説明

真空発生装置

【課題】ベンチュリ管で真空を作る真空発生装置において、密閉型の空気配管回路を構成する。即ち、空気消費量が極めて大きいベンチュリ管や増圧弁の排気を空気溜めタンクに回収する。そのタンク内で空気を清浄にして、増圧装置で加圧し、ベンチュリ管に還流してエンドレスに真空発生源の空気を確保する真空発生装置。
【解決手段】空気を浄化する機能を有する貯タンク9に、消費した空気を回収し、貯タンク9に具備したエアクリーナ17や触媒コンバータ又は活性炭18によって貯タンク9内の空気を浄化し、その空気を増圧弁11で加圧して高圧化し、蓄圧タンク10に備蓄する。この空気圧は、一次側の供給空気の圧力より高いので、配管回路上に設置された高圧優先のシャトル弁16で選択され、その空気はベンチュリ管8へ環流する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンチュリ管に圧縮空気を通過噴射させて真空を発生させる真空装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エゼクタ真空ポンプとも呼ばれるベンチュリ管は、極めてシンプルな構造であるため、工場内の圧縮空気の配管から安直に低真空域真空を得る方法として従来から知られている。一例を挙げれば、軽量部品の吸着搬送に使われている。
【0003】
このベンチュリ管は、真空吸引の対象容積が大きくなると、消費する圧縮空気の量も相対的に大きくなる。ちなみに、その割合は吸入量1に対して消費量は1.5〜1.7が平均的であり、しかも現状では消費された空気は大気中に廃棄されている。
【0004】
例えばダイカストの金型や、プラスチック射出成形の金型からの真空引きをベンチュリ管で行う場合は、短時間で大量のガスを吸引排気するために、ベンチュリ管を通過する空気の流量も増大する。その結果、配管内の圧力は一時的に著しく低下し、そのため真空圧も降下する。真空圧の降下によって金型内の減圧は不十分になる。
又、射出成形機の金型から吸引排気するガスは、空気にヒュームが混じっており大気中に廃棄すれば作業環境を汚染する。
【0005】
増圧弁を空気配管回路に組み込んで、空気を加圧する場合、増圧弁は増圧過程で約半分の空気を外部に排気する。
【0006】
なお、本願発明に関連する公知技術として次の特許文献を挙げることができる。
【0007】
特許文献1
特開平10−176700
特開2002−257099
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
イニシアルコストが低く、日常のメンテナンスをさほど必要としないシンプル構造のベンチュリ管ではあるが、上述したように、吸い込み量に対して空気の消費量が大きいのが難点である。又、吸引した空気にはヒュームや粉塵が混じる場合があり、大気中にそのまま廃棄すれば工場内汚染の原因になる。
【0009】
本発明は、ベンチュリ管や増圧弁に供せられるコストのかかった圧縮空気が、惜しげもなく大気中に放出廃棄されている現状を鑑みて成されたものであり、その目的は圧縮空気の消費を少なくしてその製造にかかるコストを下げることであり、又、吸引した汚れた空気を清浄にして加圧し、その高圧空気がエンドレスに還流する真空発生装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成する本発明の真空発生装置は、その空気配管回路に清浄装置を付設した貯タンクを設置し、そのタンクにベンチュリ管で消費した空気と、吸引した空気からヒュームや粉塵を除去し、尚且つ増圧弁駆動時の排気も貯タンクに回収する密閉型空気配管回路を特徴とする。
【0011】
本発明の真空発生装置を循環する空気は、清浄空気が望ましく、そのために空気配管の要所にフィルタを設置することは当然であるが、ベンチュリ管が吸引したヒュームや粉塵は、貯タンク内に設置した排気クリーナと触媒コンバータ又は活性炭によって除去し、清浄空気にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明による真空発生装置は、短時間で大量の圧縮空気を消費しても蓄圧タンクに備蓄した高圧空気によって配管内の圧力降下を招来することなく、又、例えばダイカスト金型やプラスチック射出成形金型の真空引きにおいて、吸引したヒュームを大気中に放出せずに、清浄空気に直して加圧し、高圧空気をベンチュリ管に環流して再使用することができるので、その省エネ効果と共に環境を汚さない真空発生装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態に係る、真空発生装置の配管構成を示す配管図であり、図2は消費した空気を回収する貯タンクの断面図である。
【0015】
図1が示す、本案真空発生装置において、その一次圧供給管1に工場内設置の圧力空気の配管を接続開通せしめ、圧力空気が一次圧供給管1を充満した時から真空発生のための準備は完了する。
