の別の好適な態様によれば、タッチスクリーン上で機能が割り当てられていない領域が物理コンタクトの位置に一致し、且つデータ入力動作が検知された場合に、物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、物理コンタクトを検知する前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータが表示される。
【0027】
上記に加え、この好適な態様によれば、直接データ入力は、入力フィールドや動作可能なユーザインタフェース要素のみならず、タッチスクリーン装置の何れのサブ領域にも、当該サブ領域に機能が割り当てられているか否かにかかわらず、適用可能である。
【0028】
本発明の別の好適な態様によれば、タッチスクリーンにおいて機能が割り当てられていない領域が物理コンタクトの位置に一致しており、且つ、データ入力動作が検知されない場合には、最初にアクティブ化された入力フィールドのアクティブ化状態が維持される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、データ認識によりデータ入力をサポートすることが望ましい。
【0030】
本発明のさらに別の好適な態様によれば、感圧技術や感光技術、感磁技術の少なくとも何れかを用いて物理コンタクトを検知することが望ましい。
【0031】
したがって、本発明によれば、各種のデータ入力技術を、如何様にも混合した形で利用可能であることから、複数の入力フィールドを考慮した柔軟なデータ入力が達成される。
【0032】
本発明のさらに別の好適な態様によれば、入力フィールドがアクティブ化された後、物理コンタクトが解放されるまでの間、入力フィールドのサイズを拡大するようにするのが望ましい。
【0033】
本発明の好適な上記態様の利点としては、複数の入力フィールドが比較的小さなサイズであり、タッチスクリーン上で互いに隣接して配置されている場合に便利である、という点がある。
【0034】
本発明の別の好適な態様によれば、タッチスクリーンの装置の内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品であって、当該製品がタッチスクリーン装置のプロセッサ上で実行された場合に本発明の直接データ入力処理を実行するソフトウェアコード部分からなるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0035】
したがって、本発明により、コンピュータまたはプロセッサシステム上で本発明の方法の各ステップを実行することが可能になる。要するに、そのような実行が可能になった結果、コンピュータシステム、または、具体的には、例えばタッチスクリーン装置上のプロセッサで利用可能なコンピュータプログラム製品の提供が可能になる。
【0036】
本願発明の機能を定義したプログラムは、書き込み不能な記憶媒体、例えば、ROMやCD−ROMディスクなどの読み取り専用装置に永久的に記憶された情報に限らず、フロッピーディスクやハードドライブなどの書き込み可能な記憶媒体に記憶された情報、あるいは、モデムや他のインタフェース装置を介したネットワークや電話網、インターネットなどの通信媒体を介してコンピュータ/プロセッサに伝達される情報など、種々の形でコンピュータ/プロセッサに対して配布可能である。斯かる記憶媒体は、本発明の概念を実行するプロセッサが読み取り可能な命令を記憶することにより、本発明の他の態様を含みうることは理解されるべきである。
【0037】
概して、本発明によれば、タッチスクリーン装置のユーザは、タッチスクリーン装置の複数の入力フィールドから直接データを入力することが可能になる。タッチスクリーンの画面を効率的に利用し、データ入力に通常必要とされる数々のステップを簡略化することが可能になる。その結果、データ入力ステップが減少するので、ユーザは、タッチスクリーン装置が提供する複数種類のサービスを簡単にナビゲートすることが可能になる。
【0038】
以下において、本発明の様々な側面について、図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下では、本発明の様々な側面、ベストモード、さらに好適な態様について、図面を参照しながら説明する。本願発明に係る機能を説明する限りにおいて、斯かる機能は、ソフトウェアまたはハードウェアのいずれか、その組み合わせにおいて実行される。さらに、各種側面を説明する限りにおいて、直接データ入力の発明概念の付加的な実施および実現を達成すべく、斯かる側面を容易に組み合わせ可能である。
【0040】
図1は、本願に係るタッチスクリーン装置の概念図を示す。
【0041】
図1に示すように、本発明に係る直接データ入力用タッチスクリーン装置10は、検知部12、入力フィールド制御部14、入力処理部16を有する。さらに、検知部は、設定可能タイマ部18および入力検知部20を有する。
【0042】
なお、上記各部は、当該タッチスクリーン装置に備えられたプロセッサまたはマイクロコンピュータの機能を、ハードウェアまたはソフトウェア面またはその組み合わせにおいて利用することにより実行される。さらに、各部が動作するにあたってデータ交換が必要となる範囲において、タッチスクリーン装置で利用可能なRAMやROM、ERPROM、バス構造などが本発明の実施の際に利用される。また、さらに、本発明の意味するところのタッチスクリーン装置は、PDA、移動電話機、オーガナイザ、ラップトップ型コンピュータ、タブレットPC、端末等、物理コンタクトによりスクリーンを介してデータ入力が可能な如何なる装置をも含む。
【0043】
図2は、図1に示すタッチスクリーン装置の動作を示すフローチャートである。
【0044】
図2に示すように、本願発明は、データ入力用に複数の入力フィールドを有するタッチスクリーン装置における直接データ入力の方法に係る。第1のステップS10において、物理コンタクトの位置と、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始されるまでの経過時間とが検知される。なお、物理コンタクトは、タッチスクリーン上に対する最初の接触に関し、データ入力動作は、物理コンタクトを維持した状態におけるタッチスクリーンの領域での入力装置の移動に関する。また、上記経過時間とは、物理コンタクトとデータ入力動作開始との間の時間であるとする。この時間は本発明に係るデータの表示に関して重要な側面である。
【0045】
図2に示すように、さらに詳細に説明すると、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始されるまでの経過時間は、ステップS12における複数の入力フィールドの1をアクティブ化するかについて判定するにあたっての根拠となる。また、ステップS14において、判定されアクティブ化された入力フィールドにデータを表示する際の根拠ともなる。
