説明

省エネルギー型製茶機械

【課題】燃料、電気の使用を減らすことができる製茶機械を提供する。
【解決手段】茶葉の乾燥室11と、該乾燥室内の茶葉の有無を検知する茶葉検知手段と、乾燥室内の茶葉を乾燥する加熱乾燥手段16と、乾燥室内の茶葉の有無により、加熱乾燥手段を制御する制御手段1Aとより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荒茶を製造する製茶機械に関するものであり、空の状態で茶葉が入ってくるのを待機している時の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製茶ラインは、おおまかに、蒸機、粗揉機、揉捻機、中揉機、精揉機、乾燥機によって構成されている。蒸機により蒸熱された茶葉は、良質な荒茶ができるよう、粗揉機以降により適正な速度で乾燥される。そのために、製茶中には、様々な熱風供給の制御が行なわれている(例えば、特許文献1)。通常、加熱乾燥手段としては、粗揉機および中揉機、乾燥機では熱風乾燥、精揉機では伝熱乾燥が行われているが、いずれにしても熱源としてはバーナを利用している。きわめて水分の高い茶生葉(約400%D.B.)からほぼ絶乾状態の茶(約5%D.B.)まで乾燥させるため、使用する熱エネルギーは非常に大きい。
【0003】
一般的に朝から夕方に茶生葉の摘採を行ない、製茶工場ではそれに合わせて茶生葉の受入を行ない、昼過ぎから翌日の朝にかけて製茶を行なう。製茶の準備のため、昼頃に製茶機械の電源を入れると、翌日の朝に終了するまで製茶機械の電源を切らず、入れっぱなしになる。つまり、茶葉が投入されるときに、製茶機械を温めて、準備を完了していなければならないため、早めに電源を入れておく。
【0004】
茶葉が投入されている製茶機械は、例えば特許文献1のように制御され、茶葉が排出されて空の製茶機械は、次の茶葉の投入に備えて投入時の設定値になるように熱風の温度と風量が制御されている。各製茶機械の時間はスムーズに製茶が行なわれるように設定してあり、茶葉の水分を基に制御している場合は、茶葉の水分等の状態により設定時間より早く排出されることがある。また、製茶ラインは茶葉が滞留すると困るため、少し余裕を持って配置してある。よって、常時、全ての製茶機械に茶葉が入って製茶しているとは限らず、次の茶葉が投入されるのを待機している空の製茶機械が存在する。この時も、製茶機械は熱風の温度と風量を投入時の設定値になるように制御し、バーナを燃焼しており、常に大きな熱エネルギーが使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−75235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のように、乾燥室内に茶葉がなくても、投入時の設定値になるように熱風の温度と風量を制御すると、待機中にも常に大きな熱エネルギーを消費していた。この待機中に、投入時の設定値になるように熱風の温度と風量を制御することは必要がなく、無駄だった。
【0007】
近年、燃料代が高騰し、製茶工場における燃料代、電気代の負担が大きくなってきている。そこで、本発明では、少しでも無駄な燃料、電気の使用を減らすことができる製茶機械を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1手段の省エネルギー型製茶機械は、茶葉の乾燥室と、該乾燥室内の茶葉の有無を検知する茶葉検知手段と、乾燥室内の茶葉を乾燥する加熱乾燥手段と、乾燥室内の茶葉の有無により、加熱乾燥手段を制御する制御手段とより構成する。第2手段は、前記第1手段に記載の制御手段において、乾燥室内に茶葉がない場合には加熱乾燥手段のバーナを消火させ、乾燥室内に茶葉がある場合には加熱乾燥手段のバーナを着火させる。
【0009】
