直流コンセント
【課題】接続される直流機器の適合電圧値情報を取得し、適合電圧の違いに対応できる直流コンセントを提供する。
【解決手段】直流コンセント1は、分電盤からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続され、入力端子部2に入力された直流電力をプラグ102aを介して直流機器102に供給するプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信することにより、直流機器102の適合電圧値を検出する機器電圧検知回路5と、入力電圧検知回路4が検出した直流電圧値が、適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを光や音で表示する表示回路6とを備える。
【解決手段】直流コンセント1は、分電盤からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続され、入力端子部2に入力された直流電力をプラグ102aを介して直流機器102に供給するプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信することにより、直流機器102の適合電圧値を検出する機器電圧検知回路5と、入力電圧検知回路4が検出した直流電圧値が、適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを光や音で表示する表示回路6とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流コンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、負荷機器のプラグが着脱自在に接続され、当該プラグを介して動作電力を負荷機器に供給する交流コンセントが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献に開示されるコンセントは負荷機器に対して交流電源を供給するためのものであり、一般家庭で使用される交流用の負荷機器の多くは、AC100Vで動作するため、使用する電気機器の適合電圧値を気にせず、どのコンセントにも交流用の負荷機器を接続して使用することができた。
【特許文献1】特開平5−207626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、住宅への燃料電池や太陽光発電設備の導入が進みつつあり、このような住宅においては、燃料電池や太陽光発電設備により発電された直流電力を、各部屋に設置された直流コンセントに供給し、この直流コンセントに、直流電力の供給を受けて動作する直流機器を接続して使用することが検討されている。
【0005】
直流電力の供給を受けて動作する直流機器としては、6V系、12V系,24V系など複数種類の直流電圧値で動作するものが存在するため、直流用のコンセントにも6V系、12V系,24V系など複数種類の系統があり、適合電圧値の異なる直流機器がコンセントに接続される可能性があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、接続される直流機器の適合電圧値情報を取得し、適合電圧の違いに対応できる直流コンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、直流機器のプラグが着脱自在に接続され、当該プラグを介して直流機器に直流電力を供給するプラグ接続部と、プラグ接続部に接続される直流機器から、当該直流機器の適合電圧を示す適合電圧値情報を取得する電圧情報取得部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記電圧情報取得部は、プラグ接続部に接続された直流機器から、直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信する信号受信手段からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記電圧情報取得部は、前記プラグに設けられて前記適合電圧値情報を外部から非接触で読み取り可能な状態で記憶した記憶媒体より、前記適合電圧値情報を非接触で読み取る信号読取手段からなることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、プラグ接続部から直流機器に供給される直流電力の直流電圧値を検出する電圧検出部と、当該電圧検出部が検出した直流電圧値が、前記適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、外部から供給される直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部に供給する電圧変換部と、適合電圧値情報をもとに電圧変換部の出力電圧が適合電圧値となるように電圧変換部の出力を制御する電圧制御部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、直流機器のプラグが接続される際に電圧制御部が電圧変換部から適合電圧よりも低い最低動作電圧を出力させた状態で、電圧情報取得部が適合電圧値情報を取得し、当該適合電圧値情報に基づいて電圧制御部が電圧変換部の出力電圧を最低動作電圧から適合電圧に変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、電圧情報取得部により直流機器の適合電圧値情報を取得しているので、接続される直流機器の適合電圧に応じた処理を行うことができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、直流機器は、直流電圧に重畳させて適合電圧値情報を送信しているので、適合電圧値情報を送信するために別途の信号線を追加する必要が無く、電源ラインを利用して適合電圧値情報を送信することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、直流機器のプラグを信号読取手段の通信可能範囲内に近付けた時点で、プラグに設けた記憶媒体から適合電圧値情報が読み取られるので、プラグをプラグ接続部に接続する前に適合電圧値情報を読み取ることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、表示部の表示から、プラグ接続部より供給される直流電圧が直流機器の適合電圧と異なっているか否かを容易に判別することができる。ところで、分岐回路に直流電源を供給する分電盤から直流コンセントまでの配線長が長い場合、直流給電線路での電圧降下によって、プラグ接続部から供給される直流電圧が直流機器の適合電圧を下回る可能性があるが、その場合にも表示部の表示から、供給電圧が直流機器の適合電圧と異なっているか否かを容易に判別することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、直流機器の適合電圧に合わせて電圧変換部からの出力電圧を変化させているので、多種の適合電圧の直流機器を接続することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、電圧変換部から最低動作電圧を出力させた状態で、直流機器から適合電圧値情報を取得しているので、直流機器のプラグを接続した際に、適合電圧を越える電圧が直流機器に印加されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図6に基づいて説明する。本実施形態の直流コンセント1は、後述する直流配電システムに使用されるものであり、直流電力の供給を受けて動作する直流機器102のプラグが着脱自在に接続され、接続された直流機器102に対して直流電力を供給するものである。
【0021】
図1は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、後述する分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続され、入力端子部2に入力された直流電力をプラグ102aを介して直流機器102に供給するプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4(電圧検出部)と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信することにより、直流機器102の適合電圧値を検出する機器電圧検知回路5(信号受信手段、電圧情報取得部)と、入力電圧検知回路4が検出した直流電圧値が、適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを、2色発光の発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音により表示する表示回路6(表示部)とを備えている。この直流コンセント1では、機器電圧検知回路5により直流機器102の適合電圧値情報を取得しているので、接続される直流機器102の適合電圧に応じた処理を行うことができる。また直流機器102は、直流電圧に重畳させて適合電圧値情報を送信しているので、適合電圧値情報を送信するために別途の信号線を追加する必要が無く、電源ラインを利用して適合電圧値情報を送信することができる。
【0022】
ところで、宅内に設けた分電盤110から直流コンセント1までの配線長が長い場合、直流給電線路Wdcでの電圧降下が発生して、プラグ接続部3から供給される直流電圧(すなわち入力端子部2に入力される直流電圧)が直流機器102の適合電圧を下回る可能性がある。ここで、本実施形態の直流コンセント1では入力電圧が直流機器102の適合電圧に一致している場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを緑色点灯させるとともに、入力電圧が適合電圧を下回った場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを赤色点灯させるとともに、ブザー6bを鳴動させているので、発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音をもとに適合電圧が供給されているか否かを容易に判別することができる。したがって、直流機器102を直流コンセント1に接続しても、適合電圧が供給されていないために直流機器102が不動作になった場合に、発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音から直流機器102の不動作の理由を判断することができる。
【0023】
