説明

真空吸引ハンドル

医療装置が提供されている。本医療装置は、伸ばされた遠位端部分と近位端部分と中を貫いて画定されているルーメンを有するシース(400)を含んでいる。シースの近位端部分にはハンドル(330)が固定式に接続されており、ハンドルは第1位置と第2位置の間で並進させることのできる操作部(60)を含んでいる。ハンドル内には、シースの近位端部分と流体連通して流路(350)が画定されており、操作部は、第2位置では流路を実質的に遮断し、第1位置では流路を通る流れを許容するように構成されている。流路は、遠隔の吸引源と連通するように構成されている部分を含んでいる。ハンドルは、更に、用具を中に通して受け入れ、用具をシースのルーメンを通して伸ばせるように構成されている第2入口部分を含んでいる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年12月19日出願の米国仮特許出願第61/015,004号からの優先権を主張しており、同仮特許出願の全体を参考文献としてそっくりここに援用する。
【背景技術】
【0002】
患者体内の所望の場所から液体又は粒子状物質を、患者の開口部を通すか又は経皮的の何れかで取り出すことが求められることはしばしばある。経皮的手術中の直接取り出しによる方法、又は鉗子、把持器、スネア、バスケット、若しくは患者体内の特定の場所に導入することのできる他の構造の様な医療装置を用いた方法など、様々な取り出しの方法が当技術で知られている。幾つかの実施形態では、医療装置は、内視鏡を使用して、又は当該医療装置を所望の場所へ方向付けて操縦するために配置されたシースを通して、患者体内に位置決めすることができる。次に、医療装置は、医師によって、患者から粒子状物質を採取して回収するように操作されることになる。
【0003】
医療装置をこの方法で使用した取り出しの不都合は、多数の粒子を取り出すことが求められたとき、多くの場合、医師は、装置を挿入して位置決めし、装置と連携して粒子状物質の一部を採取し、装置と粒子状物質を患者から完全に取り出し、その後装置を再び挿入し再度位置決めしてさらなる粒子状物質を捕捉し取り出すという手順で、粒子状物質の一部を連続的に取り出さなくてはならないことである。この連続的な繰り返されるプロセスには相当な時間が掛かり、そのため医療処置の効率は下がり、余計な合併症が引き起こされ、おしなべて都合が悪い。更に、この方法は、粒子状物質にしか適さず、多くの場合、患者体内から流体を取り出すには不向きである。
【0004】
患者体内の所望の場所と吸引源の間に連続的又は周期的の何れかで流体連通を提供することができるルーメンが中に形成されているシース又は他の導管を前記所望の場所へ挿入することによって、患者から粒子状物質及び/又は流体を取り出すことは知られている。この方法は、医療装置を使用して患者から粒子状物質を機械的に取り出すという取り出し方法に勝る改善策ではあるが、導管を通る吸引連通を選択的に許容したり阻止したりするのは、往々にして難しく、冗漫で、時間を食う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/015,004号
【特許文献2】米国特許出願第2005/0222581号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、医療装置を提供している。本医療装置は、伸ばされた遠位端部分、近位端部分、及び中を貫いて画定されているルーメンを備えているシース、並びに同シースの近位端部分に固定式に接続されているハンドルを含んでいる。ハンドルは、第1位置と第2位置の間で並進させることのできる操作部を含んでいる。ハンドル内には、シースの近位端部分と流体連通する流路が画定されており、操作部は、第2位置では当該流路を実質的に遮断し、第1位置ではそれを通る流れを許容するように構成されている。流路は、更に、遠隔の吸引源と連通するように構成されている部分を含んでいる。ハンドルは、更に、用具を中に通して受け入れ、用具をシースのルーメンを通して伸ばせるように構成されている第2入口部分を含んでいる。
【0007】
本発明は、更に、吸引源を患者に連通させるための器械を提供している。本器械は、ハンドルから遠位端部分まで伸びていて、第1ルーメンが中を貫いて伸びているシースを含んでいる。ハンドルは、第1ルーメンと流体連通している内部流路と、内部流路を通る流体流を許容する第1位置と内部流路を通る流体流を実質的に阻止する第2位置の間で動かすことのできるトリガを含んでいる。ハンドルは、更に、外部吸引源に接続されるように構成されている。
【0008】
本発明は、更に、患者体内の流体及び粒子状物質を取り出すための方法を提供している。本方法は、シースの遠位端部分が取り出しの対象の流体又は粒子状物質の或る体積に近接するようにシースを患者体内へ挿入する段階と、シースと一体に拘束されていて自身の内部に画定されている内部流路を通してシースと流体連通しているハンドルを操作する段階と、を含んでいる。本方法は、更に、内部流路及びシース内に画定されている第1ルーメンを通る吸引流を許容するために遠隔の吸引源をハンドル内の内部流路に接続する段階と、内部流路を通る吸引流をハンドルに配置されている制御部で制御する段階と、を含んでいる。
【0009】
当業者には、実例として図示され説明されている本発明の好適な実施形態についての以下の記述から、本発明の利点がより明らかになるであろう。認識される様に、本発明は、他の実施形態及び異なる実施形態が可能であり、その詳細事項は様々な点において修正が可能である。従って、図面及び説明は、本質的に説明を目的とするものであり、制限を課すものと捉えられてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】吸引装置の斜視図である。
【図2】第1位置に配置されている図1の吸引装置の内部図である。
【図3】図4の吸引装置の一部の構成要素の分解図である。
【図4】第2位置での図2の吸引装置を示している図である。
【図5】図1の吸引装置のシースの断面図である。
【図6】係止部を有する吸引装置の代わりの図である。
【図7】もう1つの吸引装置の斜視図である。
【図8】第1位置に配置されている図7の吸引装置の内部図である。