【0046】
なお、本発明において、コンタクト領域は、入力データが表示される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドと同一でなくてもよい。これにより、データの入力とデータの表示との1対1の関係が解消され、データ入力時の柔軟性が向上する。
【0047】
動作的には、ステップS10に係る機能は図1に示される検出部12によって実現される。具体的には、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始されるまでの経過時間の測定は設定可能タイマ部18によって実現され、物理コンタクトとデータ入力動作の検知には入力検知部20によって実現される。
【0048】
なお、本発明に係る構成は、適切な方法、つまり、ユーザ・プロファイル・データ、ユーザタイミングの詳細、ユーザグループ特定情報、タッチスクリーン装置の動作コンテキストなどにより実現される。
【0049】
さらに、入力検知部20は、物理コンタクトの検知を行うのみならず、データ入力動作も検知する。さらに、入力検知部20は、感圧技術や感光技術、感磁技術の少なくとも1つ、またはこれらの複合技術に基づいて動作してもよい。
【0050】
したがって、本発明に係る構成により、エンドユーザの動作スタイルに適応することが可能になる。さらに、ユーザプロファイルやユーザグループ情報のようなユーザ特定データを考慮して、さらには、あるいは代わりに、タッチスクリーン装置の動作コンテキストにしたがって、タッチスクリーン装置において提供される各種サービスにしたがって構成が実現されてもよい。
【0051】
さらに、ステップS12に係る機能、つまり、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始されるまでの経過時間との関連性からデータ表示用の入力フィールドを判定する処理は、図1に示す入力フィールド制御部14によって実現される。さらには、ステップS14に係るアクティブ化された入力フィールドにおけるデータの表示は、入力処理部16によって実現される。この入力処理部16は、データ表示機能に補助的な機能として、例えば、表示形式や表示色などの制御といった付加的なタスクを実現する。
【0052】
図3は、図1に示されるタッチスクリーン装置の動作の、さらに詳細なフローチャートを示す。
【0053】
図3に示すように、ステップS16にしたがい、検出部12において物理コンタクトがまず検知される。
【0054】
ステップS18の第1の判定において、アクティブ化された入力フィールドが物理コンタクトの位置に一致するかについて判定される。そして、肯定的な場合にはステップS20において、データ入力動作データ入力動作が所定の時間前に開始するか否か、すなわち、0〜1秒の範囲にあるかが判定される。否定的な場合には、ステップS22において、物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態が維持される。肯定的な場合、ステップS24において物理コンタクトが解放されたことが検知されると、ステップS26においてアクティブ化された入力フィールドにおけるデータ表示が行われる。
【0055】
さらに、ステップS18の判定が否定的な場合、ステップS28において、機能が割り当てられていないタッチスクリーン装置の領域と、物理コンタクトの位置が一致するか否か判定される。肯定的な場合には、ステップS30において、さらに判定が行われ、データ入力動作の開始がチェックされる。斯かるデータ入力動作が開始しない場合、ステップS32において、物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態が維持される一方、開始された場合、ステップS24において物理コンタクトが解放されたことが検知されると、ステップS26において、最初にアクティブ化された入力フィールドにおいてデータが表示される。
【0056】
さらには、ステップS28の判定が否定的な場合、ステップS34において、動作可能なインタフェース要素が物理コンタクトの位置と一致するかについての判定が行われる。肯定的な場合、ステップS36において、所定の制限時間内にデータ入力動作が開始するかについての判定がさらに行われる。否定的な場合には、ステップS38において、物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態が維持される一方、肯定的な場合には、ステップS24において物理コンタクトが解放されたことを検知すると、ステップS26において、最初にアクティブ化された入力フィールドに、データが表示されることになる。
【0057】
さらに、ステップS34の判定が否定的な場合、ステップS40において、非アクティブ化状態の入力フィールドが物理コンタクト位置に一致していると判断され、ステップS42において、所定の制限時間前にデータ入力動作が開始するか否かを判定する。肯定的な場合、ステップS24において物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、ステップS26において、アクティブ化されている入力フィールドにおいてデータが表示される。
【0058】
ステップS42における判定が否定的な場合、データ表示用入力フィールドが変更されることになる。その後、ステップS44において、物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていた入力フィールドが非アクティブ化され、以前非アクティブ化状態だった入力フィールドがアクティブ化される。その後、ステップS46において、データ入力が開始されるか否かが判定される。否定的な場合、ステップS48において、最後にアクティブ化された入力フィールドのアクティブ化状態が維持される一方、肯定的な場合、ステップS50において物理コンタクトが解放されたことが検知された後に、ステップS52において、最後にアクティブ化された入力フィールドにおいてデータが表示されることになる。
【0059】
なお、図3に関連して説明された機能によれば、ステップS18、S20、S24、S28、S30、S34、S36、S40、S42、S46、S50の各判定ステップは、図1に示す検知部12によって実現される。ステップS22、S32、S38、S44、S48の各入力フィールド制御ステップは、図1に示す入力フィールド制御部14によって実現される。ステップS26とS52のデータ表示は、図1に示す入力処理部16によって実現される。
【0060】
さらに、図3を参照して、判定を特定の順序で説明したが、判定ステップ、具体的にはステップS18、S28、S34、S40の上記特定の順序は、本発明の範囲内において自由に変更可能であり、本発明を拘束するものであるとみなされるべきではない。以下において、本発明に係る直接データ入力の概念を、直接データ入力の関連ルールと図4〜11を参照しながら説明する。
