説明

真菌および酵母種の分子同定用標的遺伝子としてのAce2

本発明は、一つ以上の酵母種の同定への使用のための核酸プライマーおよびプローブに関する。より詳しくは、本発明はAce2遺伝子、それに対応するRNA、特異的なプローブ、プライマーおよびそれに関連するオリゴヌクレオチド並びに酵母種を検出および/または識別するための診断アッセイへの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ以上の酵母種の同定に使用するための核酸プライマーおよびプローブに関する。より詳細には、本発明は、Ace2遺伝子、それに関連した対応するRNA、特異的なプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチド並びに酵母種間の検出および/または識別のための診断アッセイでの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵母および真菌の感染は、免疫不全患者の間で疾患率および大量死の主要な原因を意味する。酵母および真菌感染のリスクがある免疫不全患者の数は毎年増え続け、疾患を引き起こす真菌および酵母の因子のスペクトルも同様である。真菌感染、特に侵襲性の真菌感染による大量死は、特定のリスク群で30%以上である。数々の有効な抗真菌剤が増えているが、しかし抗真菌薬に対する内因性および出現抵抗の両方の認識にあるものである。これら因子は、実験室試験における費用抑制の増大した必要性の一因となり、試験手順で実験室統合につながる。
【0003】
侵襲性真菌感染は増加している。2003年には900万人ものリスクを抱えた患者がいると見込まれ、そのうち120万人の感染は進行している。カンジダ種が、免疫低下患者に感染する最も顕著な病原菌としてランクされている。特に、感染が泌尿器、呼吸器系および血流においてステント、カテーテルおよび整形の継ぎ目の挿入部位では普通である。およそ、10%の既知のカンジダ種がヒトへの感染にかかわる。侵襲性カンジダ症はカンジダが血流に進入する際に起こり、アメリカ合衆国において8/100,000の人口確率で発生すると見込まれ、その死亡率は40%である。カンジダ・アルビカンスは血流感染の4番目に最も一般的な原因である。新生の真菌症因子は、フサリウム属種、シドスポリウム属種、接合菌類とトリコスポロン種を含む("Stakeholder Insight: Invasive fungal infections", Datamonitor, 2004年1月)。
【0004】
移植および外科術後患者、新生児、癌患者、糖尿病患者およびHIV/AIDの者を含む免疫不全患者は、侵襲性真菌感染を発現するリスクが高い(Datamonitor report: Stakeholder opinion -Invasive fungal infections, options outweigh replacements 2004)。多くの重度の敗血症のケースが毎年報告されている。医学的マネージメントの改善にもかかわらず、敗血症はまだ集中治療医学における最大の挑戦の一つを構成する。敗血症を引き起こすのに関与する微生物(バクテリア、真菌、酵母)は、乏しい感度(25〜82%)の微生物学的培養法を用いて病院検査室で伝統的に検出され、該方法は極めて時間がかかり、通常完了するのに2〜5日、そして真菌感染の診断には最大8日かかる。
【0005】
酵母や真菌により起こる感染の確定診断は、大抵特異的因子の臨床上の検体からの回収および識別、または明確な形態的特徴を有する真菌または酵母の顕微鏡による確認のいずれかに基づいている。しかしながら、これらの方法では感染因子に関して決定的な証明を得ることができない多くのケースがある。この場合、特異的なホスト抗体応答の検出を用いることができるが、これは再び患者の免疫状態の影響を受ける。バクテリア、酵母または真菌により通常生ずる血流感染の検出および同定では時間が重要である。効果的な治療は、速やかにかつ効率的に感染源を見つけ、抗生物質または抗真菌薬ついての適切な決断をなすことに依存する。
【0006】
真菌および酵母核酸を基にした診断法は、リボソームRNA(rRNA)遺伝子、RNA転写物およびその関連するDNA/RNA領域に重く焦点を置いている。rRNA遺伝子は、すべての真菌種に高度に保存され、また分岐かつ独特な遺伝子間転写スペーサー領域を含有する。リボソームrRNAは3つの遺伝子、すなわち大きいサブユニット遺伝子(28S)、小サブユニット遺伝子(18S)および5.8S遺伝子を含む。28Sと18SrRNA遺伝子が5.8SrRNAと二つの内部転写スペーサー(ITS1およびITS2)によって分離されている。ITS領域は多数の配列多型を含むため、多くの研究者がこれらを標的とすることに集中した(Atkins and Clark, 2004)。rRNA遺伝子はまた、真菌ゲノム中に10コピー以上を有する多コピー遺伝子である。
【0007】
多くの群が、真菌および酵母感染用の新たなアッセイを発展させることに取り組んでいる。米国特許出願公開第2004/044193号明細書は、多数の態様の中でカンジダ・アルビカンスの転写因子CaTEC1、そのインヒビター、カンジダ感染に関連する疾患の診断および治療方法、ヌクレオチド配列、タンパク、ホスト細胞および/または抗体を含む診断用および医薬品用の組成物に関するものである。国際公開第WO0183824号は、カンジダ・アルビカンスおよび/またはカンジダ・デゥブィニエンシスからリボソーム核酸を検出するためのハイブリダイゼーション分析プローブおよび修飾オリゴヌクレオチドに関するものである。米国特許第6017699号明細書および米国特許第5426026号明細書は、五つの医学的に重要なカンジダ種からDNAを増幅および種分化するのに使用できるDNAプライマーのセットに関するものである。米国特許第6747137号明細書は、カンジダ感染の診断に有用な配列を開示する。様々な酵母および真菌種の診断のために、欧州特許第0422872号明細書と米国特許第5658726号明細書は、18SrRNA遺伝子を基にしたプローブを開示し、米国特許第5958693号明細書は、28SrRNAを基にしたプローブを開示する。米国特許第6017366号明細書は、様々なカンジダ種に対する核酸を基にした診断に使用するためのキチンシンターゼ遺伝子を基にした配列を開示する。
【0008】
より早くより正確な診断方法の発展が、特に変異ゲノム配列を有する耐性の毒性株の増大した母集団を生じさせる現代の抗真菌治療により起こる選択圧を考慮すると、必要であること明らかである。感染の微生物原因を早期に診断し得る方法は、感染を治療するための特異的に狭いスペクトルの抗生物質または抗真菌薬の選択を可能にする(Datamonitor report: Stakeholder opinion -Invasive fungal infections, options outweigh replacements 2004; Datamonitor report: Stakeholder Opinion-Sepsis, under reaction to an overreaction, 2006)。
【0009】
病原菌を正しく同定した後だけに、特異的な抗生物質または抗真菌薬を用いる標的治療を始めることができる。多くの医師は、酵母および真菌の早期診断のためにより良好な生体外での増幅および直接検出の診断方法の発達を知りたがっている("Stakeholder Insight: Invasive fungal infections", Datamonitor, 2004年1月)。本発明は、核酸診断(NAD)テストでの適用のための新規な真菌および酵母の核酸標的を提供する。これらは、臨床分野のバイオ分析用途用の臨床的に重要な細菌および菌類の病原体に対する速やかで正確な診断テストである。
【0010】
