説明

真空補助式創傷ドレッシング

創傷部位に対して局所的負圧療法を施すための装置が開示され、この装置は、中に創傷部滲出液流体を保持するための創傷接触要素と、創傷接触要素および創傷部位を覆う実質的に気密のシールを形成する創傷カバー要素と、真空源に対して創腔を連結する真空連結チューブと、真空連結チューブの遠位端部に連結される真空源とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定しないが特に比較的小面積および/または比較的小体積の創傷を治療するための、局所負圧(TNP: topical negative pressure)補助式創傷ドレッシングに関する。
【0002】
本発明の主題は、真空源を使用するが、創腔内において吸収性自己凝集材料を使用することにより、従来の態様において創傷部滲出液を管理する、小サイズから中サイズの創傷を管理するための装置である。局所的な気化によるものを除けば、流体は、創腔の場所から送出されない。このような態様により、着用者にとっての不便性が最小限に抑えられた、極めて可搬性の高いシステムを提供することが可能となる。
【背景技術】
【0003】
TNP治療法は、比較的近年において商業的成功をおさめた。特許文献1およびそのファミリ出願が、可搬式TNP治療装置について記載している。記載されたこの装置は、創傷部位の近傍の組織および組織力学を機械的に補助し、かかる部位からの滲出速度は、特許文献1に記載の、または特許文献2および特許文献3などに記載のシステムを要する。この特許文献2および特許文献3に記載の発明は、ドレッシングが通常定位置に残されることとなる期間よりも短い、比較的短い時間において発生する体積の流体に対処するために、創傷部滲出流体が吸引される遠隔排出物レセプタクルを有する。しかし、約200cm2を下回る表面積の創傷または約1000cm3を下回る内部体積の創傷については、これらの解決策は、最適なものとはならない場合がある。これは、これらの創傷からの浸出液の体積および滲出速度が、3〜7日おきのドレッシングの交換を要する、より従来的な創傷ドレッシングによって、管理することが可能であるためである。かかる創傷が比較的小さな寸法である場合には、先行技術において開示された従来的なTNP療法に関して、これらの解決策は、魅力的なものとはならない。これらのデバイスは、典型的には、遠隔真空源、流体移送開口および遠隔流体収集レセプタクル、制御装置、ならびに電源を備え、それらの便宜性を上回る寸法および重量からなるものとなり、または、患者が搬送する際には分離されたものとなる。
【0004】
先行技術において記載されているTNP装置の一般的原理には、流体透過性創腔充填要素、創傷を覆い創傷の周囲にて適度な気密性のシールを形成するためのドレッシング、ならびに、流体収集キャニスタを介して真空源に創傷部位/創腔充填要素を連結する排液チューブが含まれる。創傷充填要素の正確な性質は、この分野における多数の発明の主題となっている。この装置の作動モードは、創腔に対して負圧を印加して、創腔充填材を圧縮させ、周囲の組織を創腔内へと膨張させるものである。創傷部浸出液は、周囲の組織から、依然として有孔性のままの腔充填材を経由して、排液チューブに沿って、遠隔収集レセプタクル内へと引き込まれる。先行技術の重要な特徴は、負圧下において圧縮された場合に、創腔充填材が十分な有孔性を保持することが可能であることであり、これにより、組織から排液チューブまたは吸引チューブへの流体の移送が可能となる。有孔性は、例えばヒドロゲルにおける分子レベルにて、または、例えばヒドロセルフォームにおける光顕レベルにて、助長させることが可能である。流体の流れを促進するためには、疎水性充填材が、この分野の作業者によってとりわけ望ましいものとして見なされており、吸収性充填材は、流体移送の妨げとなるため、とりわけ望ましくないものとして見なされている。
【0005】
TNP療法の原理とは対照的に、従来的な創傷ドレッシングの一般的原理は、創腔内または創傷表面の近傍のいずれかにおける、創傷位置での創傷部浸出液の局在化である。このためには、流体の自由な流れを遅らせ、好ましくは流体を吸収し局在化させる、極めて吸収性の高い材料が望ましい。ConvaTec Ltd社により作製されるAquacel(商標)は、不織ドレッシングの一例であり、これは、かなりの量の流体を吸収し、この流体をドレッシング内に効果的に閉じ込める。Smith & Nephew Ltd社により作製されるAllevyn(商標)は、フォームドレッシングの一例であり、これは、かなりの量の流体を吸収すると共に、高透湿性上部フィルムを介した迅速な蒸散が可能となる。
【0006】
概略的に述べると、先行技術は、創傷の部位から離れる方向への真空補助式流体移送をもっぱら対象とする。通常は従来的な創傷ケアドレッシングにおいて使用される材料を含む、非常に広範囲にわたる様々な創腔充填/接触要素が、先行技術において述べられ、例示されている。これらの場合においても例外なく、腔充填/創傷接触要素は、それ自体において創傷から流体を移送して、真空源に連結された吸引チューブを経由して遠隔収集キャニスタに送るための、導管としての役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第9605873号パンフレット
【特許文献2】英国特許第2378392号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/082435号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、従来的な吸収性ドレッシングのみを使用することに訴えることなく、とりわけ約200cm2を下回る小表面積の、または1000cm3を下回る内部体積の創傷の管理に関する先行技術の制限を解消または軽減させることである。本発明の他の目的は、真空デバイスの可搬性の問題を解消するまたは最小限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、創傷部位に対して局所的負圧療法を施すための装置であって、創傷部滲出液流体を中に保持するための創傷接触要素と、創傷接触要素および創傷部位を覆って実質的に気密のシールを形成する創傷カバー要素と、創傷接触要素を真空源に連結するための真空連結チューブと、真空連結チューブの遠位端部に連結された真空源とを備える装置が提供される。
【0010】
創傷接触要素は、大気圧と大気圧を200mmHg下回る圧力との間の圧力下において、創傷接触要素自体を越える液体の移送を実質的に阻止する。好ましくは、創傷接触要素材料は、大気圧を最大で250mmHg下回る圧力において、創傷接触要素材料自体を越える液体の移送を阻止する。
【0011】
本発明は、創傷を管理するためのドレッシングを備える装置に関する。現行の治療法およびTNP療法の分野における先行技術とは対照的に、本発明は、創傷にTNPの多数の利点を享受させつつ、創腔の拘束部からの創傷部流体の移出を不可能にするシステムを提供する。この装置は、創傷に対する前述の負圧の印加下において、創傷接触要素自体を越えて流体が移送されるのを不可能にする創傷接触要素に依拠する。
【0012】
本発明によるこの装置の特定的な一利点は、創傷の直近部に創傷流体を拘束することにより、極度に小さく軽量の、およびその結果として可搬性の高い真空源と、この真空源を創傷部位ドレッシングに好都合に簡単に結合および結合解除する手段とを提供することが可能となり、これにより、先行技術の装置の有用性および可搬性における大きな制限が解消される。
【0013】
本明細書においては、「創傷接触要素」という語は、創腔に充填されるまたは創傷を覆う装置/ドレッシングの部分を意味する。創傷接触要素の性質は、その成分または構造が、上記において特定された圧力範囲の下において、それ自体から離れようとする滲出液の流れを実質的に阻止することが可能である限りにおいては、限定されない。
