説明

真空ゲージを備える屋外設置器具

【課題】屋外に設置される器具に真空ゲージを取り付けた場合でも、この真空ゲージが、天候の影響を受けることなく、確実に真空部の真空度を測定できる真空ゲージを備える屋外設置器具を提供する。
【解決手段】屋外設置器具1は、内部に真空部を形成するケース本体3と、ケース本体3における真空部の外側に取り付けられ、この真空部の真空度を測定する真空ゲージ6とを備える。ケース本体3に、真空ゲージ6を収納するゲージ収納部4を設けている。このゲージ収納部4は、遮光性を有し、透湿性の小さい材料で形成され、ケース本体3に対し着脱可能なカバー42を備える。このカバー42をケース本体3に固定することにより、ケース本体3とカバー42とにより密閉状態のゲージ収納部4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に真空部を形成するケース本体と、ケース本体における真空部の外側に取り付けられ、この真空部の真空度を測定する真空ゲージとを備える屋外設置器具に関する。
【背景技術】
【0002】
超電導材料は、超電導状態を維持するために、超電導材料を液体窒素や液体ヘリウムなどの冷媒で冷却して使用される。超電導材料は、通常は、冷媒が貯留される冷媒容器内に配置される。
【0003】
ところで、超電導ケーブルは、屋外に配置され、超電導ケーブルの端部を常電導導体と接続する接続部も屋外に配置される。また、超電導ケーブルは、超電導ケーブルコアとこのケーブルコアが挿通される真空断熱管とを備え、この真空断熱管の内部に冷媒を流通させて、この冷媒でケーブルコアを冷却して超電導状態を維持するようにしている。さらに、超電導ケーブルの接続部においても冷媒槽を備える低温容器内に超電導ケーブルの端部を配置させて冷却を行っている(例えば特許文献1参照)。低温容器も、冷媒槽をケース本体で覆うことにより、この冷媒槽とケース本体との間に、冷媒槽を覆う真空部を形成している。
【0004】
このように、冷媒の周りを真空部で覆うのは、屋外の気温と冷媒の温度との温度差が大きく、この温度差を維持するために外気の冷媒への温度の影響をできるだけ低減する必要があるためである。
【0005】
特に、超電導ケーブルの終端接続部においては、超電導ケーブルを外気温度よりも高い温度の常電導導体と接続するため、冷媒槽の冷媒が常電導導体により加温され易く、冷媒の超電導導体の冷却効率を上げるためには、冷媒がケース本体外周の外気の影響を受けないように、真空部で確実に外部からの熱侵入を遮断する必要がある。
【0006】
さらに、超電導材料の超電導状態は、長期間安定した状態で維持し続ける必要がある。しかしながら、超電導ケーブルの接続部においては、真空部を形成する低温容器のケース本体は、複数の部材を組み合わせて構成される場合が多く、フランジ部分などパーツ接続箇所において、真空劣化を起こす可能性がある。このように真空劣化が生じてしまうと、真空断熱容器内の真空状態を維持できなくなり、冷媒槽の冷媒による超電導ケーブルの冷却効率が低下してしまう場合がある。
【0007】
真空断熱容器内の真空状態を維持するためには、真空断熱容器内の圧力を常時監視し、真空異常時には、すぐに対応できるような監視システムが必要となる。そこで、通常は、冷媒の温度管理を行うだけでなく、真空部の真空度を真空ゲージを用いて常時測定することにより、真空度の管理を行っている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−341737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、真空部の真空度を測定するには、図4に示すように、真空部を形成する容器Aに配管Bを貫通させ、この配管Bに、容器Aの外側から真空ゲージCを取り付け、この真空ゲージCを表示装置Dに接続して、この表示装置Dに圧力の測定結果を表示するようにしている。
【0010】
ところで、現在市販されている真空ゲージは室内での使用を前提として開発されているため、パッケージの防水性、防塵性に劣る構成となっている。また、最近の真空ゲージには測定値を演算するための電子機器が同じユニットに組み込まれている物もあるため、そのような構造の真空ゲージは、特に動作温度、湿度の管理が重要となっている。
【0011】
従って、超電導磁石など屋内に設置する超電導機器は、天候(降雨、積雪、日射等)の影響を受けることは無いので、超電導機器に取り付けられる真空ゲージの内部電子部品が水に濡れて破損したり、紫外線で劣化したりするようなことは無い。
【0012】