【0016】
吸引排気を要請する外部電気信号によって、常時閉の機能を有する電磁弁12、13は開モードになり、圧力空気はベンチュリ管8を通過噴射し、真空吸引管2を通じて金型もしくは他の容器からガス又は空気を吸入して、ベンチュリ管を通過した空気と共に回収管3を経て貯タンク9に入る。
又、電磁弁12、13の閉動作はタイマによって制御する。
【0017】
ベンチュリ管8によって吸引された空気は貯タンク9の回収管接続口3aに付設するエアクリーナ17を通過して清浄空気にする。
そして貯タンク9内に付置する触媒コンバータや活性炭18によって揮発性ガス分の分解無害化を行い清浄空気を作る。
【0018】
貯タンク9の空気圧は、一次側外部配管の圧力空気とベンチュリ管8が吸い込んだ空気が混じっており、その圧力は一次側配管内の圧力より低くなる。貯タンク9に付設する圧力スイッチ19は、タンク内圧力の下限設定値を検知すると電気信号を常時閉モードの電磁弁14,15に送信し、開モードに変換して貯タンク9の空気を増圧弁11に供給する。そして増圧弁11は空気の加圧動作を開始する。
【0019】
増圧弁11によって加圧された空気は、3ポート電磁弁15を介して蓄圧タンク10に充填する。蓄圧タンク10の空気圧が設定した圧力に到達すると、圧力スイッチ20は電気信号を電磁弁14,15に送り、それぞれの動作モードを変更する。即ち、電磁弁14は閉モードになり、増圧弁11は空気の供給を止められて加圧動作を停止する。又、3ポート弁15は空気の流れ方向が切り替えられて、蓄圧タンク10から高圧空気をリターン管7へ供給する。
【0020】
ベンチュリ管8に供給する空気は、一次圧供給管1に組み込まれたシャトル弁16によって選択される。蓄圧タンク10内の空気圧力は、工場内配管を流れる一次側空気の圧力よりも高く設定されているので、高圧優先のシャトル弁16は蓄圧タンク10が供給する再生空気を選択してベンチュリ管8に供給する。本発明による真空発生装置は、このような空気の流れによって、エンドレスに空気が循環する。
【実施例】
【0021】
図2は、貯タンク9の断面図である。ベンチュリ管8で消費した空気と吸い込まれた空気は、回収管3と接続する回収管接続口3aから貯タンク9に充填する。又、増圧弁11が排気した空気は増圧弁排気管5を経て、回収管3の分岐管から貯タンク9に充填される。貯タンク9に流入する空気はエアクリーナ17のフィルタを通過してヒュームや粉塵を精密ろ過し、ヒュームの中の揮発性ガスは触媒コンバータ又は活性炭18によって化学的処理又は吸着によって清浄空気を作る。
【0022】
貯タンク9が本体と蓋に分割しているのは、エアクリーナ17と触媒コンバータのメンテナンスを容易に行うためである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、低真空域で真空の役割を十分に担える産業分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】 本発明の実施の形態に係る真空発生装置の配管構成を示す配管図である。
【図2】 ベンチュリ管8が消費した空気と吸い込んだ空気、そして増圧弁11が排気した空気を回収する貯タンク9の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 一次圧供給管
2 真空吸引管
3 回収管
3a 回収管接続口
4 増圧弁供給管
4a 増圧弁供給管接続口
5 増圧弁排気管
6 高圧管
7 リターン管
8 ベンチュリ管
9 貯タンク
9b シールパッキン
10 蓄圧タンク
11 増圧弁
12,13,14 2ポート電磁弁
15 3ポート電磁弁
16 シャトル弁
17 エアクリーナ
18 触媒コンバータ又は活性炭
19、20 圧力スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンチュリ管の排気孔と、空気清浄装置を付設した空気溜めの貯タンクを空気配管で接続して、ベンチュリ管が吸い込んだ空気と消費した空気を貯タンクに回収して清浄にし、その貯タンクから清浄空気をベンチュリ管に還流供給する密閉型配管構成を特徴とする真空発生装置。
【請求項2】
前記真空発生装置における貯タンクの構成は、本体と蓋の二体から成り、その内部には空気導入孔に連接する排気クリーナーと貯タンク内部に触媒コンバータ又は活性炭を付設したことを特徴とする貯タンク。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−85203(P2009−85203A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280950(P2007−280950)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(500125238)株式会社システムリソーセズ (4)
【Fターム(参考)】