説明

真空圧密による軟弱地盤改良工法及びドレーン材

【課題】 現場作業の効率を向上し、確実に鉛直ドレーン材の打ち込みが可能であり、効率良く軟弱地盤改良を行うことのできる真空圧密による軟弱地盤改良工法及びその工法に使用可能なドレーン材を提供する。
【解決手段】 この真空圧密による軟弱地盤改良工法は、透水性の鉛直ドレーン材11を軟弱地盤1中に打設し、鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより軟弱地盤中の水を鉛直ドレーン材を通じて排水させる。鉛直ドレーン材は軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さを有し、鉛直ドレーン材の上端に減圧手段に通じる排水用筒材13を連結する気密性キャップ12を取り付け、鉛直ドレーン材を気密性キャップを上側にし気密性キャップの深さが上面10から50cm以上でかつ地下水位面2に達するまで軟弱地盤中に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空圧密による軟弱地盤改良工法及びその工法に使用可能なドレーン材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の真空圧密による軟弱地盤改良工法(以下、「真空圧密工法」と略すこともある。)の概要図を図12,図13に示す。図12,図13のように、軟弱地盤上にサンドマットを敷設した後、軟弱地盤内に一定間隔毎に多数の鉛直ドレーン材を上部がサンドマット内に埋め込まれるように打設し、その後、そのサンドマットの表面を密封シートで覆い、その密封シート内を、サンドマット内に埋め込んだ集水管を通して真空ポンプを使用した減圧手段で減圧させる方法が公知である。この従来の真空圧密工法は、軟弱地盤中に挿入したドレーン内を減圧することにより大気圧を地盤表面に載荷し圧密及び排水を促進させることで、軟弱地盤を改良する工法である。
【0003】
しかし、図12,図13の従来の真空圧密工法には次の問題がある。
(1)サンドマットの敷設にコストがかかる上に、集水効率が悪い(排水抵抗が大きい)ため必要な真空ポンプ容量が増大する。
(2)海砂の採取を制限する自治体が増えてきており、環境的側面から砂の使用量を少なくすることが望まれている。
(3)土砂処分場内で土砂の容積を減ずる減容化のために上記真空圧密工法を用いる場合、サンドマットの厚み分(通常1.0〜2.0m)だけ新規の受け入れ土量が減少してしまう。
(4)上記真空圧密工法では密封シートが不可欠であるが、密封シートの端部を粘性土層内に1.5m程度埋め込む必要があり、密封シートの敷設に工数と費用がかかる。
(5)密封シートの施工では高い気密性の保持が要求されるが、広範囲にわたる気密性確保のための作業には、細心の注意と高度な熟練を必要とする。
【0004】
上述のような従来の真空圧密工法における各問題を解決する工法として、図14(a)に示すように、鉛直ドレーン材の上端に端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し外周面からの通気を遮断させた不透気部を設け、その不透気部の下端を軟弱地盤内に所定深さHまで打ち込み、不透気部の上端に、排水用筒材を連通させた気密性キャップを、外周からの気密性を維持させて連結し、排水用筒材を減圧手段に連通させ、密封シートを不要にできる工法が開発されている(下記特許文献1、2参照)。
【0005】
また、図14(b)に示すように、ドレーン材に予め気密性キャップと排水用筒材を接続したものを気密性キャップが軟弱地盤中の所定深さHになるように打ち込み、排水用筒材を減圧手段に連通させるようにした工法も開発されている。
【0006】
しかしながら、上述の図14(a)、(b)の各工法には次の問題がある。
(1)各鉛直ドレーン材の上端に気密性キャップを介して排水ホースを取り付ける図14(a)に示す従来の工法は、連続した鉛直ドレーン材をリールに巻いて施工現場に搬入し、施工現場において、所定の挿入長さ毎に切断し、端部の不透気部を形成し、更には気密性キャップを装着する等の一連の作業を鉛直ドレーン材の打ち込み毎に行っていたため、現場作業工数が多く、多くの労力と時間を要する。
(2)予め各鉛直ドレーン材の上端に気密性キャップを介して排水ホースを取り付けたものを軟弱地盤中に挿入する図14(b)に示す従来の工法では、気密性キャップと排水ホースの連結には一般的に使用されるねじ締め式のホースバンドや番線締めの方法が採用され、また、他のドレーン材との連結には工業用のステープル(ホチキス)による固着などの方法が採用されていた。しかし、この場合、ドレーン打ち込み時に材料に作用する引張力によって、連結した排水ホースが引き裂けたり、気密性キャップや他のドレーン材の下端の連結部が脱離してしまうことがあり、そのたびに打設をやり直すなど手戻り作業が多く発生していた。
(3)不透気部の下端を埋め込む深度は経験的に1〜2mで施工されることが多かったが、どの深さまで軟弱地盤中に挿入すればよいかという詳細な検討は成されていなかった。
【特許文献1】特開2001−226951号公報