第3手段は、乾燥室内の温度測定手段を備え、乾燥室内が設定温度になったときに、前記第2手段に記載の制御手段において、バーナを着火または消火させる。第4手段は、前記第2または3手段に記載の制御手段において、バーナを消火させるときにファンによる風量を減少させ、バーナを着火させるときにファンによる風量を増加させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1、2手段では、空の製茶機械へ茶葉が投入されるのを待機している時の燃料の消費を抑えることで、省エネルギー化することができ、製茶にかかる燃料代のコストダウンに効果がある。また、夏の暑い日には、熱風が減って、暑さが和らぎ、作業環境が改善される。また、本発明の第3手段では、乾燥室が空の状態の時に、通常より低い温度で製茶機械を制御することで、茶葉の品質をおとすことなく製茶することが可能となる。また、万一の災害時に、バーナの火がついていない方が安全である。本発明の第4手段では、空の製茶機械へ茶葉が投入されるのを待機している時の電気の消費を抑えることで、省エネルギー化することができ、製茶にかかる電気代のコストダウンに効果がある。また、バーナを消火させるときにファンも停止させて風量を0(ゼロ)にすると、加熱乾燥手段が熱を持ったままになり、壊れてしまうため、バーナを消火させるときに風量を0(ゼロ)にせず、少しでも送風することで、加熱乾燥手段の為にも良い状態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は製茶ラインの全体構成を示した説明図である。
【図2】図2は粗揉機の斜視図である。
【図3】図3は中揉機の正面図である。
【図4】図4は基本的なフローチャートを示した説明図である。
【図5】図5は実施例1の製茶機械単体による制御のフローチャートを示した説明図である。
【図6】図6は実施例2、3、4のフローチャートを示した説明図である。
【図7】図7は熱風温度の推移を示した説明図である(実施例1)。
【図8】図8は熱風温度の推移を示した説明図である(実施例2、3、4)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
製茶ラインの一例について図1を参照して説明をする。製茶ラインは、粗揉機1、粗揉機2、揉捻機3、中揉機4、中揉機5、搬送機6等によって構成されている(この前には蒸機等があり、この後も精揉機、乾燥機等続くが、本実施例では記載しない)。これらの製茶機械1〜5にはそれぞれに制御手段(粗揉機制御装置1A、粗揉機制御装置2A、揉捻機制御装置3A、中揉機制御装置4A、中揉機制御装置5A)を備えており、運転状況を制御している。搬送機6は搬送機制御装置6Aを備え、複数台の搬送機6を全体的に制御している。粗揉機1の前には計量器7を設置し、この計量器7の計量値は計量器制御装置7Aで設定する。これらの制御装置1A〜7Aはネットワークで接続されており、ライン制御装置8Aは制御装置1A〜7Aの運転状況を全体的に制御する。図1はあくまでも製茶ラインの一例であり、製茶機械の種類、各製茶機械の台数、配置などは、この限りではない。
【0013】
図2は粗揉機1の斜視図である。粗揉機1は主に半円筒形の固定胴の乾燥室11と加熱乾燥手段である熱風発生器16で構成され、乾燥室11内には回転する主軸12に装着した揉手13、葉浚い手(図示しない)を備え、熱風発生器16にはバーナ17とファン18を備えている。乾燥室11内では、熱風発生器16より送風される熱風により茶葉を乾燥する。熱風発生器16では、重油を燃料に用いたバーナ17により火炉19を加熱し、この加熱された空気をファン18によりダクト20を通って乾燥室11内へ供給している。ファン18にはインバータ(図示しない)が接続されており、風量を無段階に調節できる。乾燥室11内には温度測定手段である温度センサ15を設け、熱風発生器16により送風される熱風の温度を測っている。茶葉は、搬送機6によって乾燥室11の上方の投入口21より投入され、製茶を行なうと、下部の取出扉22が開いて、下方の取出口より搬送機6上に排出される。粗揉機制御装置1Aは、粗揉機1の主軸12の駆動、バーナ17およびファン18、温度センサ15や、茶葉の水分を計測するための水分計の制御等を行なう。
【0014】