ところが、超電導ケーブルの接続部となる低温容器は屋外に配置されるため、この低温容器の外部に露出して配置されている真空ゲージは天候(降雨、積雪、日射等)の影響を受けてしまい、内部の電子部品が破損する可能性がある。
【0013】
そこで、真空ゲージが天候の影響を受けないようにする方法としては、図4に示す真空ゲージの取付構造において、真空ゲージCの周囲を、ビニルカバーで覆うことにより、雨などの影響を受けないようにすることが考えられる。
【0014】
しかしながら、ビニルは透湿性を有するために外気湿度の影響を受け、しかも、ビニルカバーはビニルテープなどで真空容器に固定するだけなので、間隙から雨、雪などがカバー内部に浸入し、真空ゲージの内部電子部品が故障する虞がある。
【0015】
また、ビニルカバーは通常は透明であるから日射の影響も受ける。ビニルカバー内に浸入した水分が、太陽の熱で蒸発すると、カバー内は高温多湿となるし、冬季など気温が低い場合には、結露や凍結なども起こり、電子部品が故障する可能性が高い。また、日射による紫外線により、ゲージを容器に接続する際に使われているゴム製のOリングは、劣化が生じ易いので、Oリングの寿命が短くなってしまう。
【0016】
このように、屋外に配置される真空ゲージは、天候により故障・劣化が起こり易いので、真空度の測定を、安定した状態で破損することなく長期間連続して正確に行うことが困難となる。
【0017】
本発明は、上記問題に鑑みて成したものであり、屋外に設置される器具に真空ゲージを取り付けた場合でも、この真空ゲージが、天候の影響を受けることなく、確実に真空部の真空度を測定できる真空ゲージを備える屋外設置器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の真空ゲージを備える屋外設置器具は、内部に真空部を形成するケース本体と、ケース本体における真空部の外側に取り付けられ、この真空部の真空度を測定する真空ゲージとを備える屋外設置器具である。そして、ケース本体に、真空ゲージを収納するゲージ収納部を設ける。このゲージ収納部は、遮光性を有し、透湿性の小さい材料で形成され、ケース本体に対し着脱可能なカバーを備える。このカバーをケース本体に固定することにより、ケース本体とカバーとにより密閉状態のゲージ収納部を形成する。
【0019】
屋外設置器具としては、超電導ケーブルの端部を常電導導体と接続する接続部を構成するための低温容器や、屋外に設置される超電導モータ、真空遮断器、変圧器などが挙げられる。
【0020】
真空ゲージとしては、ピラニー真空計、電離真空計、コールドカソード真空計、ダイアフラム真空計、クリスタル真空計などが挙げられる。真空ゲージは、ケース本体の外部に設ける表示装置と配線で接続し、この表示装置に、真空ゲージで測定した真空部内の圧力を表示させて、真空部の真空度の管理を行うようにする。
【0021】
ケース本体は、勿論、金属などの天候の影響を受けないように、遮光性を有し、水分を通さない材料で形成する。ゲージ収納部のカバーは、金属や、不透明な繊維強化プラスチック(FRP)や、透明なFRPを金属箔で覆ったものなど、遮光性を有し、透湿性の小さい材料で形成する。
【0022】
真空ゲージをゲージ収納部に外部に対し遮光した状態で、かつ、気密状に収納することにより、屋外設置器具そのものが雨、雪、紫外線などの天候の影響を受けても、ゲージ収納部に収納されている真空ゲージは、天候の影響を受けることがなくなり、真空ゲージの故障・劣化が低減される。
【0023】
ゲージ収納部は、ケース本体の外壁の一部に形成される凹部と、この凹部の開口部を封鎖するカバーとにより形成することが好ましい。この場合、カバーは、ケース本体に形成した凹部を封鎖する板状に形成することが好ましい。このカバーをボルトでケース本体に固定する。ケース本体に真空ゲージが収納される凹部を形成し、板状のカバーで凹部を封鎖するので、ケース本体の外観を良好にできながら、真空ゲージを保護することができる。
【0024】
また、ゲージ収納部は、ケース本体に固定され、一端が開口した有底筒状のカバーと、ケース本体の外壁面とにより形成するようにしてもよい。有底筒状のカバーは、開口部に鍔部を有する箱部材で形成することが好ましい。この箱部材の鍔部において、ボルトでケース本体に固定することができる。ゲージ収納部を、真空ゲージを完全に覆う有底筒状の箱型カバーとすることにより、既存のケース本体にこのカバーを固定するだけでゲージ収納部を形成して、真空ゲージを確実に保護できる。
【0025】
前記各カバーは、ケース本体と同じ材質の材料で形成することにより、外観を良好にできる。