Ace2は、DNA結合性細胞周期制御系の転写因子である。Ace2は転写因子SWl 5と同じように機能するが、それらは異なった遺伝子を活性化する。翻訳されたAce2タンパク質は、細胞周期の早いGl期の核に存在し、従ってGl期における遺伝子の発現を特異的に活性化する。特に、これはCTSl遺伝子を活性化する。CTSlは、細胞質分裂中に親および娘細胞間の細胞壁を分解させるのに必要とするキチナーゼコード化遺伝子である。5つのカンジダ種配列を含むNCBI遺伝子バンクのデータベースで公的に入手可能な7つのAce2配列がある。アスペルギルス種に対し入手可能なAce2配列は公表されていない。本発明者らは、カンジダ・アルビカンスの塩基対位置1736から2197に等価なカンジダ種においてAce2の領域を増幅するようにPCRプライマーを設計した。このAce2遺伝子の領域は、酵母種の分子同定および/または識別用の有用性を有する。
【発明の概要】
【0011】
(定義)
「合成オリゴヌクレオチド」は、ゲノムDNAまたは生物体に直接由来しない2つ以上のヌクレオチド塩基の核酸ポリマーの分子を参照する。合成オリゴヌクレオチドの用語は、化学的に作製または生体外で酵素的に合成したDNA、RNAおよびDNA/RNAハイブリッド分子を含むことを意図するものである。
【0012】
「オリゴヌクレオチド」は、共有結合で結合した二つ以上のヌクレオチドサブユニットを有するヌクレオチドポリマーである。オリゴヌクレオチドは、普通約10から約100のヌクレオチドである。ヌクレオチドサブユニットの糖類は、リボース、デオキシリボースまたはOMeのような修飾誘導体とすることができる。複数のヌクレオチドサブユニットを、リン酸ジエステルリンケージ、修飾されたリンケージのようなリンケージによるか、又は相補的標的ヌクレオチド配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成を阻害しない非ヌクレオチドリンケージ部分により結合することができる。修飾されたリンケージは、標準のリン酸ジエステルリンケージをホスホロチオエートリンケージ、メチルホスホネートリンケージまたは中性のペプチドリンケージのような異なったリンケージで置換したものを含む。また、窒素含有塩基類似物を本発明に係るオリゴヌクレオチドの成分としてもよい。
【0013】
「標的核酸」は、標的核酸配列を含む核酸である。「標的核酸配列」、「標的ヌクレオチド配列」または「標的配列」は、相補的なオリゴヌクレオチドにハイブリッド形成をし得る特異なデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列である。
【0014】
「オリゴヌクレオチドプローブ」は、標的核酸配列に十分に相補的なヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドで、高い厳しさのハイブリッド形成条件下で検出可能なハイブリッドプローブ:標的デュプレックスを形成することができる。オリゴヌクレオチドプローブは、単離化学種で、また高い厳しさのハイブリッド形成条件下ではハイブリッド形成を妨げない限り標的した領域の外側に付加的ヌクレオチドを含んでもよい。非相補的な配列、例えばプロモーター配列、制限エンドヌクレアーゼ認識部位サイト、または触媒活性サイトのような所望の二次または三次構造を付与する配列を用いて、発明したプローブを用いる検出を容易にすることができる。オリゴヌクレオチドプローブを任意にラジオアイソトープ、蛍光性部分、化学発光、ナノ粒子部分、酵素またはリガンドのような検出可能部分で標識付けすることができ、これを用いて、標的配列に対するプローブのハイブリッド形成を検出または確認することができる。オリゴヌクレオチドプローブは、約10から約100ヌクレオチド長のサイズ範囲にあるのが好ましいが、プローブは500ヌクレオチド長と同等又はそれ以上、または10ヌクレオチド長未満とする事が可能である。
【0015】
「ハイブリッド」または「デュプレックス」は、二つの単鎖核酸配列間にワトソン・クリック塩基対又は相補的な塩基間の非標準塩基対により形成した複合体である。「ハイブリッド形成」は、核酸の二つの相補鎖を一緒にして二重鎖構造(「ハイブリッド」または「デュプレックス」)を形成する方法である。「真菌」又は「酵母」は、真菌界の生物体を意味し、また子嚢真菌門のあらゆる生物体に向ける。
【0016】
「相補性」は、DNAまたはRNAの単鎖の塩基配列によって得た物性で、ハイブリッド又は二本鎖DNA:DNA、RNA:RNA又はDNA:RNAを当該鎖上のワトソン・クリック塩基対間の水素結合により形成すねことができる。アデニン(A)は通常チミン(T)またはウラシル(U)を補完し、一方グアニン(G)は通常シトシン(C)を補完する。
【0017】
「厳しさ」の用語は、ハイブリッド形成およびその後の処理工程中にある温度、イオン強度および溶媒組成を述べるのに使用する。当業者は、「厳しさ」の条件がこれらパラメーターを個別にまたは一緒に変えることにより変更し得ることを認識する。高い厳しさの条件下では、高度に相補的な核酸ハイブリッドのみが形成され、十分程度の相補性を持たないハイブリッドは形成されない。従って、分析条件の厳しさは、ハイブリッドを形成する二つの核酸鎖間で必要な相補性の値を決定する。厳しさの条件を選択して標的と非標的核酸で形成されたハイブリッド間の安定性の違いを最大化する。
【0018】
「高い厳しさ」の条件では、核酸塩基対化が高頻度の相補塩基配列を有する核酸フラグメント間でのみ起きる(例えば、高い厳しさ条件下でのハイブリッド形成が約85−100%の同一性、好ましくは約70−100%の同一性のホモログ間で起き得る)。中間の厳しさの条件では、核酸塩基対化が中間頻度の相補塩基配列を有する核酸の間で起こる(例えば、「中間厳しさ」の条件下でのハイブリッド形成が約50−70%の同一性のホモログ間で起こり得る)。従って、「弱い」または「低い」厳しさの条件が、遺伝子的に様々な生物から得た核酸では、相補的な配列の頻度が通常低いので、しばしば要求される。
【0019】
「高い厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.5%SDS、5xデンハード試薬および100μg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き0.1xSSPE、1.0%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものである。
【0020】
「中間厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.5%SDS、5xデンハード試薬および100μg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き1.0xSSPE、1.0%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものである。
【0021】
「低い厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.1%SDS、5xデンハード試薬(50xデンハードは500ml当たり5gのフィコール(タイプ400、ファルマシア社)、5gのBSA(フラクションV、シグマ社)を含む)および100マイクロg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き5xSSPE、0.1%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものである。
【0022】
核酸生体外増幅を基にした儀出との関連では、「厳しさ」を生体外増幅技術に特有の温度条件およびイオン性バッファー条件を適用することにより達成する。例えば、PCRおよびリアルタイムPCRとの関連では、「厳しさ」がオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリッド形成用で、かつプローブのリアルタイムPCRハイブリッド形成に関する特異的な温度およびイオンバッファー強度を標的核酸の生体外増幅のために標的核酸へ適用することによって達成される。
【0023】
