説明

直流ストリーマ放電の放電素子および有害物質除去装置

【課題】放電音が小さくでき、放電素子の製作、清掃、交換の点の問題がなく、安定した放電が可能な直流電流ストリーマ放電による有害物質除去装置を提供する。
【解決手段】コイルを製作する方法で製作した放電素子5のピンの形状は0.5mm以下(放電音を低くするためには0.15mm以下)の径又は幅で、ピン間隔をピン径又は幅の数倍程度をあけて配置し、放電素子は、その長さはピン固定台より5mm以上長くし、5KV以上の電圧を加え、この放電素子を筒の中央に配置したロータリー6に固定して、素子回りを風が流れるようにし、この放電素子を組み込んだ放電装置、オゾン分解触媒フィルター3、光触媒フィルター2等の組み合わせにより有害物質の処理能力を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は直流電流ストリーマ放電での安定した持続性能を得る事が技術的に困難であった問題と電力投入量を増やす事の難易度のために、高効率な有害物質除去装置の開発が出来なかったが、これらの諸問題を解決できる方法である。
【背景技術】
【0002】
近年環境問題が注目されている。有害物質除去装置は環境改善には必要な装置であるが装置自体が使用する電力又使われている資材も問題になってきている。現在普及している白金を主体とした消臭装置もレア.メタル問題と消費電力の問題があり早急な改善が求められている。ストリーマ放電による有害物質除去能力は同電力比でグロー放電に比べ1000倍以上の効果を持っていると言われる。又ストリーマ放電によって生成される(OH)ラジカル、又オゾン分解処理をすることによって生成される(O)ラジカル等が細菌を酸化し死滅させるという能力もあり、現在問題化してきている鳥インフルエンザの空気感染予防にも対処でき有害物質除去能力とともに注目される方式でもある。
【0003】
他の有害物質除去装置に比べ実用化されれば消費電力は10分の1から100分の1程度の消費電力で済むこのことは環境問題を考える上でも重要なことになってきている。これらのメリットが有るにもかかわらず実用化出来なかったのは先にも述べたとおり直流によるストリーマ放電の安定した持続性能が得られない事と電力の投入が出来ないこと、言い換えれば処理能力が低かったことにある。実用化されれば他の放電方式に比べて電源及び放電装置部の製造コストは低く抑えることが出来る。加工技術に特殊性がなく非常に簡単に出来る事もあり処理能力も小さなものから大きなものまで対応が可能であり用途は限りなく考えられる。
【0004】
【特許文献1】特願2007−219014
【発明が解決しようとしている課題】
【0005】
従来の直流放電素子構造は径が太く1mm程度のピン先をとがらせ隣とのピン間隔を気にせず並べたものや板を平行に並べたもの又筒の中央に線を張ったものなどがあり安定した持続的な放電性能を得ることが出来ず実用化は難しかった。従来の技術を鑑み放電素子のピン形態とピン固定方法と放電素子のピン、配置及び装置そのもの処理能力を高める全体的な構造を検討することにより、従来出来なかった直流ストリーマ放電の安定した持続性能と電流投入量の増大により細菌処理から有害物質高効率除去が出来るようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
径1.0mm程度のピンの先をとがらせ並べても安定したストリーマ放電を得ることは出来ない。直流電流でストリーマ放電が安定持続性を得られるためのピンの形態と固定方法を鋭意検討した結果、放電素子のピンの形状は径又は幅、厚みを0.5mm以下とし必ずピン間をあける。ピン間の距離はピンの径の数倍程度20の寸法を取り先端がピン同士接触しないよう図3のように直列に並べて固定する。直列に並べたものを放電素子5をロータリー6に複数枚取り付ける。ロータリーを中心にしたガイド筒13筒を配置する。ピンの長さは固定する板21より19の寸法を5mm以上にする。又ファン1を出口に配置し高速気流を流す。ピンの径を細くすること又ピンの間隔をとることで冷却効果を高め電極表面温度があがらないようにすると同時にイオンの電界によるドリ フトを押さえる事が出来、直流ストリーマ放電を安定持続させることが出来る。理想的なピンの形状は径、又は幅、厚みが0.15mm以下を推奨。(ピンの径、並べ方、長さ、固定方法)
【0007】
放電ピン18の形状は先端をとがらせるのではなく先端を90度でカットする。先端をとがらせると放電による摩耗が早くなる。又先端を磨くとき作業がしにくくなる。又ピンが太いと放電が不安定になり出来るだけ細いピンの方が放電条件が良くなるが耐久性と弾性が必要でありピン径は材質により限定される、(ピンの形状条件)。
【0008】
放電性能を維持するための放電素子の配置は対極面の13筒内面より5mm以上5の放電素子のピン先端が離れるようにする。又12より放電素子に加える電圧は5KV以上かける。この条件以外だと放電の不安定さがあり電流量が増えない。又電圧を掛けすぎても不安定になる。放電距離/電圧が=1.2以下の条件も必要になる。(放電素子の投入電圧と配置条件)
【0009】
筒の中央に放電素子5を取り付けた6ロータリーを配置することで放電素子が劣化した場合簡単に放電素子を一括して取り外し交換出来る事により、性能の維持が可能になった。簡単に取り外しが出来る構造として電流取り入れ電極軸4をロータリーの中心に配置し電極バネ板17電流分配連結板11を通し放電素子に一括して電流を流し込む方法にした。(着脱可能にした構造)
【0010】
放電素子の電極の汚れは放電電流の低下する原因になり定期的に清掃しクリーンさを保たなければならない。筒型ロータリー放電装置の回転をするという特長を生かして研磨剤を塗布した布又は板の放電ピン清掃板9を薄いバネ板10でロータリの外筒113に固定する。又清掃時にピンが曲がらないため放電素子に平行にピンガイド板26を設置する。ロータリー6を回転させることにより電極ピンの先端を磨くことが出来電流の低下を防ぐことが出来るようにした。(ピン清掃構造)