【0026】
ケース本体と、カバーにおけるケース本体に固定される部分との間にシール部材を介在させることが好ましい。シール部材としては、ゴムなどの有機材料で形成したリング状部材や、金属製の薄い板状のリング部材が挙げられる。ケース本体とカバーとの間に、シール部材を介在させることにより、気密性が高くなり、ゲージ収納部内部に水分が浸入することを阻止できるので、真空ゲージの長期信頼性が得られる。
【0027】
ゲージ収納部には、ゲージ収納部の内部圧力を調整する圧力調整弁を備えるようにすることが好ましい。圧力調整弁は、取り付けが容易に行えるようにカバーに取り付けることが好ましい。
【0028】
ゲージ収納部の内部は、気密状態に維持されているため、ゲージ収納部内の圧力が外気温度により変化してしまう。ゲージ収納部内の圧力が所定圧力以上になったときには、圧力調整弁を作動させることにより内部圧力を低下させて、ゲージ収納部内が過圧状態になることを防ぐことができる。このように圧力調整弁を設けて、ゲージ収納部の内部圧力を調整することにより、この内部圧力が、例えば常に大気圧以下となるように維持することができる。
【0029】
屋外設置器具は、ゲージ収納部の内部温度を調整する温度調整部を有するように構成することが好ましい。例えば、この温度調整部は、ゲージ収納部内の温度を測定する温度センサーと、ゲージ収納部内を加温する加熱部と、ゲージ収納部内を冷却する冷却部と、温度センサーの測定結果に基づいて加熱部と冷却部とを制御する制御部とを備えるようにすることができる。
【0030】
加熱部としては、例えば、半導体セラミックスを用いた面状発熱体やシリコーンゴムを用いたコード状発熱体などが挙げられる。冷却部としては、例えば、熱電冷却素子が挙げられる。制御部は、ケース本体の外部に配置する。温度センサーと加熱部と冷却部は、ゲージ収納部内に設け、これら機器を配線で制御部と接続することができる。
【0031】
温度センサーの測定結果は制御部に送られ、制御部は、測定した温度に基づいて、加熱部または冷却部を駆動制御するようになっている。具体的には、温度センサーで測定したゲージ収納部の内部温度に基づいて、制御部は、内部温度が設定した温度範囲より低い温度の時には、加熱部でゲージ収納部の内部を暖めるように制御する。そして、前記内部温度が設定した温度範囲より高い温度の時には、制御部は、冷却部でゲージ収納部の内部を冷却するように制御する。
【0032】
このように、屋外設置器具にゲージ収納部の内部温度を調整する温度調整部を設けることにより、外気温が年間で変動しても、この温度変化に影響されることなく、真空ゲージを正常に動作させることができ、しかも、温度変化により真空ゲージの電子部品が劣化するのも防止できる。
【0033】
さらに、ゲージ収納部の内部には、水分を吸着する吸着剤を設けるようにしてもよい。吸着剤としては、シリカゲル、活性炭、酸化アルミナ、ゼオライト、石灰など水分を効率よく吸着できるものが挙げられる。
【0034】
このように、吸着剤を用いることにより、ゲージ収納部のケース本体に真空ゲージを取り付けて、カバーでゲージ収納部を密閉した際、ゲージ収納部の内部に多少の水分が残っていたとしても、吸着剤でゲージ収納部内の水分を吸収できる。その結果、真空ゲージが多湿により動作不良を起こすのを防止することができる。なお、真空ゲージをケース本体に取り付けて、カバーでゲージ収納部を封鎖する際に、乾燥ガスパージを実施することがさらに好ましい。乾燥ガスパージを実施することにより、ゲージ収納部内の湿度を低下させておくことができ、最終的に残った水分を吸着剤で吸着させることができるので、ゲージ収納部内部に殆ど水分が無い状態にできる。
【0035】
また、ゲージ収納部に、フィールドスルーを設けて、このフィールドスルーを介して、ゲージ収納部内に配置する電気機器に接続される配線を外部に取り出せるようにすることが好ましい。フィールドスルーは、カバーに取り付けることが、配線組み付け作業性を良好にできる点において好ましい。フィールドスルーには、真空ゲージと表示装置とを接続する配線、温度センサーと加熱部と冷却部とを制御部に接続するための電気動力・信号線となる配線を挿通させる。フィールドスルーを設けることにより、各種配線を取り出しても気密性を確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の真空ゲージを備える屋外設置器具は、ゲージ収納部に真空ゲージを外部に対し遮光した状態で、かつ、気密状に収納しているので、屋外設置器具そのものが雨、雪、紫外線などの天候の影響を受けても、ゲージ収納部に収納されている真空ゲージは、天候の影響を受けることがなくなり、真空ゲージの故障・劣化を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の真空ゲージを備える屋外設置器具の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