また、本実施形態の直流コンセント1の器体10は、図2及び図3に示すように、耐トラッキング性に優れた熱硬化性合成樹脂(たとえば、ユリア樹脂)を用いて前面が開放された直方体状に形成されたボディ11と、弾性を有しかつ耐トラッキング性に優れた合成樹脂(たとえば、ポリブチレンテレフタレート=PBT)を用いて後面が開放された直方体状に形成されたカバー12とを結合することにより形成される。器体10は後述する規定の単位寸法を有している。尚、以下の説明では特に断りが無い限り、図2(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図2(a)中の正面を前面と言う。したがって、図2(b)中の下側は後側となる。
【0024】
ボディ11の左右両端面には各一対の組立爪13が突設されている。一方、カバー12の左右両端部にはそれぞれ肩部14が突設され、各肩部14の後縁からボディ11に向かってそれぞれ組立片15が突設される。各組立片15にはボディ11に設けた組立爪13と凹凸係合する各一対の係合孔16が形成される。組立爪13の前端部には前方ほどボディ11からの突出量を小さくするように傾斜した誘導面13aが形成されている。したがって、ボディ11にカバー12を組み付けるときには、組立片15が誘導面13aに沿って撓み、最終的に組立片15に設けた係合孔16が組立爪13に嵌合することによって、ボディ11とカバー12とが結合される。このように、組立片15を撓ませる必要があるから、カバー12を弾性を有した合成樹脂で形成しているのである。
【0025】
ボディ11の内部には、正極用の刃受部材20aと負極用の刃受部材20bとが収納されている。各刃受部材20a,20bは同一の形状に形成されており、互いに対向する一対のばね片21と、両ばね片21の基部を連続一体に結合する連結片22とを備える。また一方のばね片21の両側縁からは、互いに離れる向きに突出する形で端子片23がばね片21と連続一体に形成されている。またボディ11内部の底側には、刃受部材20a,20bにそれぞれ電気的に接続されると共に、図1で説明した各回路要素が形成されたプリント配線板(図示せず)が収納されている。
【0026】
さらにボディ11の内部には、各刃受部材20a,20bの端子片23と対向する形で鎖錠ばね24が配置されている。鎖錠ばね24は帯板の一端部をJ字状に曲成して接触片25を形成するとともに、他端部をS字状に曲成して鎖錠片26を形成したものであって、接触片25および鎖錠片26を端子片23に対向させる形でボディ11内に収納される。また2個の鎖錠ばね24の鎖錠片26に対向するようにして、電線の接続状態を解除するための解除釦27が収納されている。なおボディ11の内部には、各刃受部材20a,20bの間に挿入される仕切り壁17が設けられている。
【0027】
またボディ11の底面には、端子片23と鎖錠ばね24との間に電線を導入することができるように電線挿入口(図示せず)が開口している。この電線挿入口を通してボディ11の内部に、直流給電線路Wdcを構成する電線の被覆が剥かれた芯線を導入すると、鎖錠ばね24と端子片23との間に電線の芯線が挿入され、接触片25および鎖錠片26のばね力によって電線が端子片23との間に挟持され、かつ鎖錠片26が電線に食い込むことによって電線を引き抜くことができなくなる。一方、電線の接続状態を解除する際には、解除釦27に対応する部位でボディ11の底面に開口する操作孔(図示せず)から、マイナスドライバーなどの工具の先端を挿入して解除釦27を押動すると、解除釦27によって鎖錠片26が電線から離れる方向に撓められるので、電線の鎖錠状態が解除され、電線を容易に引き抜くことができる。ここにおいて、各刃受部材20a,20bの端子片23や鎖錠ばね24などから上述の入力端子部2が構成されている。
【0028】
一方、カバー12の前壁には、直流機器102のプラグ102aに設けた一対の栓刃102bが挿抜自在に挿入される差込部18が1口分形成されており、差込部18には、各刃受部材20a,20bのばね片21,21に対応する部位にそれぞれ開口する一対の挿入口18a,18bを有している。ここにおいて、差込部18と刃受部材20a,20bとで上述のプラグ接続部3が構成される。なお挿入口18a,18bは正極側と負極側とで長さ寸法を異ならせており、誤接続を防止している。また、カバー12の前壁の右上部には、上述のプリント配線板に実装された発光ダイオード6aの発光部を露出させるための窓孔12aが設けられている。
【0029】
なお本実施形態ではプラグ接続部3の差込部18を、一対の平行栓刃が挿入される挿入口18a,18bで構成しているが、プラグ接続部3の構成を上記の構成に限定する趣旨のものではなく、図4(a)に示すように丸ピン形状の接触ピンが挿入される挿入口18a,18bを有したプラグ接続部3としても良いし、図4(b)に示すようにIEC60906−3に準拠した形状の差込部18を有するプラグ接続部3としても良く、種々の形態のプラグ接続部3を有する直流コンセント1に本発明を適用することが可能である。
【0030】
上述の器体10は、例えば埋込形配線器具を造営面に取着する際に用いる従来周知のプレートに取り付けられるものであって、カバー12の両側面に設けた肩部14にはプレートに結合するために各一対の取付爪19が突設されている。取付爪19の前端部には前方ほど肩部14からの突出量を小さくするように傾斜した傾斜面19aが形成されている。本実施形態の器体10は、規格化された上記のプレートに対して短幅方向に並べて3個まで取り付けることができるような大きさに形成されており、このような器体10の寸法を1個モジュール寸法という。ここにおいて器体10の大きさを1個モジュール寸法に限定する趣旨のものではなく、2個モジュール或いは3個モジュール寸法の大きさに形成しても良い。
【0031】
なお本実施形態では、直流コンセント1側で直流機器102への供給電圧が直流機器102の適合電圧と異なっているか否かを判定しているが、図5に示すように直流機器102に、直流コンセント1からの供給電圧が適合電圧か否かを判定する判定回路102cと、判定回路102cの判定結果を直流電圧に重畳して直流コンセント1へ送信する送信回路102dを設けるとともに、直流コンセント1に、プラグ接続部3に接続された直流機器102の送信回路102dから直流電圧に重畳して送信された信号を受信する受信回路7を設け、受信回路7の受信内容に基づいて表示回路6が発光ダイオード6aの発光状態やブザー6bの鳴動状態を制御するようにしても良い。本回路では、プラグ接続部3に直流機器102のプラグ102aを接続すると、直流コンセント1から直流機器102に直流電圧が供給される。直流コンセント1からの給電により、直流機器102の判定回路102cおよび送信回路102dが動作を開始し、判定回路102cが直流コンセント1から供給される直流電圧値が自己の適合電圧と異なっているか否かを判定して、判定結果を送信回路102dから送信させる。この時、直流コンセント1の受信回路7が直流機器102の送信回路102dから送信された信号を受信し、この受信内容に基づいて表示回路6が発光ダイオード6aの発光色を切り替えたり、ブザー6bを鳴動又は停止させているので、上述と同様、発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音をもとに適合電圧が供給されているか否かを容易に判別することができる。
【0032】
また図6に示すように直流機器102のプラグ102aに、当該直流機器102の適合電圧を示す適合電圧値情報を外部から非接触で読み取り可能な状態で記憶したRFタグ102e(記憶媒体)を組み込むとともに、直流コンセント1に、プラグ102aに設けたRFタグ102aとの間で電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信を行うことによって、非接触で適合電圧値情報を読み取るリーダ8を設け、表示回路6が、リーダ8の読み取った適合電圧値情報をもとに、入力電圧検知回路4の検出した直流電圧値が、適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを判定して、その判定結果を発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音で表示するようにしても良い。なお、リーダ8およびRFタグ102eは従来周知の構成を有しているので、図示および説明は省略する。
【0033】
本回路では、RFタグ102eを組み込んだプラグ102aを直流コンセント1に近付けると、リーダ8の通信可能エリア内に入ったRFタグ102eが、リーダ8からの電力供給を受けて動作を開始し、RFタグ102eから適合電圧値情報が無線信号により送信される。そして、RFタグ102eから無線信号で送信された適合電圧値情報はリーダ8によって受信されて表示回路6に送られ、表示回路6が、入力電圧検知回路4の検知した入力電圧と、リーダ8が受信した適合電圧値情報の示す適合電圧値とを比較する。ここで、入力電圧が直流機器102の適合電圧に一致している場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを緑色点灯させ、入力電圧が適合電圧を下回った場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを赤色点灯させるとともに、ブザー6bを鳴動させている。したがって、本構成によれば、プラグ102aを直流コンセント1に接続する前の時点、すなわちプラグ102aに組み込んだRFタグ102eがリーダ8の通信可能範囲に入った時点で、RFタグ102eから適合電圧値情報を読み取ることができ、さらに発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音をもとに適合電圧が供給されているか否かを容易に判別することができる。
【0034】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図7及び図8に基づいて説明する。尚、本実施形態の直流コンセント1は、実施形態1で説明した直流コンセント1と同様の構造を備えているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0035】
図7は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続されるプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部3に供給するDC−DCコンバータ30(電圧変換部)と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4(電圧検出部)と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信することにより、直流機器102の適合電圧値を検出する機器電圧検知回路5(信号受信手段、電圧情報取得部)と、入力電圧検知回路4の検出電圧値および機器電圧検知回路5が検出した直流機器102の適合電圧値をもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧が直流機器102の適合電圧値となるようにDC−DCコンバータ30の出力を制御する制御回路31(電圧制御部)とを備えている。
