説明

看板用照明装置

【課題】看板用照明装置において、看板に取り付けられた状態での外観上の違和感を少なくする。
【解決手段】看板用照明装置1においては、光源部4は看板S1の裏側に配置されており、看板S1の開口S2を通じてその表側に露出したレンズ部2は、光を出射して看板を照明する、凸面24bを含む出射面24を有する。その凸面24bを形成する断面視稜線のうち光源部4から離れたものは看板S1と略同じ色調とされている。ところで、看板S1が建物の外壁の上部等の高所に設置された場合、その看板はその正面の斜め下方から見られる。従って、レンズ部2の下部に在る上述の看板S1と略同じ色調の部分によってレンズ部2全体が看板と略同色に見える。さらに、レンズ部2の上部に在る上述の看板と略同じ色調の部分から入射した太陽光よってレンズ部2全体が看板の色に着色されているように見える。このため、昼間であっても、看板S1に取り付けられた状態での外観上の違和感が少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、看板に描かれた文字又は図形等を照明する看板用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、看板を構成する発泡スチロール板の前面部に、表示すべき文字等に沿って溝を設け、それに沿って発光ダイオードを並べて成る発光看板が知られている(例えば、特許文献1参照)。この発光看板において、発泡スチロール板の前面には、イメージポスターが描かれ上述の溝に沿って切り抜きが設けられた塩化ビニル板が配置され、さらにその前面には透明なアクリル板が配設されている。夜間に発光ダイオードが点灯されると、上述の文字等が光で浮かび上がる。
【0003】
上記の発光装置においては、発光ダイオードのレンズの色と、塩化ビニル板に描かれたイメージポスターの色すなわち看板の色とが異なることがある。このため、上記の発光装置を正面から見た場合、又は発光看板が建物の外壁等の上部に設置され、その発光看板を正面の斜め下方から見た場合、昼間は、発光ダイオードが点灯しているか否かに拘りなく、粒状の発光ダイオードが目立ち、違和感を生じさせていた。
【特許文献1】特開平8−110759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、看板に取り付けられた状態で外観上の違和感が少ない看板用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、看板を照明するための看板用照明装置において、前記看板の裏側に設けられた光源部と、前記光源部の発光面側に配置され、一部が前記看板に形成された開口を通じてその表側に露出したレンズ部と、を備え、前記レンズ部は、前記光源部の発光面の略中心を通る前記看板の法線を回転軸とした回転体状であり、前記光源部からの光が入射される入射面と、この入射面から入射された入射光が反射される反射面と、この反射面で反射された光が光源部側へ出射され前記看板を照明する出射面と、を有し、前記出射面は、凹面と凸面とを有し、前記凸面を形成する断面視稜線のうち前記光源部から離れたものが前記看板と略同じ色調とされているものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の看板用照明装置において、前記凸面を形成する稜線のうち前記光源部から離れたものは、前記出射面から出射される光の光路と略平行な勾配を有するものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の看板用照明装置において、前記凸面を形成する断面視稜線のうち前記光源部に近いものは、看板と略同じ色調とされているものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の看板用照明装置において、前記凸面を形成する断面視稜線のうち前記光源部に近いものは、前記反射面により反射された光の光路と略平行な勾配を有するものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の看板用照明装置において、前記凹面は、前記反射面で反射された光の光路と略直交するように形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、光源部は看板裏側に配置されており、看板の開口を通じてその表側に露出したレンズ部は、光を出射して看板を照明する、凸面を含む出射面を有し、その凸面を形成する断面視稜線のうち光源部から離れたものは看板と略同じ色調とされているので、看板が建物の外壁の上部等の高所に設置された場合、その看板はその正面の斜め下方から見られ、従って、レンズ部の下部に在る上述の看板と略同じ色調の部分によってレンズ部全体が看板と略同色に見える。さらに、レンズ部の上部に在る上述の看板と略同じ色調の部分から入射した太陽光によってレンズ部全体が看板の色に着色されているように見える。このため、昼間であっても、看板に取り付けられた状態での外観上の違和感が少なくなる。