(第1実施形態)
第1実施形態の真空ゲージを備える屋外設置器具を図1および図2に基づいて説明する。第一実施形態に係る本発明の真空ゲージを備える屋外設置器具は、超電導ケーブルの端部と常電導導体との接続部が収納される低温容器である。この低温容器1は、冷媒槽2が内部に配置されるケース本体3を備え、このケース本体3と冷媒槽2との間で真空部5を形成している。
【0039】
低温容器1は、図2に示すように、超電導ケーブル10のケーブルコア100の端部、常電導導体11が接続されるブッシング12、ケーブルコア100の超電導導体101とブッシング12の導体部13とを接続する接続用導体14、そして、接続用導体14とブッシング12とを接続する接続部15を収納するようになっている。また、低温容器1には、ブッシング12が挿通される碍管16が取り付けられている。
【0040】
本実施形態で用いる超電導ケーブル10は、例えば、1本のケーブルコア100を断熱管に収納された単相超電導ケーブルを用いている。この超電導ケーブル10の断熱管は、図示していないが、外管と内管とからなる二重管の間に断熱材を配置して二重管内を真空引きした構成としている。ケーブルコア100は、図示していないが、中心から順にフォーマ、超電導導体、電気絶縁層、シールド層、保護層を具える。
【0041】
本実施形態では、図2に示すように、ケーブルコア100の超電導導体101の端部を接続用導体14に接続し、この接続用導体14を、接続部15を介してブッシング12の導体部13の端部に接続している。
【0042】
冷媒槽2は、ブッシング12の端部と、接続部15と、接続用導体14が収納される第一冷媒槽21と、超電導ケーブル10のケーブルコア100の端部が収納される第二冷媒槽22とを有する。
【0043】
ケース本体3と冷媒槽2は、ステンレスで形成されており、ケース本体3内を真空にすることにより、ケース本体3と冷媒槽2との間に真空部5を形成している。この真空部5は、第一冷媒槽21を断熱する第一真空部51と第二冷媒槽22を断熱する第二真空部52とを有する。冷媒槽2の周りに形成される真空部5により、冷媒槽2の極低温状態を効率良く維持するようになっている。
【0044】
冷媒槽2の内部には、液体窒素などの冷媒が充填されており、図示していないが、ケース本体3の外部に配置する冷却装置で、冷媒槽2の内部の冷媒を循環冷却するようになっている。
【0045】
ブッシング12は、第一冷媒槽21と第一真空部51と碍管16とに亘るように低温容器1内部に配置されている。
【0046】
接続用導体14とケーブルコア100の超電導導体との接続箇所には、エポキシユニット17を配置している。エポキシユニット17を挟んで接続用導体14の端部と超電導導体101の端部との外周には、クラフト紙などの補強絶縁層18を形成している。エポキシユニット17は、第一冷媒槽21と第二冷媒槽22との境界部に配置させている。
【0047】
また、第一真空部51と第二真空部52の真空状態を維持するため、第一真空部51と第二真空部52のそれぞれに真空ポンプを接続して、所定の真空度に維持するようにしている。第一真空部51の真空度は、真空ゲージ6で常時測定するようにしている。
【0048】
なお、本実施形態では、図示していないが、第二真空部52の真空度は、別の真空ゲージで測定している。
【0049】
第一真空部51の真空度を測定する真空ゲージ6は、ケース本体3の外壁に取り付けられている。真空ゲージ6は、ケース本体3に形成するゲージ収納部4の内部に収納された状態で、ケース本体3に取り付けられている。
【0050】
前記ゲージ収納部4の構成について、図1に基づいて詳しく説明する。本実施形態では、ケース本体3の外壁の一部に凹部41を形成し、この凹部41の開口部を板状のカバー42で封鎖することにより、この凹部41とカバー42とでゲージ収納部4を形成している。
【0051】
カバー42は、ケース本体3と同じステンレスで形成している。カバー42とケース本体3とをステンレスで形成して、このカバー42をケース本体3の凹部41に固定してゲージ収納部4を形成することにより、内部を遮光でき、かつ、水分も透過しない密閉空間となるゲージ収納部4を形成する。カバー42は、ケース本体3にボルト締めして固定している。なお、カバー42は、ステンレスに限らず、銅などの金属でもよいし、不透明なFRPや、透明なFRPを金属箔で覆ったものなど、遮光性を有し、透湿性の小さい材料で形成してもよい。