【0014】
例えば、創傷接触要素は、液体と接触状態になる際に閉じる液体作動弁を備えてよい。かかる弁は、創傷カバー要素の真空チューブ連結点の近傍に位置してよい。したがって、液体に接触されると、この弁は閉じ、液体は真空弁から全く移送されない。この弁は、電気機械弁、または液体との接触時に膨張して拘束部内において閉じる水吸収性材料から構成されるスマート弁であってよい。水吸収性材料は、弁内の限定された孔内に配置されてよい。かかる弁と創傷との間に配置される創傷接触要素は、吸収材または非吸収材であってよいが、好ましくは吸収材である。充填材は、この実施形態においては、例えば、ガーゼ、発泡体、織成物、不織物、編物、または成形材料などの、任意の医療適合性組成物であってよい。
【0015】
代替としては、創傷接触要素は、創傷部滲出液を吸収することが可能であるが、この流体を真空チューブに移送不能にするように構成された適切な材料を、全体的にまたは部分的に含んでよい。この構成は、2つのパラメータ、すなわち、創傷接触要素を構築する材料からの出口(または複数の出口)の孔と、濡れた場合の材料の機械的完全性とによって、規定される。例えば、滲出液で満ちた吸収性材料は、それ自体において、真空連結チューブに沿って変位されなくともよい。これは、いわゆる超吸収性材料と呼ばれる粒子または繊維について、特に問題となる。なぜなら、これらは、流体により完全に飽和状態になった場合でも、真空レベルが有効に維持されることが不可能となるのを下回るサイズの非常に小さな孔を介して進むことが可能であるためである。実際に、これは、真空を伝達するチューブが狭いほど、真空源からの距離に伴う真空圧の低下が大きくなり、負圧におけるこの低下は、肉眼で視認可能なボアについては無視できるものであるが、ボアが直径1mm未満まで小さくなると、大きなものになり得る。これらの問題を克服するために、現行において利用可能なものと比較した場合に自己凝集特性が著しく向上した吸収性材料が、本明細書と共通の所有権の同時継続特許出願GB719065.5において記載されている。
【0016】
吸収性材料が、創傷接触要素内に含まれ、この吸収性材料が、必ずしも流体移送阻止要素として作用しない場合には、この材料は、好ましくは、自体の重量の5倍を上回って、より好ましくは自体の重量の10倍を上回って、さらにより好ましくは自体の重量の15倍を上回って流体において吸収することが可能であってよい。かかる高w/w流体吸収度は、創傷が低重量材料により初めにドレッシングを施され、それにより創傷および患者に対するストレスを低下させることが可能となるので、望ましい場合がある。
【0017】
この目的に特に適した材料の1つの群は、超吸収性材料と呼ばれ、例えばポリカチオン性ポリマーまたはポリアニオン性ポリマーなどに基づくものである。超吸収性ポリアニオン性ポリマーは、カルボキシアルキルセルロースまたは構造誘導体などの、ポリサッカライドのポリアクリル酸塩およびポリ酸誘導体を含む。好ましくは、材料がポリアニオン性である場合には、この材料は、ポリアクリル酸塩もしくは誘導体、またはカルボキシメチルセルロースもしくは誘導体であってよい。好ましくは、材料が、ポリカチオン性である場合には、この材料は、キトサンベースのものであってよく、より好ましくは、カルボキシアルキルキトサンもしくは誘導体、さらにより好ましくはカルボキシメチルキトサンであってよい。
【0018】
特定の好ましい一材料は、流体吸収時に自己癒合することが可能な超吸収性材料である(本出願者らのGB0719065.7を参照されたい。参照によりその内容は、本明細書に含まれる。)。これらの材料は、それらの境界を越える液体の移送を有効に阻止することが可能であり、さらに、負圧の影響下においてまたは創腔内の負圧による外部から加えられる物理的ストレスにて、それら自体が流れるまたは分解されることがない。
【0019】
好ましい材料特性は、創傷部位において流血が生じる場合に迅速な止血を達成することが可能であることであり得る。
【0020】
別の好ましい材料特性は、材料に接触することとなるバクテリアまたは菌などの病原体を殺傷することが可能であることであり得る。好ましくは、この材料は、元来、抗菌性のものである。
【0021】
カルボキシアルキルキトサンベース材料は、適切には、止血性および抗菌性のものである。
【0022】
創傷接触要素材料は、流体の進入および吸収が可能となるが、創傷接触要素から離れるように流体が流れるのを阻止するのに適した任意の形態で提供されてよい。適切な設計は、ウィッキング繊維の網状組織内に超吸収性粒子が拡散したもの(例えばオムツに使用されるものなど)、あるいは、連続気泡発泡体、編物、ラミネート、織成材料、もしくは不織材料などの、超吸収性材料を含む網状組織材料または不連続材料を含む。好ましくは、この材料は、おおむね二次元的な創傷に対して適用するための不織シート、または、おおむね三次元創腔に対して適用するための不織球の形態をとってよい。
【0023】
創傷カバー要素は、液体流に対して実質的に不透過性の任意の材料であってよいが、水蒸気の移送に対しては実質的に透過性のものであってもなくてもよい。創傷カバー要素は、好ましくは、創傷接触要素および患者の皮膚に接触する側に適宜被覆され得る、または、創傷接触要素および患者の皮膚に接触する側が皮膚に接着するものと見なされ得るように製造される、高従順性の透明材料である。この場合に、接着剤は、負圧のない状況において定位置に留まることが可能となるものを意味するものと理解される。高従順性透明創傷カバーを製造するための適切な材料は、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、シリコーンベースポリマー、または、これらの材料の任意の組合せを含む複合物を含む。
【0024】
創傷カバー要素は、例えばSmith & Nephew Medical Limitedにより製造されるAllevyn(商標)などの、例えば吸収性発泡体から構成されるものなどの、従来的な創傷ドレッシングであるか、または、3M Inc.により製造されるTegaderm(商標)などの、非吸収性フィルムであってよい。
【0025】
創傷カバー要素は、例えば、創傷カバー要素中の中央孔またはラジアル方向孔(または複数のラジアル方向孔)など、創傷カバー要素に真空連結チューブを連結する手段を適宜備えてよい。創傷接触要素は、市販されている弁およびポートなどのルアー嵌着物、磁気結合物、接着シート、または接着テープなどを含む、当業者には既知の任意の手段により、創傷手段を介して真空連結チューブに連結されてよい。創傷カバー要素に対する真空チューブの連結は、好ましくは、真空連結チューブの端部に配置された非接着性エラストマーカップを介して、および、創傷カバー要素自体に配置される感圧弁を介して、達成されてよい。感圧弁は、例えば5から200mmHgの間など、ある特定の大きさの差圧がその2つの表面にわたって存在する場合には、開くことができる。エラストマーカップおよび感圧弁を構成する材料は、好ましくは、シリコーンベース材料であってよい。結合システムが、患者にとって好都合なように、結合および結合解除の反復に適したものであると、望ましい。
【0026】
任意には、これらの結合要素は、抗生物質、銀化合物、銀材料、ヨウ素ベース調合物、ポリヘキサメチレンビグアニド、トリクロサン、またはクロルヘキシジンなどを含むがそれらに限定されない、抗菌性材料を注入されるまたはそれらで被覆されてよい。好ましくは、これらの要素は、銀クラスターで被覆されてよい。
【0027】
