説明

相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置

【課題】相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置を提供する。
【解決手段】蒸発器41に相変化媒体を循環させるもので、高熱量状態である気体を注入させて液体状態に変換させながら、その相変化潜熱を海水の蒸発に利用する。蒸発器に同一の熱量を提供することを基準とする時、従来の方式に比べて媒体の流量を顕著に減少させることができるため、ポンプ所要動力を節減することができ、淡水化装置規格の小型化が可能で、既存の淡水装置のような規格を基準とすれば、多量の淡水を製造することができる淡水装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽熱や船舶のエンジン熱のような高温水を用いて海水を蒸発させて淡水を得る蒸発式海水淡水化装置に関し、海水を蒸発させるために淡水装置内部の蒸発器に温水を供給する既存の媒体の代わりに、相変化媒体を供給して気体から液体への相変化潜熱を用いることで、より多量の淡水を製造することができる技術である。
【背景技術】
【0002】
一般的に、海水から淡水を分離する工程は、エネルギー源によって大きく熱エネルギー、機械/電気エネルギー、再生エネルギーシステムに分けられ、淡水製造方式によっては蒸発/蒸留法、逆浸透圧法、冷凍法、電気透析法などがある。このうち太陽熱を利用した淡水法は、熱エネルギーを利用する方法として、蒸発器を1個適用した単効用、そして淡水収率を高めるために複数の蒸発器を採用した多段効用システムに分けられる。この多段システムは大きく多段フラッシュ蒸留法(Multi-Stage Flash Distillation、MSF)と、多重効用蒸発法(Multi-Effect Evaporation、MED)に分けられている。かかる方式は高温のスチームを用いたり、大量の淡水を製造する大型システムに適用されている。
一方、既存の太陽熱を熱源とする淡水化システムは、図1から分かるように、太陽熱から吸収した温度60℃〜80℃の温水が蒸発器に提供されて海水から淡水を製造している。その構成は、海水を気化させる蒸発器(101)、蒸発した水蒸気を液化させる凝縮器(102)、凝縮器と蒸発器の空間を真空にするエジェクター(103)、太陽熱集熱器(104)、太陽熱を貯蔵する蓄熱槽(105)から構成される。
その原理を見ると、約45度程度の低い温度の水が、太陽熱などの熱源を蓄熱する蓄熱槽(105)内部を循環しながら加熱され、60℃程度の温水が生成される。この温水は蒸発器(101)内部の蒸発管(106)に流入されて蒸発管外部の海水を加熱、蒸発させ、蒸発した水蒸気は凝縮器の外部表面で液化する。この凝縮器(102)の凝縮管(107)内部には海水が流れ、管外部の水蒸気を凝縮させながら温度が上昇して蒸発器に流入される。流入された海水は蒸発管(106)内部の温水によって加熱されて水蒸気を放出するようになり、残りの海水はエジェクター(103)によって排出される。この時、蒸発管内部の温水は再び温度が低下して蓄熱槽に循環される。
かかる太陽熱利用システムは低エネルギー、環境にやさしい、少ない装置規模、そして初期投資額が少なくてすみ、代替水資源の確保のための重要な技術となっており、島嶼地域や多くの小地域に分散が可能であるという長所を有している。
しかし、この太陽熱を利用した淡水化技術の問題点は、太陽の不均一な日射量によって製造される淡水量が不規則であり、日射量が少ない場合、熱量の不足により生産量が大きく減少する短所がある。そのため、太陽熱淡水化システムは一定の規格を基準とする時、太陽熱集熱部では単位時間当たり多量のエネルギーを吸収することができ、淡水化装置の蒸発器には多量のエネルギーを放出することができる構造が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記のような問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は淡水装置の蒸発器に熱を提供する熱源媒体として、既存の水の代わりに、相変化媒体を供給して淡水量を増加させることにある。
既存の水は温度差に該当する熱量、すなわち顕熱だけを利用するが、相変化媒体は気相から液相への潜熱を提供するようになり、同一の蒸発器伝熱面積を基準とする時、大量のエネルギーを海水に提供するようになる。
