説明

相乗的発酵植物成長促進生物制御組成物

【課題】植物成長、土壌の健康および生物制御の促進に有用な相乗的発酵組成物を開発すること。
【解決手段】本発明は植物と土壌の健康増進剤として有用な相乗的組成物であって、尿、インドセンダンおよびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなり、それによる処理が植物バイオマスにおける栄養分の蓄積促進、植物成長促進増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、植物根圏における植物病原性真菌を制御する能力を有し、植物の総フェノール含量を増大させる組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウシの尿を用いる植物と土壌の健康増進剤として有用な相乗的組成物、および植物の成長促進と植物病原菌制御のための応用に関し、当該組成物は尿、インドセンダンおよびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなり、それによる処理が植物バイオマスにおける栄養素の蓄積、植物根圏における植物成長促進増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、植物の総フェノール含量を増大させる。さらに、本発明は当該組成物の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
農耕は人類に知られた富を生み出す最も古いビジネスである。高入力農業を支持する収穫量を維持し、改善するための現在の科学的戦略は、生産結果の各構成要素に対する「フェールセーフ」技法に大きなウェイトを置いており、これら構成要素を全体的システム方法に統合することはあまり考慮されていない。支持し得る農業実践の研究については、あらゆる美辞麗句が政治的に支持し得ることに向け与えられているにもかかわらず、かかる方法に対しては現在行われているよりもはるかに強く主張する必要がある。
【0003】
世界最貧国の人口が急速に増加しつつあり、それが食料の要求を増大させている。同時に、環境破壊(自然および人工的)が多くの地域で食料生産のための農家の能力を低下させている。多くのことが「グリーンレボリューション(緑色革命)」による重要な貢献について書かれており、特に支えきれない人口増加の制御に我々が失敗したことについて考察しているが、正にそのとおりである。我々がコメとムギを今なお自給し得るのは、高生産性品種によるものと感謝するが、それがいつまで続くか?現代の農業が持続可能であるとは誰も主張していない。さらに、高入力農業は環境破壊につながり、利益がないものと次第に認識されている。我々は今、技術の進歩が我々の支払うことのできない社会と環境のコストとなり得ることを認識する。人々は今や環境の保護と、さらには彼らの健康を安全に守ることについて本気で関心を持ち始めている。現在、人々は標準的な農業に基づく食料品を消費することにより、彼らが定常的に様々な種類の少量の毒物を取り込んでおり、その多くが食料作物を生産するために使用する、化学農薬から由来するものであることを認識している。
【0004】
現代の農耕は大量の化学肥料と刺激剤を必要とし、その混成物から収量を上げる。しかし、貧しい田舎の周辺の農夫にとって、化学肥料と農薬の使用は農業を非常に高価なものとし、悪化した土壌で収量を維持するためには、現代の化学品投入量を上げて使用しなければならない。今や、我々の農業を持続するための代替法を考え、低価格高負債から農業従事者を守り、そして生産意欲が維持されることを確かなものとする時に至っている。小規模農家にとって、有機営農は最も適している;その理由は考慮すべき縦型の統合が可能であり、その系内で利用可能な廃棄物とその他の物質のリサイクルにより相当のコスト削減が達成し得るからである。
【0005】
相当数の文献が有機営農の実施に関して利用しうる。有機営農を実施する場合、農夫は生産性を向上させ、外部の資源にあまり依存せず土壌の栄養状態を維持し、彼のコストを増やさないために、自然の作用を利用しようとする。このことは彼の社会での社会的および財政的立場を強化するだろう。有機営農では農業副産物であり、かつ環境に安全な天然物質を利用し、それが土壌の栄養の質を高め、化学肥料と農薬の使用により全体に破壊されている土壌中の有機体を養育し、有意にコストを引き下げる。それ故、この重大時期に、雌ウシに基づく農業バイオテクノロジー製品のさらなる開発研究は、支持し得る農業の生きた代替法として計り知れない可能性を提供する。
【0006】
我々が思わぬところで発見したのは、雌ウシの尿を植物の苗に与えると、植物全般の成長を増進し、植物病原性真菌から植物を保護することである。実験はこれらの観察の重要性を検討するためになされた。ヒンズー教の神話ならびにインドの伝統的農業慣習、スラパラ(Surapala)のヴリクシャユルヴェダ(Vrikshayurveda)によると、植物生命の科学に関する古代サンスクリットの教科書は、牛乳の使用が花の色を変化させ、果実の味を引き上げると記載している[N. Sadhale (1996) Surapala’s Vrikshayurveda (翻訳者:サドヘイル(N. Sadhale))セクンデラバード(Secunderabad)、インド;アジア農業歴史財団(Asian Agri-History Foundation)]。パンチガヴィア(Panchgavya)、これは雌ウシの5種類の産生物の混合物、すなわち、糞、尿、牛乳、カードおよびギー(浄化バター)からなるもので、ヒトの医薬として、土壌の健康を改善するために、また植物を病気から守るために使用する[S.N. Singh (1971) Krishi-Parashar (翻訳者:シン(S.N. Singh))ヴァラナシ(Varanasi)、インド:Jai Bharat Press]。系統的収集と施肥目的のみの尿の使用については、略1世紀前に遡る。尿中の総N含量の90%以上がNH−Nである。また、Kは主として無機の形状で存在する。これは市販の無機NおよびK肥料に匹敵する。ウシ尿の平均K含量は0.7%であり、オールドグラス芝地に散布したとき、主としてK応答によるものであるが、しばしば強力な影響が見られる;その影響はしばしばNの影響と混同される。
【0007】
植物は日常でのその様々な適用により、生命の第一義の起源としてあらゆる文明社会の中心となってきた。植物は化学物質から構成されるが、その一部は生体の成長や発達に直接利益があるものではない。これらの二次的化合物は通常、植物摂食昆虫や他の草食動物に対抗する植物防御の一部と見なされている[G.A. Rosenthal and D.H. Janzen (eds.) 1979; Herbivores: their interaction with secondary plant metabolites (その草食動物:二次的植物代謝産物との相互作用), Academic Press, New York]。多くの植物の殺虫的性質は古くから知られており、植物抽出物に基づく天然の農薬、例えば、ロテノン、ニコチンおよびピレトラム(pyrethrum)は、有害生物防除に一般的に使用されている。ヤコブソンは3000種を超える植物からの農薬について文献で概説している[M. Jacobson and D.G. Crosby (eds.) 1971. Naturally occurring insecticides (天然産農薬), Dekker Inc. New York]。
【0008】
インドセンダン(ニーム(neem)、アザジラクタ・インディカ(Azadirachta indica))は、有害生物防除に現在使用されるこれまでの植物の最も有望な例である。インドセンダンはインド社会で多くの目的のために残っており、古代からサンスクリットで健康の贈り物を意味する「アリシュタ(Arishta)」として知られる。インドセンダンの製品がどのように生物農薬として使用されるか、その作用様式、害虫および天敵に対する作用についての概説は、シュムッテラー[H. Schmutterer (1990) Annual Review of Entomology 35: 271-297]が作成している。インドセンダンについては多くの農薬、治療薬、および医学用途が知られている[U.P. Singh and D.P. Singh (2002) Journal of Herbal Pharmacotherapy, 2: 13-28]。真菌、細菌、およびウイルスなど様々な微生物が引き起こす病気は、植物に傷害を与えるだけでなく、作物の品質にも甚大な影響を与える。植物の多くの生理的、生化学的変更が真菌、細菌、およびウイルスの感染によるものとして報告されている[H. Schmutterer 統合害虫管理のためのインドセンダン製品。インドセンダン木:統合害虫管理、医薬およびその他の目的のための特異な天然物の起源(Schmutterer, H., Ed.). VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, Germany, 1997; pp. 367-477]。
【0009】
さらに、植物病の撲滅に採用された制御手段は、合成農薬の無差別使用のために、深刻な公共の懸念となっている。このことが代替となる病気の制御法を見出すための広範な探索に至らしめ、かつ植物病原体を制御する上で植物産物を使用することが、実行可能な代替法となり得た[U.P. Singh and B. Prithiviraj (1997) Physiological and Molecular Plant Pathology 51: 181-194]。インドセンダンの様々な部分、例えば、葉、樹皮、種子、パルプおよび花序などの水性抽出物は、種々の植物病原性真菌の成長を阻害するために、インビトロで成功裏に使用されている[U.P. Singh, R.B. Singh, and H.B. Singh (1980) Mycologia 72: 1077-1093; U.P. Singh and H.B. Singh (1981) Australian Journal of Plant Pathology 10: 66-67]。
【0010】
インドセンダン同様に、ヒトおよび植物病原体に対するニンニク(アリウム・サチバム(Allium sativum L))の抗細菌性および抗真菌性もまた周知である[U.P. Singh, B, Prithviraj, B.K. Sarma, M. Singh and A.B. Ray (2001) Indian Journal of Experimental Biology 39: 310-322]。天然形状および合成形状のニンニク油は、多くの空中および土壌由来の真菌の活性を抑制すると報告されている[N.B.K. Murthy and S.V. Amonkar (1973) Indian Journal of Experimental Biology 12: 208-209]。いく人かの他の研究者もニンニク抽出物の抗微生物活性を観察している[M.R. Tansey and J.A. Appleton (1975) Mycologia 67: 409-413; H.B. Singh and U.P. Singh (1981) Australian Journal of Plant Pathology 10: 66-67]。シンら[U.P. Singh, K.K. Pathak, M.N. Khare and R.B. Singh (1979) Mycologia 71: 556-564]は、ニンニクの葉の抽出物さえも、ヒヨコマメ(Cicer aretinum L.)のしおれの原因となるスクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)およびフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum f. sp. ciceri Padwick)の増殖を優位に減少させた。ニンニク油によるリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)の増殖と菌核形成の阻害も報告されている[H.B. Singh and U.P. Singh (1980) Mycologia 72: 1022-1025]。
【0011】
土地肥沃度の改善は農業および林業生産を増大させる最も共通の作戦の一つである。土壌有機体、取り分け細菌は有機物質の分解とそれによる栄養素のミネラル化の速度を決定する上で重要な役割をもつ。これらのプロセスは一次産生株への栄養供給速度を決定するが、主として生態系を構成する有機体の異なる官能基間の相互作用のように、バイオマス産生と他の基礎生態系プロセスの速度を決定する[J.D. Bever, K.M. Westover and J. Antonovics (1997) Journal of Ecology 85: 561-573]。それ故、植物界の種組成を決定するメカニズムの解明が重要である。根瘤バクテリアはかって根の環境の受身の傍観者と考えられていたが、現在は植物の健康、発達および環境への適応に影響することが知られており、有益かつ有害であって、農業におけるこれら細菌の重要性が増大することが期待される[D.J. O’Sullivan and F. O’Gara (1992) Microbiology Review 56: 662-676; R.J. Cook (2000) Annual Review of Phytopathology 38: 95-116]。様々なメカニズムがかかる植物成長促進活性に関わっていることが証明されている。例えば、ある種の微生物が有害な微生物の増殖を阻害することにより、間接的に植物の成長を促進するか;または成長ホルモンを産生することにより、直接的に植物の成長を増進するか;および/または作物による栄養素、例えば、リン(P)の取り込みを助けることにより促進する[C.S. Nautiyal et al., FEMS Microbiology Letters, Volume 182, pp. 291-296 (2000)]。
【0012】
植物病抑制に関与するメカニズムは、抗生作用とシデロホア−介在抑制、および好適な根の定着である。明瞭な関連性が細菌による土壌由来の病気の抑制および根圏でのその密度の間で確立されている[C.T. Bull, D.M. Weller and L.S. Thomashow (1991) Phytopathology 81: 954-959; B.J. Lugtenberg, L. Dekkers, L. and G.V. Bloemberg (2001) Annual Review of Phytopathology 39: 461-490]。我々は、土壌由来の植物病原体の制御に際し、植物成長促進根瘤バクテリア(PGPR)株の効果を、根の定着効率と一般的に関連することを観察した[C.S. Nautiyal (1997) Current Microbiology 33: 1-6; C.S. Nautiyal (1997) Current Microbiology 35: 52-58; C.S. Nautiyal (1997) FEMS Microbiology Ecology 23: 145-158; C.S. Nautiyal (2002) 米国特許USP6495362]。
