説明

直流モータ

【課題】整流子との接触により転動する給電用ブラシを用いた構成において、整流子の回転に支障を来すことなく良好な整流を行うことが可能な直流モータを実現する。
【解決手段】本発明の直流モータは、回転する整流子と、回転状態の整流子と当接することにより転動する給電用ブラシと、を備えており、整流子は、その回転方向に沿って並ぶ複数のセグメントと、セグメント間に形成された複数のスリットと、を備え、各スリットの形成方向は、給電用ブラシが転動する際の中心軸の軸方向に対して傾いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流モータに係り、特に、回転する整流子と、回転状態の整流子と当接することにより転動する給電用ブラシとを備えた直流モータに関する。
【背景技術】
【0002】
整流子と給電用ブラシ(以下、単にブラシとも言う。)との電気的接触により通電されて作動する直流モータは、自動車用小型モータ等として多用されている。このような直流モータにおいて、整流子は、その回転方向に沿って並んだ複数のセグメントからなり、セグメント間には溝状のスリットが形成されている。かかるスリットにより区画されることで、各セグメントは電気的に独立した構造となる。一方、ブラシは、一般的に、カーボン材など適度な導電性と耐摩耗性を備えた材質により構成され、スプリング等の付勢部材によって整流子に当接するように付勢されている。
【0003】
ところで、近年、直流モータの小型化、軽量化の要請に応じるためにモータの磁極数を増やす傾向にある。モータの磁極数を増やす場合、これに伴って整流子のセグメント数が増加することになる。ここで、直流モータの小型化や軽量化のために整流子のサイズを小型化し、そのうえでセグメント数を増加させると、セグメントの幅(整流子の回転方向に沿った幅)が短くなり、これに伴って、ブラシの幅についても短くなる。
【0004】
そして、ブラシの幅が短くなると、ブラシの機械的強度が低下することになる。また、モータの効率(出力)を高めようとすると、ブラシと整流子との接触面を通過する電流が増えることになり、その上で更にモータの小型化・軽量化を図る場合、上記のようにブラシの幅が狭くなるので、整流子との接触面が小さくなって電流密度が大きくなってしまう。この結果、整流の悪化や摩耗量の増加等を引き起こし、モータの寿命を低下させることになる。
【0005】
以上のような問題に対して、ローラ状のブラシを採用し、整流子とブラシとが相互に転がり接触をすることにより通電され駆動される直流モータが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、特許文献1に開示の直流モータでは、ブラシが整流子と当接する際に転がり接触することにより、ブラシと整流子との間の摺擦(摩擦)が抑えられ、モータの小型化や軽量化を行ったとしてもブラシの摩耗量が増加するのを抑制することができる。さらに、転がり接触によって放熱が良好になされるため、モータの小型化に伴って電流密度が増加することにより生じる影響を軽減することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−308813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、ローラ状のブラシと整流子とを相互に転がり接触させる構成であれば、摩耗量の増加や電流密度の増加を抑制することが可能になる。ただし、ローラ状ブラシが整流子に当接する際、セグメント間に形成されたスリットにブラシが引っ掛かる(一部がスリット内に沈み入る)場合がある。かかる場合には、整流子及び当該整流子を備えた電機子が正常に回転することができなくなる。この結果、モータ出力の低下を招いたり、モータが焼損したりする虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、整流子との接触により転動する給電用ブラシを用いた構成において、整流子の回転に支障を来すことなく良好な整流を行うことが可能な直流モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の直流モータによれば、回転する整流子と、回転状態の該整流子と当接することにより転動する給電用ブラシと、を備えた直流モータであって、前記整流子は、前記整流子の回転方向に沿って並ぶ複数のセグメントと、該セグメント間に形成された複数のスリットと、を備え、前記スリットの形成方向は、前記給電用ブラシが転動する際の中心軸の軸方向に対して傾いていること、により解決される。
【0010】
給電用ブラシが整流子と当接することにより転動する構成(換言すると、給電用ブラシと整流子とが相互に転がり接触する場合)において、給電用ブラシの、整流子との当接領域は、その回転軸に沿った線状領域となる。ここで、当該線状領域が整流子側のスリットと一致する(重なる)と、給電用ブラシのうち、当該線状領域に相当する部分がスリット内に沈み入り、給電用ブラシがスリットに引っ掛かってしまう。これに対して、本発明の直流モータでは、スリットが、給電用ブラシの回転軸、すなわち、上記線状領域に対して傾くように形成されているので、当該線状領域とスリットとが一致することがない。ゆえに、上記線状領域に相当する部分がスリット内に沈み入ることがなく、給電用ブラシは、スリットに引っ掛かることなく、整流子とスムーズに当接することが可能になる。このような作用により、本発明の直流モータでは、整流子の回転に支障を来すことなく良好な整流を行うことが可能になる。
