説明

直接型肺センサシステム、方法、および装置

肺の生理学的パラメータを診断し、関連する医学的状態を治療するための装置、システム、および方法が本明細書に開示される。具体的には、特定の実施形態は、肺通路内の空気流量、空気漏れ、ガス濃度(特に酸素)、および温度測度の検出を可能にする。本明細書に開示する装置、システム、および方法を使用して得られた測度はまた、気腫、COPD、または肺容量減少などの医学的状態に最適な治療部位を確定するために使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年5月1日に出願された米国仮特許出願第61/049573号に対して、米国特許法第119条(e)の下で優先権を主張する。本願はまた、2009年3月13日に出願された米国仮特許出願第61/160248号に対して、米国特許法第119条(e)の下で優先権を主張する。これらの出願はともに、参照によりそれらの全体が明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、管腔内の生理学的特性を検出するように設計され、使用される医学的方法、システム、および装置に関する。より詳細には、本発明の特定の特徴、態様、または実施形態は、患者の肺の隣り合う個々の区分、小区分、区域もしくは領域の中で、またはそれらに対して直接、診断的試験、評価、または監視を行うための方法、システムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、過去30年にわたって米国における罹患および死亡の主な原因になっている。COPDは、慢性気管支炎または慢性気腫に起因する空気流閉塞の存在によって特徴付けられる。COPDにおける空気の流れ閉塞は、より小さい気道における構造的な異常が主因である。重要な原因は、終末細気管支における炎症、線維症、杯細胞化生、および平滑筋肥大である。
【0004】
COPDは、患者の全生涯に影響を及ぼす。それは、3つの主な症状:咳、息切れ、および喘鳴を有する。最初、息切れは、バスに向かって駆けているとき、庭を掘り返しているとき、または坂を歩いて登っているときに気付くことがある。その後、単に台所を歩いているときだけでも気付くことがある。時の経過とともに、それほど労作しなくなっても起こることがあり、ついには常時見られるようになる。
【0005】
COPDは、および特定の気腫においては、通常、肺全体に均一には分布していない。この均一でない分布に対処するために、気管支の通路に弁を選択的に配置することによって、一様でない状態を特にターゲットにすることが可能な治療が開発されている。このような弁の例は、米国特許第6,293,951号、ならびに他の特許および公開された出願に記載されている。
【0006】
さらには、肺は、肺の外科処置後の胸膜のシーリング不全の結果としても、胸膜接着の結果として生じる裂傷の結果としても、または急激な圧力差動の結果として生じる裂傷の結果としても、空気漏れを来たす可能性がある。この漏れはまた、例えば気腫など、肺疾患によって弱まってきている肺の一部分に生じる可能性がある。肺内で漏れの特定の位置を識別することは困難な場合があり、そのため、持続的な漏れの治療は困難な場合がある。
【0007】
さらには、肺は、複数の気管支肺区画を含む。一般に、裂(fissure)と呼ばれる2層の臓側胸膜の陥入した折返しが、気管支肺区画を分離している。裂は、通常、不浸透性であり、肺区画は、区画に開口している上気道を通じてのみ空気を受け取り、放出する。特定の肺小葉内の区画は、いくつかの側副経路を通じて互いに連通しているが、このような経路は、一般に、肺区画を分離する不浸透性の裂を貫通しているとは考えられていない。
【0008】
最近の研究では、裂は必ずしも完全とは限らず、そのため、肺の小葉領域は接続することがあり、側副空気流に経路をもたらし得ることを示している。したがって、空気の側副偏流が、1つの肺区域から次の肺区域に通過すると考えられ、この現象は、一般に、側副換気として知られている。肺区画間の側副経路の存在は、気腫の患者において顕著に増大している。さらには、肺内の側副経路の存在は、気管支内容量減少(「EVR」)など、慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)に対する治療をそれほど効果的でないものにする可能性がある。側副経路の存在は、空気が隣り合う肺区画から側副血行路を介して引き込まれるので、所望の容量減少を困難にする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/049573号
【特許文献2】米国仮特許出願第61/160248号
【特許文献3】米国特許第6,293,951号
【特許文献4】米国特許出願第10/196,513号
【特許文献5】米国特許出願第10/254,392号
【特許文献6】米国特許出願第09/951,105号
【特許文献7】米国特許出願第10/081,712号
【特許文献8】米国特許出願第10/103,487号
【特許文献9】米国特許出願第10/124,790号
【特許文献10】米国特許出願第10/150,547号
【特許文献11】米国特許出願第10/178,073号
【特許文献12】米国特許出願第11/204,383号
【特許文献13】米国特許出願第10/745,401号
【特許文献14】米国特許出願第11/585,415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
治療装置を配置することが有効になる肺の領域を見つける効率的なシステムおよびやり方の必要性が存在する。言い換えると、装置の配置を導くことになるシステムが望まれる。装置は、COPD、空気漏れ、側副換気などを治療するために使用可能になる。
【0011】
加えて、肺の特定の部分の健康状態および換気状態を正確に査定し、診断するための直接的で、正確、簡単、かつ最小限に侵襲的な方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明の様々な実施形態の特定の特徴、態様、および利点は、肺内で直接的に生理学的パラメータを感知することによって、肺の生理学的パラメータを確定し、査定するためのシステムおよび方法を提供する。
【0013】
本発明の特定の実施形態においては、肺の生理学的パラメータをターゲットにした、または最小限に侵襲的な評価(minimally invasive evaluation)のためのシステムおよび方法が提供される。肺内の特定の位置は、カテーテル上に配設された様々なセンサによって局所的に検査可能であり、査定可能である。特定の実施形態においては、このカテーテルは、気管支鏡を通じて送達可能である。さらなる実施形態においては、装置は、センサが送達部位の生理学的パラメータを検査するために使用される前後のいずれかに、肺内の特定の位置に配置されても、または移植されてもよい。
【0014】
本発明の様々な実施形態によれば、肺内の漏れの存在、ならびに側副換気の存在を確定するためのシステムおよび方法が提供される。そのシステムおよび方法は、肺の特性を感知し、かつ/または測定する流量査定カテーテルツールを備えることが可能である。このような特性は、肺内の漏れの存在、ならびに側副換気の存在を確定するために使用可能であるが、それらに限定するものではない。
【0015】
本発明の特定の実施形態においては、センサは、液浸性であってよく、肺以外の様々な身体器官の生理学的パラメータを最小限に侵襲的に評価することが可能である。
【0016】
本発明の様々な実施形態においては、様々な生理学的パラメータを評価するためのシステムおよび方法は、ガス交換、換気、かん流、空気流量、側副経路検出、温度、pH、または様々な化学的化合物(揮発性有機化合物を含む)を検出することが可能な1つまたは複数のセンサを含むことが可能である。さらなるタイプのセンサもまた、想定可能である。
【0017】
本発明の特定の実施形態は、様々な医学的状態を診断するために、センサから受け取られた情報の相関付けを可能にすることができる。さらなる実施形態は、その結果を処理し、グラフィカルインターフェースを含む人間に読めるフォーマットでその結果を示すことが可能なコンピュータを提供する。その場合、操作者は、適切な治療法を選択して、医学的状態を治療するか、または予防することが可能である。
【0018】
本発明のこれらの、ならびに他の特徴、態様、および利点をいくつかの図面を参照して次に説明することにし、図面は例示的であって、限定するものではないことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】気道内の気管支鏡から延びる遠位に位置付けられたセンサと、そのセンサと電気的に連通しているコントローラとを備えるカテーテルベースのツールの実施形態を示す図である。
【図2】図1の実施形態に類似しているが、カテーテルベースのツールの遠位先端部に近接して配設された閉塞バルーンもまた備える実施形態を示す図である。
【図3】図2の、および閉塞バルーンの遠位に配設された酸素センサを使用する実施形態の遠位端の拡大図である。
【図4】遠隔分光光度計と連通しているカテーテルベースのツールの実施形態を示す図である。
【図5A】カテーテルベースのツールの遠位先端部の一例を示し、その先端部は、ワイヤリードと、カテーテルの一部分と、温度センサとを備える、図である。
【図5B】カテーテルベースのツールの遠位先端部の別の例を示し、その先端部は、ワイヤリードと、カテーテルの一部分と、加熱要素と、温度センサとを備える、図である。