【0036】
図8は分電盤110(図中P1の位置)から直流コンセント1の入力端子部2(図中P2の位置)に至るまでの直流給電線路Wdcの途中位置における直流電圧値およびプラグ接続部3の出力端(図中P3の位置)における直流電圧値をそれぞれ示しており、分電盤110から直流コンセント1までの配線長が長くなると、直流給電線路Wdcでの電圧降下により、直流コンセント1への入力電圧Vinが漸減し、直流コンセント1に接続される直流機器102の適合電圧値V1を下回る場合がある。そして、直流コンセント1への入力電圧Vinが直流機器102の正常動作電圧ΔV1よりも低い電圧V2となった場合、DC−DCコンバータ30を備えていない直流コンセント1に直流機器102を接続しても、直流機器102が正常に動作しない可能性がある。それに対して本実施形態の直流コンセント1では、機器電圧検知回路5が、実施形態1で説明したのと同様の方法で直流機器102の適合電圧値V1を検出するとともに、入力電圧検知回路4が入力電圧Vinを検出しており、制御回路31は、DC−DCコンバータ30の出力電圧が直流機器102の適合電圧値V1に一致するよう、DC−DCコンバータ30の動作を制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。また制御回路31は、直流機器102の適合電圧に合わせてDC−DCコンバータ30の出力電圧を変化させているので、多種の適合電圧の直流機器102を接続することができる。
【0037】
また、分電盤110から直流コンセント1に供給される直流電圧V3が、直流機器102の適合電圧値V1と元々異なっている場合は、直流給電線路Wdcでの電圧降下が無かったとしても、入力電圧Vinが直流機器102の最低動作電圧V2を下回る可能性があるが、このような場合でも本実施形態の直流コンセント1では、直流機器102の適合電圧に出力電圧が一致するよう、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。
【0038】
なお本実施形態では機器電圧検知回路5が、直流コンセント1に接続される直流機器102との間で直流電圧に重畳した信号の送受信を行うことで、直流機器102から適合電圧値情報を受信しているが、実施形態1で説明したように、直流機器102のプラグ102aに、適合電圧値情報を記憶したRFタグを組み込むとともに、直流コンセント1にリーダを設け、RFタグから非接触で適合電圧値情報を読み取るようにしても良い。また、直流コンセント1に出力電圧を切替操作するための切替スイッチを設け、ユーザによる切替スイッチの切替操作に応じて、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を切り替えるようにしても良い。
【0039】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図9及び図10に基づいて説明する。尚、本実施形態の直流コンセント1は、実施形態1で説明した直流コンセント1と同様の構造を備えているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0040】
図9は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続されるプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部3に供給するDC−DCコンバータ30(電圧変換部)と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された信号を受信する電圧信号受信回路32(電圧情報取得部)と、電圧信号受信回路32の受信した情報に基づいてDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutが直流機器102の適合電圧値となるようにDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを制御する制御回路31(電圧制御部)とを備えている。
【0041】
ここで、本実施形態の直流コンセント1の動作を図10(a)に基づいて説明する。実施形態2で説明した直流コンセント1では、直流機器102が接続される時点では、入力電圧Vinをそのまま出力しており、その後直流機器102から適合電圧値情報を取得すると、出力電圧を適合電圧V1に制御しているのに対して、本実施形態では直流機器102のプラグ102aが接続されていない状態では(時刻t1)、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを0Vに制御している。
【0042】
直流コンセント1はプラグ102aの挿入を検出する検出スイッチ(図示せず)を備えており、直流機器102のプラグ102aがプラグ接続部3に接続されると、検出スイッチによりプラグ102aの挿入が検出されて、検出信号が制御回路31に与えられる。制御回路31は、時刻t2において検出スイッチから挿入検出信号が入力されると、DC−DCコンバータ30の動作を開始させ、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを0Vから徐々に漸増させており、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutが直流機器102の最低動作電圧を超えると、直流機器102が動作を開始する。
【0043】
直流機器102は、直流コンセント1の出力電圧Voutが適合電圧V1か否かを判定する判定回路102cと、判定回路102cの判定結果を直流電圧に重畳して直流コンセント1へ送信する送信回路102dを備えており、時刻t3において出力電圧Voutが適合電圧V1まで上昇したと判定回路102cが判定すると、送信回路102dから直流コンセント1へ判定回路102cの判定結果が送信される。
【0044】
一方、直流コンセント1では、時刻t3において電圧信号受信回路32が直流機器102から送信された信号を受信すると、制御回路31が、電圧信号受信回路32の受信した信号の受信内容をもとに、直流機器102の適合電圧V1に達したと判断し、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutの漸増制御を停止し、出力電圧Voutを一定値(適合電圧V1)に制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。ここにおいて、本実施形態では直流機器102から適合電圧に達したことを示す情報(適合電圧値情報)を取得する電圧信号受信回路32により電圧情報取得部が構成される。
【0045】
このように本実施形態では、プラグ接続部3に直流機器102のプラグ102aが接続された時点ではDC−DCコンバータ30の出力電圧が0Vとなっており、その後、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を0Vから漸増させ、出力電圧が適合電圧に達した時点でDC−DCコンバータ30の出力電圧を一定値に制御しているので、プラグ102aを接続した際に直流機器102に適合電圧を越える高電圧が印加されることはなく、直流機器102の内部回路に過大なストレスが加わるのを防止することができる。
【0046】
なお本実施形態において、プラグ接続部3に直流機器102が接続されると、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を0Vから漸増させているが、図10(b)に示すように直流機器102が接続された時点(時刻t11)で直流機器102の送信回路102dが動作可能な電圧(例えば5V)を出力させるようにしても良く、この場合の直流コンセント1の動作を以下に説明する。尚、この場合は直流機器102側に送信回路102dのみを設けておけば良く、上述した判定回路102cは不要である。
【0047】
直流機器102のプラグ102aが接続されていない状態では、制御回路31はDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを0Vに制御している。その後、時刻t11において直流機器102のプラグ102aがプラグ接続部3に接続されると、検出スイッチによりプラグ102aの挿入が検出されて、検出信号が制御回路31に与えられる。制御回路31は、時刻t11において検出スイッチから挿入検出信号が入力されると、DC−DCコンバータ30の動作を開始させ、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを5Vに制御する。この時、直流機器102では、直流コンセント1からの電圧供給を受けて、送信回路102dが動作を開始し、送信回路102dから適合電圧値を示す適合電圧値情報を出力する。
【0048】
そして、直流コンセント1では、時刻t12において電圧信号受信回路32が直流機器102から送信された信号を受信すると、制御回路31が、電圧信号受信回路32の受信した適合電圧値情報をもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを適合電圧V1に制御しているので(時刻t13)、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。
【0049】
このように本実施形態では、プラグ接続部3に直流機器102のプラグ102aが接続された時点では、DC−DCコンバータ30の出力電圧が、直流機器102の適合電圧よりも低い最低動作電圧に設定され、この状態で電圧情報取得部たる電圧信号受信回路32が直流機器102から適合電圧値情報を取得し、この適合電圧値情報に基づいて制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を最低動作電圧から適合電圧に変化させているので、プラグ102aを接続した際に直流機器102に適合電圧を越える高電圧が印加されることはなく、直流機器102の内部回路に過大なストレスが加わるのを防止することができる。
【0050】
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図11に基づいて説明する。尚、本実施形態の直流コンセント1は、実施形態1で説明した直流コンセント1と同様の構造を備えているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0051】