図3は中揉機4の正面図である。中揉機4は、乾燥室41の形状や動きが粗揉機1と異なるが、熱風供給に関することは粗揉機1とほぼ同様である。中揉機4は主に円形の回転胴の乾燥室41と加熱乾燥手段である熱風発生器46で構成され、乾燥室41内には回転する主軸42に装着した揉手(図示しない)を備え、熱風発生器46にはバーナ47とファン48を備えている。乾燥室41内では、熱風発生器46より送風される熱風により茶葉を乾燥する。熱風発生器46では、重油を燃料に用いたバーナ47により火炉49を加熱し、この加熱された空気をファン48によりダクト44を通って乾燥室41内へ供給している。ファン48にはインバータ(図示しない)が接続されており、風量を無段階に調節できる。乾燥室41内には温度測定手段である温度センサ45を設け、熱風発生器46により送風される熱風の温度を測っている。茶葉は、乾燥室41の一方の固定側板に設けられた投入口51より搬送機6によって投入され、乾燥室41の一部の設けられた取出扉52が開いて、搬送機6上に排出される。中揉機制御装置4Aは、中揉機4の主軸42の駆動、バーナ47およびファン48、温度センサ45や、茶葉の水分を計測するための水分計の制御等を行なう。
【0015】
通常の熱風の制御について説明する。まず、製茶機械を起動して、ファンの電源を入れ、バーナの電源を入れる。すると、バーナが着火し、送風が開始し、設定した温度と風量の熱風を乾燥室内へ供給する。設定した熱風温度より計測した熱風温度が高くなればバーナの火を小さくし、設定した熱風温度より計測した熱風温度が低くなればバーナの火を大きくする。製茶中は、設定値になるように、熱風の温度と風量を制御する。
【0016】
本発明の制御に関する基本的な流れについて、図4を参照して説明する。ファンの電源を入れ、バーナの電源を入れると、送風が開始し、バーナが着火し、供給する熱風を設定値にする。その後、茶葉検知手段により乾燥室内が空であれば、バーナが消火し、ファンによる風量が最低風量になる。最低風量は、本実施例ではファンの能力の20%とするが、30%でも、25%でもよい。又、備えられているファンの能力は製茶機械の大きさにより異なる。茶の品質に影響をおよぼさないように熱風温度の限界値をあらかじめ設定しておくと、その限界値以下になったらバーナが再度着火すると略同時にファンによる風量が設定値になって、設定温度まで熱風をあたためる。限界値とは、バーナが消火したまま乾燥室が冷えすぎると、次に茶葉を投入するときに乾燥室が温まるのに時間がかかり、乾燥室の温度が安定せずに茶葉の品質に影響を及ぼすので、そのようにならないための最低温度(例えば、設定温度の50%、または40度、茶葉温度の設定値など)である。設定温度になったら再びバーナが消火して、ファンによる風量は最低風量になる。茶葉検知手段によって乾燥室内が空の状態が続いたらこの動作を繰り返す。茶葉検知手段によって乾燥室が空でなくなると、製茶時の設定値にするためにバーナが着火すると略同時にファンの風量は設定値になって、製茶のための制御を行なう。そして、製茶を行ない、茶葉を取り出すと、茶葉検知手段により乾燥室内が空となり、再びバーナが消火し、風量は最低風量になる。乾燥室が空になり、ある一定時間(例えば2、3分)その状態が続いたら、バーナが消火し、風量は最低風量としてもよい。以後この動作を繰り返す。なお、乾燥室内が空になるとほぼ同時に茶葉が投入され、乾燥室内が空でなくなる場合は、製茶のための制御が続けられる。
【0017】
茶葉検知手段で茶葉を検知する状態は、次の場合に異なり、以下の実施例1〜4に詳しく説明する。(1)製茶機械単体の制御装置による制御、(2)前の製茶機械の制御装置による制御、(3)ライン制御装置による制御、(4)計量器制御装置による制御、である。
【実施例1】
【0018】