【図5C】カテーテルベースのツールの遠位先端部のさらなる例を示し、その先端部は、ワイヤリードと、支持カテーテルと、加熱要素と、2つの温度センサとを備える、図である。
【図5D】カテーテルベースのツールの遠位端で測定される温度を示すグラフの一例であり、その温度は、吸気および呼気により変化する、グラフである。
【図6A】肺内の治療装置についての移植部位を確定するための手順の一例を示す図である。
【図6B】図6Aの手順によって生成されたあるタイプの出力を示すグラフである。
【図7】肺内の空気漏れを治療するための手順の一例を示す図である。
【図8】ヒト型結核菌など、肺内の好気性生物に関わる疾患を治療するための手順の一例を示す図である。
【図9】肺腫瘍の治療を監視するための手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
初めに、図1を参照して、本発明の特定の特徴、態様、および利点により配置され、構成されている肺診断システム90の特定の実施形態を説明することにする。肺診断システム90は、有利には、肺内からの生理学的情報を感知し、検出し、またはその他の形で監視するために使用可能である。例えば、明らかになるように、肺診断システム90のいくつかの実施形態は、肺の特定の領域(例えば左肺下葉、またはその一部分)内の、その領域に方向付けられる、もしくはその領域に隣接する空気流量または空気流の代用物を、あるいは肺の特定の領域内の空気交換または空気交換効率を感知するために使用可能である。肺診断システム90のいくつかの実施形態は、肺の特定の領域内の、その領域に対する、またはその領域に隣接する酸素濃度を監視するために使用可能である。他の実施形態およびアプリケーションもまた、本明細書に説明されるか、または本明細書における開示に基づいて当業者には明らかになるであろう。
【0021】
肺診断システム90は、好ましくは、肺のいくつかの特性のいずれかを測定する際の使用のために構成可能である。例えば、肺診断システム90は、温度変化、空気流量率、吸気の空気速度と呼気の空気速度との間の差、気道における単一方向の空気の流量および/または速度の大きさ、測定される流体の特定の成分の、または複数の特定の成分の濃度(例えば酸素濃度)などを測定するために使用可能である。有利には、測定される特性は、肺全体に関係しているのではなく、肺の特定の領域に関係していることが可能である。言い換えると、測度は、口腔、または身体の外側でではなく、肺の領域内で、またはその領域に隣接して直接的に取得される。
【0022】
本発明の特定の実施形態は、対象の領域に極めて近接して配置されるセンサを使用するので、それらの実施形態は、ガス抜き試験法(すなわち、対象の領域から、他の場所に位置するセンサに、空気を引き抜くこと)を必要としない。センサは、その試験が実施されている身体の領域内の化学または生理機能を変化させないので、結果はより正確である。有利には、空気通路内に配設されたセンサは、監視されている局所微小環境を乱す可能性は少ない。例えば、肺胞から空気を引き抜くことは、同時に実施されている付随の酸素吸収測度に影響をもたらすことになる。局所微小環境を乱す可能性を抑えることによって、実施される生理学的測度は、局所微小環境に干渉する得られた測度よりも、より正確な実際の状態であると考えられる。したがって、対象の領域に近接して配置されたセンサを使用する本発明の特定の実施形態のある利点は、センサが、真空または他のガス抜き試験法の使用により生じることになる対象の気管支領域に隣接する局所微小環境を乱すことなく、ガス濃度を測定することが可能であり、したがって、より正確な測度をもたらすことである。
【0023】
非常に高い水準の説明では、肺診断システム90は、好ましくは、概して、カテーテル101を備え、それは、カテーテル101の遠位端100に、またはその付近に配設された1つまたは複数のセンサ103を備える。センサ103は、コントローラ110と連通しており、それにより、センサ103からの信号が、コントローラ110または別の適切なコンポーネントに伝送され、それによって処理され、出力されることが可能になる。装置は、一患者使い捨て用に構成されても、または再除菌用に構成されてもよい。
【0024】
図1を引き続き参照すると、カテーテル101は、任意の適切な構成を有することが可能である。好ましくは、カテーテルは、非外傷性先端部を有する。いくつかの構成においては、カテーテルは、気管支鏡102のワーキングチャネル内への挿入、およびそのチャネル内での移動のために設計されている。したがって、カテーテルは、軟性気管支鏡試験による使用に適合することが可能であり、医師が、例えば異物、出血、腫瘍、または炎症など、しかし、それらに限定するものではない異常がないか、患者の気道および肺の内側を調べることを可能にする。軟性気管支鏡試験は、光画像を伝送する小さいクリアファイバを含む長薄チューブの形態を取ることが可能であり、チューブは、肺の空気通路内に存在する蛇行した湾曲部を通るために湾曲している。器具の柔軟性は、器具が、気道内の非常に遠位の位置から読取りデータを提供することを可能にする。処置は、局所麻酔下で、容易に、かつ安全に実行可能である。カテーテル101は、好ましくは、2.6mmのワーキングチャネルを有する気管支鏡と適合し、その気管支鏡内で軸方向に移動できる。他の実施形態においては、カテーテル101は、2.0mmのワーキングチャネルを有する気管支鏡と適合し、その気管支鏡内で軸方向に移動することが可能である。他の構成もまた可能である。
【0025】
加えて、カテーテル101の特定の実施形態は、気管支鏡と接続して使用するために設計可能であるが、カテーテル101は、他のコンポーネント、カテーテルなどの中でも、またはいずれの他の装置なしでも使用可能である。例えば、カテーテル101は、カテーテルが空気以外の流体内に、部分的に、または完全に浸され得る環境を含む他の環境において使用可能な内視鏡または腹腔鏡と適合することが可能である。これらの環境は、胃腸管、泌尿生殖器系、および胸郭器官または関節腔など、しかし、それらに限定するものではない1つまたは複数の切開部によりアクセスされるものを含む他の身体の腔を含むことが可能である。さらには、本発明の特定の特徴、態様、および利点は、EndoCapsule(登録商標)(Olympus)など、胃腸管を撮像するために使用されるカプセルと適合することが可能である。例えば、データ収集特性のうちのいくつかは、EndoCapsuleがあれば有用であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態においては、カテーテル101は、操作でき、柔軟であることが可能であり、患者の肺内の特定の領域など、ターゲット位置に誘導されることを可能にする。カテーテル101は、好ましくは、例えばPTFE、FEP、または親水性皮膜など、しかし、それらに限定するものではない少なくとも一部は滑らかな材料からコーティングされるか、または製造される。滑らかな材料は、好ましくは、少なくともカテーテル101の外側の一部分に配設されて、気管支鏡102のワーキングチャネル内に挿入されるとき、カテーテル101の(軸方向などの)移動をより容易にする。いくつかの実施形態においては、カテーテル101は、先端部を牧羊杖形状部または類似の構成に成形する固定ガイドワイヤを備えることが可能である。任意の適切なカテーテル組立体も使用可能である。
【0027】
いくつかの実施形態においては、カテーテル101の少なくとも一部分が、放射線不透過性材料を含むことが可能である。好ましくは、カテーテル101の少なくとも一部分がセンサ103に近接し、かつ/またはセンサ103自体は、可視化を可能にするのに十分な放射線不透過性材料を含むことが可能である。このような構成は、操作者が、例えば蛍光透視法など、しかし、それに限定するものではない適切な可視化技術を使用して、より容易にカテーテルおよび/または関連センサ103をターゲット位置に誘導することを可能にすることができる。
【0028】
カテーテル101は、好ましくは、少なくとも1つのルーメン106を備える(図3を参照のこと)。いくつかの実施形態においては、カテーテル101は、複数のルーメンを備えることが可能である。複数のルーメンは、複数のセンサがカテーテルを通じて導入されること、または交換されることを可能にすることができ、かつ/または1つまたは複数の通路を可能にすることができ、その中を流体が、例えば、その中のカテーテルを通じて導入または吸引可能である。しかし、図3に示す実施形態においては、一次ルーメンは、センサ103からカテーテル101の近位端に延びる1束のワイヤ205を収容する。
【0029】
図3の実施形態においては、カテーテル101はまた、閉塞装置105も備える。図示のカテーテル101は、閉塞装置105を載せているが、いくつかの実施形態においては、閉塞装置105は、センサ103の少なくとも一部の上に取り付けられても、少なくとも一部を覆って取り付けられても、または少なくとも一部と重なってもよい。
【0030】
閉塞装置105は、バルーン、一方向弁、または任意の適切な拡張部材を備えることが可能であり、それにより、閉塞装置は、閉塞装置105の近位におよび/または遠位に、空気流から、特定の気道または他の身体の管腔を隔離するために使用可能になる。図3の実施形態においては、閉塞装置105は、バルーンを備える。バルーンは、任意の適切なやり方で膨張および収縮可能である。いくつかの実施形態においては、カテーテル101は、バルーンの膨張および収縮に専用の少なくとも1つのルーメンを備えることが可能である。他の構成もまた可能である。