【0011】
請求項2の発明によれば、出射面の一部である凸面を形成する稜線のうち光源部から離れたものは、出射面から出射される光の光路と略平行な勾配を有するので、その出射された光が凸面によって光路を遮られ凸面に入射することを防ぎ、従って、屈折及び反射の繰り返しに起因する光量の減少を抑制することができる。このため、効率良く照明することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、出射面の一部である凸面の一部が欠けてその断面が見える場合であっても、反射面で界面反射された光は、凸面における光源部に近い部分へ向かい、そこで界面反射されて看板と略同じ色調とされ、そして上述の断面から出射されるので、上述の欠けた部分も看板と略同色に見え、その部分が目立つことは少なくなる。
【0013】
請求項4の発明によれば、出射面は、その凸面を形成する断面視稜線のうち光源部に近いものは、反射面で反射された光の光路と略平行な勾配を有するので、この部分で界面反射する上述の光の量を減らすことができ、それにより反射及び屈折の繰り返しに起因する光量の減少を抑制することができる。このため、効率良く照明することができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、出射面の一部である凹面は、反射面で反射された光の光路と略直交するので、そこで上述の光が界面反射されてレンズ部内へ戻ることを抑制することができる。このため、より効率良く光を出射し、看板に照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の各種実施形態に係る看板用照明装置について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る看板用照明装置1の使用例を示す。看板用照明装置1は、看板S1に描かれた文字、数字又は図形等(以下、文字等という)を照明する装置であり、上述の文字等に沿って看板S1の前面に形成された複数の開口の各々に、レンズ部2が嵌め込まれている。正面から見てレンズ部2の各々の裏側には、不図示の光源部が設けられている。上記の光源部から出射された光は、レンズ部2の裏側から入射してその先端方向へ向かい、その光の一部がレンズ部2の先端で界面反射されてレンズ部2の外周側部から出射され、そして看板S1に照射される。なお、同図においては、照明される文字等の一例として、アルファベット「A」及び「B」が図示されているが、これに限定されない。
【0016】
図2乃至図4(a)(b)は、本実施形態の看板用照明装置1の構成を示す。看板用照明装置1は、上述のレンズ部2を備え、図3に示されるように、看板S1の裏側に看板S1と略平行に設置された基板部3と、基板部3の看板S1側の実装面31に実装され、看板S1の裏側に配置された光源部4と、光源部4に電源を供給する不図示の電源部とをさらに備える。レンズ部2は、光源部4の発光面側に配置され、その一部が、看板S1に形成された開口S2を通じてその表側に露出している。以下、この露出した部分を露出部21という。レンズ部2は、図4(a)に示されるように、光源部4の発光面の略中心を通る看板S1の法線N1と略一致する線を回転軸とした回転体状である。また、レンズ部2は、光源部4からの光が入射される入射面22と、入射面22から入射された入射光が反射される反射面23と、反射面23で反射された光が光源部4側へ出射され看板S1を照明する出射面24とを有する。出射面24は、円柱状の凹面24aと裁頭円錐状の凸面24bとを有する。図4(b)に示されるように、凸面24bを形成する断面視稜線のうち光源部4から離れたものは、塗料25によって看板S1と略同じ色調とされている。レンズ部2、基板部3及び光源部4はモールド樹脂5で一体化されている。光源部4は、発光ダイオード等の点状の発光素子で構成される。上述の発光ダイオードは、白色光を出射するものであることが望ましい。凹面24a及び凸面24bの形状は上記に限定されない。
【0017】
レンズ部2は、アクリル樹脂又はガラス等を材料とする透明部材で構成された回転体状である。その回転軸とする線は、光源部4の光軸とも略一致していることが望ましい。反射面23は、レンズ部2の先端が略円錐状に凹設されて成る。出射面24は、レンズ部2の外周側部に位置する。凸面24bを形成する断面視稜線のうち光源部4から離れたものへの着色は、レンズ部2周辺の看板S1の部分と略同色の塗料25を塗布することで行われる。塗料25の材料は、光透過率の高い材料であることが望ましい。
