説明

真空加熱プレス機

【課題】二つのプレス対象材料をプレスにより均一に貼り合わせることができるプレス機を提供する。
【解決手段】二つのプレス対象材料Xを互いに対して貼り合わさるようにプレスするプレス機1は、プレス対象材料の両側に配置された第一プレスプレート3及び第二プレスプレート4を具備する。第一プレスプレートは第二プレスプレートに向かって移動可能であり、第一プレスプレートが第二プレスプレートに向かって駆動されることでこれらプレート間に配置されたプレス対象材料のプレスが行われる。二つのプレスプレートのうちの一方のプレスプレートが他方のプレスプレートに対して傾斜可能に一点で支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの対象物質を互いに対して貼り合わさるようにプレスするプレス機に関する。
【背景技術】
【0002】
二つ以上の層をプレスにより貼り合わせるプレス機が知られている。斯かるプレス機としては、例えば、多層プリント配線板又はICカード等を接着形成するための積層プレス機等が挙げられる。
【0003】
斯かるプレス機は、一般に、プレス対象となる複数の積層材料を載置する下方プレートと、上方プレートとを具備し、下方プレートと上方プレートとを互いに向かって移動させることで積層材料をプレスすることとしている。そして、プレス機によっては、これら二つのプレートを貫通してこれらプレートの相対移動方向に延びる複数のロッドを具備する。斯かるプレス機では、これら複数のロッドは上方プレートに対してプレートの相対移動方向に移動不能に連結され、下方プレートに対して相対移動方向に移動可能に螺合部により連結される。そして、複数のロッドを回転させることにより下方プレートが上方プレートに対して接近又は離間され、これに伴って積層材料のプレスが行われる(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−90398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、紫外光源用発光素子として窒化物半導体が知られており、とりわけ直接遷移型のワイドギャップ窒化物半導体で、波長200〜350nmの深紫外発光が可能な窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)に注目が集まっている。そして、斯かるAlGaN系深紫外発光素子(以下、「発光素子」と称す)のハイパワー化を図るためには、発光素子を熱伝導性の高い基板(以下、「高熱伝導性基板」と称す)、例えば銅タングステン基板に貼り合わせる必要がある。
【0006】
半田層を介して発光素子を高熱伝導性基板上に貼り合わせるためには、プレス機によって発光素子を高熱伝導性基板上にプレスすることになる。ここで、AlGaN系深紫外発光素子は一般にサファイア基板上に結晶成長させることにより形成されるが、形成された発光素子は必ずしもサファイア基板上に均一に形成されるわけではなく、例えばサファイア基板に対して傾斜して形成されてしまったりして不均一に形成される場合がある。
【0007】
このような場合に、特許文献1に記載されたようなプレス機により発光素子を高熱伝導性基板に貼り合わせるべくプレスを行うと、これら発光素子と高熱伝導性基板とは、間に介在する半田層の膜厚精度が低い状態で不均一に貼り合わせられてしまうことになる。
【0008】
そこで、本発明の目的は二つのプレス対象材料をプレスにより均一に貼り合わせることができるプレス機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明では、二つのプレス対象材料を互いに対して貼り合わさるようにプレスするプレス機において、上記プレス対象材料の両側に配置された第一プレスプレート及び第二プレスプレートを具備し、第一プレスプレートは第二プレスプレートに向かって移動可能であり、第一プレスプレートが第二プレスプレートに向かって駆動されることでこれらプレート間に配置されたプレス対象材料のプレスが行われ、二つのプレスプレートのうちの一方のプレスプレートが他方のプレスプレートに対して傾斜可能に一点で支持されている。
第1の発明によれば、一方のプレスプレートが他方のプレスプレートに対して傾斜可能に一点で支持されているため、二つのプレスプレートによってプレスされるプレス対象材料が上述したような発光素子と高熱伝導性基板であって発光素子が傾斜して形成されているような場合でも、上記他方のプレスプレートがこの発光素子の傾斜に合うように傾斜する。このため、斯かる場合であっても二つのプレス対象材料を均一に貼り合わせることができる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、上記第一プレスプレートを第二プレスプレートに向かって駆動するための駆動装置と、該駆動装置によって駆動される駆動ロッドとを具備し、上記一方のプレスヘッドは第一プレスプレートであり、該第一プレスプレートは球面ジョイントを介して上記駆動ロッドに連結される。