【特許文献2】特開2002−138456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような従来の問題を考慮し、現場作業の効率を向上し、確実に鉛直ドレーン材の打ち込みが可能であり、効率良く軟弱地盤改良を行うことのできる真空圧密による軟弱地盤改良工法及びその工法に使用可能なドレーン材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による第1の真空圧密による軟弱地盤改良工法は、透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に打設し、前記鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより前記軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材を通じて排水させる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、前記鉛直ドレーン材は前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さを有し、前記鉛直ドレーン材の上端に前記減圧手段に通じる排水用筒材を連結する気密性キャップを取り付け、前記鉛直ドレーン材を前記気密性キャップを上側にし前記気密性キャップの深さが前記軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで前記軟弱地盤中に挿入することを特徴とする。
【0009】
この第1の真空圧密による軟弱地盤改良工法によれば、鉛直ドレーン材を気密性キャップの深さ位置が軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで軟弱地盤中に挿入することで、気密性キャップの深さ位置以上の部分を気密シール層として利用でき、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0010】
本発明による第2の真空圧密による軟弱地盤改良工法は、透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に打設し、前記鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより前記軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材を通じて排水させる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、前記鉛直ドレーン材は前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さを有し、前記鉛直ドレーン材の上端に端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けておき、前記不透気部の上端に前記減圧手段に通じる排水用筒材を連結する気密性キャップを取り付け、前記鉛直ドレーン材の上端の前記不透気部の下端を前記軟弱地盤内に前記軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで前記軟弱地盤中に挿入することを特徴とする。
【0011】
この第2の真空圧密による軟弱地盤改良工法によれば、鉛直ドレーン材を鉛直ドレーン材と不透気部との境界部の深さ位置が軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで軟弱地盤中に挿入することで、鉛直ドレーン材の上端の深さ位置以上の部分を気密シール層として利用でき、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0012】
上記第1,第2の真空圧密による軟弱地盤改良工法において、鉛直ドレーン材の上端の深さ位置または気密性キャップの深さ位置を軟弱地盤の上面から50cm以上とする理由は次のとおりである。真空ポンプ等の減圧手段を用いてドレーン材の内部を減圧して地盤を圧密させる場合、地盤に作用させ得る負圧はポンプの排水(排気)能力と系内に流入する水・空気の量との比によって決まる。気密シール層として利用する上部の層厚は薄くなるほど浸透流量が増えるため、必要となるポンプの容量が大きくなる。また、浸透流は初期には発生せずにある時期から圧密による排水量に付加される形で発生する。各深さ位置が軟弱地盤の上面から50cm以上であると、浸透流発生後の浸透流量と圧密排水量との合計が初期の圧密排水量を上回らないため、地盤に負圧を効果的に作用させることができる。
【0013】
また、鉛直ドレーン材の上端の深さ位置または気密性キャップの深さ位置を軟弱地盤の上面から地下水位面までの深さ以上とする理由は次のとおりである。同条件の土で透水係数(水を通過させる能力)と透気係数(空気を通過させる能力)とを比較すると、後者は前者の80倍程度となることが判っており、更に空気は減圧によって容易に膨張するため、空気の流入を許すと所期の圧力を作用させるのに必要となるポンプ容量が甚大となって不経済となる。したがって、ドレーン材の上端を地下水位面以下とすることは、経済的に軟弱地盤改良工法を実施する上で重要であり、ポンプ容量が大きくなり過ぎない。
【0014】