【0011】
また、上記の直流モータにおいて、ローラ状であり、外周面にて前記整流子と当接し、前記整流子の回転軸と、前記給電用ブラシが転動する際の中心軸とが互いに沿っており、前記スリットの形成方向は、前記整流子の回転軸の軸方向に対して傾いていると、好適である。かかる構成は、給電用ブラシと整流子とをスムーズに当接するための構成として比較的簡易なものである。
【0012】
また、上記の直流モータにおいて、複数の前記スリットの中で互いに隣り合う第1スリット及び第2スリットの位置関係は、前記整流子の回転方向において前記第1スリットが前記第2スリットよりも上流位置にあり、かつ、前記第1スリットの形成方向両端のうち、前記第2スリットに近い側の端が前記第2スリットの形成方向両端のうち、前記第1スリットに近い側の端よりも上流位置にある関係であると、より好適である。かかる構成であれば、給電用ブラシが同時に3つ以上のセグメントと接触することを回避することができ、短絡コイルの増加を抑制することが可能になる。
【0013】
また、上記の直流モータにおいて、前記整流子は、複数の前記セグメントが環状に並んで形成される環状部を有し、前記環状部の外径は、前記給電用ブラシの外径よりも大きいこととしてもよい。かかる構成は、セグメント面積を大きくすることができるので、ブラシと整流子との間の電流密度に余裕ができ、放電を伴う摩擦損失が軽減される点においては好適なものである。
一方、上記の直流モータにおいて、前記整流子は、複数の前記セグメントが環状に並んで形成される環状部を有し、前記環状部の外径は、前記給電用ブラシの外径よりも小さいこととしてもよい。かかる構成は、ブラシの、整流子と接触可能な面積(外周面の面積)をより広くすることができるので、ブラシの凝着や疲労摩耗等による摩耗量が軽減される点においては好適なものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明の直流モータによれば、給電用ブラシの、整流子との当接領域がスリットと一致することがないので、上記当接領域に相当する部分がスリット内に沈み入ることがなく、給電用ブラシは、スリットに引っ掛かることなく整流子とスムーズに当接することが可能になる。かかる作用により、本発明の直流モータでは、整流子の回転に支障を来すことなく良好な整流を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る第1実施形態の直流モータを示す概略図である。
【図2】第1実施形態の整流子及び給電用ブラシを示す図であり、図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係る第2実施形態の直流モータを示す概略図である。
【図4】本発明に係る第3実施形態の直流モータを示す概略図である。
【図5】本発明に係る第4実施形態の整流子及び給電用ブラシを示す図である。
【図6】整流子の環状部の外径に対する給電用ブラシの外径の比率と、ブラシ摩耗量との関係図である。
【図7】本発明に係る第5実施形態の直流モータを示す図である(その1)。
【図8】本発明に係る第5実施形態の直流モータを示す図である(その2)。
【図9】従来例に係る整流子及び給電用ブラシを示す図である(その1)。
【図10】従来例に係る整流子及び給電用ブラシを示す図である(その2)。
【図11A】図9に対応する構成での整流区間を示す説明図である。
【図11B】図10に対応する構成での整流区間を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の直流モータの一実施形態(第1実施形態)について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る第1実施形態の直流モータを示す概略図である。図2は、第1実施形態の整流子及び給電用ブラシを示す図であり、図1のA−A断面図である。なお、図1及び図2では、直流モータの構成を分かり易く示すために幾分簡略化して図示している都合上、寸法や部品間の大小関係等については実際のものと異なる場合がある。また、図1には、矢印にてシャフト11の軸方向が、図2には、矢印にて整流子20の回転方向(具体的には、正転時の回転方向)を示している。
【0017】
先ず、直流モータ(以下、単にモータ1という)の全体構成について概説する。モータ1は、多極多スロット構造であり、自動車用の小型モータ(例えば、扉やウィンドウを自動開閉するための駆動源)として利用されるものである。本実施形態に係るモータ1については、整流子20及びその周辺の構成を除いて、公知の構成とすることができる。すなわち、本実施形態に係るモータ1は、図1に示すように、一般的な直流モータと同様にマグネットヨーク2を備え、マグネットヨーク2内には、電機子3(ロータ)と略環状の界磁体4(ステータ)とブラシユニット5とが収容されている。
【0018】