当業者は、本発明の実質的に対応するプローブが付託された配列から変わり、同じ標的核酸配列に対しまだハイブリッド形成をし得ることを理解するであろう。かかる核酸からの変化が、配列中の同一塩基の百分率、すなわちプローブとその標的配列との間で完璧に相補的な塩基の百分率を単位として提示することができる。本発明のプローブは、これら百分率が100%から80%または約10塩基標的配列における0塩基不一致から約10塩基標的配列における約2塩基不一致である場合に、核酸配列に実質的に対応する。好ましい実施態様では、百分率が約100%から約85%である。より好ましい実施態様では、百分率が約90%から約100%であり、他の好ましい実施態様では百分率が約95%から約100%、例えば95%、96%、97%、98%、99%または100%である。
【0024】
「十分に相補的」または「実質的に相補的」とは、高い厳しさのハイブリッド形成条件下で検出のために安定であるハイブリッドを形成するに十分な量の近接する相補的なヌクレオチドを有する核酸を意味する。実質的に相補的とは、所定の基準配列に対し少なくとも90%の同一性、例えば、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列に言及することもできる。
【0025】
二つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連での用語「同一」またはパーセント「同一」は、後述するデフォルトパラメーターを有するBLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いるか、または手動配置および視覚検査により測定して、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの同じかまたは特定の百分率(すなわち、比較ウィンドウまたは指定領域において最大一致のために比較および配列した際の特定領域に対し約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより高い同一性)を有する二つ以上の配列またはサブ配列を指す(例えば、NCBIウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等参照)。かかる配列を「実質的に同一」とする。この定義はまた、テスト配列の相補体に引用するか、または適用することができる。この定義はまた、削除および/または追加した配列並びに置換した配列も含む。後述するように、好ましいアルゴリズムは間隙等の説明をすることができる。同一性は、好ましくは少なくとも約25アミノ酸またはヌクレオチド長さである領域、より好ましくは50〜100アミノ酸またはヌクレオチド長さである領域に存在する。
【0026】
配列比較に関して、通常一つの配列が参照配列として作用し、これに対しテスト配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するときは、テストおよび参照配列をコンピュータに入れ、所要に応じて配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指令する。好ましくは、初期設定パラメーターを用いるか、または代替パラメーターを指定することができる。次に、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータを基にして参照配列に対するテスト配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0027】
ここで用いる「比較ウィンドウ」は、20〜600、通常約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群から選択した数の連続位置のいずれか一つの部分への言及を含み、ここで二つの配列を最適に整えた後、ある配列を同一数の連続位置の参照配列と比較することができる。比較のための配列の配置方法は当業界で周知である。比較のための配列の最適な配置を、例えばスミスとウォーターマンAdv. Appl. Math. 2:482 (1981)の部分的相同性アルゴリズムによるか、ニードルマンとワンチJ. MoI. Biol. 48:443 (1970) の相同性配置アルゴリズムによるか、ピアースンとリプマンProc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似方法の検索によるか、これらアルゴリズムのコンピュータ処理遂行(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)によるか、または手動配置および視覚検査(Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1987-2005, Wiley Interscience参照)によって実施できる。
【0028】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはアルツシュル他のNuc.Acids Res. 25:3389-3402 (1977)およびAltschul et al, J. MoI. Biol. 215:403-410 (1990)に、それぞれ記載されている。BLASTおよびBLAST2.0をここに記述したパラメーターで用いて、本発明の核酸およびタンパクのパーセント配列同一性を決定する。BLAST分析を行うためのソフトウェアはNational Center for Biotechnology Informationを通じて公に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列における同じ長さのワードで並べた際にある正の値の限界値Tを合致または満足する問い合わせ配列における長さWの短いワードを識別することによって先ず高いスコアの配列対(HSP)を識別することを包含する。Tは近傍ワードスコア閾値として引用する(Altschul et al., supra)。これら初期近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索開始用のシーズとして作用する。累積的な配置スコアを増大することができる限り、ワードヒットはそれぞれの配列に沿って両方向に伸張する。ヌクレオチド配列に関しては、累積的なスコアがパラメーターM(一対の合致残基の得点スコアであり、常に>0)およびN(不適合残基のペナルティスコア、常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列に関しては、スコアマトリックスを用いて累積的なスコアを算出する。各方向のワードヒットの伸長は、累積的配置スコアがその最大達成値から量Xだけ下落するか、累積的なスコアが一つ以上の負のスコア残基配置の蓄積によりゼロ以下となるか、またはいずれかの配列の端に到達したときに中断される。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、配置の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、規定値として11のワード長さ(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、規定値として3のワード長さ、10の期待値(E)、BLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. ScL USA 89:10915 (1989)を参照)、50の配列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。
【0029】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびその一本鎖または二本鎖形のポリマー、およびその相補体である。この用語は、既知のヌクレオチド類似体または修正された骨格残基またはリンケージを含む核酸を包含し、合成、天然物および非天然物であり、参照核酸と類似の結合特性を有し、参照ヌクレオチドに類似した方法で代謝される。かかる類似体の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロアミド酸塩、メチルホスホン酸塩、不斉メチルホスホン酸塩、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0030】