【0052】
まず、凹部41における開口部と対向する壁面であって、真空部5を形成する壁面に配管61を貫通させて固定する。そして、この配管61にジョイント62を介して真空ゲージ6を取り付ける。この真空ゲージ6で、配管61介して真空部5(第一真空部51)内の真空度を測定する。
【0053】
真空ゲージ6としては、例えばピラニー真空計、電離真空計、コールドカソード真空計、ダイアフラム真空計、クリスタル真空計などを使用する。真空ゲージ6は、ケース本体3の外部に設ける表示装置60と配線で接続しており、この表示装置60に、真空ゲージ6で測定した第一真空部51内の圧力を表示させて、第一真空部51の真空度の管理を行うようにしている。
【0054】
さらに、凹部41内で、真空ゲージ6の上方に冷却素子71を設け、真空ゲージ6の下方にヒーター素子72を設けている。冷却素子71としては、熱電冷却素子を用い、ヒーター素子72としては、コード状発熱体を用いている。また、真空ゲージ6の表面には、温度センサー73を取り付けている。
【0055】
凹部41内には、水分を吸収する吸着剤8も設けている。吸着剤8はシリカゲル、活性炭、酸化アルミナ、ゼオライト、石灰など水分を効率よく吸着できるものを使用する。
【0056】
これら真空ゲージ6、冷却素子71、ヒーター素子72、温度センサー73、吸着剤8を凹部41に収納した状態で、凹部41の開口部にカバー42を固定して、凹部41を封鎖することにより、凹部41とカバー42とで囲まれた密閉空間(ゲージ収納部4)に、前記各機器が収納される。
【0057】
また、ケース本体3にカバー42を固定する際、凹部41の開口部周縁にシール部材となるリング状のガスケット45を配置して、ケース本体3とカバー42との間にガスケット45を介在させている。このガスケット45により、ゲージ収納部4内部の気密性を上げて、水分が浸入することを阻止できるので、真空ゲージの長期信頼性が得られる。ガスケット45はゴムなどの有機材料で形成したリング状部材の他、状況に応じて金属製のリング状態部材を使用することができる。
【0058】
また、カバー42には、フィールドスルー46を設けており、このフィールドスルー46に、真空ゲージ6に接続される配線と、冷却素子71に接続する配線と、ヒーター素子72に接続する配線と、温度センサー73に接続する配線とを挿通させている。このように、各配線をフィールドスルー46に挿通させているので、ゲージ収納部4内の気密状態を維持できる。
【0059】
真空ゲージ6に接続される配線はケース本体3の外部に配置される表示装置60に接続されている。また、冷却素子71、ヒーター素子72、そして温度センサー73に接続する各配線は、ケース本体3の外部に配置する温度調整装置74に接続されている。
【0060】
なお、本実施形態では、凹部41をカバー42で封鎖する際に、凹部41内に乾燥ガス(窒素、乾燥空気またはその他の不活性ガス)を吹き付けながらカバー42を凹部41に取り付けるようにしている。このようにガスパージすることで、ゲージ収納部4内の湿度を低下させることができる。
【0061】
そして、カバー42を固定した後、ゲージ収納部4内の湿度が万一高湿となった場合には、ゲージ収納部4内に配置させる吸着剤8で水分を吸収して、湿度を下げることができる。その結果、水分の影響を受け易い電子部品が故障してしまうのを防ぐことができる。
【0062】
本実施形態では、冷却部となる冷却素子71、加熱部となるヒーター素子72、温度センサー73、そして、制御部となる温度調整装置74により温度調整部を構成している。
【0063】
冷却素子71は、ゲージ収納部4の内部を冷却し、ヒーター素子72は、ゲージ収納部4の内部を加温し、温度センサー73はゲージ収納部4の内部温度を測定する。そして、温度調整装置74により、温度センサー73の測定結果に基づいてヒーター素子72と冷却素子71の駆動を制御し、ゲージ収納部4の内部温度が基準温度でほぼ一定になるように調整している。
【0064】
このように、冷却素子71、ヒーター素子72、温度センサー73、そして温度調整装置74を用いて、真空ゲージ6の電子部品が正常に作動する環境を作る。例えば、外気温度が設定した温度範囲より低い場合はヒーター素子72で加熱し、外気温度が設定温度範囲より高い場合は冷却素子71で冷却して真空ゲージ6の周囲の温度が電子部品を駆動させる際の適正温度となるように調整する。