【0013】
根圏に適合する細菌の生態学は、植物圏(葉、茎、根圏、および内根圏)定着におけるPGPRの挙動と効率を予測すること、また作物特異性の存在については未だ十分によく理解されていない[C.S. Nautiyal (2000) 支持し得る農業における生物制御能力およびその開発;Edited by R.K. Upadhyay, K.G. Mukerji, and B.P. Charmola, Kluwer Academic/Plenum Publisher, New York. pp. 9-23]。それ故、これらの知見は根圏の微生物集団が植物と土壌の健康の重要な指標であることを示唆する[C.S. Nautiyal, J. K. Johri and H.B. Singh, Canadian Journal of Microbiology 48: 588-601 (2002)]。
【0014】
微生物集団の研究は、土地特有の微生物集団に導入された種子または土壌処理の衝撃に関して有用な情報を提供してくれる。理想的には、微生物集団の研究は、植物成長、植物の健康、および栄養循環などに対する影響など、生態系が機能するより広い側面に結び付けられるべきである[M.N. Schroth and J.G. Hancock (1981) Annual Review of Phylopathology 35: 453-476; C.S. Nautyiyal, J.K. Hohri and H.B. Singh, Canadian Journal of Microbiology 48: 588-601 (2002)]。フェノール類はこれまでに検討されたすべての植物に存在することが知られている。そのあるものは構成的に存在し、一方、他のものは病原体侵入に応答して形成され、宿主における活発な防御反応の一部と関連する[R.L. Nicholson and R. Hammerschmidt (1992) Annual Review of Phytopathology 30: 369-389]。植物に、非病原性の生物体とインキュベーションした後に、突然フェノール濃度が上昇したという報告もある。
【0015】
トマトにベルティシリウム・アルボ−アトラム(Verticillum albo-atrum)を接種すると、それに応答してフェノール類が変化し、真菌増殖が直接に減少することが、文献上入手可能である[M.A. Bernards and B.E. Ellis (1989) Journal of Plant Physiology 135: 21-26]。種子に対する根瘤バクテリアの細菌接種は、フェノール性化合物の顕著な蓄積をもたらすか、または宿主において誘発された系の耐性(ISR)が介在して、病原体侵入に対し植物を免疫化する実用的な方法を提供する[G. Wei, J.W. Klopper and S. Tazun (1991) Phytopathology 81: 1508-1512]。最近、我々は根瘤バクテリアがスクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)に感染したヒヨコマメのフェノール類に変化を引き起こすことを報告した[B.K. Sarma, D.P. Singh, S. Mehta, H.B. Singh and U.P. Singh (2002) Journal of Phytopathology 150: 277-282]。
【0016】
最近、ズッキーニ・カボチャ(クカビタ・ペポ(Cucurbita pepo))のうどんこ病(スフェロテカ・フルギネア(Sphaerotheca fulginea))に対する牛乳の有効性が、温室条件下で証明されている[W. Bettiol (1999) Crop Protection 18: 489-492]。牛乳がズッキーニ・カボチャのうどんこ病を制御する作用様式は複数である。新鮮な牛乳はS.フルギネアに対してその殺菌性により直接の作用を有し得る[A.J. Salle (1954) Fundamental principles of bacteriology, New York; McGraw-Hill]。牛乳は数種の塩とアミノ酸を含む。これらの物質はうどんこ病および他の病気の制御に有効であることが示されている[A.J. Salle (1954) Fundamental principles of bacteriology, New York; McGraw-Hill]。数名の著者は、重炭酸ナトリウム、シュウ酸、二塩基性または三塩基性リン酸カリウム、およびその他の塩とアミノ酸が、系統的抵抗性の誘導に有効であったことを示している[A.J. Salle (1954) Fundamental principles of bacteriology, New York; McGraw-Hill;van Andel (1966) Annual Review of Phytopathology 4: 349-368; M. Reuveni, V. Agapov, R. Reuveni (1995) Plant Pathology 44: 31-39]。
【0017】
インドは国際家畜遺伝子プールおよび世界の動物個体群の改善に大きく寄与している世界の数少ない国の一つである。ウシと水牛は国の総収入の略15%に寄与している。この国は世界のウシの総数の23%を所有している。サーヒワール(Sahiwal)は亜大陸の雌ウシの最もポピュラーな品種の一つである。これはスリランカ、ケニヤおよびラテンアメリカと西インド諸島の多くの国に輸出され、そこでジャマイカ・ホープと呼ばれる新品種がサーヒワールとジャーシーの交雑種から生み出された[P.N. Bhat, Handbook of Animal Husbandry, Directorate of Publication and Information on Agriculture (畜産学ハンドブック、農業に関する公表情報理事会)、Krishi Anusandhan Bhawan, Pusa, New Delhi, India (1997)]。従って、植物病原性真菌の制御と植物の成長に良好な結果を与えるために、系統的に使用し得る重要な生物物質である雌ウシ尿の使用についての伝統的情報を無視すべきではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
植物成長を促進し、植物病原性真菌の制御に尿を使用する研究は過去にも実施されていたが、雌ウシからの尿が、植物バイオマスにおける栄養素蓄積、植物根圏における植物成長促進増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性と植物病原性真菌に対するアンタゴニストの刺激因子として作用し、また植物それ自体の総フェノール含量を高める可能性のあることを証明するために、詳細な研究がなされたという明瞭な兆候はこれまでにない。それにも関わらず、雌ウシ尿が介在して植物成長を促進し、植物病原性真菌を制御することは、もしそれが発見されていたなら、作物の生育において、例えば、植物病原体に侵され土壌に、所望の改善には栄養素利用能の乏しい場合に、直ちに適用されただろう。
【0019】
本発明の主目的は、植物成長、土壌の健康および生物制御の促進に有用な相乗的発酵組成物を開発することにある。
本発明のもう一つの目的は、雌ウシの尿、粉砕したインドセンダン葉、および/または粉砕したニンニク鱗茎を含有し、任意によりこれらを担体とともに含有してなる植物成長の促進に有用な相乗的発酵組成物の製造法を開発することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、雌ウシの尿および/または粉砕したインドセンダン葉および/または粉砕したニンニク鱗茎を使用する、任意によりこれらを担体とともに使用する、植物の成長促進方法を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
我々は様々な植物型で直接比較することにより、選択した植物と雌ウシ尿とのユニークな組み合わせが、植物の成長と健康の増進に有効であることを見出した。
【0021】
本発明は植物と土壌の健康増進因子として作用する雌ウシからの尿の使用法、および植物成長の促進と植物病原性真菌の制御におけるその適用に関し、当該組成物は尿、インドセンダンおよびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなり、その処理が、植物バイオマスにおける栄養分の蓄積促進、植物根圏における植物成長促進増殖、リン酸可溶化、植物病原菌に対する非生物ストレス耐性およびアンタゴニストを刺激し、そして植物の総フェノール含量の増大を示す;また、本発明は組成物の製造法に関する。
【0022】
本発明は植物と土壌の健康増進剤として有用な相乗的組成物であって、尿、インドセンダンおよびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなる組成物に関し、それによる処理は、該組成物が植物バイオマスにおける栄養素の蓄積、植物根圏において植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、植物病原性真菌を制御する能力を有すること、また植物の総フェノール含量を増大することを示す。
【0023】
従って、本発明は植物成長、土壌の健康および生物制御の促進に有用な相乗的発酵組成物であって、ウシの尿、ウシ尿1リットル当たり10〜750グラムの範囲の濃度の粉砕したインドセンダン葉、および/またはウシ尿1リットル当たり1〜500グラムの範囲の濃度の粉砕したニンニク鱗茎を含有し、任意により担体とともに含有してなる組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダンの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり250グラムである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、ニンニクの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり100グラムである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、ウシの尿が新鮮なウシ尿である。
本発明のさらにもう一つの態様においては、ウシの尿が雌ウシの尿である。
【0025】
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が、バーミコンポスト(vermicompost)、土壌、泥炭、籾殻、バーミキュライト(vermiculite)、カルボキシメチルセルロース、パーライト、ポリビニルピロリドン、タルク、および発酵圧搾泥からなる群より選択される。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が好ましくはバーミコンポストまたは発酵圧搾泥である。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体濃度がウシ尿1リットル当たり10〜1000gmの範囲である。
【0026】
本発明のさらにもう一つの態様においては、ウシの尿、ウシ尿1リットル当たり10〜750グラムの範囲の濃度の粉砕したインドセンダン葉、および/またはウシ尿1リットル当たり1〜500グラムの範囲の濃度の粉砕したニンニク鱗茎を含有し、任意によりこれらを担体とともに含有してなる植物成長促進に有用な相乗的発酵組成物の製造法であって、
・健常なウシから新鮮尿を収集する工程、
・粉砕したニンニク鱗茎とインドセンダン葉を収集した尿に加える工程、
・工程(b)で得た混合物を発酵させて相乗的組成物を得る工程、および
・任意で、該相乗的組成物に担体を加える工程、
からなることを特徴とする方法が提供される。
【0027】
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダンの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり250グラムである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、ニンニクの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり100グラムである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、ウシが雌ウシである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、得られた混合物を約30日間発酵させる。
【0028】
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が、バーミコンポスト、土壌、泥炭、籾殻、バーミキュライト、カルボキシメチルセルロース、パーライト、ポリビニルピロリドン、タルク、および発酵圧搾泥からなる群より選択される。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が好ましくはバーミコンポストまたは発酵圧搾泥である。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体濃度がウシ尿1リットル当たり10〜1000gmの範囲である。
【0029】
本発明のさらにもう一つの態様において、本発明はウシの尿および/またはウシ尿1リットル当たり10〜750グラムの範囲の濃度の粉砕したインドセンダン葉、および/またはウシ尿1リットル当たり1〜500グラムの範囲の濃度の粉砕したニンニク鱗茎を、任意によりこれらを担体とともに使用する植物の成長促進方法であって、植物の部分をウシ尿および/またはインドセンダンおよび/またはニンニクと接触させる工程からなることを特徴とする方法に関する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダンの濃度が、好ましくは250グラム/リットルである。
【0030】