真空連結チューブは、真空源から創傷接触要素に負圧を伝達するための任意の適切な機械的特性部およびボアであってよい。しかし、創傷接触要素の構成に応じて、チューブのボアは、創傷接触要素の乾燥成分または水和成分を伝達することが不可能となるようなものであってよい。チューブは、可能な限り従順および軽量のものであってよく、コイル状または直線状であってよい。チューブは、単一穴または多数穴のものであってよく、または、穴の組合せであってよく、単一の創傷部位もしくは多数の創傷部位を管理するための分離したチューブ状要素を形成するように、適宜に分離されておよび/または再接合されてよい。チューブは、不透明または透明であってよい。
【0028】
創傷接触要素および創傷カバー要素は、適宜、単一の要素として組み合わされてよい。
【0029】
創傷カバー要素および真空連結チューブは、適宜、単一の要素として組み合わされてよい。
【0030】
創傷接触要素、創傷カバー要素、および真空連結チューブは、適宜、単一の要素として組み合わされてよい。
【0031】
真空源は、任意の入手可能なものであってよく、例えば被圧縮ばねなどにより適宜に機械的に作動されてよく、先行技術において知られているような真空生成手段としてのシリンジを備えてよく、または、例えば真空ポンプなど、電気的に作動されてよい。好ましくは、真空源は、大気圧に対して-10mmHgから-250mmHgの範囲内の真空を生成することが可能であってよい。さらに好ましくは、真空源は、大気圧に対して-10mmHgから-250mmHgの範囲内の真空を生成することが可能な真空ポンプである。このポンプは、任意の好都合な手段により真空を生成することができ、ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、ベンチュリ効果ポンプ、および他の変位ポンプが、この目的のために適し得る。
【0032】
真空源は、好ましくは、500gを下回る重量であってよく、より好ましくは100gを下回る重量であってよく、さらにより好ましくは50gを下回る重量であってよい。
【0033】
真空源が、電気的に作動される場合には、電源は、幹線供給、電池供給源、または時計仕掛け発電機、太陽電池、温度差電池、または、キネティックオートリレイタイプの電源などの局地的発電供給源であってよい。好ましくは、電源は、電池であってよい。
【0034】
電源が電池である場合には、電池は、使い捨て式または再充電式のものであってよい。電池が再充電式である場合には、再充電は、真空ハウジング用のまたは電池自体用の充電ステーションにより達成され得る。電池寿命は、好ましくは、12時間を上回るものであってよく、より好ましくは24時間を上回るものであってよく、さらにより好ましくは72時間を上回るものであってよい。電池は、好ましくは、100gを下回る重量のものであってよく、より好ましくは50gを下回る重量のものであってよい。
【0035】
電源および真空源は、別個に収容されてよく、または一緒に収容されてよい。好ましくは、これらは一緒に収容される。収容される際には、電源および真空源およびハウジングの総重量は、好ましくは1kg未満であってよく、より好ましくは500g未満であってよく、さらにより好ましくは200g未満であってよい。ハウジングは、任意の構造のものであってよいが、好ましくは、患者および/または看護者が取り扱うおよび運搬するのに好都合となるように適合化される。さらに、ハウジングは、好ましくは、15×15×6cm未満の寸法のものであってよい。
【0036】
本発明の第1の態様の装置は、創傷を管理するために創傷に適用され得る。この装置の一般的な原理は、創傷に対する創傷接触要素の適用、創傷カバー要素による創傷接触要素のカバー、および、真空連結チューブを介した真空源に対する創傷接触要素の結合である。上述のように、2つ以上のこれらの要素が、単一体として提供されてよい。好ましくは、大まかに2次元の創傷に対して、創傷接触要素および創傷カバー要素は、単一体であってよい。この組立体は、その上面中に感圧弁を含んでよく、適切な手段により創傷の周縁部に装着されてよい。患者に対するドレッシングの装着は、結合手段がない状態において、負圧の印加のみによって達成されてよく、または、結合手段により達成されてよい。好ましくは、装着は、例えば、創傷カバー要素の皮膚接触表面に塗布される感圧接着剤などの結合手段によって、達成されてよい。結合手段が、感圧接着剤である場合には、結合手段は、好ましくは、ポリ(アクリレート)ベースまたはシリコーンベースの調合物であってよい。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、創傷部位に対して局所的負圧療法を施すための装置であって、創傷を覆って実質的に気密のシールを形成する創傷カバー要素と、真空減に対して創傷カバー要素を連結する真空連結チューブと、真空連結チューブの遠位端部に連結される真空源とを備え、創傷カバー要素が、創傷カバー要素および創傷によって画成された創腔から出る流体流のみを可能にする、創傷カバーに関連付けされた弁手段を有する装置が、提供される。
【0038】
創傷接触要素および創傷カバー要素が、定位置に位置すると、真空源が作動され、好ましくは真空源に装着された真空連結チューブが、創傷カバー要素中の孔または弁を介して創傷カバー要素に連結されてよい。負圧療法を施す間の任意の時点にて、創傷カバー要素に対する真空連結チューブの結合は、可逆的に、患者または看護者の都合に合わせて解除するまたは再確立することができる。
【0039】
本発明の第1の態様または第2の態様のいずれかによる装置の一実施形態においては、ドレッシング創傷カバー要素は、上述の逆止弁を備えてよく、この弁は、空気の形態の流体が真空連結チューブを介して創傷カバー要素により画成された創腔から引き出されるのを可能にすることが基本的にできる。上述のように、真空連結チューブは、好ましくは、患者が真空源を取り外すことが可能であり、ドレッシングが定位置に残されるが、例えば創傷カバー要素中の逆止弁の存在などによりバクテリアおよび感染を生じさせる恐れのある媒体の進入に対してシールされるように、ドレッシング/創傷カバー要素に対して損傷を与えることなく、ドレッシング/創傷カバー要素に反復的に連結および連結解除可能であってよい。逆止弁手段は、例えば、Mini Valve Internationalによる「miniValve」の商標の下で販売されているものなど、TNPセラピーの分野以外の多数の異なる用途のために市販されているような、単純なプラスチック材料の自動防漏弁であってよい。
【0040】
望ましくは、真空連結チューブは、創傷カバー要素フィルム材料に損傷を与えることなく、連結/連結解除の反復を容易にするように、非接着性手段によってドレッシング/創傷カバー要素に装着され得る。これに関して、真空連結チューブは、真空連結チューブのドレッシング端部にて「吸引」手段により連結されてよく、この吸引手段は、例えば、真空連結チューブと流体連通状態にある、および、創傷カバー要素中の弁手段を覆って配置されてよく、周りを囲む創傷カバー要素材料と共にシールを形成する、例えばカップ形状、ドーム状、またはベル形状の、従順なプラスチック材料部材の形態をとってよく、この吸引手段は、真空源自体により生成される真空によってドレッシング/創傷カバー要素の上に定位置に保持される。さらに、真空連結チューブの連結解除は、真空源への電源を単にオフに切り替えることによって、または、吸引手段の端部を持ち上げることにより吸引手段のシールを単に解除することによって、実施され得る。(吸引手段は、この意図的な操作により容易に取り外すことが可能であるが、例えば真空連結チューブを引っ張ることによるなど、垂直方向延伸力によって偶然に容易に外れることは可能ではないことに留意されたい。)
【0041】