【0018】
また、レンズ部2において凸面24bを形成する部分は、断面視で略直角三角形状である。凸面24bを形成する稜線のうち光源部4から離れたものは、図5(a)(b)に示されるように、出射面24から出射される光L1の光路と略平行な勾配を有する。レンズ部2の上述の勾配は、光L1の出射角がその出射位置によって異なるので、それに応じて調整されている。
【0019】
レンズ部2において凸面24bを形成する部分の高さ、幅、数及び互いの間隔は、看板S1前面の斜め下方からレンズ部2を見たときに、上述の着色部分によってレンズ部2の外周側部全体がその周囲の看板S1の部分と略同色に見えるように調整されている。凹部23は、円錐状に形成されている。
【0020】
上記のように構成された看板用照明装置1においては、光源部4が点灯したとき、上述の図5(a)(b)に示されるように、光源部4から出射された光はレンズ部2の入射面22に入射してその先端方向へ向かい、そのうち光軸近傍の光(一点鎖線矢印で示す)はレンズ部2の先端から外部に出射される。そして、上述の光軸から外れた光(破線矢印で示す)は、反射面23で界面反射され、レンズ部2の外周側部へ向かい、そして、出射面24から出射される。このようにして、看板S1に光が照射される。
【0021】
本実施形態においては、光源部4は看板S1の裏側に配置されており、看板S1の開口S2を通じてその表側に露出したレンズ部2は、光を出射して看板を照明する、凸面24を含む出射面24を有し、凸面24を形成する断面視稜線のうち光源部4から離れたものは看板S1と略同じ色調とされている。ところで、図6に示されるように、一般に、看板S1は建物の外壁の上部等の高所に設置され、その正面の斜め下方から見られる。従って、レンズ部2の下部に在る上述の看板S1と略同じ色調の部分によってレンズ部2全体が看板と略同色に見える。さらに、レンズ部2の上部に在る上述の看板S1と略同じ色調の部分から入射した太陽光よってレンズ部2全体が看板S1の色に着色されているように見える。このため、昼間であっても、看板S1に取り付けられた状態での外観上の違和感が少なくなる。
【0022】
また、出射面24の一部である凸面24bを形成する稜線のうち光源部4から離れたものは、出射面24から出射される光L1の光路と略平行な勾配を有するので、その出射された光L1が凸面24bによって光路を遮られ凸面24bに入射することを防ぐことができる。従って、屈折及び反射の繰り返しに起因する光量の減少を抑制することができ、効率良く照明することができる。
【0023】
また、凸面24bを形成する断面視稜線のうち光源部4から離れたものは、塗料25を用いて着色されるので、着色作業が簡単であり、従って、その作業に掛かるコストを低減させることができる。
【0024】
なお、レンズ部2に凹面24a及び凸面24bを設けることなく、レンズ部2の外周側部を看板S1におけるレンズ部2の周囲の色に着色した場合、その色の光が看板S1に照射されることになる。この場合、レンズ部2の周囲では、照明光の色と看板S1の色とが略同じなので問題ないが、それよりも外側であってレンズ部2の周囲とは異なる色の部分に、上述の色の照明光が照射された場合、互いの色が違うので、見栄えが悪くなる虞がある。これに対して、本実施形態では、光源部4から白色光が出射された場合、そのままの色の光が看板S1に、その部位に拘らず照射されるので、上述のように見栄えが悪くなることを防ぐことができる。
【0025】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る看板用照明装置1の構成を示す。本実施形態の看板用照明装置1は、第1の実施形態の構成と比べ、さらに、出射面24の一部である凸面24bを形成する断面視稜線のうち光源部4に近いものが、看板と略同じ色調に着色されている。この着色は、レンズ部2周辺の看板S1の部分と略同じ色の塗料25を塗布することで行われる。
【0026】
本実施形態においては、図8に示されるように、凸面24bの一部が欠けてその断面が見える場合であっても、反射面23で界面反射された光は、凸面24bにおける光源部4に近い部分へ向かい、その光L2はそこで界面反射されて看板と略同じ色調とされ、そして上述の断面から出射される。このため、上述の欠けた部分も看板と略同色に見え、その部分が目立つことは少なくなる。