本発明の他の目的及び長所は下記の説明の通りであり、本発明の実施例によって説明される。また、本発明の目的及び長所は特許請求の範囲に示した手段及び組み合わせによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような問題点を解決するための手段として、蒸発式海水淡水化装置において、相変化媒体が流動する流動ラインと、上記流動ラインと連結される伝熱管が内設される蓄熱槽と、上記流動ラインと連結される蒸発管が内設され、高温気体状態の相変化媒体を液体状態に相変化させ、相変化時の潜熱を用いて内部の海水を蒸発させることで淡水を作る淡水部と、を含んで構成されることを特徴とする。
また、上記蓄熱槽は熱源を通じて加熱させた高温水を貯蔵し、液体状態の相変化媒体が高温水との熱交換を通じて気化されるようにすることを特徴とする。
また、上記蓄熱槽は太陽熱集熱器を利用して太陽熱を熱源として用いることを特徴とする。
また、上記淡水部は海水が貯蔵されている貯蔵槽に上記蒸発管を内設し、上記海水が相変化媒体の熱を通じて加熱されるようにする蒸発器と、上記蒸発器で発生した水蒸気を凝縮させて淡水を作る凝縮器と、上記淡水を貯蔵する淡水貯蔵部と、からなることを特徴とする。
また、上記相変化媒体は高温気体状態で発散される熱と、海水との熱交換によって気体状態から液体状態に相変化しながら発散される潜熱を通じて海水を加熱することを特徴とする。
また、上記淡水部はエジェクターをさらに備え、上記凝縮器で冷却水として用いられた海水及び蒸発器内で冷えて海水となった水蒸気を外部に排出し、上記淡水部内部を真空状態にすることを特徴とする。
また、上記淡水部は上記蒸発器と凝縮器との間にセパレーターを備え、上記淡水部内部を真空状態にするために上記エジェクターが作動する場合、上記蒸発器内の水滴がエジェクターに吸入されないようにすることを特徴とする。
また、上記凝縮器は水蒸気を凝縮させるために冷却水として用いられた海水の一部を、上記蒸発器の貯蔵槽に供給することを特徴とする。
また、上記流動ラインには上記淡水部内の海水を蒸発させ、液体化した相変化媒体が貯蔵される液体タンクと、上記相変化媒体を循環させる循環ポンプと、がさらに備えられていることを特徴とする。
また、上記相変化媒体としてはR123(Dichlorotrifluoroethane)、アセトン(Acetone)、エタノール(Ethanol)、メタノール(Methanol)のうちいずれか一つが用いられることを特徴とする。
また、上記蒸発管は円形チューブ形態、板形態、円形チューブと板を混合した形態のうちいずれか一つの形態を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
以上で考察したとおり、本発明は太陽熱や船舶のエンジン熱のような高温水を用いて海水を蒸発させて淡水を得る蒸発式海水淡水化装置において、淡水装置内部の蒸発器に温水を供給する代わりに、相変化媒体を供給することで気体から液体への相変化潜熱を用いて単位時間当たり多量の淡水を製造することができ、蓄熱槽からは液体が気化する潜熱を利用して多量の熱量を吸熱、提供することができる技術である。
本発明は既存の温水を利用するシステムに比べて、熱源媒体循環の所要動力が1/4に減少する省エネ効果を有する。
また、蒸発器と蓄熱槽内部で2相流体の熱伝達現象が形成されて熱伝達係数が大きく増加することで伝熱面積を大きく減少させることができ、特に太陽熱淡水化装置において同一面積を基準にする時、単位時間当たり製造することができる淡水量を大きく増加させることができる極めて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】太陽熱集熱式温水を適用した蒸発式多段淡水化装置の実施例を図示したシステム図である。
【図2】本発明による実施例の相変化媒体を適用する太陽熱淡水化装置を図示したシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の様々な実施例を詳細に説明する前に、以下の詳細な説明に記載したり、図面に図示された構成要素の構成及び配列の詳細でその応用が制限されるものではないことに注意されたい。本発明は他の実施例で具現されて実施することができ、多様な方法で遂行されることが可能である。また、装置または要素方向(例えば“前(front)”、“後(back)”、“上(up)”、“下(down)”、“上(top)”、“下(bottom)”、“左(left)”、“右(right)”、“横(lateral)”)などのような用語に関して本願に用いられた表現及び述語は単に本発明の説明を単純化するために使われ、係る装置または要素が単に特定方向を有するべきであることを示したり、意味しないということが分かる。
本発明は上記の目的を達成するため下記の特徴を有する。