創傷接触要素が、創傷部滲出液で飽和した状態になると、真空連結チューブは、連結解除されてよく、創傷接触要素および創傷カバー要素(またはそれら2つの物理的組合せ)は、新しいセットに交換することが可能となる。
【0042】
本発明の主題である装置による管理に適した創傷は、皮膚、筋肉、軟骨、腱、骨、および内部臓器を含む、軟組織および硬組織に対する創傷を含む。
【0043】
本発明の第2の態様においては、高吸収性材料の創傷接触要素は、存在しなくてもよく、創傷部滲出液は、真空源により創腔から遠隔排出物レセプタクルに吸引されてもよい。
【0044】
以下、本発明をさらに十分に理解するために、添付の図面を参照して、もっぱら例示として例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による装置の一実施形態の概略断面図、および、TNP療法によって治療されつつある創傷を示す図である。
【図2A】図1の構成の簡略図および創傷接触要素の飽和化の進行を示す図である。
【図2B】図1の構成の簡略図および創傷接触要素の飽和化の進行を示す図である。
【図2C】図1の構成の簡略図および創傷接触要素の飽和化の進行を示す図である。
【図3】液体接触作動弁の図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に図面を参照すると、同一の構成部が、共通する参照番号により示される。
【0047】
図1は、本発明による装置12の一実施形態が創傷のTNP療法のために創傷10に適用された、創傷10の概略断面図を示す。創傷10は、創傷接触要素14が、創傷により画成された空洞部内に配置され、この創傷接触要素は、周りを囲む健康な皮膚16とほぼ同一の高さにある。創傷カバー要素18が、創傷を覆って適用されて、創傷カバー要素材料の皮膚接触表面上に塗布された感圧接着剤の層(図示せず)を介して、周りを囲む健康な皮膚に接触し、健康な皮膚と共にシールを形成する。創傷カバー要素18は、創傷および創傷接触要素14の一部の上方の区域に孔20を有する。逆止弁22が、創傷カバー要素18および創傷10自体により画成される創腔24から空気の形態の流体を抽出することが可能となるように、孔20内に配置される。この例における、電池作動式真空ポンプの形態の真空源26が、真空連結チューブ28と、真空連結チューブ28の端部を中に受けるための孔32を有するカップ形状連結部材30とによって、創腔に連結される。カップ形状部材30は、創傷カバー要素18の材料の上方表面36の上に置かれ、この上方表面36と共にシールを形成する、フランジ部分34を有する。弁22は、例えばシリコーンプラスチックベース材料など、通常は成形材料の弾性によって閉じられるオリフィス40を有する。オリフィス40は、通常は2つのリップ42、44によって閉じられるスリットの形態である(弁オリフィスの形状は、マイナスねじ回しになぞらえられたものでよく、図1の弁オリフィス40は、ページの平面に対して垂直に延在する)。弁22は、初めは、創傷カバー要素18の材料の下側に対接するフランジ部分46、ならびに円形鞍部48および孔20内に保持される凹部50によって、創傷カバー要素材料18内に保持され、創傷カバー要素材料18に対してシールされる。創腔24を真空排気するために、真空ポンプ26が、始動され、カップ形状部材30が、弁22の上方の創傷カバー要素材料の上に配置され、創腔24内の圧力の低下により、カップ形状部材30が、周りを囲む周囲空気の超過圧力によってドレッシングに対して固定的にシールされる。創腔内の真空化が進むと、創傷カバー要素18は、周囲空気圧によって創傷接触要素14に対して下方に押され、創傷接触要素14は、創傷表面に対してTNP療法を適用するように、創傷表面
に対して圧縮される。
【0048】
カップ形状部材30のフランジ部分34の下方表面が、創傷カバー要素材料の上に接着的に塗布され、そのように保持されることが、完全に実現可能である一方で、この例においては、創傷ドレッシングに対する真空連結チューブ28の保持は、もっぱら上述のように周囲空気圧によっている。患者が、真空ポンプ26を取り外し、置き去ることを望む場合には、これは、単に、ポンプ26を回転させ、真空の低下を可能にし、カップ形状連結部材30を取り外すことによって、達成され得る。この場合には、弁22は、自己防漏式のものであり、創腔24へのバクテリア等のアクセスを防止する。
【0049】
上記において例示された弁22は、Mini Valve Internationalにより供給されるminiValve(商標)である。しかし、この弁は、単に例示のものであり、多数の他のタイプの適切な弁が、市販されている。例えば、国際特許出願PCT/EP2008/063046は、水和物に癒合し、液体と接触すると閉じる弁を提供するために使用され得る構成物を開示している。この出願は、参照により本明細書に完全に含まれるが、新たな物理的変換を可能にする適切な構成物を簡単に開示している。当該の物理的変換は、水和時に、第1の安定的な物理的構造から、第2の安定的な物理的構造への転換を伴い、水和により、第1の安定的な物理的構造の空間的分離要素または表面の癒合(融合)が可能となる。
【0050】
各構造は、物理的に安定的である。したがって、第1の安定的な物理的構造を過剰溶液中に浸漬することにより、溶解による材料質量の著しい低減を伴わずに、第2の安定的な物理構造への転換が得られる。すなわち、第2の安定的な構造は、過剰溶液中において、不溶性であり、または、非常に限定された可溶性のみを有する。第2の安定的な物理構造は、過剰溶液中にある場合に、または過剰溶液から取り出す場合に、その形状を保持することが可能であるように、少なくとも実質的に自立的である。第2の安定的な物理的構造の典型的な好ましい形態においては、本発明の材料は、ゲル材料もしくはゲル様材料である。
【0051】
この構成物の特徴は、第1の物理的構造および第2の物理的構造の両方における、物体の物理的等質性である。
【0052】
この新規の変換により、乾燥状態および水和状態における物理的に安定した形態を呈することが可能な材料から、少なくとも部分的に物体を構築することにより可能になる。さらには、この材料の水和状態は、過剰溶液中に浸漬される場合でも、融合が生じるように十分に自己凝集性でなければならない。これは、限定された物質の状態に対して独特な特性であると考えられ、本発明の例示のためにその一部が用意される。
【0053】
大まかには、この物質の成分は、適切な構造の物体へと形成される場合には、適切な溶媒内における水和時に自己癒合することが可能である。
【0054】
この成分の第1の態様によれば、少なくとも2つの別個であるが隣接する表面を含む第1の状態と、ポリマーが均質体から構成される第2の状態とを有する高分子量カチオン性ポリマー材料が提供され、この材料は、水和時に第1の状態から第2の状態に変換する。
【0055】
したがって、水和時には、この材料は、膨張し、表面は、合併し癒合して、任意の次元において均一な特性を有する自立材料、典型的にはゲル材料もしくはゲル様材料からなる本体が得られる。表面および他の境界部は、材料体内には存在しない。さらに、材料体は、水和溶媒中においては不溶性であるか、または少なくとも限定された可溶性のものであり、荷重(例えば重力)下においてその物理的構造を保持することが可能である。
【0056】
「適切な構造」という語は、物体の分離された(例えば、空間的には分離されるが、物理的には必ずしも分離されない)要素または表面が、水和有機膨張時の癒合を可能にするのに十分に近接した構造を説明するものと理解される。
【0057】
「適切な溶媒」という語は、物体により吸収され、物体を膨張させ、物体の物理的特性(例えば表面エネルギー)に変化を生じさせることが可能な流体(液体またはガス)を説明するものとして理解される。適切な溶剤は、典型的にはおよび好ましくは、水性媒体である。