【0031】
以下に論じるように、閉塞装置105は、例えば肺機能および/またはガス交換効率など、しかし、それらに限定するものではない肺の選択された部分での生理学的状態の査定中に使用可能である。閉塞装置105はまた、論じるように、側副血流の検出にも有用である。図2に示す実施形態には、センサ103の近位に配設された閉塞装置105を示しているが、いくつかの実施形態では、センサ103により求められるデータに応じて、閉塞装置105をセンサ103の遠位に位置付けることが可能である。さらには、いくつかの実施形態においては、閉塞装置105は、2つ以上のセンサ103の間で位置付け可能である。
【0032】
いくつかの実施形態においては、肺診断システム90はまた、空気通路の寸法(例えば、断面直径)を測定するようになされていることが可能である。例えば、カテーテル101および閉塞装置105を使用して、空気通路の断面直径または面積を測定することが可能である。このような構成は、2002年7月15日に出願された米国特許出願第10/196,513号、および2002年9月24日に出願された米国特許出願第10/254,392号に開示されているやり方で、構成、配置、かつ使用可能であり、それらはそれぞれ、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態においては、気道の直径または断面積を測定することが可能なセンサが提供可能である。
【0033】
上述したように、センサ103は、好ましくは、1つまたは複数の生理学的特性を検出し、測定し、かつ/または監視するために提供される。好ましくは、センサ103は、カテーテルの遠位端上に配設される。より好ましくは、センサ103は、呼吸ごとの分析が実施可能になるほど十分に迅速な応答により、データを提供する。1つの好ましい構成においては、センサは、5回の呼吸サイクルのうちに操作者に情報を提供することが可能である。特定の実施形態においては、カテーテル101は、様々な生理学的パラメータを査定するために使用可能な1つまたは複数のセンサを備える。
【0034】
センサ103は、好ましくは、2mmのワーキングチャネルを有する気管支鏡を通して展開するために設計され、構成されている。いくつかの実施形態においては、センサ103は、2.6mmのワーキングチャネルを有する気管支鏡を通して展開するために設計され、構成されている。センサ103は、直径が約10mmと約0.5mmとの間であってよい。いくつかの実施形態においては、その直径は約0.7mmである。他の大きさ、設計、および構成もまた使用可能である。さらには、図示のセンサ103は、カテーテル101に接続され、そのカテーテルによって支持されるように説明されているが、他の構成は、カテーテルから分離され、体内で展開するようになされているセンサ103を特徴付けることが可能である。いくつかの構成においては、センサ103は、長い時間周期にわたって、データを得ることが可能なように、移植可能な物体に取付け可能である。1つのこのような物体は、2001年9月25日に発行された米国特許第6,293,951号、2001年9月11日に出願された米国特許出願第09/951,105号、2002年2月21日に出願された米国特許出願第10/081,712号、2002年3月20日に出願された米国特許出願第10/103,487号、2002年4月16日に出願された米国特許出願第10/124,790号、2002年5月17日に出願された米国特許出願第10/150,547号、2002年6月21日に出願された米国特許出願第10/178,073号、2005年8月15日に出願された米国特許出願第11/204,383号、2003年12月22日に出願された米国特許出願第10/745,401号、2006年10月24日に出願された米国特許出願第11/585,415号に記載されている弁などの弁、または弁の一部分であることが可能になり、それらはそれぞれ、それぞれの全体を、具体的には、弁および弁のコンポーネントの構成に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
いくつかの構成においては、センサ103は、温度を測定することが可能な1つまたは複数の装置を備えることが可能である。センサ103は、温度を測定するが、温度測度は、空気速度に相関付け可能であり、そのため、センサ103は、代用物(例えば温度変化)の検出により速度センサとして働くことが可能である。このような温度感知装置の例は、サーミスタ、熱電対、流速計、電気式温度計、抵抗温度検出器などを含むが、それらに限定するものではない。加えて、説明することになるように、いくつかの構成もまた、温度測定センサに接近して、または概して隣接して位置付けられる1つまたは複数のヒータを特徴付ける。
【0036】
したがって、流量査定カテーテルツールは、温度などを測定することによって、気道内の、および弁周りの空気の動きを測定することが可能である。流速計、サーミスタ、または他の測定機構を備えることが可能なセンサは、ヒータからのエネルギー損失を測定するために使用可能である。ヒータからのエネルギー損失は、2つのやり方で:1)概して一定の温度を維持するために必要なエネルギーの量を測定することによって、または2)温度の低下量を測定することによって、測定可能である。ヒータを通る空気は、センサを暖めることが可能である。いくつかの実施形態においては、センサは、電子式温度計を備える。空気は、熱をヒータから電子式温度計に伝達することが可能である。このような構成においては、空気流量の方向に応じて、空気は、電子式温度計から熱を遠ざけることによってセンサを冷やす。1つの構成においては、遠位に流れる空気がセンサを暖め、近位に流れる空気がセンサを冷やす。別の構成においては、遠位に流れる空気がセンサを冷やし、近位に流れる空気がセンサを暖める。
【0037】
実際には、空気が、吸気または呼気の間、ヒータ全体にわたって流れると、空気はヒータから熱の一部を引き出し、それにより、温度読取りデータに変化が生じる。その場合、温度の変化は、いくつかの空気流量特性に相関付け可能である。したがって、空気流量の速度、容量、または他の特性は、温度センサにより検出可能である。いくつかの実施形態においては、温度センサは、ヒータ全体にわたる、またはヒータの領域における空気温度の低下ではなく、ヒータ全体にわたって流れる空気によって生じる空気温度の上昇を感知することが可能である。
【0038】
いくつかの実施形態においては、センサ103は、1つまたは複数のサーミスタを備えることが可能である。サーミスタは、負または正のいずれかの抵抗/温度係数を有する熱的に敏感な抵抗器である。サーミスタは、プローブ形態で提供可能であり、サーミスタは、負の抵抗/温度係数を有することが可能である。しかし、いくつかの実施形態においては、サーミスタは、ガラスのビーズ、ディスク、チップ、または任意の他の適切な形態として提供され、かつ/またはサーミスタは、正の抵抗/温度係数を有することが可能である。
【0039】
上述したように、センサ103はまた、サーミスタがヒータの一方の側、または両方の側に位置付けられるように、ヒータを備えることが可能である。言い換えると、1つまたは複数のサーミスタは、ヒータのそれぞれの側に位置付け可能である(すなわち、あるサーミスタは、ヒータの近位側に取り付けられて、具体的には、空気流量の速度を、または遠位方向の空気流量によって生じる温度変化の量を感知することが可能であり、あるサーミスタは、ヒータの遠位側に取り付けられて、具体的には、空気流量の速度を、または近位方向の空気流量によって生じる温度変化の量を感知することが可能である)。1つまたは複数のヒータをまたいでいる2つ以上のサーミスタの使用は、遠位と近位の流量間の区別を可能にすることができる。したがって、吸気方向の空気流量および呼気方向の空気流量がともに、感知可能になる。
【0040】
ヒータは、任意の適切な構成を有することが可能である。いくつかの実施形態は、サーミスタの周囲に堅く巻き付けられている4巻きまたは4巻きコイルの銅ヒータを備える。いくつかの実施形態は、サーミスタの周囲に堅く巻き付けられている4巻きのニクロムヒータを備える。概して言えば、この巻きが堅く巻き付けられている場合、サーミスタと、銅またはニクロムとの間には空隙がほとんどないか、または全くない。堅く巻き付けられることにより、ヒータが急速に冷却される可能性が予防され、または少なくとも著しく抑えられる。いくつかの実施形態は、少なくとも4巻きコイル、およびより大きな直径ワイヤを有する。いくつかの実施形態においては、コイルは、37AWGワイヤを含み、それは、直径約0.0045インチ(0.01143cm)である。
【0041】
複数の(例えば2つの)サーミスタを備えるいくつかの実施形態においては、近位サーミスタおよび遠位サーミスタが同様に応答する。サーミスタ同士が、180°の位相ずれであることが典型的である。いくつかの実施形態においては、ヒータは、直径においてより大きく形成可能であり、概して、楕円形状であることが可能である。ヒータのより大きな表面エリアが、近位サーミスタの前部に配置可能である。いくつかの構成においては、遠位サーミスタは、過度に加熱する場合があり、空気温度は、それほど変化しない場合がある。この例では、コイルは緩くなる可能性があり、それにより、遠位サーミスタに直接、接着しなくなる。別の実施形態においては、コイルは、近位サーミスタに、より接近して配置可能であり、そのサーミスタは、半呼吸ごとに加熱し、冷却する。コイルが、近位サーミスタからさらに離れて配置された場合、近位サーミスタは、呼気に関してわずかにより高い温度を読み取る。