以下添付された図面を参照に本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び請求の範囲に用いられた用語や単語は通常的、字義的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者はその自身の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではなく、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解されたい。
本発明は太陽熱や船舶のエンジン熱のような熱源を通じて加熱された高温水を用いて海水を蒸発させて淡水を得る蒸発式海水淡水化装置において、淡水装置内部の蒸発器(41)に温水を供給する代わりに、相変化媒体を供給して気体から液体への相変化潜熱を用いて単位時間当たり多量の淡水を製造することができ、蓄熱槽(30)からは液体が気化する潜熱を利用して多量の熱量を吸熱、提供する技術である。
以下の代表的な実施例として、太陽熱利用淡水システムに対して添付された図面を参照し、本発明の方法及び構造を詳細に説明する。
図2は本発明の相変化潜熱を利用した海水淡水化装置のシステム図である。
上記淡水化装置の蒸発システムの構成は、流動ライン(10)、蓄熱槽(30)、淡水部(40)からなる。
上記流動ライン(10)は一端に伝熱管(11)が連結され、他端に蒸発管(12)が連結されるが、内部に相変化媒体が流動して上記伝熱管(11)と蒸発管(12)の相互間を流動及び循環するようになっており、上記流動ライン(10)には相変化媒体を貯蔵及び流動ライン(10)に相変化媒体を供給する液体タンク(20)が備えられており、上記相変化媒体を循環させる循環ポンプ(21)も備えられていることは当然である。
上記蓄熱槽(30)は太陽熱集熱器(31)を利用して熱源が貯蔵される所であり、貯蔵された熱源で加熱させた高温水が貯蔵されている。また、上記流動ライン(10)の一端に連結された伝熱管(11)が内部の高温水内に浸された状態で内設される所であり、上記伝熱管(11)を流動した相変化媒体は蓄熱槽(30)内で高温水と熱交換をするようになり、上記熱交換によって高温水の熱を吸収して液体状態から気体状態に相変化(Phase Change)しながら気化する。
上記のような相変化時に発生する相変化媒体の潜熱は、蓄熱槽(30)が吸収して上記相変化媒体の気化に用いられる。
上記淡水部(40)は流動ライン(10)の蒸発管(12)が内設されて位置される所であり、蒸発器(41)、凝縮器(43)、淡水貯蔵部(46)からなり、上記蒸発器(41)は海水が貯蔵されている貯蔵槽(42)内に上記蒸発管(12)が浸されたまま内設されるようにする。
すなわち、上記蓄熱槽(30)を通じて液体から高温の気体状態に相変化した相変化媒体が蒸発管(12)を流動する時、上記蒸発管(12)が位置された貯蔵槽(42)内の海水と熱交換され、上記海水を加熱して水蒸気が作られた後、熱を奪われた相変化媒体は再び液体タンク(20)に捕集されることを反復して継続するようになる。
つまり、上記蒸発器(41)では相変化媒体が気体状態で流入されてから、海水を加熱しながら熱を奪われて液体状態に相変化し、上記相変化時の相変化媒体で発生する潜熱も上記海水を加熱するのに用いられる。
上記蒸発器(41)で加熱されて水蒸気になった海水は、蒸発器(41)の上部に形成されて凝縮管(44)からなる凝縮器(43)に移動して凝縮される。(上記凝縮器(43)にはポンプ(45)が用いられて内部に冷却水が流動するようにし、上記冷却水としては海水が用いられ、水蒸気を凝縮させた後の海水のうち一部は再び蒸発器(41)の貯蔵槽(42)に供給される。)以後、凝縮された水蒸気、すなわち淡水は凝縮器(43)と蒸発器(41)との間に設けられた淡水貯蔵部(46)に貯蔵され、排出部(47)を通じて回収される。
上記エジェクター(ejector、60)は凝縮器(43)で用いられた海水及び蒸発器(41)で発生した水蒸気を凝縮器(43)に移動させず、蒸発器(41)の貯蔵槽(42)外部で冷めた海水を吸引して外部に排出する役目をする。(上記通常のエジェクターは外部に圧力を噴射し、これにより上記エジェクター内部に発生する負圧を通じて上記淡水部(40)内の空気がともに吸入されて外部に排出される。)
また、上記エジェクター(60)は蒸発器(41)と凝縮器(43)とからなる淡水部(40)内部を真空状態にし、上記蒸発器(41)内で海水の蒸発が促進されるようにする。上記のように淡水部(40)内の空気を吸入して淡水部(40)を真空状態にした時、蒸発器(41)内部に貯蔵されている海水の水滴がエジェクター(60)に一緒に吸入されて腐食を発生させることで装備全体の寿命が短縮しないように、凝縮器(43)と蒸発器(41)との間にセパレーター(Separator、50)を具備する。