【0061】
図4は、本発明に係る直接入力の第1のルールを説明するための図である。
【0062】
図4に示すように、直接データ入力の第1のルールによれば、物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドf1(図4の左部分のカーソルを参照)が物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作(この場合は文字M)が所定の制限時間内に検知された場合に、物理コンタクトが解放されたことを検知された後に入力フィールドf1においてデータが表示される。
【0063】
図5は、本発明に係る直接データ入力の第2のルールを示す。
【0064】
図5に示すように、直接データ入力の第2のルールによれば、最初にアクティブ化された入力フィールドf1が物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が検知されない場合には、このアクティブ化された入力フィールドf1のアクティブ化状態は、コンタクトが解放されたことを検知した後も維持される。
【0065】
図6は、本発明に係る直接データ入力の第3のルールを示す。
【0066】
図6に示すように、第3のルールによれば、物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていなかった入力フィールドf2が物理コンタクトの位置に一致しており、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知された場合に、同物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、物理コンタクトの検知前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示する。
【0067】
図7は、本発明に係る直接データ入力の第4のルールを示す。
【0068】
図7に示すように、直接データ入力のこの第4のルールは、データ表示用の入力フィールドの変更に関わる。具体的には、このルールによれば、物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドf1が非アクティブ化され、物理コンタクトの位置に一致する入力フィールドf2が新たにアクティブ化され、物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、新たにアクティブ化されたフィールドf2においてデータを表示する。直接データ入力の第4のルールを適用する条件は、新たにアクティブ化されたフィールドf2が物理コンタクトの位置に一致し、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知されない場合である。
【0069】
図8は、本発明の直接データ入力の第5のルールを示す。
【0070】
図8に示すように、直接データ入力の第5のルールは、動作可能なユーザインタフェース要素を、本発明に係る直接データ入力処理に組み込むことに関わる。この第5のルールによれば、動作可能なユーザインタフェース要素s1(例えば、ソフトキー)が物理コンタクトの位置に一致し、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知された場合に、物理コンタクトが解放されたことを検知された後に、物理コンタクトを検知する前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドf1においてデータを表示するのが望ましい。
【0071】
図9は、本発明に係る直接データ入力の第6のルールを示す。
【0072】
図9に示すように、第5のルールによれば、動作可能なユーザインタフェース要素s1(例えば、ソフトキー)が物理コンタクトの位置に一致し、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知されなかった場合に、物理コンタクトを検知する前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドf1のアクティブ化状態を維持する。
【0073】
図10および図11に示す第7および第8のルールは、第5および第6のルールに類似している。違うのは、動作可能なユーザインタフェース要素の代わりに、ユーザとの対話に関連していないタッチスクリーンのサブ領域、つまり、機能が割り当てられていないタッチスクリーン装置の領域が考慮される点である。また、制限時間が考慮されない点も異なっている。
【0074】
以上、本発明の異なる好ましい態様について説明したが、本願は、如何なる特定種類のタッチスクリーン装置に限られるものではなく、本発明の範囲を限定することなく、PDA(personal digital agent)、タブレットPC、移動電話機やモバイルオーガナイザー等の各種モバイル機器に適用可能である。また、本発明は、タッチスクリーン装置の動作に用いられる特定のオペレーションシステムの如何なる種類のものにも好適であり、データの入力を要求する特定種類のサービスに限られるものではない。また、上記において使用した用語「文字の入力」は、例えば、アルファベット、数字、記号、図形要素など、如何なる種類の入力をも包含する。
【0075】
上記を考慮すれば、本発明は、本発明の範囲と精神から逸脱しない範囲内で当業者にとって明白であり、容易になし得る変形および変更を用いて実現されてもよいことは明らかである。
【0076】
よって、本明細書に添付の請求項は、当該明細書の記載に制限されることを意図したものではなく、むしろ、請求項は、本発明に関連する当業者によって均等であるものとして取り扱われるすべての特徴を含む、本発明の新規な特徴となるうるものを包含すると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るタッチスクリーン装置の概念図を示す。
【図2】図1に示されるタッチスクリーン装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示されるタッチスクリーン装置の動作を示す、さらに詳細なフローチャートである。
【図4】本発明に係る直接データ入力の第1のルールを説明する図である。
【図5】本発明に係る直接データ入力の第2のルールを説明する図である。
【図6】本発明に係る直接データ入力の第3のルールを説明する図である。
【図7(a)】本発明に係る直接データ入力の第4のルールを説明する図である。
【図7(b)】本発明に係る直接データ入力の第4のルールを説明する図である。
【図8】本発明に係る直接データ入力の第5のルールを説明する図である。