【0027】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る看板用照明装置1の構成を示す。本実施形態の看板用照明装置1は、第2の実施形態の構成と比べ、出射面24の一部である凸面24bを形成する断面視稜線のうち光源部4に近いものが、反射面3により反射された光L3の光路と略平行な勾配を有する。
【0028】
本実施形態においては、凸面24bのうち光源部4に近い部分で界面反射する光L3の量を減らすことができ、それにより反射及び屈折の繰り返しに起因する光量の減少を抑制することができる。このため、効率良く照明することができる。
【0029】
(第4の実施形態)
図10は、本発明の第4の実施形態に係る看板用照明装置1の構成を示す。本実施形態の看板用照明装置1は、第3の実施形態の構成と比べ、出射面24の一部である凹面24aが、反射面23で反射された光L3の光路と略直交するように形成されている。
【0030】
本実施形態においては、反射面23で反射された光L3が凹面24aで界面反射されてレンズ部2内へ戻ることを抑制することができる。このため、より効率良く光を出射し、看板に照射することができる。
【0031】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、レンズ部2の反射面23の形状は断面視円弧状のすり鉢状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る看板用照明装置の一使用例を示す斜視図。
【図2】上記装置の斜視図。
【図3】上記装置の部分断面図。
【図4】(a)は上記装置の断面図、(b)は同装置のレンズ部の拡大図。
【図5】(a)は上記装置において光源部から出射された光の光路を示す断面図、(b)は(a)の拡大図。
【図6】上記装置のレンズ部による作用を説明するための側面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る看板用照明装置のレンズ部の断面図。
【図8】上記レンズ部による作用を説明するための断面図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る看板用照明装置のレンズ部の断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る看板用照明装置のレンズ部の断面図。
【符号の説明】
【0033】
1 看板用照明装置
2 レンズ部
21 露出部
22 入射面
23 反射面
24 出射面
24a 凹面
24b 凸面
4 光源部
L1、L2、L3 光
S1 看板
S2 開口
N1 法線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
看板を照明するための看板用照明装置において、
前記看板の裏側に設けられた光源部と、
前記光源部の発光面側に配置され、一部が前記看板に形成された開口を通じてその表側に露出したレンズ部と、を備え、
前記レンズ部は、
前記光源部の発光面の略中心を通る前記看板の法線を回転軸とした回転体状であり、
前記光源部からの光が入射される入射面と、この入射面から入射された入射光が反射される反射面と、この反射面で反射された光が光源部側へ出射され前記看板を照明する出射面と、を有し、
前記出射面は、凹面と凸面とを有し、前記凸面を形成する断面視稜線のうち前記光源部から離れたものが前記看板と略同じ色調とされていることを特徴とする看板用照明装置。
【請求項2】
前記凸面を形成する稜線のうち前記光源部から離れたものは、前記出射面から出射される光の光路と略平行な勾配を有することを特徴とする請求項1に記載の看板用照明装置。
【請求項3】
前記凸面を形成する断面視稜線のうち前記光源部に近いものは、看板と略同じ色調とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の看板用照明装置。
【請求項4】
前記凸面を形成する断面視稜線のうち前記光源部に近いものは、前記反射面により反射された光の光路と略平行な勾配を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の看板用照明装置。
【請求項5】
前記凹面は、前記反射面で反射された光の光路と略直交するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の看板用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−175641(P2009−175641A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16793(P2008−16793)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】