「核酸ハイブリッド」または「プローブ:標的デュプレックス」は二本鎖で、水素結合した構造、好ましくは約10〜約100のヌクレオチド長、より好ましくは14〜50のヌクレオチド長である構造を意味するが、これはある程度オリゴヌクレオチドプローブの全体長さに依存する。該構造は、例えば化学発光または蛍光検出、オートラジオグラフィー、電気化学的分析またはゲル電気泳動によって検出されるに十分安定である。このようなハイブリッドは、RNA:RNA、RNA:DNAまたはDNA:DNAデュプレックス分子を含む。
【0031】
「RNAおよびDNA等価物」は、同じ相補的な塩基対ハイブリッド形成特性を有するRNAおよびDNA分子に関連する。RNAおよびDNA等価物は、異なる糖類(すなわちリボース対デオキシリボース)を有し、RNAのウラシルおよびDNAのチミンの存在により相違し得る。RNAおよびDNA等価物間の違いは、等価物が同じ程度の特定配列に対する相補性を有するので、実質的に対応する核酸配列の違いに寄与しない。
【0032】
「優先的にハイブリッド形成する」とは、高い厳しさのハイブリッド形成条件下でオリゴヌクレオチドプローブがその標的核酸をハイブリッド形成して、安定なプローブ:非標的ハイブリッド(他の生物由来の非標的核酸の存在を示す)を形成することなく安定なプローブ:標的ハイブリッド(標的核酸の存在を示す)を形成することを意味する。従って、プローブは非標的核酸に比べて十分に大きな範囲で標的核酸をハイブリッド形成し、当業者がこれら種(例えばカンジダ)の存在を正確に検出し、他の生命体から区別することができる。優先的なハイブリッド形成は、従来既知で、ここに記載した技術を用いて測定することができる。
【0033】
「セラノスティクス診断」法とは、疾患を診断し、正しい治療レジームを選択し、治療への患者の反応をモニタする診断テストの使用を意味する。本発明のセラノスティクス診断は、患者から集めたサンプル、標本または検体への本発明のNAD分析の使用に基づいてもよい。
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、一つ以上の酵母種を検出し、同定するための配列および/または診断アッセイを提供することにある。本発明者らは、Ace2遺伝子配列を使用してカンジダ属Ace2遺伝子に特異的なプライマーおよびプローブを設計した。かかるプライマーは、酵母び真菌種の検出ばかりか、カンジダ種間の識別を可能にする。本発明は、異なるカンジダ属種間の識別を可能にするプライマーおよびプローブを更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、Ace2遺伝子またはその対応するmRNAの少なくとも一部に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを備える酵母種の検出および同定用診断キットを提供する。オリゴヌクレオチドプローブは、Ace2遺伝子またはその対応するmRNAの一部に対して実質的に相同的または実質的に相補的な配列を有し得る。従って、これは相補DNAまたはRNA分子と結合またはハイブリッド形成することができる。Ace2遺伝子は、酵母のAce2遺伝子であってもよい。核酸分子は、合成でもよい。本キットは、ひとつ以上のかかるプローブを備えてもよい。特に、該キットは、複数個のこのようなプローブを備えることができる。加えて、かかるキットは、例えば細菌種またはウイルスのような他の生物用の付加的なプローブを備えてもよい。
【0036】
同定された配列は、生体外DNA/RNA増幅に基づいた検出システムのみならず、シグナル増幅に基づいた検出システムにも適している。さらに、適当な標的として同定された本発明の配列は、有利で、本発明の態様をグループまたは種特異的標的に指向させ得るある領域において重要な遺伝子内配列異質性を有することと、また本発明の態様を酵母および真菌類の診断用の直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術および核酸生体外増幅技術での使用のための遺伝子特異性の酵母および真菌類プライマーおよびプローブに指向させ得るある領域で重要な配列均一性を有することの利点を付与する。Ace2配列が診断アッセイの多重試験機能およびオートメーションを可能にする。
【0037】
本発明の配列の利点の1つは、密接に関連した酵母の種間の遺伝子内Ace2ヌクレオチド配列多様性が酵母の検出用診断アッセイでの使用のための特異的なプライマーおよびプローブを設計することを可能にするということである。Ace2ヌクレオチド配列の両方のDNAおよびRNAを、診断アッセイにおける直接検出、シグナル増幅検出および生体外増幅技術で用いることができる。Ace2配列が診断アッセイにおける多重試験機能およびオートメーションを可能にする。
【0038】
本キットは、Ace2遺伝子の少なくとも一部の増幅用のプライマーを更に備えてもよい。該キットは、Ace2遺伝子の一部用のフォワードおよびリバースプライマーを適当に含む。
【0039】
Ace2遺伝子の一部分は、カンジダ・アルビカンスの塩基対位置1736から塩基対位置2197までの遺伝子領域の一部と等価であってもよい。特に好ましいのは、Ace2カンジダ・アルビカンス遺伝子の一部用のプローブおよび/またはカンジダ・アルビカンスの塩基対位置1736から塩基対位置2197に等価な遺伝子領域の一部用のプローブを備えるキットである。塩基対位置1736から塩基対位置2197に等価な領域は、他の生物においても見出すことができるが、必ずしも同じ位置ではない。
【0040】
プローブは、配列番号4-7および32-39またはそれらに相当するmRNAからなる群から選択したAce2遺伝子配列の一部に優先してハイブリッド形成することができる。
【0041】
当該キットはまた、追加のプローブを含んでもよい。プローブは、配列番号3、30、31からなる群から選択した配列、およびその配列に実質的に相同的または実質的に相補的で、Ace2遺伝子用プローブとしても作用し得る配列を有してもよい。
【0042】
プローブが配列番号30によって定められるような配列を有するのが望ましい。
【0043】
本キットは、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを含んでもよく、ここで前記フォワード増幅プライマーが配列番号1、20〜24からなる群から選択した配列ならびにそれに対し実質的に相同または相補的で、フォワード増幅プライマーとしても作用し得る配列を有し、また前記リバース増幅プライマーが配列番号2、25〜29からなる群から選択した配列ならびにそれに対し実質的に相同または相補的で、リバース増幅プライマーとしても作用し得る配列を有する。前記フォワードプライマー配列を配列番号21、22および23からなる群から選択することが望ましく、また前記リバースプライマー配列を配列番号27、28および29からなる群から選択することが望ましい。該診断キットは、直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒体増幅(TMA)、分岐DNA技術(bDNA)およびローリングサークル増幅技術(RCAT)の一つ以上から選択した核酸生体外増幅技術、または他の生体外酵素増幅技術に基づくものとすることができる。
【0044】
本発明はまた、配列番号1から配列番号40の群から選択した核酸分子、およびそれに対し実質的に相同またはその一部に実質的に相補的で、かつAce2遺伝子に基づいた診断法の機能を有する配列を提供する。
【0045】
当該核酸分子は、配列番号1から配列番号40の核酸分子の一部に実質的に相同または実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含んでもよい。本発明はまた、下記の工程:
(i) 試験サンプルを適切な条件下で上述した少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブと混合する工程、