【図9】図1の吸引装置と共に使用することのできる代わりのシースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず図1−図3では、吸引装置10が提供されている。吸引装置10は、ハンドル30と、そこから伸びているシース100と、装置10を通る流体流を選択的に制御するトリガ60又は他の操作部を含んでいる。装置10は、更にまた、遠隔の吸引システムによって提供される吸引力がハンドル30を通り且つ最終的にはシース100を通る流体連通を許容するように内部流路50の第1端55aに配置されている継手を通して遠隔の吸引システム(図示せず)に取り付けるように構成されていてもよい。トリガ60は、ユーザーが装置10のハンドル30を通る吸引流を選択的に遮断できるようにするために提供されている。
【0012】
ハンドル30は、トリガ60がハウジング30の把持部分32に可動式に配置され、シース100がハンドル30のバレル部分31から伸びている拳銃形状を有する構成であってもよい。トリガ60は、ハンドル30の把持部分32に枢軸式に配置され、把持部分32に巻き付けたユーザーの指に拳銃様式の小火器の引金を引くときに用いられるのに似た動作をさせて制御されるように構成されている。
【0013】
ハンドル30は、シース100をハンドル30から外方向へ伸ばすためのハンドル30の口を提供するバレル部分31の前端に画定されている第1開口部33aを含んでいる。ハンドル30は、更に、外部吸引源と内部流路50の間に流体連通を提供するべくホース又は他の導管を受け入れ又はそれとの物理的連通を許容するために、ハンドル30の把持部分32の下端部内又は下端に画定されている第2開口部33bを含んでいる。幾つかの実施形態では、ハンドル30は、更に、シース100の第2ポート106を受け入れ又はそれとの物理的連通を許容するための開口部を提供するバレル部分31に画定されている第3開口部33cを含んでいてもよい。以下に論じられている様に、第2ポート106は、二連平行ルーメン112、114が内部に画定された構成のシース100の第2ルーメン114を通る連通を許容するべくシース100に対して整列している。
【0014】
ハンドル30は、2つ又はそれ以上の殻状半部が、ハンドル30の外側の人間工学的な表面が画定及び固定されるように、スクリュー又はリベットの様な締結具で堅く一体に取り付けて組み立てられていてもよい。ハンドル30のバレル部分31は、シース100のハンドル30内に配置されている内部近位部分101を保持及び支持するための複数のリブ35又は他の構造を含んでいてもよい。更に、ハンドル30の把持部分32は、内部流路50のハウジング部分52を支持するように画定されている2つの平行に隔てられた第2リブ又は保持壁35aを含んでいてもよい。具体的には、第2リブ35aは、それぞれ、(2つの向かい合う殻状半部が堅く接続されたとき)流路ハウジング52の互いに反対側に配置されている一対の座金57より小さい直径を有する開口部35bを画定している。流路ハウジング52は、流路ハウジング52をハンドル30内に固定するために、座金57が、隣接する第2リブ35aに近接してその外側に配置された格好で、ハンドル30内にそれぞれ配置されている。座金57は、流路ハウジング52の残り部分と一体形成されていてもよいし、別々の構成要素とし、流路ハウジング52に固定されていてもよい。
【0015】
ハンドル30、具体的にはその把持部分32は、トリガ60を枢軸式に保持している。トリガ60は、ハンドル30を画定している一方又は両方の殻状半部内に画定されているボス39内に受け入れられている回動ピン72で、ハンドル30に回動可能に取り付けられている。トリガ60は、把持部分32とトリガ60の間に配置されているばね62によって、(図1と図2に最も分かり易く示されている様に)把持部分32から遠ざかるように外に向けて第1位置へと付勢されている。以下に更に詳しく論じられている様に、第1位置と第2位置の間でトリガ60を動かすと、流路ハウジング52内の弁座67の位置が変わり、装置10内の内部流路50を通る流体流の流動性又は勢いが制御される。トリガ60は図4に示されている第2位置まで回動させることができ、そうすると弁座67が装置10内の内部流路50を通る流体流を実質的に遮断する。トリガ60は、通常は、ユーザーがトリガ60をばね62の外向きの付勢力に逆らってハンドル30の把持部分32に向けて絞ることで回動する。
【0016】
トリガ60の運動は、それぞれがトリガ60と共に動くように拘束されている第1ピン64と第2ピン68の協働によって、弁座67の同様の並進を生じさせる。第1ピン64は、弁座67から、弁座67の中心軸と同一線上にある線に沿って後方に伸びている。第1ピン64は、弁座67と第2ピン68の間に画定されているプランジャ65を含んでいるか又は固定式に支持していてもよい。プランジャ65は、流路ハウジング52の円錐形部分53dの内径と実質的に同じ外径に形成されている。プランジャ65は、円錐形部分53dを囲って流体又は気体が円錐形部分53dを通って流路ハウジング52から漏出すること、若しくは流体又は気体が円錐形部分53dを通って流路ハウジング52の中へ取り込まれることを実質的に防止する防壁を提供している。第1ピン64には、更に、プランジャ65と第1ピン64のための追加の構造的支持を提供する複数のリブ69が画定されていてもよい。幾つかの実施形態では、把持部分32は、把持部分32内での第1ピン64の動作を拘束するのに、1つ又はそれ以上のリブ69を受け入れる1つ又はそれ以上のトラックを含んでいてもよい。
【0017】
第1ピン64は、第2ピン68と(一体的又は統合的の何れかで)接続されている。幾つかの実施形態では、第1ピン64と第2ピン68は、互いに対して実質的に垂直な角度で整列されていてもよい。第2ピン68の一端又は両端は、トリガ60が把持部分32に対してばね62の付勢力に逆らって(又は付勢力に乗じて)回動させられたとき、第2ピン68を並進させるように、トリガ60内の開口部61を通って伸びている。他の実施形態では、第2ピン68は、トリガ60によって、トリガ60内の1つ又はそれ以上のボスの様な他の構造を使用して保持され、動かされてもよい。第2ピン68が並進すると、第1ピン64と弁座67もまた流路ハウジング52内を流路ハウジング52の円錐形部分53dと基部53aによって案内されながら並進する。第1ピン64にリブ69が設けられている実施形態では、第1ピン64及び第2ピン68と弁座67の並進はまた、複数のリブ69と把持部分32に形成されているトラックの間の摺動接触によっても案内される。
【0018】