【0042】
2つ以上のサーミスタを使用して空気速度の大きさを測定する場合、流量または速度の実際の方向は、直接測定されない。そうではなく、流量の方向は、呼吸リズムにより「ゲート」可能である。いくつかの実施形態においては、吸気および呼気速度の温度プロファイルは、温度データと、「ゲート」からのデータとを対合することによって区別可能である。いくつかの実施形態においては、サーミスタが、主気道内に配置可能である。他の実施形態においては、流量スイッチまたは「ゲート」は、主気道内に気管チューブと直列に配置可能である。他の実施形態においては、流量計または流量方向センサが、気管内に配置可能である。弁もまた、空気通路内に配置可能である。弁は、一方向ボール弁、フラップ弁、または任意の他の適切な弁であってよい。弁は、流量方向を集める際に、または「ゲート」に役立つことが可能である。
【0043】
いくつかの実施形態においては、センサ103は、流速計を備える。流速計は、速度を測定する。流速計は、質量流量計として働くことが可能である。空気は、(肺によって)流速計の周囲に押し出されて、センサ103から離れる熱を対流的に伝達する。ほとんどの実施形態においては、流速計は、熱線流速計であってよい。熱線流速計は、周囲温度を上回る温度に加熱された非常に繊細なワイヤを使用する。ワイヤの直径は、数マイクロメートル程度であってよい(例えばフィラメント)。フィラメントは、ニッケルクローム(すなわち、ニクロム)線から成ることが可能である。いくつかのアプリケーションにおいては、フィラメントは、高い抵抗を有する材料から成ることが可能である。より高い抵抗が望ましく、それにより、より低い電流が使用可能になる。ワイヤを通って流れる空気は、ワイヤに冷却効果を及ぼす。ほとんどの金属の電気抵抗は、金属の温度に依存するので、ワイヤの抵抗と、空気速度との間の関係を得ることが可能である。いくつかの実施形態においては、熱線は、タングステンを含む。熱線流速計は、繊細であると同時に、他の測定法に比べて高い周波数応答と、微細な空間分解能とを有し、したがって、乱流、または急速な速度の変動がその対象である任意の流量の詳細な研究に好ましい。
【0044】
他の実施形態においては、センサは、少なくとも1つの熱電対を備える。熱電対は、熱ポテンシャル差を電位差に変換する手段として使用可能な温度センサである。熱電対は、高価でなく、相互交換可能であり、標準のコネクタを有し、広範囲の温度を測定することが可能である。熱電対は、サーミスタよりも小さい。より正確な測定を行うのに十分な空気流量を受け取るのに十分な大きさの小さい熱電対とは異なり、サーミスタは、十分な空気流量を得るのが困難である場合がある。熱電対は、サーミスタよりも電気的にノイズが多い場合がある。さらには、熱電対は、適切なコンピュータシステム、または制御システムに固定することはより困難である場合がある。
【0045】
次に、図5Aを参照すると、カテーテル101は、その上に取り付けられたセンサ103を有する遠位端100を含むことが可能である。センサ103は、ワイヤリード302を有するその遠位端に配設された温度センサ303を含むことが可能である。上述したように、温度センサ303は、任意の適切な構成であってよく、例えば、サーミスタ、熱電対、温度変化を測定することが可能な抵抗器、または温度を測定することが可能な任意の他のタイプのセンサを含むことが可能である。いくつかの構成においては、温度センサ303は、質量流量計として使用可能である。空気は、センサ303の周囲に押し出されるか、または方向付けられて、温度センサ303への、またはそのセンサから離れる熱を対流的に伝達することが可能である。
【0046】
いくつかの実施形態においては、カテーテル101は、図5Bに示すように、少なくとも1つのヒータを備える。カテーテル101の遠位端100は、加熱要素301を含む。いくつかの実施形態においては、温度センサ303は、加熱要素301の遠位側に取付け可能である。少量の電気で加熱要素301を作動させることができる。特定の実施形態においては、加熱要素301は、高抵抗の導体、例えばニクロムを含む。特定の実施形態においては、その導体は、温度センサ303の周囲で環状であることが可能である。センサはまた、自己発熱式であり、個別のヒータまたは電気接続部を必要としなくてもよい。特定の実施形態においては、加熱要素301は、冷却要素、例えばペルチェチラーと置換え可能である。温度センサ303がサーミスタである場合、サーミスタ内の抵抗は、サーミスタに送られる電気が測定されると同時に感知可能である。供給電流の量は、サーミスタ内の抵抗に比例し得る。サーミスタ内の抵抗は、温度に比例し、温度は、空気速度に比例する。ほとんどの構成においては、カテーテルツールは、好ましくは、強制対流熱伝達の熱力学原理で動作する。
【0047】
他の実施形態においては、例えば図5Cに示すように、第2の温度センサ304がヒータの近位側に取り付けられて、具体的には、遠位方向に流れる空気の速度を感知することが可能である。一方、第1の温度センサ303は、近位方向に流れる空気の速度を感知することができる。2つの温度センサの存在は、遠位と近位の流体の流量の間の差別化を可能にすることになる。1つの構成においては、吸気は第1の温度センサ303を暖め、呼気は第2の温度センサ304を暖めることになる。
【0048】
図5Dは、温度センサおよびヒータを備えている実施形態の一定の時間周期にわたる温度応答のグラフの一例を示している。測定された時間周期の初期における急激な上方勾配は、ヒータがオンになると上昇する温度を示す。定常状態に到達後に、ヒータは、患者の気道内に挿入可能である。その場合、温度は、患者が息を吸うとき、または吐くときに基づいて、上昇し、下降することになる。これらの収集された温度測度を使用して、肺通路における空気流量速度を確定するなど、様々な計算が可能である。
【0049】
特定の実施形態においては、カテーテル101は、1つまたは複数のガス、ガス成分、流体成分、または他の物質を検出するセンサを備えていることが可能である。例えば、酸素または二酸化炭素の濃度を検出するセンサが存在してよい。図3に示す実施形態においては、センサ103は、酸素センサ201を含むことが可能である。酸素検出器201を、プロセッサ207に加えて設けることができる。電力およびデータは、ワイヤリード205を介して伝送可能である。他の構成もまた可能である。酸素センサ201はまた、温度センサ204を含むことが可能である。酸素センサは、好ましくは、酸素検出器201の内部コンポーネントを保護するカバー206を備える。
【0050】
本発明の特定の実施形態はまた、種々のタイプのガス、例えば二酸化炭素を検出することが可能な類似のセンサを提供する。酸素センサに関しては、蛍光性分子の酸素消光に基づいて機能するSM100−02センサ(MD州Germantown、SMSI)など、様々な市販の酸素センサが使用可能である。蛍光消光酸素センサは、カテーテルの遠位端に位置付け可能であり、呼吸ガスの瞬間酸素含有量の関数として電気信号を生成することが可能である。計算ユニットが、そのセンサおよび流量センサ(例えば温度センサ)から出力信号を受信して、酸素濃度および関連パラメータを計算することが可能である。
【0051】
図4には、センサ103が分光光度的に機能する実施形態を示し、このような場合には、光ファイバケーブル202などの伝送コンポーネントが、センサ103からのスペクトル情報を、センサ付近に存在する様々な化学物質を検出することが可能な遠隔分光光度計203に中継するために使用可能である。
【0052】
さらなる実施形態においては、装置は、様々な医学的状態を診断するために、肺の局所微細環境の温度を検出し、測定するために使用されるセンサを備える。いくつかの実施形態においては、あるセンサは、水素イオンセンサ(pHセンサ)が備わっていることが可能である。このようなセンサは、組織炎症、癌、または細菌性およびウイルス性の疾患の診断ならびに検出に有用であり得る。さらには、あるセンサは、揮発性有機化合物、または病状を示す他のバイオマーカを検出するために設けることができ、システムは、癌などの様々な病状の予測子としてこのような化合物を検出し、測定するように構成可能である。いくつかの実施形態においては、そのセンサは、肺内の空気またはガスの圧力を測定する。
【0053】
カテーテル101は、制御システムに、例えばハンドヘルドの装置にデータを中継することが可能である。制御システムは、カテーテルおよび/またはセンサからデータを受け取り、そのデータを処理する。いくつかの実施形態においては、カテーテルおよび/またはセンサは、連続信号をディスクリートなデジタル数に変換するアナログ−デジタル(「A/D」)コンバータ内に直接、接続することが可能である。他の実施形態においては、カテーテルおよび/またはセンサは、制御システム用のコンパクトフラッシュ(登録商標)A/Dコンバータ内に直接、接続することが可能である。いくつかの実施形態においては、カテーテルおよび/またはセンサは、制御システムに無線で接続することが可能である。いくつかの実施形態においては、センサは、電力を制御システムから受け取ることが可能である。デジタル出力は、バイナリおよび2の補数バイナリなど、種々のコード体系を使用することが可能である。コードは、A/Dコードにアクセスし、データを処理し、必要に応じて、信号をカテーテルに送り返すために、Labviewまたは任意の他の適切なコードで書き込まれることが可能である。