本発明のさらにもう一つの態様においては、ニンニクの濃度が、好ましくは100グラム/リットルである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、ウシが雌ウシである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、ニンニクおよび/またはインドセンダンが尿中または水中で粉砕したものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が、バーミコンポスト、土壌、泥炭、籾殻、バーミキュライト、カルボキシメチルセルロース、パーライト、ポリビニルピロリドン、タルク、および発酵圧搾泥からなる群より選択される。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が好ましくはバーミコンポストまたは発酵圧搾泥である。
【0031】
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体濃度がウシ尿1リットル当たり10〜1000gmの範囲である。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物病原性細菌を制御するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物バイオマスの栄養素の蓄積を促進するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物バイオマスの窒素の蓄積を促進するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物バイオマスのリンの蓄積を促進するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法がリン酸可溶化を促進するものである。
【0032】
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が非生物ストレス耐性を促進するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物病原性真菌に対するアンタゴニストを促進するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物根圏の植物病原性真菌に対するアンタゴニストを促進するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該真菌が、フザリウム種、アルテルナリア種、フィトフソーラ・パルミボラ、スクレロティニア・スクレロチオラム、スクレロチウム・ロルフシイ、コレトトリチューム種、ペニシリウム種、アスペルギルス・ニガー、リゾクトニア・ソラニ、ピチウム・アファニデルマツム、クルブラリア・ルナータ、およびフォマ・ソルギーからなる群より選択される。
【0033】
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物の全フェノール含量を増大させるものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が菌核/厚壁胞子を形成する土壌由来の植物病原体から植物を保護するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、土壌灌注により植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、空中/葉面散布により植物の成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、浸種により植物成長を促進する。
【0034】
本発明のさらにもう一つの態様においては、畝間処理により植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物根圏において植物成長を促進する微生物の増殖を刺激するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物根圏においてリン可溶化する微生物の増殖を刺激するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物根圏において非生物ストレス耐性微生物の増殖を刺激するものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿が煮沸した状態のものである。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該植物が、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギ、およびエンドウからなる群より選択されるものである。
【0035】
本発明のさらにもう一つの態様においては、陶製および銅製の容器中でのインドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿が植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、銅製および/または陶製の容器を用いる方法が、植物の乾燥重量で約110%植物の成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿を1:5〜1:1000の範囲の比で希釈する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿を好ましくは約1:10の比で希釈する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダン、ニンニク、および尿の組み合わせが植物の成長促進に最も有効である。
【0036】
本発明のさらにもう一つの態様においては、インドセンダン、ニンニク、および尿の相乗的組み合わせが、コムギの成長において約85%の増加を示す。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が約2〜4時間で病原性真菌の菌核と厚膜胞子を阻害することにより植物の成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が土壌由来の植物病原体から植物を保護することにより植物の成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が、インドセンダン、ニンニク、および尿の組み合わせがカラー腐れ病に対し100%の生物制御活性を示すことで植物の成長を促進する。
【0037】
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が葉の斑点病を制御することにって植物の成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が植物を乾燥重量で約50%増大させることにより植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が窒素の蓄積を約50%増大させることにより植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法がリンの蓄積を約35%増大させることにより植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が病原性細菌の集団をlog単位約1減少させることにより植物成長を促進する。
【0038】
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が病原性真菌の集団をlog単位約0.7減少させることにより植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が放線菌の集団をlog単位約1減少させることにより植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が真菌に対し約150%拮抗現象を上昇させることにより植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法が非生物ストレス耐性を約100%上昇させることにより植物成長を促進する。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法がリン酸可溶化を約120%上昇させることにより植物成長を促進する。
【0039】
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法がグラム陽性細菌約40%の増大を示す。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法がグラム陰性細菌約20%の減少を示す。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法がグラム陽性細菌の増大を示す。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が植物の成長を30〜50%上昇させる。
本発明のさらにもう一つの態様においては、担体が植物病原真菌に対する拮抗現象を30〜45%の範囲で上昇させる。
本発明のさらにもう一つの態様においては、該方法がフェノール含量を120〜130%の範囲で上昇させることにより植物成長を促進する。
【0040】
従って、本発明のさらにもう一つの態様において、本発明は、植物と土壌の健康増進剤として有用な相乗的組成物であって、尿、インドセンダンおよびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなる組成物に関し、それによる処理は、該組成物が植物バイオマスにおけるNとPの蓄積、植物根圏における植物成長促進増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、植物病原性真菌を制御する能力を有すること、また植物の総フェノール含量を増大させることを示す。
【0041】
本発明のさらにもう一つの態様において、植物と土壌の健康増進剤として有用な相乗的組成物は、尿および植物を個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなる。
本発明のさらにもう一つの態様において、尿は雌ウシからなる動物のウシの群から集める。
本発明のさらにもう一つの態様において、植物はインドセンダンとニンニクからなる群より選択される。
【0042】
本発明のさらにもう一つの態様において、インドセンダンとニンニクの量は、尿1リットル当たり約250gmおよび100gmである。
本発明のさらにもう一つの態様において、インドセンダンの総量は尿1リットル当たり250gm、好ましくは尿1リットル当たり10〜750gmである。
本発明のさらにもう一つの態様において、ニンニクの総量は尿1リットル当たり100gm、好ましくは尿1リットル当たり1〜500gmである。
本発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は植物の成長を増進する。
【0043】
本発明のさらにもう一つの態様において、成長促進活性に付す植物は、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウからなる群より選択される。
本発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、広範な宿主範囲の経済的に重要な病原性真菌類の生物制御用の生物農薬としての可能性をもち、植物を病原体から保護する。
本発明のさらにもう一つの態様において、生物学的制御活性の対象となる病原性真菌は、フザリウム(Fusarium)種、アルテルナリア(Alternaria)種、フィトフソーラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、スクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、コレトトリチューム(Colletotrichum)種、ペニシリウム(penicillium)種、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、クルブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)、およびフォマ・ソルギー(Phoma sorghi)からなる群より選択される。
【0044】
本発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、菌核/厚壁胞子を形成する土壌由来の植物病原体から植物を保護する.
本発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、浸種処理により種子由来の植物病原体から植物を保護する。
本発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、土壌灌注処理により植物病原体から植物を保護する。
本発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、空中噴霧として植物病原体から植物を保護する。
【0045】
発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、対象の処理剤を分散させるための担体と共に使用される;この場合の好適な担体はバーミコンポストおよび発酵圧搾泥からなる群より選択される。
発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、植物バイオマスにおける栄養素の蓄積を増進する。
発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、植物根圏において植物成長促進微生物の増殖を刺激する。
発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、植物根圏においてリン酸可溶化微生物の増殖を刺激する。
【0046】
発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、植物根圏において非生物ストレス耐性微生物の増殖を刺激する。
発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、植物根圏において植物病原性真菌に対するアンタゴニストの増殖を刺激する。
発明のさらにもう一つの態様において、当該相乗的組成物は、植物の総フェノール含量を増大させる。
【0047】
実験はギル(Gir)、カンクレジュ(Kankrej)、ナグピュール(Nagpur)、タルパルカル(Tharparkar)、およびハリャーナ(Haryana)雌ウシからの尿を使用して実施した。植物バイオマスの差は2%の範囲内であった。サーヒワールは亜大陸でずば抜けて良い最良の品種である。それ故、さらなる研究ではサーワヒールの雌ウシを使用した。