【0011】
ストリーマ放電の場合放電時に放電音が出る。音を小さくするための方法は色々発表されているが鋭意検討の結果ピンを細くすることで小音になる事を見いだせた。放電素子のピン18径1.0mmと0.15mmの径では出ていた音の比較では径0.15mmにすると3分の1程度以下になる。このことはピン1本から出る放電量の違いからくる。同放電量であれば細いピンを量多く配置し放電量を分散させピン総トータルで同放電量にする事で音を小させる事が出来る。(音を小音にするピンのの形状と配置)
【0012】
筒13の汚れの原因なる煙等は(+)に帯電され(−)の電極に引き寄せられる(−)電極側は筒13側になるので筒が汚れることになる。この汚れを取るために筒13の内側に光触媒を塗布する。光触媒はストリーマ放電が出す紫外線によって励起され汚れを分解することになる。(筒の汚れ防止)
【00013】
放電素子の加工方法は線材の場合[図6]のように線材を中間板22にコイルを状態になるように24の治具を使い巻く。但しコイルの巻き方と違うのは線材の径一本分から数本分程度あけて巻かなければならない。巻き終わったら巻いた放電素子を両側固定板21で固定をし巻いた線材(ピン)がずれないようにする。巻いたコイル状の放電素子を抜き指定されたピンの長さに23の部分でカットする。(コイル形態の加工法)
板をプレスする場合指定されたピンの太さと同寸同厚の板を用意し線材と同寸法の間隔と線材と同寸の長さでプレス加工をする線材と同様にプレスしたピン板を中間板22を挟み両側面を21固定板で挟み固定する。(プレス加工によるピンの加工)
【0014】
始めに(OH)ラジカルとオゾン等が27のラジカル生成空間でストリーマ放電時に生成され有害物質、細菌等を酸化させる初段階処理をする。光触媒フィルター2を紫外線のないところで活性化させるためにオゾン分解フィルター3を光触媒フィルターの手前に配置する。筒13を通過するオゾンはオゾン分解フィルターで分解される。そのときオゾンが分解され活性種の(O)が生成さる。有害物質処理をし余った活性種(OH)と活性種(O)が光触媒フィルターを通過し光触媒を励起させる。この2種類の触媒フィルター効果で再度、有害物質除去処理し効率を高めることが出来る。又この配置を直列に図7のように処理物質の処理濃度に合わせ、ダブルに配置する又は直列に複数本くみあわせる事により有害物質を完全処理することに近づける事が出来る。(ストリーマ放電とオゾン分解フィルター、光触媒フィルターの組み合わせによる有害物質除去高効率化方法)
【発明の効果】
【0015】
従来から直流ストリーマ放電は大量の有害物質除去に向いている方式だと言われていたが放電の安定さに欠けると同時に電流量の投入に限界があり実用化に問題があった。筒型ロータリーの特長とピンの構造、配置等の工夫により放電の安定した持続性と電流の投入量が自由に増す事が出来た。このことと同時に2種類の触媒フィルターの組み合わせにより細菌及び有害物質の除去効率が高まった。又簡単にして放電素子を交換が出来、放電素子の清掃の自動化が可能になりメンテナンスがらくになりさらに実用化に近づいた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有害物質除去装置本体を上から見た図面である。
【図2】 有害物質除去装置本体を横から見た断面図面である。
【図3】 放電素子の側面図である。
【図4】 放電素子ピン部の拡大図面である。
【図5】 放電素子を上から見た図である。
【図6】 コイル状に巻いた側面図である。
【図7】 有害物質除去装置本体を直列に並べた図である。
【符号の説明】
1 処理気体用排気ファン
2 光触媒フィルター
3 オゾン分解触媒フィルター
4 電流供給電極軸
5 放電素子
6 放電素子取り付け用ロータリー
7 ロータリー駆動用モータ
8 本体ケース
9 放電素子ピン清掃板
10 清掃部取り付けバネ板
11 電流分配連結板
12 直流高圧電流取り入れ口(+)電極
13 ロータリーガイド筒
14 直流高圧電流取り入れ口(−)電極
15 ロータリー取り付け用ビス
16 気体の流れ方向
17 電極バネ板
18 放電ピン
19 ピン固定扱よりののピンの長さ
20 ピン間の距離
21 ピン固定側板
22 ピン配置用固定中間板
23 ピン用巻き線カット位置
24 ピン巻き用治具
25 ピン用巻き線
26 ピンそり防止板
27 ラジカル生成空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電素子のピン径とピンの配置及び構造によって直流電流でのストリーマ放電を安定し持続的に発生させるための方法。
【請求項2】
放電性能の維持と劣化が最小限に押さえることが出来る放電素子のピン先端形状について。
【請求項3】
ストリーマ放電発生の安定した持続性能が得られるための放電素子の配置と電圧との関係。
【請求項4】
回転ロータリー構造で放電素子の汚れを自動的に取りのぞく方法。
【請求項5】
回転ロータリーに取り付けた放電素子を簡単に交換出来る構造。
【請求項6】
ストリーマ放電時に発生する放電音を最小にする方法。
【請求項7】
マイナス電極である筒に光触媒を塗布して汚れを取る方法。
【請求項8】
放電素子の加工方法。
【請求項9】
オゾン分解触媒フィルターと光触媒フィルターを組み合わせた、有害物質処理の高効率構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−291579(P2009−291579A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173980(P2008−173980)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(508199532)株式会社ティーデーエス (3)
【Fターム(参考)】