【0058】
「自己癒合性」という語は、2つ以上の空間的に分離された物理的に均質の要素が単一の物理的に均質な要素に変形すること、または同一の要素のこれまで空間的に分離されていた表面の融合を説明するものとして理解される。
【0059】
物体を形成することが可能な物質の適切な成分は、カチオン電荷バイアスを伴う双性イオン(アニオン電荷およびカチオン電荷の両方を荷う)ポリマーを含む高平均分子量カチオンポリマーの全体または一部から構成されるものである。カチオンポリマーは、合成ポリマーもしくは自然生成ポリマーであるか、またはそれらのいずれかの誘導体であってよい。好ましくは、カチオンポリマーは、アミン官能性を有するものである。より好ましくは、カチオンポリマーは、多糖である。さらにより好ましくは、カチオンポリマーは、キトサンまたはキトサンの誘導体である。キトサンは、海洋生物または菌の任意のソースに由来するものであってよく、好ましくは、10kDa(キロダルトン)を超える、より好ましくは100kDaを超える、最も好ましくは200kDAを超える重量平均分子量(Mw)のものであってよい。
【0060】
ポリマーが、キトサンの誘導体である場合には、ポリマーは、好ましくは、カルボキシル化誘導体である。より好ましくは、ポリマーは、キトサンのカルボキシアルキル誘導体である。さらにより好ましくは、ポリマーは、キトサンのカルボキシメチル誘導体である。キトサンのカルボキシメチル誘導体は、好ましくは、50kDAを超える、より好ましくは100kDAを超える、特には500kDAを超える、さらに特には600kDAを超える、特には700kDAまたはそれ以上の、重量平均分子量のものである。
【0061】
カルボキシメチル化は、好ましくは、既知の試薬、すなわち、塩基およびクロロ酢酸または好ましくはクロロ酢酸ナトリウムなどのクロロ酢酸の中性塩を使用して達成される。好ましくは、反応は、単一ステップにおいて実施され、すなわち、キトサン繊維または(好ましさにおいて劣る)粒子が、試薬溶液中に浸漬されるか、またはその逆が行われる。適切な反応溶剤は、アルコールの水との混合物を含む。アルコールは、任意の既知のものであってよいが、好ましくは、例えばイソプロパノールなどの、キトサンおよびカルボキシメチルキトサン用の非溶剤である。塩基は、任意の既知のものであってよいが、好ましくは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの水溶性無機塩基であり、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0062】
この成分の第2の態様によれば、
a. アルコールおよび水の混合物を含む反応溶剤中に溶解された、塩基およびクロロ酢酸またはその中性塩の溶液に、キトサンを混合するステップと、
b. 反応溶剤にキトサンを確実に十分にさらしつつ、少なくとも8時間の間、周囲温度にてこの反応の進行を可能にするステップと、
c. この反応が完了した際に、過剰アルコール含有溶剤中において反応性生物を洗浄するステップと
を含み、反応溶剤の体積(ミリリットル)が、キトサンの少なくとも20倍の質量(グラム)である、高分子量カルボキシメチルキトサンを調製する方法が提供される。
【0063】
好ましくは、高分子量カルボキシメチルキトサンは、少なくとも500kDA、さらに特に少なくとも600kDA、および特に700kDAまたはそれ以上の質量を有するカルボキシメチルキトサンを含む。
【0064】
好ましい一実施形態においては、反応溶剤の体積(ミリリットル)は、20倍を上回り70倍を下回るだけ、より好ましくは30倍を上回り40倍下回るだけキトサンの質量(グラム)を超過する。
【0065】
別の好ましい実施形態においては、クロロ酢酸ナトリウムの質量は、2倍を下回るだけ、さらに好ましくは1.2倍を下回るだけ、キトサンの質量を超過する。
【0066】
好ましい一実施形態においては、反応溶剤のアルコールは、イソプロパノールである。
【0067】
さらに好ましい実施形態においては、反応は、少なくとも8時間の間、より好ましくは少なくとも15時間の間、さらにより好ましくは少なくとも18時間の間、周囲温度にて実施される。
【0068】
ある特定の好ましい一実施形態においては、反応溶剤のアルコールは、イソプロパノールであり、クロロ酢酸ナトリウムの質量は、キトサンの質量の2倍を上回らず(さらに特には、1.2倍を上回らず)、反応は、少なくとも8時間の間、進行を可能とされる。
【0069】
キトサンが、粉末または繊維の形態において、反応用に提供される場合には、この材料は、反応期間の全体にわたって、混濁反応溶剤に十分にさらされるべきである。このプロセスは、当技術者により知られている任意の手段によって容易化することが可能であるが、例えば反応容器を回転させることによって簡単に達成することが可能である。
【0070】
この反応が完了すると、塩化ナトリウムまたはヒドロキシ酢酸ナトリウムなどの生成物の安定性に対して有害な反応副生成物が、実現可能な最大限の度合いまで除去されるべきである。これを達成するために、反応性生物は、好ましくは、少なくともアルコール(エタノールなど)60部および水40部(60:40)から構成される過剰溶剤中にて、1つまたは複数のステップにおいて洗浄される。
【0071】
1つ以上の洗浄ステップが好ましく、その場合には、第1の洗浄ステップは、好ましくは、後のステップよりも高い水の含有量を有し、水の含有量は、各洗浄ステップにおいて低減される。例えば、適切な2つのステップの洗浄処置が、少なくともエタノール60部および水40部(60:40)からなる過剰溶剤中における第1の洗浄と、少なくともエタノール90部および水10部(90:10)からなる過剰溶剤中における第2の洗浄とを伴う。
【0072】
したがって、好ましい一実施形態においては、反応性生物は、複数の洗浄ステージにおいて洗浄され、各洗浄ステージは、アルコールおよび水を含む溶剤を過剰に使用し、引き続く各ステージにおいて、溶剤は、比較的高い割合のアルコールから構成される。好ましくは、アルコールは、エタノールである。
【0073】
洗浄溶剤が、脆性をもたらし得る生成物の過剰な脱水を回避するように幾分かの水を常に含むことが、重要である。
【0074】
洗浄溶剤の成分は、エタノール、イソプロパノール、またはメタノールなどの任意の適切なアルコールを含んでよい。エタノールが好ましい。
【0075】
洗浄および溶剤除去により得られる生成物は、ガンマ照射、電子ビーム照射、またはエチレンオキシド処理など、医療デバイスの滅菌に典型的な方法によって、滅菌することができる。
【0076】
放射ベース滅菌の前には、洗浄された反応性生物は、十分に溶剤を除去された状態であるべきである。これは、当業者に知られている任意の乾燥プロセスによって達成することが可能である。好ましい乾燥プロセスは、40℃を超過しない温度にて、より好ましくは30℃を超過しない温度にて実施される。好ましくは、溶剤除去は、準大気圧下に材料を配置することによって、達成される。圧力は、好ましくは、500mbar未満であり、より好ましくは1000mbar未満である。乾燥プロセスの期間は、真空乾燥により達成される場合には、好ましくは8時間を超過し、より好ましくは12時間を超過する。
【0077】
洗浄および放射滅菌後の材料の重量平均分子量は、好ましくは120kDaを上回り、より好ましくは130kDaを上回り、洗浄およびエチレンオキシド滅菌後には、好ましくは400kDaを上回り、より好ましくは500kDaを上回る。最終生成物における機械的完全性の問題および流体にさらされる場合の溶解の問題を回避するように、これらの分子量が得られることが重要である。
【0078】