【0048】
発明のさらにもう一つの態様において、出願人は、植物および土壌の健康増進剤として有用な植物を選択するために雌ウシの尿を使用し、植物バイオマスにおける栄養素の蓄積、植物根圏における植物成長促進増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性と植物病原性真菌に対するアンタゴニスト、および植物の総フェノール含量を上昇させるなどの能力を示す新規な方法を発見した。
【0049】
上記の発明についてはさらに実施例の形で詳述するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
1. 健常な在来(サーヒワール)雌ウシから、朝に、清潔なプラスチックコンテナーに新鮮尿を集める。土壌に首まで埋めた銅製または陶製の2リッター容量のポットに尿1リットルを注ぎ容れ、30日まで発酵する。30日後、発酵産物をそのまま用いるか、または散布前に煮沸させて0.25リットルまで濃縮する。もう一つの組み合わせでは、雌ウシ尿とインドセンダン(250gm葉/リットル)および/またはニンニク(100gm破砕鱗茎/リットル)と共に発酵する。さらにもう一つの組み合わせでは、インドセンダンおよびニンニクを水と共に発酵させる。このように、尿、インドセンダンおよびニンニクを個々に、それぞれ銅製または陶製ポット中、12種の処理剤を調製し、最終的に、計24種の処理剤とする。
【0050】
2. 温室内でステップ1にて調製した24種の処理剤の内、植物成長を促進する可能性のあるもののスクリーニングは以下のように実施する:温室中、非無菌土壌に1:100に希釈した濃度のステップ1にて調製した個々の処理剤の存在下に、ヒヨコマメ植物を栽培する;上記と同じヒヨコマメ植物を対照として栽培するが、この場合、該処理剤は加えない;そして、処理植物の乾燥重量の増加を示すようにする処理剤を植物成長促進剤として選択する。
【0051】
3. 0〜1:1000の範囲の異なる希釈を用いて、ステップ2にて選択した処理剤について、温室中、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウに対する植物成長促進能力としてさらに評価し、処理植物の乾燥重量の増加を示すようにする処理剤を選択する。
【0052】
4. スクリーニング;実施例1に概略説明した手法により得られる、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダンおよび尿+ニンニクの処理剤について、フザリウム・オキシスポラムf.sp. シセリ(Fusarium oxysporum f. sp. ciceri)、フザリウム・オキシスポラムf.sp. グラジオリ(Fusarium oxysporum f. sp. Gladioli)、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、フィトフソーラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、フィトフソーラ・ニコチアナエ(Phytophthora nicotianae)、スクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、コレトトリチューム・ファルカツム(Colletotrichum falcatum)、コレトトリチューム・カプシシ(Colletotrichum capsici)、ペニシリウム(Penicillium)種、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、クルブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)、およびフォマ・ソルギー(Phoma sorghi)の増殖を阻害する可能性を、以下のインビトロ条件下で選抜した;テストすべき真菌の寒天栓接種物(5mm四方)を栄養寒天平板(NA)上の真菌源プレートから平板の中心にそれぞれ移す;各NAプレート上には直径5mmの4個の穴が穿ってある;それぞれの穴に、100μLの処理剤を穴3個あて加え、第4の穴には陰性対照として無菌水を加える;平板を5〜8日間インキュベートし、真菌の増殖を阻害する生物制御活性をもつ処理剤を選択する。
【0053】
5. インドセンダンとニンニクとを指示された種々の組み合わせと量(gm/リットル)での濃度の影響を、陶製容器中、フィトフソーラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)を抑制し、コムギの成長を促進する以下のインビトロの条件下で評価する:P.パルミボラを阻害し、コムギの植物成長を促進(乾燥重量による)する、より良好な能力を示すインドセンダンとニンニクの量および組み合わせを選択する。
【0054】
6. 実施例1に概略説明した手法により得られる、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含有する製品について、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)およびスクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)の菌核およびフザリウム種の厚壁胞子の増殖を阻害するその能力を、以下のインビトロ条件下で評価する;3週令の同じサイズの菌核/厚壁胞子を表面無菌後にNA平板から集め、種々濃度の処理剤にそれぞれ2時間浸漬する;15の菌核/厚壁胞子の内の3バッチを取り出しNA上に植菌し、25℃で7日間培養した後、菌核/厚壁胞子の生存度をモニターする;菌核/厚壁胞子の生存度は、7日後の菌糸体増殖の目視検査により、発芽している菌核/厚壁胞子の数によって記録する。
【0055】
7. 実施例1に概略説明した手法により得られる24種の処理剤について、温室中、ヒヨコマメ実生のカラー腐れ病を制御する浸種と土壌灌注により、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)の増殖を阻害する能力を以下のようにスクリーニングする:10%希釈処理剤に浸すことにより、種子をそれぞれ2時間浸漬する;土壌灌注処理のために、乾燥ポットの土壌の水分を20%に調整し、それとともに製品をそれぞれ1:100に希釈する。
【0056】
8. 陶製容器中で発酵した尿+インドセンダン+ニンニクを含む種々濃度の製品の影響について、圃場生育ベテルバイン(betelvine)のアルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)を原因とする葉の斑点病を制御する能力を以下のように評価する:幅35cmおよび高さ10cmの隆起をもつ1メータ幅の床を作る;単一の節の挿し木から得た挿し木をアルテルナリア・アルテルナータに自然感染した圃場試験区に植える;病的症状の現れた時点で第一回目の製品噴霧を行い、次いで15日の間隔で5回噴霧する;5回目の製品噴霧の後、15日後に病気の強度を記す。
【0057】
9. 陶製容器中で発酵した煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの添加の、ヒヨコマメ植物の根圏微生物およびNとPの蓄積に対する影響について、以下のように評価する:1:10に希釈した陶製容器中で発酵した煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの存在下および不存在下に、ヒヨコマメ植物を4週間栽培する;該植物の乾燥重量、微生物集団、およびNとPを決定する。
【0058】
10. 陶製容器中で発酵した煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの添加の、ヒヨコマメ植物の根圏微生物に対する影響について解明し、常在性集団中の細菌のパーセントを測定し、植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対する拮抗現象を以下のように証明することにより評価する;1:10に希釈した陶製容器中で発酵した煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの存在下および不存在下に、ヒヨコマメ植物を4週間栽培する;常在性集団中の細菌のパーセントの変化を測定し、植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対する拮抗現象を証明する。
【0059】
11. 陶製容器中で発酵した煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの添加の、ヒヨコマメ植物の総フェノール含量に対する影響について以下のように解明する;1:10に希釈した陶製容器中で発酵した煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの存在下および不存在下に、ヒヨコマメ植物を4週間栽培する;処理したヒヨコマメの葉と根における総フェノール性化合物の変化を測定し、未処理対照と比較、観察した。
【0060】
上記のプロセスにより選択された、尿、インドセンダンおよびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなる相乗性組成物は、植物成長を促進する能力および植物病原性真菌を制御する能力を有し、植物バイオマスにおけるNおよびPの蓄積、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、そして植物の総フェノール含量を上昇させる。
【0061】
この発見によると、本発明の目的は、上記のプロセスにより選択された、尿、インドセンダンおよびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含んでなる相乗性組成物を提供することにあり、該組成物は、植物成長を促進する能力および植物病原性真菌を制御する能力を有し、植物バイオマスにおけるNおよびPの蓄積、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、そして植物の総フェノール含量を上昇させる。
【0062】
また、本発明の目的は、これらの植物を選択するための、尿を含有してなる相乗性組成物のスクリーニング手段を提供することにあり、該組成物は植物成長を促進する能力および植物病原性真菌を制御する能力を有し、植物バイオマスにおけるNおよびPの蓄積、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、そして植物の総フェノール含量を上昇させる。
【0063】
本発明のさらなる目的は、これらの植物を選択するための、尿を含有してなる相乗性組成物のスクリーニング手段を提供することにあり、該組成物は植物成長を促進する能力および植物病原性真菌を制御する能力を有し、植物バイオマスにおけるNおよびPの蓄積、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、そして植物の総フェノール含量を上昇させるものであり、商業生産用の植物、種子、および土壌のための植物および土壌健康増進剤として有用である。
【0064】
本発明のさらなるもう一つ目的は、これらの植物を選択するための、菌核/厚壁胞子を形成する土壌由来の植物病原体から植物を保護する能力を有する、尿を含有してなる相乗性組成物のスクリーニング手段を提供することである。
本発明のさらにもう一つ目的は、これらの植物を選択するための、浸種と土壌灌注処理により植物病原体から植物を保護する能力を有する、尿を含有してなる相乗性組成物のスクリーニング手段を提供することである。
本発明のもう一つ目的は、これらの植物を選択するための、空中噴霧により植物病原体から植物を保護する能力を有する、尿を含有してなる相乗性組成物のスクリーニング手段を提供することである。
【0065】
本発明のその他の目標と利点は、以下に続く記載から明らかとなろう。しかし、理解すべきことは、その詳細な記載と具体的な実施例が、本発明の好適な態様を説明するものであって、説明の手段として示しただけのものであり、本発明の精神と範囲内で様々な変更と修飾が、この詳細な記載から当業者には明らかになり得ることである。
【0066】
雌ウシからの尿を使用すると、植物と土壌の健康増進剤として作用することが発見された。雌ウシ尿の散布は植物の成長を促進し、植物病原性真菌を制御するに至る;当該組成物は尿、インドセンダン葉およびニンニクを個々にまたはすべての可能な組み合わせで含有してなり、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、そして植物の総フェノール含量を上昇させる。
【0067】
それ故、本発明の一つの側面は、これらの植物を選択するために有用な、尿を含有してなる相乗性組成物のスクリーニング方法に関し、該組成物は植物成長を促進しかつ植物病原性真菌を制御する可能性を有し、それによる処理が植物バイオマスにおけるNおよびPの蓄積、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激し、かつ植物の総フェノール含量を上昇させる。
【0068】
先ず、健常な在来(サーヒワール)雌ウシから、朝に、清潔なプラスチックコンテナーに新鮮尿を集める。土壌に首まで埋めた2リッター容量の銅製容器に尿1リットルを注ぎ容れ、インドセンダン(250gm葉/リットル)および/またはニンニク(100gm破砕鱗茎/リットル)と共に30日まで発酵させる。30日後、発酵産物をそのまま用いるか、または煮沸させて0.25リットルまで濃縮し、散布する。さらにもう一つの組み合わせでは、土壌に首まで埋めた2リッター容量の陶製容器中、雌ウシ尿をインドセンダン葉および/または破砕ニンニク鱗茎と共に30日間発酵する。30日後、発酵産物をそのまま用いるか、または煮沸させて0.25リットルまで濃縮し、散布する。さらにもう一つの組み合わせでは、インドセンダン葉および/またはニンニク鱗茎を水と共に発酵させる。30日後、発酵産物をそのまま用いるか、または煮沸させて0.25リットルまで濃縮し、散布する。このように、尿、インドセンダン葉および破砕ニンニク鱗茎を個々に、それぞれ銅製または陶製ポット中、12種の処理剤に製し、最終的に、計24種の処理剤とする。
【0069】