上記第1,第2の真空圧密による軟弱地盤改良工法において、前記鉛直ドレーン材は予め前記長さに切断されかつ前記排水用筒材と連結するように前記気密性キャップが取り付けられた状態で軟弱地盤改良対象地に搬入されることが好ましい。これにより、作業現場において鉛直ドレーン材の切断や排水用筒材との連結や気密性キャップの取り付けが不要となり、現場作業工数が大幅に減り、現場作業の効率が向上し、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0015】
また、前記排水用筒材がドレーン打設時に前記気密性キャップから離脱することを防止するために補強材が前記排水用筒材に沿って設けられていることが好ましい。この補強材によりドレーン打設のときに排水用筒材が気密性キャップから離脱することを防止でき、また、排水用筒材の破損を防止できる。これにより、確実に鉛直ドレーン材の打ち込みが可能となり、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0016】
また、前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端側に固着した気密性キャップを介して連結した排水用筒材及びドレーン打設時の前記排水用筒材の前記気密性キャップからの脱離防止のための補強材の先端を他の鉛直ドレーン材の下端に固着するようにして複数の鉛直ドレーン材を1本に連結した状態で軟弱地盤改良対象地に搬入し、前記鉛直ドレーン材を打設し、その上端側の前記排水用筒材を切断して切り離すことが好ましい。これにより、現場におけるドレーン材の打設作業を確実かつ効率的に行うことができる。
【0017】
本発明によるドレーン材は、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断された鉛直ドレーン材と、前記鉛直ドレーン材の上端側に固着した気密性キャップと、前記気密性キャップを介して前記鉛直ドレーン材に連結した排水用筒材と、を1組とし、前記排水用筒材の先端を他の鉛直ドレーン材の下端に固着するようにして複数の組を1本に連結するとともに、前記排水用筒材が前記軟弱地盤中へのドレーン打設時に前記気密性キャップから離脱することを防止するために補強材が前記排水用筒材に沿って設けられ、前記補強材の先端を前記他の鉛直ドレーン材の下端に固着することを特徴とする。
【0018】
このドレーン材によれば、上記第1,第2の真空圧密による軟弱地盤改良工法に鉛直ドレーン材として使用でき、作業現場において鉛直ドレーン材の切断や排水用筒材との連結や気密性キャップの取り付けが不要となり、現場作業工数が大幅に減り、現場作業の効率が向上し、効率良く軟弱地盤改良を行うことができるようになる。また、補強材によりドレーン打設のときに排水用筒材が気密性キャップから離脱することを防止でき、また、排水用筒材の破損を防止できる。これにより、確実に鉛直ドレーン材の打ち込みが可能となり、効率良く軟弱地盤改良を行うことができるようになる。
【0019】
本発明による第3の真空圧密による軟弱地盤改良工法は、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、外周面からの通気を遮断させた不透気部を設けた前記鉛直ドレーン材を使用し、前記鉛直ドレーン材の上端の前記不透気部の下端を前記軟弱地盤内に前記軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで前記軟弱地盤中に挿入し、前記不透気部の上端を減圧手段に通じる排水路に連結させ、前記減圧手段により前記鉛直ドレーン材内を減圧させることを特徴とする。
【0020】
第3の真空圧密による軟弱地盤改良工法によれば、鉛直ドレーン材の上端に接続した不透気部の上端を減圧手段に通じる排水路に直接に連結させることができるので、従来の気密性キャップや排水ホースを省略できるため、より経済的な施工が可能となる。また、鉛直ドレーン材の上端の深さ位置を軟弱地盤の上面から50cm以上とすることで、上述のように、浸透流発生後の浸透流量と圧密排水量との合計が初期の圧密排水量を上回らないため、地盤に負圧を効果的に作用させることができる。また、鉛直ドレーン材の上端の深さ位置または気密性キャップの深さ位置を軟弱地盤の上面から地下水位面までの深さ以上とすることは、経済的に軟弱地盤改良工法を実施する上で重要であり、ポンプ容量が大きくなり過ぎない。
【0021】
上記第3の真空圧密による軟弱地盤改良工法において前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した前記鉛直ドレーン材と、前記上面からの挿入長さと前記上面から前記排水路までの突出長さとに対応した長さの前記不透気部とを1組とし、複数組をロールの状態で軟弱地盤改良対象地に搬入し、前記鉛直ドレーン材を軟弱地盤に挿入した後、その不透気部の上端を切断して切り離し、前記排水路に連結させることが好ましい。これにより、作業現場において鉛直ドレーン材の切断が不要となり、従来の排水用筒材との連結や気密性キャップの取り付けはないので、現場作業工数が大幅に減り、現場作業の効率が向上し、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0022】
本発明による別のドレーン材は、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断された鉛直ドレーン材と、前記鉛直ドレーン材の上端に接続され、前記軟弱地盤の上面からの挿入長さと前記上面から排水路までの突出長さとに対応した長さを有し、内部は通水性を有し、外周面からの通気を遮断させた不透気部と、を1組とし、複数組をロールの状態に巻いたことを特徴とする。