(ii) 前記オリゴヌクレオチドを有する試験サンプル中に存在し得るあらゆる核酸を高い厳しさの条件下でハイブリッド形成してプローブ:標的デュプレックスを形成する工程、
(iii) プローブ:標的デュプレックスが存在するかを求め、デュプレックスの存在が試験サンプル中の標的生物の存在を積極的に同定する工程を備えることを特徴とする試験サンプル中の標的生物を検出する方法を提供する。
【0046】
本発明の核酸分子およびキットを、一つ以上の酵母および/または真菌種の存在を検出し、患者内の酵母および/または真菌の滴定濃度を測定する診断アッセイか、若しくは患者内の酵母および/または真菌の滴定濃度を減らすか、又は環境中の酵母および/または真菌汚染を測定するように設計した治療レジームの効率を評価する方法に用いてもよい。かかる環境は、病院、食品サンプル、例えば水のような環境サンプル、製造過程中のサンプルのような産業サンプル、または生物汚染度または質の評価を必要としている最終製品でもよい。
【0047】
本発明のキットおよび核酸分子は、Ace2遺伝子機能を崩壊させるのに用いることができる一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価に用いることができる。崩壊剤は、アンチセンスRNA、PNAおよびsiRNAからなる群から選択することができる。
【0048】
本発明のある実施態様においては、種特異的なプローブを含む核酸分子を用いて、同じ属の種を識別することができる。
【0049】
本発明のオリゴヌクレオチドは、酵母および真菌類の標的生物の核酸を検出するための組成物で提供してもよい。かかる組成物はまた、組成物の意図した使用に見合ったバッファー、酵素、洗剤、塩類等を含むことができる。また、ここに記載する少なくとも一つの合成オリゴヌクレオチドを含むような本発明の組成物、キットおよび方法が、合成オリゴヌクレオチドの代わりにまたは一緒に合成ヌクレオチド断片と実質的に同じ配列を有する天然オリゴヌクレオチドを含んでもよいと想定される。
【0050】
本発明はまた、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを含む標的酵母および/または真菌類生物用の生体外増幅診断キットを提供し、ここで前記フォワード増幅プライマーを実質的に相同または相補的で、フォワード増幅プライマーとしても作用し得る一つ以上の配列からなる群から選択し、また前記リバース増幅プライマーを実質的に相同または相補的で、リバース増幅プライマーとしても作用し得る一つ以上の配列からなる群から選択する。
【0051】
本発明はまた、候補酵母および/または真菌類の種の存在を検出するための診断キットを提供し、候補酵母および/または真菌類の種のAce2遺伝子の配列に実質的に相補的または実質的に相同である配列からなる一つ以上のDNAプローブを備える。本発明はまた、Ace2遺伝子またはそれのmRNA転写体、酵母Ace2遺伝子またはそのmRNA転写体、酵母eIF2γ遺伝子またはそのmRNA転写体の一つ以上に実質的に相同または実質的に相補的なヌクレオチド配列、すなわち配列番号1から配列番号40の一つ以上を有する一つ以上の合成オリゴヌクレオチドを提供する。
【0052】
ヌクレオチドは、DNAを含んでもよい。ヌクレオチドは、RNAを含んでもよい。ヌクレオチドは、DNA、RNAおよびPNAの混合物を含んでもよい。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチドを含んでもよい。本発明の配列(および本発明の方法、キット、組成物および分析に関する配列)は、Ace2遺伝子のコード化領域の一部に実質的に相同であるように選択してもよい。遺伝子は、標的酵母または真菌類の生物からの遺伝子であってもよい。本発明の配列は、該配列の一部分にプローブ:標的デュプレックスを形成し得るに十分であることが好ましい。
【0053】
本発明はまた、標的酵母または真菌類の生物用の診断キットを提供するもので、本発明のオリゴヌクレオチド(合成でもよい)に実質的に相同または実質的に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを備える。生体外増幅プライマーとしての使用に適した配列が、オリゴヌクレオチドプローブとしての使用にも適しているのはいうまでもなく、増幅プライマーが約15ヌクレオチドおよび約30ヌクレオチド(より好ましくは約15〜約23、最も好ましくは約20〜約23)間の相補的な部分を有することが好ましく、本発明のオリゴヌクレオチドプローブが任意適当な長さでもあってもよい。当業者は、異なるハイブリッド形成および/またはアニーリングの条件が選択したオリゴヌクレオチドプローブの長さ、性質および構造(例えばライトサイクラー用ハイブリッド形成プローブ対、Taqman5´エクソヌクレアーゼプローブ、ヘアピンループ構造等)および配列に依存していることがわかるであろう。
【0054】
本発明のキットおよびアッセイはまた、オリゴヌクレオチドプローブを表面に固定して提供してもよい。このような表面は、ビーズ、膜、カラム、計量棒、ナノ粒子、診断プレートのウェルまたは反応チューブの内側のような反応室の内面、キャピラリーまたは容器等とすることができる。
【0055】
標的酵母または真菌類の生物は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリスおよびカンジダ・ビスワナチー、ならびにアスペルギルス種からなる群から選択することができる。
【0056】
標的酵母生物は、すでに実験的に示した所定のセットのプライマー用のカンジダ属種であり、より好ましくはカンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリスおよびカンジダ・ビスワナチーからなる群から選択することができる。
【0057】
これらの状況下で、本発明の増幅プライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブは、一つ以上若しくは大部分または実質的に全ての標的酵母生物集団の所望生物を同定し得るように遺伝子特異的または属特異的な領域に設計されてもよい。
【0058】
試験サンプルは、標的酵母および/または真菌類の生物の細胞を含んでもよい。本方法はまた、前記試験サンプルに存在し得る標的酵母または真菌類生物のあらゆる細胞から核酸を解放する工程を備えてもよい。理想的には、試験サンプルは、患者から得られたサンプル(綿棒、血液、尿、唾液、気管支の洗浄歯の試験片、皮膚試験片、頭皮試験片、移植器官生検、大便、粘液または排泄物サンプルなど)の溶解物である。試験サンプルは、食品サンプル、水サンプル、環境サンプル、最終製品、最終製品または製造過程の産業試料であってもよい。
【0059】
本発明はまた、一つ以上の酵母種の存在の診断アッセイへの配列番号1から配列番号40のいずれか一つの使用を提供する。当該種は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチーからなる群から選択してもよい。
【0060】
本発明はまた、臨床診断法、セラノスティクス診断、食品の安全診断、工業細菌学診断、環境モニタリング、獣医学的診断、バイオ・テロリズム診断での使用のために本発明の合成オリゴヌクレオチドの一つ以上を含むキットを提供する。当該キットは、適切なサンプル収集計測器、試薬容器、バッファー、標識化成分、溶液、洗剤および補助溶液からなる群から選択した物品の一つ以上を含むこともできる。本発明はまた、セラノスティクス診断、食品安全性診断、工業細菌学診断、環境モニタリング、獣医学的診断、バイオ・テロリズム診断への本発明の配列、組成物、ヌクレオチド断片、アッセイおよびキットの使用を提供する。
【0061】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、酵母種の検出用診断核酸ベースアッセイに用いてもよい。