幾つかの実施形態では、弁座67は第1ピン64上に一体形成されていてもよい。図3に最も分かり易く示されている他の実施形態では、弁座67は、第1ピン64の受け入れ部分67aに接続させることができるので、弁座67を第1ピン64と異なる材料から形成することができる。幾つかの実施形態では、弁座67は、(トリガ60が図4に示されている第2位置へ回動させられて)弁座67が流路ハウジング52の基部53aに接触したとき必然的に変形できるようにするゴム、シリコン、又は別の比較的弾性を有する材料から形成されていてもよい。弁座67が変形することによって、弁座67と流路ハウジング52の間には、内部流路50を通る流れを実質的に排除する防漏接続が実質的に提供される。
【0019】
他の実施形態では、流路ハウジング52を通る流体又は気体連通を選択的に許容するのに、操作部が設けられていてもよい。例えば、操作部は、ハンドル30の把持部分32に可動式に保持され、第1位置と第2位置の間で動かせる摺動部材であってもよい。操作部は、第1ピンを固定式に受け入れていてもよく、第1ピンは、以上に論じられている実施形態と同様に、弁ハウジング内の弁座67の運動を生じさせる第2ピンに固定されていてもよい。操作部は、流路ハウジングを通る流れを許容する第1位置へ付勢することができ、且つ、弁座が流路ハウジング内で基部に接触して流路ハウジングを通る流体又は気体流を実質的に阻止する第2位置へ並進させることができてもよい。更に他の実施形態では、操作部は、レバー、即ち複数の位置の間で動かすことができ、最終的に弁座の動作を制御して、弁ハウジング及び装置を通る流れを制御する枢軸回動可能な部材であってもよい。
【0020】
図6に示されている一部の実施形態では、トリガ60は、ハンドル30(具体的には、トリガ60又はハンドル30の把持部分32)に配置されている係止部162によって第2位置に保持されてもよく、同係止部は、トリガ60がばね62の外向きの付勢力によって第1位置に向けて回動するのを解除可能なように防止する。係止部162は、トリガ60が図6に示されている様に第2位置にあるとき、選択的にトリガ60内の陥凹部164の中まで伸ばされているタブであってもよい。係止部162は、係止ハンドル160でトリガ60に対して上下に並進させてもよい。係止ハンドル160は、係止ハンドル160の第1スロット168を通して受け入れられている第1脚部172でハンドル30に固定されている。係止ハンドル160は、トリガ60の開口部内に入れ子にされ、トリガ60に固定されて係止ハンドル160の第2スロット167内に摺動可能に受け入れられている第2脚部166で摺動可能にトリガ60に拘束されていてもよい。従って、係止ハンドル160は、トリガ60に対して、係止部162がトリガ60のポート164内に伸びてトリガ60を第2位置に保持するように、並進させることができる。係止部162は、係止ハンドル160をトリガ60に対して上向きに引けば、トリガ60がポート164から外れ、トリガ60がばね62の付勢力によって第1位置へ戻れるようにする。
【0021】
他の実施形態では、係止部162は、把持部分32に保持されていて、トリガ60が第2位置にあるとき、把持部分32に対して並進させてトリガ60が第1位置へ回動するのを機械的に妨げることができる摺動部材であってもよい。他の実施形態では、係止部162は、トリガ60を第2位置に保持するように構成されている異なる構造であってもよい。
【0022】
ハンドル30を通っている内部流路50は、図2と図3に最も分かり易く示されている。内部流路50は、通常、把持部分32内に配置されている流路ハウジング52と、シース100の第1ポート104を流路ハウジング52と流体接続すると共に流路ハウジング52を遠隔の吸引源と流体接続するべくハンドル30内に配置されている1つ又はそれ以上の流体導管と、を含んでいる。流路ハウジング52は、互いに反対側の第1端55a及び第2端55bと、それらの間に配置されている基部53aと、基部53aに近接して配置されていて同基部から遠ざかるように伸びている円錐形部分53dを含んでいる実質的に剛性の部材である。第1端55aは、流路ハウジング52を遠隔の吸引源と流体連通させるため、遠隔の吸引源と(直接的か又は第1端55aと接続されている中間導管91を通してかの何れかで)接続するように構成されている。流路ハウジング52の第1端55aに接続している導管91は、把持部分32の下部に画定されている第2開口部33bを通って伸びている。
【0023】
流路ハウジング52の第2端55bは、ハウジング30内に配置されている導管92でシース100の第1ポート104と流体接続されるように構成されている。導管92は、タイゴン管材又は類似物の様な可撓性の管であってもよい。流路ハウジング52の基部53aは、トリガ60が第2位置まで枢軸回動したとき、弁座67を受け入れるように構成されている。具体的には、流路ハウジング52の基部53aは、流路ハウジング52の第1端55aと第2端55bの間に配置されており、トリガ60の弁座67は、第1端55aと第2端55bの間の流体又は気体流を遮断するべくそこに受け入れられる。流路ハウジング52の基部53aは、同様の円錐形の形状とサイズである弁座67を受け入れるのに円錐形であってもよい。他の実施形態では、弁座67と流路ハウジング52の基部53aは共に円筒形であってもよいし、他の同様のサイズと形状に形成されていてもよい。
【0024】
以上に論じられている様に、第1端55aと第2端55bは、それぞれ、そこに画定されている座金57を含んでおり、流路ハウジング52の座金のそれぞれは、流路ハウジング52をハンドル30の把持部分32に関して固定するため、2つの互いに反対側の第2リブ35aの互いに反対側の外側の面に配置されている。幾つかの実施形態では、流路ハウジング52の第1端55aと第2端55bのそれぞれは、ホースバーブの様な円錐形を形成して、そこに各導管91、92が保持されるように構成されていてもよい。ホースバーブは、端部分から基部53aに向けて大きくなっている外径を含んでおり、バーブの最大直径は、バーブ及び流路ハウジング52と接続するのに使用される各導管91、92の内径より大きくなっている。具体的には、ホースバーブが導管のルーメンに挿入されてゆくと、その結果、導管の内側がホースバーブに接触し、バーブに沿って長手方向に更に進めると、導管内のルーメンの直径が広がる。十分に広がると、ホースバーブと導管91、92の間に大きな摩擦力が生まれ、それにより導管91、92がホースバーブに保持される。
【0025】