【0023】
このドレーン材によれば、上記第3の真空圧密による軟弱地盤改良工法に鉛直ドレーン材として使用でき、作業現場において鉛直ドレーン材の切断が不要となり、従来の排水用筒材との連結や気密性キャップの取り付けがないので、現場作業工数が大幅に減り、現場作業の効率が向上し、効率良く軟弱地盤改良を行うことができるようになる。
【0024】
上記第1乃至第3の真空圧密による軟弱地盤改良工法において、前記鉛直ドレーン材に、前記軟弱地盤中に存在する砂層等の中間透水層に対応して、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けることが好ましい。軟弱地盤中に存在する砂層等の中間透水層に対応して鉛直ドレーン材に不透気部を設けることで、中間透水層からの吸水がなくなり、軟弱地盤内の排水効率が低下せず、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0025】
また、上述の各ドレーン材は、前記鉛直ドレーン材に、前記軟弱地盤中に存在する中間透水層に対応して、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けておくことが好ましい。
【0026】
なお、上述の軟弱地盤の上面とは、軟弱地盤の表面であるが、軟弱地盤の上に砂質土層や礫層等が形成されている場合、その砂質土層や礫層等を考慮しない軟弱地盤の表面である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の真空圧密による軟弱地盤改良工法及びドレーン材によれば、現場作業の効率を向上し、確実に鉛直ドレーン材の打ち込みが可能であり、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
〈第1の実施の形態〉
【0030】
図1は第1の実施の形態による軟弱地盤に打設された鉛直ドレーン材と気密性キャップと排水ホースの配置例を概略的に示す図である。図2は図1の鉛直ドレーン材の一例を示し、これを一部切り欠いて示す斜視図である。図3は図2の鉛直ドレーン材と排水ホースとを連結する気密性キャップを示す斜視図である。図4は図1の鉛直ドレーン材と集水管の配置例を示す平面図である。
【0031】
図1に示すように、鉛直ドレーン材11は透水性を有し、気密性キャップ12を介して排水ホース13に連結されている。気密性キャップ12を上側にし気密性キャップ12が軟弱地盤1の上面10から50cm以上でかつ地下水位面2に達するまで軟弱地盤1中に挿入される。軟弱地盤1の上面10から突出して延びた排水ホース13は集水管15に接続され、排水路を構成する。
【0032】
鉛直ドレーン材11は、例えば、図2に示すようなプラスチックボードドレーンから構成され、内部に波型断面の補強材21が収容された薄型角筒状の多孔質材からなる芯材22の外周を不織布等からなる透水性被覆材23にて被覆した構造を有する。なお、鉛直ドレーン材11としては、例えば合成樹脂繊維製の多孔質材からなるケミカルドレーンなど、内部に中空若しくは多孔質の通水路が形成され、それ自体に保形性があるドレーン材を使用できる。
【0033】
図3に示すように、気密性キャップ12は、頂部に排水ホース13が連結され、下端側開口部に鉛直ドレーン材11の上端が挿入され、例えばテーピングや接着剤塗布により鉛直ドレーン材11と気密性キャップ12との間の気密性を確保する。
【0034】
図4に示すように、図1の鉛直ドレーン材11は、軟弱地盤改良対象地に多数本が打ち込まれ、気密性キャップ12を介して連結された排水ホース13の先端はそれぞれ集水管15に連結され、集水管15を減圧手段である真空ポンプ20に連通させ、集水管15、排水ホース13を通じて鉛直ドレーン材11内を減圧し、軟弱地盤1から水を吸い出し、軟弱地盤1の上面10の外部へと排水するようにして真空圧密による軟弱地盤改良を行う。
【0035】
図1の鉛直ドレーン材11は、工場での製造時に、図2,図3のように、予め挿入深さに対応した長さに切断された鉛直ドレーン材11の上端に気密性キャップ12を取り付け、気密性キャップ12に排水ホース13を連結したドレーン材として軟弱地盤改良の施工現場に搬入されることが好ましい。これにより、施工現場において鉛直ドレーン材11の切断や気密性キャップ12の取り付けや排水ホース13の気密性キャップ12への連結が不要となり、現場作業工数が大幅に減り、現場作業の効率が向上し、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0036】
また、鉛直ドレーン材11は図5,図6のようなドレーン材を用いるようにしてもよい。図5は、図1、図2〜図4の鉛直ドレーン材による軟弱地盤改良工法に使用可能なドレーン材の要部を示す側面図(a)及びその一部拡大図(b)である。図6は図5のロール状に巻いたドレーン材の外観を示す図である。
【0037】
図5(a)、(b)、図6のように、ドレーン材30は、予め工場での製作時に、軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材11aの上端に固着した気密性キャップ12から一体に突設した排水ホース13及び補強材31の先端を他の鉛直ドレーン材11bの下端に固着するようにして多数の鉛直ドレーン材を1本に連結し巻いたロール状態で地盤改良現場に搬入できる。