【0065】
なお、表示装置60は、ケース本体3の外部で、作業者が見易く、作業のし易い位置に設けている。本実施形態では、表示装置60は、低温容器1近くに配置するシステムラック内に配置している。さらに、このシステムラック内には、温度調整装置74も配置している。
【0066】
また、ゲージ収納部4のカバー42には、ゲージ収納部4の内部圧力を調整する圧力調整弁9が取り付けられている。
【0067】
密閉空間となったゲージ収納部4は、外気温の変動により内部圧力が一時的に大気圧を超える可能性があるため、圧力調整弁9により、ゲージ収納部4内の気圧調整を行う。圧力調整弁9は、ゲージ収納部4の内部圧力が所定の設定圧力を超えたときに、弁を解放して、内部圧力を低下させるようになっている。設定圧力はゲージ圧で5〜20kPaの間として、ゲージ収納部4の内部圧力を調整する。
【0068】
以上にように、本実施形態では、真空ゲージ6が凹部41内で取り付けられた後、カバー42で凹部41を封鎖して、ゲージ収納部4内部に真空ゲージ6が密閉されて収納された状態になる。
【0069】
その結果、真空ゲージが、雨や雪による水分の影響を受けて故障することを防ぐことができ、しかも、カバー42が光を通さない部材で形成されているので、日射による紫外線で電子部品が劣化するのもほぼ排除することができる。
【0070】
本実施形態では、ケース本体3に真空ゲージ6が収納される凹部41を形成し、板状のカバー42で凹部を封鎖するので、ケース本体3の外観が良好になる。
【0071】
さらに、本実施形態では、ゲージ収納部4の内部温度を調整する温度調整部を設けているので、外気温が年間で変動しても、この温度変化に影響されることなく、真空ゲージ6を正常に動作させることができ、しかも、温度変化により真空ゲージ6の電子部品が劣化するのも防止できる。
【0072】
さらに、ゲージ収納部4内には吸着剤8を設けているので、この吸着剤8でゲージ収納部4内の水分を吸収し、真空ゲージ6が多湿により動作不良を起こすのを防止することができる。
【0073】
(第二実施形態)
前記第一実施形態では、ゲージ収納部を、ケース本体に形成した凹部とこの凹部の開口部を封鎖する板状のカバーとで囲まれた密閉空間を形成することで構成した。
【0074】
第二実施形態では、ゲージ収納部は、既存のケース本体の外壁に真空ゲージを覆い包む箱型のカバーを取り付けて、ケース本体と箱型カバーとで囲まれた密閉空間を形成することで構成する。
【0075】
第二実施形態のゲージ収納部について、図3に基づいて説明する。第二実施形態のゲージ収納部4の構成は、カバー43の形状が異なる点と、ケース本体3に凹部が形成されていない点を除き、その他の構成は、第一実施形態と同一である。同じ構成部材は、第一実施形態と同一の符号で示しており、構成の異なる点のみ説明する。
【0076】
本実施形態では、ケース本体3の平面な壁面に箱状のカバー43を取り付けることにより、ケース本体3とカバー43とにより真空ゲージ6が収納できる空間を形成している。カバー43は、ケース本体3と同じステンレスで形成されている。
【0077】
真空ゲージ6がジョイント62を介して接続される配管61は、ケース本体3の壁部に貫通させて固定されている。
【0078】
第二実施形態のカバー43は、有底筒状で、一端に開口部を有する箱型のカバー43であり、開口部周縁にフランジ部44が形成されている。このフランジ部44をケース本体3にボルト締めにより固定する。
【0079】
第二実施形態では、カバー43で、真空ゲージ6と、ヒーター素子72と、冷却素子71と、吸着剤8とを覆った状態になっている。そして、圧力調整弁9は、カバー43に取り付けられている。
【0080】
その結果、本実施形態においても、真空ゲージ6が、雨や雪による水分の影響を受けることを防ぐことができ、しかも、カバー43が光を通さない部材で形成されているので、日射による紫外線で真空ゲージ6の電子部品が劣化するのもほぼ排除することができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、ゲージ収納部4を構成するカバー43を、真空ゲージを完全に覆う有底筒状の箱型カバーとしているので、既存のケース本体3にこのカバー43を固定するだけでゲージ収納部4を形成できながら、真空ゲージ6を確実に保護できる。
【0082】