【0062】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を診断アッセイに用いて、患者の酵母および/または真菌類の滴定濃度を測定することができる。滴定濃度を生体外で計量してもよい。
【0063】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を患者の酵母または真菌類滴定濃度を減らすように設計された治療レジームの有効性を評価する方法に用いることができ、これは治療レジームの一つ以上のキー・ステージで患者の酵母および/または真菌類滴定濃度を評価(生体内方法または生体外方法によって)する工程を備える。適切なキー・ステージは、治療前、治療の間、および治療後を含んでもよい。治療レジームは、調合薬のような抗真菌薬を含んでもよい。
【0064】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、例えば病院において潜在的な酵母および/または真菌類汚染を測定するための診断アッセイに用いてもよい。
【0065】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、Ace2遺伝子機能を崩壊させるのに用い得る一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価に用いてもよい。適当な崩壊剤を、アンチセンスRNA、PNA、siRNAからなる群から選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】カンジダ・アルビカンス(XM_707274.1)のAce2におけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)。標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:1736-2197)。作製物サイズ=462塩基対
【図2】カンジダ・アルビカンスプローブPI-CanAce2結合部位(Ace2遺伝子の増幅断片は下線を引き、太字にする)。PCRプライマーCanAce2-F/ CanAce2-Rはハイライトする。
【図3】TaqManプローブP1-CanAce2を有するAce2遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンス用のリアルタイムPCRアッセイ。アッセイの特異性は4つの他のカンジダ種およびアスペルギルス・フミガタス由来のDNAのパネルを用いて試験した。3つのカンジダ・アルビカンス株はリアルタイムPCRで試験し、他の種のDNAとの交差反応は見られなかった。
【図4】カンジダ・アルビカンスのプライマーおよびプローブを示す位置。(図4a)プライマーACRlを太い下線で示し、プライマーACFlは太字で示し、(図4b)プライマーACF2は太字で示し、プライマーACR2は太い下線で示し、(図4c)プライマーACF3は太字で示し、プライマーACR3は太い下線で示し、(図4d)プライマーの−鎖上のACALBl 、+鎖中のACALB2を太字で示す。
【図5】カンジダ・アルビカンス(XM_707274.1)のAce2における、プライマー(ACF2b/ACR3b)結合部位(灰色のハイライト)およびACALBlプローブ(太字のテキスト)。増幅する標的領域は、下線を引く。(目的領域の位置:1879-2004)。
【図6】カンジダ・アルビカンス株の包括的パネル。TaqManプローブACALBlおよびプライマーセットACF2b/ACR3bを有するAce2遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンスのためのリアルタイム PCR分析からの増幅プロット線。アッセイの特異性は、20のカンジダ・アルビカンスおよび臨床的に関連したおよび関係があるカンジダの19の種の84株由来のDNAのパネルを用いた試験。(a)検査した20のカンジダ・アルビカンス株が検出された。(b) 19の他のカンジダ種を含む84の株由来のDNAとの交差反応は見られなかった。信号は、(+)コントロールからのみ得られた。
【図7】排他性膣炎/膣疾患パネル。TaqManプローブACALBlおよびプライマーセットACF2b/ACR3bを有するAce2遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンスのリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット線。信号は、(+)コントロール(カンジダ・アルビカンス)サンプルのみから得られた。信号は、排他性パネルの生物からは得られなかった。
【図8】TaqManプローブACALBlを有するAce2遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンスのリアルタイムPCRからの増幅プロット線。分析の感度は、カンジダ・アルビカンス由来の鋳型DNAのさまざまな入力を用いて試験した。分析のLODが、〜1細胞等価物であるとわかった。
【発明を実施するための形態】
【0067】
(実施例1)
(材料および方法)
(細胞培養)
カンジダ属種を、振盪培養器内のサブロー・ブロス(4%wt/volブドウ糖、1%wt/volペプトン、1.5%寒天)にて37℃で48時間培養した。
【0068】
(DNA抽出)
カンジダ属種由来の細胞を、DNA単離の前にリチカーゼまたはザイモラーゼ酵素で予備処理した。MagNA Pure System(Roche Molecular Systems社)をメーカー説明書に沿って使用するMagNA pure Yeastおよびメーカーのプロトコルに沿って使用するBacterial isolationキットIIIのいずれかまたはQiagen DNeasy Plant Miniキット(スピンカラムフォーマットのシリカベースのDNA精製)と組み合わせて用いてカンジダ属およびアスペルギルス属種からDNAを単離した。
(カンジダ種のAce2遺伝子領域のDNAシークエンシング)
【0069】
カンジダ種のAce2遺伝子の公的に入手可能な配列をNCBIデータベースから取得し、Clustal Wを用いて整列させた。PCRプライマーセット、すなわちCanAce2-F/CanAce2-R(表1、図1)を設計、使用して、カンジダ・アルビカンスの塩基対位置1736から塩基対位置2197に等価なカンジダ属種のAce2遺伝子領域をプライマーセットCanAce2-F/CanAce2-Rで増幅した。Ace2遺伝子領域を、表2に概説した試薬および表3に記載した熱サイクル条件を用いるiCycler BioRad PCR機械またはPTC200 Peltier thermocycler(MJ Research)に対する従来のPCRによってカンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリシスおよびカンジダ・ドゥブィニエンシスにおいて増幅した。
【0070】
PCR反応生成物を、メーカーのプロトコルによるRoche High Pure PCR 生成物精製キットまたはExoSAP-ITキット(USB)で精製し、その後フォワード増幅プライマーCanAce2-Fを用いたドイツSequiserveに送ることによって配列決定した。DNA配列情報が3つのカンジダ属種(カンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・ドゥブィニエンシスについて生成した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
(結果)
(プライマーおよびプローブ設計)