【0038】
鉛直ドレーン材11aを打設した後、連結した排水ホース13の上端を切断することで切り離し、気密性キャップ12と排水ホース13をそれぞれ軟弱地盤1中に挿入する。これにより、現場での打設作業が確実にかつ効率的に行える。
【0039】
また、補強材31が排水ホース13に沿って気密性キャップ12に達するように設けられており、排水ホース13の破損及び気密性キャップ12からの脱離を防止できるので、確実に鉛直ドレーン材の打ち込みができ、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。補強材31としては、平板状の硬質樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
【0040】
図1、図4のように、各鉛直ドレーン材11を打設した後、連結した排水ホース13を真空ポンプ20などの減圧手段に通じる集水管15に連結させ、真空ポンプ20を作動させて各鉛直ドレーン材11内を減圧させて真空圧密による軟弱地盤改良を行うが、このとき、図1のように、気密性キャップ12の軟弱地盤1内の深さ位置を軟弱地盤1の上面10より50cm以上としかつ上面10から地下水位面2までの深さ以上とする理由について説明する。
【0041】
「軟弱地盤の上面より50cm以上」とする理由
【0042】
真空ポンプ等の手段を用いて鉛直ドレーン内部を減圧して地盤を圧密する場合、地盤に作用させ得る負圧はポンプの排水(排気)能力と系内に流入する水・空気の量との比によって決まる。参考文献1(米谷他、「真空圧密工法における粘性土層の気密保持効果」、第37回地盤工学研究発表会、No.534、2002.7)によれば、気密シール層として利用する上部の粘性土層厚は室内実験の結果から50cmでも機能するが、層厚が薄くなるほど浸透流量が増えるため、必要となるポンプの容量は大きくなることが解る。また、浸透流は改良初期には発生せず、ある時期(設計上のTh=0.1となる時点)から圧密による排水量に付加される形で発生する。そこで、標準的な施工条件で、浸透流発生後の浸透流量と圧密排水量との合計が初期の圧密排水量を上回らないようになる層厚と試算すると、50cmという結果になる。また、過去の施工実績からも、施工誤差を考慮すると50cm程度は必要と判断される。
【0043】
「軟弱地盤の上面から地下水位面までの深さ以上」とする理由
【0044】
参考文献2(三木、「透水係数と透気係数」、土と基礎、Vol.19、No.6、1971)によると、同条件の土で透水係数(水を通過させる能力)と透気係数(空気を通過させる能力)を比較すると、後者は前者の80倍程度となることが判っており、更に空気は減圧によって容易に膨張するため、空気の流入を許すと所期の圧力を作用させるのに必要となるポンプ容量が甚大となって不経済となる。したがって、ドレーン(排水)部の上端は地下水位面以下とすることは、経済的に軟弱地盤改良工法を実施する上で重要なポイントになる。
【0045】
次に、図7により、図1とは別の鉛直ドレーン材と気密性キャップと排水ホースの配置例を説明する。図7の配置は、鉛直ドレーン材11の上端と気密性キャップ12との間に不透気部14を設け、気密性キャップ12は、軟弱地盤1内に挿入せず上面10の外部に位置している。
【0046】
不透気部14は、内部は通水性を有し、外周からの通気を遮断する構成であり、例えば、図2の破線に示すように、鉛直ドレーン材11の透水性被覆材23の外周面に不透気性の合成樹脂コーティング24を形成することで構成できる。
【0047】
図7のように、鉛直ドレーン材11を打設し、鉛直ドレーン材11の上端11c(不透気部14の下端)を軟弱地盤1の上面10より50cm以上でかつ上面10から地下水位面2までの深さに達するように挿入する。これにより、図1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、不透気部14(合成樹脂コーティング24)の長さは、上面10より50cm以上でかつ上面10から地下水位面2までの深さに達する長さを越えるようにする。また、かかる不透気部14を含むドレーン材は、合成樹脂コーティング24を気密性キャップ12から所定長さに施すようにした以外は、図5と同様に構成することができる。
【0049】
以上のように、図1、図7の真空圧密による軟弱地盤改良によれば、従来の気密シートを省略でき、気密シートを代替する上部の粘性土層厚を合理的な厚さ(軟弱地盤1の上面10より50cm以上でかつ上面10から地下水位面2までの深さに達する)とすることで、経済的な設計、経費の節減が可能となる。
【0050】
また、図5,図6のドレーン材30によれば、作業現場において鉛直ドレーン材11の切断や排水ホース13との連結や気密性キャップ12の取り付けが不要となり、現場作業工数が大幅に減り、現場作業の効率が向上し、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0051】