実施例1として、製茶機械単体の制御装置による制御について、図5を参照にして説明する。この実施例1の場合、図1のようなライン構成ではあるが、搬送機6には搬送機制御装置6Aやライン制御装置8Aはついておらず、搬送機6はON−OFFのスイッチを作業者が押すことで、動かしたり、止めたりする。本実施例1では、中揉機4を例にして説明する。搬送機6によって乾燥室41の投入口51へ茶が投入されると、作業者が中揉機制御装置4A上の製茶開始スイッチを押すことで製茶が開始され、製茶が終了するとブザーが鳴り、作業者が中揉機制御装置4A上の取出扉開スイッチを押して取出扉52を開け、茶葉を搬送機6上へ取り出す。この搬送機6もON−OFFスイッチを押すことで直接動かし、次の製茶機械へ投入する。本実施例の場合、中揉機制御装置4A上の製茶開始スイッチを作業者が押すことで“運転信号”ありとなって、茶葉検知手段が乾燥室41に茶葉があることを認識し、取出扉を開けて茶葉を取り出すことで“運転信号”なしとなって、茶葉検知手段が乾燥室41に茶葉がないこと(空であること)を認識する。
【0019】
本実施例1の流れについて、説明する。まず、前述の例のように中揉機制御盤4A上で中揉機4を起動して、ファン48の電源を入れ、バーナ47の電源を入れる。すると、送風が開始し、バーナ47が着火し、設定した温度と風量の熱風を乾燥室41内へ供給する。中揉機4で製茶が行われていなければ“運転信号”なしとなり、茶葉検知手段は乾燥室41に茶葉がないことを検知して、バーナ47が消火し、ファン48による風量は最低風量になる。熱風温度が限界値より低くなったらバーナ47が再度着火すると略同時にファン48による風量は設定値になって、設定温度まで熱風をあたためる。設定温度になったら再びバーナ47が消火して、ファン48による風量は最低風量になる。中揉機4で製茶が行われなければ“運転信号”なしのままなので、この動作を繰り返す。中揉機4に茶葉が投入され、製茶を始める(中揉機制御装置4A上の製茶開始スイッチを押す)と“運転信号”ありとなり、茶葉検知手段が乾燥室41に茶葉があることを認識し、製茶時の設定値にするためにバーナ47が着火し、ファン48の風量は設定値になって、製茶のための制御を行なう。そして、製茶を行ない、茶葉を取り出す(中揉機制御装置4A上の取出扉開スイッチを押す)と、“運転信号”なしとなり、茶葉検知手段は乾燥室41に茶葉がないことを検知して、再びバーナ47が消火すると略同時に風量は最低風量になる。この実施例1の場合、熱風温度は図7のように推移する。“運転信号”ありとなって、茶葉検知手段が乾燥室41に茶葉があることを認識してから製茶時の設定値にするため、製茶開始当初は、製茶時の設定値より低い熱風が供給されることになる。
【実施例2】
【0020】
実施例2として、前の製茶機械による制御について、図6を参照にして説明する。この実施例2の場合、図1のようなライン構成ではあるが、ライン制御装置8Aはついておらず、ライン全体を一括で制御することはない。前の製茶機械の制御盤から“運転準備信号”が送られてきて、乾燥室に茶葉があることを検知する。本実施例2では中揉機4を例にして説明する。
【0021】
本実施例2でも、まず、前述の例のように中揉機制御盤4A上で中揉機4を起動して、ファン48の電源を入れ、バーナ47の電源を入れる。すると、送風が開始し、バーナ47が着火し、設定した温度と風量の熱風を乾燥室41内へ供給する。前の製茶機械である揉捻機3の揉捻機制御装置3Aより“運転準備信号”がなければ、茶葉検知手段が乾燥室41に茶葉がないと認識し、バーナ47が消火し、ファン48による風量は最低風量になる。“運転準備信号”は実施例1の“運転信号”と同様であるが、本実施例の“運転準備信号”は「もう少しで前の製茶機械から茶葉が取り出されてこの製茶機械へ投入するから、バーナを着火して準備するよう」に指示する信号であり、中揉機4で製茶を開始する前に信号を受けとることができ、バーナ47の着火信号とも言える。熱風温度が限界値より低くなったらバーナ47が再度着火すると略同時にファン48による風量は設定値になって、設定温度まで熱風をあたためる。設定温度になったら再びバーナ47が消火して、ファン48による風量は最低風量にする。揉捻機制御装置3Aより“運転準備信号”がくるまでは、この動作を繰り返す。揉捻機3での製茶が終了近くなると、揉捻機制御装置3Aから“運転準備信号”が送られる。このとき、設定された時間で終了する場合は、終了5分前(5分前でなくても、4分前でも6分前でもよい)に信号を送るように設定しておく。