シース100は、図2と図5に最も分かり易く示されている。具体的には、シース100は、シース100の近位端部分101から、ハンドル30から突き出ているシースの遠位端部分102までの長さに沿って画定されている第1ルーメン112及び第2ルーメン114それぞれとの流体又は機械的連通を、それぞれが提供する第1ポート104と第2ポート106を含んでいる。シース100は、2005年3月24日に出願され、係属中の本出願の譲受人に共通に譲渡されている係属中の公開済み米国特許出願第2005/0222581号「多ルーメンアクセスシース」に開示されているシースと同様の構成であり、同特許出願の全体を参考文献としてそっくりここに援用する。幾つかの実施形態では、シース100は、相対的に可撓性の材料であってもよいし、複合材料であってもよい。他の実施形態では、シース100は、ステンレス鋼の様な可撓性の低い材料であってもよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、第1ポート104と第1ルーメン112は、患者へのシース100の遠位端部分102に近接した吸引の連通を許容するため、遠隔の吸引源と第1ルーメン112の間に(第1導管91と第2導管92及び流路ハウジング52を通して)流体連通を提供するように構成されている。第1ポート104と第1ルーメン112は、それぞれ、流体及びそれに同伴される一部の粒子状物質(即ち、第1ルーメン112の内径より小さい断面を有するもの)が、シース100の第1ルーメン112に進入し、その結果、シース100の長さ、第1導管91及び第2導管92、流路ハウジング52を通って流れ、最終的に遠隔の吸引源に向けて装置10から出ることができるようなサイズである。
【0027】
第2ポート106と第2ルーメン114は、それぞれ、シース100の遠位端部分102とハンドル30の間に第2の独立した経路を提供するように構成されている。第2ポート106は、ハンドル30を出てゆくシース100の長手方向軸に対して約20度の角度が付けられていてもよい。幾つかの実施形態では、第2ルーメン114の内径は、シース100の全体的な外径を最小限に抑えながら相対的に大きな第1ルーメン112を可能にするため、第1ルーメン112の内径より相当小さくされている。
【0028】
幾つかの実施形態では、第1ルーメン112の内径は、約9.5Fr(3.14mm)、10Fr(3.33mm)、12Fr(4mm)、又は14Fr(4.66mm)であってもよいのに対し、第2ルーメンの内径は、約3Fr(1mm)であってもよい。第2ルーメン114(及び第2ポート106)は、細長い医療装置やレーザーファイバーの様な複数の用具が、ハンドル30から(ポート106がハンドル30の内部体積内に設けられている実施形態では、第3開口部33cを経由して)中を通って伸び、シース100の遠位端部分102から出られるように構成されている。例えば、レーザーファイバー200が、第2ポート106と第2ルーメン114に挿通され、患者体内の所望の場所でシース100から伸ばされてもよい。そうすると、レーザーファイバー200を使用して、大きすぎてシース100の第1ルーメン112に進入してゆかない患者体内の結石、石灰化した物質、又は他の粒子状物質を破砕又は焼灼することができる。
【0029】
図9に示されている幾つかの実施形態では、代わりのシース190が設けられていてもよい。シース190は、流路ハウジング52と流体接続するように構成されている第1ルーメン192を含んでいる。シース190は、加えて、第1ルーメン192の内径内に(又はそれに近接して)配置されている第2ルーメン194を含んでおり、第1ルーメン192と第2ルーメン194を形成している壁の部分は、一体に固定されているか、又は揃えて又は近接して一体に支持されている。第2ルーメン194は、第2ルーメン194の側面及び第1ルーメン192の側面内に画定されている細長いスロット195を含んでいる。スロット195は、レーザーファイバー200をハンドル30の第2部分106から第2ルーメン194に進入させる際に、同ファイバーを段階的に連続して曲げられるようにする。第2ルーメン194は、内部流路52からの吸引が第2ポートへ進んでしまうことを防止するためシース190の近位端が塞がれており、これにより第1ルーメン192内の真空が許容可能なレベル内に維持される。シース190は、ステンレス鋼であってもよいし、又は、代わりに、可撓性がより高い材料又は複合材料であってもよい。
【0030】
レーザーファイバー200は、シース100とは別の構成要素とし、医療処置の直前又は医療処置中に医師によって第2ポート106に挿通され、第2ルーメン114を通過しシース100の遠位端101を通って伸ばされるように構成されていてもよい。他の実施形態では、レーザーファイバー200は、装置10が購入されるときには、第2ポート106及び第2ルーメン114に事前に挿通された状態で提供され、何時でも患者に使える状態になっていてもよい。
【0031】
レーザーファイバー200は、レーザービームが放たれる先端202aを画定する遠位端202と、遠隔のレーザー発生器に繋がれてレーザー発生器からのレーザー信号又はレーザービームを接続する及び受け取るのに適したプラグを形成している近位端204を含んでいる。レーザーファイバー200、具体的には遠位端202と中央部分205は、レーザーファイバー200をハンドル30から伸びているシース100の第2ポート106と第2ルーメン114に挿通させられるようにするには、3Fr(1mm)のレーザーファイバー200であってもよい。
【0032】
遠位端202は、エネルギーを受け取ってレーザービームを発生させるか、又は代わりに、レーザー発生器からレーザーファイバー200を通して送られてきたレーザービームを受け取って、レーザーファイバー200の遠位端202の先端202aと一列に近接する組織又は粒子状物質に当該レーザービームを向けて方向決めする。レーザービームは、遠位端202と一列に近接する組織又は粒子状物質にエネルギーを与えて、組織又は粒子状物質を砕くか焼灼し、より小さい塊又は欠片にする。幾つかの実施形態では、レーザーファイバー200の遠位端202は、患者の腎臓の結石を破砕又は焼灼するのに使用されてもよい。その場合、患者から組織又は粒子状物質を取り出すうえで、第1ルーメン112からの連通による吸引が存在することによって、小さい破砕又は焼灼片又は塊はシース100の第1ルーメン112の中へ引き入れられるか又は真空引きされることになる。
【0033】