また、補強材31を排水ホース13に沿って気密性キャップ12まで達するように設けられ、補強材31の先端を他の鉛直ドレーン材11bの下端に固着することで、ドレーン打設のとき、排水ホース13の気密性キャップ12からの離脱及び排水ホース13の引き裂け等の破損を防止できる。従来、かかる脱離や破損が生じることで打設をやり直すなどの作業が多く発生していたのに対し、かかる脱離や破損を防止できるので、確実に鉛直ドレーン材11の打ち込みが可能となり、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
【0052】
次に、図8により、図1において軟弱地盤1中に砂層等の中間透水層が存在する場合の対策について説明する。図8は図1の配置で軟弱地盤1中に砂層等の中間透水層が存在する場合の対策を説明するための図である。
【0053】
軟弱地盤は通常、粘性土層からなるが、軟弱地盤の中間位置に砂層等の中間透水層が存在することがある。このような場合、図1による真空圧密による軟弱地盤改良工法を実行すると、中間透水層から地下水や空気が鉛直ドレーン材に流れ込み、軟弱地盤層内の排水効率が著しく低下し、真空圧密による軟弱地盤改良工法を効率的に実行できなくなる。この対策として、図8に示すように、軟弱地盤1内の中間位置に存在する砂層等の中間透水層1aに対応して鉛直ドレーン材11の中間に不透気部11dを予め設けておく。
【0054】
不透気部11dは、図7の不透気部14と同様の構成でよく、例えば、図2の破線に示すように、鉛直ドレーン材11の透水性被覆材23の外周面に不透気性の合成樹脂コーティング24を形成する。不透気部11dは、中間透水層1aの上端、下端を含むように中間透水層1aの層厚よりも長くすることが好ましい。
【0055】
図8によれば、軟弱地盤1内の中間透水層1aからの吸水がなくなり、軟弱地盤1内の排水効率が低下せず、図1のような真空圧密による軟弱地盤改良工法を効率良く実行することができる。
【0056】
〈第2の実施の形態〉
【0057】
図9は第2の実施の形態による軟弱地盤に打設された鉛直ドレーン材と不透気部と集水管の配置例を概略的に示す図である。図10は図9の不透気部と集水管との取り付け状態を示す斜視図(a)及び別の取り付け状態を示す斜視図(b)である。
【0058】
第2の実施の形態は、図7と比べて、排水ホースと気密性キャップを省略し鉛直ドレーン材11の上端から延びる不透気部14を集水管15まで延ばす配置である。
【0059】
即ち、図9のように、長尺の鉛直ドレーン材11の軟弱地盤1への挿入深さL(不透気部14の軟弱地盤1への挿入長さL2を含む)及び上面10からの突出長さL1に対応した長さ毎に、鉛直ドレーン材11を打設する。このとき、鉛直ドレーン材11の上端11c(不透気部14の下端)を軟弱地盤1の上面10より50cm以上でかつ上面10から地下水位面2までの深さに達するように挿入する。このように、不透気部14の軟弱地盤1への挿入長さL2は、上面10より50cm以上でかつ上面10から地下水位面2にを越える長さである。また、鉛直ドレーン材11及び不透気部14は、例えば、図2,図3と同様に構成することができる。
【0060】
図10(a)のように、集水管15には集水管15の外周面に周壁を貫通しかつ鉛直ドレーン材11及び不透気部14の形状に対応した平板長方形状の取付口40が設けられている。不透気部14は、取付口40にその先端部14aを差し込んでから、締め付けバンドや接着剤やかすがい等を用いて固着した後、取付口40と不透気部14の先端部14aからなる接続部の外周を粘着テープで巻く等により固定する。
【0061】
上述のように鉛直ドレーン材11を図4の真空ポンプ20などの減圧手段に通じる集水管15に連結させ、真空ポンプ20を作動させて各鉛直ドレーン材11内を減圧させて真空圧密による軟弱地盤改良を行う。
【0062】
なお、集水管15の取付口40は、図10(a)のように、図9の鉛直ドレーン材11の配置に対応して略180°反対側に設け、また、図4のような集水管15の長手方向の打設間隔に合わせて所定の間隔で配置することが好ましい。
【0063】
次に、図9の鉛直ドレーン材11は図11のようなドレーン材を用いることができる。図11は、図9の鉛直ドレーン材による軟弱地盤改良工法に使用可能なドレーン材の要部を示す側面図(a)及びそのドレーン材をロール状に巻いた状態を示す平面図(b)である。
【0064】
図11(a)のように、ドレーン材45は、予め工場での製作時に、軟弱地盤中への鉛直ドレーン材11の挿入長さ(L−L2)及び不透気部14の長さ(L1+L2)に対応した長さ毎に1組のドレーン材として複数組を1本に構成し、図11(b)のようにロール状に巻く。
【0065】
図11(b)のロール状のドレーン材45を地盤改良現場に搬入し、鉛直ドレーン材11を軟弱地盤に挿入した後、その不透気部の上端を切断することで切り離し、図10(a)のように集水管に接続する。そして、次の鉛直ドレーン材11を同様に軟弱地盤1に打設する。
【0066】
以上のように、図9,図10(a)の真空圧密による軟弱地盤改良工法によれば、鉛直ドレーン材11の上端11cに接続した不透気部14の上端を減圧手段に通じる集水管15に直接に連結させることができるので、従来の気密性キャップや排水ホースを省略できるため、より経済的な施工が可能となる。また、従来の気密シートを省略でき、気密シートを代替する上部の粘性土層厚を合理的な厚さ(上面10より50cm以上でかつ上面10から地下水位面2までの深さに達する)とすることで、経済的な設計、経費の節減が可能となる。