図11は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続されるプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部3に供給するDC−DCコンバータ30(電圧変換部)と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4(電圧検出部)と、直流機器102のプラグ102aに設けたRFタグ102aから非接触で適合電圧値情報を読み取るリーダ8と、入力電圧検知回路4の検出電圧値およびリーダ8が読み取った適合電圧値情報をもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧が直流機器102の適合電圧値となるようにDC−DCコンバータ30の出力を制御する制御回路31(電圧制御部)とを備えている。
【0052】
ここで、直流機器102のプラグ102aには、適合電圧値情報を外部より非接触で読取可能な状態で記憶したRFタグ102eを組み込んであり、このようなプラグ102aを直流コンセント1に近付けると、リーダ8の通信可能エリア内に入ったRFタグ102eが、リーダ8からの電力供給を受けて動作を開始し、RFタグ102eから適合電圧値情報が無線信号により送信される。そして、RFタグ102eから無線信号で送信された適合電圧値情報はリーダ8によって受信されて制御回路31に送られる。また制御回路31には、入力電圧検知回路4の検出した入力電圧値が入力されており、制御回路31が、入力電圧の電圧値と、リーダ8から入力された適合電圧値情報とをもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutが直流機器102の適合電圧値V1に一致するよう、DC−DCコンバータ30の動作を制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。
【0053】
ところで、上述の各実施形態で説明した直流コンセント1は、以下に示す直流配電システムに用いられるものである。ここでは本発明を適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。家屋Hには、図12に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流給電線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流給電線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流給電線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
【0054】
直流給電線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流給電線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0055】
直流給電線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0056】
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなる玄関システムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0057】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102および玄関システムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流給電線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102と玄関システムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
【0058】
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント1に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
【0059】
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
【0060】
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流給電線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0061】
上述した直流コンセント1、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント1、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
【0062】
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(上記の例では例えば栓刃102b)が差し込まれる差込式の接続口(例えば差込部18)が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受け(例えば刃受部材20a、20b)が器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流給電線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
【0063】
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0064】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0065】
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
【0066】
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
【0067】
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
【0068】
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
【0069】
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
【0070】
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
【0071】
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
【0072】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0073】
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
【0074】
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
【0075】
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流給電線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0076】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0077】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0078】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0079】
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流供給部を設けることができるから、直流供給部を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流給電線路Wdcの距離が小さくなるから、直流給電線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施形態1の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図2】同上を示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は左側面図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】(a)(b)は同上のプラグ接続部の他の構成を示す正面図である。
【図5】同上の他の構成を示す概略的なブロック図である。
【図6】同上のまた別の構成を示す概略的なブロック図である。
【図7】実施形態2の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図8】同上の動作を説明する説明図である。
【図9】実施形態3の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図10】(a)(b)は同上の動作を説明する説明図である。
【図11】実施形態4の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図12】各実施形態の直流コンセントを用いる直流配電システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
【0081】
1 直流コンセント
2 入力端子部
3 プラグ接続部
4 入力電圧検知回路
5 機器電圧検知回路(電圧情報取得部)
6 表示回路
102 直流機器
102a プラグ
Wdc 直流給電線路
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流コンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、負荷機器のプラグが着脱自在に接続され、当該プラグを介して動作電力を負荷機器に供給する交流コンセントが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献に開示されるコンセントは負荷機器に対して交流電源を供給するためのものであり、一般家庭で使用される交流用の負荷機器の多くは、AC100Vで動作するため、使用する電気機器の適合電圧値を気にせず、どのコンセントにも交流用の負荷機器を接続して使用することができた。
【特許文献1】特開平5−207626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、住宅への燃料電池や太陽光発電設備の導入が進みつつあり、このような住宅においては、燃料電池や太陽光発電設備により発電された直流電力を、各部屋に設置された直流コンセントに供給し、この直流コンセントに、直流電力の供給を受けて動作する直流機器を接続して使用することが検討されている。
【0005】