他の実施形態では、把持器、バスケット、スネア、鉗子、又は類似物の様な医療用具は、患者から粒子状物質を取り出すか又は患者から検体の様な組織標本を採取するのに、第2ポート106から差し入れ、第2ルーメン114に挿通させることができるように、第2ルーメン114の約3Fr(1mm)の内径より小さくなっている。当該医療用具が使用される実施形態では、医療用具を第2ポート106及び第2ルーメン114に挿入するための空間を許容するため、レーザーファイバー200(提供されている場合)は第2ルーメン114及び第2ポート106から抜去される。
【0034】
使用時、吸引装置10は、以下のやり方で操作される。シース100が、患者体内の多くの都合のよい開口部のうちの1つ(例えば、尿道)を通して患者に挿入されるか、経皮的に患者の中へ挿入されることになる。幾つかの実施形態では、シース100は、内視鏡内のルーメンを通して患者に挿入され、内視鏡に備え付けられているカメラ又は類似の視認装置を使用しながら患者体内に正確に位置決めされてもよい。装置10が挿入された後、シース100の遠位端部分102が、医師によって、患者体内で正確に位置決めされる。
【0035】
シース100の遠位端部分102が患者体内で正確に位置決めされた後、医師は、レーザーファイバー200を操縦して、レーザーファイバー200の先端202aと一列に近接する組織、結石、又は粒子状物質を破砕又は焼灼する。組織、結石、又は粒子状物質が十分に焼灼されると、医師は、遠隔の吸引源(通常は医療施設によって提供されている)をハンドル30内の第2開口部33bに取り付けるか又は挿入し、吸引源を流路ハウジング52の第1端55aに接続する。吸引源が流路ハウジング52と流体連通し且つトリガ60が第1位置(図2)にある状態で、吸引源は、流路ハウジング52、第2導管92、及びシース100の第1ルーメン112を通って自由に流体連通することができる。吸引力がシース100の遠位端部分102に到達すると、シース100の遠位端部分102に近接する液体及び十分に小さい粒子状物質は何れも、第1ルーメン112の中へ追いやられ、最終的にシース100及びハンドル30から出て吸引源に向かって流れる。
【0036】
医師が、ハンドル30とシース100を通る吸引流を阻止すること(及び、結果的にシース100とハンドル30を通る液体及び粒子状物質の流れを阻止すること)を望んだ場合、ユーザーは、トリガ60を第2位置(図4)に向けて絞ればよい。トリガ60が把持部分32に向けて押されると、第1ピン64と第2ピン68は同様に内に向けて、第1ピン64に配置されている弁座67が流路ハウジング52の基部53aに接触するまで並進させられる。この接触により、弁座67は流路ハウジング52を実質的に遮断し、流体又は気体の流れ若しくは流路ハウジング52の第1端55aと第2端55bの間の連通を阻止する。気体及び流体の流れが実質的に遮断されると、もはや吸引力はシース100の第1ルーメン112を通ってシース100の遠位端部分102に近接する体積まで連通しなくなる。医師は、係止ハンドル160を並進させて係止部をトリガ60の中へ差し込むことによって、又はトリガ60を第2位置に保持するためのここに論じられている他の機械的係止を実施することによって、流路ハウジング52を通る吸引流の遮断を選択的に維持してもよい。医師は、流路ハウジング52を通る吸引流を復帰させることを望んだとき、係止部162をトリガ60から外せば、トリガ60がばね62の外向きの付勢力によって第1位置へ戻される。
【0037】
第1ルーメン112を通して吸引源を選択的に連通させることに加え、医師は、継続して、シース100の第1ルーメン112を通って流れる吸引と連携させてレーザーファイバー200を選択的に作動させるようにしてもよい。レーザーファイバー200のレーザーは、第1ルーメン112を通して連通されている吸引源の存在下で大きすぎて第1ルーメン112に進入してゆかない結石、カルシウム沈着物、又は他の粒子状物質を継続して破砕又は焼灼して、シース100の第1ルーメン112を通して引き出されるサイズになった粒子状物質が得られるようにしてもよい。
【0038】
他の実施形態では、第2ルーメン114の内径より小さい外径を有する把持器具、鉗子装置、スネア、バスケット、又は類似物の様な医療用具は、シース100の遠位端101に近接する組織又は粒子状物質を選択的に扱うため、第2ポート106及び第2ルーメン114を通して挿入することができる。医療用具を操縦して、患者から、シース100の遠位端部分102に近接する相対的に小さい粒子状物質を取り出すか又は組織標本を採取してもよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、レーザーファイバー200は、最初にシースの遠位端102に近接する粒子状物質を焼灼するのに使用され、その後、第2ルーメン114から抜去されてもよい。次いで、分析用の組織又は粒子状物質の標本を採取して取り出すのに、医療用具が第2ポート106と第2ルーメン114を通して挿入されてもよい。更に、患者からシース100の遠位端101に近接する粒子状物質と組織を選択的に取り出すため、更なる吸引力を第1ルーメン112を通してシースの遠位端152に近接する区域に選択的に連通させてもよい。レーザーファイバー200が組織及び粒子状物質を焼灼するのに使用され、医療用具が分析用の粒子状物質の一部を採取及び保持するのに使用されている間、吸引流は(トリガ60を第2位置へ並進させ、必要ならば、係止部162でトリガ60を第2位置に保持することによって)停止されてもよい。
【0040】
次に図7−図8では、別の吸引装置300が提供されている。吸引装置300は、以上に論じられ図1−図3に示されている装置10と同様である。多くの構成要素が似通っているため、吸引装置300の類似部分を表すのに類似の要素番号を使用することにする。吸引装置は、ハンドル330と同ハンドルから伸びているシース400と装置10を通る流体(又は吸引)流を制御するトリガ60又は他の操作部を含んでいる。装置300は、更に、遠隔の吸引システムによって提供される吸引力のハンドル330を通り且つ最終的にはシース400を通る流体連通を許容するように内部流路350の第1端355aに配置されている継手を通して遠隔の吸引システム(図示せず)に取り付けるように構成されていてもよい。トリガ60は、ユーザーが装置300のハンドル330を通る吸引流を選択的に遮断できるようにするために提供されている。トリガ60及び弁座67の協働運動は、以上に吸引装置10に関連付けて説明されているものと同じである。