上記ステップで調製した24種の処理剤をスクリーニングに付し、すでに記載した温室条件下、特定濃度で植物の成長を促進するものを選択する[C.S. Nautiyal, J.K. Johri and H.B. Singh, Canadian Journal of Microbiology, Volume 48, pp. 588-601 (2002)]。このテストでは、ヒヨコマメの種子を非無菌化土壌にて栽培し、それぞれ1:100の希釈濃度で処理する。温室内テストでは、陶製ポット(直径25cm)がヒヨコマメと他の植物を栽培するのに便利な大きさであることが分かっていた。各ポットには非無菌土壌を満たした。無菌土壌または他の植物成長支持材料、例えば、バーミキュライトなどを非無菌化土壌の代わりに使用することもできるが、これらの処理剤を散布しようとする圃場からの非無菌化土壌を温室内テストで使用するのが好ましい。種子を植え付ける前に、水道水を各穴に加え、24種の処理剤を1:100に希釈すると共に、乾燥土壌の水分を20%に調整する。対照および希釈処理剤用の水道水は種子植え付け前に加え、乾燥土壌の水分を15〜30%に調整する。好適な水分は20%である。ポットあたり6個の種子を加えた。データは植物の成長21日後に植物の高さと重量について記録し、処理植物の乾燥重量が増加を示すこととなった処理剤を植物成長促進剤として選択した。
【0070】
次に、前のステップで選択した処理剤について、温室中、0〜1:1000の範囲の異なる希釈を用いて、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウに対する植物成長促進能力を評価し、特定の濃度で前記の温室条件下で植物成長を促進する処理剤を選択する[C.S. Nautiyal, Current Microbiology, Volume 34, pp. 12-17 (1997)]。このテストにおいては、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウの種子を非無菌化土壌にて栽培する。1枚あたり16箇所(4×4)のスペースをもつトレー(35×35cm)(各スペースは幅7cm、深さ10cmであり、互いに1cm離れていた)がヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウと他の植物を温室内テスト用に栽培するのに便利な大きさであることが分かっていた。各スペースに8cmまで非無菌化土壌を満たした。
【0071】
無菌土壌または他のいずれかの植物成長支持材料、例えば、バーミキュライトなどを非無菌化土壌の代わりに使用することもできるが、これらの処理剤を散布しようとする圃場からの非無菌化土壌を温室内テストで使用するのが好ましい。データは植物の成長30日後に植物の高さと重量について記録し、処理植物の乾燥重量が増加を示すこととなった処理剤を植物成長促進剤として選択した。
【0072】
次に、陶製容器中で発酵させた、良好な植物成長促進性を示す尿+インドセンダンおよび尿+インドセンダン+ニンニクの処理剤について、前記のインビトロ条件下、フザリウム・オキシスポラムf.sp. シセリ(Fusarium oxysporum f. sp. ciceri)、フザリウム・オキシスポラムf.sp. グラジオリ(Fusarium oxysporum f. sp. gladioli)、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、フィトフソーラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、フィトフソーラ・ニコチアナエ(Phytophthora nicotianae)、スクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、コレトトリチューム・ファルカツム(Colletotrichum falcatum)、コレトトリチューム・カプシシ(Colletotrichum capsici)、ペニシリウム(Penicillium)種、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、クルブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)、およびフォマ・ソルギー(Phoma sorghi)の増殖を抑制する、すなわち、植物病原性真菌を抑制する能力についてのスクリーニングに付す[C.S. Nautiyal (1997) Current Microbiology 35: 52-58; C.S. Nautiyal (1997) FEMS Microbiology Ecology 23: 145-158]。
【0073】
テストすべき真菌の寒天栓接種物(5mm四方)を真菌源プレートから平板の中心にそれぞれ移した。各NAプレート上に、4個の穴(直径5mm)をあけた。それぞれの穴に、100μLの処理剤を個々に加え、第4の穴には陰性対照として無菌水を加えた。5〜8日間インキュベートした後、穴の周囲の真菌増殖が阻害され、処理剤が生物制御活性を示す場合、阻止域は容易に観察された。処理剤が生物制御活性を示さない場合で、陰性対照として穴に無菌水を加えた場合には、穴の周囲の真菌増殖が阻害されず、真菌は穴の周縁で増殖した。
【0074】
尿中のインドセンダン(50、100、250および500gm/リットル)およびニンニク(10、50、100および250gm/リットル)の濃度は、病原性真菌を抑制し、植物成長を促進する能力を最適化するためのインビトロ条件下で、陶製容器での数種の組み合わせと量を用いることによりさらに改善された。使用されるインドセンダンの量は50〜500gm/リットルの範囲にあり、ニンニクについては10〜250gm/リットルである。インドセンダンとニンニクの好適な量はそれぞれ250および100gm/リットルである。
【0075】
次に、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含有する処理剤について、スクレロティア・ロルフシイ(Sclerotia rolfsii)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)およびスクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)の菌核およびフザリウム種の厚壁胞子の増殖を阻害する、インビトロ条件下での能力を対象とする;試験は3週令の同じサイズの菌核/厚壁胞子を表面無菌化後にNA平板から集め、種々濃度の処理剤にそれぞれ6時間まで浸漬することにより行う;15の菌核/厚壁胞子の内の3バッチを取り出し、NA上に植菌し、25℃で7日間培養した後、菌核/厚壁胞子の生存度をモニターする;菌核/厚壁胞子の生存度は、7日後の菌糸体増殖の目視検査により、発芽している菌核/厚壁胞子の数によって記録する。
【0076】
24種の処理剤について、温室中、ヒヨコマメ実生のカラー腐れ病を制御する浸種と土壌灌注処理により、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)の増殖を阻害する能力をさらにテストする:テストでは10%希釈処理剤に浸すことにより、指示どおりに種子をそれぞれ2時間浸漬し、土壌灌注処理のために、乾燥ポットの土壌の水分を20%に調整し、それと共に製品を指定どおりに1:100にそれぞれ希釈する。
陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含有する様々な濃度の処理剤は、圃場栽培植物の葉の斑点病を制御するその能力を葉面散布処理により試験する。
【0077】
陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの添加の、ヒヨコマメ植物における植物の健康、圏根微生物およびNとPの蓄積に対する影響を評価した。植物の健康と根圏の微生物相集団は、すでに記載されている手法により評価した[C.S. Nautiyal, J.K. Johri and H.B. Singh, Canadian Journal of Microbiology 48: 588-601(2002)]。総Nはケルダール法により定量した[J.M. Bremner and C.S. Mulvancy (1982) Nitrogen-total, p. 595-624. In A.L. Page (ed.), Methods of soil analysis, part 2, 2nd ed., Agronomy, no. 9, American Society of Agronomy, Madison, Wis., U.S.A.]。植物組織を15mlのHClOと5mlのHNO混合物中で消化させ、バナド−モリブデン酸法による比色分析により定量した[H.L.S. Tandon, M.P. Cescas and E.H. Tyner (1968) Soil Science Society of America Proceedings 32: 48-51]。
【0078】
次に、陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクを加え、植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを示す常在性集団中の細菌のパーセントを決定することにより、根圏微生物に対するその影響を解明した。ヒヨコマメ植物は、陶製容器中で発酵させ、1:10に希釈した煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの存在および不存在下に4週間栽培した。
【0079】
根圏細菌を単離するために、ヒヨコマメ根を水道水で2分間完全に洗い、ゆるく付着している土壌粒子をすべて除き、次いで、無菌の0.85%(w/v)塩水ミリQ水(MQW)で洗った。次いで、その根を0.85%塩水MQWに浸して乳鉢と乳棒で柔らかくした。次いで、ホモジネートを段階希釈してすでに記載されているようにNA寒天平板に塗布した[C.S. Nautiyal (1997) Current Microbiology 33: 1-6]。平板上に存在する主として形態学的に区別し得るコロニーの1000個の細菌代表をNA平板から選択し、NA平板上で個々の菌株を継代培養して精製し、さらにスクリーニングするための純培養物を得た。
【0080】
各分離株を30%グリセロール水溶液中に−25℃で貯蔵した。1000個の細菌株を用い、細菌の異種集団中に存在するグラム陽性およびグラム陰性細菌の%を定量した。1000種の細菌株から、主として形態学的に区別し得るコロニーの100種の細菌代表を無作為に用いて、植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを示す常在性集団中の細菌の%の変化を決定した。
【0081】
100種の細菌の個々の株は、植物成長促進の可能性を有する細菌を選択するためのスクリーニングに付した。トウモロコシ(ジー・メイズ(Zea mays))種子用の細菌接種物は、10mlの0.85%塩水で48時間増殖した培養物を平板から削り取ることにより調製した。トウモロコシ種子はその表面を70%エタノール(5分)、20%漂白剤クロロックス(Chlorox)(10分)でゆるやかに振盪することにより(80rpmの往復式シェーカー、28℃)無菌化し、次いで、無菌水で3回すすいだ。表面を無菌化した後、種子を往復式シェーカー上、100rpmで、28℃4時間、細菌懸濁液(1×10CFU/ml)に浸漬した。対照種子(細菌非接種)を0.85%塩水に浸漬し、未接種平板から洗い出した。種子の細菌化レベルは、各処理から4個の種子をかき混ぜ、NA平板上、段階希釈後に塗布した。平均 cfu/種子は、平板を28℃で48時間インキュベーションした後の処置あたり、三組の試験で、3集団の cfu/gmを平均することにより決定した。種子を植え込む前に、各穴に水道水を加え、土壌の水分を15〜30%に調整した。
【0082】
好適な土壌水分は20%である。1枚あたり16箇所(4×4)のスペースをもつトレー(35×35cm)(各スペースは幅7cm、深さ10cmであり、互いに1cm離れていた)を用いてトウモロコシを栽培した。各スペースに8cmまで非無菌化土壌を満たした。種子を植え込む前に、各穴に水道水(25ml)を加え、土壌の水分を20%に調整した。4個の細菌接種種子を各穴ごとに加えた。温室内での実験は、細菌未接種(対照)および細菌接種種子について、16個のトウモロコシ実生の4種の異なる群で実施した。各群において、21日令の実生のデータを植物の乾燥重量に関して記録した。植物成長促進剤であるべき細菌株であれば、その細菌接触実生は平均して比較すべき細菌未接種植物の乾燥重量の少なくとも10%高くなければならない[C.S. Nautiyal, J.K. Johri and H.B. Singh, Canadian Journal of Microbiology 48: 588-601 (2002)]。
【0083】
100種の細菌株のリン酸可溶化能力の定量的評価は、国立植物学研究所のリン酸可溶化培地(NBRIP)をブロスで使用することにより、三組の試験で実施した。その方法はメータとナウチヤルが記載している [S. Mehta and C.S. Nautiyal (2001) Current Microbiology 43: 51-56]。
【0084】
次に、100種の細菌の個々の株を、非生物ストレス耐性用のスクリーニングに付す。塩(NaCl)、pH、および温度に対す該株のストレス耐性を、例えば、6%塩(NaCl)、pH(3および11)、および温度(5および55℃)でのストレス下に一夜(14〜16時間)増殖させるなど、様々なストレス条件下で、普通ブイヨン上、個々に増殖させることによりテストした。6%塩(NaCl)、pH(3および11)では、ストレス培養物は30℃で一夜増殖させた。各サンプルを段階希釈し、NA平板にスポットし(25μl)、すでに記載されているように、三組の試験で30℃でインキュベートした[C.S. Nautiyal, J.K. Johri and H.B. Singh, Canadian Journal of Microbiology 48: 588-601 (2002)]。非生物ストレス耐性能力をもつ細菌株の増殖は、30℃での平板インキュベーション2〜3日後に、明瞭に目視可能であった。
【0085】