添加物および共成分は、最終滅菌の前に、上述のプロセスの任意のステージにて追加されてよい。これらの助剤は、鎮痛剤、麻酔剤、抗菌剤、抗癌剤、ニコチンもしくはニコチン置換物、または、ペプチド、タンパク(成長因子もしくは遅延剤、酵素(例えば組織デブリードマンを容易化するものなど)、DNAフラグメントもしくはRNAフラグメント)を含む他の合成もしくは天然由来の薬剤などの、局所的なまたは内部の医療用途に適する任意のものであってよい。
【0079】
添加物が、抗菌剤である場合には、添加物は、例えば、銀もしくは銀化合物、ヨウ素もしくはヨウ素化合物、ポリヘキサメチレンビグアニドもしくはクロルヘキシジンなどの抗菌剤、ゲンタマイシンなどの抗生物質、バンコマイシン、またはペプチドベース剤などであってよい。
【0080】
銀が、この調合物に導入される場合には、この調合物は、カルボキシメチルキトサンベースのものであり、添加は、好ましくは、カルボキシメチル化プロセスの際に適用されるものと同様の成分の溶剤混合物中への浸漬によって、達成される。
【0081】
第3の態様においては、この組成物は、2つ以上の固体表面を融合させる方法を実現するために使用することが可能であり、これらの表面は、初めは分離されているが(とりわけ空間的に分離されている)、1つまたは複数の物体の隣接し合う表面であり、本明細書において説明される自己癒合物質を含み、とりわけ本発明の第1の態様の高分子量ポリマー材料を含む。この方法は、前記表面を水性媒体中に浸漬して、次いで自己癒合材料を水和させ、膨張させるステップを含む。一実施形態においては、これらの表面は、初めは、同一の物体の空間的に分離された表面である。代替としては、これらの表面は、初めは、異なる物体の空間的に分離された表面である。これらの代替形態は、相互に排他的ではない。これらの表面は、繊維からなる表面であってよく、例えば織成繊維材料の、さらに特には不織の繊維材料の繊維からなる表面であってよい。かかる材料においては、これらの表面は、離間された部分、および、分離されつつも接触状態にある部分を有してよい。
【0082】
上述において規定された成分から製造され、本方法に適した物体は、水和時に癒合することが可能なように適切に設計される必要がある。例えば、離隔された直線状物体は、水和時に自己癒合する可能性はない。対照的に、一対の離隔されるが隣接する直線状物体は、水和時に膨張し癒合する可能性を有する。このコンテクストにおいて、「隣接する」とは、互いに約10mmの範囲内に位置することを意味する。したがって、適切な物体は、互いに10mmの範囲内に配置された、空間的に分離された要素または表面を少なくとも一部含むように規定され得る。好ましくは、空間的に分離された要素または表面は、互いに5mmの範囲以内に配置される。さらに好ましくは、空間的に分離される要素または表面は、互いに1mmの範囲内に配置される。いくつかの場合においては、例えば繊維ベース材料においては、隣接し合う表面の少なくとも一部が、接触状態にあってよい。
【0083】
上述の説明に適合する好ましい物理的形態は、織成材料および不織材料などの、繊維ベース材料である。他の適切な形態には、編物、連続気泡発泡体、および畝状材料を含むラミネートが含まれる。さらに複雑な構造は、リソグラフィ、マイクロ機械加工、およびエレクトロスピニングなど、当業者に既知の方法によって製造され得る。この成分およびその使用法は、高空所の形態に限定されず、固体モノリスを含む。繊維ベース材料は、好ましいが、繊維ベース不織材料は、特に好ましい。
【0084】
この成分は、使用時に、もっぱら自己癒合材料から構成される物体に限定されず、例えば、軟質組織代替物および接合インプラントを含むインプラント可能な金属もしくは生体適合性ベースデバイスなどの、通常の医療デバイス形態および自己癒合材料および表面コーティングの複合体などの複合体を含む。局所的創傷管理および内部創傷管理に適した複合体は、例えば粉末状の形態の、さらに特には繊維状の形態の自己癒合材料を含む発泡体、スラブ、およびフィルムなどの、ポリウレタンベース材料を組み合わせたものを含む。
【0085】
これらの成分から少なくとも部分的に構成されるデバイスが、流体の中に浸漬されると、デバイスは、流体を吸収し、膨張し、接触点を介して自己癒合する。特定の成分または特定の流体に使用は限定されないが、好ましい形態においては、および好ましい最終用途については、この流体は、最も好ましくは水ベースである。例えば、カルボキシメチルキトサンベース材料の場合においては、この流体は、好ましくは水ベースである。水ベース流体の例は、水、または、生理食塩水などの水溶液、または、全血、血漿、血清、唾液、創傷部滲出液、または骨髄吸引液などの生物学的由来流体を含む。
【0086】
説明された自己癒合材料の新規の材料特性は、多様な用途において利用することが可能であり、例えば、不可逆流体弁システムおよび成形材料などにおいて利用することが可能である。
【0087】
[実施例1]
自己癒合カルボキシメチルキトサン繊維の生成
A)合成
反応の直前に、クロロ酢酸ナトリウム(1.75g)を、4%水性水酸化ナトリウム溶液(7ml)中に溶解した。この溶液を、イソプロパノール(45ml)に追加して力強く加振し、混濁懸濁液を得た。この混合物を、キトサン繊維(1.50g)を収容した容器に追加し、このコンテナをシールし、約60rpmで18時間回転させた。
【0088】
B)洗浄ステップ
B1)ステップAの後に、今や透明化した反応溶剤から繊維を除去し、99:1のエタノール:水(200ml)を収容する容器に繊維を移した。この材料を1時間にわたり、15分おきに擾乱させた。1時間後に、この材料を取り出し、吸収性材料の複数の層の間において手で圧力をかけることにより、物理的に乾燥させた。大まかな乾燥の後に、この材料を周囲温度にて一晩真空乾燥させた。
【0089】
B2)ステップAの後に、今や透明化した反応溶剤から繊維を除去し、60:40のエタノール:水(200ml)を収容する容器に繊維を移した。この材料を1時間にわたり、15分おきに擾乱させた。1時間後に、この材料を取り出し、90:10のエタノール:水(200ml)を収容する第2の容器に繊維を移した。この材料を1時間にわたり、15分おきに擾乱させた。1時間後に、この材料を取り出し、吸収性材料の複数の層の間において手で圧力をかけることにより、物理的に乾燥させた。大まかな乾燥の後に、この材料を周囲温度にて一晩真空乾燥させた。
【0090】
[実施例2]
自己癒合カルボキシメチルキトサン繊維の生成(スケールアップ)
反応の直前に、クロロ酢酸ナトリウム(96.8g)を、4%水性水酸化ナトリウム溶液(387ml)中に溶解した。この溶液を、イソプロパノール(2490ml)に追加して力強く加振し、混濁懸濁液を得た。この混合物を、キトサン繊維(83.0g)を収容した容器に追加し、このコンテナをシールし、約60rpmで18時間回転させた。18時間後に、今や透明化した反応溶剤から繊維を除去し、99:1のエタノール:水(2000ml)を収容する容器に繊維を移した。この材料を1時間にわたり、15分おきに擾乱させた。1時間後に、この材料を取り出し、吸収性材料の複数の層の間において手で圧力をかけることにより、物理的に乾燥させた。大まかな乾燥の後に、この材料を周囲温度にて一晩真空乾燥させた。
【0091】
[実施例3]
自己癒合カルボキシメチルキトサン繊維の放射滅菌
実施例1のステップB2より得られた材料を、ガス透過性滅菌ポーチ内にパッケージングし、ガンマ照射によって30〜40kGyで滅菌した。ゲル透過クロマトグラフィによって滅菌前および滅菌後の材料の分子量を判定した。滅菌前の分子量は、約Mw700kDaであり、滅菌後の分子量は約Mw140kDaであった。材料の分子量の変化は、大きいものの、材料の物理的特性は、滅菌により大幅には変化しなかった。
【0092】
[実施例4]