【0041】
ハンドル330は、トリガ60がハウジング330の把持部分332に可動式に配置され、シース400がハンドル330のバレル部分331から伸びている拳銃形状を有する構成であってもよい。トリガ60は、ハンドル330の把持部分332に枢軸式に配置され、把持部分332に巻き付けたユーザーの指に拳銃様式の小火器の引金を引くときに用いられるのに似た動作をさせて制御されるように構成されている。
【0042】
ハンドル330は、シース400をハンドル330から外方向へ伸ばすためのハンドル330の口を提供するバレル部分331の前端に画定されている第1開口部333aを含んでいる。ハンドル330は、更に、外部吸引源と内部流路350の間に流体連通を提供するべくホース又は他の導管を受け入れ又はそれとの物理的連通を許容するために、ハンドル330の把持部分332の下端部内又は下端に画定されている第2開口部333bを含んでいる。幾つかの実施形態では、ハンドル330は、更に、シース400及び内部流路350を受け入れ又はそれとの物理的連通を許容するための開口部を提供するバレル部分331の後端に画定されている第3開口部333cを含んでいてもよい。以下に更に詳しく論じられている様に、第3開口部333cは、第2開口部333bと第3開口部333cの両方からの流れを最終的に第1開口部333a及びシース400に到達させるように構成されているT字型継手390又は類似物を用いて、内部流路350との流体接続を支援している。第3開口部333cは、開口部333cを通ってハンドル330の中へ入る物体、構造、又は強制流を許容するが、開口部333cを通ってハンドル330から出る流体流は実質的に阻止する逆流防止弁388又は同様の構造を含んでいてもよい。
【0043】
ハンドル330は、2つ又はそれ以上の殻状半部を、ハンドル330の外側の人間工学的な表面が画定及び固定されるように、スクリュー又はリベットの様な締結具で堅く一体に取り付けて組み立てられていてもよい。ハンドル330のバレル部分331は、シース400のハンドル330内に配置されている内部近位部分401を保持及び支持するための複数のリブ又は他の構造を含んでいてもよい。更に、ハンドル330の把持部分332は、内部流路350を支持するように画定されている2つの平行に隔てられた第2リブ又は保持壁335aを含んでいてもよい。具体的には、第2リブ335aは、それぞれ、(2つの向かい合う殻状半部が堅く接続されたとき)流路ハウジング52の互いに反対側に配置されている一対の座金357より小さい直径を有する開口部を画定している。内部流路350は、流路ハウジング352をハンドル330内に固定するために、座金357が、それぞれ、隣接する第2リブ335aに近接してその外側に配置された格好で、ハンドル330内に配置されている。座金357は、流路ハウジング352の残り部分と一体形成されていてもよいし、別々の構成要素とし、流路ハウジング352に固定されていてもよい。
【0044】
ハンドル330、具体的にはその把持部分332は、トリガ60を枢軸式に保持している。トリガ60は、ハンドル330を画定している一方又は両方の殻状半部内に画定されているボス339内に受け入れられている回動ピン72で、ハンドル330に回動可能に取り付けられている。トリガ60は、把持部分332とトリガ60の間に配置されているばね62によって、(図7に最も分かり易く示されている様に)把持部分332から遠ざかるように外に向けて第1位置へと付勢されている。以下に更に詳しく論じられている様に、第1位置と第2位置の間でトリガ60を動かすと、流路ハウジング352内の弁座67の位置が変わり、装置300内の内部流路350を通る流体流の流動性又は勢いが制御される。トリガ60は、図4のトリガ60の位置と同様の第2位置まで回動させることができ、そうすると弁座67が装置300内の内部流路350を通る流体流を実質的に遮断する。トリガ60は、通常は、ユーザーがトリガ60をばね62の外向きの付勢力に逆らってハンドル300の把持部分332に向けて絞ることで回動する。
【0045】
トリガ60の運動は、上に論じられ図2−図4及び図6に示されている実施形態でトリガ60の運動が弁座67の位置を制御するのと同じやり方で、弁座67及び関連のトリガ機構の同様の並進を生じさせる。簡潔さを期すため、ここでは説明を繰り返さない。
【0046】
上に論じられている装置10と同様に、他の実施形態では、内部流路350を通る流体又は気体連通を選択的に許容するのに、操作部が設けられていてもよい。例えば、操作部は、ハンドル330の把持部分332に可動式に保持され、第1位置と第2位置の間で動かせる摺動部材であってもよい。操作部は、第1ピンを固定式に受け入れていてもよく、第1ピンは、上に論じられている実施形態と同様に、弁ハウジング内の弁座の動作を生じさせる第2ピンに固定されていてもよい。操作部は、流路ハウジングを通る流れを許容する第1位置へ付勢することができ、且つ、弁座が流路ハウジング内で基部に接触して流路ハウジングを通る流体又は気体流を実質的に阻止する第2位置へ並進させることができてもよい。更に他の実施形態では、操作部は、レバー、即ち複数の位置の間で動かすことができ、最終的に弁座の動作を制御して、弁ハウジング及び装置を通る流れを制御する枢軸回動可能な部材であってもよい。
【0047】
上に論じられている装置10と同様に、トリガ60は、ハンドル330(具体的には、トリガ60又はハンドル330の把持部分332)に配置されている係止部162によって第2位置に保持されてもよく、同係止部は、図6に示され、また上述の実施形態で詳しく論じられている様に、トリガ60がばね62の外向きの付勢力によって第1位置に向けて回動するのを解除可能なように防止する。
【0048】