また、茶葉の水分値を計測して、その水分値を基準に取出をする場合は、設定した取出水分値+αで信号を送るように設定しておく。中揉機制御装置4Aへ揉捻機制御装置3Aから“運転準備信号”がくると、茶葉検知手段が乾燥室41に茶葉があることを検知して、製茶時の設定値にするためにバーナ47が着火すると略同時にファン48の風量は設定値になって、製茶のための制御を行なう。製茶を行ない、製茶が終了近くなると、必要に応じて、後ろの製茶機械の制御装置(本実施例の場合は中揉機制御装置5A)へ“運転準備信号”を送る(後ろの製茶機械が揉捻機のようにバーナやファンを備えていない場合は、信号を送る必要はない)。製茶が終了し、茶葉を取り出すと、茶葉検知手段は乾燥室41に茶葉がないことを認識し、揉捻機制御装置3Aより“運転準備信号”がくるまで、再びバーナ48が消火し、風量は最低風量になる。この実施例2の場合、熱風温度は図8のように推移する。”運転準備信号“が事前に送られてくるため、製茶開始時には熱風の温度や風量を設定値にしておくことができる。
【実施例3】
【0022】
実施例3として、ライン制御装置8Aによる制御について、図6を参照にして説明する。この実施例の場合は、図1のように、ライン制御装置8Aが備えられており、製茶ライン全体を一括制御している。そのため、ライン制御装置8Aから各製茶機械の制御装置へ“運転準備信号”を送ることになり、茶葉検知手段は、この“運転準備信号”により乾燥室内に茶葉があることを検知する。本実施例3でも、中揉機4を例にして説明する。
【0023】
本実施例3でも、まず、前述の例のように中揉機制御盤4A上で中揉機4を起動して、ファン48の電源を入れ、バーナ47の電源を入れる。すると、送風が開始し、バーナ47が着火し、設定した温度と風量の熱風を乾燥室41へ供給する。あらかじめライン制御装置8Aには投入前信号時間(終了5分前等)を設定しておき、投入前信号時間になったら、“運転準備信号”を送るようにしておく。ライン制御装置8Aからの“運転準備信号”がなければ、茶葉検知手段は乾燥室41内に茶葉がないと検知し、バーナ47が消火し、ファン48による風量は最低風量になる。熱風温度が限界値より低くなったらバーナ47が再度着火すると略同時にファン48による風量は設定値になって、設定温度まで熱風をあたためる。設定温度になったら再びバーナ47が消火して、ファン48による風量は最低風量になる。ライン制御装置8Aより“運転準備信号”がくるまでは、この動作を繰り返す。前の製茶機械(本実施例では揉捻機3)での製茶が終了近くなり、投入前信号時間になると、ライン制御装置8Aから“運転準備信号”が送られる。また、茶葉の水分値を計測して、その水分値を基準に取り出しをする場合は、信号を送る水分値をあらかじめ設定しておき、茶葉の水分値による取出しの前に、“運転準備信号”を出す。中揉機制御装置4Aへライン制御装置8Aから“運転準備信号”がくると、茶葉検知手段が乾燥室41内に茶葉があると検知し、製茶時の設定値にするためにバーナ47が着火すると略同時にファン48の風量は設定値になって、製茶のための制御を行なう。製茶が終了し、茶葉を取り出すと、茶葉検知手段は乾燥室41内に茶葉がないことを検知し、ライン制御装置8Aより“運転準備信号”がくるまで、再びバーナ47が消火し、風量は最低風量になる。この実施例3の場合、熱風温度は図8のように推移する。
【実施例4】
【0024】
次に、実施例4として、計量器7が備えられている場合の計量器制御装置7Aによる制御について、図6を参照して説明する。製茶機械は、図1における粗揉機1に限られ、“運転準備信号”は、粗揉機1の前に設置されている計量器7の計量器制御装置7Aからの信号に限定される。計量器7は、設定された重量を計量し、粗揉機1内に茶葉を投入するために設置されており、設定値に近くなったら、茶葉を投入する粗揉機1に“運転準備信号”を送る。設定された重量の何%になったら“運転準備信号”を送るかという計量前設定をするとよい。
【0025】