電機子3は、図1に示すように、モータ1の出力軸をなすシャフト11を有する。シャフト11は、金属(本実施形態ではSUS)製の軸であり、その一端部がモータ1を駆動減として作動する機器と連結している。そして、シャフト11は、軸受6a、6bを介してマグネットヨーク2に回転自在に支持されており、シャフト11の回転により、電機子3全体がシャフト11の回転方向と同一の方向に回転することになる。なお、本実施形態に係る電機子3は、正逆双方向に回転することが可能である。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、一方向のみに回転する電機子3であってもよい。
【0019】
電機子3を回転させるために、電機子3には、コイル(不図示)が巻回されたコア12、及び、上記コイルの端部が接続された整流子20が固定されている。コア12及び整流子20は、シャフト11と一体的に回転し、回転状態の整流子20に後述のブラシ31が当接する。これにより、ブラシ31に電気的に接続された電源(不図示)からの電力が、ブラシ31及び整流子20を介して電機子3に供給され、上記コイルに励磁電流が流れるようになる。なお、整流子20の構造については、後に詳述する。
【0020】
界磁体4は、マグネットヨーク2の内壁面に沿って、N極の永久磁石片4aとS極の永久磁石片4aを交互に配置することにより構成されている。このようにNS交互に並べられた複数の永久磁石片4aは、略環状をなし、より具体的には、電機子3の回転方向に略均等な間隔(例えば、4個の永久磁石片4aを設ける場合には約90度間隔)にて配置されている。つまり、界磁体4は、電機子3の回転方向に沿って一定間隔毎に磁極が変化するように配置されていることになる。
【0021】
ブラシユニット5は、図1に示すように、給電用ブラシ(以下、ブラシ31)と、該ブラシ31を支持する支持部32とを有する。本実施形態では、2つのブラシユニット5が設けられ、一方のブラシユニット5は、陽極側のブラシ31を有し、他方のブラシユニット5は、陰極側のブラシ31を有する。各々のブラシ31は、整流子20周りに配置されており、図1に示す構成例では、整流子20の回転方向(電機子3の回転方向)において相互に略180度ずれた位置に配置されている。
【0022】
本実施形態では、図2に示すように、各々のブラシ31がローラ状になっており、その外周面31aにて整流子20と当接する。特に、本実施形態に係るブラシ31は、整流子20と線接触する。すなわち、ブラシ31の外周面31aのうち、整流子20との当接領域は、線状領域となる。
【0023】
なお、ブラシ31の材質については、カーボン材、金属、貴金属など、ブラシ31の材質として利用できるものである限り、制限なく利用可能である。ただし、整流子20と当接した際の摩耗を軽減する上では、より耐摩耗性に優れた金属製ブラシや貴金属製ブラシが好適である。
【0024】
支持部32は、ブラシ31毎に設けられ、図1に示すように、支持軸32aと軸保持部32bとを主な構成要素とする。支持軸32aは、ブラシ31を回転自在に支持する軸であり、その軸方向が整流子20の回転軸(すなわち、シャフト11)の軸方向に沿った状態で配置されている。軸保持部32bは、支持軸32aの軸方向一端部を保持するものであり、マグネットヨーク2の内壁面に対して固定されており、不図示のリード線を介して、上述した給電用の電源と接続されている。
【0025】
なお、支持部32の配置位置は、ブラシ31が適宜な当接圧にて整流子20と当接できる位置に設定され、具体的には、シャフト11と支持軸32aとの軸間距離等が調整される。
【0026】
以上のような構成のブラシユニット5において、各々のブラシ31は、支持軸32a及び軸保持部32bを通じて通電を得ている。また、各々のブラシ31は、その外周面31aにて回転状態の整流子20に当接することにより、支持軸32aを中心にして転動することになる。つまり、各々のブラシ31と整流子20とは互いに転がり接触し、より具体的には、ブラシ31は整流子20の回転に従動する形で転動し、これに伴って、外周面31aのうち、整流子20との当接領域が変化することになる。
【0027】
以上までに説明してきたように、本実施形態に係るモータ1では、ローラ状のブラシ31が、整流子20に対して転がり接触することにより、電機子3に電力が給電されて、コア12に巻回されたコイルに励磁電流が流れる結果、電機子3が回転するようになる。
【0028】
なお、本実施形態では、前述したように、整流子20の回転軸(すなわち、シャフト11)と、ブラシ31が転動する際の中心軸(すなわち、支持軸32a)とが互いに沿った状態にある。かかる構成は、ローラ状のブラシ31を採用するモータ1の構成としては、一般的なものであり、比較的簡易な構成である。
【0029】
次に、本実施形態に係るモータ1の構成要素のうち、整流子20について詳しく説明する。
整流子20は、整流子20の回転方向に沿って並ぶ複数のセグメント21と、該セグメント間に形成された複数のスリット22と、を備えている。また、複数のセグメント21は、整流子20の回転方向に沿って環状に並び、環状部20aを形成している。なお、本実施形態では、図2に示すように、環状部20aの外径が、各ブラシ31の外径よりも大きくなっている。
【0030】