上記各実施形態では、超電導ケーブルの端末構造での低温容器について説明したが、真空ゲージで真空度が測定される真空部を有し、屋外に設置される器具であれば、本発明を適用できる。そして、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、超電導ケーブルの端末器における低温容器に取り付けられる真空ゲージや、屋外に配置される変圧器などの屋外に配置される真空容器の真空度を測定する真空ゲージを備える屋外設置器具に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明真空ゲージを備える屋外設置器具となる超電導ケーブルの接続部を収納する低温容器の断面図を示す。
【図2】図1の低温容器に設けた真空ゲージを取り付けるゲージ収納部の拡大部分断面図である。
【図3】第二実施形態にかかる真空ゲージを取り付けるゲージ収納部の拡大部分断面図である。
【図4】従来の真空ゲージの真空容器への取付構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1 低温容器
2 冷媒槽
21 第一冷媒槽 22 第二冷媒槽
3 ケース本体
4 ゲージ収納部
41 凹部 42 カバー 43 カバー 44 フランジ部
45 ガスケット 46 フィールドスルー
5 真空部
51 第一真空部 52 第二真空部
6 真空ゲージ
61 配管 62 ジョイント 60 表示装置
71 冷却素子 72 ヒーター素子 73 温度センサー
74 温度調整装置
8 吸着剤
9 圧力調整弁
10 超電導ケーブル
100 ケーブルコア 101 超電導導体
11 常電導導体 12 ブッシング 13 導体部 14 接続用導体
15 接続部 16 碍管 17 エポキシユニット 18 補強絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に真空部を形成するケース本体と、ケース本体における真空部の外側に取り付けられ、この真空部の真空度を測定する真空ゲージとを備える屋外設置器具であって、
ケース本体に、真空ゲージを収納するゲージ収納部を設けるとともに、このゲージ収納部は、遮光性を有し、透湿性の小さい材料で形成され、ケース本体に対し着脱可能なカバーを備え、このカバーをケース本体に固定することにより、ケース本体とカバーとにより密閉状態のゲージ収納部を形成することを特徴とする真空ゲージを備える屋外設置器具。
【請求項2】
ゲージ収納部は、ケース本体の外壁の一部に形成される凹部と、この凹部の開口部を封鎖するカバーとにより形成していることを特徴とする請求項1に記載の真空ゲージを備える屋外設置器具。
【請求項3】
ゲージ収納部は、ケース本体に固定され、一端が開口した有底筒状のカバーと、ケース本体の外壁面とにより形成していることを特徴とする請求項1に記載の真空ゲージを備える屋外設置器具。
【請求項4】
ケース本体と、カバーにおけるケース本体に固定される部分との間にシール部材を介在していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の真空ゲージを備える屋外設置器具。
【請求項5】
ゲージ収納部は、ゲージ収納部の内部圧力を調整する圧力調整弁を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の真空ゲージを備える屋外設置器具。
【請求項6】
ゲージ収納部の内部温度を調整する温度調整部を有し、
この温度調整部は、
ゲージ収納部内の温度を測定する温度センサーと、ゲージ収納部内を加温する加熱部と、ゲージ収納部内を冷却する冷却部と、温度センサーの測定結果に基づいて加熱部と冷却部とを制御する制御部とを備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の真空ゲージを備える屋外設置器具。
【請求項7】
ゲージ収納部の内部に、水分を吸着する吸着剤を設けていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の真空ゲージを備える屋外設置器具。
【請求項8】
ゲージ収納部に、フィールドスルーを設けて、このフィールドスルーを介して、ゲージ収納部内に配置する電気機器に接続される配線を外部に取り出すことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の真空ゲージを備える屋外設置器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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