自己癒合カルボキシメチルキトサン繊維のエチレンオキシド滅菌
実施例1のステップB2により得られた材料を、ガス透過性滅菌ポーチ内にパッケージングし、エチレンオキシド処理により滅菌した。ゲル透過クロマトグラフィによって滅菌前および滅菌後の材料の分子量を判定した。滅菌前の分子量は、約Mw700kDaであり、滅菌後の分子量は約Mw575kDaであった。材料の分子量の変化は、材料の物理的特性が滅菌により大幅には変化しないようなものであった。
【0093】
[実施例5]
自己癒合カルボキシメチルキトサン繊維の水吸収度
実施例3により得られた材料(100mg)を水(4ml)の中に1分間の間浸漬させ、引き上げた。過剰液体を排水させ、次いで、水和透明質量を秤量した。この材料は、著しい溶解を伴うことなく、水中においてそれ自体の質量の約25倍を吸収すると算出された。
【0094】
[実施例6]
自己癒合カルボキシメチルキトサン繊維の血清吸収度
実施例3により得られた材料(100mg)を血清(4ml)の中に1分間の間浸漬させ、引き上げた。過剰液体を排水させ、次いで、水和透明質量を秤量した。この材料は、著しい溶解を伴うことなく、血清においてそれ自体の質量の約13倍を吸収すると算出された。
【0095】
[実施例7]
水中におけるカルボキシメチルキトサン繊維の自己癒合
実施例3により得られた材料(100mg)を水(4ml)の中に1分間の間浸漬させ、引き上げた。過剰液体を排水させ、次いで、水和透明質量を4時間の間放置した。4時間後に、材料の各繊維は、自己癒合し、材料は、事実上等質の弾性ヒドロゲルとなり、荷重下においてその物理的構造を安定的に保持することが可能であった(図2)。
【0096】
[実施例8]
血清中におけるカルボキシメチルキトサン繊維の自己癒合
実施例3により得られた材料(100mg)を血清(4ml)の中に1分間の間浸漬させ、引き上げた。過剰液体を排水させ、次いで、水和透明質量を4時間の間放置した。4時間後に、材料の各繊維は、自己癒合し、材料は、事実上等質の弾性ヒドロゲルとなり、荷重下においてその物理的構造を安定的に保持することが可能であった。図2Aから図2Cは、創傷接触要素14内に創傷部滲出液が吸収されるステージを示す。基本的構成は、図1のものと同一であり得るが、図2の図面は、簡略化されたものである。図2Aは、創傷10内に新たに設置された清浄なドレッシングを示し、滲出液は、吸収されていない。図2Bは、一部に滲出液が満ちた創傷接触要素14を図示する。図2Cは、創傷部滲出液で飽和状態になった創傷接触要素14を図示する。しかし、創傷接触要素材料14の性質は、液体が、真空連結チューブ28によって、創腔24から、または実に創傷接触要素14自体から全く吸引されないものである。
【0097】
図3は、水和時に第1の安定的な物理的構造から第2の安定的な物理的構造に転換する実例を図示し、水和により、第1の安定的な物理的構造の空間的に分離された要素が自己癒合(融合)することが可能になる。Aの場合には、自己癒合は、単一要素の空間的に分離された表面の融合を含み、Bの場合には、表面は、2つの別個の要素の隣接し合う表面である。
【0098】
以下において説明される例は、図1および/または図2および/または図3に図示される装置構成の利用に基づく。
【0099】
〔実施例1〕
ex vivo創腔への図1の装置の適用。メスにより、ブタの脚関節中に直径5cm、深さ5cmの創腔を切削した。創腔の領域の筋組織に生理食塩水を注入して、実験の期間中に組織が十分に水和されるようにした。カルボキシメチルキトサン繊維の不織球からなる2つの創傷接触要素を創腔に詰め、中央に直径5mmの孔20を有する、Smith & Nephew Medical Ltd社により作製された接着性シリコーンゲルシートCica Care(商標)で創腔および充填材を覆った。コイル状真空ホースに装着されたルアーロック式嵌着物をこの孔内に挿入して、Virtual Industries Inc社により作製された電池作動式真空源Pac-Vac(商標)に連結させた。創縁において直ぐに収縮が観察され、不織球を、皮膚の表面と同一の高さにまで圧し下げた。擾乱を受けさせずに、このシステムを8時間の間定位置に置き、8時間後には、流体は、腔部のパッキングから全く出ず、その中に収集されていた。
【0100】
〔実施例2〕
図1に基づいて、Smith & Nephew Medical Ltd社により作製されたAllevyn Adhesive(商標)の創傷カバー要素14を有する装置を組み立てる。バイオプシーパンチを使用して、Allevyn Adhesiveの上部フィルム中に直径3mmの孔を作製した。Mini Valve International B.V.社により作製されたシリコーンエラストマードームminiValve(商標)のパーツ番号DO 072.004を、この孔の上に接着させた。Virtual Industries Inc社により作製される小型真空源であるPAC-VAC V3200(商標)を、真空チューブ28によってハンドメイドシリコーンゴムカップ30に結合させた。
【0101】
〔実施例3〕
実施例2のAllevyn Adhesiveに基づいて装置を使用する。メスによって、ブタの脚関節中に直径5cm、深さ5cmの創腔を切削した。創腔の領域の筋組織に生理食塩水を注入して、実験の期間中に組織が十分に水和されるようにした。カルボキシメチルキトサン繊維の2つの不織球からなる創傷接触要素14を創腔に詰め、実施例2において説明した修正されたAllevyn Adhesiveドレッシングで、創腔24および充填材を覆った。実施例2において説明した真空源をオンに切り替え、真空チューブカップを、Allevyn Adhesiveの上に中央に配置されたドーム弁を覆うように配置した。Allevyn Adhesiveドレッシングおよび創縁において緊縮が直ぐに観察され、不織球を、皮膚の表面と同一の高さにまで圧し下げた。擾乱を受けさせずに、このシステムを8時間の間定位置に置き、8時間後には、流体は、腔部のパッキングから全く出ず、その中に収集されていた。
【0102】
〔実施例4〕
実施例2において説明されたAllevyn Adhesiveに基づいて装置を使用する。メスによって、ブタの脚関節中に直径5cm、深さ5mmの浅い創傷を切削した。創腔の領域の筋組織に生理食塩水を注入して、実験の期間中に組織が十分に水和されるようにした。創傷接触要素14としてのカルボキシメチルキトサンの不織シートで創傷を覆い、創傷カバー要素18としての実施例2において説明した修正されたAllevyn Adhesiveドレッシングで、創傷および不織シートを覆った。実施例2において説明した真空源をオンに切り替え、真空チューブカップを、Allevyn Adhesiveの上に中央に配置されたドーム弁を覆うように配置した。Allevyn Adhesiveドレッシングの緊縮が直ぐに観察された。擾乱を受けさせずに、このシステムを8時間の間定位置に置き、8時間後には、流体は、創傷ドレッシングから全く出ず、その中に収集されていた。
【0103】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体にわたって、「備える(comprise)」および「含む(contain)」の語、ならびに、例えば「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」などのそれらの語の異形語は、「含むがそれに限定されない」ということを意味し、他の一部、付加、構成要素、完全体、またはステップを排除するように意図されない(そして排除しない)。
【0104】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体にわたって、単数形は、コンテクストが別に要求しない限り、複数形を包含する。とりわけ、定冠詞が使用される場合には、本明細書は、コンテクストが別に要求しない限り、単数形のみならず複数形を予期するものとして理解されるべきである。