100種の細菌の個々の株をすでに記載されているインビトロ条件下[C.S. Nautiyal (1997) Current Microbiology 35: 52-58]植物病原性真菌を抑制する可能性をもつ細菌のスクリーニングに付す;該真菌はフザリウム・オキシスポラムf.sp. シセリ(Fusarium oxysporum f. sp. ciceri)、コレトトリチューム・ファルカツム(Colletotrichum falcatum)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)、ペニシリウム(Penicillium)種、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、フィトフソーラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、クルブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)、スクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびフォマ・ソルギー(Phoma sorghi)である。NA平板上の細菌コロニーは、90mm径のペトリ皿の周縁に条斑を示したが、この平板を28℃で1〜2日間インキュベートした。次いで、テストすべき細菌の寒天栓接種物(5mm四方)を細菌供給源平板から個々に該平板の中心に移した。5〜8日間のインキュベーションの後に、生物制御活性をもつ細菌株の場合、阻止域が容易に観察された。
【0086】
陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクを担体(泥炭、バーミコンポストおよび発酵圧搾泥)に加え、対象処理剤を15〜45%水分に分散する。好適な水分量は種子として土壌に加える前、または畦間処理の前、35%である。畦間処理の場合、種子を含む開畦全体に直接製剤を散布し、処理後に覆いをかける[C.S. Nautiyal, J.K. Johri and H.B. Singh, Canadian Journal of Microbiology 48: 588-601 (2002)]。ヒヨコマメ植物は4週間栽培し、上記の根圏微生物に対する影響を、常在集団内の細菌のパーセントを決定し、植物成長促進、リン酸可溶化、および植物病原性真菌に対する拮抗現象を証明することにより解明した。
【0087】
次に、陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニク添加の影響を、ヒヨコマメ植物の総フェノール含量について評価した。このテストでは、ヒヨコマメ種子を非無菌化土壌で栽培し、1:10の希釈濃度で個々に処理した。陶製ポット(直径25cm)が温室内でヒヨコマメおよびその他の植物の栽培に便利なことが分かっている。各ポットに非無菌化土壌を容れた。それぞれの穴に、種子植え付け前に水道水を加え、乾燥土壌の水分を20%に調整し、同時に24種の処理剤を個々に1:10に希釈した。対照と希釈処理のために、種子植え付け前に各穴に水道水を加え、乾燥土壌の水分を20%に調整した。各穴ごとに4個の種子を加えた。植物栽培30日後に、処理したヒヨコマメの葉および根における総フェノール性化合物に関し、未処理対照と比較してデータを記録し、総フェノールはグラハム(Graham)が改良したプルシアンブルー法を用いて、分光光度法により評価した [H.G. Graham (1992) Journal of Agriculture Food Chemistry Volume 40: 801-805]。
【0088】
上記の他の性質に加えて、これら相乗性組成物の予期せざる驚くべき特性が、以下の特徴を含んでいる。該処理剤はすべてサーヒワール雌ウシの尿から調製したものである。該処理剤は植物の成長を促進し、植物の多くの病原性真菌の増殖を阻害する。これらの処理剤は、温室条件および圃場条件、両条件下の土壌の植物の成長を促進し、植物病を低減する。本発明の処理剤は植物バイオマスでの栄養素蓄積、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性、および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激することができる。さらに、該処理剤は植物の総フェノール含量を増大させる。
【0089】
植物と土壌の健康増進剤として有用な組成物に、インドセンダンおよびニンニクと共に雌ウシの尿を使用し、それを植物の成長促進と植物病原性真菌の制御に応用することは、本発明の範囲内であり、当該組成物は、植物バイオマスでの栄養素蓄積、植物根圏における植物成長促進の増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激する能力を有し、植物の総フェノール含量を増大させるいかなるタイプの尿または植物をも含む。
【0090】
本発明のもう一つの側面は、温室条件および圃場条件、両条件下の土壌の植物病を制御し、植物の成長を促進する方法を目的とするものであり、このものは広範な宿主範囲の経済的に重要な病原性真菌の生物制御用生物農薬として可能性をもつ。
該処理剤は種子または植物に直接散布可能であり、植え付け前に土壌中に存在してもよいし、または、例えば、拡散、噴霧などにより、作物もしくは土壌表面全体に、または作物を植付けてある場合には土壌の畦間に散布することができる。
【0091】
病原性真菌の菌核/厚壁胞子は、浸漬による処理、または菌核と厚壁胞子に処理剤を適用する技術上既知の他の方法により処理することができる。
種子は対象の処理剤を含む組成物に液体噴霧で浸漬するか、または周知の方法により種子に処理剤を適用する技術上既知の他の方法により処理することができる。
本発明のさらなる側面によると、種子由来の病気は、該種子を液体噴霧で処理剤に浸漬するか、または周知の方法により種子に処理剤を適用する技術上既知の他の方法により防御できる。
【0092】
対象の処理剤を分散するために使用し得る担体は、作物に接種するために一般に使用される担体すべてを含み、また泥炭、バーミコンポストおよび発酵圧搾泥などの担体を含む。
本発明のこの態様によると、最適な担体は使用する処理剤によって変わり得る。上記組成物のいずれも、また液体、粉末、油または固体基剤、例えば、泥炭、土壌、籾殻、バーミキュライト、カルボキシメチルセルロース、泥炭、バーミコンポスト、パーライト、ポリビニルピロリドン、タルクなどは、そこに含まれる栄養素または何らかの他の担体因子を有し得る。しかし、下記実施例にて示すように、バーミコンポストと発酵圧搾泥が好適である。
【0093】
本発明のさらなる側面は方法に関するものであり、それによって製造される本発明の相乗性組成物は、技術上既知のいかなる方法でも使用し得る;例えば、土壌または種子または発芽前植物根のみの事前処理、または細菌の増殖および生存に害のない他の化学物質、例えば、植物成長促進化合物、農薬、肥料、泥炭、バーミコンポスト、および発酵圧搾泥などとの組合せでの処理などである。
本発明につき、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0094】
実施例1
雌ウシ尿の採集と発酵
健常な在来(サーヒワール)雌ウシから、朝、清潔なプラスチックコンテナーに新鮮尿を集める;これはガヤリア(Gajaria)農場(ウッタルプラデッシュ州(Government of Uttar Pradesh)畜産局、ラックナウ(Lucknow))からのものである。土壌に首まで埋めた銅製または陶製の2リッター容量のポットに尿1リットルを注ぎ容れた。ポットの頂部を覆い、尿を25〜35℃で30日間発酵した。ポット中の尿量は必要に応じて水を足し、維持した。30日後、発酵産物をそのまま用いるか、または散布までに煮沸させて0.25リットルまで濃縮した。もう一つの組み合わせでは、雌ウシ尿とインドセンダン(250gm葉/リットル)および/またはニンニク(100gm破砕鱗茎/リットル)と共に発酵した。さらにもう一つの組み合わせでは、インドセンダン葉および/または破砕ニンニク鱗茎を水と共に発酵させた。同様に、尿、インドセンダン葉および/または破砕ニンニク鱗茎を用い、それらを個々に、それぞれ銅製または陶製ポット中、12種の処理剤を調製し、最終的に、計24種の処理剤とした。
最初の作業はゴ−ビギヤン・アヌサンダーン・ケンドラ(Go-Vigyan Anusandhan Kendra)、デオラパール(Deolapar)、ナグプル(Nagpur)で実施した。
【0095】
実施例2
温室中ヒヨコマメの植物成長促進能力に対する24種処理剤の影響
温室中、ヒヨコマメの植物成長促進能力に対する24種の処理剤の影響を試験するための実験は、処理種子および未処理種子(対照)について、30個のヒヨコマメ実生のそれぞれ4種の異なるセットで実施した。陶製ポット(25cm径)を同条件で4本使用し、ヒヨコマメを栽培した。各ポットに非無菌化土壌を詰めた。種子植え付け前に、各穴に水道水を加え、乾燥土壌の水分を20%に調整し、24種の処理剤をそれぞれに1:100に希釈した。6個の処理種子を穴ごとに加えた。植物成長21日後、セットごとに、植物の乾燥重量につきデータを記録した。その結果を以下の表1にまとめた。処理植物は未処理対照に比べて、より良好な植物乾燥重量を示した。処理植物の内、陶製ポットで発酵させた煮沸尿+インドセンダンが最良の結果を示し、良好な実生乾燥重量として、未処理対照に比較して106%の増加を示した。
【0096】
【表1】

【0097】
* 最初の作業はゴ−ビギヤン・アヌサンダーン・ケンドラ(Go-Vigyan Anusandhan Kendra)、デオラパール(Deolapar)、ナグプル(Nagpur)で実施した。
処理した植物は未処理対照と比較して、良好な植物乾燥重量を示すことが見出された。処理植物の内、陶製ポットで発酵させた煮沸尿+インドセンダンが、未処理対照に比較して、良好な実生乾燥重量として最良の結果を示した。
【0098】
実施例3
温室中、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウの植物成長促進能力に対する陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダンの異なる希釈の影響
温室中、ヒヨコマメ(シセル・アリエチヌム(Cicer arietinum))、トウモロコシ(ジー・メイズ(Zea mays))、コムギ(トリチクム・ブルガレ(Triticum vulgare))およびエンドウ(ピスム・サチバム(Pisum sativum))の植物成長促進能力に対する、実施例1に記載した陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダンの影響を試験するための実験を実施した。1枚あたり16箇所(4×4)のスペースをもつトレー(35×35cm)(各スペースは幅7cm、深さ10cmであり、互いに1cm離れていた)を使用し、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウを栽培した。各スペースに8cmまで非無菌化土壌を満たした。種子を植え込む前に、各穴に水道水を加え、土壌の水分を20%に調整し、該製品を記載のように希釈した。4個の種子を各穴ごとに加えた。温室内での実験は、未処理(対照)および処理した種子について、16個のヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギおよびエンドウ実生の4種の異なるセットで実施した。各セットにおいて、30日令実生のデータを植物の乾燥重量に関し記録した。結果は、陶製容器中で発酵させた製品尿+インドセンダンの1:10希釈により処理した植物が、未処理対照と比較して、最良の植物乾燥重量を示し、その次が1:100希釈であることを証明した(表2)。
【0099】
【表2】

【0100】
陶製容器中で発酵させた製品尿+インドセンダンの1:10希釈により処理した植物が、未処理対照と比較して、最良の植物乾燥重量を示し、その次が1:100希釈であることが見出された。
【0101】
実施例4
広範囲の植物病原性真菌を抑制する能力についての、インビトロ条件下、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダンおよび尿+インドセンダン+ニンニクを含有する製品の影響
実施例1で概略説明した手法により得た、陶製容器中で発酵させた処理物、尿+インドセンダンおよび尿+インドセンダン+ニンニクについて、フザリウム・オキシスポラムf.sp. シセリ(Fusarium oxysporum f. sp. ciceri)、フザリウム・オキシスポラムf.sp. グラジオリ(Fusarium oxysporum f. sp. gladioli)、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)、アルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、フィトフソーラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、フィトフソーラ・ニコチアナエ(Phytophthora nicotianae)、スクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、コレトトリチューム・ファルカツム(Colletotrichum falcatum)、コレトトリチューム・カプシシ(Colletotrichum capsici)、ペニシリウム(Penicillium)種、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、クルブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)、およびフォマ・ソルギー(Phoma sorghi)の増殖を阻害する能力を、以下のインビトロ条件下で選抜した:テストすべき真菌の寒天栓接種物(5mm四方)を栄養寒天平板(NA)上の真菌源プレートから平板の中心にそれぞれ移した。
【0102】
各NAプレート上には4個の穴(直径5mm)をあけた。それぞれの穴に、100μLの処理剤を加え、第4の穴には陰性対照として無菌水を加えた。各穴には、24種の処理剤からの製品100μlをそれぞれ加えた。7日間インキュベーションした後、穴の周囲の真菌増殖が阻害され、処理剤が生物制御活性を示す場合、阻止域は容易に観察された。処理剤が生物制御活性を示さない場合には、穴の周囲の真菌増殖が阻害されず、真菌は穴の周縁で増殖した(表3)。陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品は、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン製品と比較して、インビトロの条件下、広範囲の病原性真菌を阻害するより良好な能力を示し、広範囲の経済的に重要な病原性真菌類の生物制御用の生物農薬としての可能性を示すことが明らかとなった。
【0103】
【表3】

【0104】
陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品は、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダンと比較して、インビトロの条件下、広範囲の病原性真菌を阻害するより良好な能力を示した。それ故、本製品の使用は、広範囲宿主の経済的に重要な病原性真菌類の生物制御用生物農薬としての可能性を有する。