スリット22は、セグメント21同士を互いに絶縁した状態で分離(区画)するために形成された溝(アンダーカット溝)であり、整流子20の回転方向において等間隔にセグメント21と同数だけ形成されている。本実施形態では、スリット22内が空洞になっているが、これに限定されるものではなく、例えば、スリット22内に絶縁樹脂材等が充填されていることとしてもよい。かかる構成であれば、各セグメント21の外表面と、スリット22に充填された樹脂材がなす表面とが同一位置に位置する結果、ブラシ31の、整流子20との当接領域がスリット22上を通過する際に発生する振動を抑制することが可能になる。
【0031】
そして、本実施形態では、図1に示すように、複数のスリット22の各々の形成方向が、整流子20の回転軸(すなわち、シャフト11)の軸方向に対して傾いている。ここで、整流子20の回転軸の軸方向と、ブラシ31が転動する際の中心軸(すなわち、支持軸32a)とは略平行であるので、スリット22の形成方向は、ブラシ31が転動する際の中心軸の軸方向に対して傾斜しているとも言える。
【0032】
以下、スリット22の傾斜角度(シャフト11の軸方向に対する傾斜角度)について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、複数のスリット22の中で互いに隣り合う2つのスリット22のうち、整流子20の回転方向においてより上流位置にあるスリット22を第1スリットと呼び、より下流位置にあるスリット22を第2スリットと呼ぶ。例えば、図1において、記号s1が付されたスリット22は、記号s2が付されたスリット22から見て第1スリットに該当し、反対に、記号s2が付されたスリット22は、記号s1が付されたスリット22から見て第2スリットに該当する。すなわち、第1スリット及び第2スリットは、互いに隣り合う2つのスリット22の各々を特定するための相対的概念であり、当然ながら、注目する2つのスリット22が異なれば、第1スリットに該当するスリット22及び第2スリットに該当するスリット22が異なることになる。
【0033】
そして、本実施形態において、第1スリット及び第2スリットの位置関係は、整流子20の回転方向において第1スリットが第2スリットよりも上流位置にあり、かつ、第1スリットの形成方向両端のうち、第2スリットに近い側の端(図1中のp1)が第2スリットの形成方向両端のうち、第1スリットに近い側の端(図1中のp2)よりも上流位置にある関係となっている。
【0034】
ここで、「回転方向においてより上流側(下流側)に位置する」とは、2つの地点(以下、便宜的に地点X、Yという)を、回転方向において上記2つの地点X、Yの間にない地点(厳密には、地点X、Yによって挟まれる円弧領域のうち、より間隔が短い方の円弧領域上にない地点であり、以下、便宜的に地点Zという)から見た際に、回転方向と同じ方向において、より地点Zに近い位置(遠い位置)にあることを意味する。
【0035】
また、本実施形態では、電機子3が正逆双方向に回転可能であり、正転時に第1スリットに該当するスリット22と第2スリットに該当するスリット22とは、逆転時に入れ替わることになり、正転時の回転方向においてより上流側に位置する地点についても、逆転時の回転方向ではより下流側に位置することになる。このように電機子3が正逆双方向に回転可能であり、その回転方向の切り替わりにより第1スリット及び第2スリットが入れ替わった場合、本実施形態では、その入れ替わった第1スリット及び第2スリットに対しても、上述の位置関係が適用されるようになっている。
【0036】
具体的に説明すると、図1に示すケースにおいて、正転時には、記号s1が付されたスリット22が第1スリットに該当し、記号s2が付されたスリット22が第2スリットに該当する。そして、正転時には、端p1が端p2よりも上流位置にある。一方、逆転時には、記号s2が付されたスリット22が第1スリットに該当し、記号s1が付されたスリット22が第2スリットに該当すると共に、端p2が端p1よりも上流位置にある。
【0037】
以上のような位置関係を満たすようにスリット22が形成される結果、本実施形態では、整流子20の回転方向において、2つ以上のスリット22が存在する領域はないことになる。
【0038】
次に、以上までに説明してきた整流子20の構造に関して、当該構造により奏される効果について説明する。背景技術の項で説明したように、直流モータの小型化、軽量化のためにモータ磁極数を増やす際、磁極数の増加に応じて整流子20のセグメント数が増加する。セグメント数が増加するほど、各セグメント21の幅が短くなるが、従来のモータ(すなわち、非ローラ状のブラシ131を整流子20に面接触させる構成)では、セグメント21の幅が短くなることに伴って、ブラシの幅が短くなる(例えば、図9及び10参照)。そして、従来のモータでは、ブラシ131の幅が短くなるほど、ブラシ131の機械的強度が低下し、また、電流密度が大きくなってしまう結果、整流の悪化や摩耗量の増加等を引き起こしてモータ寿命を低下させることになる。
【0039】
さらに、セグメント数が増加した場合、セグメント幅に対するスリット幅の比率が増加するために、ブラシ131が2つのセグメント21に跨って当接する区間(以下、整流区間)が短くなってしまう。すなわち、整流区間は、ブラシ幅(ブラシ131の、整流子20との当接面の幅)とスリット122の幅との差に相当する区間であり、通常の構成(例えば、図9に示す構成)であれば、図11Aに示すように、ブラシ幅がスリット122の幅に対して十分に長いので、整流区間も十分確保される。一方、図10に示すように、通常の構成よりもセグメント数を増やしてブラシ幅が短くなると、図11Bに示すように、スリット幅が変わらないので、ブラシ幅が短くなる分、整流区間が短縮する。