本実施例4でも、まず、前述の例のように粗揉機制御盤1A上で粗揉機1を起動して、ファン48の電源を入れ、バーナ47の電源を入れる。すると、送風が開始し、バーナ47が着火し、設定した温度と風量の熱風を乾燥室11内へ供給する。計量器制御装置7Aより“運転準備信号”がなければ、茶葉検知手段が乾燥室11内に茶葉がないと検知し、バーナ47が消火し、ファン48による風量は最低風量になる。熱風温度が限界値より低くなったらバーナ47が再度着火すると略同時にファン48による風量は設定値になって、設定温度まで熱風をあたためる。設定温度になったら再びバーナ47が消火して、ファン48による風量は最低風量になる。計量器制御装置7Aより“運転準備信号”がくるまでは、この動作を繰り返す。計量器7での計量が設定値に近くなると、計量器制御装置7Aから“運転準備信号”が送られる。計量器制御装置7Aから“運転準備信号”がくると、茶葉検知手段が乾燥室11内に茶葉があると検知し、製茶時の設定値にするためにバーナ47が着火すると略同時にファン48の風量は設定値になって、製茶のための制御を行なう。製茶が終了し、茶葉を取り出すと、計量器制御装置7Aより“運転準備信号”がくるまで、再びバーナが消火し、風量は最低風量になる。この実施例4の場合、熱風温度は図8のように推移する。
【0026】
実施例2、3、4の場合、“運転準備信号”を十分に前もって送る事ができれば、“運転準備信号”が送られてくるまで、バーナが消火し、ファンによる送風は最低値になったままでもよい。
【0027】
上記の実施例1の場合の省エネルギー率は13〜14%、実施例2、3、4の場合の省エネルギー率は5〜11%と高い省エネルギー効果がある。
【0028】
上記実施例では主に粗揉機、中揉機を例にして説明しているが、製茶機械はこの限りではなく、バーナまたはファン等の加熱乾燥手段を用いている精揉機、乾燥機等の製茶機械においても同様である。また、加熱乾燥手段である熱風発生器は、上記実施例に限らず、製茶加工に使用される種々のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 粗揉機
1A 粗揉機制御装置
2 粗揉機
2A 粗揉機制御装置
3 揉捻機
3A 揉捻機制御装置

4 中揉機
4A 中揉機制御装置
4B 通信線
5 中揉機
5A 中揉機制御装置
6 搬送機
6A 搬送機制御装置
6B 通信線
7 計量器
7A 計量器制御装置
8A ライン制御装置
8B 通信線
11 乾燥室
12 主軸
13 揉手
15 温度センサ
16 熱風発生器
17 バーナ
18 ファン
19 火炉
20 ダクト
21 投入口
22 取出口
41 乾燥室
42 主軸
44 ダクト
45 温度センサ
46 熱風発生器
47 バーナ
48 ファン
49 火炉
51 投入口
52 取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉の乾燥室と、該乾燥室内の茶葉の有無を検知する茶葉検知手段と、乾燥室内の茶葉を乾燥する加熱乾燥手段と、乾燥室内の茶葉の有無により、加熱乾燥手段を制御する制御手段とより構成することを特徴とする省エネルギー型製茶機械。
【請求項2】
制御手段において、乾燥室内に茶葉がない場合には加熱乾燥手段のバーナを消火させ、乾燥室内に茶葉がある場合には加熱乾燥手段のバーナを着火させることを特徴とする請求項1記載の省エネルギー型製茶機械。
【請求項3】
乾燥室内には温度測定手段を備え、温度が設定温度になったときに、制御手段において、バーナを着火または消火させることを特徴とする請求項2記載の省エネルギー型製茶機械。
【請求項4】
制御手段において、バーナを消火させるときにファンによる風量を減少させ、バーナを着火させるときにファンによる風量を増加させることを特徴とする請求項2または3記載の省エネルギー型製茶機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−34590(P2012−34590A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175129(P2010−175129)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】