【0105】
実施例5
フィトフソーラ・パルミボラを抑制し、コムギの成長を促進する能力について、インビトロ条件下、陶製容器中で発酵させた製品に対するインドセンダンとニンニクの種々濃度の影響
フィトフソーラ・パルミボラを抑制する能力について、インビトロ条件下、陶製容器中で発酵させた製品に対しての、表4に示す種々の組合せと量(gm/リットル)でのインドセンダンとニンニクの種々濃度の影響を以下のように評価した:P.パルミボラの寒天栓接種物(5mm四方)を平板の中心に移した。各NAプレート上には4個の穴(直径5mm)をあけた。それぞれの穴に、100μLの処理剤をそれぞれ加え、第4の穴には陰性対照として無菌水を加えた。処理剤が生物制御活性を示さない場合、また陰性対照として無菌水を加えた穴では、穴の周りの真菌増殖が阻害されず、真菌は穴の周縁で増殖した。各穴には、24種の処理剤からの製品100μlをそれぞれ加えた。5日間インキュベーションした後、穴の周囲の真菌増殖が阻害され、処理剤が生物制御活性を示す場合、阻止域は容易に観察された。一方、処理剤が生物制御活性を示さない場合には、穴の周囲のP.パルミボラの増殖が阻害されず、真菌は穴の周縁で増殖した(表4)。
【0106】
温室内での実験は、実施例3に記載したように、それぞれ処理剤の1:100の希釈液を用い、未処理(対照)および処理した種子の、16個のコムギ実生の4種の異なるセットで実施した。陶製容器中で発酵させた、尿+インドセンダン(500gm)+ニンニク(100mg)および尿+インドセンダン(500gm)+ニンニク(250gm)を含む製品が、尿+インドセンダン(250gm)+ニンニク(100gm)と比較して、インビトロ条件下に、P.パルミボラを阻害するより良好な能力を示すことが明らかとなった。処理剤[尿+インドセンダン(250gm)+ニンニク(100gm)および尿+インドセンダン(500gm)+ニンニク(100gm)]間には、コムギの乾燥重量に関して、大きな差はなかった。コムギの成長は、尿+インドセンダン(250gm)+ニンニク(250gm)処理剤の存在下で、未処理コムギ植物と比較して37%大きく、尿+インドセンダン(250gm)+ニンニク(100gm)処理剤の場合80%大きく、また、尿+インドセンダン(500gm)+ニンニク(100gm)処理剤の場合、83%大きかった。
【0107】
【表4】

【0108】
陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン(500gm)+ニンニク(100gm)および尿+インドセンダン(500gm)+ニンニク(250gm)を含む製品は、尿+インドセンダン(250gm)+ニンニク(100gm)と比較して、インビトロの条件下、P.パルミボラを阻害するより良好な能力を示すことが、判明した。しかし、関連材料のコストとコムギ実生の乾燥重量の観点で、尿+インドセンダン(250gm)+ニンニク(100gm)からなる製品をさらなる研究に使用した。
【0109】
実施例6
スクレロチウム・ロルフシイ、リゾクトニア・ソラニおよびスクレロティニア・スクレロチオラムの菌核およびフザリウム種の厚膜胞子の増殖をインビトロ条件下で阻害する能力についての、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品の種々濃度の影響
実施例1で概略説明した手法により得られる、陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品について、スクレロチウム・ロルフシイ、リゾクトニア・ソラニおよびスクレロティニア・スクレロチオラムの菌核およびフザリウム種の厚膜胞子の増殖をインビトロ条件下で阻害する能力を以下のようにスクリーニングした:3週令の同じサイズの菌核/厚膜胞子をNA平板から集め、表面無菌化し、それぞれ指定されたように6時間まで処理剤に浸漬した。対照のセットとして、菌核/厚膜胞子を無菌蒸留水に懸濁した。菌核/厚膜胞子の生存度はNA上の15の菌核/厚膜胞子から3バッチを取り出し、接種して、28℃で7日間インキュベーションした後モニターした。菌核/厚膜胞子の生存度は7日後の菌糸の増殖を目視検査することにより、発芽する菌核/厚膜胞子の数として記録した。7日間インキュベーションした後、菌核周囲の真菌増殖が阻害されず、菌糸が平板上の菌核周囲に増殖するように、処理剤が生物制御活性を有しない場合、菌糸の増殖は容易に観察された(表5)。これに対し、7日間のインキュベーション後、菌核周囲の真菌増殖が阻害され、菌糸が平板上の菌核周囲で増殖せず、処理剤が生物制御活性を示した場合には、菌糸の増殖が観察されなかった(表5)。陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品は、スクレロチウム・ロルフシイ、リゾクトニア・ソラニおよびスクレロティニア・スクレロチオラムの菌核およびフザリウム種の厚膜胞子の増殖を、インビトロ条件下、それぞれ4、2,4および2時間で阻害した。
【0110】
【表5】

【0111】
陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品は、インビトロ条件下に、菌核/厚膜胞子不活性化したことが判明した。従って、該製品の使用は菌核/厚膜胞子を形成する土壌由来の植物病原体から植物を保護する可能性を有する。
【0112】
実施例7
スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)を原因とする温室内でのヒヨコマメ実生のカラー腐れ病を制御する浸種および土壌灌注処理による24種の処理剤の種々濃度の影響
実施例1で概略説明した手法により得られる24の処理剤について、温室内でのヒヨコマメ実生のカラー腐れ病を制御する浸種および土壌灌注処理によるS.ロルフシイの増殖を阻害する能力を以下のようにスクリーニングした:浸種処理の場合、処理剤の10%希釈液に、種子をそれぞれ指定どおりに2時間浸漬することにより処理した。土壌灌注処理の場合は、乾燥ポット土壌を水分20%に調整し、製品をそれぞれ指定どおりに1:100に希釈した。銅製または陶製両方で発酵させ、土壌灌注法として使用した尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品が、インビトロ条件下でS.ロルフシイに対し最良の生物制御活性を示し、死亡率0%を観察した。
【0113】
【表6】

【0114】
銅製または陶製両方で発酵させ、土壌灌注法として使用した尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品が、インビトロ条件下でS.ロルフシイに対し最良の生物制御活性を示すことが判明した。従って、該製品の使用は浸種および土壌灌注処理によって、植物病原体から植物を保護する可能性を有する。
【0115】
実施例8
圃場生育ベテルバイン(betelvine)のアルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)を原因とする葉の斑点病を制御する葉面散布処理による、陶製容器で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品の種々濃度の影響
実施例1で概略説明した手法により得られる陶製容器で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品について、アルテルナリア・アルテルナータを原因とする圃場生育ベテルバインの葉の斑点病を制御するその能力を以下のようにスクリーニングした:陶製容器で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品の種々濃度によるベテルバインの斑点病の圃場管理実験は、国立植物学研究所の温室(ラックナウ(Lucknow)、インド)にて、乱塊法により実施した。実験を行った温室は高さが5メートルあり、側面すべてが山形鉄柱に支えられた金網で覆われていた。これらの金網上に稲わらを用いて適当な日陰の状態を作り、ベテルバイン耕作に必要な水分を供給した。幅35cm、高さ10cmの隆起をもつ1m幅の床を調製した。播種用セットは4.5×3m面積の床に生育する2年齢のつるからの単節挿木から選択した。
【0116】
挿し木は2001年4月、圃場でアルテルナリア・アルテルナータを自然感染させた隆起の両側に植え付け、稲わらで覆い、一日に4〜5回略1ヶ月間散水し、つるの適当な発芽に適する湿潤状態とした。各床には該植物の15本のつるを各処理ごとに保持させた。2001年7月までに、下部葉上に病的症候が目視できた。その時点で最初の製品噴霧を実施し、2001年9月までに15日の間隔で5回の噴霧を繰り返した。病気の程度は5回目の製品噴霧後15日目に記録した。陶製容器で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品は、アルテルナリア・アルテルナータを原因とする圃場生育ベテルバインの葉の斑点病を制御する能力を20%の濃度で示した。
【0117】
【表7】

【0118】
陶製容器で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品は、アルテルナリア・アルテルナータを原因とする圃場生育ベテルバインの葉の斑点病を制御する能力を20%の濃度で示すことが見出された。それ故、該製品の使用は空中噴霧により、植物病原体から植物を保護する可能性を有する。
【0119】
実施例9
ヒヨコマメ植物の根圏微生物、成長および栄養素蓄積に対する陶製容器で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの添加の影響
実施例1で概略説明した手法により得られる陶製容器で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む1:10希釈製品添加の、ヒヨコマメ植物の根圏微生物に対する影響を、実施例2に記載のように、植え付けから4週間後に評価した。処理植物の乾燥重量は対照植物の乾燥重量よりも大きかった。未処理対照と比較して、ヒヨコマメ根圏における処理微生物計測数の低下を観察した。細菌集団は log 単位1低下し、それに次いで、真菌および放線菌で0.6および0.3の低下であった。表8はヒヨコマメ植物のバイオマスにおけるNおよびPの蓄積の刺激を示す。
【0120】
【表8】

【0121】
結果は、陶製容器で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクが、根圏微生物に対し影響をもつことを示す。それ故、該製品の使用は土壌微生物の組成と植物のバイオマスにおける栄養素の蓄積促進を変化させる有効な薬剤としての可能性を有する。
【0122】
実施例10
植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対する拮抗現象を示すヒヨコマメ植物の根圏微生物のパーセントに対する陶製容器で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニク添加の影響
実施例1で概略説明した手法により得られる陶製容器で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む1:10希釈製品添加の、4週令ヒヨコマメ植物の根圏微生物に対する影響は、植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対する拮抗現象を示す、常在性集団内の細菌のパーセントを決定することにより評価した。ヒヨコマメ根圏における植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および処理微生物の植物病原性真菌に対する拮抗現象を示す、常在性集団内の細菌のパーセントの変化が、未処理対照と比較して観察された。
【0123】
未処理対照と比較して、処理ヒヨコマメ根圏におけるグラム陽性細菌のパーセントは上昇し、グラム陰性細菌のパーセントは減少した。未処理対照と比較して、植物成長促進性およびリン酸可溶化因子および非生物ストレス耐性細菌のパーセントが、処理ヒヨコマメ根圏において増大した。クルブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)およびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を例外として、フザリウム・オキシスポラムf.sp. シセリ(Fusarium oxysporum f. sp. ciceri)、コレトトリチューム・ファルカツム(Colletotrichum falcatum)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)、ペニシリウム(Penicillium)種、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、フィトフソーラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、スクレロティニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)およびフォマ・ソルギー(Phoma sorghi)に対する植物病原性真菌拮抗性細菌のパーセントが、未処理対照と比較して、処理ヒヨコマメ根圏で増大した。
【0124】
【表9】

【0125】
陶製容器で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの添加が、ヒヨコマメ植物の根圏微生物に対し、植物根圏における植物成長促進増殖、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激することが見出された。それ故、該製品の使用は植物成長を促進し、植物病原体から植物を保護する可能性を有する。
【0126】
実施例11
担体として使用し、また畦間処理剤として適用する泥炭、バーミコンポスト、発酵圧搾泥の存在下、植物成長促進、リン酸可溶化、非生物ストレス耐性および植物病原性真菌に対する拮抗現象を示すヒヨコマメ植物の根圏微生物のパーセントに対する陶製容器で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニク添加の影響