【0040】
そして、整流区間の短縮は整流不足を生じさせ、これに起因してブラシ131の摩耗量が増加する結果、モータ寿命が低下してしまう。なお、図9及び図10は、従来例に係る整流子及び給電用ブラシを示す図であり、図9はセグメント数を増やす前の図であり、図10はセグメント数を増やした後の図である。また、図11Aは、図9に対応する構成での整流区間を示す説明図であり、図11Bは、図10に対応する構成での整流区間を示す説明図である。
【0041】
以上の問題に対する対策として、例えば、整流子20のサイズ(具体的には、環状部21aの外径)を大きくしてブラシ幅を確保することが考えられるが、モータ小型化という本来の目的を達成することが困難となる上、整流子20のサイズアップにより、ブラシ131が回転状態の整流子20と摺接する際の摺接速度が増加する結果、ブラシ摩耗量が増加してしまう。また、他の対策として、シャフト11の軸方向における整流子20及びブラシ131の長さを長くすることも考えられる。かかる対策により電流密度の増大を抑えることができ、さらに、ブラシのサイズを大きくすることでブラシの機械的強度の低下を緩和することができる。ただし、当該対策を採用した場合も、モータ小型化という本来の目的が達成され難くなる。
【0042】
また、整流区間の短縮化を抑制するために、セグメント数の増加に応じてスリット幅を狭くする方法も考えられるが、通常のスリット幅が0.3〜0.5mmであるため、これ以上スリット幅を狭くする場合は加工コストが嵩み、その上、加工精度については施工者の技量に依存することになる。さらに、極端にスリット幅を狭くした場合には、ブラシ131の摩耗粉がスリット122に詰まる等して、セグメント21間での短絡を生じさせてしまうことがある。
【0043】
これに対して、本実施形態に係るモータ1では、ローラ状のブラシ31を採用し、これにより、モータ1の小型化を図りつつ、ブラシの機械的強度の低下、整流の悪化及び摩耗量の増加など、モータ寿命の低下の原因となる不具合を抑制することが可能になる。
【0044】
すなわち、本実施形態のブラシ31は、連続面である外周面31aにて整流子20の各セグメント21に当接し、各セグメント21との当接により転動するので、ブラシ31が整流子20との間で摺擦され難くなる分、摩耗や摩擦損失を軽減することが可能になる。特に、本実施形態では、複数のセグメント21が環状に並んで形成される環状部21aの外径が、ブラシ31の外径に比して幾分大きくなっており、より一層摩擦損失を減少させることが可能である。
【0045】
すなわち、本実施形態では、ブラシ31の外径が環状部21aの外径よりも短くなっているので、ブラシ31の転動速度が比較的小さくなり、ブラシ31と整流子20との当接に伴う摩擦損失(換言すると、シャフト11から取り出されるモータ出力の低下)を比較的少なくすることが可能になる。なお、上記の効果を高めるために、ブラシ31と整流子20との間に、導電性物質からなる潤滑剤を介在させることとしてもよい。
【0046】
一方、本実施形態のブラシ31は、前述したように、その外周面31aにて整流子20の各セグメント21と線接触する。このため、本実施形態のブラシ31については、接触面全体で各セグメント21と接触する従来のブラシ131と比較して、電流密度がより大きくなるが、転がり接触するため、放熱が良好で摩擦熱がより少なくなる。このような作用により、本実施形態のブラシ31は、従来のブラシ131よりも電流密度が大きくなるものの、電流密度の増加による影響を効果的に軽減することが可能である。
【0047】
さらに、本実施形態のブラシ31は、ローラ形状であるため、セグメント21の数の増加によりセグメント21の幅が短くなったとしても、ブラシ幅を狭める等のサイズ変更を要さず、機械的強度が低下することもない。以上のように、本実施形態に係るモータ1であれば、セグメント21の数を増加させることに起因して生じる悪影響(ブラシ31の機械的強度の低下、整流の悪化、摩耗量の増加等)を抑制することが可能になる。
【0048】
しかし、単にローラ状のブラシ31を採用するだけでは、整流区間に関する上述の問題(セグメント数が増加すると、ブラシ幅が短くなって整流区間が短縮される問題)については改善されないままである。また、ローラ状のブラシ31を採用した場合、ブラシ31は整流子20と線接触するため、ブラシ31のうち、当該線接触した領域に相当する部分が、セグメント21間に形成されたスリット22と重なってスリット22に引っ掛かってしまう虞がある。つまり、ブラシ31のうち、上記の線接触した領域(線状領域)がスリット22内に沈み入る場合があり、かかる場合には、整流子20(具体的には、電機子3)が正常に回転することができなくなり、その結果、モータ1が焼損してしまう虞がある。このような不具合は、モータ1の小型化のために各セグメント21の幅が短くなり、これに伴って、セグメント幅に対するスリット幅の比率が大きくなるほど、顕著に発生する。
【0049】