【図9】本発明に係る直接データ入力の第6のルールを説明する図である。
【図10】本発明に係る直接データ入力の第7のルールを説明する図である。
【図11】本発明に係る直接データ入力の第8のルールを説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ入力用の入力フィールドを複数有するタッチスクリーン装置における直接データ入力方法であって、1つの入力フィールドがデータ表示用にアクティブ化されている場合に、
物理コンタクトの位置と、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始するまでの経過時間とを検知するステップと、
物理コンタクトの位置と、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始するまでの経過時間との関係に基づいて、データの表示用入力フィールドのアクティブ化を決定するステップと、
アクティブ化された入力フィールドにおいてデータを表示するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項2】
一連の表示ルールにしたがって、入力フィールドのアクティブ化を決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドが前記物理コンタクトの位置に一致しており、予め定められた制限時間内にデータ入力動作が検知された場合に、前記物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた前記入力フィールドにおいてデータが表示されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドが前記物理コンタクトの位置に一致し、所定の制限時間内にデータ入力動作が検知されない場合、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた前記入力フィールドのアクティブ化状態を維持するステップを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていなかった入力フィールドが前記物理コンタクトの位置に一致しており、予め定められた制限時間内にデータ入力動作が検知された場合に、物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドを非アクティブ化するステップと、
予め定められた制限時間内にデータ入力動作が検知されなかった場合に、前記物理コンタクトの位置に一致する入力フィールドを新たにアクティブ化するステップと、
データが入力され、物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、新たにアクティブ化された前記入力フィールドにデータを表示するステップと
を有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
動作可能なユーザインタフェース要素が物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が予め定められた制限時間内に検知された場合に、前記物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
動作可能なユーザインタフェース要素が物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が予め定められた時間制限内に検知されなかった場合、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態を維持するステップを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
タッチスクリーン上で機能が割り当てられていない領域が物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が検知された場合に、前記物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項10】
タッチスクリーン上で機能が割り当てられていない領域が物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が検知されない場合に、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態を維持する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項11】
データ入力を認識するステップを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
物理コンタクトの検知は、感圧技術、感光技術、感磁技術の少なくともいずれかにより実現されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
入力フィールドがアクティブ化された後、物理コンタクトが解放されるまでの間、入力フィールドサイズを拡大するステップを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
データ入力用の複数の入力フィールドを介した直接データ入力用タッチスクリーン装置であって、1つの入力フィールドがデータ表示用にアクティブ化されている場合に、
物理コンタクトの位置と、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始するまでの経過時間とを検知する検知部と、
物理コンタクトの位置と、物理コンタクトが検知されてからデータ入力動作が開始するまでの経過時間との関係に基づいて、データの表示用入力フィールドのアクティブ化を決定する入力フィールド制御部と、
アクティブ化された前記入力フィールドにおいてデータを表示する入力処理部と
を具備することを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項15】
前記検知部は、物理コンタクトからデータ入力動作までの前記経過時間を測定するための設定可能タイマ部を有する
ことを特徴とする請求項14に特徴のタッチスクリーン装置。
【請求項16】
前記検知部は、物理コンタクトとデータ入力動作の少なくともいずれかを認識するための入力検知部を有する
ことを特徴とする請求項14または15に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項17】
入力検知部は、感圧技術、感光技術、感磁技術の少なくともいずれかを介して物理コンタクトを検知することが可能である
ことを特徴とする請求項16に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項18】