【0054】
装置は、吸い込まれる空気の温度と、吐き出される空気の温度との間の相対的差を測定することが可能である。上述したように、その場合、その温度の差は、吸い込まれる空気と吐き出される空気との間の空気速度の差を計算するために使用可能である。装置はまた、ガス濃度(酸素濃度を含む)、温度、およびpHなど、他の生理学的パラメータを測定することが可能である。カテーテルは、1人の人によって動作させることが可能である一方で、制御システムは、別の人によって動作させることが可能である。いくつかの構成においては、カテーテルと制御システムとの両方を、たった1人の人で動作させることが可能である。
【0055】
いくつかの実施形態においては、装置は、例えば、可聴出力または触覚出力などのフィードバックを生成するか、またはもたらすことが可能である。いくつかの実施形態においては、装置は、空気通路内の温度および/または温度変化を含む生理学的変化を測定し、次いで、空気流速度、酸素濃度、または温度などのパラメータに関するフィードバックを生成することが可能である。例えば、温度が降下するとき、または上昇するとき、速度または流量に関する温度の勾配は、3つの可聴音のうちの1つ:a)音波の振幅、b)音波の周波数、およびc)ビープ音数に変換可能である。装置からの音出力は、センサによって測定された任意の他の生理学的パラメータに相関付け可能になる。いくつかの実施形態においては、コンピュータ、コントローラ、または装置は、出力スピーカを備える。可聴音信号は、出力スピーカへ導くことができる。
【0056】
いくつかの実施形態においては、装置は、トリガを備える。装置の操作者は、トリガを押すことが可能であり、信号を制御信号に送信することになる。トリガを押すことによって、操作者は、データの取得の開始または停止をシステムに示すことが可能になる。
【0057】
いくつかの実施形態においては、センサ、またはセンサに近接するカテーテルの一部分は、位置追跡コンポーネントが備わっているか、またはそのコンポーネントと関連していることが可能であり、それにより、ある装置は、センサ、またはセンサに近接するカテーテルの一部分から位置データを集めて、呼吸路のマップ、または他の表示を生成することが可能になる。いくつかの実施形態においては、マッピングは、センサを含むカテーテルが、移動した距離を参照することによって、またはカテーテルの遠位端もしくはセンサ上に位置する電子式追跡手段によって達成可能である。いくつかの実施形態においては、ある装置は、このような位置データを、センサから送られた他の生理学的データと相関付けることが可能であり、それは、センサから受け取られた生理学的データと相関付けられる呼吸路のマップまたは他の表示の作成を容易にする。例えば、患者の肺内の換気効率、空気の流れ、酸素濃度、または二酸化炭素濃度のマップが作成可能である。
【0058】
いくつかの実施形態においては、センサから収集されたデータは、様々な身体の器官の機能をモデル化するか、またはシミュレートするために使用可能である。例えば、1つまたは複数の酸素センサから集められた情報は、肺の様々な部分における酸素交換を計算するために使用可能である。装置が小型であるという理由で、センサは、口腔または咽喉でのガス濃度を測定できるだけの従来式ガス交換法とは異なり、肺のディスクリートな領域におけるガス濃度を検出し、相関付けすることが可能である。
【0059】
特定の実施形態は、センサから収集されるデータの集約を提供する。その場合、肺機能が、気管支構造のディスクリートなゾーンにマッピング可能である。例えば、このマッピングは、治療するのに最適な部位を確定するために、気腫を患う患者に使用可能であり、それは、閉塞用装置または一方向弁についての移植部位の確定を含むことが可能である。このマッピングは、患者の肺のグラフィカルな表示により行うことが可能であり、それによって、より優れている、またはより劣っている生理学的パラメータを有する肺の領域を示す。このようなパラメータは、酸素交換および(吸気および呼気容量の測度を含む)空気流量のマッピングを含むことが可能であるが、それらに限定するものではない。特定の実施形態においては、これらのパラメータは、例えば、標準化されたデータ源、または健康であると分かっている患者自身の肺の区域からの参照測度と比較可能である。
【0060】
全体の肺マップに肺のディスクリートな領域をマッピングして、またはマッピングせずのいずれかで、センサから得られた情報は、一方向弁または気管支閉塞用装置など、医療装置の移植が最も有効になる気管支を確定するために一致して使用可能である。例えば、いくつかの実施形態においては、センサは、適切に機能していない肺の区分を検出することが可能である。これは、例えば、上述したように、酸素センサを使用して、肺の一部分から酸素抽出を確定することによって達成可能である。これは、気腫またはCOPDの診断に有用であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態においては、センサは、肺への空気流量、ならびに肺からの空気流量を測定する。肺組織が罹患または壊死しており、空気をそれほど交換することができない場合、センサは、このような組織を含む肺の区域を識別するために使用可能である。罹患組織を含む肺の区域は、吸気の間の肺への、または呼気の間の肺からの最少量の空気の動きおよび空気の流量を有する。空気流量を測定することはまた、喘息の存在を検出する方法でもある。喘息に罹患した肺の区域は、空気速度がより高いことがあり得る。
【0062】
特定の実施形態においては、装置90は、医療装置の配置を導くために使用可能である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,293,951号に開示されている弁など、しかし、それに限定するものではない弁がセンサの誘導により肺内に配置可能である。空気通路内の弁の配置は、Computed Axial Tomography(「CAT」もしくは「CT」)スキャン、または他の適切な医療用画像化システム出力に基づくことが可能である。医療用画像化に加えて、空気通路内の弁配置は、センサによって感知されるデータに基づくことが可能である。センサは、弁を配置するための所望の位置のより効率的な識別を容易にする。さらには、患者は、最適な急性治療を受ける。加えて、センサは、後述するように、空気流量をチェックすることによって、弁を有する空気通路のシーリングを確認するために使用可能である。したがって、その後の移植を必要とする可能性が抑えられる。実際、センサは、弁が体内に配置される前でも後でもいつでも使用可能である。
【0063】
一方向弁が漏れている(すなわち、弁が遠位方向の流量を防止するように、または非常に制限するように設計されているとき、空気が遠位方向に流れるのを許容する)場合、漏れは、空気流量を感知することによって識別可能である。例えば、温度が上述の2重サーミスタ構成によって感知される場合、および温度が空気流量の指標として使用される場合、遠位温度センサ303上のより大きい温度差動と、近位温度センサ304上のより小さい温度差動とが、空気漏れを示すことになる。これは、吸気の間、吸気は近位サーミスタの周囲の空気を冷却することが可能であり、(空気が一方向弁によって解放されると生じる)呼気は遠位サーミスタを冷却することが可能であるからである。いくつかの実施形態においては、吸気は遠位サーミスタに近接する空気を暖めることになり、呼気は近位サーミスタに近接する空気を暖めることになる。一方向弁が、空気を放出している(すなわち、弁が、例えば弁における孔により、近位方向に大量の空気流量を許容する)とき、逆の効果が起き、:放出弁が、放出していない弁と比較して、近位センサ304上の大きい温度差動と、遠位センサ303上の小さい温度差動とをもたらすことになる。放出していた、かつ漏れていた弁は、温度センサ303および304の両方に類似の温度差動をもたらすことになる。
【0064】
図6Aは、一方向弁を含むことが可能な肺治療装置についての移植部位を確定するために使用可能な手順に関する例示的な流れ図である。手順は、好ましくは、酸素濃度の変化を感知することが可能なセンサ、または空気の他の成分における変化を感知することが可能なセンサを使用する。いくつかの実施形態においては、空気の流量率または容量もまた使用可能である。
【0065】
図6Aに示す手順においては、操作者は、参照部位から、気道内の経時的な酸素濃度の変化を示す酸素サンプル波形を得ることが可能である。600を参照のこと。好ましくは、参照部位は、より大きい気管支路(例えば、左または右の主気管支)のうちの1つの中に、または口腔から位置していることが可能である。この酸素サンプルは、好ましくは、より長い時間周期にわたって(例えば、複数回の呼吸にわたって)取られ、残りのサンプルがそれと比較可能なベースラインサンプルをもたらすことが可能である。
【0066】
次に、酸素サンプル波形が、肺内により深く(例えば、複数個のより小さい細気管支に沿って)位置する部位から取得可能である。601を参照のこと。操作者が、例えば気腫など、しかし、それに限定するものではない呼吸器異常がある疑いがある部位だけからサンプルを取得するように選択することが可能である。
【0067】