【0011】
第3の発明では、第2の発明において、上記駆動装置は、空気圧により上記第一プレスヘッドを駆動する。
【0012】
第4の発明では、第1〜第3のいずれか一つの発明において、両プレスプレートを収容すると共に真空ポンプに連結されたハウジングと、上記第一プレスプレートとハウジングとの間で延びて上記駆動ロッド及び球面ジョイントを包囲する真空ベローズとを更に具備し、該真空ベローズは真空ポンプによりハウジング内の圧力が低下したときにおいても上記真空ベローズ内の圧力が低下しないように第一プレスプレート及びハウジングに気密に連結される。
【0013】
第5の発明では、第1〜第5のいずれか一つの発明において、上記二つのプレスプレートのうち一方のプレスプレートを加熱するための加熱手段をさらに具備し、他方のプレスヘッドには断熱材が設けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二つのプレス対象材料をプレスにより均一に貼り合わせることができるプレス機が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明のプレス機について詳細に説明する。図1は本発明のプレス機の概略断面図である。
【0016】
図1に示したように、プレス機1はハウジング2とハウジング2内に設けられた上方プレート3及び下方プレート4とを具備する。下方プレート4にはヒータが内蔵されている。さらに、ハウジング2内には断熱材料で形成されたプレート支持台5が設けられ、このプレート支持台5はハウジング2に連結されると共に下方プレート4を支持する。従って、下方プレート4は、プレート支持台5を介してハウジング2に相対移動することができないように固定される。
【0017】
一方、上方プレート3には、下方プレート4側とは反対側において断熱材6に連結され、断熱材6は球面ジョイント7を介してエアシリンダ8の駆動ロッド9に連結される。駆動ロッド9はエアシリンダ8に駆動されて上下に移動することができ、駆動ロッド9が下方に駆動されるとそれに伴って上方プレート3が下方に移動せしめられ、逆に駆動ロッド9が上方に駆動されるとそれに伴って上方プレート3が上方に移動せしめられる。
【0018】
図1に示したように、エアシリンダ8はハウジング2の外部、本実施形態では上方に配置されており、エアシリンダ8の駆動ロッド9はハウジング2の上部に設けられた開口部2aを通ってハウジング2内に延びている。開口部2a周りのハウジングの部分と断熱材6の外周部との間にはベローズ10が延びている。開口部2a周りのハウジングの部分とベローズ10の上部、及び断熱材6の外周部とベローズ10の下部はそれぞれ気密に連結されている。従って、ベローズ10と断熱材6とに囲われたハウジング2内の空間は、ハウジング2内のそれ以外の空間から遮断されており、これら空間の間で気体が流通しないようにされている。
【0019】
球面ジョイント7は球面ジョイント7を中心として断熱材6及び上方プレート3を回動可能に支持する。従って、断熱材6及び上方プレート3は駆動ロッド9の軸線(すなわち、上方プレート3と下方プレート4との相対移動の方向)に対する角度が自由に回動することができる。或いは断熱材6及び上方プレート3が駆動ロッド9の軸線に対して±10°の範囲内で変化可能なように回動することができるように構成されてもよい。また、断熱材6及び上方プレート3は球面ジョイント7のみによって支持されている。換言すると、断熱材6及び上方プレート3は駆動ロッド9の軸線に対する角度が自由に変化するように一点で支持されている。なお、本実施形態では、断熱材6及び上方プレート3は球面ジョイント7により支持されているが、駆動ロッド9の軸線に対する角度が自由に、或いは±10°の範囲内で変化するように一点で支持されれば、他のいかなる部材によって支持されてもよい。
【0020】
また、ハウジング2にはその側方にも開口部2bが設けられており、この開口部2bは真空ポンプ11に連通せしめられる。従って、真空ポンプ11が作動せしめられるとベローズ10と断熱材6とに囲われたハウジング2内の空間を除いてハウジング2内は真空とされる。
【0021】
次に、本実施形態のプレス機1の使用方法について説明する。まず、エアシリンダ8により上方プレート3を上方に移動させて上方プレート3と下方プレート4との間を開いた状態で下方プレート4上にプレス対象材料Xを載置する。その後、真空ポンプ11を作動させて一部を除いてハウジング2内を真空にする。そして、エアシリンダ8を駆動して上方プレート3を下方プレート4に向けて移動させる。そして上方プレート3がプレス対象材料Xに接触した後もさらに上方プレート3が下方プレート4に向けて移動するようにエアシリンダ8により上方プレート3を駆動することにより、プレス対象材料Xがプレスされる。このようにプレス対象材料Xを上方プレート3と下方プレート4との間で押圧した状態で下方プレート4のヒータにより下方プレート4、そしてプレス対象材料Xを加熱する。これにより、プレス対象材料Xを加熱した状態でプレスを行うことができる。