直流電力の供給を受けて動作する直流機器としては、6V系、12V系,24V系など複数種類の直流電圧値で動作するものが存在するため、直流用のコンセントにも6V系、12V系,24V系など複数種類の系統があり、適合電圧値の異なる直流機器がコンセントに接続される可能性があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、接続される直流機器の適合電圧値情報を取得し、適合電圧の違いに対応できる直流コンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、直流機器のプラグが着脱自在に接続され、当該プラグを介して直流機器に直流電力を供給するプラグ接続部と、プラグ接続部に接続される直流機器から、当該直流機器の適合電圧を示す適合電圧値情報を取得する電圧情報取得部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記電圧情報取得部は、プラグ接続部に接続された直流機器から、直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信する信号受信手段からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記電圧情報取得部は、前記プラグに設けられて前記適合電圧値情報を外部から非接触で読み取り可能な状態で記憶した記憶媒体より、前記適合電圧値情報を非接触で読み取る信号読取手段からなることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、プラグ接続部から直流機器に供給される直流電力の直流電圧値を検出する電圧検出部と、当該電圧検出部が検出した直流電圧値が、前記適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、外部から供給される直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部に供給する電圧変換部と、適合電圧値情報をもとに電圧変換部の出力電圧が適合電圧値となるように電圧変換部の出力を制御する電圧制御部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、直流機器のプラグが接続される際に電圧制御部が電圧変換部から適合電圧よりも低い最低動作電圧を出力させた状態で、電圧情報取得部が適合電圧値情報を取得し、当該適合電圧値情報に基づいて電圧制御部が電圧変換部の出力電圧を最低動作電圧から適合電圧に変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、電圧情報取得部により直流機器の適合電圧値情報を取得しているので、接続される直流機器の適合電圧に応じた処理を行うことができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、直流機器は、直流電圧に重畳させて適合電圧値情報を送信しているので、適合電圧値情報を送信するために別途の信号線を追加する必要が無く、電源ラインを利用して適合電圧値情報を送信することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、直流機器のプラグを信号読取手段の通信可能範囲内に近付けた時点で、プラグに設けた記憶媒体から適合電圧値情報が読み取られるので、プラグをプラグ接続部に接続する前に適合電圧値情報を読み取ることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、表示部の表示から、プラグ接続部より供給される直流電圧が直流機器の適合電圧と異なっているか否かを容易に判別することができる。ところで、分岐回路に直流電源を供給する分電盤から直流コンセントまでの配線長が長い場合、直流給電線路での電圧降下によって、プラグ接続部から供給される直流電圧が直流機器の適合電圧を下回る可能性があるが、その場合にも表示部の表示から、供給電圧が直流機器の適合電圧と異なっているか否かを容易に判別することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、直流機器の適合電圧に合わせて電圧変換部からの出力電圧を変化させているので、多種の適合電圧の直流機器を接続することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、電圧変換部から最低動作電圧を出力させた状態で、直流機器から適合電圧値情報を取得しているので、直流機器のプラグを接続した際に、適合電圧を越える電圧が直流機器に印加されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図6に基づいて説明する。本実施形態の直流コンセント1は、後述する直流配電システムに使用されるものであり、直流電力の供給を受けて動作する直流機器102のプラグが着脱自在に接続され、接続された直流機器102に対して直流電力を供給するものである。
【0021】
図1は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、後述する分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続され、入力端子部2に入力された直流電力をプラグ102aを介して直流機器102に供給するプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4(電圧検出部)と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信することにより、直流機器102の適合電圧値を検出する機器電圧検知回路5(信号受信手段、電圧情報取得部)と、入力電圧検知回路4が検出した直流電圧値が、適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを、2色発光の発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音により表示する表示回路6(表示部)とを備えている。この直流コンセント1では、機器電圧検知回路5により直流機器102の適合電圧値情報を取得しているので、接続される直流機器102の適合電圧に応じた処理を行うことができる。また直流機器102は、直流電圧に重畳させて適合電圧値情報を送信しているので、適合電圧値情報を送信するために別途の信号線を追加する必要が無く、電源ラインを利用して適合電圧値情報を送信することができる。
【0022】
ところで、宅内に設けた分電盤110から直流コンセント1までの配線長が長い場合、直流給電線路Wdcでの電圧降下が発生して、プラグ接続部3から供給される直流電圧(すなわち入力端子部2に入力される直流電圧)が直流機器102の適合電圧を下回る可能性がある。ここで、本実施形態の直流コンセント1では入力電圧が直流機器102の適合電圧に一致している場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを緑色点灯させるとともに、入力電圧が適合電圧を下回った場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを赤色点灯させるとともに、ブザー6bを鳴動させているので、発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音をもとに適合電圧が供給されているか否かを容易に判別することができる。したがって、直流機器102を直流コンセント1に接続しても、適合電圧が供給されていないために直流機器102が不動作になった場合に、発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音から直流機器102の不動作の理由を判断することができる。
【0023】
また、本実施形態の直流コンセント1の器体10は、図2及び図3に示すように、耐トラッキング性に優れた熱硬化性合成樹脂(たとえば、ユリア樹脂)を用いて前面が開放された直方体状に形成されたボディ11と、弾性を有しかつ耐トラッキング性に優れた合成樹脂(たとえば、ポリブチレンテレフタレート=PBT)を用いて後面が開放された直方体状に形成されたカバー12とを結合することにより形成される。器体10は後述する規定の単位寸法を有している。尚、以下の説明では特に断りが無い限り、図2(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図2(a)中の正面を前面と言う。したがって、図2(b)中の下側は後側となる。
【0024】
ボディ11の左右両端面には各一対の組立爪13が突設されている。一方、カバー12の左右両端部にはそれぞれ肩部14が突設され、各肩部14の後縁からボディ11に向かってそれぞれ組立片15が突設される。各組立片15にはボディ11に設けた組立爪13と凹凸係合する各一対の係合孔16が形成される。組立爪13の前端部には前方ほどボディ11からの突出量を小さくするように傾斜した誘導面13aが形成されている。したがって、ボディ11にカバー12を組み付けるときには、組立片15が誘導面13aに沿って撓み、最終的に組立片15に設けた係合孔16が組立爪13に嵌合することによって、ボディ11とカバー12とが結合される。このように、組立片15を撓ませる必要があるから、カバー12を弾性を有した合成樹脂で形成しているのである。
【0025】
ボディ11の内部には、正極用の刃受部材20aと負極用の刃受部材20bとが収納されている。各刃受部材20a,20bは同一の形状に形成されており、互いに対向する一対のばね片21と、両ばね片21の基部を連続一体に結合する連結片22とを備える。また一方のばね片21の両側縁からは、互いに離れる向きに突出する形で端子片23がばね片21と連続一体に形成されている。またボディ11内部の底側には、刃受部材20a,20bにそれぞれ電気的に接続されると共に、図1で説明した各回路要素が形成されたプリント配線板(図示せず)が収納されている。
【0026】
さらにボディ11の内部には、各刃受部材20a,20bの端子片23と対向する形で鎖錠ばね24が配置されている。鎖錠ばね24は帯板の一端部をJ字状に曲成して接触片25を形成するとともに、他端部をS字状に曲成して鎖錠片26を形成したものであって、接触片25および鎖錠片26を端子片23に対向させる形でボディ11内に収納される。また2個の鎖錠ばね24の鎖錠片26に対向するようにして、電線の接続状態を解除するための解除釦27が収納されている。なおボディ11の内部には、各刃受部材20a,20bの間に挿入される仕切り壁17が設けられている。
【0027】