【0067】
また、図11のドレーン材によれば、従来の気密性キャップや排水ホースの脱離や破損の問題はなく、現場での打設作業が確実にかつ効率的に行うことができる。また、排水ホースのように厚みがないため、より多くの本数分のドレーン材を一つのロールに巻き取ることができ、施工効率が上がる。
【0068】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図1,図7,図9における鉛直ドレーン材は、図2,図3のものに限定されず、円筒状等の他の形状、他の構造のものであってもよいことはもちろんである。
【0069】
また、第2の実施の形態において、鉛直ドレーン材11及び不透気部14を円筒状に構成した場合は、図10(b)のように、不透気部14の形状に対応して集水管15の取付口41を円筒形状に構成し、不透気部14の先端部14aを取付口41に差し込み、締め付けバンドや接着剤やかすがい等を用いて固着した後、取付口41と不透気部14の先端部14aからなる接続部の外周を粘着テープで巻く等により固定する。
【0070】
また、図7,図9において軟弱地盤1内の中間位置に砂層等の中間透水層が存在する場合、図8と同様に、中間透水層に対応して鉛直ドレーン材11の中間に不透気部11d(図8)を予め設けておくことが好ましい。
【0071】
また、図1,図7,図9において、軟弱地盤1の上面10の上に砂質土層や礫層等が形成されてもよい。この場合、軟弱地盤の上面から50cm以上の深さは、砂質土層や礫層等を考慮せずに図の上面10を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施の形態による軟弱地盤に打設された鉛直ドレーン材と気密性キャップと排水ホースの配置例を概略的に示す図である。
【図2】図1の鉛直ドレーン材を一部切り欠いて示す斜視図である。
【図3】図2の鉛直ドレーン材と排水ホースとを連結する気密性キャップを示す斜視図である。
【図4】図1の鉛直ドレーン材と集水管の配置例を示す平面図である。
【図5】図1、図2〜図4の鉛直ドレーン材による軟弱地盤改良工法に使用可能なドレーン材の要部を示す側面図(a)及びその一部拡大図(b)である。
【図6】図5のロール状に巻いたドレーン材の外観を示す図である。
【図7】図1とは別の配置例を概略的に示す図である。
【図8】図1の配置で軟弱地盤1中に砂層等の中間透水層が存在する場合の対策を説明するための概略図である。
【図9】第2の実施の形態による軟弱地盤に打設された鉛直ドレーン材と不透気部と集水管の配置例を概略的に示す図である。
【図10】図9の不透気部と集水管との取り付け状態を示す斜視図(a)及び別の取り付け状態を示す斜視図(b)である。
【図11】図9の鉛直ドレーン材による軟弱地盤改良工法に使用可能なドレーン材の要部を示す側面図(a)及びそのドレーン材をロール状に巻いた状態を示す平面図(b)である。
【図12】従来の軟弱地盤に打設された鉛直ドレーン材や集水管や真空ポンプの配置例を概略的に示す図である。
【図13】図12の従来の軟弱地盤に打設された鉛直ドレーン材や集水管や真空ポンプの配置例を概略的に示す平面図である。
【図14】図12の従来の真空圧密工法における各問題を解決する工法として特許文献1,2に開示された配置例(a)、(b)を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 軟弱地盤
1a 中間透水層
2 地下水位面
10 軟弱地盤1の上面
11 鉛直ドレーン材
11a 鉛直ドレーン材
11b 他の鉛直ドレーン材
11c 鉛直ドレーン材の上端
11d 不透気部
12 気密性キャップ
13 排水ホース(排水用筒材)
14 不透気部
14a 不透気部の先端部
15 集水管
20 真空ポンプ(減圧手段)
21 補強材
22 芯材
23 透水性被覆材
24 合成樹脂コーティング
30 ドレーン材
31 補強材
40 取付口
41 取付口
45 ドレーン材
L 挿入深さ
L1 突出長さ
L2 挿入長さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に打設し、前記鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより前記軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材を通じて排水させる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、
前記鉛直ドレーン材は前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さを有し、前記鉛直ドレーン材の上端に前記減圧手段に通じる排水用筒材を連結する気密性キャップを取り付け、
前記鉛直ドレーン材を前記気密性キャップを上側にし前記気密性キャップの深さが前記軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで前記軟弱地盤中に挿入することを特徴とする真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項2】
透水性の鉛直ドレーン材を軟弱地盤中に打設し、前記鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより前記軟弱地盤中の水を前記鉛直ドレーン材を通じて排水させる真空圧密による軟弱地盤改良工法において、