【0022】
そして、プレスの開始から所定時間経過してプレス対象材料Xに対するプレスが完了した後に上方プレート3を上方に移動させて上方プレート3と下方プレート4とを離間させると共にプレート支持台5のヒータによる加熱を停止し、ハウジング2内の圧力を元に戻すことによりプレス作業が終了する。
【0023】
ところで、紫外光源用発光素子として窒化物半導体が知られており、とりわけ直接遷移型のワイドギャップ窒化物半導体で、波長200〜350nmの深紫外発光が可能な窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)に注目が集まっている。そして、斯かるAlGaN系深紫外発光素子(発光素子)のハイパワー化を図るためには、図2(a)及び(b)に示したように、発光素子20を熱伝導性の高い基板(高熱伝導性基板)21、例えば銅タングステン基板上に半田22、23を介して貼り合わせる必要があり、斯かる貼り合わせはプレス機によるプレスによって行われる。
【0024】
ここで、発光素子20を高熱伝導性基板21に貼り合わせる際には、基板全面に亘り間に介在する半田22、23の膜厚精度が1μm以下の高い精度となるように貼り合わせを行う必要がある。ところが、従来のプレス機によっては高い膜厚精度で発光素子20を高熱伝導性基板21に貼り合わせることは困難であった。
【0025】
すなわち、従来のプレス機では例えば図3に示したように上方プレート3’に固定された複数のロッド30を上下させて、上方プレート3’を下方プレート4’に向かって駆動することでプレスを行うようにしている。このため、上方プレート3’に固定されたロッド30の移動量がロッド30間で異なると、ロッド30に固定された上方プレート3’が傾いてしまうことになる。この結果、これらプレート3’、4’によりプレスを行う際に、これらプレート3’、4’のプレス面に均一に力を加えることができなくなり、発光素子20を高熱伝導性基板21に貼り合わせる際の膜厚精度は低いものとなってしまう。従って、従来のプレス機を使用した場合、膜厚精度はロッドの操作精度に依存し、高い膜厚精度を実現するためには複数のロッド30を高い精度で均等に上下させなければならない。
【0026】
また、AlGaN系深紫外発光素子は一般にサファイア基板24上に結晶成長させることにより形成されるが、形成された発光素子20は必ずしもサファイア基板24上に均一に形成されるわけではなく、例えばサファイア基板24に対して傾斜して形成されてしまったりして不均一に形成される場合がある。これはサファイア基板上に発光素子を均一に結晶成長させることが困難であることや、AlGaNの結晶成長が高温で行われると共にサファイアとAlGaNの熱膨張係数に差があって冷却時に歪みができる場合があることに起因している。このため発光素子20がサファイア基板24上に傾斜して形成されている場合にはサファイア基板24の表面と発光素子20の表面(高熱伝導性基板21と貼り合わせるべき表面)とは平行になっていない。このような場合、水平な上方プレートと下方プレートとによってプレスを行ったとしても、発光素子20の表面と高熱伝導性基板21の表面との間に均一に圧力を加えることができなくなり、よって発光素子20を高熱伝導性基板21に貼り合わせる際の膜厚精度は低いものとなってしまう。すなわち、たとえロッドの高い操作精度を実現することができたとしても、結晶成長により形成された発光素子20がサファイア基板24上に均一に形成されていないと、高い膜厚精度での貼り合わせを実現することができない。
【0027】
これに対して、本実施形態のプレス機によれば、可動側の上方プレート3が一つの駆動ロッド9のみに支持されている。従って、高い膜厚精度を実現するために複数のロッドの操作量を高い精度で一致させる必要はない。また、本実施形態のプレス機によれば、駆動ロッド9の軸線に対する角度(すなわち、プレートの相対移動方向に対する角度)が自由に、或いは±10°の範囲内で変化するように上方プレート3が支持されている。このため、発光素子20がサファイア基板24上に傾斜して形成されている場合であっても、上方プレート3は発光素子20の傾斜に合わせて傾斜することになるため、発光素子20の表面全面に亘って均一に圧力を加えて発光素子20を高熱伝導性基板21にプレスすることができる。従って、本実施形態のプレス機1によれば結晶成長により形成された発光素子20がサファイア基板24上に均一に形成されていなくても、高い膜厚精度で発光素子20を高熱伝導性基板21に貼り合わせることができる。