またボディ11の底面には、端子片23と鎖錠ばね24との間に電線を導入することができるように電線挿入口(図示せず)が開口している。この電線挿入口を通してボディ11の内部に、直流給電線路Wdcを構成する電線の被覆が剥かれた芯線を導入すると、鎖錠ばね24と端子片23との間に電線の芯線が挿入され、接触片25および鎖錠片26のばね力によって電線が端子片23との間に挟持され、かつ鎖錠片26が電線に食い込むことによって電線を引き抜くことができなくなる。一方、電線の接続状態を解除する際には、解除釦27に対応する部位でボディ11の底面に開口する操作孔(図示せず)から、マイナスドライバーなどの工具の先端を挿入して解除釦27を押動すると、解除釦27によって鎖錠片26が電線から離れる方向に撓められるので、電線の鎖錠状態が解除され、電線を容易に引き抜くことができる。ここにおいて、各刃受部材20a,20bの端子片23や鎖錠ばね24などから上述の入力端子部2が構成されている。
【0028】
一方、カバー12の前壁には、直流機器102のプラグ102aに設けた一対の栓刃102bが挿抜自在に挿入される差込部18が1口分形成されており、差込部18には、各刃受部材20a,20bのばね片21,21に対応する部位にそれぞれ開口する一対の挿入口18a,18bを有している。ここにおいて、差込部18と刃受部材20a,20bとで上述のプラグ接続部3が構成される。なお挿入口18a,18bは正極側と負極側とで長さ寸法を異ならせており、誤接続を防止している。また、カバー12の前壁の右上部には、上述のプリント配線板に実装された発光ダイオード6aの発光部を露出させるための窓孔12aが設けられている。
【0029】
なお本実施形態ではプラグ接続部3の差込部18を、一対の平行栓刃が挿入される挿入口18a,18bで構成しているが、プラグ接続部3の構成を上記の構成に限定する趣旨のものではなく、図4(a)に示すように丸ピン形状の接触ピンが挿入される挿入口18a,18bを有したプラグ接続部3としても良いし、図4(b)に示すようにIEC60906−3に準拠した形状の差込部18を有するプラグ接続部3としても良く、種々の形態のプラグ接続部3を有する直流コンセント1に本発明を適用することが可能である。
【0030】
上述の器体10は、例えば埋込形配線器具を造営面に取着する際に用いる従来周知のプレートに取り付けられるものであって、カバー12の両側面に設けた肩部14にはプレートに結合するために各一対の取付爪19が突設されている。取付爪19の前端部には前方ほど肩部14からの突出量を小さくするように傾斜した傾斜面19aが形成されている。本実施形態の器体10は、規格化された上記のプレートに対して短幅方向に並べて3個まで取り付けることができるような大きさに形成されており、このような器体10の寸法を1個モジュール寸法という。ここにおいて器体10の大きさを1個モジュール寸法に限定する趣旨のものではなく、2個モジュール或いは3個モジュール寸法の大きさに形成しても良い。
【0031】
なお本実施形態では、直流コンセント1側で直流機器102への供給電圧が直流機器102の適合電圧と異なっているか否かを判定しているが、図5に示すように直流機器102に、直流コンセント1からの供給電圧が適合電圧か否かを判定する判定回路102cと、判定回路102cの判定結果を直流電圧に重畳して直流コンセント1へ送信する送信回路102dを設けるとともに、直流コンセント1に、プラグ接続部3に接続された直流機器102の送信回路102dから直流電圧に重畳して送信された信号を受信する受信回路7を設け、受信回路7の受信内容に基づいて表示回路6が発光ダイオード6aの発光状態やブザー6bの鳴動状態を制御するようにしても良い。本回路では、プラグ接続部3に直流機器102のプラグ102aを接続すると、直流コンセント1から直流機器102に直流電圧が供給される。直流コンセント1からの給電により、直流機器102の判定回路102cおよび送信回路102dが動作を開始し、判定回路102cが直流コンセント1から供給される直流電圧値が自己の適合電圧と異なっているか否かを判定して、判定結果を送信回路102dから送信させる。この時、直流コンセント1の受信回路7が直流機器102の送信回路102dから送信された信号を受信し、この受信内容に基づいて表示回路6が発光ダイオード6aの発光色を切り替えたり、ブザー6bを鳴動又は停止させているので、上述と同様、発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音をもとに適合電圧が供給されているか否かを容易に判別することができる。
【0032】
また図6に示すように直流機器102のプラグ102aに、当該直流機器102の適合電圧を示す適合電圧値情報を外部から非接触で読み取り可能な状態で記憶したRFタグ102e(記憶媒体)を組み込むとともに、直流コンセント1に、プラグ102aに設けたRFタグ102aとの間で電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信を行うことによって、非接触で適合電圧値情報を読み取るリーダ8を設け、表示回路6が、リーダ8の読み取った適合電圧値情報をもとに、入力電圧検知回路4の検出した直流電圧値が、適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを判定して、その判定結果を発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音で表示するようにしても良い。なお、リーダ8およびRFタグ102eは従来周知の構成を有しているので、図示および説明は省略する。
【0033】
本回路では、RFタグ102eを組み込んだプラグ102aを直流コンセント1に近付けると、リーダ8の通信可能エリア内に入ったRFタグ102eが、リーダ8からの電力供給を受けて動作を開始し、RFタグ102eから適合電圧値情報が無線信号により送信される。そして、RFタグ102eから無線信号で送信された適合電圧値情報はリーダ8によって受信されて表示回路6に送られ、表示回路6が、入力電圧検知回路4の検知した入力電圧と、リーダ8が受信した適合電圧値情報の示す適合電圧値とを比較する。ここで、入力電圧が直流機器102の適合電圧に一致している場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを緑色点灯させ、入力電圧が適合電圧を下回った場合は、表示回路6が発光ダイオード6aを赤色点灯させるとともに、ブザー6bを鳴動させている。したがって、本構成によれば、プラグ102aを直流コンセント1に接続する前の時点、すなわちプラグ102aに組み込んだRFタグ102eがリーダ8の通信可能範囲に入った時点で、RFタグ102eから適合電圧値情報を読み取ることができ、さらに発光ダイオード6aの発光色やブザー6bの鳴動音をもとに適合電圧が供給されているか否かを容易に判別することができる。
【0034】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図7及び図8に基づいて説明する。尚、本実施形態の直流コンセント1は、実施形態1で説明した直流コンセント1と同様の構造を備えているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0035】
図7は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続されるプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部3に供給するDC−DCコンバータ30(電圧変換部)と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4(電圧検出部)と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信することにより、直流機器102の適合電圧値を検出する機器電圧検知回路5(信号受信手段、電圧情報取得部)と、入力電圧検知回路4の検出電圧値および機器電圧検知回路5が検出した直流機器102の適合電圧値をもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧が直流機器102の適合電圧値となるようにDC−DCコンバータ30の出力を制御する制御回路31(電圧制御部)とを備えている。
【0036】
図8は分電盤110(図中P1の位置)から直流コンセント1の入力端子部2(図中P2の位置)に至るまでの直流給電線路Wdcの途中位置における直流電圧値およびプラグ接続部3の出力端(図中P3の位置)における直流電圧値をそれぞれ示しており、分電盤110から直流コンセント1までの配線長が長くなると、直流給電線路Wdcでの電圧降下により、直流コンセント1への入力電圧Vinが漸減し、直流コンセント1に接続される直流機器102の適合電圧値V1を下回る場合がある。そして、直流コンセント1への入力電圧Vinが直流機器102の正常動作電圧ΔV1よりも低い電圧V2となった場合、DC−DCコンバータ30を備えていない直流コンセント1に直流機器102を接続しても、直流機器102が正常に動作しない可能性がある。それに対して本実施形態の直流コンセント1では、機器電圧検知回路5が、実施形態1で説明したのと同様の方法で直流機器102の適合電圧値V1を検出するとともに、入力電圧検知回路4が入力電圧Vinを検出しており、制御回路31は、DC−DCコンバータ30の出力電圧が直流機器102の適合電圧値V1に一致するよう、DC−DCコンバータ30の動作を制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。また制御回路31は、直流機器102の適合電圧に合わせてDC−DCコンバータ30の出力電圧を変化させているので、多種の適合電圧の直流機器102を接続することができる。
【0037】
また、分電盤110から直流コンセント1に供給される直流電圧V3が、直流機器102の適合電圧値V1と元々異なっている場合は、直流給電線路Wdcでの電圧降下が無かったとしても、入力電圧Vinが直流機器102の最低動作電圧V2を下回る可能性があるが、このような場合でも本実施形態の直流コンセント1では、直流機器102の適合電圧に出力電圧が一致するよう、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。
【0038】
なお本実施形態では機器電圧検知回路5が、直流コンセント1に接続される直流機器102との間で直流電圧に重畳した信号の送受信を行うことで、直流機器102から適合電圧値情報を受信しているが、実施形態1で説明したように、直流機器102のプラグ102aに、適合電圧値情報を記憶したRFタグを組み込むとともに、直流コンセント1にリーダを設け、RFタグから非接触で適合電圧値情報を読み取るようにしても良い。また、直流コンセント1に出力電圧を切替操作するための切替スイッチを設け、ユーザによる切替スイッチの切替操作に応じて、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を切り替えるようにしても良い。