これに対して、本実施形態では、ローラ状のブラシ31を採用するとともに、各スリット22を、ブラシ31が転動する際の中心軸(すなわち、支持軸32a)に対してスリット22の形成方向が傾斜するように設けている。このような構成により、本実施形態では、上述した問題(整流区間が短縮される問題、及び、ブラシ31がスリット22に引っ掛かってしまう問題)を解消することが可能である。
【0050】
より具体的に説明すると、ブラシ31のうち、整流子20と線接触した領域は、ブラシ31が転動する際の中心軸(すなわち、支持軸32a)に沿っている。ここで、ブラシ31が転動する際の中心軸の軸方向とスリット22の形成方向とが互いに沿っていなければ、上記の線状領域とスリット22とが一致する(重なる)ことがない。ゆえに、ブラシ31のうち、線状領域に相当する部分がスリット22内に沈み入ることがなく、ブラシ31はスリット22に引っ掛かることなく、整流子20とスムーズに当接することが可能になる。この結果、本実施形態では、整流子20との接触により転動するブラシ31を用いながらも、整流子20の回転に支障を来すことなく良好な整流を行うことが可能となる。
【0051】
なお、従来のブラシ131、すなわち、先端面にて整流子20と当接する際に面接触する給電用ブラシでは、スリット22に引っ掛かるという上記の課題が発生する蓋然性は低い一方で、本実施形態に係るブラシ31のように、整流子20と当接する際に線接触する給電用ブラシを用いた場合に上記の課題は顕著に発生する。すなわち、スリット22の形成方向をブラシ31が転動する際の中心軸に対して傾斜させてブラシ31をスリット22に引っ掛かり難くするという効果は、特に、ローラ状のブラシ31をはじめ、整流子20と当接して転動する給電用ブラシを用いる構成(つまり、給電用ブラシと整流子20とを互いに転がり接触させる構成)において有意義なものとなる。
【0052】
また、スリット22の形成方向が、ブラシ31が転動する際の中心軸の軸方向に対して傾斜している(すなわち、スキューされている)ので、上記線状領域が少なくとも1つ以上のセグメント21に常に接触することになる。また、各セグメント21に関して言えば、スリット22の傾斜角度に応じた分だけ、ブラシ31との接触時間が長くなる。以上の作用から、スリット幅を狭くしなくとも、整流区間の短縮化を抑制することが可能になる。
【0053】
以上のように、本実施形態のモータ1は、小型化した場合であっても、ブラシ31の機械的強度の低下、整流の悪化、摩耗量の増加等が抑制され、ブラシ31がスリット22に引っ掛かることなく整流子3とスムーズに当接する結果、従来品に比してより長寿命なものとなる。なお、上述した効果は、ブラシ31が脆く変形し易い材質(例えば、弾性ゴム等)からなる場合に、より有意義なものとなる。すなわち、ブラシ31の材質が摩耗し易く、スリット22に沈み入り易いものであるほど、本実施形態は直流モータの形態として好適なものとなる。
【0054】
さらに、本実施形態では、前述したように、第1スリット及び第2スリットの位置関係が、整流子20の回転方向において第1スリットが第2スリットよりも上流位置にあり、かつ、第1スリットの形成方向両端のうち、第2スリットに近い側の端が第2スリットの形成方向両端のうち、第1スリットに近い側の端よりも上流位置にある関係にある。かかる関係を満たすようにスリット22が形成されているので、ブラシ31が整流子20と線接触する際、その領域(線状領域)は、3つ以上のセグメント21に跨ることはない。このように、ブラシ31が同時に接触するセグメント数が2以下に抑えられるため、短絡コイルの増加を抑制し、もって、モータ寿命をより長く確保することが可能になる。
【0055】
<<本発明の他の実施形態について>>
上述した実施形態(第1実施形態)は、本発明の実施形態の一例にすぎず、他の例も考えられる。以下では、本発明の直流モータに関する他の実施形態として、第2実施形態乃至第5実施形態について説明する。なお、第2実施形態乃至第5実施形態の各々について、上記の実施形態(すなわち、第1実施形態)と共通する構成については、説明を省略する。
【0056】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、ブラシ31を支持する支持軸32a、及び、その支持軸32aを保持している軸保持部32bを通じて、ブラシ31への通電が行われている。ただし、ブラシ31を通電させる構成としては、上記以外の構成であってもよく、例えば図3に示す構成によりブラシ31を通電する実施形態(第2実施形態)が考えられる。図3は、本発明に係る第2実施形態の直流モータを示す概略図である。
【0057】
第2実施形態に係るモータ1では、図3に示すように、通電用の当接電極33が備えられており、この当接電極33がブラシ31側に設けられたスリップリング(不図示)に当接することによってブラシ31への通電が行われる。上記の第2実施形態は、例えば、ブラシ31の支持軸32aの軸受としてボールベアリングや流体軸受等の通電に不向きな軸受が用いられている場合に有効である。