上記図2を参照すると、上記凝縮器(43)と蒸発器(41)との間には淡水が貯蔵される淡水貯蔵部(46)が位置され、淡水貯蔵部(46)の一側に位置される空間を通じて蒸発器(41)で形成された水蒸気が凝縮器(43)に移動するようになる。すなわち、上記セパレーター(50)は当然水蒸気が蒸発器(41)から凝縮器(43)に流動する部分に設置しなければならず、上記セパレーター(50)は、水滴は通さず、水蒸気は通過させなければならない。
【0008】
システムを循環する代表的な相変化媒体としては、R123(Dichlorotrifluoroethane)、Acetone、Ethanol、Methanolなどがあり、これらのうち、R123はR11の代わりに新たに開発された消火材料であり、沸点は27.85℃、潜熱は171kJ/kg(40.9kcal/kg)になる。
以下ではR123を適用して一日1トンの淡水が生産されるシステムを基準に説明する。
1)R123適用システム:相変化潜熱利用
‐一日1トンの淡水生産のための蒸発器所要エネルギー:(1,000kg/D × 539kcal/kg)÷(24hx 60min)=374kcal/min
‐蒸発エネルギーを提供するための冷媒質量循環量:374kcal/min÷40.9kcal/kg=9.15kg/min
・液体循環量:9.15kg/min×(1/1.458L/kg)=6.28L/min
‐蓄熱槽(30)の吸熱量(R123液体から気体に変化):374kcal/min
・気体循環量:9.15kg/min×(1/0.00647L/kg)=1,414L/min
・蒸発管(12)内部の気体循環速度:1,414L/min/60/配管断面積(0.45cm×0.45cm×3.14×12個)=3.1m/s
通常、一般冷凍機の凝縮管の注入部における冷媒蒸気の設計速度は10〜18m/sにしていることから、本蒸気の流れ速度は凝縮熱交換に極めて優れたものと分析される。
2)既存の温水基準システム:温水の温度差だけを利用
‐一日1トンの淡水生産のための蒸発器の理論所要エネルギー:374kcal/min
‐蒸発管(12)内部の循環温水の温度差を利用:15℃(60℃→45℃)
‐水所要循環量
Q=m Cp dT
374kcal/min=m(1kcal/kg℃)(15℃)
m=25kg/min=25L/min
すなわち、液体循環量を見ると、既存の水循環システムは分当たり25Literとなる反面、相変化媒体システムは6.28Literとなる。
一般ポンプの軸動力所要は回転数に正比例し、回転数の比例によって流体循環量が比例する関係を有するようになるので、本発明システムは既存の水システムに比べて流量が25%に過ぎず、液を循環させる循環ポンプ(21)の動力が1/4に減少するという、省エネ効果の長所を有するようになる。
また、本発明は蒸発管(12)内部に液/気2相の流れが形成されるので、単相水に比べて熱伝達係数が5〜10倍増加する極めて優れた伝熱システムとなる。これは伝熱面積を大きく減少させ、蒸発器(41)を小型化できるようにする効果的な淡水化システムとなる。効率を高めて淡水生成量を増加させるために、蒸発器(41)を多数採択した多段蒸発システムにも同様に適用される。
一方、蓄熱槽(30)の熱伝達においても、液体から気体に変換される2相流となって単位時間当たりの熱伝達量が大きく増加するようになるので、蓄熱槽(30)内の伝熱管(11)の長さが減少する効果を有するようになる。
上記蒸発管(12)の構造はチューブ形態の円管(Tube)、板型(Plate)、円管と判型の混合型のうち一つで構成することができる。これは下記の請求の範囲で定義する技術思想の範疇である淡水化装置の蒸発器(41)において、相変化媒体を利用した原理を適用した各種の変形した形態の構造が含まれるということは明らかである。
本発明は太陽熱、エンジン熱などを利用した蒸発式淡水化装置だけではなく、地熱など新再生エネルギーを利用した蒸発式淡水化装置、そして大、小型の蒸発式淡水化装置に同様に適用することができ、特に、島嶼地域、小地域型の小型淡水化装置に極めて効果的なより先進化された技術である。
以上のように、本発明は限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明はこれにより限定されるものではなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により本発明の技術思想と下記特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0009】
10:流動ライン
11:伝熱管
12:蒸発管
20:液体タンク
21:循環ポンプ
30:蓄熱槽
31:太陽熱集熱器
40:淡水部
41:蒸発器