前記鉛直ドレーン材は前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さを有し、前記鉛直ドレーン材の上端に端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けておき、前記不透気部の上端に前記減圧手段に通じる排水用筒材を連結する気密性キャップを取り付け、
前記鉛直ドレーン材の上端の前記不透気部の下端を前記軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで前記軟弱地盤中に挿入することを特徴とする真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項3】
前記鉛直ドレーン材は予め前記長さに切断されかつ前記排水用筒材と連結するように前記気密性キャップが取り付けられた状態で軟弱地盤改良対象地に搬入される請求項1または2に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項4】
前記排水用筒材がドレーン打設時に前記気密性キャップから離脱することを防止するために補強材が前記排水用筒材に沿って設けられている請求項1,2または3に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項5】
前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端側に固着した気密性キャップを介して連結した排水用筒材及びドレーン打設時の前記排水用筒材の前記気密性キャップからの脱離防止のための補強材の先端を他の鉛直ドレーン材の下端に固着するようにして複数の鉛直ドレーン材を1本に連結した状態で軟弱地盤改良対象地に搬入し、前記鉛直ドレーン材を打設し、その上端側の前記排水用筒材を切断して切り離す請求項1または2に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項6】
軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断された鉛直ドレーン材と、前記鉛直ドレーン材の上端側に固着した気密性キャップと、前記気密性キャップを介して前記鉛直ドレーン材に連結した排水用筒材と、を1組とし、
前記排水用筒材の先端を他の鉛直ドレーン材の下端に固着するようにして複数の組を1本に連結するとともに、前記排水用筒材が前記軟弱地盤中へのドレーン打設時に前記気密性キャップから離脱することを防止するために補強材が前記排水用筒材に沿って設けられ、前記補強材の先端を前記他の鉛直ドレーン材の下端に固着したことを特徴とするドレーン材。
【請求項7】
軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した鉛直ドレーン材の上端に端部より一定長さ分だけ、内部は通水性を有し、外周面からの通気を遮断させた不透気部を設けた前記鉛直ドレーン材を使用し、
前記鉛直ドレーン材の上端の前記不透気部の下端を前記軟弱地盤の上面から50cm以上でかつ地下水位面に達するまで前記軟弱地盤中に挿入し、
前記不透気部の上端を減圧手段に通じる排水路に連結させ、前記減圧手段により前記鉛直ドレーン材内を減圧させることを特徴とする真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項8】
前記軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断した前記鉛直ドレーン材と、前記上面からの挿入長さと前記上面から前記排水路までの突出長さとに対応した長さの前記不透気部とを1組とし、複数組をロールの状態で軟弱地盤改良対象地に搬入し、前記鉛直ドレーン材を軟弱地盤に挿入した後、その不透気部の上端を切断して切り離し、前記排水路に連結させる請求項7に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項9】
軟弱地盤中への挿入深さに対応した長さに切断された鉛直ドレーン材と、前記鉛直ドレーン材の上端に接続され、前記軟弱地盤の上面からの挿入長さと前記上面から排水路までの突出長さとに対応した長さを有し、内部は通水性を有し、外周面からの通気を遮断させた不透気部と、を1組とし、複数組をロールの状態に巻いたことを特徴とするドレーン材。
【請求項10】
前記鉛直ドレーン材に、前記軟弱地盤中に存在する中間透水層に対応して、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設ける請求項1乃至5,7,8のいずれか1項に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
【請求項11】
前記鉛直ドレーン材に、前記軟弱地盤中に存在する中間透水層に対応して、内部は通水性を有し、周面からの通気を遮断させた不透気部を設けた請求項6または9に記載のドレーン材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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