【0028】
また、発光素子20を高熱伝導性基板21に貼り合わせる場合には、プレスを真空中で行う必要がある。これは、プレスを真空中で行わないと、半田内に空気溜まりができてしまう可能性があるためであるが、同様に半田内に異物(埃等)が混入してしまうのを防止するためでもある。加えて、空気中の酸素によって加熱時に金属半田が酸化するのを防止するためでもり、酸化防止のためには真空中ではなく水素ガス等の還元性ガスを導入することで、表面の酸化膜を除去し、良好な半田づけを行うことが可能である。
【0029】
ここで、本実施形態とは異なり、上方プレートの駆動部品、すなわち球面ジョイント7、エアシリンダ8、駆動ロッド9がベローズ10によって遮断されておらずに真空中に曝されていると、球面ジョイント7やエアシリンダ8と駆動ロッド9との間に用いられているオイルやエアシリンダ8内に発生する埃等が真空となっているハウジング内に放出されてしまう可能性がある。このようにオイルや埃が真空中に放出されると、これらオイルや埃がプレスの際に半田内に異物として混入してしまう可能性がある。
【0030】
これに対して、本実施形態では、ベローズ10が気密に断熱材6及びハウジング2に連結されていることにより、球面ジョイント7、エアシリンダ8、駆動ロッド9等の駆動部品が配置されている空間と発光素子20と高熱伝導性基板21とのプレスが行われる空間とが遮断されることになるため、オイルや埃がプレスの際に半田内に混入することが防止せしめられる。
【0031】
また、本実施形態によれば、断熱材6及びベローズ10によって囲まれるハウジング2内の空間を真空にする必要がなくなることから、真空ポンプ11によって真空にすべき容積が低減され、真空ポンプ11の作動効率を高めることができる。
【0032】
また、発光素子20及び高熱伝導性基板21に設けられた半田層22、23を均一に溶融させ且つ凝固させるためには、半田層22、23を発光素子20及び高熱伝導性基板21の全面に亘って均一に加熱する必要がある。
【0033】
ここで、本実施形態のプレス機では、下方プレート4をヒータにより加熱し、それを発光素子20又は高熱伝導性基板21に伝達することによって発光素子20及び高熱伝導性基板21を加熱することとしている。従って、例えば、高熱伝導性基板21が直接下方プレート4に載置されている場合、下方プレート4の熱伝達率が高いことから高熱伝導性基板21は均一に加熱される。また、上述したように、発光素子20の表面全面に亘って均一に圧力が加えられつつ発光素子20が高熱伝導性基板21にプレスされることから、高熱伝導性基板21の熱も均一に発光素子20に伝達せしめられる。このため、発光素子20も均一に加熱されることになる。従って、本実施形態によれば、高熱伝導性基板21及び発光素子20双方を均一に加熱することができ、よって半田層22、23を発光素子20及び高熱伝導性基板21の全面に亘って均一に加熱することができるようになる。
【0034】
また、本実施形態のプレス機1では、上方プレート3に直接断熱材6が結合される。このため、下方プレート4のヒータによって加熱されるのは下方プレート4、発光素子20、高熱伝導性基板21及び上方プレート3のみであり、ヒータによって加熱される領域を極めて小さくすることができる。これにより、発光素子20及び高熱伝導性基板21を所定温度(例えば、350℃)にまで加熱して一定時間その温度に維持するのに必要なヒータの消費電力を極めて小さいものとすることができる。
【0035】
また、加熱による上方プレート3及び下方プレート4の熱歪量を小さくするために、熱膨張係数の小さな材料を上方プレート3及び下方プレート4として用いることで、極めて平坦な貼り合わせができるようになる。
【0036】
さらに、エアシリンダ8を用いて空気圧によりプレスを行うようにしている。ここで、油圧によりプレスを行うようにした場合にはプレスの開始から終了までにわたって上方プレート3に加える圧力(プレス圧)を一定に保持することができずに徐々に低下していくのに対して、空気圧によりプレスを行うようにした場合には上方プレート3に加える圧力を一定に保持することができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、上方プレート3が移動可能で下方プレート4が固定されているプレス機について示しているが、下方プレートが移動可能で上方プレートが固定されてもよい。また、上記実施形態では、上方プレート3がプレート3、4の開閉方向に移動可能であると共に一点支持されているが、上方プレートを開閉方向に移動可能にすると共に下方プレートを一点支持するようにしてもよいし、下方プレートを開閉方向に移動可能にすると共に上方プレートを一点支持するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、半田層を介して発光素子20を高熱伝導性基板21に貼り合わせる場合にプレス機を用いた例ついて示しているが、その他の用途、例えば有機フィルムやレジストの加熱プレス硬化処理を行う場合、紫外線照射プレス硬化処理を行う場合或いは液晶をガラス基板上に貼り合わせる場合に上記プレス機を用いてもよい。特に、紫外線照射プレス効果処理を行う場合には、必要に応じてヒータの代わりに紫外線照射用の専用窓が設けられると共に紫外線光源がプレス機内部に導入される。