実施例1で概略説明した手法により得られる陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む製品添加の、泥炭、バーミコンポストおよび圧搾泥などの対象処理剤を35%の水分に分散し、畦間処理剤として適用する担体に対する影響。畦間処理の場合、製剤は種子を含む開畦全体に散布し、処理後に覆いをかける。ヒヨコマメ植物は4週間成長させ、上記のように、植物成長促進増殖、リン酸可溶化、植物病原性真菌に対する拮抗現象を示す常在性集団の中の細菌のパーセントを決定することにより、根圏微生物に対するその影響を解明した。ヒヨコマメ根圏において処理した微生物の内、植物成長促進増殖、リン酸可溶化および植物病原性真菌に対する拮抗現象を示す常在性集団の中の細菌のパーセントの変化が、未処理対照と比較して観察された。表10に示すように、泥炭を例外として、植物成長促進因子、リン酸可溶化因子および真菌拮抗性集団の集団%が、未処理対照(担体なし)と比較して、処理ヒヨコマメの根圏にて増加した。
【0127】
【表10】

【0128】
* 最初の作業はゴ−ビギヤン・アヌサンダーン・ケンドラ(Go-Vigyan Anusandhan Kendra)、デオラパール(Deolapar)、ナグプル(Nagpur)で実施した。
陶製容器で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクの添加は、ヒヨコマメ植物の根圏微生物に対し、泥炭を例外として、バーミコンポストおよび圧搾泥と共に、植物の根茎において、植物成長促進、リン酸可溶化細菌の増殖、植物病原性真菌に対するアンタゴニストを刺激することが見出された。それ故、該製品を担体と共に使用することは、植物成長を促進し、植物病原体から植物を保護する可能性を有する。
【0129】
実施例12
ヒヨコマメ植物のフェノール含量に対する陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニク添加の影響
実施例1で概略説明した手法により得られる陶製容器中で発酵させた尿+インドセンダン+ニンニクを含む1:10希釈製品添加の、ヒヨコマメ植物の総フェノール含量に対する影響は、植え付けの4週間後に評価した。処理したヒヨコマメ植物の葉および根における総フェノール化合物の増加が、未処理対照と比較して観察された。
【0130】
【表11】

【0131】
結果は、陶製容器中で発酵させた煮沸尿+インドセンダン+ニンニクが、ヒヨコマメ植物の総フェノール含量に影響することを示している。それ故、該製品の使用は植物の総フェノール含量を増大させる有効な薬剤としての可能性を有する。宿主でのフェノール性化合物のより大きな蓄積または仲介誘発された全身抵抗性(ISR)は、病原体の侵入に対し植物を免疫化する実用的な方法を提供する。
【0132】
上述の詳細な記載は説明を目的とするだけのものであり、本発明の精神と範囲から外れることなくその改変および変更をなし得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウシの尿、ウシ尿1リットル当たり10〜750グラムの範囲の濃度の粉砕したインドセンダン(neem)葉、および/またはウシ尿1リットル当たり1〜500グラムの範囲の濃度の粉砕したニンニク鱗茎を含有し、任意によりこれらを担体とともに含有してなる、植物成長、土壌の健康および生物制御の促進に有用な相乗的発酵組成物。
【請求項2】
インドセンダンの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり250グラムである請求項1記載の相乗的組成物。
【請求項3】
ニンニクの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり100グラムである請求項1記載の相乗的組成物。
【請求項4】
ウシの尿が新鮮なウシ尿である請求項1記載の相乗的組成物。
【請求項5】
ウシの尿が雌ウシの尿である請求項1記載の相乗的組成物。
【請求項6】
担体が、バーミコンポスト、土壌、泥炭、籾殻、バーミキュライト、カルボキシメチルセルロース、パーライト、ポリビニルピロリドン、タルク、および発酵圧搾泥からなる群より選択される請求項1記載の相乗的組成物。
【請求項7】
担体が好ましくはバーミコンポストまたは発酵圧搾泥である請求項1記載の相乗的組成物。
【請求項8】
担体濃度がウシ尿1リットル当たり10〜1000gmの範囲である請求項1記載の相乗的組成物。
【請求項9】
ウシの尿、ウシ尿1リットル当たり10〜750グラムの範囲の濃度の粉砕したインドセンダン葉、および/またはウシ尿1リットル当たり1〜500グラムの範囲の濃度の粉砕したニンニク鱗茎を、任意により担体とともに含有してなる植物成長促進に有用な相乗的発酵組成物の製造法であって、
a.健常なウシから新鮮尿を収集する工程、
b.粉砕したニンニク鱗茎とインドセンダン葉を収集した尿に加える工程、
c.工程(b)で得た混合物を発酵させて相乗的組成物を得る工程、および
d.任意で、該相乗的組成物に担体を加える工程、
からなることを特徴とする方法。
【請求項10】
インドセンダンの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり250グラムである請求項9記載の方法。
【請求項11】
ニンニクの濃度が、好ましくはウシ尿1リットル当たり100グラムである請求項9記載の方法。
【請求項12】
ウシが雌ウシである請求項9記載の方法。
【請求項13】
得られた混合物を約30日間発酵させる請求項9記載の方法。
【請求項14】
担体が、バーミコンポスト、土壌、泥炭、籾殻、バーミキュライト、カルボキシメチルセルロース、パーライト、ポリビニルピロリドン、タルク、および発酵圧搾泥からなる群より選択される請求項9記載の方法。
【請求項15】
担体が好ましくはバーミコンポストまたは発酵圧搾泥である請求項9記載の方法。
【請求項16】
担体濃度がウシ尿1リットル当たり10〜1000gmの範囲である請求項9記載の方法。
【請求項17】
ウシの尿および/またはウシ尿1リットル当たり10〜750グラムの範囲の濃度の粉砕したインドセンダン葉、および/またはウシ尿1リットル当たり1〜500グラムの範囲の濃度の粉砕したニンニク鱗茎を使用し、任意により担体とともに使用する植物の成長促進方法であって、植物の部分をウシ尿および/またはインドセンダンおよび/またはニンニクと接触させる工程からなることを特徴とする方法。
【請求項18】
インドセンダンの濃度が、好ましくは250グラム/リットルである請求項17記載の方法。
【請求項19】
ニンニクの濃度が、好ましくは100グラム/リットルである請求項17記載の方法。
【請求項20】
ウシが雌ウシである請求項17記載の方法。
【請求項21】
ニンニクおよび/またはインドセンダンが尿中または水中で粉砕したものである請求項17記載の方法。
【請求項22】
担体が、バーミコンポスト、土壌、泥炭、籾殻、バーミキュライト、カルボキシメチルセルロース、パーライト、ポリビニルピロリドン、タルク、および発酵圧搾泥からなる群より選択される請求項17記載の方法。
【請求項23】
担体が好ましくはバーミコンポストまたは発酵圧搾泥である請求項17記載の方法。
【請求項24】
担体濃度がウシ尿1リットル当たり10〜1000gmの範囲である請求項17記載の方法。
【請求項25】
該方法が植物病原性細菌を制御するものである請求項17記載の方法。
【請求項26】
該方法が植物バイオマスの栄養素の蓄積を促進するものである請求項17記載の方法。
【請求項27】
該方法が植物バイオマスの窒素の蓄積を促進するものである請求項17記載の方法。
【請求項28】
該方法が植物バイオマスのリンの蓄積を促進するものである請求項17記載の方法。
【請求項29】
該方法がリン酸溶解を促進するものである請求項17記載の方法。
【請求項30】
該方法が非生物ストレス耐性を促進するものである請求項17記載の方法。
【請求項31】
該方法が植物病原性真菌に対するアンタゴニストを促進するものである請求項17記載の方法。
【請求項32】
該方法が植物根圏の植物病原性真菌に対するアンタゴニストを促進するものである請求項17記載の方法。
【請求項33】
該真菌が、フザリウム種、アルテルナリア種、フィトフソーラ・パルミボラ、スクレロティニア・スクレロチオラム、スクレロチウム・ロルフシイ、コレトトリチューム種、ペニシリウム種、アスペルギルス・ニガー、リゾクトニア・ソラニ、ピチウム・アファニデルマツム、クルブラリア・ルナータ、およびフォマ・ソルギーからなる群より選択されるものである請求項31記載の方法。
【請求項34】
該方法が植物の全フェノール含量を増進するものである請求項17記載の方法。
【請求項35】
該方法が菌核/厚壁胞子を形成する土壌由来の植物病原体から植物を保護するものである請求項17記載の方法。
【請求項36】
土壌灌注により植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項37】
空中/葉面散布により植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項38】
浸種により植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項39】
畝間処理により植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項40】
該方法が植物根圏において植物成長を促進する微生物の増殖を刺激するものである請求項17記載の方法。
【請求項41】
該方法が植物根圏においてリン可溶化する微生物の増殖を刺激するものである請求項17記載の方法。
【請求項42】
該方法が植物根圏において非生物ストレス耐性微生物の増殖を刺激するものである請求項17記載の方法。
【請求項43】
インドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿が煮沸した状態のものである請求項17記載の方法。
【請求項44】
該植物が、ヒヨコマメ、トウモロコシ、コムギ、およびエンドウからなる群より選択されるものである請求項17記載の方法。
【請求項45】
陶製および銅製の容器中でのインドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿が植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項46】
銅製および/または陶製の容器を用いる方法が、植物の乾燥重量で約110%植物の成長を促進する請求項45記載の方法。
【請求項47】
インドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿を1:5〜1:1000の範囲の比で希釈する請求項17記載の方法。
【請求項48】
インドセンダンおよび/またはニンニクおよび/または尿を好ましくは約1:10の比で希釈する請求項47記載の方法。
【請求項49】
インドセンダン、ニンニク、および尿の組み合わせが植物の成長促進に最も有効である請求項17記載の方法。
【請求項50】
インドセンダン、ニンニク、および尿の相乗的組み合わせが、コムギの成長において約85%の増加を示す請求項17記載の方法。
【請求項51】
該方法が約2〜4時間で病原性真菌の菌核と厚膜胞子を阻害することにより植物の成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項52】
該方法が土壌由来の植物病原体から植物を保護することにより植物の成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項53】
該方法が、インドセンダン、ニンニク、および尿の組み合わせがカラー腐れ病に対し100%の生物制御活性を示すことで植物の成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項54】
該方法が葉の斑点病を制御することにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項55】
該方法が植物の乾燥重量を約50%増大させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項56】
該方法が窒素の蓄積を約50%増大させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項57】
該方法がリンの蓄積を約35%増大させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項58】
該方法が病原性細菌の集団をlog単位約1減少させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項59】
該方法が病原性真菌の集団をlog単位約0.7減少させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項60】
該方法が放線菌の集団をlog単位約1減少させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項61】
該方法が真菌に対し約150%拮抗現象を上昇させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項62】
該方法が非生物ストレス耐性を約100%上昇させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項63】
該方法がリン酸可溶化を約120%上昇させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。
【請求項64】
該方法がグラム陽性細菌約40%の増大を示す請求項17記載の方法。
【請求項65】
該方法がグラム陰性細菌約20%の減少を示す請求項17記載の方法。
【請求項66】
該方法がグラム陽性細菌の増大を示す請求項17記載の方法。
【請求項67】
担体が植物の成長を30〜50%上昇させる請求項17記載の方法。
【請求項68】
担体が植物病原真菌に対する拮抗現象を30〜45%の範囲で上昇させる請求項17記載の方法。
【請求項69】
該方法がフェノール含量を120〜130%の範囲で上昇させることにより植物成長を促進する請求項17記載の方法。

【公表番号】特表2006−523174(P2006−523174A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507629(P2006−507629)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000078
【国際公開番号】WO2004/087618
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(505185709)カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (35)
【Fターム(参考)】