カンジダ種のAce2遺伝子用の入手可能な配列情報を、カンジダ種のAce2遺伝子の新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した。種特異性のプローブを、カンジダ・アルビカンスで収集したAce2配列情報に基づいて設計した(表4)。図2は、カンジダ・アルビカンスの増幅および検出用のPCRプライマーおよびTaqMan DNAプローブの相対的位置を示す。カンジダ・アルビカンスの同定用のTaqManプローブの特異性は、表5に概説した試薬および熱サイクル条件を用いるライトサイクラーに対するリアルタイムPCRアッセイで証明された。Ace2遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンスアッセイのために、PCRプライマーCanAce2-F/CanAce2-RをTaqManプローブ、P l-CanAce2と併用した。カンジダ・アルビカンスの検出用アッセイの特異性は、密接に関連したカンジダ属種およびアスペルギルス・フミガタス種の範囲からのDNAをカンジダ・アルビカンスリアルタイムPCRアッセイに含めることにより確認された。該アッセイは、カンジダ・アルビカンス株を検出したが、試験した他のいかなるカンジダ種由来のDNAまたはアスペルギルス・フミガタスDNAを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。図3は、カンジダ・アルビカンスのリアルタイムPCRアッセイおよびカンジダ・アルビカンス用のアッセイの特異性を示す。
【0078】
(実施例2)
特異的な検出および同定用のプライマーおよびプローブは、生成された配列のコンピュータ分析の後設計した。以下の通りに3つのフォワードおよび3つのリバースプライマーを作製し、また2つのプローブを設計した。図4(a)から4(d)は、Ace2サブシーケンスにおけるこれら配列の位置を開示する。

【0079】
プライマーセットを以下のアッセイ条件を用いて評価した。UNG処理を50℃で 2分後、95℃で1分行った。増幅は、95℃で10秒、60℃で30秒後、40℃で2分間冷却の50サイクルを含む。
【0080】
初期アッセイ性能(例えば蛍光および効率)に基づいて、プライマーセットACF3/ACR3をACALBlプローブを用いる更なる評価のために選択した。初期包括性および排他性実験を行って、選択したアッセイオリゴヌクレオチドを用いるアッセイの潜在力を評価した。アッセイの特異性は、14のカンジダ・アルビカンス株および19の他のカンジダ種を示す23株由来のDNAパネルを用いて試験した。試験した14のカンジダ・アルビカンス株の全てが検出された。19の他のカンジダ種由来のDNAとの交差反応は見られなかった。すなわちシグナルが陽性のカンジダ・アルビカンス対照からのみ得られた。
【0081】
Ace2アッセイが、カンジダ・アルビカンスに特異的であることを示し、初期性能が試験した条件下で良好だった。
【0082】
次に、循環時間を減らすためにプライマーの8つの異なる組合せを試験した。以下の条件を試験した。50℃で2分、95℃で1分のUNG処理に続いて、95℃で5秒、60℃で10秒、その後40℃で2分の冷却ステップである50サイクルの増幅を行った。
【0083】
プライマーセットACF2/ACR3とACALBlプローブとの組合せが、これら条件下で最良に機能した。アッセイのLODは、~1−10の細胞等価物である。このプライマーの組合せは、より低いテンプレート入力でより高い蛍光を示し、3つの単体等価物からの3つを先のCp値で検出した。感度および特異性を保持しながらサイクル時間を更に短くするために、わずかな修正をプライマー配列に行った(表.7)。
【0084】
【表7】

【0085】
更に減じたサイクル条件、すなわち95℃で1秒および60℃で10秒の増幅ステップを試験した。カンジダ・アルビカンスDNAの10倍希釈剤を調製し、0.1の細胞等価物に対する1x105の入力をテンプレートとして用いた。ACF2bおよびACR3bプライマーの組合せを、より低いテンプレート入力でより高い蛍光による包括性および排他性試験のために選択し、3つの単体等価物からの3つを表8に示すように他のプライマーセットより早いCp値で検出した。
【0086】
【表8】

【0087】
カンジダ・アルビカンスの20の株を選択して、このプライマーセットでの検出の包括性を実証した(表9、図5および図6を参照)。カンジダ・アルビカンス用のリアルタイムPCRアッセイを、TaqManプローブACALBlおよびプライマーセットACF2b/ACR3bに関して記載されたように行った。試験した全20のカンジダ・アルビカンス株が検出され、シグナルは、(-)コントロールから得られなかった(図6(a)を参照)。
【0088】
【表9】

【0089】
アッセイの排他性を立証するために、Ace2アッセイは、臨床的に関連および関係したカンジダ属の19種を含む84株に対する性能について試験した(下記の表10を参照)。試験した全てのDNAがPCRで増幅可能であることを確実にするために、カンジダDNAサンプルを汎用菌のプライマーUlおよびU2で増幅した。試験した全てのDNAが、PCRで増幅可能であることを示した。通常試験するものよりも高い105CE/rxnのテンプレート入力を使用した。試験した生物が関連するカンジダ属であるので、より高い入力を試験し、Ace2配列情報が試験前に17種に対し確認されなかった。各入力を三通り試験した。交差反応は観測されず、カンジダ・アルビカンス検出用のAce2アッセイの特異性を示した(図6(b)を参照)。
【0090】
【表10−1】


【表10−2】

【0091】
排他性を、より短いサイクル条件を用いる三通り(下記の表11を参照)で臨床的に関連した生物の45の種を有する膣炎/膣疾患パネルで更に実証した。~104 CE/rxnのテンプレート入力を使用した。交差反応は見られず、更にAce2アッセイの特異性を実証した(図7を参照)。
【0092】
【表11】

【0093】
ACF2b/ACR3b/ACALB1を用いるAce2アッセイのLOD(検出限界)をより短いサイクルタイムで統計学的に決定するためにプロビット分析を行った。Ace2アッセイのLODは、8つのテンプレート入力および12の複製を試験することにより決定した。カンジダ・アルビカンス株CBS 562を、LODの決定のために選択した。結果を、下表12および図8に示す。0.839のLODが、プロビット分析によって95%以上の確率で分かった。
【0094】
【表12】

【0095】
(考察)
免疫不全患者間の酵母および真菌感染の数は拡大している。この増加の一因は、抗真菌剤に対する多くの酵母および真菌種の耐性の増加である。従って、酵母および真菌類種の早期の診断を可能にする速くて正確な診断法を開発する必要がある。早期の診断は、感染を治療するために特異的な狭いスペクトルの抗生物質または抗真菌薬を選択することができることにある。本発明は、一つ以上の酵母および真菌類の種を検出および同定するための配列および/または診断アッセイを提供する。本発明者らは、カンジダ種のAce2遺伝子の配列を利用して、この遺伝子の領域に特異的なプライマーおよびプローブを設計する。Ace2は、酵母および真菌類の種の特異的な標的の検出を目的とするプライマーおよびプローブの設計および属の特異的な診断標的の検出のそれぞれに理想的な候補である。本発明は、酵母および真菌類の種の検出を可能にするばかりか、カンジダ属種の識別をも可能にする。
【0096】
(要約)
新しく作製したおよび公的に入手可能な配列を使用して、本発明者らは、ここで特定される短いサイクル時間の下でカンジダAce2ポリヌクレオチド配列に驚くほど特異的である新規なプライマーおよびプローブを設計した。かかるプライマーおよびプローブは、短いサイクル時間の下でさえ、酵母および真菌類の種の検出を可能にするだけではなく、カンジダ種の驚くほど効果的な識別およびカンジダ・アルビカンスの特異的な検出を可能にする。本発明は、異なるカンジダ種の間の優れた識別を可能にするプライマーおよびプローブを更に提供する。
【0097】
本発明に関してここで用いる「備える/からなる」および「有する/含む」の用語は、表明した特徴、整数、工程または成分の存在を特定するのに用いるが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、成分またはその群の存在または追加を排除するものではない。
【0098】
明確にするため、別々の実施態様との関連で記載した本発明の特定の特徴はまた、単一実施態様において組合せて提供してもよいと認識している。反対に、簡潔さのために単一実施態様との関連で記載した本発明の多様な特徴を、別々にまたは任意適当な補助組み合わせで提供してもよい。