【0058】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態では、ブラシ31の支持軸32aの軸方向一端部のみを保持している構成、いわゆる片持ちの構成を採用している。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示すようにブラシ31の支持軸32aの両端部を保持(両持ち)する実施形態(第3実施形態)も考えられる。図4は、本発明に係る第3実施形態の直流モータを示す概略図である。図4に示す構成では、支持軸32aの軸方向両端部の各々に対して軸保持部32bが設けられ、当該軸方向両端部の各々を保持している。このような構成であれば、支持軸32aの位置(すなわち、ブラシ31の位置)を精度よく位置決めすることができるとともに、片持ちの構成に比して剛性(軸保持部32bの剛性)を高めることが可能になる。
【0059】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態では、複数のセグメント21が環状に並んで形成される環状部21aの外径が、ブラシ31の外径に比して幾分大きくなっていることとした。つまり、第1実施形態では、ブラシ31の外径が環状部21aの外径よりも短くなっている。これにより、セグメント21の面積が大きくなり、ブラシ31と整流子20との間の電流密度に余裕ができ、放電を伴う摩擦損失が軽減されることになる。ただし、環状部21aの外径とブラシ31の外径との大小関係については、上記の関係と異なる関係にあってもよい。すなわち、図5に示すように、環状部21aの外径がブラシ31の外径よりも小さい実施形態(第4実施形態)も考えられる。
【0060】
換言すると、第4実施形態では、図5に示すように、ブラシ31の外径が環状部21aの外径よりも大きくなっている。これにより、ブラシ31の、整流子と接触可能な面積(外周面31aの面積)がより広くなるので、ブラシ31の凝着や疲労摩耗等による摩耗量が軽減されることになる。かかる効果は、カーボン材など摩耗し易い材質からなるブラシ31の場合に特に有効である。なお、図5は、本発明に係る第4実施形態の整流子及び給電用ブラシを示す図である、図2に示す構成の変形例である。
【0061】
ここで、第1実施形態と第4実施形態とを比較すると、図6に示すように、同一運転時間における摩耗量(凝着や疲労摩耗等による摩耗量)については、第4実施形態の方が第1実施形態よりも少なくなっている。図6は、整流子20の環状部21aの外径に対する給電用ブラシの外径の比率と、ブラシ摩耗量との関係図である。同図中、実線のグラフは、ブラシ31の外径が環状部21aの外径の2倍であるケース(すなわち、第4実施形態に相当するケース)を示し、破線のグラフは、ブラシ31の外径が環状部21aの外径の1/2であるケース(すなわち、第1実施形態に相当するケース)を示している。また、同図には、比較例として、従来のブラシ131(非ローラ状のブラシ131を整流子20に面接触させる構成)のグラフが一点鎖線にて示されている。
【0062】
一方、第1実施形態は、前述したように、ブラシ31の外径を小さくしてセグメント21の面積が大きくなることにより、ブラシ31と整流子20との間の電流密度に余裕ができ、放電を伴う摩擦損失を軽減することが可能である。また、第1実施形態は、摩耗量を軽減する点では第4実施形態よりも劣るものの、図6に示すように、従来のブラシと比べると格段に軽減されている。ゆえに、モータ1の仕様として、より摩耗量を軽減させることを重視する場合には第4実施形態の方が望ましく、より放電を伴う摩擦損失を軽減させることを重視する場合には第1実施形態の方が望ましい。
【0063】
(第5実施形態)
上述の第1実施形態では、複数のスリット22のうち、互いに隣接する第1スリット及び第2スリットの位置関係は、整流子20の回転方向において第1スリットが第2スリットよりも上流位置にあり、かつ、第1スリットの形成方向両端のうち、第2スリットに近い側の端が第2スリットの形成方向両端のうち、第1スリットに近い側の端よりも上流位置にある関係となっている。このような関係を満たすように各スリット22が形成されていれば、ブラシ31が同時に3つ以上のセグメント21に接触することがないので、短絡コイルの増加を抑制し、モータ寿命をより長く確保することが可能になる。ただし、第1スリットと第2スリットとの位置関係については、上記の関係に限定されるものではなく、図7や図8に示す関係となった実施形態(第5実施形態)も考えられる。図7及び図8は、本発明に係る第5実施形態の直流モータを示す概略図である。
【0064】
第5実施形態に係るモータ1の構成として図7に示された構成では、第1スリット及び第2スリットの位置関係が、整流子20の回転方向において、第1スリットの形成方向両端のうち、第2スリットに近い側の端が第2スリットの形成方向両端のうち、第1スリットに近い側の端と同じ位置にある関係となっている。また、図8に示された構成では、整流子20の回転方向において、第1スリットの形成方向両端のうち、第2スリットに近い側の端が第2スリットの形成方向両端のうち、第1スリットに近い側の端よりも下流位置にある関係となっている。このような関係を、第1スリット及び第2スリットの位置関係として採用することとしてもよいが、短絡コイルの数を抑制することができるという点においては、第1実施形態の方が望ましい。
【0065】
<<その他の実施形態について>>
上記の実施形態(第1実施形態乃至第5実施形態)では、主として本発明の直流モータについて説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0066】