次いで、これらの遠位部位からの酸素サンプル波形は、参照部位と相関付けられ、比較される。602、603を参照のこと。次いで、サンプル化された部位は、酸素波形により体系付け可能である。その波形に少なくとも一部は基づいて、酸素の交換または吸収のレベルに関して評価がなされ得る。604を参照のこと。言い換えると、操作者は、特定の試験部位が参照部位より高い酸素交換、もしくは参照部位と等しい酸素交換(例えば、より低いレベルの呼気酸素濃度)を有するかどうか、または特定の試験部位がより低い酸素交換(例えば、より高いレベルの呼気酸素濃度)を有するかどうかを確定することが可能である。別の言い方をすれば、操作者は、特定の試験部位が、肺による全レベルの酸素抽出を加えるか、またはそれから減ずるかどうかを評価することが可能である。酸素の吸収または交換のレベルが満たされている場合、弁の挿入など、一切の治療は必要とされない可能性がある。605を参照のこと。
【0068】
酸素吸収が不足していることが、経時的な酸素濃度の低い変化、または存在しない変化によって明らかにされる部位が識別される場合、一方向弁、または他の気管支閉塞用装置の取付けなどの治療が推奨可能である。606を参照のこと。サンプルが得られた部位は、治療に対する可能な候補としてランク付け、かつ識別可能である。607を参照のこと。取付けの進行により、酸素の吸収または交換の最少量を明らかにする部位は、最初に治療可能である。608を参照のこと。いくつかの構成においては、経時的な酸素濃度の変化に対する所定のカットオフ値が使用可能であり、それは、例えば気腫などの、しかし、それに限定するものではないあり得る病状を示すが、このようなカットオフ値は、治療についての可能な候補としての部位を確定するために使用される。いくつかのこのような実施形態においては、上述したように使用されるセンサを載せているカテーテルがまた、有利には、治療装置を載せていることが可能であり、それにより、ある装置は、センサによる部位評価直後に移植可能になり、その場合、その評価は、治療が望まれることを示す設定参照値よりも低い酸素交換レベルを示す。
【0069】
図6Bを参照すると、経時的な酸素濃度値の例を示す波形の組が提示されている。これらの波形は、予測されたものであり、例示目的だけのためのものであって、上述の手順の間に観測可能な実際のデータを必ずしも反映するものではない。第1のサンプル部位からの酸素波形620は、参照部位からの酸素波形622よりもはるかに酸素吸収が低いことを示し、このような部位は、治療が有効である可能性があることを示している。参照部位の酸素波形622に類似する酸素波形を示す他の部位から取得された酸素波形は、このような部位の治療が必要でない可能性があることを示している。部位が、例えば、一方向弁により治療された後、その治療の有効性もまた、検証可能である。例えば、治療後に第1のサンプル部位から取得された酸素波形621には、治療前の同一サンブル部位から取得された酸素波形620と比較して酸素吸収に改善が見られる。
【0070】
いくつかの構成においては、その中に移植される治療装置を有する部位は、移植に続いて試験可能である。例えば、いくつかのより小さい肺通路に供給するより大きい肺通路において、少なくとも1つのより小さい通路が治療装置により閉塞可能であり、空気流または酸素の波形測度は、治療装置により閉塞される前後に取得可能である。いくつかの構成においては、治療装置に近接して取得された空気流または酸素の波形測度は、参照測度と比較可能である。移植前に取得されたデータと、移植後に取得されたデータとは、酸素交換改善がもたらされているかどうかを知るために取得可能である。
【0071】
いくつかの実施形態においては、医師は、側副換気が、センサによって感知または測定され、制御システムに中継されるデータを査定することによって肺の領域内に存在するかどうかを確定することが可能である。より好ましくは、センサは、側副換気の存在または発生を検出するために使用可能である。センサのいくつかの実施形態が、ガス(例えばヘリウム、酸素、および二酸化炭素)、ガス濃度、またはガス濃度の変化を検出するために使用可能であるので、センサを、センサからの出力に対して分析を行うことが可能な追加の装置に接続して、このような構成成分のレベルにおける存在またはレベルもしくは変化を確定することが可能である。
【0072】
いくつかの実施形態においては、特定の肺部分に供給する気道が、その肺部分への空気流量が停止するように閉塞可能である。例えばトレーサガスなどの、しかし、それに限定するものではない物質が、隔離された肺部分内に注入可能であると同時に、センサは、別の肺部分内のトレースガスの存在を感知するために使用されるか、またはセンサは、トレーサガスの濃度を監視するために使用される。隔離された肺部分または別の肺部分のいずれかにおいて検出される物質の濃度は、2つの区域間の側副換気の量に比例することが可能である。
【0073】
いくつかの実施形態においては、側副換気が存在する場合、センサからの出力は、特定の肺区域が、一方向(すなわち、吸気の間、または呼気の間)のより速い速度の空気流量を有することを示すことが可能である。例えば、側副が、空気を外にだけ放出している区域に供給している場合、センサは、呼気の間、その区域から外へのより大きい速度の空気流量を感知することになる。当然の帰結として、センサが、呼気の間の近位方向においてよりも、吸気の間の遠位方向に移動する空気通路内に、より多くの空気流を検出する場合、その空気通路は、他の肺区域、肺部分、または肺葉への側副換気を抑えるように治療可能である。治療は、空気通路、またはその空気通路に接続する空気通路の一部を遮断することを含むことが可能である。
【0074】
上述したように、装置90は、センサから中継されたデータに基づいて測度を計算する。例えば、装置は、肺内の平均温度を計算することが可能である。いくつかの構成においては、肺に漏れがある場合、感知された温度は概して、遠位方向にセンサを通る空気の動きにより、標準よりも低く、その場合それは、肺における漏れの程度を示すことが可能である。このような構成においては、感知された温度は、平均よりも実質的に低いか、または際立って低く、その場合、肺内の漏れは通常、より大きい大きさである。感知された温度が平均よりわずかしか低くない場合、肺内の漏れは小さい大きさである。漏れが検出されると、医師は気道内に弁を配置して、漏れを遮断することが可能である。いくつかの構成においては、センサが肺内で移動するにつれて、漏れに接近していることが温度の変動により検出可能である。言い換えると、温度変化は、漏れに供給する肺の部分内に現れる可能性がある。
【0075】
肺組織内の漏れが、肺に入る吸気の空気の流量または速度をより大きくし、肺から出る呼気の空気の流量または速度をより小さくする可能性がある。漏れの存在下では、センサは、吸気速度の大きさが呼気速度よりも大きいことを判別するために使用可能である。いくつかの構成においては、流量を測定することは、より正確な読取りを達成するために、気道直径測定用カテーテルの使用を必要とする場合がある。いくつかの実施形態においては、漏れが、肺内に存在するかどうかを確定するために、センサは、肺内に存在する泡および界面活性剤の量を検出するか、または測定することが可能である。いくつかの実施形態においては、センサは、肺または胸部の聴診を使用して、音を検出するか、または測定し、呼吸器系の内部音を聴くことが可能である。次いで、センサは情報を処理ユニットに中継し、それによって、システムは漏れが存在するかどうかを確定する。例えば、漏れを有する肺の空気流は、標準の肺の音とは異なるピッチまたは異なる長さの時間である音をもたらす場合がある。
【0076】
いくつかの実施形態においては、センサは、吸い込まれる空気と吐き出される空気の速度間の差を測定するか、または感知する。感知されたデータまたは測度は、漏れがセンサに遠位の肺の一部分に存在するかどうかを確定するために使用可能である。空気は、いずれかの存在する漏れに向かって、気道を下って遠位に流れる。肺に漏れがある場合、空気はほとんど、漏れから離れて近位に流れることはない。1つの実施形態においては、遠位に流れる空気はセンサを暖める。センサは、温度の変化を測定し、いくつかの実施形態においては、温度の変化率もまた計算可能である。1つの構成においては、このような構成でのセンサであることが可能な電子式温度計が、遠位空気流の増加から暖められる。別の構成においては、電子式温度計は、遠位空気流の増加によって冷やされる。いくつかの構成においては、近位に流れる空気はセンサを冷やす。より冷たい温度は、近位に流れる空気が少ないので、よりゆっくり下降する。したがって、センサは、漏れがある気道が特定されるまで、より小さい、または徐々により小さくなる気道内で使用可能である。
【0077】
図7を参照すると、気胸に付随して起こる漏れなど、肺内の空気漏れは別のやり方で識別可能である。図示の方法では、胸部管が、肺の胸膜空間から空気または流体を排出するために提供可能である。いくつかの実施形態においては、Heimlich弁または吸引が胸部に適用可能である。センサ、例えば酸素センサが胸部管内に挿入可能である。次いで、胸部管内の参照酸素レベルが確定可能である。701を参照のこと。次いで、選択された肺通路が(例えば閉塞用バルーン、一方向弁、または他の適切な塞栓用部材により)隔離可能であり、肺の隔離された部分は、酸素、好ましくは、実質的に純粋な酸素(または、不活性ガスを含む他のガス)により加圧可能である。702、703を参照のこと。次いで、センサは、胸部管内のガス濃度を監視するために使用可能である。704を参照のこと。ガス濃度が胸部管内で上昇しない場合、加圧されたものは、漏れを通過して胸膜内の空間内に入ることはない。したがって、別の通路を閉塞、加圧、かつチェックすべきである。空気路を選択し、閉塞するプロセスは、漏れに供給する空気路が胸部管内で検出される酸素濃度の上昇によって識別されるまで継続可能であり、一方向弁など、治療装置が漏れに供給する通路内に挿入可能である。705を参照のこと。漏れに供給する通路が閉塞されると、胸部管は、大気中に放出可能であり(706を参照のこと)、治療の成功が評価可能である(707を参照のこと)。この技術の利点は、漏れを含む肺部分の加圧は、識別および治療のために漏れを開放位置に維持するのに役立ち、漏れが識別および治療の後にのみ閉じることを可能にすることである。