【0099】
ここに開示したあらゆる配列がPatentln3.3ソフトウェアの付属の配列リストの副本と異なる限り、本明細書内の配列を正しいバージョンとして考慮すべきである。
【0100】
(配列番号)
Nまたはx=あらゆるヌクレオチド;w=a/t、m=a/c、r=a/g、k=g/t、s=c/g、y=c/t、h=a/t/c、v=a/g/c、d=a/g/t、b=g/t/c。場合によっては、特異的な変質オプションを括弧において示す:例えば:(a/g)は、AかGである。



















【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ace2遺伝子またはその対応mRNAの少なくとも一部に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを備えることを特徴とする酵母または真菌の種の診断キット。
【請求項2】
前記Ace2遺伝子の一部が、カンジダ・アルビカンスAce2遺伝子の塩基対位置1736から塩基対位置2197の遺伝子領域の一部である請求項1に記載のキット。
【請求項3】
配列番号4〜7および32から39からなる群から選択したAce2遺伝子配列または対応するmRNAの一部に優先してハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドプローブを備える請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記カンジダ・アルビカンスAce2遺伝子の塩基対位置1736から塩基対位置2197の遺伝子領域の一部用のプローブを備える前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項5】
前記プローブが、配列番号3、30、31からなる群またはそれに対し実質的に類似若しくは相補的でプローブとしても作用し得る配列から選択される前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項6】
前記プローブ配列が配列番号30である請求項5に記載のキット。
【請求項7】
前記Ace2遺伝子の少なくとも一部の増幅用プライマーを更に備える前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項8】
前記Ace2遺伝子の一部用のフォワードおよびリバースプライマーを備える請求項7に記載のキット。
【請求項9】
少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを備え、前記フォワード増幅プライマーを配列番号1、20〜24からなる群およびそれに対し実質的に類似または相補的で、フォワード増幅プライマーとしても作用し得る配列から選択し、また前記リバース増幅プライマーを配列番号2、25〜29からなる群およびそれに対し実質的に類似または相補的で、リバース増幅プライマーとしても作用し得る配列から選択する前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項10】
前記フォワードプライマー配列を配列番号21、22および23からなる群から選択し、また前記リバースプライマー配列を配列番号27、28および29からなる群から選択する請求項9に記載のキット。
【請求項11】
直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒体増幅(TMA)、分岐DNA技術(bDNA)およびローリングサークル増幅技術(RCAT)の一つ以上から選択した核酸生体外増幅技術、または他の生体外酵素増幅技術に基づく前記請求項いずれかに記載のキット。
【請求項12】
配列番号1から配列番号40からなる群と、それに対し若しくはその一部に対し実質的に相同又は実質的に相補的で、Ace2遺伝子に基づいた診断の機能を有する配列から選択される核酸分子。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸分子の一部と実質的に相同または実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを備える核酸分子。
【請求項14】
試験サンプル中の標的生物を検出するに当たり、
(i) 前記試験サンプルを適切な条件下でAce2遺伝子またはその対応するmRNAの少なくとも一部に結合し得る少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブと混合する工程と、
(ii) 前記オリゴヌクレオチドを有する試験サンプル中に存在し得るあらゆる核酸を高い厳しさの条件下でハイブリッド形成してプローブ:標的デュプレックスを形成する工程と、
(iii) プローブ:標的デュプレックスが存在するかを求め、該デュプレックスの存在が試験サンプル中の標的生物の存在を積極的に同定する工程とを備えることを特徴とする検出方法。
【請求項15】
前記Ace2遺伝子の一部が、カンジダ・アルビカンスAce2遺伝子の塩基対位置1736から塩基対位置2197の遺伝子領域の一部である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
配列番号4〜7および32〜39からなる群から選択した前記Ace2遺伝子配列またはそれに対応するmRNAの一部に優先してハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドを備える請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記プローブを、配列番号3、30および31からなる群、ならびにそれに対し実質的に相同または実質的に相補的で、Ace2遺伝子用プローブとしても作用し得る配列から選択する請求項14から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
酵母および/または真菌類の種の一つ以上の存在を検出するための診断アッセイへの請求項12または13に記載の核酸分子の使用。
【請求項19】
患者内の酵母の滴定濃度を測定するための診断アッセイへの請求項1〜11のいずれかに記載のキット若しくは請求項12または13に記載の核酸分子の使用。
【請求項20】
患者内の酵母の滴定濃度を減らすように設計された治療レジームの有効性を評価するに当たり、
請求項1〜11のいずれかに記載されたキット若しくは請求項12または13に記載の核酸分子を前記治療レジームの一つ以上のキー段階で使用することを備える評価方法。
【請求項21】
環境中の酵母の汚染を測定するための診断アッセイへの請求項1〜11のいずれかに記載のキット若しくは請求項12または13に記載の核酸分子の使用。
【請求項22】
前記環境が病院、食品サンプル、水のような環境サンプル、製造過程のサンプルのような産業サンプル、または生物汚染度または質の評価を必要とする最終製品である請求項21に記載の使用。
【請求項23】
Ace2遺伝子機能を崩壊させるのに用い得る一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価への請求項1〜11のいずれかに記載のキット若しくは請求項12または13に記載の核酸分子の使用。
【請求項24】
前記崩壊剤を、アンチセンスRNA、PNA、siRNAからなる群から選択する請求項23に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−522555(P2011−522555A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513003(P2011−513003)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057344
【国際公開番号】WO2009/150243
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】