42:貯蔵槽
43:凝縮器
44:凝縮管
45:ポンプ
46:淡水貯蔵部
47:排出部
50:セパレーター
60:エジェクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発式海水淡水化装置において、
相変化媒体が流動する流動ライン(10)と、
上記流動ライン(10)と連結される伝熱管(11)が内設される蓄熱槽(30)と、
上記流動ライン(10)と連結される蒸発管(12)が内設され、高温気体状態の相変化媒体を液体状態に相変化させ、相変化時の潜熱を用いて内部の海水を蒸発させることで淡水を作る淡水部(40)と、
を含んで構成されることを特徴とする相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項2】
上記蓄熱槽(30)は、
熱源を通じて加熱させた高温水が貯蔵され、液体状態の相変化媒体が高温水との熱交換を通じて気化されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項3】
上記蓄熱槽(30)は、
太陽熱集熱器(31)を利用して太陽熱を熱源として用いることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項4】
上記淡水部(40)は、
海水が貯蔵されている貯蔵槽(42)に上記蒸発管(12)を内設し、上記海水が相変化媒体の熱を通じて加熱されるようにする蒸発器(41)と、
上記蒸発器(41)で発生した水蒸気を凝縮させて淡水を作る凝縮器(43)と、
上記淡水を貯蔵する淡水貯蔵部(46)と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項5】
上記相変化媒体は高温気体状態で発散される熱と、海水との熱交換によって気体状態から液体状態に相変化しながら発散される潜熱を通じて海水を加熱することを特徴とする請求項4に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項6】
上記淡水部(40)は、
エジェクター(60)をさらに備え、
上記凝縮器(43)で冷却水として用いられた海水及び蒸発器(41)内で冷えて海水となった水蒸気を外部に排出し、上記淡水部(40)内部を真空状態にすることを特徴とする請求項4に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項7】
上記淡水部(40)は、
上記蒸発器(41)と凝縮器(43)との間にセパレーター(50)を備え、
上記淡水部(40)内部を真空状態にするために上記エジェクター(60)が作動する場合、上記蒸発器(41)内の水滴がエジェクター(60)に吸入されないようにすることを特徴とする請求項6に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項8】
上記凝縮器(43)は、
水蒸気を凝縮させるために冷却水として用いられた海水の一部を、上記蒸発器(41)の貯蔵槽(42)に供給することを特徴とする請求項4に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項9】
上記流動ライン(10)には、
上記淡水部(40)内の海水を蒸発させ、液体化した相変化媒体が貯蔵される液体タンク(20)と、
上記相変化媒体を循環させる循環ポンプ(21)と、
がさらに備えられていることを特徴とする請求項1に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項10】
上記相変化媒体としては、
R123(Dichlorotrifluoroethane)、アセトン(Acetone)、エタノール(Ethanol)、メタノール(Methanol)のうちいずれか一つが用いられることを特徴とする請求項1に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。
【請求項11】
上記蒸発管(12)は、
円形チューブ形態、板形態、円形チューブと板を混合した形態のうちいずれか一つの形態を有することを特徴とする請求項1に記載の相変化媒体を利用した蒸発式海水淡水化装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−11202(P2011−11202A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236203(P2009−236203)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(509284037)
【Fターム(参考)】