【0078】
別の例示的な手順においては、例えば、ヒト型結核菌などの、しかし、それに限定するものではない好気性生物による肺感染は、本明細書に開示するシステムを使用して、診断かつ治療可能である。好気性生物は酸素を必要とするので、それらの存在は、特定の肺区域の酸素吸収を比較し、それを参照肺区域と比較することによって確定可能である。特定の実施形態においては、好気性生物に限定するものではない肺感染の検出は、温度、pH、揮発性有機化合物、または感染を示す他のバイオマーカを検出することが可能なセンサの使用により可能である。例えば、肺膿瘍を引き起こす嫌気性生物は、一般に、酸素を摂取せず、それにより、酸素吸収による検出は、不可能とは言えないまでも困難な可能性がある。感染の検出および診断は、例えば、バイオマーカを、健康であると分かっている肺の一区画のものと比較することによって達成可能である。揮発性有機化合物の場合には特に、検出および診断はまた、感染を示すものとしての、存在している化合物の知られている量または濃度を参照して実行可能である。次いで、感染に影響を受けると確定された肺の一部分が、閉塞によって治療可能である。閉塞は、酸化された空気が感染領域に及ばないようにするために使用可能である。有利には、治療は、罹患していると分かっている肺、または予防的治療を必要とすると考えられる肺の領域にのみターゲットにすることが可能である。
【0079】
図8を参照すると、治療すべき肺の領域を取り囲む空気通路の閉塞に続いて、バルーンなど、閉塞装置を有するカテーテルが、好気性生物によって感染されていると考えられる肺の一部分に供給する気管支へと前進可能である。次いで、主肺通路は、閉塞装置により閉塞可能である。801を参照のこと。肺通路が閉塞され、肺の一部分が隔離されると、肺は、例えば100%酸素により換気可能であるが、それに限定するものではない。センサが閉塞装置の遠位に位置付けられると、経時的に酸素減少を示す酸素波形を得ることが可能である。802を参照のこと。酸素が、(例えば、肺の健康な部分から得られる)参照酸素減少率よりも速い率で消耗した場合、恒久的もしくは半恒久的な閉塞装置または弁が、酸素測定中に閉塞された部位に配置可能である。804、805を参照のこと。さらには、酸素濃度が、肺のターゲット部分においてゼロに近づいた場合、すべての側副通路は、閉塞される可能性がある。しかし、酸素が比較的早い率で消耗しなかった場合、その部位は、側副通路から酸素を供給されているか、または監視されている部位自体が、側副通路であってよい可能性がある。このような場合には、治療は、肺の罹患部分に供給していると疑われる別の通路に対して手順を繰り返すこと、および/または測定された第1の部位に供給している可能性がある別の側副通路を閉鎖することを含むことが可能である。805を参照のこと。側副の空気流量は、本明細書に説明するものを含むが、それらに限定するものではない任意の適切なやり方で識別可能である。側副の空気路が閉塞されると、試験は再度、開始可能である。
【0080】
上述したように、センサは、流体流量の速度を測定することが可能である。流体の速度を測定することは、気管支気道内の狭窄を検出するために使用可能である。気管支気道内の狭窄は、例えば腫瘍によって、または喘息によって生じる場合があるが、それに限定するものではない。カテーテルは、目視によって、または任意の適切なタイプの医療用画像化によって識別されたターゲット位置を超えて気道を下方へ縫うようにして進むことが可能である。一般に、気道は、遠位方向で大きさが縮小する。したがって、退縮の間、空気の流れの速度は、低下すると予想されることになる。カテーテルが退縮するとき、カテーテルが速度の上昇を感知した場合、気道の狭窄が存在し得る。したがって、可能性がある腫瘍位置が、気道内の流れの制限を識別することによって識別可能である。
【0081】
図9を参照すると、本発明の特定の実施形態は、肺腫瘍を含む機能不全の肺組織の治療の過程において、酸素センサの使用を提供する。肺腫瘍は、本明細書に開示する様々な実施形態を使用して検出可能であるが、それらはまた、当技術分野において知られている他の手段により検出可能である。肺腫瘍の場合には、いくつかの腫瘍が、部分的に、または完全に、肺通路を閉塞している場合があり、治療は、燃焼の恐れを伴うレーザ切除または他の治療装置から成ることが可能である。一部の患者は、酸素富化雰囲気を呼吸している場合があるので、レーザ切除および類似する治療は時に、肺内での燃焼の恐れ、明らかに望ましくない結果を伴うことがある。
【0082】
そのため、いくつかの実施形態においては、酸素センサは、治療すべき領域に近接して位置付けられる。901を参照のこと。次いで、酸素濃度が、治療の前および治療中に測定可能である。902を参照のこと。酸素濃度があまりにも高過ぎ、それにより、燃焼の恐れが存在する場合、操作者は、(例えば、患者が呼吸する酸素富化雰囲気の酸素濃度を抑えること、または治療すべき肺通路を少なくとも部分的に閉塞することによって、)局所酸素濃度を抑え、酸素濃度が低下するのを待つステップを取ることが可能である。903、904を参照のこと。いくつかの実施形態においては、システムを、レーザ治療装置と一体化することが可能であり、それにより、レーザは、酸素濃度レベルが所定の閾値を超えたとき、自動的に停止される。治療部位付近の酸素濃度がもはや、それほど燃焼の恐れがないほど十分に低い場合、操作者は治療手順を開始し、継続または維持するように選択することが可能である。905を参照のこと。
【0083】
上述したように、有利には、システムは、肺内での直接的な監視を可能にする。上述のシステムは、遠位端における1つまたは複数のセンサを特徴付けているが、1つまたは複数のセンサは、カテーテルの長さに沿って様々な位置に位置付けられることが可能であり、それにより、測度は、同時にもしくはほぼ同時に、または種々の間隔で、および気道に沿う種々の位置で取得可能になる。例えば、近位センサは、ベースラインサンプルまたは参照を作成することが可能であり、同時に遠位センサは、部位ベースのサンプルを作成することが可能になる。加えて、いくつかの実施形態においては、センサのうちの1つまたは複数は、取外し可能および無線動作可能とすることができる。
【0084】
したがって、上述のシステムおよび方法は、いくつかの他の有利な方法をもたらす。いくつかの構成においては、個々の肺および/または肺の区域の性能は調査可能であるので、肺の移植処置は、臓器提供者または移植希望者における2つの肺のうちの優れている方が識別されることを可能にすることによって改善可能である。さらには、機械的換気は、例えば、酸素の吸収または交換に関与するが、それらに限定するものではない肺の能力に焦点を合わせることによって改善可能である。さらには、情報は、肺の下葉を評価するために得ることが可能であり、概して、1回の呼吸換気量には使用されない。いくつかのアプリケーションにおいては、全体的な肺の状態および健康かどうかを確定する肺の総合的分析が実施可能である。このような分析は、任意の他のタイプの治療に進む前に、有用なデータを提供することができる。いくつかのアプリケーションにおいては、システムは、肺塞栓症の識別および/または治療のための診断ツールとして機能することが可能であり、システムは、治療中および/または治療後の肺の改善を監視し、検査するために使用可能である。システムは、塞栓症が位置する場所を確定するための技術として肺容量の推移を検出することが可能である。システムは、VQスキャンまたは肺換気/血流スキャンを精査し、分析し、かつ/または実施するために使用可能である。いくつかの実施形態においては、システムは、ユーザが、ガス濃度を監視しながらポンプでガスを送り込み、吸い出すことを可能にするマルチルーメンバルーン(および/またはバルーンカテーテル)を使用するように構成可能である。いくつかの実施形態においては、ポンピングおよび感知は、バルーンに対して近位で実行可能である。さらには、いくつかの構成においては、肺の一部分を閉塞し、その肺の閉塞部分を独立して換気すると同時に、肺のその部分内のガス交換を監視することによって、呼吸交換比または呼吸商がマッピング可能になり、それにより、無効な肺区域が識別されて、治療することが可能になる。
【0085】
上述の1つまたは複数の実施形態および/もしくは方法は、肺機能に関係するいくつかのパラメータのうちの1つまたは複数を測定するための肺の診断システムを提供し、そのパラメータは、患者の肺の診断、治療、および監視に使用可能である。本明細書で使用する用語「患者」および「被検者」は、例えば霊長類、犬、猫、羊、牛、山羊、豚、馬、ラット、ネズミ、ウサギ、モルモットなど、しかし、それらに限定するものではないヒトおよび動物を含む哺乳類を示すことが可能である。用語「患者」および用語「被検者」は、相互交換可能に使用可能である。さらには、本明細書で使用する場合、用語「近位」および用語「遠位」はそれぞれ、その通常の意味を持つものとし、具体的には、「近位」は口腔に向かうこと、または身体から外側に向かって通じるように示す方向にあることを意味し、「遠位」は肺に向かうこと、または身体のさらに内側に向かって通じるように示す方向にあることを意味する。