【0039】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図9及び図10に基づいて説明する。尚、本実施形態の直流コンセント1は、実施形態1で説明した直流コンセント1と同様の構造を備えているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0040】
図9は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続されるプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部3に供給するDC−DCコンバータ30(電圧変換部)と、プラグ接続部3に接続された直流機器102から直流電圧に重畳して送信された信号を受信する電圧信号受信回路32(電圧情報取得部)と、電圧信号受信回路32の受信した情報に基づいてDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutが直流機器102の適合電圧値となるようにDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを制御する制御回路31(電圧制御部)とを備えている。
【0041】
ここで、本実施形態の直流コンセント1の動作を図10(a)に基づいて説明する。実施形態2で説明した直流コンセント1では、直流機器102が接続される時点では、入力電圧Vinをそのまま出力しており、その後直流機器102から適合電圧値情報を取得すると、出力電圧を適合電圧V1に制御しているのに対して、本実施形態では直流機器102のプラグ102aが接続されていない状態では(時刻t1)、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを0Vに制御している。
【0042】
直流コンセント1はプラグ102aの挿入を検出する検出スイッチ(図示せず)を備えており、直流機器102のプラグ102aがプラグ接続部3に接続されると、検出スイッチによりプラグ102aの挿入が検出されて、検出信号が制御回路31に与えられる。制御回路31は、時刻t2において検出スイッチから挿入検出信号が入力されると、DC−DCコンバータ30の動作を開始させ、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを0Vから徐々に漸増させており、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutが直流機器102の最低動作電圧を超えると、直流機器102が動作を開始する。
【0043】
直流機器102は、直流コンセント1の出力電圧Voutが適合電圧V1か否かを判定する判定回路102cと、判定回路102cの判定結果を直流電圧に重畳して直流コンセント1へ送信する送信回路102dを備えており、時刻t3において出力電圧Voutが適合電圧V1まで上昇したと判定回路102cが判定すると、送信回路102dから直流コンセント1へ判定回路102cの判定結果が送信される。
【0044】
一方、直流コンセント1では、時刻t3において電圧信号受信回路32が直流機器102から送信された信号を受信すると、制御回路31が、電圧信号受信回路32の受信した信号の受信内容をもとに、直流機器102の適合電圧V1に達したと判断し、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutの漸増制御を停止し、出力電圧Voutを一定値(適合電圧V1)に制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。ここにおいて、本実施形態では直流機器102から適合電圧に達したことを示す情報(適合電圧値情報)を取得する電圧信号受信回路32により電圧情報取得部が構成される。
【0045】
このように本実施形態では、プラグ接続部3に直流機器102のプラグ102aが接続された時点ではDC−DCコンバータ30の出力電圧が0Vとなっており、その後、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を0Vから漸増させ、出力電圧が適合電圧に達した時点でDC−DCコンバータ30の出力電圧を一定値に制御しているので、プラグ102aを接続した際に直流機器102に適合電圧を越える高電圧が印加されることはなく、直流機器102の内部回路に過大なストレスが加わるのを防止することができる。
【0046】
なお本実施形態において、プラグ接続部3に直流機器102が接続されると、制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を0Vから漸増させているが、図10(b)に示すように直流機器102が接続された時点(時刻t11)で直流機器102の送信回路102dが動作可能な電圧(例えば5V)を出力させるようにしても良く、この場合の直流コンセント1の動作を以下に説明する。尚、この場合は直流機器102側に送信回路102dのみを設けておけば良く、上述した判定回路102cは不要である。
【0047】
直流機器102のプラグ102aが接続されていない状態では、制御回路31はDC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを0Vに制御している。その後、時刻t11において直流機器102のプラグ102aがプラグ接続部3に接続されると、検出スイッチによりプラグ102aの挿入が検出されて、検出信号が制御回路31に与えられる。制御回路31は、時刻t11において検出スイッチから挿入検出信号が入力されると、DC−DCコンバータ30の動作を開始させ、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを5Vに制御する。この時、直流機器102では、直流コンセント1からの電圧供給を受けて、送信回路102dが動作を開始し、送信回路102dから適合電圧値を示す適合電圧値情報を出力する。
【0048】
そして、直流コンセント1では、時刻t12において電圧信号受信回路32が直流機器102から送信された信号を受信すると、制御回路31が、電圧信号受信回路32の受信した適合電圧値情報をもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutを適合電圧V1に制御しているので(時刻t13)、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。
【0049】
このように本実施形態では、プラグ接続部3に直流機器102のプラグ102aが接続された時点では、DC−DCコンバータ30の出力電圧が、直流機器102の適合電圧よりも低い最低動作電圧に設定され、この状態で電圧情報取得部たる電圧信号受信回路32が直流機器102から適合電圧値情報を取得し、この適合電圧値情報に基づいて制御回路31がDC−DCコンバータ30の出力電圧を最低動作電圧から適合電圧に変化させているので、プラグ102aを接続した際に直流機器102に適合電圧を越える高電圧が印加されることはなく、直流機器102の内部回路に過大なストレスが加わるのを防止することができる。
【0050】
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図11に基づいて説明する。尚、本実施形態の直流コンセント1は、実施形態1で説明した直流コンセント1と同様の構造を備えているので、共通する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0051】
図11は本実施形態の直流コンセント1のブロック図であり、分電盤110からの直流給電線路Wdcが接続される入力端子部2と、直流機器102のプラグ102aが着脱自在に接続されるプラグ接続部3と、入力端子部2に入力された直流電力の電圧値を変換してプラグ接続部3に供給するDC−DCコンバータ30(電圧変換部)と、入力端子部2に入力された直流電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路4(電圧検出部)と、直流機器102のプラグ102aに設けたRFタグ102aから非接触で適合電圧値情報を読み取るリーダ8と、入力電圧検知回路4の検出電圧値およびリーダ8が読み取った適合電圧値情報をもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧が直流機器102の適合電圧値となるようにDC−DCコンバータ30の出力を制御する制御回路31(電圧制御部)とを備えている。
【0052】
ここで、直流機器102のプラグ102aには、適合電圧値情報を外部より非接触で読取可能な状態で記憶したRFタグ102eを組み込んであり、このようなプラグ102aを直流コンセント1に近付けると、リーダ8の通信可能エリア内に入ったRFタグ102eが、リーダ8からの電力供給を受けて動作を開始し、RFタグ102eから適合電圧値情報が無線信号により送信される。そして、RFタグ102eから無線信号で送信された適合電圧値情報はリーダ8によって受信されて制御回路31に送られる。また制御回路31には、入力電圧検知回路4の検出した入力電圧値が入力されており、制御回路31が、入力電圧の電圧値と、リーダ8から入力された適合電圧値情報とをもとに、DC−DCコンバータ30の出力電圧Voutが直流機器102の適合電圧値V1に一致するよう、DC−DCコンバータ30の動作を制御しているので、直流コンセント1に接続される直流機器102に対して適合電圧を供給し、正常に動作させることができる。
【0053】
ところで、上述の各実施形態で説明した直流コンセント1は、以下に示す直流配電システムに用いられるものである。ここでは本発明を適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。家屋Hには、図12に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流給電線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流給電線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流給電線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
【0054】
直流給電線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流給電線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0055】
直流給電線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0056】