【実施例】
【0039】
5mm角に切断したサファイア基板上にAlGaN系深紫外発光素子を形成したものにNi、Auをそれぞれ20nmずつ積層させた後、アニールを施してLED基板を形成した。このLED基板上にTi、Au、Pt、Auをそれぞれ5nm、200nm、200nm、700nmずつ積層させて半田層を形成した。また、6mm角に切断した厚さ500μmの銅タングステン(CuW)基板上にTi、Au、Sn、Auをそれぞれ5nm、600nm、600nm、100nmずつ積層させて半田層を形成した。
【0040】
そして、LED基板及び銅タングステン基板を半田層を向き合わせた状態で本発明のプレス機の下方プレート上に載置し、上方プレートを下降させてこれら基板に圧力を加えた状態で、ハウジング内を真空ポンプにより真空にした。そして、ヒータによりこれら基板を350℃まで加熱して10分間おいた。その後、レーザ加工装置を用いてサファイア基板を除去した。一方、上述したように形成されたLED基板及び銅タングステン基板を半田層を向き合わせた状態で図3に示したようなプレス機の下方プレート上に載置して同様な試験を行った。その結果、本発明のプレス機によりプレスしたものの方が一様な表面形状の試料が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のプレス機の概略断面図である。
【図2】本発明のプレス機によってプレスされる材料の例である。
【図3】従来のプレス機の図1と同様な概略断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 プレス機
2 ハウジング
3 上方プレート
4 下方プレート
5 プレート支持台
6 断熱材
7 球面ジョイント
8 エアシリンダ
9 駆動ロッド
10 ベローズ
11 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのプレス対象材料を互いに対して貼り合わさるようにプレスするプレス機において、
上記プレス対象材料の両側に配置された第一プレスプレート及び第二プレスプレートを具備し、第一プレスプレートは第二プレスプレートに向かって移動可能であり、第一プレスプレートが第二プレスプレートに向かって駆動されることでこれらプレート間に配置されたプレス対象材料のプレスが行われ、二つのプレスプレートのうちの一方のプレスプレートが他方のプレスプレートに対して傾斜可能に一点で支持されている、プレス機。
【請求項2】
上記第一プレスプレートを第二プレスプレートに向かって駆動するための駆動装置と、該駆動装置によって駆動される駆動ロッドとを具備し、上記一方のプレスヘッドは第一プレスプレートであり、該第一プレスプレートは球面ジョイントを介して上記駆動ロッドに連結される、請求項1に記載のプレス機。
【請求項3】
上記駆動装置は、空気圧により上記第一プレスヘッドを駆動する、請求項2に記載のプレス機。
【請求項4】
両プレスプレートを収容すると共に真空ポンプに連結されたハウジングと、上記第一プレスプレートとハウジングとの間で延びて上記駆動ロッド及び球面ジョイントを包囲する真空ベローズとを更に具備し、該真空ベローズは真空ポンプによりハウジング内の圧力が低下したときにおいても上記真空ベローズ内の圧力が低下しないように第一プレスプレート及びハウジングに気密に連結される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス機。
【請求項5】
上記二つのプレスプレートのうち一方のプレスプレートを加熱するための加熱手段をさらに具備し、他方のプレスヘッドには断熱材が設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレス機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−183587(P2008−183587A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18879(P2007−18879)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(503018032)北野精機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】