【0086】
本発明を特定の好ましい実施形態および例の文脈において開示してきたが、当業者には、本発明が、具体的に開示された実施形態を越えて、他の代替の実施形態、および/または本発明の使用法、ならびにそれらの明らかな修正形態および均等物にまで及ぶことが理解されるであろう。例えば、本発明の実施形態の特定の特徴、態様、および利点は、肺、またはそれの関連する通路内での使用の文脈において開示してきたが、本発明の実施形態のいくつかの特徴、態様、および利点は、他の身体の管腔または腔との有用性を見出すことが可能である。例えば、システムは、虚血腸管のアプリケーションのために構成されていても、または胃食道逆流疾患のアプリケーションのために構成されていてもよい。いくつかの実施形態においては、システムは、睡眠時無呼吸のアプリケーションのために構成されていてよい。例えば、システムは、移植されるように、かつ/または呼吸停止の間に生じる場合がある酸素減少に応答して、筋肉応答を促進させることが可能な装置を移植するのに役立つように構成されていてよい。加えて、本発明のいくつかの変形形態を詳細に示し、説明してきたが、本発明の範囲内にある他の修正形態が、本開示に基づいて、当業者には容易に明らかになるであろう。また、実施形態の具体的な特徴および態様の様々な組合せまたは副組合せが行われ、さらには本発明のうちの1つまたは複数の中に入ることが可能であることも企図される。したがって、開示される実施形態の様々な特徴および態様が、本開示発明の様々なモードを形成するために、互いと組み合わせられても、または互いに置き換えられてもよいことを理解されたい。したがって、本明細書に開示される本発明の範囲は、上述の特定の開示実施形態によって限定すべきでないことを意図する。
【符号の説明】
【0087】
90 肺診断システム
100 遠位端
101 カテーテル
102 気管支鏡
103 センサ
105 閉塞装置
106 ルーメン
110 コントローラ
201 酸素センサ
202 光ファイバケーブル
203 遠隔分光光度計
204 温度センサ
205 ワイヤ
206 カバー
207 プロセッサ
301 加熱要素
302 ワイヤリード
303 温度センサ
304 温度センサ
620 酸素波形
621 酸素波形
622 酸素波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位端を含み、気管支鏡内に嵌合するようになされているカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端に配設され、肺の1つまたは複数の生理学的パラメータを検出することが可能な少なくとも1つのセンサと
を備える、肺の生理学的パラメータを査定するための装置。
【請求項2】
前記センサは、酸素センサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサは、空気流量センサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記空気流量センサは、吸気方向および呼気方向の両方の空気流量を測定することが可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記空気流量速度センサは、熱線流速計を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記空気流量センサは、サーミスタを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記センサは、pHセンサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カテーテルは、閉塞用バルーンをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記センサは、データを外部装置に中継する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
肺内に位置する第1の参照部位にセンサを進めるステップと、
少なくとも1回の患者の呼吸サイクルの間に、前記第1の参照部位から酸素濃度を測定するステップと、
前記第1の参照部位よりも遠位に位置する1つまたは複数の肺区域に前記センサを進め、少なくとも1回の患者の呼吸サイクルの間に、前記1つまたは複数の肺区域から酸素濃度を測定するステップと、
前記1つまたは複数の肺区域で測定された前記酸素濃度を、前記参照部位で測定された前記酸素濃度と相関付けて、酸素吸収が不足している肺区域を確定するステップと、
1つまたは複数の治療装置を酸素吸収が不足していると識別された前記肺区域内に配置するステップと
を含む、気腫を治療する方法。
【請求項11】
前記治療装置は、一方向弁を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸素濃度は、複数の肺区域で測定され、前記肺区域は、酸素吸収の順番にランク付けされ、前記治療装置は、前記酸素吸収が所定のカットオフ値を下回る前記遠位肺区域内に配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の遠位肺区域における前記酸素吸収は、操作者によって分析されるためにグラフィカルに示される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
肺内の空気漏れを治療する方法であって、患者の肺内に少なくとも部分的に挿入された胸部管内にガスセンサを挿入するステップを含み、
遠位肺通路を隔離するステップと、
前記隔離された遠位肺通路をガスにより加圧するステップと、
ガス濃度を前記ガスセンサにより監視するステップと、
前記ガス濃度が上昇した場合、前記遠位肺通路を閉塞し、前記ガス濃度が上昇しなかった場合、別の遠位肺通路で前記手順を繰り返すステップと
をさらに含む、方法。
【請求項15】
前記ガスは、酸素である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記肺通路は、一方向弁で閉塞される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
肺内の側副換気を検出する方法であって、
空気流量センサを肺通路内に挿入するステップと、
吸気の間、前記肺通路内の前記空気流量センサを使用して空気流量速度を検出するステップと、
呼気の間、前記肺通路内の前記空気流量センサを使用して空気流量速度を検出するステップであって、吸気の間に検出された前記空気流量速度が、呼気の間に検出された前記空気流量速度よりも大きい場合、前記通路は、側副通路に供給していると確定され、治療される、ステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記治療は、一方向弁を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
肺内の好気性細菌感染症を治療する方法であって、
参照酸素減少率を得るステップと、
酸素センサおよび閉塞用バルーンを備えるカテーテルを、感染していると疑われる肺区域に進めるステップと、
前記閉塞用バルーンにより、感染していると疑われる前記肺区域を閉塞するステップと、
感染していると疑われる前記肺区域内の酸素減少率を測定するステップと、
感染していると疑われる前記肺区域内の前記酸素減少率が、前記参照酸素減少率よりも大きい場合、治療を開始するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記治療は、一方向弁により肺区域を閉塞するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記参照酸素減少率は、感染していないと分かっている前記肺の一区域から得られる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記参照酸素減少率は、標準化されたデータ源から得られる、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
酸素富化ガス混合物を呼吸する患者の肺腫瘍を治療する方法であって、
肺腫瘍部位に、酸素センサを備えるカテーテルを進めるステップと、
前記肺腫瘍部位に、燃焼を引き起こす腫瘍治療装置を進めるステップと、
前記肺腫瘍部位で酸素濃度を監視するステップと、
前記肺腫瘍部位での前記酸素濃度が、所定の値を下回る間、前記腫瘍治療装置により前記肺腫瘍部位で治療を開始するステップと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−523363(P2011−523363A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507665(P2011−507665)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/042422
【国際公開番号】WO2009/135070
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(500397765)スピレーション インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】