【0105】
本発明の特定の態様、実施形態、もしくは例と組み合わせて説明される、構成部、完全体、特徴、複合体、化学部分、または化学群は、適合不能でない限り、本明細書において記載される任意の他の態様、実施形態、または例に適用可能なものとして理解されるべきである。
【符号の説明】
【0106】
10 創傷
12 装置
14 創傷接触要素
16 健康な皮膚
18 創傷カバー要素
20 孔
22 逆止弁
24 創腔
26 真空源
28 真空連結チューブ
30 カップ形状連結部材
32 孔
34 フランジ部分
36 上方表面
40 オリフィス
42 リップ
44 リップ
46 フランジ部分
48 円形鞍部
50 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷部位に対して局所的負圧療法を施すための装置であって、中に創傷部滲出液流体を保持するための創傷接触要素と、前記創傷接触要素および前記創傷部位とを覆う実質的に気密のシールを形成する創傷カバー要素と、真空源に対して創腔を連結する真空連結チューブと、前記真空連結チューブの遠位端部に連結される真空源とを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記創傷接触要素は、大気圧と、大気圧を200mmHg下回る圧力との間の圧力下において、前記創傷接触要素自体を越える液体の移送を妨げるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記創傷接触要素は、大気圧と、大気圧を250mmHg下回る気圧との間において、前記創傷接触要素自体を越える液体の移送を妨げるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記創腔から出る液体の移送は、前記創傷接触要素と前記真空連結チューブとの間に位置する液体接触作動弁が閉じることによって阻止されるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
液体移送は、前記創傷接触要素が、前記印加された負圧下において液体を吸収することが可能であるが、液体を移送することは不可能であることにより、阻止されるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記創傷接触要素は自己癒合材料であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記自己癒合材料は、カルボキシメチルキトサン、および、カルボキシメチルキトサンの誘導体を含む群より選択されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記液体接触作動弁は、制限された孔中に配置された吸収性材料から構築されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記吸収性材料は、前記印加された負圧下において、流体を吸収することは可能であるが、流体を移送することは不可能であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記創腔に対する前記真空連結チューブの結合は、前記創傷カバー要素中の孔を介して達成されるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記創傷カバー要素中の前記孔は感圧弁を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記感圧弁は、5から200mmHgの表面間差圧が存在する場合に開くようになっていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記創傷カバー要素に対する前記真空連結チューブの結合は、非接着手段によるものであることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
結合は、表面間差圧により達成されるようになっていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記創傷接触要素および前記創傷カバー要素は、単一の物理的実体として組み合わされることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記創傷接触要素、前記創傷カバー要素、および前記真空連結チューブは、単一の物理的実体として組み合わされることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
添付の説明および図面を参照して前述したものと実質的に同様の、創傷部位に対して局所的負圧療法を施すための装置。
【請求項18】
創傷部位に局所的負圧療法を施すための装置であって、前記創傷部位を覆う実質的に気密のシールを形成する創傷カバー要素と、真空源に対して前記創傷カバー要素を連結する真空連結チューブと、前記真空連結チューブの遠位端部に連結される真空源とを備え、前記創傷カバー要素は、前記創傷カバー要素および前記創傷によって画成された創腔から外への流体流のみを可能にする、関連付けされた弁手段を有することを特徴とする装置。
【請求項19】
前記弁手段は自己閉鎖逆止弁であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記弁手段は、前記創傷カバー要素中に形成された孔中に位置することを特徴とする請求項18または請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記弁手段は感圧弁であることを特徴とする請求項18から請求項21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記感圧弁は、5から200mmHgの表面間差圧がある場合に開くようになっていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記創傷カバー要素に対する前記真空連結チューブの結合は、非接着手段によるものであることを特徴とする請求項19から請求項22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
結合は表面間差圧によって達成されるようになっていることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記真空連結チューブは、前記創傷カバー要素に対して損傷を与えることなく、前記創傷カバー要素に反復的に連結および連結解除することができるようになっていることを特徴とする請求項24に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate


【公表番号】特表2011−504126(P2011−504126A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534548(P2010−534548)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/GB2008/051088
【国際公開番号】WO2009/066104
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(391018787)スミス アンド ネフュー ピーエルシー (79)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】