内部流路350は、図8に最も分かり易く示されている。内部流路350は、一個体として成形されている様な一体形成されている単一の構成要素から形成されていてもよいし、又は複数の構成要素を一体に固着して形成されていてもよい。内部流路350は、把持部分332内に配置されている。内部流路350は、第2開口部333bとT字型継手390の第1入口391の間に流体連通を提供し、内部流路350を通る流体連通は、上で論じられている様に、トリガ60と弁67によって制御されている。内部流路は、基部353と第1端355と第2端356を含んでいる。基部353は、選択的に、トリガ60が押し下げられたときに弁座67を受け入れ、それによって第2開口部333bとT字型継手390の第1入口391の間の流体流を阻止するように構成されている。トリガ60が解放されると、ばねがトリガ60を通常の張り出した位置へ戻し、それによって便座67が基部から離れ、内部流路350を通る流体流が許容される。内部流路350は、第2開口部333bを通って伸び、中央医療用供給源又は類似物の様な吸引源と接続するように構成されている第1端355aを含んでいる。第1端355は、タイゴン管材又は他の同様の導管を固定式に受け入れるためのバーブ付き又は段付き継手を含んでいてもよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、内部流路350は、T字型継手390を含んでおり、他の実施形態では、内部流路350は、T字型継手390の第1入口391に、解除可能な接続を形成する。T字型継手390は、基部353と直接に流体連通している第1入口391と、第3開口部333cを通して流体連通する第2入口392と、ハンドル330の第1開口部333aを通って伸びる出口シース400を受け入れる出口394を含んでいる。T字型継手390の第2入口392は、第3開口部333cに固定されており、即ちそれと連通している。第2入口392は、流体流又は通過物体が第3開口部333cを通って第2入口392の中へ入ることを許容するが、流体流及び物体が第3開口部333cを通ってハンドルから出てゆくことは阻止する逆流防止アダプタ388又は類似物を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、第3開口部333cと第2入口392は、レーザーファイバー480を中に通して受け入れるように構成されており、同ファイバーは、T字型継手390の出口394を通り抜けている。レーザーファイバー480は、通常、第3開口部333cと逆流防止アダプタ388を通して挿入させることができ、そこから取り出せる。レーザーファイバー480は、150、200、273、365、550、及び940ミクロンの様な何れのサイズの従来型レーザーファイバーであってもよい。幾つかの実施形態では、把持器具、スネア、バスケット、及び類似物の様な他の用具が、第3開口部333cとT字型接続部390の第2入口392を通して差し入れられ、最終的には出口394に取り付けられているシース400に挿通されてもよい。
【0050】
シース400は、内部流路350からの流れを受け入れると共に第2入口392と連通するべく、ハンドル330に、具体的にはT字型継手390の出口394に、固定されている細長い管状部材であってもよい。シース400は、T字型接続部394の出口394からの(内部流路350を通ってきた、結局のところはそれに接続されている吸引源からの)吸引を受け入れ、また更には、第3開口部333c及びT字型接続部390の第2入口392を通して挿入されているレーザーファイバー480又は他の用具を受け入れるため、T字型接続部394の出口394に流体接続されている単一ルーメンを含んでいてもよく、そうすれば、吸引とレーザー又は用具は、それぞれ、作業部位と連通するように又は作業部位で使用されるように、シース400の遠位端を通って進むことができる。上に論じられている装置10と同様の他の実施形態では、シース400は、上に論じられているシース100又はシース190と類似の二連ルーメンシースであってもよい。それらの実施形態では、第3開口部333cは、レーザーファイバー又は用具を受け入れるように構成されているルーメン(即ち、ルーメン114、194)との直接連通を提供することになり、(上に論じられている流路50と同様の)内部流路は、シースの他方のルーメンに流体接続されることになろう。
【0051】
シース400は、ステンレス鋼、ポリマー、又は他の医用上許容され得る材料から形成することができる。シース400は、従来型の内視鏡の作業チャネルを通して容易に受け入れられるサイズであり、よって、装置300は内視鏡的に使用されるように構成されている。他の実施形態では、装置300が経皮的使用に限られるように構成されている場合、シース400は内視鏡の作業チャネルの内径による制限を受けない。
【0052】
本発明の好適な実施形態を説明してきたが、本発明は、その様に限定されず、また本発明から逸脱すること無く修正を施すことができるものと理解頂きたい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、逐語的にせよ或いは同義的にせよ、特許請求の範囲の意味するところに含まれるあらゆる装置は、そこに包含されるものとする。
【符号の説明】
【0053】
10 吸引装置
30 ハンドル
31 バレル部分
32 把持部分
33a 第1開口部
33b 第2開口部
33c 第3開口部
35a リブ又は保持壁
35b 開口部
39 ボス
50 内部流路
52 流路ハウジング
53a 流路ハウジングの基部
53d 円錐形部分
55a、55b 端部
57 座金
60 トリガ又は他の操作部
61 開口部
62 ばね
64 第1ピン
65 プランジャ
67 弁座
67a 第1ピンの受け入れ部分
68 第2ピン
69 リブ
72 回動ピン
91、92 導管
100 シース
101 内部近位部分
102 遠位端部分
104、106 ポート
112、114 ルーメン
160 係止ハンドル
162 係止部
164 陥凹部、ポート
166、172、脚部
167、168 スロット
190 シース
192、194 ルーメン
195 スロット
200 レーザーファイバー
202 遠位端
202a 先端
205 中央部分
300 吸引装置
330 ハンドル
331 バレル部分
332 把持部分
333a 第1開口部
333b 第2開口部
333c 第3開口部
335a リブ又は保持壁
339 ボス
350 内部流路
352 流路ハウジング
353 基部
355、355a、356 端
355a 端部
357 座金
388 逆流防止弁又はアダプタ
390 T字型継手、T字型接続部
391、392 入口
394 出口
400 シース
401 内部近位部分
480 レーザーファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸ばされた遠位端部分と近位端部分とルーメンを備えているシースと、
前記シースの前記近位端部分に固定式に接続されているハンドルであって、第1位置と第2位置の間で並進させることのできる操作部を備えているハンドルと、