前記入力フィールド制御部は、一連の表示ルールにしたがって入力フィールドを起動するか否かに関する判定可能であることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載のタッチスクリーン装置。
【請求項19】
前記入力フィールド制御部は、前記物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態を維持し、
前記入力処理部は、前記物理コンタクトを検知する前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドが当該物理コンタクトの位置に一致しており、予め定められた制限時間内にデータ入力動作が検知された場合に、物理コンタクトが解放されたことを検知した後に当該入力フィールドにおいてデータを表示することが可能である
ことを特徴とする請求項18に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項20】
前記入力フィールド制御部は、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドが、当該物理コンタクトの位置に一致しており、予め定められた時間制限内にデータ入力動作が検知されない場合には、当該入力フィールドのアクティブ化状態を維持する
ことを特徴とする請求項18に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項21】
前記入力フィールド制御部は、前記物理コンタクトが検出される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態を維持することが可能であり、
前記入力処理部は、前記物理コンタクトが検知される前にアクティブ化されていなかった入力フィールドが当該物理コンタクトの位置に一致しており、予め定められた制限時間内にデータ入力動作が検知された場合に、前記物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、当該物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示することが可能である
ことを特徴とする請求項18に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項22】
前記入力フィールド制御部は、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドを非アクティブ化し、予め定められた制限時間内にデータ入力動作が検知されない場合には、前記物理コンタクトに一致する入力フィールドを新たにアクティブ化することが可能であり、
前記入力処理部は、データが入力され、前記物理コンタクトが解放されたことを検知した後に新たにアクティブ化された入力フィールドにおいてデータを表示することが可能である
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記入力処理部は、動作可能なユーザインタフェース要素が物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が予め定められた時間制限内に検知された場合に、前記物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、当該物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示することが可能である
ことを特徴とする請求項18に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項24】
前記入力フィールド制御部は、動作可能なユーザインタフェース要素が前記物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が予め定められた時間制限内に検知されなかった場合、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態を維持することが可能である
ことを特徴とする請求項18に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項25】
前記入力処理部は、タッチスクリーン上で機能が割り当てられていない領域が前記物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が検知された場合に、物理コンタクトが解放されたことを検知した後に、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドにおいてデータを表示することが可能である
ことを特徴とする請求項18に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項26】
前記入力フィールド制御部は、タッチスクリーン上で機能が割り当てられていない領域が前記物理コンタクトの位置に一致しており、データ入力動作が検知されない場合に、前記物理コンタクトが検知される前にすでにアクティブ化されていた入力フィールドのアクティブ化状態を維持することが可能である
ことを特徴とする請求項18に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項27】
前記入力フィールド制御部は、入力フィールドがアクティブ化された後、物理コンタクトが解放されるまでの間、入力フィールドサイズを拡大することが可能である
ことを特徴とする請求項13〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
タッチスクリーン装置の内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品であって、
当該製品が前記タッチスクリーン装置のプロセッサ上で実行された場合に、請求項1〜13のいずれかの各ステップを実行するソフトウェアコード部分から成る
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−515691(P2007−515691A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507711(P2005−507711)
【出願日】平成15年8月14日(2003.8.14)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009055
【国際公開番号】WO2005/017730
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】