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなる玄関システムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0057】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102および玄関システムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流給電線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102と玄関システムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
【0058】
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント1に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
【0059】
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
【0060】
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流給電線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0061】
上述した直流コンセント1、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント1、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
【0062】
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(上記の例では例えば栓刃102b)が差し込まれる差込式の接続口(例えば差込部18)が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受け(例えば刃受部材20a、20b)が器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流給電線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
【0063】
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0064】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0065】
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
【0066】
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
【0067】
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
【0068】
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
【0069】
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
【0070】
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
【0071】
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
【0072】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0073】
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
【0074】
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
【0075】
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流給電線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0076】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0077】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0078】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0079】
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流供給部を設けることができるから、直流供給部を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流給電線路Wdcの距離が小さくなるから、直流給電線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施形態1の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図2】同上を示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は左側面図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】(a)(b)は同上のプラグ接続部の他の構成を示す正面図である。
【図5】同上の他の構成を示す概略的なブロック図である。
【図6】同上のまた別の構成を示す概略的なブロック図である。
【図7】実施形態2の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図8】同上の動作を説明する説明図である。
【図9】実施形態3の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図10】(a)(b)は同上の動作を説明する説明図である。
【図11】実施形態4の直流コンセントの概略的なブロック図である。
【図12】各実施形態の直流コンセントを用いる直流配電システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
【0081】
1 直流コンセント
2 入力端子部
3 プラグ接続部
4 入力電圧検知回路
5 機器電圧検知回路(電圧情報取得部)
6 表示回路
102 直流機器
102a プラグ
Wdc 直流給電線路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力の供給を受けて動作する直流機器のプラグが着脱自在に接続され、当該プラグを介して直流機器に直流電力を供給するプラグ接続部と、プラグ接続部に接続される直流機器から、当該直流機器の適合電圧を示す適合電圧値情報を取得する電圧情報取得部とを備えたことを特徴とする直流コンセント。
【請求項2】
前記電圧情報取得部は、プラグ接続部に接続された直流機器から、直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信する信号受信手段からなることを特徴とする請求項1記載の直流コンセント。
【請求項3】
前記電圧情報取得部は、前記プラグに設けられて前記適合電圧値情報を外部から非接触で読み取り可能な状態で記憶した記憶媒体より、前記適合電圧値情報を非接触で読み取る信号読取手段からなることを特徴とする請求項1記載の直流コンセント。
【請求項4】
プラグ接続部から直流機器に供給される直流電力の直流電圧値を検出する電圧検出部と、当該電圧検出部が検出した直流電圧値が、前記適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の直流コンセント。
【請求項5】
外部から供給される直流電力の電圧値を変換して前記プラグ接続部に供給する電圧変換部と、前記適合電圧値情報をもとに電圧変換部の出力電圧が前記適合電圧値となるように電圧変換部の出力を制御する電圧制御部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の直流コンセント。
【請求項6】
前記直流機器のプラグが接続される際に前記電圧制御部が前記電圧変換部から前記適合電圧よりも低い最低動作電圧を出力させた状態で、前記電圧情報取得部が適合電圧値情報を取得し、当該適合電圧値情報に基づいて電圧制御部が電圧変換部の出力電圧を最低動作電圧から適合電圧に変化させることを特徴とする請求項5記載の直流コンセント。
【請求項1】
直流電力の供給を受けて動作する直流機器のプラグが着脱自在に接続され、当該プラグを介して直流機器に直流電力を供給するプラグ接続部と、プラグ接続部に接続される直流機器から、当該直流機器の適合電圧を示す適合電圧値情報を取得する電圧情報取得部とを備えたことを特徴とする直流コンセント。
【請求項2】
前記電圧情報取得部は、プラグ接続部に接続された直流機器から、直流電圧に重畳して送信された適合電圧値情報を受信する信号受信手段からなることを特徴とする請求項1記載の直流コンセント。
【請求項3】
前記電圧情報取得部は、前記プラグに設けられて前記適合電圧値情報を外部から非接触で読み取り可能な状態で記憶した記憶媒体より、前記適合電圧値情報を非接触で読み取る信号読取手段からなることを特徴とする請求項1記載の直流コンセント。
【請求項4】
プラグ接続部から直流機器に供給される直流電力の直流電圧値を検出する電圧検出部と、当該電圧検出部が検出した直流電圧値が、前記適合電圧値情報の示す適合電圧と異なるか否かを表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の直流コンセント。
【請求項5】
外部から供給される直流電力の電圧値を変換して前記プラグ接続部に供給する電圧変換部と、前記適合電圧値情報をもとに電圧変換部の出力電圧が前記適合電圧値となるように電圧変換部の出力を制御する電圧制御部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の直流コンセント。
【請求項6】
前記直流機器のプラグが接続される際に前記電圧制御部が前記電圧変換部から前記適合電圧よりも低い最低動作電圧を出力させた状態で、前記電圧情報取得部が適合電圧値情報を取得し、当該適合電圧値情報に基づいて電圧制御部が電圧変換部の出力電圧を最低動作電圧から適合電圧に変化させることを特徴とする請求項5記載の直流コンセント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−151947(P2009−151947A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326339(P2007−326339)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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