前記ハンドル内に、前記シースの前記近位端部分と流体連通して画定されている流路とを有し、前記操作部は、第2位置では前記流路を実質的に遮断し、第1位置では前記流路を通る流れを許容するように構成されており、
前記流路は、遠隔の吸引源と連通するように構成されている第1入口部分と、用具を受け入れ、前記用具を前記シースの前記ルーメンを通して伸ばせるようにされている第2入口部分と、を備えている医療装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記ハンドルに枢軸式に取り付けられているトリガである、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記シースは、前記第1ルーメンと平行に画定されている第2ルーメンであって、前記用具を受け入れる第2ルーメンを更に備えている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記用具はレーザーファイバーである、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記用具は、把持器具、スネア、鉗子、又はバスケットである、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記用具は、前記第2入口部分及び前記シースの前記ルーメンから取り出すことができる、上記請求項の何れかに記載の医療装置。
【請求項7】
前記操作部は、当該操作部の前記第1位置と前記第2位置の間の動作に伴って並進する弁座を備えている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記ルーメンと前記流路は、前記吸引源が当該流路の前記伸ばされた部分から前記シースの前記遠位端部分と連通することを許容するべく接続されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記弁座は、実質的に前記弁座の進行方向に向いている第1ピンに載っている、請求項7に記載の医療装置。
【請求項10】
前記第1ピンと接続されていて、前記第1ピンに固定可能に取り付けられている第2ピンを更に備えている、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記流路は、前記シースと前記第1入口部分と前記第2入口部分の間の連通を許容する第1ポートと第2ポートと第3ポートを有する継手を更に備えている、上記請求項の何れかに記載の医療装置。
【請求項12】
前記第2入口部分は、前記シースの前記近位端部分と実質的に同一線上に配置されている、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記第2入口部分には、前記用具の前記ハンドル及び前記シースのルーメン内への進入は許容するが、流体が前記第2入口部分から出てゆくことは阻止するべく、逆止弁が配置されて備えられている、請求項12に記載の医療装置。
【請求項14】
吸引源を患者に連通させるための器械であって、
ハンドルから遠位端部分へ伸びていて、第1ルーメンが中を貫いて伸びているシースと、
前記第1ルーメンと流体連通している内部流路と、前記内部流路を通る流体流を許容する第1位置と前記内部流路を通る流体流を実質的に阻止する第2位置の間で動かせるトリガと、を備えている前記ハンドルと、を備えており、
前記内部流路は、外部吸引源に接続されるように構成されている、器械。
【請求項15】
前記シース及び前記内部流路に流体接続されている、前記ハンドルの開口部を更に備えており、前記開口部は、用具が通過して前記内部流路に入ることは許容するが、流体流が前記開口部を通って前記内部流路から出ることは実質的に阻止するように構成されている、請求項14に記載の器械。
【請求項16】
前記開口部は、前記ハンドルから伸びている前記シースと実質的に同一線上に配置されている、請求項15に記載の器械。
【請求項17】
前記ハンドルは、前記トリガと動作可能に接続されていて、前記トリガが前記第2位置にあるときは前記内部流路を遮断するべく流路ハウジング内で並進する弁座を更に備えている、請求項14に記載の器械。
【請求項18】
前記弁座から、実質的に前記弁座の運動の方向に沿って伸びる第1ピンと、前記第1ピンに接続されていて、前記第1ピンに実質的に垂直に整列している第2ピンを更に備えている、請求項17に記載の器械。
【請求項19】
前記第2ピンは、前記第2ピンを前記トリガの動作に伴って並進させるべく前記トリガの開口部内に受け入れられている、請求項18に記載の器械。
【請求項20】
患者体内の流体及び粒子状物質を取り出すための方法であって、
シースを患者体内へ、前記シースの遠位端が取り出しの対象の流体又は粒子状物質の或る体積に近接するように、挿入する段階と、
前記シースと一体に拘束されていて、自身の内部に画定されている内部流路を通して前記シースと流体連通しているハンドルを操作する段階と、
遠隔の吸引源を前記ハンドル内の前記内部流路に接続して、前記内部流路と前記シース内に画定されている第1ルーメンを通る吸引流を許容する段階と、
前記内部流路を通る吸引の流れを、前記ハンドルに配置されている制御部で制御する段階と、から成る方法。
【請求項21】
装置を、前記取り出しの対象の流体又は粒子状物質の体積に近接して操作するために、前記シースに画定されている第2ルーメンと連通する前記ハンドルの開口部から差し入れて、前記第2ルーメンに挿通する段階を更に含んでいる、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−507621(P2011−507621A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539772(P2010−539772)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087330
【国際公開番号】WO2009/085895
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505099831)クック ウロロジカル インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】COOK UROLOGICAL, INCORPORATED
【Fターム(参考)】