また、上記の実施形態では、整流子20の回転方向において一定間隔毎にスリット22が形成され、各々のスリット22が、シャフト11の軸方向に対して同一の傾斜角度にて傾くように形成されていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、スリット22間の間隔が一定でなくてもよい。また、各スリット22の傾斜角度がスリット22間で異なっていることとしてもよい。
【0067】
また、上記の実施形態では、整流子20の回転軸(すなわち、シャフト11)と、ブラシ31が整流子20に当接して転動する際の中心軸(すなわち、支持軸32a)とが互いに沿っており、スリット22の形成方向が、整流子20の回転軸の軸方向に対して傾いていることとした。このような構成は、ローラ状のブラシ31を用いる構成として一般的に採用されるものであり、当該ブラシ31と整流子20とをスムーズに当接するための構成として比較的簡易なものであるため好適である。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、ブラシ31が転動する際の中心軸が、整流子20の回転軸に対して傾いていることとしてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、ローラ状のブラシ31を用いた構成について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラシ形状については、回転状態の整流子20に当接することにより転動するものである限り、他の形状(例えば、球状や円錐台状)であってもよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、セグメント21の幅(整流子20の回転方向における長さ)がスリット21の幅よりも長いケースを説明したが、セグメント21の幅がスリット22の幅と同等、あるいは、スリット22の幅未満となるケースであっても本発明は適用可能である。
【0070】
また、上記の実施形態では、自動車用の小型モータを例に挙げて説明した。ただし、本発明の直流モータは、自動車用の小型モータに限定されるものではなく、船舶用や航空機用の小型モータ、あるいは乗物以外で使用される小型モータ(例えば、建物のドアや窓を自動的に開閉するためのモータ)としても利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 モータ、2 マグネットヨーク、3 電機子、
4 界磁体、4a 永久磁石片、5 ブラシユニット、6a、6b 軸受、
11 シャフト、12 コア、
20 整流子、21 セグメント、21a 環状部、22 スリット、
31 ブラシ、31a 外周面、32 支持部、
32a 支持軸、32b 軸保持部、33 当接電極、
122 スリット、131 ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する整流子と、回転状態の該整流子と当接することにより転動する給電用ブラシと、を備えた直流モータであって、
前記整流子は、前記整流子の回転方向に沿って並ぶ複数のセグメントと、該セグメント間に形成された複数のスリットと、を備え、
前記スリットの形成方向は、前記給電用ブラシが転動する際の中心軸の軸方向に対して傾いていることを特徴とする直流モータ。
【請求項2】
前記給電用ブラシは、ローラ状であり、外周面にて前記整流子と当接し、
前記整流子の回転軸と、前記給電用ブラシが転動する際の中心軸とが互いに沿っており、
前記スリットの形成方向は、前記整流子の回転軸の軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項1に記載の直流モータ。
【請求項3】
複数の前記スリットの中で互いに隣り合う第1スリット及び第2スリットの位置関係は、前記整流子の回転方向において前記第1スリットが前記第2スリットよりも上流位置にあり、かつ、前記第1スリットの形成方向両端のうち、前記第2スリットに近い側の端が前記第2スリットの形成方向両端のうち、前記第1スリットに近い側の端よりも上流位置にある関係であることを特徴とする請求項2に記載の直流モータ。
【請求項4】
前記整流子は、複数の前記セグメントが環状に並んで形成される環状部を有し、
前記環状部の外径は、前記給電用ブラシの外径よりも大きいことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の直流モータ。
【請求項5】
前記整流子は、複数の前記セグメントが環状に並んで形成される環状部を有し、
前記環状部の外径は、前記給電用ブラシの外径よりも小さいことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の直流モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2013−27101(P2013−27101A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157994(P2011−157994)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】